(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の板状部分と前記複数の板状部分の間に配設されて前記複数の板状部分の間に中空空間を形成する介在部分とを含む中空板材が、車両電装部品を収容可能な形状に曲げられて形成され、
前記中空板材が、前記中空空間を部分的に遮るように、部分的に変形加工された突起部を備える、車両電装部品用収容ケース。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示のプロテクタでは、ワイヤーハーネスの配設経路に応じた形状のプロテクタを、射出成型金型装置によって製造する必要がある。このため、大型かつ複雑な射出成形金型装置が必要となってしまう。
【0008】
また、特許文献2に開示のプロテクタでは、パルプ繊維材に、防水目的で、防水性樹脂溶液を混合した板材シート材を用いる構成であるため、強度が低いという問題がある。
【0009】
そこで、複数の板状部分の間に中空構造が形成された中空板材を折曲げて、ワイヤーハーネスを収容可能な形状に形成することが提案されている。
【0010】
しかしながら、上記のような中空板材が燃焼を開始すると、その燃焼部分に対して中空板材内の空間を通じて空気が供給されてしまう恐れがある。
【0011】
そこで、本発明は、中空板材を曲げて車両電装部品用収容ケースを形成した場合において、燃え広がる速度をより低下させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、第1の態様に係る車両電装部品用収容ケースは、複数の板状部分と前記複数の板状部分の間に配設されて前記複数の板状部分の間に中空空間を形成する介在部分とを含む中空板材が、車両電装部品を収容可能な形状に曲げられて形成され、前記中空板材が、前記中空空間を部分的に遮るように、部分的に変形加工された突起部を備える。
【0013】
第2の態様は、第1の態様に係る車両電装部品用収容ケースであって、前記突起部は、前記複数の板状部分のうちの少なくとも1つが、前記中空空間に向けて突出するように部分的に加工されることにより形成されているものである。
【0014】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係る車両電装部品用収容ケースであって、前記介在部分は、前記複数の板状部分の間で、複数の細長い前記中空空間を並列状に形成しており、前記突起部は、前記中空空間をその延在方向において遮る位置に形成されているものである。
【0015】
第4の態様は、第3の態様に係る車両電装部品用収容ケースであって、前記突起部が、前記複数の中空空間のうち隣合う2つのものに対応して形成された第1突起部と第2突起部とを含み、前記第1突起部と前記第2突起部とが前記中空空間の延在方向においてずれた位置に設けられているものである。
【0016】
第5の態様は、第1〜第4のいずれか1つの態様に係る車両電装部品用収容ケースであって、前記中空板材が、底部と前記底部の両側部に立設された一対の側壁部とを含む形状となるように折曲げられて形成された収容本体部を備えるものである。
【0017】
第6の態様は、第3又は第4の態様に係る車両電装部品用収容ケースであって、前記中空板材が、底部と前記底部の両側部に立設された一対の側壁部とを含む形状となるように折曲げられて形成された収容本体部を備え、前記中空空間が、前記収容本体部の延在方向に沿って延在しているものである。
【0018】
第7の態様に係る電線モジュールは、第1〜第6のいずれか1つの態様に係る車両電装部品用収容ケースと、延在方向の少なくとも一部が前記車両電装部品用収容ケースに収容された電線とを備える。
【発明の効果】
【0019】
第1〜第7の態様によると、前記中空板材が、前記中空空間を部分的に遮るように、部分的に変形加工された突起部を備えるため、中空板材内を空気が流れ難くなる。このため、中空板材が燃焼を開始したとしても、その燃焼部分に対して中空板材内の空間を通じて空気が供給され難くなる。これにより、燃え広がる速度をより低下させることができる。
【0020】
第2の態様によると、前記複数の板状部分のうちの少なくとも1つに対して加工を施せばよいため、突起部を容易に形成できる。
【0021】
中空板材内の中空空間が細長い場合、その延在方向において空気が流れ易くなる。そこで、突起部を、中空空間をその延在方向において遮る位置に形成しておくと、当中空空間の延在方向においても空気が流れ難くなり、燃え広がる速度を効果的に低下させることができる。
【0022】
第4の態様によると、前記複数の突起部が、前記複数の中空空間のうち隣合う2つのものに対応して形成された第1突起部と第2突起部とを含み、前記第1突起部と前記第2突起部とが前記中空空間の延在方向においてずれた位置に設けられているため、中空板材が、突起部が形成された部分で曲り難くなる。
【0023】
第5の態様によると、底部と一対の側壁部とで囲まれる空間内に車両電装部品としての電線を収容するのに適した構成とすることができる。
【0024】
第6の態様によると、前記中空空間が、前記収容本体部の延在方向に沿って延在しているため、中空空間を仕切る介在部分の延在方向が、収容本体部の延在方向に沿って延在することになる。このため、収容本体部が曲り難い。また、収容本体部の延在方向において燃え広がる速度をより低下させることができる。
【0025】
第7の態様によると、電線の延在方向の少なくとも一部を車両電装部品用収容ケースに収容して保護しつつ経路規制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、実施形態に係る電線モジュールについて説明する。なお、本実施形態では、車両電装部品用収容ケースが、少なくとも1本の電線の延在方向の少なくとも一部を収容するプロテクタとして用いられている例を説明する。
【0028】
<電線モジュールの全体構造>
電線モジュール10の全体構造について説明する。
図1は電線モジュール10を示す概略斜視図であり、
図2は
図1の部分拡大図である。
【0029】
電線モジュール10は、少なくとも1本の電線14と、車両電装部品用収容ケースとしてのプロテクタ20とを備える。
【0030】
電線14は、導線の周囲に絶縁被覆等が押出成形等された構成とされている。ここでは、電線モジュール10は、複数の電線14が束ねられた電線束12(ワイヤーハーネス)を備えている。電線束12は、本プロテクタ20の延在方向中間部又は外部で分岐していてもよい。ここでは、電線束12の延在方向の一部がプロテクタ20内に収容されている。
【0031】
プロテクタ20は、次に説明するように、中空板材50が、車両電装部品の一種である電線束12を収容可能な形状に曲げられることにより形成されている。中空板材50は、複数の板状部分52と前記複数の板状部分52の間に配設された介在部分54とを備え、前記介在部分54によって複数の板状部分52の間に中空空間が形成された構成とされている。
【0032】
ここで、
図3を参照して、中空板材50の例について説明しておく。
【0033】
中空板材50は、複数(ここでは2つ)の板状部分52と、複数の板状部分52の間に配設された介在部分54とを備える。ここでは、中空板材50は、複数の板状部分52の間に並列状に介在する複数の介在部分54を備える。
【0034】
板状部分52は、平板状に形成されている。複数の板状部分52が介在部分54を介して間隔をあけた状態で連結されている。
【0035】
複数の介在部分54は、2つの板状部分52の間で、間隔をあけて並列状態に配設されている。各介在部分54は、細長板状に形成されており、2つの板状部分52に対して垂直姿勢で配設されている。そして、各介在部分54の一側部が1つの板状部分52に連結され、その他側部が他の1つの板状部分52に連結されている。これにより、2つの板状部分52と複数の介在部分54とが、介在部分54の延在方向に対して直交する面においてはしご状断面を呈するように一体的に連結される。
【0036】
上記複数の介在部分54は、複数の板状部分52の間で、複数の細長い中空空間を並列状に形成している。各中空空間は、2つの介在部分54と、隣合う2つの介在部分54とで囲まれており、従って、その延在方向に対して直交する横断面形状は方形状を呈している。
【0037】
なお、複数の板状部分52及び介在部分54を形成する材質は特に限定されない。複数の板状部分52及び介在部分54は、紙によって形成されていてもよいし、樹脂によって形成されていてもよいし、また、これらの組み合わせによって構成されていてもよい。複数の板状部分52及び介在部分54の少なくとも1つを紙によって形成する場合には、その表面に撥水処理等を施すことが好ましい。
【0038】
なお、本中空板材50を樹脂によって成形する場合には、例えば、前記はしご状断面に応じた押出孔から樹脂を押出す押出成型装置によって、連続的に中空板材50を製造することができ、これにより、中空板材50を容易に低コストで製造することができる。介在部分54は、接着剤又は溶着等によって板状部分52に連結されていてもよい。
【0039】
このような中空板材50によると、複数の板状部分52が間隔をあけて、介在部分54によって連結されているため、曲り難い。また、板状部分52間に介在部分54が介在しているため、当該介在部分54によっても中空板材50が曲り難くかつ凹み難いように補強される。特に、本例では、介在部分54の延在方向において、中空板材50が曲り難いようにすることができる。
【0040】
従って、本中空板材50によって、プロテクタ20を製造することで、電線14を十分に保護でき、かつ、十分に経路規制することもできる。また、中空板材50の複数の板状部分52の間には中空構造が形成されているため、その分、軽量化及び材料費の低減を図ることもできる。
【0041】
なお、上述した中空板材50の少なくとも一部に、金属箔(アルミ箔)等の電磁シールド部材が設けられていてもよい。
【0042】
また、各中空板材が3枚以上の板状部分を含む場合には、各間に介在部分が設けられていることが好ましい。これにより、中空板材の強度をより向上させることができる。
【0043】
上記中空板材50を曲げることによって、プロテクタ20が形成されている。
【0044】
ここでは、プロテクタ20は、底部22と、一対の側壁部24とを含む収容本体部21と、第1蓋部26と、第2蓋部28とを備える。
【0045】
底部22は、細長板状部分に形成されている。一対の側壁部24は、細長板状に形成されており、底部22の両側部から底部22の一主面側に突出するように立設されている。そして、底部22と一対の側壁部24とで構成される収容本体部21内の空間に、上記電線束12が収容される。
【0046】
第1蓋部26及び第2蓋部28は、細長板状に形成されている。第1蓋部26は、一方の側壁部24から他方の側壁部24に向けて延出するように形成されている。第2蓋部28は、他方の側壁部24から一方の側壁部24に向けて延出するように形成されている。
【0047】
すなわち、プロテクタ20を形成する前の中空板材50は、方形状に形成されており、その中空板材50が、間隔をあけて並列する複数の直線状の折目で折曲げられることで、上記底部22と一対側壁部と第1蓋部26及び第2蓋部28とを含む上記形状に形成される。
【0048】
なお、ここでは、中空板材50の各折目において、外周側に位置することとなる板状部分52が当該折目に沿って切断されている。これにより、中空板材50が折目に沿ってきれいに曲げられている。もっとも、中空板材50折目で外周側の板状部分が切断されていることは必須ではない。
【0049】
そして、電線束12の延在方向中間部を収容本体部21内に収容し、電線束12の両端部を収容本体部21の両端開口を通って外方に引出した状態で、第1蓋部26が一対の側壁部24の先端部の間全体に亘って配設されるように折られる。続いて、第2蓋部28が当該第1蓋部26の外側全体に被さるように当該第1蓋部26に重ね合される。この状態で、第1蓋部26と第2蓋部28との重ね合せ状態が維持される。この重ね合せ状態の維持は、例えば、第2蓋部28と第1蓋部26との一方のタブ状の片を形成すると共に他方にスリットを形成し、タブ状の片をスリットに挿入すること、第2蓋部28と第1蓋部26とを重ね合せて超音波溶着、熱溶着、接着剤等で接着すること、プロテクタ20の外周囲に粘着テープを巻回すること、等により行うことができる。
【0050】
このプロテクタ20の完成形態において、中空板材50の細長い中空空間の延在方向は、プロテクタ20の延在方向と一致している。中空板材50は、中空空間の延在方向(つまり、介在部分54の延在方向)に対して直交する方向に曲り難いため、中空板材50の細長い中空空間の延在方向を上記のように設定することで、プロテクタ20が曲り難くなる。これにより、電線束12をより確実に経路規制することができる。もっとも、中空板材の細長い中空空間の延在方向は、プロテクタの延在方向に対して交差(直交を含む)していてもよい。
【0051】
なお、プロテクタ20は、完成形態では、四角筒形状をなしているが、その他、円形筒状等をなしていてもよい。また、ここでは、プロテクタ20は、直線状に延在しているが、その途中で曲っていてもよい。プロテクタを曲げる構成としては、例えば、その延在方向中間部に蛇腹構造を作り込む構成、或は、プロテクタの延在方向中間部を、その外周周りの一部を除いて切除して曲げる構成等を採用することができる。また、プロテクタ20の延在方向中間部に、内部の電線束の一部を分岐させて外方に導くための開口が形成されていてもよい。
【0052】
また、本プロテクタ20の第1蓋部26及び第2蓋部28の一方又は両方が省略されてもよい。
【0053】
このように構成されたプロテクタ20に対して、中空板材50を部分的に変形加工することで、中空空間を部分的に遮るための突起部30が形成されている。
【0054】
<突起部>
図4は
図2のIV−IV線における概略部分断面図であり、
図5は
図2のV−V線における概略部分断面図である。
図4及び
図5では突起部30を形成するための加工具38も図示されている。
【0055】
図1〜
図4に示すように、プロテクタ20には、突起部30が形成されている。ここでは、複数の突起部30がプロテクタ20に形成されている。
図1では、第2蓋部28の複数の中空空間のそれぞれに対応して、少なくとも1つの突起部30が形成された状態が示されている。また、底部22及び一対の側壁部24のそれぞれにも同様に突起部30が形成されているが、
図1では、一方の側壁部24に1つの突起部30が形成された様子を示し、他を省略している。
【0056】
第2蓋部28に着目すると、並列状に形成された複数の中空空間に対して、その並列方向において交互に第1突起部30aと第2突起部30bとが形成されている(
図1)。つまり、第1突起部30aと第2突起部30bとは、複数の中空空間のうち隣合う2つのものに対応して形成されている。なお、突起部30に関してその形成位置を区別する必要がある場合には、参照符号30a、30bを付し、その形成位置を区別する必要が無い場合には参照符号30を付す。
【0057】
上記第1突起部30aと第2突起部30bとは、中空空間の延在方向においてずれた位置に設けられている。このため、並列状に形成された中空空間のそれぞれに第1突起部30a又は第2突起部30bを形成した場合においても、第1突起部30aと第2突起部30bとは、第2蓋部28の幅方向に一列に配置された位置関係とはならない。複数の第1突起部30aの各間には、いずれの突起部30a、30bも形成されない部分が介在し、同様に、複数の第2突起部30bの各間にも、いずれの突起部30a、30bも形成されない部分が介在している。
【0058】
また、突起部30は、細長い中空空間をその延在方向において遮る位置に形成されている。ここでは、中空空間の延在方向中間部において、少なくとも1つ(ここでは2つ)の突起部30が形成されている。従って、空気は、細長い中空空間をその延在方向に沿って流れ難い。
【0059】
もっとも、突起部は、細長い中空空間の端部に形成されていてもよい。
【0060】
上記突起部30は、複数の板状部分52のうちの少なくとも1つを、中空空間内に向けて突出するように部分的に変形加工することによって形成されている。ここでは、複数の板状部分52のうちプロテクタ20の外面側に位置するものを、部分的に中空空間に向けて突出するように部分的に変形加工している。
【0061】
より具体的には、突起部30は、板状部分52のうち細長い中空空間に沿う帯状部分の一部を、中空空間に向けて曲げることによって形成されている。板状部分52のうち突起部30を形成する短帯状部分の両端部が板状部分52のその他の部分に繋がっており、短帯状部分の両側部がその他の部分から分断している。そして、その帯状部分の延在方向中央部が他方の板状部分52に最も近づくように曲げられている。これにより、突起部30が細長い中空空間をその延在方向における途中で遮っている。ここでは、突起部30は、湾曲するようにU字状に曲っているが、角度をなしてV字状に曲っていてもよい。
【0062】
中空空間をその延在方向に沿って視た場合、突起部30は、中空空間全体に亘って突出し、中空空間を完全に遮っていることが好ましいが、これは必須ではない。中空空間をその延在方向に沿って視た場合において、突起部30の先端部及び両側部に隙間が形成されていてもよい。この場合であっても、中空空間を通った空気の流れを抑制することができる。
【0063】
上記のような突起部30は、中空板材50に棒状の加工具38を押付けてプレスすること等によって形成することができる。
【0064】
すなわち、加工具38は、直方体棒状に形成されている。加工具38の先端部を、その幅方向(
図4参照)で視ると、半円弧を描くように丸められた形状を呈している。また、加工具38の先端部を、前記幅方向と直交する正面側から視ると(
図5参照)、方形状に角張った形状を呈している。加工具38の幅寸法は、隣合う介在部分54間の寸法と同程度又はこれよりも小さい寸法に形成されている。
【0065】
そして、中空板材50を加工台上等に配設した状態で、加工具38の幅方向を中空空間の幅方向に沿わせた姿勢で配設し、加工具38の先端部を中空板材50の一方側の板状部分52に押付けると、板状部分52のうち突起部30を形成する短帯状部分がプレス加工され、中空空間内に向けて突出するようになる。ここでは、プレス加工の際、加工具38の両側縁部によって短帯状部分の両側部が剪断されることを想定しているが、帯状部分の両側部が他の部分と繋がったまま変形してもよい。
【0066】
上記加工具38によって板状部分52をプレス加工する際に、加工具38を加熱しておくと、板状部分52が柔らかくなり又は部分的に溶融するので、上記加工を容易に行える。
【0067】
上記加工は、中空板材50を、プロテクタ20をなす形状に曲げる前、即ち、平板状をなす形態で行っておくことが好ましい。
【0068】
なお、ここでは、板状部分52を変形させることによって、中空空間を遮る構成としたが、介在部分を変形させて、中空空間を遮る構成としてもよい。例えば、中空空間の延在方向の端部において、介在部分を変形させて当該中空空間を遮るようにしてもよい。
【0069】
<効果等>
このように構成された電線モジュール10及びプロテクタ20によると、中空板材50が、中空空間を部分的に遮るように部分的に変形加工された突起部30を備えるため、中空板材50の中空空間内における空気の流れが突起部30によって抑制される。このため、中空板材50が燃焼を開始したとしても、その燃焼部分に対して中空板材50内の空間を通じて空気が供給され難くなる。これにより、燃え広がる速度をより低下させることができる。
【0070】
もちろん、中空板材50を部分的に変形加工することによって突起部30が形成されているため、他の部分では中空構造が維持されている。このため、中空板材50を用いることによる、軽量化、材料費低減等の効果は十分に発揮できる。
【0071】
また、中空板材50のうち板状部分52を部分的に加工することで、突起部30が形成されているため、突起部30を容易に形成できる。なお、加工する板状部分52は、中空板材50のいずれかの外面に位置するものであることが好ましい。
【0072】
なお、プロテクタ20として組立てられた状態で、突起部30は、プロテクタ20の外側から内側に向けて凹むものであってもよいし、内側から外側に向けて凹むものであってもよい。
【0073】
また、上記のような中空板材50では、細長い中空空間の延在方向において空気が流れ易い。そこで、突起部30を、中空空間をその延在方向において遮る位置に形成しておくと、当該中空空間の延在方向においても空気が流れ難くなる。これにより、燃え広がる速度を効果的に低下させることができる。
【0074】
また、複数の突起部30が、複数の中空空間のうち隣合う2つのものに対応して形成された第1突起部30aと第2突起部30bとを含み、第1突起部30aと第2突起部30bとが中空空間の延在方向においてずれた位置に設けられている。中空板材50は、第1突起部30a或は第2突起部30bが形成された部分では、強度に劣ってしまうものの、第1突起部30aと第2突起部30bとは直線的に並ばない。このため、中空板材50が、第1突起部30a或は第2突起部30bが形成された部分で曲り難くなる。
【0075】
また、中空板材50の中空空間が収容本体部21の延在方向に沿って延在しているため、中空空間を仕切る介在部分54の延在方向が、収容本体部21の延在方向に沿って延在することになる。このため、収容本体部21が曲り難くなる。従って、本プロテクタ20によって電線束12を収容した場合において、電線束12をより確実に経路規制することができる。この場合において、突起部30が、中空板材50の中空空間をその延在方向において遮る位置に形成されているため、収容本体部21の延在方向において、燃え広がる速度をより低下させることができる。
【0076】
<変形例>
上記実施形態を前提として、各種変形例について説明する。
【0077】
図6は変形例に係る突起部130を示す概略斜視図であり、
図7は
図6のVII−VII線における概略部分断面図であり、
図8は
図6のVIII−VIII線における概略部分断面図である。
【0078】
この変形例では、突起部130は、円錐形状の頂点を切り落した円錐台形状に突出する形状に形成されている。すなわち、板状部分52のうち細長い中空空間に沿う帯状部分の一部を、中空空間に向けて円錐台形状に突出させることによって、突起部130が形成されている。
【0079】
突起部130の先端部は、他方の板状部分52の内面に接し又は内面近くに位置しており、突起部130の両側部は、介在部分54の側面近くに位置している。このため、突起部130によって、中空板材50がその延在方向において遮られる。
【0080】
上記のような突起部130は、中空板材50に棒状の加工具138を押付けてプレスすること等によって形成することができる。
【0081】
すなわち、加工具138は、丸棒状に形成されている。加工具138の外径は、隣合う介在部分54間の寸法よりも小さい寸法に形成されている。
【0082】
そして、中空板材50を加工台上等に配設した状態で、加工具138の先端部を中空板材50の一方側の板状部分52に押付けると、板状部分52がプレス加工され、板状部分52のうち加工具138の先端面に接する部分の周縁部が中空空間内に凹みつつ、板状部分52のうち加工具138の先端面に接する部分が中空板材50内に向けて押込まれる。これにより、円錐台形状の突起部130が形成される。
【0083】
この変形例によっても、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。なお、プレス加工される際、突起部130の一部が破断されてもよいが、破断されないことが好ましい。この破断部分からの空気の流入を抑制するためである。
【0084】
なお、突起部は、上記実施形態及び変形例で説明した形状に限られず、どのような形状であってもよい。例えば、突起部は、V字状に突出する形状であってもよい。また、突起部は、並列状に形成された複数の中空空間に跨って形成されていてもよい。
【0085】
また、中空板材の例は、上記実施形態で説明したものに限られない。
【0086】
例えば、
図9に示す中空板材250は、複数(ここでは2つ)の板状部分232の間に介在部分236が設けられた構成とされている。
【0087】
介在部分236は、凹凸形状を呈する板状に形成された部材である。かかる介在部分236が、複数の板状部分232の間に挟み込まれた状態で、当該板状部分232の内向き面に接合される。板状部分232と介在部分236との接合は、例えば、接着剤、粘着剤等により行われる。これにより、介在部分236が呈する凹凸形状に応じた中空構造が、複数の板状部分232の間に形成される。
【0088】
ここでは、介在部分236は、山部236aと谷部236bとが波状に連続する形状に形成されている。山部236aの延在方向と谷部236bの延在方向とは、平行な位置関係にあり、従って、介在部分236を平面視すると、複数の山部236aと複数の谷部236bとが交互に並列状に形成された構成とされている。山部236aの頂部と谷部236bの底部とは、湾曲していてもよいし、所定の角度をなして曲っていてもよい。山部236aと谷部236bとのうち板状部分232の間に配設される部分が、並行状に延在する複数の空間を形成する仕切部分となる。
【0089】
そして、介在部分236が複数の板状部分232の間に挟み込まれ、谷部236bの底部の下面と下側の板状部分232とが接合されると共に、山部236aの頂部の上面と上側の板状部分232とが接合されている。
【0090】
このような中空板材250に対しても、上記実施形態又は変形例と同様に、突起部30、130(
図9では突起部30を1つのみ図示)を形成すことができる。
【0091】
図10は他の変形例に係る中空板材350を示す一部切欠斜視図である。
図10に示す例に係る中空板材350は、複数(ここでは2つ)の板状部分332の間に介在部分336が設けられた構成とされている。
【0092】
すなわち、介在部分336は、凹凸形状を呈する板状に形成された部材であり、より具体的には、介在部分336の平面視において点在するように複数の突部337が形成された構成とされている。ここでは、介在部分336を平面視した状態において、複数の突部337が縦横に一定間隔で並ぶように形成されている。突部337は、介在部分336のうち平板状に延在する基板部338より一方主面側に突出するように形成されており、筒の上端部が閉じられた形状を呈している。ここでは、突部337は、上方に向けて徐々に狭まる形状、即ち、錐台形状に形成されている。突部337は、円錐台形状に形成されていてもよいし、角錐台形状に形成されていてもよいし、角錐台の角を丸めた形状に形成されていてもよい。
【0093】
そして、介在部分336が複数の板状部分332の間に挟み込まれ、基板部338の下面が下側の板状部分332に接合され、突部337の頂部が上側の板状部分332に接合されている。
【0094】
このような中空板材350に対しても、上記実施形態又は変形例と同様に、突起部30、130(
図10では突起部130を1つのみ図示)を形成すことができる。このような中空板材350においても、突起部30、130を形成することによって、中空空間での空気の流れが阻害されるため、その燃え広がる速度をより低下させることが可能となる。
【0095】
なお、車両電装部品用収容ケースは、車両電装部品の一例である電線を収容する以外に、バスバー等の金属板で形成された回路体、リレー、ヒューズ、電子部品が実装された電子回路基板等、各種車両電装部品を収容するケースとして適用することが可能である。この場合に、車両電装部品用収容ケースは、六面体を構成するケース形状に形成されていてもよい。
【0096】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0097】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。