(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記取り外し判定部は、前記加速度エネルギーが第1の所定値以下で、かつ前記重力方向の加速度成分が第2の所定値以上であるときに、前記活動量計が前記対象者から取り外されたと判定する請求項1に記載の活動量計。
前記加速度センサの前記加速度信号における重力方向の加速度成分の平滑性と、前記加速度エネルギーとに基づいて、前記対象者が覚醒状態にあるか否かを判定する覚醒状態判定部を有する請求項1に記載の活動量計。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
(構成)
図1は、本実施形態に関わるリストバンド型の活動量計1の外観図である。
図2は、リストハンド型の活動量計とスマートフォンからなる睡眠覚醒状態記録システム100の構成図である。
【0010】
活動量を計測する対象者に装着可能な活動量計1は、対象者であるユーザの活動量を記録し、スマートフォン2へ送信することができるリストバンド型の機器である。
活動量計1は、ユーザの腕(点線で示す)Lに巻かれて装着するために帯状のリストバンド型であり、中央部には細長い形状の操作ボタン3が設けられている。操作ボタン3は、各種設定時などに操作される。
【0011】
活動量計1は、操作ボタン3などが配設されたバンド4の中央部の両側から延出する2本の延出部4aと4bを有する。延出部4aの端部には、留め具5が設けられており、延出部4bには、留め具5の突起部(図示せず)が嵌入するための複数の孔6が所定の間隔で形成されている。ユーザは、留め具5に形成された突起部(図示せず)を、任意の位置の孔6に嵌め込むことにより、活動量計1を腕Lに装着することができる。
【0012】
操作ボタン3は、活動量計1をユーザの腕Lに装着したとき、腕Lに密着する活動量計1の裏側面とは反対側の表側にくるように、活動量計1に配置されている。
図2に示す睡眠覚醒状態記録システム100は、活動量計1を利用した睡眠覚醒状態記録システムである。
【0013】
後述するように、活動量計1は、無線通信機能を有し、後述する睡眠状態及び覚醒状態の状態情報をスマートフォン2に送信することができる。ユーザは、活動量計1に記録された睡眠状態及び覚醒状態の状態情報のデータを、スマートフォン2に送信し、スマートフォン2のメモリに記憶させ、スマートフォン2が有するアプリケーションプログラムにより管理したり、スマートフォン2の表示部2a上に表示させることができる。
【0014】
なお、活動量計1は、加速度センサを有しており、加速度センサの出力から、ユーザの活動量、歩数などの活動量データを生成して、記録し、送信するが、ここでは、これらの記録及び送信については、説明は省略し、活動量計1の機能の1つの睡眠覚醒状態判定送信処理について説明する。
【0015】
図3は、本実施形態の活動量計1の構成を示すブロック図である。
活動量計1は、操作ボタン3、加速度センサ11、加速度検出部12、加速度エネルギー検出部13、及び制御部14を有する本体部1Aを有する。
図1において点線で示ように、本体部1Aは、バンド4の中央部に着脱可能に取り付けられている。
【0016】
活動量計1は、活動量計測の機能、及び後述する睡眠状態と覚醒状態の判定機能と、計測された活動量の記録及び送信の機能、及び判定された睡眠状態と覚醒状態の状態情報の記録及び送信の機能を有する。
加速度センサ11は、互いに直交する3軸(X軸、Y軸、Z軸)方向の加速度をそれぞれ検出することができるように、3つのセンサを有し、X軸出力、Y軸出力及びZ軸出力を、各軸について加速度信号として出力する3軸加速度センサである。少なくとも3軸方向の加速度を検出する加速度センサ11の各出力は、加速度検出部12及び制御部14に入力される。
【0017】
図1に示すように、活動量計1がユーザの腕Lに装着されたときに、X軸方向が、手Hの甲の面と平行で、かつ腕Lの軸に対して直交する方向となり、Y軸方向が、手Hの甲の面と平行で、かつ腕Lの軸と平行な方向となり、Z軸方向が、手Hの甲の面に直交する方向となるように、ユーザは、活動量計1を腕Lに装着することができる。
図1では、腕Lは、紙面の手前から裏側に向かうように、活動量計1の円環状のバンド4に通されている。
【0018】
加速度検出部12は、二乗和平方根算出部12aと、ハイパスフィルタ(HPF)12bとを含む。
二乗和平方根算出部12aは、加速度センサ11の各出力の二乗和の平方根の信号を生成する回路である。ここでは、複数方向(ここでは3つの方向)の加速度を用いているので、各出力の二乗和の平方根の信号を生成する二乗和平方根算出部12aを用いているが、二乗和平方根算出部12aに代えて、二乗和の信号を生成する二乗和算出回路を用いてもよい。
【0019】
ハイパスフィルタ12bは、二乗和平方根算出部12aの出力から重力加速度を除去するためのオフセットキャンセラー回路である。
なお、ここでは、加速度センサ11は、3軸加速度センサであるが、4軸以上の加速度センサでもよい。
よって、加速度検出部12は、加速度センサ11の出力から加速度を検出し、加速度信号を出力する。加速度検出部12から出力される加速度信号は、加速度エネルギー検出部13に入力される。
【0020】
加速度エネルギー検出部13は、絶対値回路13aと、ローパスフィルタ13bとを含み、加速度センサ11の加速度信号に基づいて加速度エネルギーを検出する。
加速度エネルギー検出部13に入力された加速度信号は、絶対値回路13aに入力される。絶対値回路13aは、入力された加速度信号の絶対値を算出し、ローパスフィルタ13bに出力する。
【0021】
ローパスフィルタ13bは、絶対値回路13aの出力を平均化して加速度の強度を検出し、制御部14に出力する。このように、加速度エネルギー検出部13は、加速度検出部12からの加速度信号から加速度の強度を検出する加速度強度検出部を構成する。
制御部14は、中央処理装置(以下、CPUという)21、ROM22、RAM23、時計部24、無線通信部25、及びインターフェース(以下、I/Fと略す)26,27,28を有し、互いにバス29で接続されている。
【0022】
CPU21は、加速度エネルギー検出部13の出力をI/F26を介して取得することができる。
同様に、CPU21は、加速度センサ11のX軸出力、Y軸出力及びZ軸出力を、I/F27を介して取得することができる。
さらに、CPU21は、操作ボタン3の動作状態をI/F28を介して取得することができる。
【0023】
制御部14のROM22には、後述する覚醒睡眠状態判定処理プログラムが格納されている。なお、ROM22は、フラッシュメモリなどの、書き換え可能な不揮発性メモリでもよい。
【0024】
時計部24は、時刻情報を生成し出力する回路であり、CPU21は、時計部24から、年月日及び時刻の情報を取得することができる。
無線通信部25は、スマートフォン2とのデータ通信を行うための回路であり、近距離無線通信のための回路である。
【0025】
活動量計1は、上記のような構成を有し、ユーザの腕に装着されるが、ユーザが睡眠状態か覚醒状態であるかを判定し、記録し、スマートフォン2へ送信することができる。
(作用)
睡眠覚醒状態判定の処理について説明する。
【0026】
図4は、睡眠覚醒状態判定の処理の流れの例を示すフローチャートである。睡眠覚醒状態判定は、CPU21が、ROM22から睡眠覚醒状態判定処理プログラムを読み出して、RAM23上に展開して実行することにより行われる。例えば、睡眠覚醒情報取得モードが設定されると、睡眠覚醒状態判定処理プログラムが実行される。
図4の処理は、所定の周期、例えば1秒周期、で実行される。
【0027】
CPU21は、所定の周期で、入力された加速度データを読み込む(S1)。ここでは、CPU21には、加速度センサ11のX,Y,Z軸方向の各加速度信号が、所定のサンプリングタイミングで、例えば1秒間に数十回のタイミングで、サンプリングされて入力され、RAM23に記憶される。
【0028】
CPU21は、X,Y,Z軸方向の各加速度の時間平均を計算する(S2)。すなわち、ノイズ成分を除去するために、CPU21は、読み込まれたX,Y,Z軸方向の各加速度信号の値データについての、所定の時間の平均値、例えば、数秒間のデータの平均値を計算する。
【0029】
さらに、CPU21は、加速度エネルギー検出部13の出力から、加速度エネルギーAEのデータを取得する(S3)。
次に、CPU21は、ユーザが、活動量計1を腕から取り外しているか否かを判定する(S4)。
【0030】
S4の判定は、加速度エネルギーAEが、所定値TH1以下であって、かつY軸方向の加速度信号の時間平均値であるY軸加速度Yaの絶対値|Ya|が所定値TH2を超えているか否かに基づいて、行われる。すなわち、次の式(1)が成立するか否かにより、活動量計1が腕から取り外されているかが判定される。所定値TH1は、極めて小さな値であり、活動量計1が静止していることが検出できるレベルの値である。所定値TH2は、Y軸加速度Yaの出力レベルの中で大きな値であり、最も大きな値は、活動量計1が静止状態において、Y軸方向が重力方向と一致したときに検出された値である。
【0031】
(AE≦TH1)and (|Ya|>TH2) ・・・(1)
上記の式(1)が成立するとき、ユーザは、覚醒していると判定される。
【0032】
これは、加速度エネルギーAEが所定値TH1以下であるという、ユーザの活動量が極めて小さいことに加えて、重力方向、ここではY軸方向、の加速度の大きさが所定値TH2を超えているので、活動量計1が、例えば机の上に置かれていると推定できるからである。
【0033】
図5は、活動量計1がテーブル31のテーブル面31a上に置かれたときのXYZ軸方向を示す斜視図である。
図6は、
図5の状態の活動量計1をひっくり返して活動量計1が、テーブル31のテーブル面31a上に置かれたときのXYZ軸方向を示す斜視図である。
【0034】
図5及び
図6に示すように、バンド型の活動量計1は、テーブル31のテーブル面31a等の平らな面上に置かれたとき、Y軸方向が、テーブル面31aに対して直交する方向となる。そのため、活動量計1がユーザの腕から取り外され、テーブル31などの上に放置されたときは、Y軸方向、すなわち重力方向、の加速度Yaが大きくなる。
【0035】
活動量計1がユーザの腕から取り外されているので、加速度エネルギーAEは小さく、かつ重力方向の加速度の絶対値が大きくなる。
尚、
図5と
図6ではY軸方向がテーブル面31aに対して直交する方向となる例を述べたが、これに限定されることなく、例えば、操作ボタン3がテーブル面31aに接するように置かれたときはZ軸方向がテーブル面31aに対して直交する方向となる。この場合は、Z軸方向の加速度Zaが大きくなる。
【0036】
以上より、S4の処理が、加速度エネルギー検出部13により検出された加速度エネルギーAEと、加速度センサ11の加速度信号における重力方向の加速度成分と、に基づいて、ユーザからの活動量計1の取り外し、すなわち非装着状態、を判定する取り外し判定部を構成する。そして、S4の処理では、加速度エネルギーAEが所定値TH1以下で、かつ重力方向の加速度成分が所定値TH2以上であるときに、活動量計1がユーザから取り外されたと判定される。
【0037】
よって、S4の判定の結果、ユーザが活動量計1を腕から取り外していると判定されたとき(S4:YES)、CPU21は、ユーザは腕から活動量計1を外して覚醒状態にある、と判定する(S5)。
【0038】
ユーザが活動量計1を腕から取り外していないと判定されたとき(S4:NO)、CPU21は、加速度エネルギーAEが所定値TH3以上であるか、を判定する(S6)。
【0039】
加速度エネルギーAEが所定値TH3以上でないとき(S6:NO)、CPU21は、ユーザは、睡眠状態にあると判定する(S7)。すなわち、ユーザは、活動量計1を腕に装着しているが、加速度エネルギーAEが小さいので、ユーザは、睡眠状態にあると判定される。
【0040】
加速度エネルギーAEが所定値TH3以上であるとき(S6:YES)、CPU21は、加速度エネルギーAEの値の平滑度を算出する(S8)。
ここでは、次の式(2)に定義された平滑度FL(i)が算出される。
ここで、FL(i)は、時刻iにおける平滑度である。
【0041】
具体的には、式(2)のFL(i)は、時刻iの加速度エネルギーAE(i)よりもm個(mは整数)前までのm個の加速度エネルギーの各々と時刻iの加速度エネルギーAE(i)との差の第1の和と、時刻iの加速度エネルギーAE(i)よりもm個(mは整数)後までのm個の加速度エネルギーの各々と時刻iの加速度エネルギーAE(i)との差の第2の和と、の和である。
なお、ここでは、式(2)に定義するような計算式により平滑度を算出しているが、例えば、軸iの加速度エネルギーAE(i)よりもm個(mは整数)前までのm個の加速度エネルギーの各々と、時刻iの加速度エネルギーAE(i)との差の和から平滑度を算出する等、他の手段により、平滑度を算出するようにしてもよい。
【0042】
S8の後、CPU21は、平滑度が所定値TH4以下であるか、判定する(S9)。式(2)の平滑度が所定値TH4以下であるということは、加速度エネルギー値を時系列に並べたグラフにすると、略一定になり、加速度エネルギーAEの値の平滑性が高いことを意味する。よって、所定値TH4の値は、極めて小さな値である。所定値TH4は、極めて小さな値であり、加速度エネルギーAEが略変化しないとすることができるレベルの値である。
【0043】
平滑度が所定値TH4以下であるとき(S9:YES)、すなわち加速度エネルギーの値の変化が小さいとき、CPU21は、ユーザは睡眠状態にあると判定する(S10)。これは、S9において第1の和と第2の和の和である平滑度FL(i)が小さいということは、加速度エネルギーAEが所定値TH3以上であるがほとんど変化していない、すなわち、X軸、Y軸及びZ軸方向の加速度が変化していない一定の状態にあるので、ユーザは睡眠状態にある、と判定される。
【0044】
S8とS9の処理により、睡眠中の体動が大きいために加速度エネルギーAEが大きい場合に、活動量計1が、ユーザが覚醒している、と誤判定しないようにしている。
平滑度が所定値TH4以下でないとき(S9:NO)、CPU21は、ユーザは覚醒状態にあると判定する(S11)。すなわち、第1の和と第2の和の和である平滑度FL(i)が小さくないということは、加速度エネルギーAEが大きくかつ変化している、すなわち、X軸、Y軸及びZ軸方向の加速度が変化していない一定の状態にないので、ユーザは覚醒状態にある、と判定される。
【0045】
図7は、加速度エネルギーとY軸方向加速度の出力状態を示すグラフである。
図7のグラフは、横軸が時間tであり、活動量計1をある被験者の腕に取り付けて実際に計測された時間経過に伴う加速度エネルギーAEとY軸方向加速度Yaの変化を示す。
【0046】
図7の上段のグラフGAは、加速度エネルギーAEの値のグラフであり、
図7の下段のグラフGBは、Y軸方向加速度Yaの値のグラフである。
図7において、期間T1は、被験者が活動量計1を腕から外していた期間であり、期間T2は、通勤時間であり、期間T3は、外出時間であり、期間T4は、通勤時間であり、期間T5は、睡眠時間であり、期間T6は、通勤時間である。期間T1では、加速度エネルギーAEの値は、小さく、Y軸方向加速度Yaの値は、大きい。これに対して、期間T5では、加速度エネルギーAEの値は小さいが、時間平均のY軸方向加速度Yaの値は、期間T1のときの値よりも小さくかつ変動している。
【0047】
上述したS4の処理によれば、CPU21は、期間T1は、睡眠状態ではなく、活動量計1が腕から取り外されて放置されているので、ユーザは覚醒していると判定することができる。
【0048】
図8は、加速度エネルギーとX,Y,Zの3軸方向加速度の出力状態を示すグラフである。
図8のグラフも、横軸が時間tであり、活動量計1をある被験者の腕に取り付けて実際に計測された1日における時間経過に伴う加速度エネルギーAEとX,Y,Zの3軸方向加速度Xa,Ya,Zaの変化を示す。
【0049】
図8の上段のグラフGA1は、加速度エネルギーAEの値のグラフであり、
図8の上から2段目のグラフGB1は、X軸方向加速度Xaの値のグラフであり、
図8の上から3段目のグラフGB2は、Y軸方向加速度Yaの値のグラフであり、
図8の下段のグラフGB3は、Z軸方向加速度Zaの値のグラフである。
【0050】
図8において、期間TT1は、被験者が睡眠中の時間である。
図8に示すように、期間TT1内では、被験者の動かない状態が継続するため、X,Y,Z軸の加速度の値が一定となる期間が複数回存在している。
図8のグラフGB1において、期間CTが、期間TT1中において加速度の値が変化しない一定となっている期間を示している。グラフGB2,GB3においても、同様に、加速度の値が変化しない期間CTが複数存在している。ユーザは寝返りをうった後は動かないため、寝返りの前後ではX,Y,Z軸の加速度の値が一定となり、
図8に示すように、期間TT1中のグラフGB1、GB2,GB3は、階段状の波形となっている。
【0051】
X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の各々においても、加速度の値は変化しないで一定となるので、期間TT1中のグラフGA1は略フラットとなる。
加速度エネルギーAEの値が所定値TH3以上であるとき、上述したS8とS9の平滑度は、このようなグラフGA1がフラットな状態であるかを判定するための処理である。CPU21は、S8で算出された平滑度が小さい、すなわちグラフGA1がフラットであるとき、ユーザは、睡眠状態にあると判定し(S10)、覚醒状態にあると誤判定しない。
【0052】
逆に、CPU21は、S8で算出された平滑度が小さくない、すなわちグラフGA1がフラットでないときは、ユーザは、覚醒状態にあると判定することができる(S11)。以上のように、加速度エネルギーAEの値と加速度エネルギーAEの平滑性により睡眠状態か覚醒状態かの判定が行われる。
【0053】
以上のように、S8,S9,S11の処理が、加速度センサ11の加速度信号における重力方向の加速度成分の平滑性と、加速度エネルギーAEとに基づいて、ユーザが覚醒状態にあるか否かを判定する覚醒状態判定部を構成する。その平滑性は、加速度エネルギーAEの値の変化が所定値以内であるか否かにより規定される。そして、加速度エネルギーAEが所定値TH3以上であって、かつ加速度エネルギーAEの値の変化が所定値以上であるとき、ユーザは覚醒状態にあると判定される(S11)。そして、
図4において、ユーザが覚醒状態にあると判定されたとき(S5,S11)以外は、ユーザは睡眠状態にあると判定される(S7,S10)。
【0054】
上述したように、
図4の処理は、所定の周期で、例えば1秒おきに、実行され、その判定結果の情報は、推定結果として、RAM23に記憶されていく。
【0055】
図9は、RAM23に記憶される睡眠覚醒推定情報テーブルTBLの例を示す図である。
図9に示すように、睡眠覚醒推定情報テーブルTBLは、日付、時刻、推定結果のデータを含む。
【0056】
CPU21が、
図4の処理により、覚醒状態あるいは睡眠状態と判定すると、時計部24の日付と時刻の情報と共に、その判定結果をRAM23の睡眠覚醒推定情報テーブルTBLに推定結果として追加記録していく。
よって、RAM23は、ユーザの睡眠状態と覚醒状態の情報を記録する睡眠覚醒状態記憶部を構成する。
【0057】
CPU21は、所定のタイミングで、無線通信部25から、睡眠覚醒推定情報テーブルTBLの情報を、スマートフォン2へ送信する。所定のタイミングは、活動量計1において、予め設定された時間周期のタイミングであってもよいし、スマートフォン2からの送信要求のタイミングでもよい。
よって、無線通信部25は、RAM23に記憶された睡眠状態と覚醒状態の情報を送信する情報送信部を構成する。
【0058】
スマートフォン2では、受信した睡眠覚醒推定情報テーブルTBLの推定結果のデータを、そのまま、表あるいはグラフなどで、表示部2aに表示してもよいが、受信した推定結果を補正して、表あるいはグラフなどで、表示部2aに表示してもよい。
【0059】
例えば、スマートフォン2のアプリケーションプログラムにより、睡眠覚醒推定情報テーブルTBLの推定結果のデータを表形式で表示したり、グラフで示すことができる。
【0060】
睡眠覚醒推定情報テーブルTBLの推定結果のデータは、例えば1秒毎のデータであり、短い時間間隔で生成される。そのため、推定結果に誤差が含まれる場合がある。
図10は、推定結果に誤差が含まれる様子を示す推定結果のグラフである。
【0061】
図10のグラフGR1は、横軸が時間tであり、各時刻において活動量計1から送信された覚醒状態と睡眠状態の判定結果の変化を示している。
図10の上側には、覚醒状態と判定されたことを示す点(菱形で示す)がプロットされ、睡眠状態と覚醒状態が明確に区別できない。
【0062】
そこで、例えば、ある時刻の前後の所定時間内における判定結果の多い方を判定結果として採用するという多数決判定により、その時刻における睡眠状態と覚醒状態を決定するように、活動量計1の推定結果を補正するようにしてもよい。
【0063】
図11は、スマートフォン2における推定結果の補正方法を説明するための図である。
図11に示すように、判断対象である対象時刻Tiの判定結果は、その時刻Tiの前後のTC期間の判定結果(黒丸で示す)から、睡眠状態と判定された推定結果の件数と、覚醒状態と判定された推定結果の件数を比較し、件数の多い方の判定結果を、その対象時刻Tiの判定結果とする。
【0064】
図10のグラフGR2は、
図11の方法により補正された推定結果のグラフである。グラフGR2を見ると、睡眠状態と覚醒状態が明確に区別できる。
また、補正された推定結果は、睡眠状態の開始時刻と終了時刻、及び睡眠状態の開始時刻と終了時刻を表形式で、スマートフォン2の表示部2aに表示するようにしてもよい。
【0065】
従って、スマートフォン2において、誤差を除去するように、睡眠覚醒推定結果の情報を補正することによって、ユーザの覚醒状態と睡眠状態がより正確に判定されて、データとして記録することができる。
【0066】
以上のように、上述した実施形態によれば、活動量計がユーザから取り外され、放置されている状態でも睡眠と誤判定されることがない活動量計を提供することができる。
さらに、ユーザが睡眠中に体動があっても、覚醒状態にあると誤判定されることがない活動量計を提供することができる。
【0067】
なお、上述した実施形態では、
図4の処理は、CPU21により実行されるソフトウエアプログラムで実現されているが、ハードウエア回路により実現してもよい。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として例示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。