特許第6156287号(P6156287)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6156287
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】活動量計
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20170626BHJP
   A61B 5/22 20060101ALI20170626BHJP
【FI】
   A61B5/10 310A
   A61B5/22 B
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-165791(P2014-165791)
(22)【出願日】2014年8月18日
(65)【公開番号】特開2016-41156(P2016-41156A)
(43)【公開日】2016年3月31日
【審査請求日】2015年4月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】荒谷 渉
【審査官】 松本 隆彦
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0180595(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0173705(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/11
A61B 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活動量を計測する対象者に装着可能な活動量計であって、
前記対象者により操作可能な操作部と、
前記活動量を計測するための加速度信号を出力する加速度センサと、
前記対象者のタップ操作についての情報を記憶するメモリと、
前記加速度センサを収納する本体部と、
前記本体部が取り付けられるケースと、
前記操作部に対する第1の操作の後、前記活動量計へのタップ操作がされたとき、前記加速度センサの前記加速度信号に基づいて判定した前記タップ操作についての情報を前記メモリに登録するタップ操作情報登録部と、
前記操作部に対する第2の操作の後、前記活動量計へのタップ操作がされたとき、前記加速度センサの前記加速度信号に基づいて判定した前記タップ操作から、前記メモリに登録された前記タップ操作についての情報に対応するタップ操作と同じタップ操作の発生を検出するタップ操作発生検出部と、
前記タップ操作発生検出部において前記メモリに登録された前記タップ操作についての情報に対応するタップ操作と同じタップ操作の発生が検出されたときに、前記同じタップ操作の発生したことを示す情報を出力する同一タップ操作出力部と、
を有する活動量計。
【請求項2】
前記タップ操作発生検出部において前記メモリに登録された前記タップ操作についての情報に対応するタップ操作と同じタップ操作の発生が検出されたときに、前記同じタップ操作の発生したときの時刻情報を記憶する時刻情報記憶部を有する請求項1に記載の活動量計。
【請求項3】
前記タップ操作についての情報は、タップ回数により規定される請求項1又は2に記載の活動量計。
【請求項4】
前記タップ操作についての情報は、前記タップ操作のリズムの情報を含む請求項1又は2に記載の活動量計。
【請求項5】
前記タップ操作情報登録部は、互いに異なる複数のタップ操作についての情報を複数登録する請求項1から4のいずれか1つに記載の活動量計。
【請求項6】
前記ケースは、リストバンドである請求項1に記載の活動量計。
【請求項7】
前記加速度センサであるタップ操作検出部、前記タップ操作情報登録部、前記タップ操作発生検出部及び前記時刻情報記憶部は、1つのユニットである前記本体部内に収納され、
前記本体部は、前記ケースに対して着脱可能である請求項2に記載の活動量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、活動量計に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人の活動量を計測する活動量計が普及してきている。また、従来より、心電図データなどの生体データ、人の行動等を記録する機器も提案されている。
これらの機器の中には、例えば、人の腕やベルトに装着されて、人の動きを加速度センサで検出し、人の所定の動きの有無の判定を、加速度センサの出力値に基づいて行うものがある。
【0003】
また、運動量計の衝撃突起に付与された衝撃によって生じた加速度変化から、本体装置への着脱可能な装着体の取り付け及び取り外しを検知することができる体動検出装置も、提案されている。
しかし、従来の歩数計などやこれらの提案の機器は、加速度センサの出力から所定の動きがあるか否かの判定を行うが、ユーザの全ての行動を正確に判定することはできない。
【0004】
また、人は、生活の中での行動、出来事などを記録したい場合があり、メモ帳、スマートフォンなどに記録することができるが、メモ帳への書込や、スマートフォンへのデータ入力等は、煩雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−178982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本実施形態は、タップ操作により、所望のイベントの記録を簡単にできる活動量計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の活動量計は、活動量を計測する対象者に装着可能な活動量計であって、前記対象者により操作可能な操作部と、前記活動量を計測するための加速度信号を出力する加速度センサと、前記対象者のタップ操作についての情報を記憶するメモリと、前記加速度センサを収納する本体部と、前記本体部が取り付けられるケースと、 前記操作部に対する第1の操作の後、前記活動量計へのタップ操作がされたとき、前記加速度センサの前記加速度信号に基づいて判定した前記タップ操作についての情報を前記メモリに登録するタップ操作情報登録部と、 前記操作部に対する第2の操作の後、前記活動量計へのタップ操作がされたとき、前記加速度センサの前記加速度信号に基づいて判定した前記タップ操作から、前記メモリに登録された前記タップ操作についての情報に対応するタップ操作と同じタップ操作の発生を検出するタップ操作発生検出部と、 前記タップ操作発生検出部において前記メモリに登録された前記タップ操作についての情報に対応するタップ操作と同じタップ操作の発生が検出されたときに、前記同じタップ操作の発生したことを示す情報を出力する同一タップ操作出力部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に関わるリストバンド型の活動量計1の外観図である。
図2】実施形態に関わる、リストハンド型の活動量計とスマートフォンからなるイベント記録システム100の構成図である。
図3】実施形態に関わる活動量計1の構成を示すブロック図である。
図4】実施形態に関わる、タップ回数の登録処理の例を示すフローチャートである。
図5】実施形態に関わる、タップ回数の登録処理の他の例を示すフローチャートである。
図6】実施形態に関わるテーブルTBL1の構成例を示す図である。
図7】実施形態に関わる、ユーザのタップ操作により、活動量計1にイベント情報の記録がされるときのイベント情報の記録処理の例を示すフローチャートである。
図8】実施形態に関わる、ユーザのタップ操作により、活動量計1にイベント情報の記録がされるときのイベント情報の記録処理の他の例を示すフローチャートである。
図9】実施形態に関わるイベント情報テーブルTBL2の構成例を示す図である。
図10】実施形態に関わる、タップ回数とイベントの対応関係が登録された対応テーブルTBL3の構成例を示す。
図11】実施形態に関わる、表示部2aに表示されるイベント記録情報リストTBL4の表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
(構成)
図1は、本実施形態に関わるリストバンド型の活動量計1の外観図である。図2は、リストハンド型の活動量計とスマートフォンからなるイベント情報記録システム100の構成図である。
【0010】
活動量を計測する対象者に装着可能な活動量計1は、ユーザの活動量を記録し、スマートフォン2へ送信することができるリストバンド型の機器である。
活動量計1は、ユーザの腕(点線で示す)Lに巻かれて装着するために帯状のリストバンド型であり、中央部には細長い形状の操作ボタン3が設けられている。操作ボタン3は、各種設定時などに操作される。
【0011】
活動量計1は、操作ボタン3などが配設されたバンド4の中央部の両側から延出する2本の延出部4aと4bを有する。バンド4は、活動量計1のケースである。延出部4aの端部には、留め具5が設けられており、延出部4bには、留め具5の突起部(図示せず)が嵌入するための複数の孔6が所定の間隔で形成されている。ユーザは、留め具5に形成された突起部(図示せず)を、任意の位置の孔6に嵌め込むことにより、活動量計1を腕Lに装着することができる。
【0012】
操作ボタン3は、図1に示すように、活動量計1をユーザの腕Lに装着したとき、腕Lに密着する活動量計1の側面にくるように、活動量計1に配置されている。
尚、操作ボタン3の位置については、図1に示す実施形態では、活動量計1の側面部に付けた例であるが、この実施形態に限定されることなく、腕Lに密着する活動量計1(バンド4あるいは本体部1A)の上面側(すなわち表側)などにくるように、操作ボタン3を設けるようにしても良い。
図2に示すイベント情報記録システム100は、活動量計1を利用したイベント情報記録システムである。
【0013】
後述するように、活動量計1は、無線通信機能を有し、後述するイベント情報をスマートフォン2に送信することができる。ユーザは、活動量計1に記録されたイベント情報などのデータを、スマートフォン2に送信し、スマートフォン2のメモリに記憶させ、スマートフォン2が有するアプリケーションプログラムにより管理したり、スマートフォン2の表示部2a上に表示させることができる。
【0014】
なお、活動量計1は、加速度センサを有しており、加速度センサの出力から、ユーザの活動量、歩数などの活動データを生成して、記録し、送信するが、ここでは、これら活動データの記録及び送信については、説明は省略し、活動量計1の機能の1つのイベント情報の記録及び送信処理について説明する。
【0015】
図3は、本実施形態に関わる活動量計1の構成を示すブロック図である。
活動量計1は、加速度センサ11と、制御部12と、メモリ13と、無線通信部14と、時計部15とを有する1つのユニットである本体部1Aを有する。図1において点線で示ように、本体部1Aは、バンド4の中央部に着脱可能に取り付けられている内部コアである。
すなわち、リストバンドであるバンド4は、加速度センサ11等を内蔵するケースであり、ユニットである本体部1Aは、バンド4に対して着脱可能である。加速度センサ11は、後述するように、タップ操作がされたとき、そのタップ操作についての情報を検出するタップ操作検出部である。
【0016】
活動量計1は、活動量計測機能、及び後述するイベント記録機能と、計測された活動量の記録及び送信の機能と、記録されたイベント情報の記録及び送信の機能を有する。
加速度センサ11は、互いに直交する3軸(X軸、Y軸、Z軸)方向の加速度をそれぞれ検出することができるように、3つのセンサを有し、X軸出力、Y軸出力及びZ軸出力を、各軸について加速度信号として出力する3軸加速度センサである。加速度センサ11の各出力は、制御部12に入力される。
【0017】
図1に示すように、活動量計1がユーザの腕Lに装着されたときに、X軸方向が、手Hの甲の面と平行で、かつ腕Lの軸に対して直交する方向となり、Y軸方向が、手Hの甲の面と平行で、かつ腕Lの軸と平行な方向となり、Z軸方向が、手Hの甲の面に直交する方向となるように、ユーザは、活動量計1を腕Lに装着することができる。図1では、腕Lは、紙面の手前から裏側に向かうように、活動量計1の円環状のバンド4に通されている。
なお、活動量計1における加速度センサ11のX軸、Y軸及びZ軸の各軸の方向は、図1に示す方向に限定されない。
【0018】
なお、ここでは、加速度センサ11は、3軸加速度センサであるが、4軸以上の加速度センサでもよい。
制御部12は、中央処理装置(以下、CPUという)21、ROM22、RAM23、及び図示しない各種インターフェース(以下、I/Fと略す)を有している。
【0019】
制御部12のROM22には、活動量の計測記録のためのプログラムに加えて、後述するタップ回数の登録、イベント情報の設定、記録及び送信のプログラムが格納されている。なお、ROM22は、フラッシュメモリなどの、書き換え可能な不揮発性メモリでもよい。
【0020】
CPU21は、加速度センサ11のX軸出力、Y軸出力及びZ軸出力を、図示しないI/Fを介して取得することができる。
さらに、CPU21は、操作ボタン3の動作状態を図示しないI/Fを介して取得することができる。
無線通信部14は、スマートフォン2とのデータ通信を行うための回路であり、近距離無線通信のための回路である。
【0021】
時計部15は、時刻情報を生成し出力する回路であり、CPU21は、時計部15から、年月日及び時刻の情報を取得することができる。
(作用)
まず、タップの回数の登録処理について説明する。
例えば、ユーザは、活動量計1を腕に装着しているときに、生活の中の各種イベントを記録したいときがある。イベントは、例えば、食事、間食、トイレなどのイベントである。
【0022】
以下に説明するように、ユーザは、活動量計1に対して、予め登録された回数のシングルタップ(すなわち軽く1回叩くこと。以下、タップという)をすると、そのときの時刻を、活動量計1のメモリ13に記録することができる。さらに、ユーザは、タップの回数でイベントを区別して、所望の複数のイベントを活動量計1に記録することができる。例えば、1回のタップと2回のタップをイベント記録のために使用するということをユーザが決めて、そのタップ回数を活動量計1に設定する。
【0023】
タップ回数とイベントの対応関係は、ユーザが任意に決定するものであり、活動量計1に予め設定されているものではない。後述するように、タップ回数とイベントの対応関係は、ユーザがスマートフォン2において設定する。ユーザが、タップ回数とイベントの対応関係を決めて、ユーザは、活動量計1にタップ回数だけを設定する。
【0024】
よって、あるユーザAは、1回のタップを起床のイベントに対応させ、3回のタップを食事のイベントに対応させ、他のユーザBは、1回のタップを起床のイベントに対応させ、2回のタップを食事のイベントに対応させ、4回のタップを就寝のイベントに対応させる場合がある。その場合、ユーザAの活動量計1には、1回と3回のタップ回数が登録され、ユーザBの活動量計1には、1回と2回と4回のタップ回数が登録される。
なお、上述したイベントは、ユーザの行動であるが、出来事などでもよい。イベントは、例えば、「うれしいことがあった」、「悲しいことがあった」などの出来事でもよい。
【0025】
よって、ユーザは、所望のイベントと任意のタップ回数を対応させて、タップ回数だけを活動量計1に設定し登録する。
(タップ回数の登録処理)
図4は、タップ回数の登録処理の流れの例を示すフローチャートである。
ユーザが操作ボタン3に対して所定の操作、例えば長押しすると、CPU21が、ROM22から、タップ回数の登録処理プログラムを読み出して、図4の処理が実行される。
【0026】
操作ボタン3の出力は、CPU21へ入力されており、CPU21は、操作ボタン3に対する所定の操作を検出すると、カウンタの値Nを、0にリセットする(S1)。カウンタは、RAM23中に生成されるカウンタである。
【0027】
S1の後、CPU21は、タイマをオンにする(S2)。このタイマは、例えばソフトウエアタイマであり、タイムアウトするまでの時間、例えば3秒、が予め設定されている。
S2の後、CPU21は、S12でオンしたタイマがタイムアウトしたか否かを判定する(S3)。
【0028】
タイマがタイムアウトしていなければ(S3:NO)、CPU21は、タップの有無を判定する(S4)。このタップの有無の判定は、加速度センサ11の加速度信号の出力値に基づいて行われる。タップは、例えば、ユーザが、活動量計1のバンド4の中央部付近を、指で軽く叩く動作である。CPU21は、そのようなタップ時の加速度センサ11の急峻な出力波形の変化に基づいて、タップの有無を判定することができる。
【0029】
タップがあったとき(S4:YES)、CPU21は、カウントを行う(S5)、具体的には、カウンタのカウント値を1だけ増加する。
S5の後、CPU21は、タイマをリセットし(S6)、カウンタ値Nが、所定数Ln以上であるか否かを判定する(S7)。所定数Lnは、タップ回数の上限値である。
【0030】
タップがなかったとき(S4:NO)、処理は、S3へ移行する。
カウンタ値Nが、所定数Ln以上でないとき(S7:NO)、処理は、S2へ移行する。
また、タイマがタイムアウトしたとき(S3:YES)、CPU21は、カウント値Nが0(ゼロ)でないかを判定する(S9)。
【0031】
カウント値Nが0(ゼロ)でないとき(S9:YES)、及びカウンタ値Nが所定数Ln以上であるとき(S7:YES)、CPU21は、カウント値Nを、メモリ13の所定のテーブルTBL1に登録する(S8)。
カウント値Nが0(ゼロ)であるとき(S9:NO)、処理は、終了する。
以上のようにして、タップ回数の登録が行われる。
【0032】
なお、図4の処理に代えて、図5の処理でもよい。
図5は、タップ回数の登録処理の他の例を示すフローチャートである。なお、図5において、図4と同じ処理については、同じステップ番号(S)を付して、説明は、簡単に行う。
【0033】
S1とS2の処理の後、CPU21は、タップの有無を判定する(S4)。
タップがあったとき(S4:YES)、CPU21は、カウントを行う(S5)。具体的には、タイマオン(S11)の後、最初のタップがあったと判定されたときは、CPU21は、RAM23中のカウンタのカウント値を1にするカウントを行う。タップがないときは(S4:NO)、処理は、S3へ移行する。
【0034】
タップがなかったとき(S4:NO)、及びカウントを行った後(S5)、CPU21は、タイマがタイムアウトしたか否かを判定する(S3)。
タイムアウトしていないとき(S3:NO)、処理は、S4に戻る。タイムアウトすると(S3:YES)、CPU21は、S5でカウントしたカウント値を、メモリ13の所定のテーブルTBL1に登録する。よって、図5の登録処理方法は、タイマがオンしてから、タイムアウトするまでの間にタップされた回数だけカウントが行われる方法である。
【0035】
図6は、テーブルTBL1の構成例を示す図である。テーブルTBL1は、タップ操作についての情報が登録されるタップ操作情報登録テーブルであり、タップ操作についての情報は、タップ回数により規定される。図6の例では、1回のタップと3回のタップの2つに対応する2つのタップ操作についての情報が設定され登録されている。
【0036】
従って、図4及び図5の処理は、タップ操作がされたときの加速度センサ11の出力信号に基づいて、タップ操作についての情報を、メモリ13登録するタップ操作情報登録部を構成する。
【0037】
特に、所定の操作としての、操作ボタン3に対する操作(上記の例では長押し操作)がされると、その操作がされた後の、所定時間内の加速度センサ11の出力信号に基づいて、タップ操作についての情報の登録が行われる。図4あるいは図5の処理により、互いに異なる複数のタップ操作についての情報が、複数、テーブルTBL1に登録される。
(タップ操作の検出とイベント情報の記録処理)
タップ操作についての情報が図4あるいは図5の処理により活動量計1に登録されている場合に、ユーザがイベントを記録するときのイベント情報の記録処理について説明する。
【0038】
図7は、ユーザのタップ操作により、活動量計1にイベント情報の記録がされるときのイベント情報の記録処理の例を示すフローチャートである。
ユーザが操作ボタン3に対して所定の操作、例えば短い時間押す操作をすると、CPU21が、ROM22から、イベント情報記録処理プログラムを読み出して、図7の処理が実行される。
【0039】
操作ボタン3の出力は、CPU21へ入力されており、CPU21は、操作ボタン3に対する所定の操作を検出すると、カウンタの値Nを、0にリセットする(S11)。カウンタは、RAM23中に生成される。
【0040】
S11の後、CPU21は、タイマをオンにする(S12)。このタイマは、例えばソフトウエアタイマであり、タイムアウトするまでの時間、例えば2秒、が予め設定されている。
S12の後、CPU21は、S12でオンされたタイマがタイムアウトしたか否かを判定する(S13)。
【0041】
タイマがタイムアウトしていなければ(S13:NO)、CPU21は、タップの有無を判定する(S14)。このタップの有無の判定は、加速度センサ11の加速度信号の出力値に基づいて行われ、ここでも、CPU21は、加速度センサ11の急峻な出力波形の変化に基づいて、タップの有無を判定する。
【0042】
タップがあったとき(S14:YES)、CPU21は、カウントを行う(S15)、具体的には、カウンタのカウント値を1だけ増加する。
S15の後、CPU21は、タイマをリセットし(S16)、カウンタ値Nが、タップ回数の上限値である所定数Ln以上であるか否かを判定する(S17)。
【0043】
タップがなかったとき(S14:NO)、処理は、S13へ移行する。
カウンタ値Nが、所定数Ln以上でないとき(S17:NO)、処理は、S12へ移行する。
また、タイマがタイムアウトしたとき(S13:YES)、CPU21は、カウント値Nが0(ゼロ)でないかを判定する(S20)。
【0044】
カウント値Nが0(ゼロ)でないとき(S20:YES)、及びカウンタ値Nが所定数Ln以上であるとき(S17:YES)、CPU21は、カウント値が、登録されたタップ回数と一致するかを判定する(S18)。具体的には、CPU21は、S15でカウントされたカウント値が、メモリ13内のテーブルTBL1に登録されたタップ回数の中の1つと、同じ回数であるかを判定する。
【0045】
S11からS18の処理が、加速度センサ11の出力信号から、テーブルTBL1に登録されたタップ操作についての情報に対応するタップ操作と同じタップ操作の発生を検出するタップ操作発生検出部を構成する。
S15でカウントされたカウント値が、テーブルTBL1に登録されているタップ回数の1つと一致するとき(S18:YES)、CPU21は、イベント情報の記録処理を実行する(S19)。
【0046】
S15でカウントされたカウント値が、テーブルTBL1に登録されているタップ回数の1つと一致しないとき(S18:YES)、及びカウント値Nが0(ゼロ)であるとき(S20:NO)、処理は、終了する。
以上のようにして、イベント情報の登録が行われる。 なお、図7の処理に代えて、図8の処理でもよい。
【0047】
図8は、ユーザのタップ操作により、活動量計1にイベント情報の記録がされるときのイベント情報の記録処理の他の例を示すフローチャートである。
ユーザが操作ボタン3に対して所定の操作をすると、例えばユーザが操作ボタン3を短い時間押すと、図8の処理が実行される。
【0048】
まず、CPU21は、タップ操作検出処理を実行する(S21)。タップ操作検出処理は、操作ボタン3が押下されてから、所定時間内にされたタップ操作を検出する処理である。CPU21は、加速度センサ11の急峻な出力波形の変化の有無により、タップ操作の有無を判定する。
【0049】
S21の後、CPU21は、タップ回数の判定処理を実行する(S22)。S22では、S21で検出されたタップ操作から、所定時間内のタップ回数が判定される。
S22の後、CPU21は、判定されたタップ回数が、登録されたタップ回数と一致するかを判定する(S23)。具体的には、CPU21は、S22で判定されたタップ回数が、メモリ13内のテーブルTBL1に登録されたタップ回数の中の1つと、同じ回数であるかを判定する。
【0050】
S21からS23の処理が、加速度センサ11の出力信号から、テーブルTBL1に登録されたタップ操作についての情報に対応するタップ操作と同じタップ操作の発生を検出するタップ操作発生検出部を構成する。
【0051】
判定されたタップ回数が登録されたタップ回数と一致する場合(S23:YES)、CPU21は、イベント情報の記録処理を実行する(S24)。イベント情報の記録処理は、S22で判定されたタップ回数が、テーブルTBL1に登録されているタップ回数の1つと同じであるとき、そのタップ回数の情報を、時計部15の時刻情報と共にメモリ13のイベント情報テーブルTBL2に記録する処理である。
【0052】
なお、図4図7では、タップ毎にタイマがリセットされてオンされるので、タップ数が多くしたい場合でも、ユーザは慌てないでタップすることができ、また、タイマの時間を適切に調整すれば、タップ数が少ない場合も、ユーザは、入力が確定するまでの時間を長く感じることはない。
【0053】
以上のように、S19及びS24の処理が、登録されたタップ操作についての情報に対応するタップ操作と同じタップ操作の発生が検出されたときに、その同じタップ操作の発生したときの時刻情報を、メモリ13のイベント情報テーブルTBL2に記憶する時刻情報記憶部を構成する。
なお、S19及びS24の処理では、メモリのイベント情報テーブルTBL2に時刻情報を記憶しなくてもよく、その場合、S19及びS24の処理は、登録されたタップ操作と同じタップ操作の発生が検出されたときに、その同じタップ操作の発生したことを示す情報(時刻情報を含まなくてもよい)をメモリ13に記憶するために出力する同一タップ操作出力部を構成する。
【0054】
例えば、図6の場合、テーブルTBL1には、1回と3回のタップ回数が登録されているので、S23では、1回のタップあるいは3回のタップのタップ操作があったとき、CPU21は、そのタップ操作がされたときの時刻情報と共に、タップ回数の情報を、イベント情報テーブルTBL2に記録する。
【0055】
図9は、イベント情報テーブルTBL2の構成例を示す図である。イベント情報テーブルTBL2には、図9の例では、タップ回数と時刻の一対の情報が複数記録されている。
なお、図7及び図8の処理において、テーブルTBL1に、タップ操作についての情報が1つしか登録されていない場合は、イベント情報テーブルTBL2には、時刻情報のみが記録されるようにしてもよい。
【0056】
以上のように、操作ボタン(3)に対する所定の操作がされると、テーブルTBL1に登録されたタップ操作についての情報に対応するタップ操作と同じタップ操作の発生が検出され、同じタップ操作の発生が検出されると、イベント情報が、イベント情報テーブルTBL2に記録される。
【0057】
なお、ここでは、所定の操作として、例えば操作ボタン3が短い時間押されると、図6の処理が実行されるが、所定の操作がされなくても、CPU21が加速度センサ11の出力を常にモニタし、タップ操作が行われたか否かを常に監視することにより、タップ操作発生の検出とイベント情報の登録を行うようにしてもよい。
(イベント情報の送信処理)
CPU21は、所定のタイミングで、無線通信部14から、イベント情報テーブルTBL2に記録されているイベント情報を、スマートフォン2へ送信する。所定のタイミングは、活動量計1において、予め設定された時間周期のタイミングであってもよいし、スマートフォン2からの送信要求のタイミングでもよい。
あるいは、イベント情報テーブルTBL2の空き容量が少なくなったら、CPU21が、イベント情報テーブルTBL2のイベント情報を自動的に送信するようにしてもよいし、さらにあるいは、イベント情報がイベント情報テーブルTBL2に記録されると直ぐに、CPU21が、イベント情報テーブルTBL2のイベント情報を送信するようにしてもよい。
(イベント情報の表示処理)
ユーザは、所定のアプリケーションプログラムにより、活動量計1から受信したイベント情報テーブルTBL2の情報に基づいて、イベント情報を、スマートフォン2の表示部2aに表示させることができる。
【0058】
例えば、スマートフォン2には図10のような対応テーブルTBL3が予め設定され、スマートフォン2のCPU(図示せず)は、図10の対応テーブルTBL3を参照し、イベント情報テーブルTBL2の情報に基づいて、図11に示すようなイベントリスト表示を行うことができる。
【0059】
図10は、タップ回数とイベントの対応関係が登録された対応テーブルTBL3の構成例を示す。
タップ回数とイベントの対応関係を示す対応テーブルTBL3は、スマートフォン2のメモリ中に登録される。ユーザは、所定のアプリケーションプログラムにより、対応テーブルTBL3に、タップ回数毎のイベントの内容を登録することができる。
【0060】
スマートフォン2の所定のアプリケーションプログラムにより、スマートフォン2のCPUは、対応テーブルTBL3を参照しながら、活動量計1から受信しイベント情報テーブルTBL2の情報に基づいて、図11に示すようなイベント記録情報をリスト形式で表示する。
【0061】
図11は、表示部2aに表示されるイベント記録情報リストTBL4の表示例である。ユーザは、スマートフォン2の表示部2aに表示されるイベント記録情報リストTBL4を見て、自己の行動などのイベントを確認することができる。
【0062】
以上のように、ユーザは、活動量計1を利用して、簡単に所望のイベントの記録を行うことができ、その結果は、スマートフォンなどの端末装置でイベント情報として表示させることができる。
【0063】
従って、上述した実施形態によれば、簡単なタップ操作で、所望のイベントの記録を簡単にできる活動量計を提供することができる。
特に、ユーザは、活動量計1のケースであるバンド4に対してタッピングをするだけであるので、簡単な操作で、イベント情報の記録を行うことができる。
【0064】
また、各種イベントに対応してタップ数が予め決められておらず、ユーザが任意にタップの回数を所望のイベントに対応付けて活動量計1に登録できるので、ユーザは、各種イベントの記録を自由に行うことができる。逆に、ユーザは任意にタップの回数を活動量計1に登録しておけば、いつでも、所望のイベントを対応付けて、記録することもできる。
【0065】
さらにまた、活動量計1は、複数のイベントと、各イベントに対応するタップ操作についての情報とを、予め決めてメモリ中に設定する必要がないので、メモリ容量の削減に繋がる。
【0066】
なお、上述したタップ操作のタップは、シングルタップであるが、ダブルタップでもよい。その場合、タップ回数は、ダブルタップの回数であり、タップ操作情報登録テーブルに登録されるタップ操作についての情報は、ダブルタップのタップ回数により規定される。
【0067】
さらになお、タップ操作は、シングルタップあるいはダブルタップのタッピングのリズムの違いを有するタップ操作でもよい。その場合、タップ操作情報登録テーブルに登録されるタップ操作についての情報は、シングルタップあるいはダブルタップのリズムの情報を含む。
【0068】
また、上述した実施形態では、各種処理は、CPU21により実行されるソフトウエアプログラムで実現されているが、ハードウエア回路により実現してもよい。
さらにまた、上述した実施形態では、イベント情報は、端末としてのスマートフォン2に送信されて、イベント情報は、スマートフォン2の表示部2aに表示されているが、イベント情報は、タブレット端末やパーソナルコンピュータなどの端末に送信されて、イベント情報は、タブレット端末などの表示部に表示するようにしてもよい。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
1 活動量計、1A 本体部、2 スマートフォン、2a 表示部、3 操作ボタン、4 バンド、4a、4b 延出部、5 留め具、6 孔、11 加速度センサ、12 制御部、13 メモリ、14 無線通信部、15 時計部、100 イベント情報記録システム。
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