(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
回転駆動される像保持体と、現像剤を保持し前記像保持体に対向して配置されると共に前記現像剤が前記像保持体の外周面との接触部位において前記外周面に対して同方向にかつ前記外周面よりも高速で移動するように構成された現像ロールを有する複数の現像部と、を備え、被転写体にトナー像を転写する画像形成部と、
特定の前記現像部で像密度が低い低密度部が現像された後に前記低密度部に隣接して前記低密度部よりも像密度が高い高密度部が現像された補正対象のトナー像が形成された場合は、別の前記現像部によって前記補正対象のトナー像における前記低密度部の前記高密度部との境界部に重なるように補正トナー像を転写するように前記画像形成部を制御する制御部と、
を備える画像形成装置。
前記制御部は、前記低密度部における前記高密度部との境界部の色に近づくように、前記イエロートナー現像部で形成するイエロー補正トナー像と、前記マゼンタトナー現像部で形成するマゼンタ補正トナー像と、前記シアントナー現像部で形成するシアン補正トナー像と、のそれぞれの像密度を調整して前記補正トナー像を形成する請求項4に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態に画像形成装置の一例について説明する。
【0022】
<画像形成装置の構成>
図1は、画像形成装置10を後述する感光体ドラム21及び中間転写ベルト31の回転軸方向から見た構成を示す概略図である。なお、後述する「軸方向」は、この回転軸方向であり、また
図5の幅方向Dもこの軸方向と同方向である。この
図1に示されるように、画像形成装置10は、電子写真方式によりトナー像を形成する画像形成部12と、記録媒体Pを搬送する搬送装置50と、記録媒体Pにトナー像を転写する転写装置30と、記録媒体Pにトナー像を定着する定着装置40と、画像形成装置10の各部の動作を制御する制御部70と、各構成要素に電力を供給する電源部80と、を含んで構成されている。
【0023】
[搬送装置]
図1に示されるように、搬送装置50は、記録媒体Pが収容される収容器51と、収容器51から後述する二次転写位置NTへ記録媒体Pを搬送する複数の搬送ロール52と、を有している。さらに、搬送装置50は、二次転写位置NTから定着装置40へ記録媒体Pを搬送する複数の搬送ベルト58と、定着装置40から記録媒体Pの排出部(図示省略)へ向けて記録媒体Pを搬送する搬送ベルト54と、を有している。
【0024】
[画像形成部]
画像形成部12は、トナー像を形成して中間転写ベルト31に一次転写する複数のトナー像形成部20を有している。
【0025】
〔トナー像形成部20〕
トナー像形成部20は、色ごとにトナー像を形成し、中間転写ベルト31に転写するように複数備えられている。本実施形態では、特別色(V)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の計5色のトナー像形成部20が設けられている。なお、(V)、(Y)、(M)、(C)、(K)は、上記各色に対応する構成部分を示している。また、本明細書の説明では、(V)、(Y)、(M)、(C)、(K)の括弧を省略して、V、Y、M、C、Kと記載する場合がある。また、これらを区別して説明しない場合は、V、Y、M、C、Kを適宜省略する。
【0026】
これら各色のトナー像形成部20は、特別色(V)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の順で、後述の中間転写ベルト31の搬送方向の上流側から下流側に向けて配置されている。なお、本実施形態では特別色(V)に、「金色のトナー」を用いている。
【0027】
各色のトナー像形成部20は、用いるトナーを除き基本的に同様に構成されている。具体的には、各色のトナー像形成部20は、
図2に示されるように、この
図2における時計周り方向に回転する像保持体の一例としての感光体ドラム21と、感光体ドラム21を帯電させる帯電器22と、を有している。
【0028】
さらに、各色のトナー像形成部20は、帯電器22によって帯電された感光体ドラム21を露光して感光体ドラム21に静電潜像を形成する露光装置23と、露光装置23によって感光体ドラム21に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置24と、感光体清掃装置25と、除電装置26と、を有している。
【0029】
(現像装置)
図2に示すように、現像装置24は、現像剤Gを収容する容器241と現像ロール242とを含んで構成されている。そして、現像ロール242に現像バイアス電圧を印加することによって、現像ロール242と感光体ドラム21との間に生じる電位差により、感光体ドラム21の外周面に形成された静電潜像がトナー像として顕像化される。なお、現像装置24について説明は後述する。
【0030】
(感光体清掃装置)
感光体清掃装置25は、転写装置30へのトナー像の一次転写後に感光体ドラム21の表面に残留したトナーを該感光体ドラム21の表面から掻き取るブレード251を備えている。
【0031】
[転写装置]
転写装置30は、各色の感光体ドラム21のトナー像を、中間転写ベルト31(中間転写体の一例)に重畳して一次転写し、該重畳されたトナー画像を二次転写位置NTで記録媒体Pに二次転写するように構成されている。
【0032】
〔中間転写ベルト〕
本実施形態の中間転写ベルト31は、体積抵抗率が10
10Ωcm以上に設定されている。中間転写ベルト31は、
図1に示されるように、無端状を成し、複数のロール32に巻き掛けられている。複数のロール32のうち、ロール32Dは、図示しないモータの動力により中間転写ベルト31を矢印A方向に周回させる駆動ロールとして機能する。
【0033】
中間転写ベルト31は、矢印A方向に周回することで、各色の感光体ドラム21のトナー像を各一次転写位置Tで一次転写された各色のトナー像が重畳されると共に、該重畳されたトナー像を二次転写位置NTに搬送する。二次転写位置NTに搬送されたトナー像は、二次転写装置38によって記録媒体Pに二次転写される。
【0034】
なお、複数のロール32のうち、ロール32Tは、中間転写ベルト31に張力を付与する張力付与ロールとして機能する。複数のロール32のうち、ロール32Bは、後述する二次転写ロール34の対向ロール32Bとして機能する。
【0035】
中間転写ベルト31を清掃する清掃装置35は、中間転写ベルト31の周回方向(矢印A方向)において、二次転写位置NTの下流側で、かつ一次転写位置T(V)の上流側に配置されている。
【0036】
〔一次転写ロール〕
各一次転写ロール33は、各感光体ドラム21のトナー像を中間転写ベルト31に転写させるロールであり、中間転写ベルト31の内側に配置されている。各一次転写ロール33は、中間転写ベルト31を挟んで対応する色の感光体ドラム21に対して対向配置されている。また、各一次転写ロール33にトナー極性とは逆極性の一次転写電圧が印加されることで、感光体ドラム21に形成されたトナー像が、一次転写位置Tで中間転写ベルト31に転写される。
【0037】
〔二次転写装置〕
二次転写装置38は、中間転写ベルト31に重畳されたトナー像を記録媒体Pに転写する装置である。二次転写装置38は、二次転写ベルト37を有している。二次転写ベルト37は、無端状をなし、二次転写ロール34と、従動ロール36と、に巻き掛けられている。
【0038】
二次転写ロール34は、前述した対向ロール32Bとの間に中間転写ベルト31及び二次転写ベルト37を挟むように配置されており、二次転写ベルト37と中間転写ベルト31とは予め定められた荷重にて接触している。このように接触している二次転写ベルト37と中間転写ベルト31の間が二次転写位置NTとされる。
【0039】
この二次転写位置NTには、収容器51から適時に記録媒体Pが供給されるようになっている。二次転写ベルト37は、二次転写ロール34が回転駆動されることで、周回移動される。
【0040】
本実施形態では、中間転写ベルト31のトナー像を記録媒体Pに転写する際には、電源部80によって、対向ロール32Bに負極性の電圧が印加される。これにより、対向ロール32Bと二次転写ロール34との間に電位差が生じる。すなわち、対向ロール32Bに負極性の電圧が印加されることで、対向ロール32Bの対向電極をなす二次転写ロール34にトナー極性と逆極性の二次転写電圧(正極性の電圧)が間接的に印加される。これにより、二次転写位置NTを通過する記録媒体Pに、中間転写ベルト31からトナー像が転写される。
【0041】
[定着装置]
定着装置40は、トナー像が転写された記録媒体Pにトナー像を定着させる。具体的には、定着装置40は、加熱ロール41と加圧ロール42とで形成される定着ニップNFにおいて、トナー像を加熱しつつ加圧することで、トナー像を記録媒体Pに定着する構成とされている。
【0042】
[画像形成動作]
つぎに、画像形成装置10による記録媒体Pへの画像形成工程の概要を説明する。
【0043】
図1に示す画像形成装置10では、画像形成指令を受けた制御部70は、トナー像形成部20、二次転写装置38及び定着装置40を作動させる。また、これらの動作に同期して、制御部70は、搬送装置50等を作動させる。
【0044】
各色の感光体ドラム21は、回転されながら帯電器22によって帯電される。また、制御部70は、画像信号処理部で画像処理が施された画像データを、各露光装置23に送る。各露光装置23は、画像データに応じて各露光光L(
図2参照)を出射して、帯電した各感光体ドラム21に露光する。これにより、各感光体ドラム21の外周面に静電潜像が形成される。各感光体ドラム21に形成された静電潜像は、現像装置24によって現像され、各色の感光体ドラム21には、特別色(V)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)のトナー像が形成される。
【0045】
各色の感光体ドラム21に形成された各色のトナー像は、各一次転写位置Tにおいて各色の一次転写ロール33によって、周回する中間転写ベルト31に順次一次転写される。これにより、中間転写ベルト31には、トナー像が重畳された重畳トナー像が形成される。この重畳トナー像は、中間転写ベルト31の周回によって二次転写位置NTに搬送される。この二次転写位置NTには、搬送ロール52によって重畳トナー像の搬送にタイミングを合わせて記録媒体Pが供給される。そして、この二次転写位置NTにおいて、中間転写ベルト31から重畳トナー像が記録媒体Pに二次転写される。
【0046】
トナー像が二次転写された記録媒体Pは、搬送ベルト58によって定着装置40に向けて、負圧吸引されながら搬送される。定着装置40は、定着ニップNFを通過する記録媒体Pに熱及び加圧力を付与する。これにより、記録媒体Pに転写されたトナー像が該記録媒体Pに定着される。
【0047】
定着装置40でトナー像が定着された記録媒体Pは、搬送ベルト54によって搬送され、排出部(図示省略)に排出される。
【0048】
一方、二次転写位置されないで中間転写ベルト31に残留した残留トナーは、清掃装置35で清掃される。
【0049】
<要部構成>
つぎに、本実施形態の要部構成について説明する。
【0050】
[現像装置]
まず、現像装置24について説明する。なお、
図3では、後述する現像剤Gを構成するキャリアGA及びトナーGBや磁気ブラシGCは、実際よりも大きく図示されている。また、本実施形態の現像装置24は、周知の二成分現像方式の現像装置と同様の構成である。
【0051】
図3に示すように、現像装置24は現像ロール242を有しており、容器241には現像剤Gが収容されている。
【0052】
現像ロール242は、ロール本体243内に磁石体(図示略)が内蔵されたマグネットロールである。また、現像ロール242は、回転駆動される感光体ドラム21に対向して配置されていると共にロール本体243は感光体ドラムの回転方向R1に対して逆回転方向である矢印R2方向に回転する。なお、現像ロール242のロール本体243の周速は、感光体ドラム21の周速よりも速い。また、ロール本体243内の図示されていない磁石体は、ロール本体243と逆方向に回転する。
【0053】
現像剤Gは、磁性を有するキャリアGAと、対応する色に着色されたトナーGBとを含む、所謂2成分現像剤とされている。また、本実施形態の現像剤Gでは、キャリアGAは正の帯電極性を有しており、トナーGBは負の帯電極性を有している。
【0054】
現像ロール242は、前述したように、ロール本体243内に磁石体(図示略)が内蔵されたマグネットロールとされているので、静電気力によってトナーGBが付着したキャリアGAを、磁力によって現像ロール242のロール本体243の外周面243Aに保持する。
【0055】
このような構成の現像装置24では、現像ロール242のロール本体243に保持された現像剤Gが磁気ブラシGCを形成すると共に、磁気ブラシGC(現像剤G)と感光体ドラム21とのニップ部(感光体ドラム21との接触部位)NGにおいて(
図6も参照)、現像剤G(磁気ブラシGC)は感光体ドラム21の外周面21Aに対して同方向かつ外周面21Aよりも高速で移動する。
【0056】
そして、現像装置24では、ニップ部NGにおいて(
図6参照)、感光体ドラム21上の静電潜像を所謂反転現像方式にて現像し、トナー像として顕像化する。なお、現像ロール242には、電源部80(
図1参照)によって現像バイアスが印加される。
【0057】
[トナー]
特別色(V)として用いられる金色のトナーは、
図10に示されるように、扁平顔料の一例としての金属顔料110と図示されていないイエロー(Y)の顔料とバインダー樹脂111とを含んで構成されており、画像に金属光沢感を付与する場合に用いられる。
【0058】
金色のトナーは、
図10(A)に示されるように、金属顔料110の反射面110Aが紙面PAに対して直交する方向を向くと共に紙面PAに沿った方向に並ぶ、すなわち、顔料110の反射面110Aが記録媒体Pの紙面PAに沿うような姿勢となることで、画像100から反射する反射光の方向が記録媒体Pの紙面PAに対して直交する方向に近づく。
【0059】
これにより、金属光沢感を示す指数であるフロップインデックス値(FI値:Flop Index値)が向上する(金属光沢感が向上する)。
【0060】
なお、金属光沢感が付与された画像とは、金色トナー及び金色以外の色のトナーを用いて形成される画像と、金色のトナーだけを用いて形成される画像と、の両方である。
【0061】
本実施形態の金属顔料110は、アルミニウムから構成されている。そして、顔料110を平面に置いて側方から見ると、顔料110は、
図11(B)に示されるように、図中左右方向の寸法が図中上下方向の寸法に対して長くなる形状とされている。
【0062】
さらに、顔料110を図中上方から見ると、金属顔料110は、
図11(A)に示されるように、側方から見た形状に対して広がった形状とされ、金属顔料110は、金属顔料110を平面に置いた状態(
図11(B)参照)で、上方又は下方を向く一対の反射面110A(扁平面)を有している。このように、金属顔料110は、扁平形状とされている。
【0063】
一方、図示は省略するが、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)として用いられる金色以外の他の色のトナー(他の色のトナー)は、扁平顔料以外の顔料(例えば、有機顔料や無機顔料)とバインダー樹脂とを含んで構成されている。
【0064】
[制御]
図4及び
図5に示すように、上流側の特別色(V)すなわち金色のトナー像形成部20Vによって、像密度が低い低密度部210の上流側に隣接して低密度部210よりも像密度が高い高密度部220が形成された金色トナー像200が形成される場合がある。このよう金色トナー像200が形成された場合には、制御部70(
図1参照)は、低密度部210における高密度部220との境界部212に重なるように、下流側のトナー像形成部20Y、トナー像形成部20M、トナー像形成部20C及びトナー像形成部20Kによって補正トナー像250を転写する。なお、この制御の詳細については後述する。
【0065】
<作用>
つぎに、本実施形態の作用について説明する。
【0066】
まず、金色のトナー像形成部20Vによって、像密度が低い低密度部210の上流側に隣接して低密度部210よりも像密度が高い高密度部220が形成された金色トナー像200の場合に、低密度部210における高密度部220との境界部212に発生する低濃度部214について説明する。なお、
図4及び
図5に示す境界部212と低濃度部214とは同じ領域である。
【0067】
この低濃度部214(境界部212)は、像密度が低いところから高いところへ急峻に移る画像境界で発生する電子写真現像方式特有のエッジディフェクト(白抜け)であり、キャリアGAのカウンターチャージのピックアップ効果により発生すると考えられている。
【0068】
よって、次にこのキャリアGAのカウンターチャージのピックアップ効果について、
図6を用いて説明する。
【0069】
なお、感光体ドラム21Vの外周面21Aは実際には断面視で円弧であるが、
図6では判り易くするため直線で図示している。また、矢印R1は感光体ドラム21Vの回転を示し、矢印R2は現像ロール242Vの回転を示し、矢印Eは電界を示している。
【0070】
また、感光体ドラム21Vに形成された潜像201は、金色トナー像200に対応する潜像であり、潜像211は低密度部210に対応し、潜像221は高密度部220に対応し、潜像213は境界部212に対応している。
【0071】
図6(A)及び
図6(B)に示すように、現像剤Gで高像密度に対応する潜像221を現像すると、キャリアGAにはトナーGBとは逆の電荷、所謂カウンターチャージが残る。
【0072】
前述したように、現像剤G(磁気ブラシGC)は、ニップ部(感光体ドラム21との接触部位)NGにおいて、感光体ドラム21の外周面21Aに対して同方向かつ外周面21Aよりも高速で移動する(
図3参照)
【0073】
よって、
図6(C)に示すように、上流側の高密度部220に対応する潜像221を現像した現像ロール242に保持された現像剤Gが、高密度部220を追い越して下流側の低密度部210にかかる。このように現像剤Gが下流側の低密度部210にかかると、カウンターチャージが残るキャリアGAが先行して現像された上流側の感光体ドラム21Vの下流密度部210の境界部212のトナーGBを引き付けて、感光体ドラム21から現像ロール242VにトナーGBが再転移する。
【0074】
これにより、低密度部210における高密度部220との境界部212に低濃度部(白抜け)214が発生する。
【0075】
そこで、本実施形態では、
図4に示すように、上流側の金色のトナー像形成部20Vによって形成された金色トナー像200の低密度部210における高密度部220との境界部212、つまり低濃度部214に重なるように、下流側のトナー像形成部20Y、トナー像形成部20M、トナー像形成部20C及びトナー像形成部20Kによって補正トナー像250を転写する。
【0076】
よって、記録媒体Pに転写後は、境界部212、つまり低濃度部214と記録媒体Pとの間に補正トナー像250が設けられ、これにより、低濃度部214(境界部212)の画像濃度が適正化され(画像濃度が向上し)、低濃度部214(境界部212の濃度低下)が視認されにくくなる(目立たなくなる)。よって、補正トナー像250を転写しない場合と比較し、画質が向上する。
【0077】
なお、偏平の金属顔料を含む金色トナーは、金属顔料以外の顔料を有するトナーよりも帯電量が低い為、電気抵抗の高いキャリアGAを用いる必要がある。しかし、キャリアGAの電気抵抗が高いと、カウンターチャージが大きく、現像ロール242へのトナーGBの再転移(
図6(C)参照)が多くなるので、濃度低下が大きくなる。よって、金属光沢を有する金色トナー像200の低濃度部214に補正トナー像250を重ねて転写し、金属光沢を有する金色トナー像200の画質を向上させることは有効である。
【0078】
なお、補正トナー像250は、金色トナー像200における低密度部210の上流側の高密度部220との境界部212、つまり低濃度部214の色に近づくように、トナー像形成部20Yのイエロー補正トナー像、トナー像形成部20Mのマゼンタ補正トナー像、トナー像形成部20Cのシアン補正トナー像及びトナー像形成部20Kのブラック補正トナー像の像密度が調整されている。
【0079】
具体的には、金色トナー像200の低密度部210の像密度をM1、
イエロー補正トナー像の像密度をM2、
マゼンタ補正トナー像の像密度をM3、
シアン補正トナー像の像密度をM4、
ブラック補正トナー像の像密度をM5、
とすると、
M2はM1に対して、−15%以上で+5%以下に設定され、
(M1−15%)≦M2≦(M1+5%)
M3はM2に対して、13.3%以上で25%以下に設定され、
(M2×13.3%)≦M3≦(M2×25%)
M4及びM5は0%に設定されている。
なお、M2及びM3の上限値は100%であり、下限値は0%である。
【0080】
また、補正トナー像250の搬送方向(矢印A方向)の幅は、0.5mm以上で1.0mm以下に設定されている。
【0081】
なお、本実施形態では、M2は、M1に対して、−5%(M2=M1−5%)に設定され、
M3は、M2に対して、1/6(1.67%)(M3=M2/6)に設定され、
補正トナー像250の搬送方向(矢印A方向)の幅は、1.0mmに設定されている。
【0082】
また、金色トナー像200における低密度部210の像密度と高密度部220の像密度との像密度差やそれぞれの像密度値によって、境界部212(低濃度部214)の濃度低下の程度が異なる。よって、金色トナー像200における低密度部210の像密度と高密度部220の像密度とに応じて、補正トナー像250のM2及びM3を適宜調整してもよい。なお、このような調整はどのような方法であってもよい。例えば、金色トナー像200における低密度部210の像密度と高密度部220の像密度に対応するM2及びM3を予め求めて制御部70に記憶させておいてもよい。
【0083】
ここで、現像ロール242における軸方向の外側端部は、感光体ドラム21の静電潜像の軸方向端部よりも外側まで延在している。よって、静電潜像の軸方向端部は現像ロール242の外側端部からもトナーGBが転移して付着するので、静電潜像の軸方向中央部よりもトナー量が多くなる傾向にある。したがって、金色トナー像200の境界部212の軸方向端部(幅方向D(
図5参照)端部)では、中央部よりも濃度低下(白抜け)が発生しにくい。或いは金色トナー像200の境界部212の軸方向端部は中央部よりも濃度低下の程度が小さい。
【0084】
したがって、補正トナー像250は、軸方向端部(幅方向D(
図5参照)端部)近傍の像密度を軸方向中央部の像密度よりも低くなるように設定してもよい。そして、このように設定することで、金色トナー像200の境界部212の軸方向端部の画像濃度がより適正に補正され、画質が向上する。
【0085】
なお、「像密度が低い」は、像密度が0%、つまり軸方向端部(の近傍)はトナー像を転写しない場合が含まれる。言い換えると、補正トナー像250の軸方向(幅方向D(
図5参照))の長さを境界部212の長さよりも短くしてもよい。
【0086】
また、金色トナー像200の低濃度部214は、高密度部220側(上流側)ほど現像ロール242へのトナーGBの再転移(
図6(C)参照)が多いので、濃度低下が大きい。よって、補正トナー像250は、低密度部214側(下流側)から高密度部220側(上流側)に向かうに従って像密度が高くなるように設定してもよい。そして、このように設定することで、金色トナー像200の低濃度部214(境界部212)の画像濃度の適正に補正され、画質が向上する。
【0087】
(実験)
つぎに、本実施形態の画像形成装置10における補正トナー像のイエロー補正トナー像の像密度M2及びマゼンタ補正トナー像の像密度M3と、補正トナー像の搬送方向の長さと、を求めるために行った実験について説明する。なお、いずれの実験環境も温度21℃かつ湿度10%RHで行った。
【0088】
[実験1]
補正トナー像250におけるイエロー補正トナー像の像密度M2を変化させて、低濃度部214(境界部212)の画質を目視で確認した。なお、高密度部220の像密度が100%で低密度部(ハーフトーン)210の像密度が40%の金色トナー像200とした。
【0089】
図7の表には、補正トナー像250がイエロー補正トナー像の像密度M2を金色トナー像200の低密度部210の像密度M1に対して、−20%、−15%、−10%、−5%、0%、+5%、+10%の場合の評価結果が示されている。なお、評価結果の「○」は低濃度部214(境界部212)が視認されない又は殆ど視認されないことを示し、「×」は低濃度部214(境界部212)が視認され目立つことを示している。
【0090】
また、マゼンタ補正トナー像の像密度M3は、M2に対して、1/6(1.67%)に設定した。また、補正トナー像250の搬送方向の長さは、1.0mmに設定した。
【0091】
この
図7の表に示されるように、M2がM1に対して、−15%以上で+5%以下の場合に、低濃度部(白抜け)214の濃度が向上し、画質が向上した。
【0092】
[実験2]
補正トナー像250の搬送方向の長さを変化させて、低濃度部214(境界部212)の画質を目視で確認した。なお、高密度部220の像密度が100%で低密度部(ハーフトーン)210の像密度が40%の金色トナー像200とした。
【0093】
図8の表には、補正トナー像250の搬送方向の長さは、0.5mm、1.0mm、1.5mmの評価結果が示されている。なお、評価結果の「○」は低濃度部214(境界部212)が視認されない又は殆ど視認されないことを示し、「×」は低濃度部214(境界部212)又は補正トナー像250が視認され目立つことを示している。
【0094】
また、イエロー補正トナー像の像密度M2を30%(M1に対して−10%)とし、M3は、M2に対して、1/6(1.67%)に設定した。
【0095】
この
図8の表に示されるように、長さが0.5mmと1.0mmでは低濃度部(白抜け)214の画像濃度が向上し、画質が向上した。しかし、長さ1.5mmの場合は、低濃度部(白抜け)214の画像濃度は向上するが、低濃度部214よりも下流側に補正トナー像250がはみ出し、補正トナー像250が目立つため画質が低下した。
【0096】
[実験3]
金色トナー像200における高密度部220の像密度が100%で低密度部(ハーフトーン)210の低濃度部214(境界部212)と、補正トナー像250の画像と、の色味を目視で比較した。なお、本実施形態では、色味を目視で比較したが、測色計等の測定器で測定して比較してもよい。
【0097】
金色トナー像200における低密度部210の像密度M1は、10%、20%、30%、40%とした。
【0098】
そして、イエローのトナー像の像密度M2は、M1と同じ10%、20%、30%、40%とし、それぞれマゼンタのトナー像の像密度が、1%、2%、3%、4%、5%、6%、8%、10%を重ねた補正トナー像250を作成し、金色トナー像200の低濃度部214の色味と目視で比較した。なお、上記像密度の組み合わせの一部の実験は行われていない。
【0099】
図9のグラフに示されるように、マゼンタのトナー像の像密度M3は、イエローのトナー像の像密度M2に対して、25%よりも高いとマゼンタ(M)が目立ち、13.3%よりも低いとイエローが目立った。よって、マゼンタのトナー像の像密度M3が13.3%以上で25%以下の場合に、金色トナー像200の低濃度部214の色味に近くなる。
【0100】
<その他>
尚、本発明は、上記実施形態に限定されない。
【0101】
例えば、上流側のトナー像形成部の一例の特別色(V)のトナー像形成部20VのトナーGBは金色トナーであったが、これに限定されない。扁平顔料の一例としての金属顔料を有する銀色のトナーであってもよい。或いは、扁平顔料でない顔料を有するオレンジ、ヴァイオレット、グリーン、ライトシアン、ライトマゼンタ、白色、透明等のトナーであってもよい。
【0102】
なお、偏平の金属顔料を含む銀色トナーにおいても、金色トナーと同様に境界部部の濃度低下が大きくなるので、境界部(低濃度部)に補正トナー像を重ねて転写し、画質を向上させることは有効である。
【0103】
なお、金色以外の上流側のトナー像形成部20Vの特別色(V)で形成されたとトナー像に同様の低濃度部がある場合の補正トナー像も、特別色(V)のトナーで形成され中間転写ベルト31に転写されたトナー像の低密度部における境界部(低濃度部)の色に近づくように、トナー像形成部20Y、20M、20C、20Kで転写する補正トナー像の各像密度を適宜調整すればよい。
【0104】
また、トナー像形成部20Y、20M、20Cで形成されたトナー像に同様の低濃度部がある場合にも、下流側のトナー像形成部20で補正トナーを転写してもよい。この場合も、トナー像の低密度部における境界部(低濃度部)の色に近づくように、下流側のトナー像形成部20で転写する補正トナー像の像密度を適宜調整すればよい。
【0105】
要は、上流側のトナー像形成部によって中間転写体に転写されたトナー像における像密度が低い低密度部の上流側に隣接して低密度部よりも像密度が高い高密度部が形成された場合は、上流側のトナー像形成部よりも下流側に配置されたトナー像形成部によって、低密度部における高密度部との境界部に重なるように補正トナー像を転写するように制御されていればよい。
【0106】
また、画像形成装置の構成としては、上記実施形態の構成に限られず種々の構成とすることが可能である。例えば、中間転写ベルトでなく、他の中間転写体、例えば中間転写ロールであってもよい。また、中間転写体に一次転写して記録媒体Pに二次転写する構成でなく、中間転写体を介さないで直接記録媒体Pに転写する構成であってもよい。
【0107】
或いは、現像器を円周上に配置したロータリー現像ユニットを備え、このロータリー現像ユニットを回転させることにより現像器を順次切り換えて、各色成分の静電潜像が形成された感光体(像保持体)と対向させ、対応するカラートナーにより現像する所謂ロータリー現像方式の画像形成装置であってもよい。この場合、特定の現像部で像密度が低い低密度部が現像された後に低密度部に隣接して低密度部よりも像密度が高い高密度部が現像された補正対象のトナー像が形成された場合は、別の現像部によって補正対象のトナー像における低密度部の前記高密度部との境界部に重なるように補正トナー像を転写するように制御すればよい。
【0108】
別の観点から説明すると、現像順で先に像密度が低い低密度部が現像された後に低密度部に隣接して低密度部よりも像密度が高い高密度部が現像された補正対象のトナー像が形成された場合は、補正対象のトナー像が
被転写体に転写された後、補正対象のトナー像における低密度部の高密度部との境界部に重なるように補正トナー像を転写するように制御すればよい
【0109】
更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない。