(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基板装着センサが、前記基板移載装置から前記基板キャリアが搬出される位置及び前記基板移載装置に前記基板キャリアが搬入される位置の少なくともいずれかに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の基板処理システム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであることに留意すべきである。又、以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施形態は、構成部品の構造、配置などを下記のものに特定するものでない。この発明の実施形態は、請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0012】
図1に示す本発明の実施形態に係る基板処理システム1では、処理対象の基板100がボートタイプの基板キャリア10に垂直に装着されてプロセス処理装置30に搬入される。基板処理システム1は、基板100を基板キャリア10に移載する基板移載装置20と、基板キャリア10に装着された基板100を処理対象とするプロセス処理装置30と、基板移載装置20とプロセス処理装置30間で基板キャリア10を巡回させる搬送装置40と、基板キャリア10を基板処理システム1から取り出すための基板キャリア移載機構50とを備える。
【0013】
基板キャリア移載機構50は、搬送装置40に連結する分岐路51、及び分岐路51を移動する基板キャリア10が格納される格納領域52を有する。搬送装置40から分岐路51を経由して格納領域52に基板キャリア10が搬送される。そして、格納領域52において基板キャリア10が基板処理システム1から取り出される。基板キャリア移載機構50の詳細については後述する。
【0014】
図1において搬送装置40上の基板キャリア10に付した実線の矢印は、プロセス処理装置30による基板処理における基板キャリア10の搬送方向を示す。一方、破線の矢印は、基板キャリア10を基板処理システム1から取り出す場合、及び基板キャリア10を基板処理システム1に投入する場合の基板キャリア10の搬送方向を示す。
【0015】
搬送装置40は、基板移載装置20からプロセス処理装置30に基板キャリア10を搬送する第1の搬送路41と、プロセス処理装置30から基板移載装置20に基板キャリア10を搬送する第2の搬送路42とを備える。搬送装置40では、複数の基板キャリア10を同時に搬送することができる。
【0016】
基板処理システム1では、プロセス処理装置30での処理が行われた処理済の基板100を搭載した基板キャリア10が、第2の搬送路42によって基板移載装置20に搬送される。そして、基板移載装置20によって、処理済の基板100が基板キャリア10から回収され、未処理の基板100が基板キャリア10に装着される。その後、未処理の基板100を搭載した基板キャリア10が、第1の搬送路41によって基板移載装置20からプロセス処理装置30に搬送される。
【0017】
上記のように、基板処理システム1では、基板100が装着された基板キャリア10が基板移載装置20とプロセス処理装置30間を巡回することによって、基板キャリア10に搭載される基板100を交換しながら、成膜処理などの基板100の処理が順次行われる。
【0018】
基板処理システム1が採用される基板キャリア10の例を
図2に示す。基板100が垂直に装着される基板プレート11を複数有するボートタイプの基板キャリア10を使用することにより、多数の基板100を同時に処理するプロセス処理装置30のフットプリントを小さくすることができる。また、基板100が垂直に装着されるため、基板100上での異物の堆積が抑制される。
【0019】
ボートタイプの基板キャリア10では、通常、それぞれの底部が1つの底板12に固定された複数の基板プレート11が、基板装着面110の面法線方向に沿って配列されている。基板プレート11の基板装着面110には、
図3に示すように、基板100が装着される基板装着領域111が水平方向に配列して定義されている。1つの基板装着領域111に1枚の基板100が装着される。
【0020】
なお、
図3では基板装着面110に4つの基板装着領域111が定義されている例を示したが、1つの基板装着面110に装着される基板100の枚数は任意に設定可能である。例えば、1つの基板装着面110に定義される基板装着領域111が1つでもよい。また、基板プレート11の対向する2つの主面をそれぞれ基板装着面110としてもよい。なお、基板装着面110に配置した図示を省略した固定ピンなどによって、基板装着領域111上で基板100が支持される。
【0021】
基板100は、例えばシリコン基板やガラス基板などの、半導体装置や太陽電池セルに使用される基板である。
【0022】
基板処理システム1では、基板処理のために基板キャリア10が搬送される搬送装置40とは異なる位置に配置された格納領域52において、基板キャリア10を基板処理システム1から取り出すことができる。このため、基板キャリア10を交換する場合に、基板処理システム1全体を停止させる必要がない。つまり、基板キャリア10の取り出し作業と並行して、他の基板キャリア10を基板移載装置20とプロセス処理装置30間で巡回させながら基板100を処理することができる。
【0023】
図1に示した例では、基板処理システム1が第1の基板キャリア移載機構501と第2の基板キャリア移載機構502を備える。第1の基板キャリア移載機構501は、第1の搬送路41に連結されている。第2の基板キャリア移載機構502は、第2の搬送路42に連結されている。即ち、第1の搬送路41を搬送される基板キャリア10を、第1の基板キャリア移載機構501の分岐路51を移動させて、第1の基板キャリア移載機構501の格納領域52に格納する。或いは、第2の搬送路42を搬送される基板キャリア10を、第2の基板キャリア移載機構502の分岐路51を移動させて、第2の基板キャリア移載機構502の格納領域52に格納する。格納領域52での基板キャリア10の取り出しは、人手によって行うことができる。
【0024】
基板キャリア10を基板処理システム1から取り出すタイミングは、任意に設定可能である。例えば、基板キャリア10をクリーニングするために、一定の回数だけ成膜処理に使用された基板キャリア10を基板処理システム1から取り出す。そして、成膜処理において基板キャリア10に堆積した異物を洗浄した後に、基板処理システム1に投入する。或いは、一定の期間、例えば一ヶ月程度使用した後に、基板キャリア10を基板処理システム1から取り出して洗浄してもよい。また、詳細は後述するが、基板100が正常に装着されていない基板キャリア10を、格納領域52から取り出すことができる。
【0025】
なお、基板移載装置20によって基板100が回収された後の基板キャリア10を、第1の基板キャリア移載機構501の格納領域52から取り出すことができる。或いは、プロセス処理装置30での処理が終了して第2の搬送路42を搬送される基板キャリア10を、第2の基板キャリア移載機構502の格納領域52から取り出すこともできる。
【0026】
基板キャリア10を第1の基板キャリア移載機構501において取り出す場合には、基板キャリア10を第1の搬送路41で搬送する。そして、第1の搬送路41から第1の基板キャリア移載機構501の分岐路51に基板キャリア10を移動させ、格納領域52から基板キャリア10を取り出す。
【0027】
基板キャリア10を第2の基板キャリア移載機構502において取り出す場合には、第2の搬送路42から第2の基板キャリア移載機構502の分岐路51に移動させ、格納領域52から基板キャリア10を取り出す。
【0028】
基板キャリア10を基板処理システム1に投入する場合には、第2の基板キャリア移載機構502の格納領域52に基板キャリア10を配置する。基板キャリア10は、第2の基板キャリア移載機構502の分岐路51によって格納領域52から第2の搬送路42に移動される。そして、基板キャリア10は基板移載装置20に搬入され、未処理の基板100が基板キャリア10に搭載される。
【0029】
なお、基板処理システム1では、管理装置70によって基板キャリア10ごとの処理回数を管理することができる。例えば、基板キャリア10にそれぞれ独自の番号(ID)を付し、管理装置70のIDリーダによって、処理工程を終了するごとに基板キャリア10のIDを読み取る。そして、一定の回数以上に処理工程を通過した基板キャリア10を、選択的に基板キャリア移載機構50において取り出す。この場合、IDリーダは、プロセス処理装置30から基板移載装置20に基板キャリア10を搬送する第2の搬送路42に隣接して配置されることが好ましい。特に、第2の搬送路42と第2の基板キャリア移載機構502の分岐路51との連結箇所にIDリーダを配置することによって、所定の処理回数を達した基板キャリア10を速やかに基板処理システム1から取り出すことができる。
【0030】
なお、管理装置70が基板キャリア10ごとの処理回数を記録して、管理装置70の制御によって自動的に対象の基板キャリア10を搬送装置40から基板キャリア移載機構50に移動させてもよい。或いは、処理回数をチェックした作業者が、搬送路を切り替えて基板キャリア10を基板キャリア移載機構50に移動させてもよい。
【0031】
以下に、基板キャリア10での基板100の移載について説明する。
図1に示した基板処理システム1では、以下に説明するように、未処理の基板100は第1の基板移動装置81に配置され、処理済の基板100は第2の基板移動装置82に配置される。
【0032】
図4(a)、
図4(b)に示すように、基板100が格納される基板カセット80に第1の基板移動装置81及び第2の基板移動装置82が接続されている。例えば基板カセット80内に基板100が平積みされている。そして、基板カセット80が矢印のように上下方向に動作するのと合わせて、ベルトコンベアのように第1の基板移動装置81及び第2の基板移動装置82が水平方向に移動する。これにより、
図4(a)に示すように、未処理の基板100が基板カセット80から搬出されて第1の基板移動装置81上に配置される。また、
図4(b)に示すように、処理済の基板100が第2の基板移動装置82から移動して基板カセット80に搬入される。基板100は、第1の基板移動装置81や第2の基板移動装置82に平置きされる。
【0033】
第1の基板移動装置81上や第2の基板移動装置82上に配置される基板100の枚数は、例えば基板移載装置20が一度に移載する基板100の枚数に合わせて設定される。基板移載装置20は、未処理の基板100を第1の基板移動装置81から取り出し、基板キャリア10に装着する。また、基板移載装置20は、処理済の基板100を基板キャリア10から回収し、第2の基板移動装置82に配置する。このように、基板移載装置20によって、基板キャリア10において処理済の基板100と未処理の基板100とが交換される。
【0034】
基板移載装置20における基板100の移載作業は、例えば
図5に示すようなロボットアーム21によって行われる。ロボットアーム21は、基板移動機構22及び基板保持機構23を有する。
【0035】
基板保持機構23は、吸着部231とアーム部232を有し、1枚の基板100に基板保持機構23が1つずつ用意されている。基板100の主面に接触させた吸着部231によって基板100が吸着され、基板保持機構23は、それぞれの主面が同一平面レベルに配置された状態で複数の基板100を保持する。吸着部231は、真空吸着によって基板100を保持する。
【0036】
基板移動機構22は、支柱部221と、支柱部221の延伸する垂直方向を回転軸として支柱部221を回転させる支柱回転部222と、その回転の半径方向に支柱部221から延伸する梁部223を有する。梁部223に、基板保持機構23のアーム部232が取り付けられている。基板移動機構22は、基板保持機構23によって保持された複数の基板100を、基板100の主面が基板装着面110と対向するように基板プレート11上に移動する。
【0037】
ロボットアーム21による基板100の移載作業の例を、
図6〜
図11を参照して説明する。ここで、1つの基板装着面110に4つの基板装着領域111が定義されている例を示した。
【0038】
基板装着時においては、
図6に示すように、ロボットアーム21が、第1の基板移動装置81に平置きされた未処理の基板100を吸着する。この場合、
図6〜
図8に示すように、ロボットアーム21は、基板保持機構23の吸着部231を基板100の主面に接触させる。
図6は水平方向から見た側面図であり、
図7は垂直方向から見た平面図である。
図8は、梁部223の先端から見た側面図である。
【0039】
その後、基板移動機構22が、基板100を基板プレート11の基板装着面110上に移動させる。即ち、垂直方向から見た
図9に示すように、支柱回転部222によって支柱部221を回転軸として梁部223が回転して、基板100が第1の基板移動装置81から基板プレート11に移動される。このとき、梁部223の延伸する方向を回転軸として梁部223が回転し、
図10に示すように基板100の主面が垂直方向と平行になる。
図10は、梁部223の先端から見た側面図である。つまり、ロボットアーム21は基板100を移動させながら、基板100の主面が基板プレート11の基板装着面110と平行になるように基板100の主面を垂直にする。
【0040】
そして、
図11に示すように、基板移動機構22が基板プレート11の基板装着領域111に基板100を配置する。その後、ロボットアーム21が基板100を離し、複数の基板100が同時に基板プレート11に装着される。
【0041】
基板回収時においては、
図11に示すように、ロボットアーム21が、基板保持機構23の吸着部231を基板100の主面に接触させる。そして、吸着部231によって基板100が吸着され、基板保持機構23が基板100を保持する。
【0042】
次いで、第1の基板移動装置81から基板100を基板プレート11上に移動する装着時の動作と逆の動作によって、基板保持機構23に保持された基板100を基板プレート11上から第2の基板移動装置82に移動させる。このとき、梁部223の延伸する方向を回転軸として梁部223が回転し、基板100を移動させながら基板100の主面を水平にする。そして、基板移動機構22は、第2の基板移動装置82に基板100を平置きする。以上のようにして、基板100が基板キャリア10から回収されて、第2の基板移動装置82上に配置される。
【0043】
ボートタイプの基板キャリア10では、
図12に示すように複数の基板プレート11が基板装着面110の面法線方向に沿って、互いに離間し且つ平行に配置されている。ロボットアーム21によれば、基板プレート11毎に複数の基板100を同時に搭載することができる。
【0044】
従来の直動機による基板100の移載では、ベルヌーイ現象の影響で基板キャリア10が振動して、基板100が割れる可能性などがあった。しかし、基板処理システム1によれば、ロボットアーム21が真空吸着によって基板100を保持することによって、移載時の基板100の振動を抑制できる。なお、振動を少なく安定して基板100を保持するためには、基板100のできるだけ大きな面積を吸着することが好ましい。また、ロボットアーム21を使用することにより、高速且つ高精度に基板100の移載を行うことができる。
【0045】
次に、プロセス処理装置30について説明する。プロセス処理装置30は、例えば
図13に示すような、基板取込室31、処理室32、基板取出室33からなるインライン式製造装置などである。処理室32において、例えば成膜処理、エッチング処理、スパッタ処理などが行われる。
【0046】
図13に示したプロセス処理装置30では、基板100が装着された基板キャリア10が基板取込室31に取り込まれる。そして、基板キャリア10が基板取込室31から処理室32に搬送され、処理室32において所定の処理が行われる。例えば処理室32において基板100に薄膜が形成された後、基板キャリア10は処理室32から基板取出室33に搬送される。その後、基板取出室33から基板キャリア10が取り出される、なお、プロセス処理装置30が、基板取出室33を備えない、基板取込室31と処理室32からなる構造であってもよい。
【0047】
例えばプロセス処理装置30がプラズマ化学気相成長(CVD)成膜装置である場合には、基板キャリア10はアノード電極として使用される。処理室32内に原料ガスを導入後、基板キャリア10とカソード電極間に電力を供給して原料ガスをプラズマ状態にする。形成されたプラズマに基板100を曝すことにより、原料ガスに含まれる原料を主成分とする所望の薄膜が基板100の露出した表面に形成される。原料ガスを適宜選択することによって、シリコン半導体薄膜、シリコン窒化薄膜、シリコン酸化薄膜、シリコン酸窒化薄膜、カーボン薄膜などの所望の薄膜を基板100上に形成することができる。例えば、基板100が太陽電池セルである場合に、アンモニア(NH
3)ガスとシラン(SiH
4)ガスの混合ガスを用いて、基板100上に反射防止膜や絶縁膜として窒化シリコン(SiN)膜を形成できる。
【0048】
太陽電池反射防止膜の成膜処理などでは、処理対象の基板100の温度を予め決められた設定温度にした状態で、基板100に膜を形成する。このため、プロセス処理装置30で成膜処理する場合には、処理室32に搬入される前に、基板取込室31において基板100は予備加熱される。つまり、基板取込室31は予備加熱室を兼ねる。そして、設定温度に達した基板100が処理室32に搬入され、成膜処理が行われる。
【0049】
基板処理システム1は、基板装着センサ60を更に備える。基板装着センサ60は、基板移載装置20とプロセス処理装置30間において、基板キャリア10に基板100が正常に装着されているか否かを検出する。
【0050】
図1に示した基板処理システム1では、基板装着センサ60が、第1の搬送路41における基板移載装置20から基板キャリア10が搬出される位置と、第2の搬送路42における基板移載装置20に基板キャリア10が搬入される位置に、それぞれ配置されている。以下において、第1の搬送路41に近接して配置された基板装着センサ60を「搬出側基板装着センサ61」といい、第2の搬送路42に近接して配置された基板装着センサ60を「搬入側基板装着センサ62」という。
【0051】
基板装着センサ60は、基板キャリア10に基板100が正常な姿勢で装着されていることや、基板キャリア10の正常な位置に基板100が装着されていることを検出する。
【0052】
基板装着センサ60は、例えば
図14に示すように、基板100が装着された基板プレート11の基板装着面110を撮影して判定用画像を取得する画像取得装置601と、判定用画像に基づいて基板100が基板装着面110に正常に装着されているか否かを判定する判定装置602とを備える。
【0053】
画像取得装置601は、基板100が搭載された基板キャリア10が搬送装置40上を移動して撮影範囲に入ったときに、基板装着面110上の基板装着領域111を含む画像を撮影する。これにより、基板装着領域111に対する基板100の位置や姿勢を判別できる画像が撮影される。判定装置602は、画像取得装置601が撮影した画像について画像処理を行って基板100の位置や姿勢を判別する。そして、設定された基板装着領域111の位置に基板100が配置されていない場合に、判定装置602は基板100が基板装着面110に正常に装着されていないと判定する。
【0054】
判定装置602は、例えば判定用画像の所定の位置に基板100の画像が存在していない場合に、基板キャリア10に基板100が正常に装着されていないと判定する。画像取得装置601には、CCD(電荷結合素子)カメラやCMOS(相補型金属酸化膜半導体)カメラなどを採用可能である。
【0055】
なお、
図14では、基板装着センサ60が2つの画像取得装置601を有し、基板プレート11の対向する2つの基板装着面110を同時に撮影する例を示した。これにより、基板プレート11の両面において基板100の装着を同時に検出できる。一方、基板プレート11の片方の主面のみが基板装着面110である場合には、1つの画像取得装置601によって、その基板装着面110において基板100の装着を検出する。
【0056】
また、基板装着センサ60が、撮像装置以外の手段を用いて、基板100が基板装着面110に正常に装着されているか否かを判定してもよい。例えば、反射型の光センサなどの検出装置も基板装着センサ60に採用可能である。
【0057】
基板キャリア10に基板100が正常に装着されていないことが基板装着センサ60によって検出された場合には、例えば搬送装置40から基板キャリア10を取り出して基板100の移載をやり直す。
図1に示した例では、基板100が正常に装着されていないことが搬出側基板装着センサ61によって検出された基板キャリア10は、第1の基板キャリア移載機構501によって搬送装置40から取り出される。また、基板100が正常に装着されていないことが搬入側基板装着センサ62によって検出された基板キャリア10は、第2の基板キャリア移載機構502によって搬送装置40から取り出される。搬送装置40から取り出された基板キャリア10については、例えば作業者によって基板100の移載のやり直しが行われる。
【0058】
上記のように、基板処理システム1によれば、基板100が正常に装着されていない基板キャリア10が基板移載装置20やプロセス処理装置30に搬入されることを防止できる。
【0059】
基板キャリア10での基板100の移載時において基板100が正常な位置に装着されなかったり、基板100が正常な姿勢で装着されなかったりした場合には、プロセス処理装置30で不具合が生じるおそれがある。
図15に、基板100aが基板装着面110に正常な姿勢で装着され、基板100b、基板100cが基板装着面110に正常な姿勢で装着されていない例を示した。また、
図16に、基板装着面110の正常な位置に装着されている基板100dに対し、基板装着面110に密着していない基板100eや基板装着面110から脱落している基板100fの例を示す。
【0060】
基板キャリア10に基板100が正常に装着されなかった場合には、例えばプロセス処理装置30内で基板100が基板キャリア10から落下することによって、基板100が破損したり、プロセス処理装置30内の搬送機構が破壊されることがある。また、プロセス処理装置30が下方から成膜用のガスが内部に噴射される成膜装置である場合に、ガスの吹き出し口が落下した基板100によって塞がれたり、ガスの流れが乱されたりすることによって、正常な処理を行えないことがある。更に、基板100と隣接する基板プレート11間の距離が設定された値からずれることによって、正常な処理が行えない場合がある。
【0061】
これに対し、基板処理システム1では、搬出側基板装着センサ61が、基板移載装置20から搬出されてプロセス処理装置30に搬入される前の基板キャリア10について、基板100が正常に装着されていることを検出する。これにより、基板100が基板キャリア10に正常に装着されていないことに起因するプロセス処理装置30の故障や自動運転の停止を防止できる。
【0062】
上記目的のために、搬出側基板装着センサ61は、第1の搬送路41上を搬送される基板キャリア10の基板装着面110を撮影可能な位置に配置される。例えば、基板移載装置20からプロセス処理装置30に基板キャリア10が搬送される途中で第1の搬送路41の周囲に配置される。搬出側基板装着センサ61はプロセス処理装置30内に配置されるのではないため、周囲が真空状態になることなどを考慮する必要はない。また、基板キャリア10が第1の搬送路41を移動してくるため、基板装着センサ60の位置を固定しておいても、基板キャリア10の基板装着面110を順次撮影することができる。
【0063】
また、基板装着領域111に基板100が装着されていない状態や、基板100が正常に装着されずに基板装着領域111の一部が露出している状態で基板キャリア10が成膜処理に使用されると、基板装着領域111に膜が形成される。通常、基板100は基板装着面110に配置された固定ピンによって支持されるが、基板装着領域111上に膜が累積的に形成されることによって、固定ピンの基板装着領域111上に露出した部分の長さが短くなる。このため、固定ピンによって基板100を支持できなくなって、基板100を基板キャリア10に装着できない状態になる。
【0064】
また、基板装着領域111上に膜が形成されると、基板キャリア10を電極として用いるプラズマ成膜装置などでは、基板キャリア10の表面が膜によって絶縁される結果、基板キャリア10と基板100間の電気的接続が劣化する。これにより基板100が電気的にフローティング状態となって、成膜速度の低下、膜厚の均一性の低下などの問題が生じる。
【0065】
しかし、基板装着センサ60が、基板キャリア10に定義されたすべての基板装着領域111に基板が装着されていることを検出することにより、基板装着領域111に膜が形成されることを防止できる。基板キャリア10のすべての基板装着領域111に基板が装着されていることを検出するためには、例えば、基板装着領域111のそれぞれが画像取得装置601の撮影範囲に入ってきたタイミングで、基板装着領域111について一つずつ画像を撮影する。或いは、画像取得装置601に広角レンズを使用して、すべての基板装着領域111を同時に撮影してもよい。
【0066】
また、プロセス処理装置30での処理工程において、基板キャリア10から基板100が外れたり、基板装着面110上の基板100の姿勢が乱れたりすることがある。例えば、プロセス処理装置30での処理において加熱された基板100に反りが生じて、基板100の位置が基板装着領域111からずれたり、基板100の姿勢が乱れたりする場合がある。この状態で基板キャリア10が基板移載装置20に搬入されて移載作業が行われると、基板100が基板キャリア10から落下して破損したり、ロボットアーム21が基板100を正確に保持することができない。
【0067】
また、基板装着領域111に基板100が装着されていない状態で基板キャリア10がプロセス処理装置30から基板移載装置20に搬送された場合に、基板100が装着されていない基板装着領域111をロボットアーム21が吸着することがある。その結果、ロボットアーム21によって基板キャリア10が引っ張られ、基板キャリア10が搬送装置40から外れたり、基板キャリア10から基板100が落下するなどの障害が発生したりする。
【0068】
これに対し、基板処理システム1では、搬入側基板装着センサ62が、プロセス処理装置30から搬出されて基板移載装置20に搬入される前の基板キャリア10について、基板100が正常に装着されていることを検出する。これにより、基板100が基板キャリア10に正常に装着されていないことに起因する基板移載装置20の故障や自動運転の停止を防止できる。
【0069】
搬入側基板装着センサ62は、第2の搬送路42上を搬送される基板キャリア10の基板装着面110を撮影可能な位置に配置される。例えば、プロセス処理装置30から基板移載装置20に基板キャリア10が搬送される途中で第2の搬送路42の周囲に配置される。搬出側基板装着センサ61と同様に搬入側基板装着センサ62はプロセス処理装置30内に配置されるのではないため、周囲が真空状態になることなどを考慮する必要はない。また、基板キャリア10が第2の搬送路42を移動してくるため、画像取得装置601の位置を固定しておいても、基板キャリア10の基板装着面110を順次撮影することができる。
【0070】
なお、
図1では基板処理システム1が、搬出側基板装着センサ61と搬入側基板装着センサ62の両方を備える場合を示した。しかし、基板移載装置20に基板キャリア10が搬入される位置と、基板移載装置20から基板キャリア10が搬出される位置の、いずれか一方だけに基板装着センサ60を配置してもよい。例えば、プロセス処理装置30内において基板装着面110上で基板100の位置が変動するおそれがない場合には、基板移載装置20に基板キャリア10が搬入される位置には基板装着センサ60を配置しなくてもよい。
【0071】
基板処理システム1は、
図1に示すように、基板キャリア10に堆積した異物を排除する基板キャリアクリーナ90を更に備える。基板100が基板キャリア10の装着された状態でプロセス処理装置30によって処理されるため、基板キャリア10は基板処理の影響を受ける。例えば基板100の成膜時に基板キャリア10の基板プレート11などに膜が付着する。基板プレート11に付着した膜は、その後に基板プレート11から剥離して、例えば
図17に示すように底板12上に異物900として堆積する。基板キャリアクリーナ90は、基板キャリア10上の異物900を除去する。例えば、ブロー機能によって除去用気体91を基板キャリア10に吹き付けて異物900を吹き上げ、吸塵器92によって異物900を吸引する。
【0072】
上記のように、基板キャリアクリーナ90によって基板キャリア10に堆積した異物を除去することができる。その結果、異物が基板100に形成された薄膜に混入して膜質が低下することなどを抑制できる。
【0073】
以上に説明したように、本発明の実施形態に係る基板処理システム1では、複数の基板キャリア10を同時に搬送させながら、プロセス処理装置30によって基板キャリア10に装着された基板100を処理することができる。即ち、プロセス処理装置30での処理と並行して他の処理を実行できる。例えば、基板100を基板キャリア10に移載したり、基板100が基板キャリア10に正常に装着されているか否かを検出したり、基板キャリア10をクリーニングしたりできる。更に、基板処理システム1では、基板キャリア移載機構50によって基板キャリア10を基板処理システム1から取り出したり投入したりする。このため、基板キャリア10を交換する場合にも基板処理システム1の全体を停止させる必要がない。
【0074】
したがって、基板処理システム1によれば、基板100の処理におけるタクト遅れが抑制され、基板100を垂直に搭載するボートタイプの基板キャリア10を用いる基板処理の効率を向上できる。
【0075】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0076】
例えば、ロボットアーム21の基板保持機構23を、基板100の主面と平行な方向だけでなく、基板100の主面の法線方向にも配列してもよい。つまり、
図18に示すように、基板保持機構23が、保持された基板100の主面の法線方向に沿って複数配列される。このため、複数の基板100が上方から見てマトリクス状に基板保持機構23によってそれぞれ保持される。
【0077】
なお、配列される基板保持機構23は3列に限られないのはもちろんである。
図18に示した基板移載装置20では、基板保持機構23が基板100の主面と平行な方向にのみ配置されている場合と比べて、同時に保持される基板100の枚数が多い。
【0078】
基板100の主面の法線方向に沿ったアーム部232間の距離は、基板プレート11間の距離に対応させて固定でもよいし、或いは可変でもよい。例えば、第1の基板移動装置81から基板100を取得する時において間隔を可変にするために、アクチュエータでアーム部232間の距離を可変にする。
【0079】
図18に示した基板移載装置20では、
図19に示すように、基板装着面110の面法線方向に複数の基板プレート11が配列されている。なお、
図19では3枚の基板プレート11が配列されている例を示したが、配列される基板プレート11の枚数は3枚に限られない。基板保持機構23は連結アーム23Aによって接続されている。
【0080】
図18に示した基板移載装置20を用いることにより、複数の基板100を複数の基板プレート11に同時に搭載することができる。したがって、ボートタイプの基板キャリア10に同時に移載する基板100の枚数を増加させることができる。これにより、基板キャリア10に基板100を搭載する時間を短縮できる。同様に、複数の基板プレート11から複数の基板100を同時に回収することができる。
【0081】
なお、
図18に示したように複数の基板プレート11のそれぞれに基板100を同時に搭載するには、基板装着面110が所定の場所に安定して位置していることが重要である。このため、基板プレート11間の距離や基板キャリア10の位置を所定の位置に高精度に固定する矯正装置などを使用することが好ましい。
【0082】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。