【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の発明者らは鋭意検討した結果、Allergin−1に対するアンタゴニストが上記課題を解決することを見出して、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1] Allergin−1アンタゴニストを有効成分として含むがん免疫増強剤。
[2] がんの進行抑制、再発抑制および/または治療のために使用される前項[1]記載の剤。
[3] Allergin−1アンタゴニストを有効成分として含む、がんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤。
[4] Allergin−1アンタゴニストが、Allergin−1の免疫抑制的細胞内伝達シグナルを抑制する前項[1]〜[3]のいずれか1つに記載の剤。
[5] Allergin−1アンタゴニストが、抗Allergin−1抗体、Allergin−1結合タンパク質またはAllergin−1融合タンパク質である前項[1]〜[4]のいずれか1つに記載の剤。
[6] 抗Allergin−1抗体が、抗ヒトAllergin−1抗体である前項[5]記載の剤。
[7] 抗Allergin−1抗体が、モノクローナル抗体である前項[5]または[6]記載の剤。
[8] 抗Allergin−1モノクローナル抗体が、IgG
1またはIgG
4アイソタイプである前項[7]記載の剤。
[9] 抗Allergin−1モノクローナル抗体が、Fab、Fab′、Fv、scFvおよび(Fab′)
2断片からなる群から選択される抗体断片である前項[7]または[8]記載の剤。
[10] 抗Allergin−1モノクローナル抗体が、ヒト化またはヒト抗体である前項[7]〜[9]のいずれか1つに記載の剤。
[11] 抗Allergin−1モノクローナル抗体が、ヒト化またはヒト抗ヒトAllergin−1モノクローナルIgG
1またはIgG
4抗体である前項[7]記載の剤。
[12] 抗Allergin−1モノクローナル抗体が、ヒトAllergin−1に対してKd値が5x10
-8M以下で結合する抗体である前項[7]〜[11]のいずれか1つに記載の剤。
[13] 抗Allergin−1モノクローナル抗体が、ヒトAllergin−1に対してKd値が1x10
-8M以下で結合する抗体である前項[7]〜[11]のいずれか1つに記載の剤。
[14] 抗Allergin−1モノクローナル抗体が、ヒトAllergin−1に対してKd値が5x10
-9M以下で結合する抗体である前項[7]〜[11]のいずれか1つに記載の剤。
[15] 抗Allergin−1モノクローナル抗体が、ヒトAllergin−1に対してKd値が1x10
-9M以下で結合する抗体である前項[7]〜[11]のいずれか1つに記載の剤。
[16] 抗Allergin−1抗体が、Allergin−1における同一分子上に存在する二以上の異なるエピトープを認識する、Allergin−1多重特異性抗体である前項[5]または[6]記載の剤。
[17] がんが、固形がんまたは血液がんである前項[2]〜[16]のいずれか1つに記載の剤。
[18] 固形がんが、悪性黒色腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、頭頸部癌、腎細胞癌、淡明細胞型腎細胞癌、乳癌、卵巣癌、卵巣明細胞腺癌、骨・軟部肉腫、神経膠芽腫、神経膠肉腫、鼻咽頭癌、子宮癌、肛門癌、大腸癌、肝細胞癌、食道癌、膵癌、胃癌、尿路上皮癌、前立腺癌、卵管癌、原発性腹膜癌、胸膜中皮腫および骨髄増殖症候群から選択される一以上のがんである前項[17]記載の剤。
[19] 血液がんが、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病および慢性骨髄性白血病から選択される一以上のがんである前項[17]記載の剤。
[20] 抗がん剤による治療効果が十分でないがん患者に投与することを特徴とする前項[2]〜[19]のいずれか1つに記載の剤。
[21] 抗がん剤が、腫瘍免疫治療薬である前項[20]記載の剤。
[22] 腫瘍免疫治療薬が、抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体、抗PD−L2抗体、PD−L1融合タンパク質、PD−L2融合タンパク質、抗CTLA−4抗体、抗LAG−3抗体、抗Tim3抗体、抗KIR抗体、抗BTLA抗体、抗TIGIT抗体、抗VISTA抗体、抗CD137抗体、抗OX40抗体、抗HVEM抗体、抗CD27抗体、抗GITR抗体、抗CD28抗体、抗CCR4抗体および抗CD4抗体から選択される一以上の薬剤である前項[21]記載の剤。
[23] 抗PD−1抗体が、Nivolumab、REGN−2810、Pembrolizumab、PDR−001、BGB−A317、STI−A1110またはAMP−514である前項[22]記載の剤。
[24] 抗PD−L1抗体が、Atezolizumab、Avelumab、DurvalumabまたはBMS−936559である前項[22]記載の剤。
[25] 抗CTLA−4抗体が、IpilimumabまたはTremelimumabである前項[22]記載の剤。
[26] PD−L2融合タンパク質が、AMP−224である前項[22]記載の剤。
[27] さらに、一種以上の抗がん剤を投与することを特徴とする前項[1]〜[26]のいずれか1つに記載の剤。
[28] Allergin−1アンタゴニストと抗がん剤が別々の製剤として投与される前項[27]記載の剤。
[29] Allergin−1アンタゴニストの投与の前に抗がん剤が投与される前項[28]記載の剤。
[30] 抗がん剤の投与の前にAllergin−1アンタゴニストが投与される前項[28]記載の剤。
[31] Allergin−1アンタゴニストおよび抗がん剤が同時に投与される期間を含むことを特徴とする前項[27]〜[30]のいずれか1つに記載の剤。
[32] Allergin−1アンタゴニストおよび抗がん剤が同時に投与されることを特徴とする前項[27]または[28]記載の剤。
[33] Allergin−1アンタゴニストおよび抗がん剤が一つの製剤として投与されることを特徴とする前項[27]または[32]記載の剤。
[34] 抗がん剤が、腫瘍免疫治療薬である前項[27]〜[33]のいずれか1つに記載の剤。
[35] 腫瘍免疫治療薬が、抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体、抗PD−L2抗体、PD−L1融合タンパク質、PD−L2融合タンパク質、抗CTLA−4抗体、抗LAG−3抗体、抗Tim3抗体、抗KIR抗体、抗BTLA抗体、抗TIGIT抗体、抗VISTA抗体、抗CD137抗体、抗OX40抗体、抗HVEM抗体、抗CD27抗体、抗GITR抗体、抗CD28抗体、抗CCR4抗体および抗CD4抗体から選択される一以上である前項[34]記載の剤。
[36] 抗PD−1抗体が、Nivolumab、REGN−2810、Pembrolizumab、PDR−001、BGB−A317、STI−A1110またはAMP−514である前項[35]記載の剤。
[37] 抗PD−L1抗体が、Atezolizumab、Avelumab、DurvalumabまたはBMS−936559である前項[35]記載の剤。
[38] 抗CTLA−4抗体が、IpilimumabまたはTremelimumabである前項[35]記載の剤。
[39] PD−L2融合タンパク質が、AMP−224である前項[35]記載の剤。
[40] 抗CD4抗体が、IT1208である前項[35]記載の剤。
[41] Allergin−1アンタゴニストが、I型インターフェロン(例えば、インターフェロン−αおよび/またインターフェロン−β)の産生を増強する前項[1]〜[40]のいずれか1つに記載の剤。
[42] Allergin−1アンタゴニストが、CD8陽性T細胞の増殖を刺激する前項[1]〜[41]のいずれか1つに記載の剤。
[43] Allergin−1アンタゴニストが、CD8陽性T細胞を活性化する前項[1]〜[42]のいずれか1つに記載の剤。
[44] ヒトもしくはヒト化抗ヒトAllergin−1モノクローナルIgG
1またはIgG
4抗体を有効成分として含み、悪性黒色腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、頭頸部癌、腎細胞癌、淡明細胞型腎細胞癌、乳癌、卵巣癌、卵巣明細胞腺癌、骨・軟部肉腫、神経膠芽腫、神経膠肉腫、鼻咽頭癌、子宮癌、肛門癌、大腸癌、肝細胞癌、食道癌、膵癌、胃癌、尿路上皮癌、前立腺癌、卵管癌、原発性腹膜癌、胸膜中皮腫および骨髄増殖症候群から選択される一以上のがんに対するがん免疫増強剤。
[45] ヒトもしくはヒト化抗ヒトAllergin−1モノクローナルIgG
1またはIgG
4抗体を有効成分として含み、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫(例えば、非ホジキンリンパ腫(例えば、濾胞性リンパ腫およびびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫)およびホジキンリンパ腫)および白血病(例えば、急性骨髄性白血病および慢性骨髄性白血病)から選択される一以上のがんに対するがん免疫増強剤。
[46] ヒトもしくはヒト化抗ヒトAllergin−1モノクローナルIgG
1またはIgG
4抗体を有効成分として含み、悪性黒色腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、頭頸部癌、腎細胞癌、淡明細胞型腎細胞癌、乳癌、卵巣癌、卵巣明細胞腺癌、骨・軟部肉腫、神経膠芽腫、神経膠肉腫、鼻咽頭癌、子宮癌、肛門癌、大腸癌、肝細胞癌、食道癌、膵癌、胃癌、尿路上皮癌、前立腺癌、卵管癌、原発性腹膜癌、胸膜中皮腫および骨髄増殖症候群から選択される一以上のがんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤。
[47] ヒトもしくはヒト化抗ヒトAllergin−1モノクローナルIgG
1またはIgG
4抗体を有効成分として含み、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫(例えば、非ホジキンリンパ腫(例えば、濾胞性リンパ腫およびびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫)およびホジキンリンパ腫)および白血病(例えば、急性骨髄性白血病および慢性骨髄性白血病)から選択される一以上のがんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤。
[48] ヒトもしくはヒト化抗ヒトAllergin−1モノクローナルIgG
1またはIgG
4抗体を有効成分として含み、悪性黒色腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、頭頸部癌、腎細胞癌、淡明細胞型腎細胞癌、乳癌、卵巣癌、卵巣明細胞腺癌、骨・軟部肉腫、神経膠芽腫、神経膠肉腫、鼻咽頭癌、子宮癌、肛門癌、大腸癌、肝細胞癌、食道癌、膵癌、胃癌、尿路上皮癌、前立腺癌、卵管癌、原発性腹膜癌、胸膜中皮腫および骨髄増殖症候群から選択される一以上のがんにおいて、腫瘍免疫治療薬による治療効果が十分でない当該がん患者に投与することを特徴とするがんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤。
[49] ヒトもしくはヒト化抗ヒトAllergin−1モノクローナルIgG
1またはIgG
4抗体を有効成分として含み、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫(例えば、非ホジキンリンパ腫(例えば、濾胞性リンパ腫およびびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫)およびホジキンリンパ腫)および白血病(例えば、急性骨髄性白血病および慢性骨髄性白血病)から選択される一以上のがんにおいて、腫瘍免疫治療薬による治療効果が十分でない当該がん患者に投与することを特徴とするがんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤。
[50] ヒトもしくはヒト化抗ヒトAllergin−1モノクローナルIgG
1またはIgG
4抗体を有効成分として含み、抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体、抗PD−L2抗体、PD−L1融合タンパク質、PD−L2融合タンパク質、抗CTLA−4抗体、抗LAG−3抗体、抗Tim3抗体、抗KIR抗体、抗BTLA抗体、抗TIGIT抗体、抗VISTA抗体、抗CD137抗体、抗OX40抗体、抗HVEM抗体、抗CD27抗体、抗GITR抗体、抗CD28抗体、抗CCR4抗体および抗CD4抗体から選択される一以上の腫瘍免疫治療薬とともに投与することを特徴とする、悪性黒色腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、頭頸部癌、腎細胞癌、淡明細胞型腎細胞癌、乳癌、卵巣癌、卵巣明細胞腺癌、骨・軟部肉腫、神経膠芽腫、神経膠肉腫、鼻咽頭癌、子宮癌、肛門癌、大腸癌、肝細胞癌、食道癌、膵癌、胃癌、尿路上皮癌、前立腺癌、卵管癌、原発性腹膜癌、胸膜中皮腫および骨髄増殖症候群から選択される一以上のがんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤。
[51] ヒトもしくはヒト化抗ヒトAllergin−1モノクローナルIgG
1またはIgG
4抗体を有効成分として含み、抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体、抗PD−L2抗体、PD−L1融合タンパク質、PD−L2融合タンパク質、抗CTLA−4抗体、抗LAG−3抗体、抗Tim3抗体、抗KIR抗体、抗BTLA抗体、抗TIGIT抗体、抗VISTA抗体、抗CD137抗体、抗OX40抗体、抗HVEM抗体、抗CD27抗体、抗GITR抗体、抗CD28抗体、抗CCR4抗体および抗CD4抗体から選択される一以上の腫瘍免疫治療薬とともに投与することを特徴とする、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫(例えば、非ホジキンリンパ腫(例えば、濾胞性リンパ腫およびびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫)およびホジキンリンパ腫)および白血病(例えば、急性骨髄性白血病および慢性骨髄性白血病)から選択される一以上のがんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤。
[52] ヒトもしくはヒト化抗ヒトAllergin−1モノクローナルIgG
1またはIgG
4抗体を有効成分として含み、Nivolumab、REGN−2810、Pembrolizumab、PDR−001、BGB−A317、AMP−514、ANB011およびSTI−A1110から選択される一以上の抗PD−1抗体とともに投与することを特徴とする、悪性黒色腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、頭頸部癌、腎細胞癌、淡明細胞型腎細胞癌、乳癌、卵巣癌、卵巣明細胞腺癌、骨・軟部肉腫、神経膠芽腫、神経膠肉腫、鼻咽頭癌、子宮癌、肛門癌、大腸癌、肝細胞癌、食道癌、膵癌、胃癌、尿路上皮癌、前立腺癌、卵管癌、原発性腹膜癌、胸膜中皮腫および骨髄増殖症候群から選択される一以上のがんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤。
[53] ヒトもしくはヒト化抗ヒトAllergin−1モノクローナルIgG
1またはIgG
4抗体を有効成分として含み、Nivolumab、REGN−2810、Pembrolizumab、PDR−001、BGB−A317、AMP−514、ANB011およびSTI−A1110から選択される一以上の抗PD−1抗体とともに投与することを特徴とする、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫(例えば、非ホジキンリンパ腫(例えば、濾胞性リンパ腫およびびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫)およびホジキンリンパ腫)および白血病(例えば、急性骨髄性白血病および慢性骨髄性白血病)から選択される一以上のがんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤。
[54] ヒトもしくはヒト化抗ヒトAllergin−1モノクローナルIgG
1またはIgG
4抗体を有効成分として含み、Atezolizumab、Avelumab、DurvalumabおよびBMS−936559から選択される一以上の抗PD−L1抗体とともに投与することを特徴とする、悪性黒色腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、頭頸部癌、腎細胞癌、淡明細胞型腎細胞癌、乳癌、卵巣癌、卵巣明細胞腺癌、骨・軟部肉腫、神経膠芽腫、神経膠肉腫、鼻咽頭癌、子宮癌、肛門癌、大腸癌、肝細胞癌、食道癌、膵癌、胃癌、尿路上皮癌、前立腺癌、卵管癌、原発性腹膜癌、胸膜中皮腫および骨髄増殖症候群から選択される一以上のがんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤。
[55] ヒトもしくはヒト化抗ヒトAllergin−1モノクローナルIgG
1またはIgG
4抗体を有効成分として含み、Atezolizumab、Avelumab、DurvalumabおよびBMS−936559から選択される一以上の抗PD−L1抗体とともに投与することを特徴とする、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫(例えば、非ホジキンリンパ腫(例えば、濾胞性リンパ腫およびびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫)およびホジキンリンパ腫)および白血病(例えば、急性骨髄性白血病および慢性骨髄性白血病)から選択される一以上のがんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤。
[56] がん免疫を増強するためのAllergin−1アンタゴニスト。
[57] がん免疫増強剤の製造におけるAllergin−1アンタゴニストの使用。
[58] がん治療を必要とする患者に、有効投与量のAllergin−1アンタゴニストを投与することからなる、がん免疫増強方法。
[59] がんの進行抑制、再発抑制および/または治療のためのAllergin−1アンタゴニスト。
[60] がんの進行抑制、再発抑制および/または治療剤の製造におけるAllergin−1アンタゴニストの使用。
[61] がん治療を必要とする患者に、有効投与量のAllergin−1アンタゴニストを投与することからなる、がんの進行抑制、再発抑制および/または治療方法。