特許第6156641号(P6156641)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6156641
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】相互係合コネクタ装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/639 20060101AFI20170626BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20170626BHJP
【FI】
   H01R13/639 Z
   H01R12/71
【請求項の数】10
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2013-181963(P2013-181963)
(22)【出願日】2013年9月3日
(65)【公開番号】特開2015-50099(P2015-50099A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年8月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】第一精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083909
【弁理士】
【氏名又は名称】神原 貞昭
(72)【発明者】
【氏名】武本 政利
【審査官】 片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−192345(JP,A)
【文献】 特開2010−170843(JP,A)
【文献】 特開2009−193758(JP,A)
【文献】 米国特許第05823813(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56 − 13/72
H01R 12/00 − 12/91
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のハウジング,該第1のハウジングに配列配置された複数の第1のコンタクト、及び、上記第1のハウジングに固定された第1の金属部材を備えた第1のコネクタと、
上記第1のハウジングとの係合状態をとる第2のハウジング,該第2のハウジングに配列配置され、該第2のハウジングが上記第1のハウジングとの係合状態をとるとき上記複数の第1のコンタクトに夫々接触接続される状態をとる複数の第2のコンタクト、及び、上記第2のハウジングに取り付けられた第2の金属部材を備えた第2のコネクタと、
全体が屈曲棒状体を成すものとして上記第2のハウジングに変位可能に配され、該第2のハウジングに対して伏した第1の静止位置と起き上がった第2の静止位置とを選択的にとる可動操作部材と、
を含んで構成され、
上記可動操作部材の両端部分の夫々が、上記第2の金属部材を貫通して支持されて可動係合係止部を成すとともに、上記第1の金属部材に固定係合係止部が形成されていて、上記第2のハウジングが上記第1のハウジングとの係合状態をとるもとで、上記可動操作部材が上記第1の静止位置をとるとき、該可動操作部材が、上記第2のコネクタが備えるカム部に従って変位して弾性変形せしめられた状態におかれ、上記可動係合係止部に上記固定係合係止部に対する係合係止状態をとらせて上記第2のハウジングを上記第1のハウジングに対して機械的に係止し、上記可動操作部材が上記第2の静止位置をとるとき、上記可動操作部材が、上記カム部に従って変位して上記弾性変形せしめられた状態から元の状態に戻され、上記可動係合係止部に上記固定係合係止部に対する係合係止解除状態をとらせて上記第2のハウジングを上記第1のハウジングに対する機械的な係止から解放することを特徴とする相互係合コネクタ装置。
【請求項2】
上記カム部が、上記第2の金属部材の一部を成すものとして設けられたことを特徴とする請求項1記載の相互係合コネクタ装置。
【請求項3】
上記第2のハウジングが上記第1のハウジングとの係合状態をとるもとで、上記可動操作部材が上記第2の静止位置から上記第1の静止位置へ変位するとき、上記第2の金属部材を貫通した上記可動係合係止部が第1の方向に変位して上記固定係合係止部に係合し、また、上記可動操作部材が上記第1の静止位置から上記第2の静止位置へ変位するとき、上記第2の金属部材を貫通した上記可動係合係止部が第1の方向とは逆の第2の方向に変位して上記固定係合係止部から離隔することを特徴とする請求項1記載の相互係合コネクタ装置。
【請求項4】
上記第2の金属部材における上記可動操作部材の両端部分が夫々貫通する一対の部分の夫々が、上記第2のハウジングが上記第1のハウジングとの係合状態をとるもとで、上記第1の金属部材における上記固定係合係止部が形成された部分に近接対向する位置に配されることを特徴とする請求項1記載の相互係合コネクタ装置。
【請求項5】
上記第2の金属部材における上記可動操作部材の両端部分が夫々貫通する一対の部分が、上記第2のハウジングに配列配置された上記複数の第2のコンタクトを該複数の第2のコンタクトの配列方向において挟む位置に配されることを特徴とする請求項4記載の相互係合コネクタ装置。
【請求項6】
上記可動操作部材が、上記第2のハウジングに変位可能に配されたとき上記複数の第2のコンタクトの配列方向に沿って伸びる中間部と、該中間部の端部から屈曲して伸びる連結部と、該連結部からさらに屈曲して伸びて上記可動係合係止部を成す一端部分とを有し、上記第2のハウジングが上記第1のハウジングとの係合状態をとるもとでの上記可動操作部材の上記第1の静止位置から上記第2の静止位置への変位または上記第2の静止位置から上記第1の静止位置への変位に伴って、上記可動係合係止部が上記固定係合係止部に対して上記複数の第2のコンタクトの配列方向に変位することを特徴とする請求項5記載の相互係合コネクタ装置。
【請求項7】
上記可動操作部材における上記連結部に当接係合するカム部が上記第2の金属部材に設けられ、上記第2のハウジングが上記第1のハウジングとの係合状態をとるもとで、上記可動操作部材が上記第1の静止位置から上記第2の静止位置への変位または上記第2の静止位置から上記第1の静止位置への変位を行うとき、上記連結部が上記カム部に案内されて移動することにより、上記可動係合係止部が上記固定係合係止部に対して離隔または係合すべく変位せしめられることを特徴とする請求項6記載の相互係合コネクタ装置。
【請求項8】
上記可動係合係止部の上記固定係合係止部から離隔する変位または上記固定係合係止部に係合する変位が、上記可動操作部材が具える弾性によってもたらされることを特徴とする請求項7記載の相互係合コネクタ装置。
【請求項9】
上記第1のハウジングが第1の配線基板に固定されるとともに上記第2のハウジングが第2の配線基板に固定され、上記第2の配線基板が上記第1の配線基板に対面近接して重ね合わされて上記第1のコネクタと上記第2のコネクタとが相互係合状態をとるものとされ、上記第2の配線基板に透孔が設けられていて、上記第2の配線基板の外部から、上記透孔を通じて、上記可動操作部材における可動係合係止部についての上記第2の金属部材及び上記第1の金属部材における固定係合係止部との係合状態を覗き観ることができることを特徴とする請求項1記載の相互係合コネクタ装置。
【請求項10】
上記透孔が、上記第2の配線基板に一対形成されていて、上記可動操作部材における両端部分の近傍部分が上記一対の透孔を夫々貫通していることを特徴とする請求項9記載の相互係合コネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の特許請求の範囲に記載された発明は、二つの配線基板(フレキシブル印刷配線基板(FPC)を含む。)に夫々取り付けて用いることができる第1及び第2のコネクタを含み、第1及び第2のコネクタが夫々取り付けられた二つの配線基板が相互に対面近接して重ね合わせられるもとで第1及び第2のコネクタが相互係合することにより、各配線基板に設けられた配線部を電気的に相互接続する相互係合コネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の比較的小型な電子機器においても種々の電子部品が多数内蔵されるが、それらの電子部品の多くは複数の配線基板(以下、配線基板という用語は、フレキシブル印刷配線基板(FPC)を含む意味で用いられる。)に実装されて、各々の機能を果たすものとされる。各種の電子部品が実装された複数の配線基板は、例えば、それらのうちの二つについて見ると、比較的小型な電子機器の内部という限られたスペースに収容されるにあたって占有容積をできるだけ小とすべく、一方が他方に対面近接して重ね合わせられる配置をとって、各々に設けられた配線部が電気的に相互接続されるように相互連結される状態がとられる。このような二つの配線基板のうちの一方が他方に対面近接して重ね合わせられる相互連結態様を、以下においては対面近接重ね合わせ連結ということとする。
【0003】
一般的に、複数の配線基板の夫々に設けられた配線部についての電気的相互接続は、各配線基板にコネクタが取り付けられ、それらのコネクタが相互係合することにより行われることが多く、二つの配線基板についての対面近接重ね合わせ連結をする場合においても、二つの配線基板の夫々にコネクタが取り付けられて、それらのコネクタが相互係合するものとされる。このように二つの配線基板についての対面近接重ね合わせ連結にあたって二つの配線基板の夫々に取り付けられたコネクタが相互係合する場合のように、二つのコネクタが相互係合する際には、二つのコネクタの相互係合状態が安定に維持されることが必要とされる。そのため、従来にあっては、第1及び第2のコネクタを含んで構成され、それらの第1及び第2のコネクタが相互係合したとき、一方を他方に対して機械的に係止する係止手段を備えた相互係合コネクタ装置が幾つか提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0004】
特許文献1に示される相互係合コネクタ装置は、ハウジング(インシュレータ(11)) とハウジングに回動可能に取り付けられた可動操作部材(プルバー(10))とを備えた第1のコネクタ(プラグ側コネクタ(100))、及び、ハウジング(インシュレータ(21))を備えて基板に配された第2のコネクタ(基板側コネクタ(102))を含んで構成されている。第1のコネクタに備えられた可動操作部材は、金属棒状部材をもって形成されていて、両端の夫々に腕部(10b) と腕部(10b) の先端を成す回転軸(10a) とを有しており、回転軸(10a) はハウジングにおける外壁状部を外側から内側へと貫通していて、第2のコネクタに対する係止部(ロック機構の一部)を成している。また、第1のコネクタのハウジングにおける外壁状部の外面には、リブ(7) が外方に突出するものとして設けられており、さらに、第2のコネクタのハウジングにおける内壁状部の外面には、突起部(1) とリブ(7) とが外方に突出するものとして設けられている。
【0005】
そして、第1のコネクタと第2のコネクタとが相互係合状態におかれるときには、第1のコネクタのハウジングがその外壁状部が第2のコネクタのハウジングの内壁状部の外側に配されるようにして第2のコネクタのハウジングに嵌合する。その際、第1のコネクタに備えられた可動操作部材における回転軸が、第2のコネクタのハウジングにおける内壁状部の外面に設けられた突起部に対する係合係止状態をとり、第1のコネクタのハウジングを第2のコネクタのハウジングに対して機械的に係止し、それによって、第1及び第2のコネクタの相互係合状態が維持される。
【0006】
その後、第1のコネクタに備えられた可動操作部材が回動せしめられると、可動操作部材の腕部が第のコネクタのハウジングにおける壁状部の外面に設けられたリブに乗り上げ、それにより、可動操作部材が弾性変形を生じて、可動操作部材の回転軸が、第2のコネクタのハウジングにおける内壁状部の外方に移動せしめられ、第2のコネクタのハウジングにおける内壁状部の外面に設けられた突起部に対する係合係止状態を解除する。その結果、第1のコネクタのハウジングが第2のコネクタのハウジングに対する機械的な係止から解放される。可動操作部材の回転軸が第2のコネクタのハウジングに設けられた突起部に対する係合係止状態を解除した後には、可動操作部材の更なる回動に伴って、弾性変形を生じた可動操作部材が弾性変形を生じていない状態に戻る。
【0007】
また、特許文献2に示される相互係合コネクタ装置は、ハウジング(インシュレータ(220))とハウジングの殆どを覆う金属部材(シェル(250))とを備えた第1のコネクタ(レセプタクルコネクタ(200))、及び、ハウジング(インシュレータ(340))とハウジングに回動可能に取り付けられた可動操作部材(プルバー(370))とを備えた第2のコネクタ(プラグコネクタ(300))を含んで構成されている。第1のコネクタが備える金属部材には、被係止孔(254) が形成されたロック部(252) が設けられている。また、第2のコネクタに備えられた可動操作部材は、金属棒状部材をもって形成されており、主部(372) と主部の両端部の夫々から屈曲して主部に交差する方向に伸びる連結部(376) と連結部(376) から更に屈曲して主部と平行となる方向に伸びる被保持部(374) とを有している。そして、被保持部(374) は、第2のコネクタのハウジングにおける内面側にカム部(348) が設けられた外壁状部を内側から外側へと貫通しており、その端部が、第2のコネクタのハウジングにおける外壁状部の外方に突出し得るものとされて、第1のコネクタに対する係止部(375) を成すものとされている。
【0008】
そして、第1のコネクタと第2のコネクタとが相互係合状態におかれるときには、第2のコネクタのハウジングが、その外壁状部が第1のコネクタにおける被係止孔が形成されたロック部の内側に配されるようにして、第1のコネクタのハウジングに嵌合する。その際、第2のコネクタに備えられた可動操作部材における被保持部の端部である係止部が、第1のコネクタにおけるロック部に形成された被係止孔に対する係合係止状態をとり、第2のコネクタのハウジングを第1のコネクタのハウジングに対して機械的に係止し、それによって、第1及び第2のコネクタの相互係合状態が維持される。
【0009】
その後、第2のコネクタに備えられた可動操作部材が回動せしめられると、可動操作部材における連結部が第2のコネクタのハウジングにおける外壁状部の内面側に設けられたカム部に案内されて移動し、それにより、可動操作部材が弾性変形を生じて、連結部から屈曲して伸びる被保持部の端部である係止部が、第2のコネクタのハウジングにおける外壁状部の内部側へと移動せしめられ、第1のコネクタにおけるロック部に形成された被係止孔に対する係合係止状態を解除する。その結果、第2のコネクタのハウジングが第1のコネクタのハウジングに対する機械的な係止から解放される。可動操作部材における係止部が第1のコネクタにおけるロック部に形成された被係止孔に対する係合係止状態を解除した後には、可動操作部材の更なる回動に伴って、弾性変形を生じた可動操作部材が弾性変形を生じていない状態に戻る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−267977号公報(段落0058〜0069,図1〜5)
【特許文献2】特開2009−170250号公報(段落0018〜0028,0031,図1〜10)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のような、従来提案されている、第1及び第2のコネクタを含んで構成され、それらの第1及び第2のコネクタが相互係合したとき、一方を他方に対して機械的に係止する係止手段を備えた相互係合コネクタ装置にあっては、それらの夫々に次のような不都合が見られる。
【0012】
先ず、特許文献1に示される相互係合コネクタ装置にあっては、第1のコネクタと第2のコネクタとが相互係合した状態のもとで、第1のコネクタが備える金属棒状部材で成る可動操作部材における係止部を成す回転軸が、可動操作部材が弾性変形を生じていない状態のもとで、第2のコネクタのハウジングに設けられた突起部に対する係合係止状態をとって、第1のコネクタのハウジングを第2のコネクタのハウジングに対して機械的に係止し、また、可動操作部材が弾性変形を生じた状態のもとで、第2のコネクタのハウジングに設けられた突起部に対する係合係止状態を解除し、第1のコネクタのハウジングを第2のコネクタのハウジングに対する機械的な係止から解放する。従って、第1のコネクタのハウジングが第2のコネクタのハウジングに対して機械的に係止される状態と、第1のコネクタのハウジングが第2のコネクタのハウジングに対する機械的な係止から解放される状態とが繰り返される場合には、第1のコネクタのハウジングが第2のコネクタのハウジングに対して機械的に係止されるとき、一旦弾性変形を生じた後、弾性変形を生じていない状態に戻った可動操作部材における係止部を成す回転軸が、第2のコネクタのハウジングに設けられた突起部に対する係合係止状態をとることになる。
【0013】
それゆえ、一旦弾性変形を生じた後、弾性変形を生じていない状態に戻った可動操作部材における係止部を成す回転軸が、第2のコネクタのハウジングに設けられた突起部に対する係合係止状態をとるとき、一旦弾性変形を生じた可動操作部材が弾性変形を生じていない状態に戻るにあたり、可動操作部材が、弾性変形に伴う塑性変形を生じて、元の状態には戻らない事態がまねかれる虞がある。斯かる事態がまねかれた際には、可動操作部材の塑性変形によりその回転軸の位置が変位してしまい、回転軸による第2のコネクタのハウジングに設けられた突起部に対する係合係止が適正に行われなくなって、第1のコネクタのハウジングについての第2のコネクタのハウジングに対する機械的な係止が不確実なものとなってしまう。
【0014】
さらに、特許文献1に示される相互係合コネクタ装置にあっては、可動操作部材における係止部を成す回転軸が、第1のコネクタのハウジングにおける外壁状部を外側から内側へと貫通して第1のコネクタのハウジングによって支持されたもとで、第2のコネクタのハウジングに設けられた突起部に対する係合係止状態をとるものとされている。即ち、可動操作部材における係止部を成す回転軸は、大なる剛性を有した金属部材に係合することなく、剛性において劣る絶縁材料により形成された第1のコネクタのハウジング及び第2のコネクタのハウジングに係合することによって、第1のコネクタのハウジングを第2のコネクタのハウジングに対して機械的に係止するものとされている。それゆえ、取り分け、第1及び第2のコネクタの小型・軽量化が図られて、第1のコネクタのハウジング及び第2のコネクタのハウジングの夫々の肉厚等が低減せしめられるもとにあっては、可動操作部材における回転軸の第1のコネクタのハウジングによる支持が堅固になされず、可動操作部材における回転軸による第2のコネクタのハウジングに設けられた突起部に対する係合係止を十分な信頼性をもって確実に行うことができなくなってしまう虞がある。
【0015】
また、特許文献2に示される相互係合コネクタ装置にあっては、第1のコネクタと第2のコネクタとが相互係合した状態のもとで、第2のコネクタが備える金属棒状部材で成る可動操作部材における被保持部の端部である係止部が、可動操作部材が弾性変形を生じていない状態のもとで、第1のコネクタにおけるロック部に形成された被係止孔に対する係合係止状態をとって、第2のコネクタのハウジングを第1のコネクタのハウジングに対して機械的に係止し、また、可動操作部材が弾性変形を生じた状態のもとで、第1のコネクタにおけるロック部に形成された被係止孔に対する係合係止状態を解除し、第2のコネクタのハウジングを第1のコネクタのハウジングに対する機械的な係止から解放する。従って、第2のコネクタのハウジングが第1のコネクタのハウジングに対して機械的に係止される状態と、第2のコネクタのハウジングが第1のコネクタのハウジングに対する機械的な係止から解放される状態とが繰り返される場合には、第2のコネクタのハウジングが第1のコネクタのハウジングに対して機械的に係止されるとき、一旦弾性変形を生じた後、弾性変形を生じていない状態に戻った可動操作部材における被保持部の端部である係止部が、第1のコネクタにおけるロック部に形成された被係止孔に対する係合係止状態をとることになる。
【0016】
それゆえ、一旦弾性変形を生じた後、弾性変形を生じていない状態に戻った可動操作部材における被保持部の端部である係止部が、第1のコネクタにおけるロック部に形成された被係止孔に対する係合係止状態をとるとき、一旦弾性変形を生じた可動操作部材が弾性変形を生じていない状態に戻るにあたり、可動操作部材が、弾性変形に伴う塑性変形を生じて、元の状態には戻らない事態がまねかれる虞がある。斯かる事態がまねかれた際には、可動操作部材の塑性変形によりその係止部の位置が変位してしまい、係止部による第1のコネクタにおけるロック部に形成された被係止孔に対する係合係止が適正に行われなくなって、第2のコネクタのハウジングについての第1のコネクタのハウジングに対する機械的な係止が不確実なものとなってしまう。
【0017】
さらに、特許文献2に示される相互係合コネクタ装置にあっては、可動操作部材における被保持部が、第2のコネクタのハウジングにおける内面側にカム部が設けられた外壁状部を内側から外側へと貫通して第2のコネクタのハウジングにより支持されたもとで、その端部を成す係止部に第1のコネクタにおけるロック部に形成された被係止孔に対する係合係止状態をとらせるものとされている。即ち、可動操作部材における係止部を成す端部を有した被保持部は、大なる剛性を有した金属部材に係合することなく、剛性において劣る絶縁材料により形成された第2のコネクタのハウジングに係合するもとで、第2のコネクタのハウジングを第1のコネクタのハウジングに対して機械的に係止するものとされている。それゆえ、取り分け、第1及び第2のコネクタの小型・軽量化が図られて、第1のコネクタのハウジング及び第2のコネクタのハウジングの夫々の肉厚等が低減せしめられるもとにあっては、可動操作部材における被保持部の第2のコネクタのハウジングによる支持が堅固になされず、可動操作部材における被保持部の端部である係止部による第1のコネクタにおけるロック部に形成された被係止孔に対する係合係止を十分な信頼性をもって確実に行うことができなくなってしまう虞がある。
【0018】
斯かる点に鑑み、本願の特許請求の範囲に記載された発明は、二つの配線基板に夫々取り付けて用いることができる第1及び第2のコネクタを含み、第1及び第2のコネクタが夫々取り付けられた二つの配線基板を、対面近接重ね合わせ連結によって各々に設けられた配線部が電気的に相互接続される状態におくことができる機構を成すものであって、第1のコネクタと第2のコネクタとが相互係合した状態のもとで、第1及び第2のコネクタのうちの一方に変位可能に配される係止手段によって、第1及び第2のコネクタのうちの一方のハウジングについての第1及び第2のコネクタのうちの他方のハウジングに対する係止を十分な信頼性をもって安定かつ堅固に行うことができ、また、第1及び第2のコネクタのうちの一方のハウジングについての第1及び第2のコネクタのうちの他方のハウジングに対する係止の解除を、特別な工具等の使用を必要としない極めて簡単で容易な操作により確実に行うことができる相互係合コネクタ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本願の特許請求の範囲における請求項1から請求項10までのいずれかに記載された発明(以下、本願発明という。)に係る相互係合コネクタ装置は、第1のハウジング,第1のハウジングに配列配置された複数の第1のコンタクト、及び、第1のハウジングに固定された第1の金属部材を備えた第1のコネクタと、第1のハウジングとの係合状態をとる第2のハウジング,第2のハウジングに配列配置され、第2のハウジングが第1のハウジングとの係合状態をとるとき複数の第1のコンタクトに夫々接触接続される状態をとる複数の第2のコンタクト、及び、第2のハウジングに取り付けられた第2の金属部材を備えた第2のコネクタと、全体が屈曲棒状体を成すものとして第2のハウジングに変位可能に配され、第2のハウジングに対して伏した第1の静止位置と起き上がった第2の静止位置とを選択的にとる可動操作部材とを含んで構成される。そして、斯かる相互係合コネクタ装置は、可動操作部材の両端部分の夫々が、第2の金属部材を貫通して支持されて可動係合係止部を成すとともに、第1の金属部材に固定係合係止部が形成されていて、第2のハウジングが第1のハウジングとの係合状態をとるもとで、可動操作部材が第1の静止位置をとるとき、当該可動操作部材が、第2のコネクタが備えるカム部に従って変位して弾性変形せしめられた状態におかれ、可動係合係止部に固定係合係止部に対する係合係止状態をとらせて第2のハウジングを第1のハウジングに対して機械的に係止し、また、可動操作部材が第2の静止位置をとるとき、当該可動操作部材が、第2のコネクタが備えるカム部に従って変位して弾性変形せしめられた状態から元の状態に戻され、可動係合係止部に固定係合係止部に対する係合係止解除状態をとらせて第2のハウジングを第1のハウジングに対する機械的な係止から解放することを特徴とするものとされる。
【0020】
特に、本願の特許請求の範囲における請求項2に記載された本願発明に係る相互係合コネクタ装置においては、第2のコネクタが備えるカム部が、第2の金属部材の一部を成すものとして設けられる。
【0021】
また、本願の特許請求の範囲における請求項3に記載された本願発明に係る相互係合コネクタ装置においては、第2のハウジングが第1のハウジングとの係合状態をとるもとで、可動操作部材が第2の静止位置から第1の静止位置へ変位するとき、第2の金属部材を貫通して支持された可動係合係止部が第1の方向に変位して固定係合係止部に係合し、また、可動操作部材が第1の静止位置から第2の静止位置へ変位するとき、第2の金属部材を貫通して支持された可動係合係止部が第1の方向とは逆の第2の方向に変位して固定係合係止部から離隔する。
【0022】
上述のような本願発明に係る相互係合コネクタ装置にあっては、第2のコネクタの第2のハウジングが第1のコネクタの第1のハウジングとの係合状態をとるとき、第2のコネクタにおける複数の第2のコンタクトが第1のコネクタにおける複数の第1のコンタクトに夫々接触接続される。また、全体が屈曲棒状体を成すものとして第2のハウジングに配された可動操作部材の両端部分の夫々が、第2のコネクタにおける第2の金属部材を貫通して支持されて可動係合係止部を成すとともに、第1のコネクタにおける第1の金属部材に固定係合係止部が形成されている。
【0023】
そして、第2のハウジングが第1のハウジングとの係合状態をとるもとにおいて、可動操作部材が第1の静止位置をとるとき、その可動操作部材が、第2のコネクタが備えるカム部に従って変位して弾性変形せしめられた状態におかれ、それにより、可動係合係止部に固定係合係止部に対する係合係止状態をとらせて第2のハウジングを第1のハウジングに対して機械的に係止する。また、第2のハウジングが第1のハウジングとの係合状態をとり、第2のハウジングが第1のハウジングに対して係止されたもとで、可動操作部材が第2の静止位置をとるとき、その可動操作部材が、第2のコネクタが備えるカム部に従って変位して弾性変形せしめられた状態から元の状態に戻され、可動係合係止部に固定係合係止部に対する係合係止解除状態をとらせて第2のハウジングを第1のハウジングに対する機械的な係止から解放する。
【0024】
即ち、可動操作部材の両端部分の夫々が成す可動係合係止部が第1のコネクタにおける第1の金属部材に形成された固定係合係止部に対する係合係止状態をとって、第2のハウジングを第1のハウジングに対して機械的に係止するときには、可動操作部材が第2のコネクタが備えるカム部によって弾性変形せしめられた状態にあり、また、可動操作部材の両端部分の夫々が成す可動係合係止部が第1のコネクタにおける第1の金属部材に形成された固定係合係止部に対する係合係止解除状態をとって、第2のハウジングを第1のハウジングに対する機械的な係止から解放するときには、可動操作部材が第2のコネクタが備えるカム部によって弾性変形せしめられた状態から元の状態に戻されているのである。
【0025】
第2のコネクタが備えるカム部は、例えば、本願の特許請求の範囲における請求項2に記載された本願発明に係る相互係合コネクタ装置のように、第2のコネクタが備える第2の金属部材の一部を成すものとして設けられる。
【0026】
さらに、第2のコネクタが備える第2の金属部材を貫通して支持された可動係合係止部は、例えば、本願の特許請求の範囲における請求項3に記載された本願発明に係る相互係合コネクタ装置のように、第2のハウジングが第1のハウジングとの係合状態をとるもとで、可動操作部材が第2の静止位置から第1の静止位置へ変位するとき、第1の方向に変位して固定係合係止部に係合し、また、可動操作部材が第1の静止位置から第2の静止位置へ変位するとき、第1の方向とは逆の第2の方向に変位して固定係合係止部から離隔する。
【発明の効果】
【0027】
本願発明に係る相互係合コネクタ装置にあっては、可動操作部材の両端部分の夫々が成す可動係合係止部が、第1のコネクタにおける第1の金属部材に形成された固定係合係止部に対する係合係止状態をとって、第2のハウジングを第1のハウジングに対して機械的に係止するときには、両端部分の夫々が可動係合係止部を成すものとされた可動操作部材が、第2のコネクタが備えるカム部によって弾性変形せしめられた状態にあり、また、可動係合係止部が固定係合係止部に対する係合係止解除状態をとって、第2のハウジングを第1のハウジングに対する機械的な係止から解放するときには、両端部分の夫々が可動係合係止部を成すものとされた可動操作部材が、第2のコネクタが備えるカム部によって弾性変形せしめられた状態から元の状態に戻される。このように、第2のハウジングが第1のハウジングに対して機械的に係止されるときには、両端部分の夫々が可動係合係止部を成すものとされた可動操作部材が弾性変形せしめられ、それにより可動係合係止部に固定係合係止部に対する係合係止状態を強制的にとらせるので、たとえ、第2のハウジングが第1のハウジングに対して機械的に係止される状態と、第2のハウジングが第1のハウジングに対する機械的な係止から解放される状態とが繰り返される場合においても、弾性変形せしめられた可動操作部材の両端部分の夫々が成す可動係合係止部を、固定係合係止部に対する係合係止状態を適正かつ確実にとるものとすることができ、その結果、第2のハウジングについての第1のハウジングに対する係止を十分な信頼性をもって安定に行うことがでる。
【0028】
また、本願発明に係る相互係合コネクタ装置にあっては、可動操作部材の両端部分の夫々が成す可動係合係止部が第2のコネクタにおける第2の金属部材を貫通して支持されるとともに、固定係合係止部が第1のコネクタにおける第1の金属部材に形成されており、それにより、大なる剛性を有した第2の金属部材を貫通して支持された可動係合係止部が、大なる剛性を有した第1の金属部材に形成された固定係合係止部に対する係合係止状態をとるものとされる。それゆえ、例えば、第1及び第2のコネクタの夫々の小型・軽量化が図られて、第1のハウジング及び第2のハウジングの夫々の肉厚等が低減せしめられるもとにあっても、可動係合係止部による固定係合係止部に対する係合係止を強固に行うことができ、その結果、第2のハウジングについての第1のハウジングに対する係止を十分な信頼性をもって堅固に行うことがでる。
【0029】
さらに、本願発明に係る相互係合コネクタ装置において、可動係合係止部による固定係合係止部に対する係合係止を解除するにあたっての操作は、第2のコネクタの第2のハウジングに変位可能に配されて第1の静止位置と第2の静止位置とを選択的にとることができる可動操作部材を、第1の静止位置から第2の静止位置へと変位させることで足りるので、第2のハウジングについての第1のハウジングに対する係止の解除を、特別な工具等の使用を必要としない極めて簡単で容易な操作により確実に行うことができることになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本願発明に係る相互係合コネクタ装置の一例を構成するリセプタクルコネクタ,プラグコネクタ及び可動操作部材を、個々に分離された状態をもって示す斜視図である。
図2図1に示されるリセプタクルコネクタが備える第1の金属部材を示す斜視図である。
図3図1に示されるプラグコネクタが備える一対の第2の金属部材のうちの一方を示す斜視図である。
図4図1に示されるプラグコネクタが備える一対の第2の金属部材のうちの他方を示す斜視図である。
図5図1に示されるリセプタクルコネクタとプラグコネクタとが相互嵌合し、図1に示される可動操作部材が第1の静止位置をとった状態を示す斜視図である。
図6図1に示されるリセプタクルコネクタとプラグコネクタとが相互嵌合し、図1に示される可動操作部材が第1の静止位置をとった状態を示す平面図である。
図7図1に示されるリセプタクルコネクタとプラグコネクタとが相互嵌合し、図1に示される可動操作部材が第1の静止位置をとった状態を示す側面図である。
図8図5における二点鎖線枠A内を拡大して示す部分斜視図である。
図9図6における二点鎖線枠B内を拡大して示す部分平面図である。
図10図6における X−X 線断面を示す断面図である。
図11図1に示される可動操作部材が第1の静止位置をとるもとでの当該可動操作部材と図3及び図4に示される第2の金属部材との相互係合状態を示す斜視図である。
図12図10における二点鎖線枠C内を拡大して示す部分断面図である。
図13図1に示されるリセプタクルコネクタとプラグコネクタとが相互嵌合し、図1に示される可動操作部材が第2の静止位置をとった状態を示す斜視図である。
図14図1に示されるリセプタクルコネクタとプラグコネクタとが相互嵌合し、図1に示される可動操作部材が第2の静止位置をとった状態を示す平面図である。
図15図1に示されるリセプタクルコネクタとプラグコネクタとが相互嵌合し、図1に示される可動操作部材が第2の静止位置をとった状態を示す側面図である。
図16図13における二点鎖線枠D内を拡大して示す部分斜視図である。
図17図14における二点鎖線枠E内を拡大して示す部分平面図である。
図18図14における XVIII−XVIII 線断面を示す断面図である。
図19図1に示される可動操作部材が第1の静止位置から第2の静止位置に移行する過程にあるもとでの当該可動操作部材と図3及び図4に示される第2の金属部材との相互係合状態を示す斜視図である。
図20図1に示される可動操作部材が第2の静止位置をとるもとでの当該可動操作部材と図3及び図4に示される第2の金属部材との相互係合状態を示す斜視図である。
図21図18における二点鎖線枠F内を拡大して示す部分断面図である。
図22図1に示されるリセプタクルコネクタとプラグコネクタとが、各々のハウジングが配線基板に固定されたもとで相互嵌合し、図1に示される可動操作部材が第1の静止位置をとった状態を示す側面図である。
図23図1に示されるリセプタクルコネクタとプラグコネクタとが、各々のハウジングが配線基板に固定されたもとで相互嵌合し、図1に示される可動操作部材が第1の静止位置をとった状態を示す斜視図である。
図24図1に示されるリセプタクルコネクタとプラグコネクタとが、各々のハウジングが配線基板に固定されたもとで相互嵌合し、図1に示される可動操作部材が第1の静止位置をとった状態を示す平面図である。
図25図22に示されるリセプタクルコネクタ及びプラグコネクタにおける、可動操作部材における連結部及び可動係合係止部とプラグコネクタにおける第2の金属部材及びリセプタクルコネクタにおける固定係合係止部との係合状態を拡大して示す部分断面図である。
図26図24における二点鎖線枠G内を拡大して示す部分平面図である。
図27図22に示されるリセプタクルコネクタ及びプラグコネクタにおける、可動操作部材における連結部及び可動係合係止部とプラグコネクタにおける第2の金属部材及びリセプタクルコネクタにおける固定係合係止部との係合状態を拡大して示す部分断面図である。
図28図22に示されるリセプタクルコネクタ及びプラグコネクタにおける、可動操作部材における連結部及び可動係合係止部とプラグコネクタにおける000金属部材及びリセプタクルコネクタにおける固定係合係止部との係合状態を拡大して示す部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本願発明を実施するための形態は、以下に述べられる本願発明についての実施例をもって説明される。
【実施例】
【0032】
図1は、本願発明に係る相互係合コネクタ装置の一例を構成する第1のコネクタを成すリセプタクルコネクタ11,第2のコネクタを成すプラグコネクタ12及び可動操作部材13を相互に分離された状態をもって示す。
【0033】
図1に示されるリセプタクルコネクタ11は、合成樹脂等の絶縁材料によって形成されたハウジング15(第1のハウジング)を備えており、リセプタクルコネクタ11が実用に供される際には、ハウジング15は、後述される図7に仮想線をもって示されている一対の相互に対面近接するものとされた配線基板16及び29のうちの下方側に位置する配線基板16における図7において上方に向いた面(以下、上面という。)に固定される。以下においては、ハウジング15は配線基板16の上面に固定されているものとする。
【0034】
ハウジング15には、各々が弾性を有した導電性板材により形成された屈曲帯状部材を成す複数のリセプタクル側コンタクト17(第1のコンタクト)が、相互対向する2個の列を成して配列配置されている。複数のリセプタクル側コンタクト17の夫々には、配線基板16の上面に設けられた配線端子部16a(後述される図23に示されている。)に接続される基板接続部17aと、後述されるプラグコネクタ12に備えられるプラグ側コンタクトに当接する接触接続部17bとが、夫々帯状部材の両端部分を成すものとして設けられている。
【0035】
また、ハウジング15には、第1の金属部材18が固定されている。第1の金属部材18は、図2に単独で示されていて、斯かる図2から明瞭に把握できるように、全体として矩形筒状体を成しており、ハウジング15の外周面部を配線基板16の上面に沿って包囲するものとされている。そして、第1の金属部材18には、配線基板16の上面に連結される複数の基板連結部19が設けられているとともに、一対の固定係合係止部20及び21が形成されている。第1の金属部材18は、それに設けられた複数の基板連結部19が、配線基板16の上面に連結されることにより、ハウジング15と共に配線基板16に固定される。それにより、第1の金属部材18は、ハウジング15の配線基板16に対する固定に寄与するものとなっている。また、一対の固定係合係止部20及び21は、各々がハウジング15における複数のリセプタクル側コンタクト17の配列方向 (以下、第1のコンタクト配列方向という。)の両端部22に対応する位置に夫々配されていて、固定係合係止部20に、例えば、切欠き部20a(図1)が形成されており、また、固定係合係止部21に、例えば、切欠き部21aが形成されている。固定係合係止部20及び21の夫々は、それに対して後述される可動操作部材13に設けられる可動係合係止部が係合係止状態をとるものとされている。
【0036】
このようにして第1の金属部材18に設けられた一対の固定係合係止部20及び21は、配線基板16の上面に沿うとともに第1のコンタクト配列方向に沿う方向において相互対向するものとされている。
【0037】
図1に示されるプラグコネクタ12は、合成樹脂等の絶縁材料によって形成されたハウジング23(第2のハウジング)を備えており、プラグコネクタ12が実用に供される際には、ハウジング23は、後述される図7に仮想線をもって示されている一対の相互に対面近接するものとされた配線基板16及び29のうちの上方側に位置する配線基板29における図7において下方に向いた面(以下、下面という。)に固定される。以下においては、ハウジング23は配線基板29の下面に固定されているものとする。
【0038】
ハウジング23には、各々が弾性を有した導電性板材により形成された屈曲帯状部材を成す複数のプラグ側コンタクト24(第2のコンタクト)が、相互対向する2個の列を成して配列配置されている。複数のプラグ側コンタクト24の夫々には、配線基板29の下面に設けられた配線端子部(図示が省略されている。)に接続される基板接続部24aと、第1のコネクタを成すリセプタクルコネクタ11が備えるリセプタクル側コンタクト17に設けられた接触接続部17bに当接するものとされる接触接続部(図示が省略されている。)とが、プラグ側コンタクト24の両端部分を成すものとして設けられている。
【0039】
ハウジング23は、配線基板29の下面に対接する平板状部25を有している。そして、平板状部25の外面部には、複数のプラグ側コンタクト24に設けられた基板接続部24aが配列配置されている。
【0040】
さらに、ハウジング23には、複数のプラグ側コンタクト24の配列方向(以下、第2のコンタクト配列方向という。)における両端部である一対の端部26に、一対の第2の金属部材を成す金属部材27及び金属部材28が、第2のコンタクト配列方向において相互対向するものとして夫々取り付けられている。
【0041】
金属部材27は、図3に示されるように、ハウジング23における一対の端部26の一方の外周面部を覆うコ字状部30を有しており、コ字状部30における中央部分30aには、透孔31(図1にあらわれている。)が形成されており、また、コ字状部30における中央部分30aの両端部から伸びて相互対向する一対の側壁部分の夫々には、基板連結部32が設けられており、さらに、コ字状部30における一対の側壁部分のうちの一方の自由端部には、それから伸びるカム部33が金属部材27の一部を成すものとして設けられている。カム部33は、第1の端面部34a及び第2の端面部34bを含んだカム端面34を有している。透孔31は、それを後述される可動操作部材13に設けられる可動係合係止部が係合するものとされており、また、カム部33は、それに設けられたカム端面34に従って可動操作部材13が変位するものとされている。
【0042】
また、金属部材28は、図4に示されるように、ハウジング23における一対の端部26の他方の外周面部を覆うコ字状部35を有しており、コ字状部35における中央部分35aに透孔36が形成されており、また、コ字状部35における中央部分35aの両端部から伸びて相互対向する一対の側壁部分の夫々には、基板連結部37が設けられており、さらに、コ字状部35における一対の側壁部分のうちの一方の自由端部には、それから伸びるカム部38が金属部材28の一部を成すものとして設けられている。カム部38は、第1の端面部39a及び第2の端面部39bを含んだカム端面39を有している。コ字状部35における中央部分35aに形成された透孔36は、それを後述される可動操作部材13に設けられる可動係合係止部が係合するものとされており、また、カム部38は、それに設けられたカム端面39に従って可動操作部材13が変位するものとされている。
【0043】
ハウジング23における一対の端部26に夫々取り付けられた、一対の第2の金属部材を成す金属部材27及び金属部材28は、金属部材27における一対の基板連結部32及び金属部材28における一対の基板連結部37が、配線基板29の下面に連結されることにより、ハウジング23と共に配線基板29に固定される。それにより、一対の第2の金属部材を成す金属部材27及び金属部材28は、ハウジング23の配線基板29に対する固定に寄与するものとなっている。
【0044】
図1に示される可動操作部材13は、その全体が、例えば、弾性を有した棒状金属材料に屈曲加工が施されて形成された屈曲棒状体を成すものとされており、プラグコネクタ12のハウジング23に移動可能に配されて、ハウジング23に対して伏した第1の静止位置とハウジング23に対して起き上がった第2の静止位置とを選択的にとる。そして、可動操作部材13は、プラグコネクタ12のハウジング23に対して移動可能に配されたとき、第2のコンタクト配列方向に直線的に伸びることになる中間部40と、中間部40の両端部から夫々屈曲して伸びる一対の連結部41及び42と、連結部41からさらに屈曲して伸びる端部43と、連結部42からさらに屈曲して伸びる端部44とを有している。
【0045】
連結部41は、第1の連結部分41a,第2の連結部分41b及び第3の連結部分41cを含んで屈曲して伸びて、中間部40の一端と端部43とを連結するものとされている。また、連結部42も、第1の連結部分42a,第2の連結部分42b及び第3の連結部分42cを含んで屈曲して伸びて、中間部40の他端と端部44とを連結するものとされている。
【0046】
端部43は、可動操作部材13の一端部であって、プラグコネクタ12における金属部材27のコ字状部30における中央部分に形成された透孔31に係合して金属部材27を貫通し、金属部材27によって支持される可動係合係止部を成している(以下、端部43を可動係合係止部43という。)。同様に、端部44は、可動操作部材13の他端部であって、プラグコネクタ12における金属部材28のコ字状部35における中央部分に形成された透孔36に係合して金属部材28を貫通し、金属部材28によって支持される可動係合係止部を成している(以下、端部44を可動係合係止部44という。)。
【0047】
このように構成された可動操作部材13は、その一端部における可動係合係止部43がプラグコネクタ12における金属部材27に形成された透孔31に係合して金属部材27を貫通し、金属部材27によって支持されるとともに、その他端部における可動係合係止部44がプラグコネクタ12における金属部材28に形成された透孔36に係合して金属部材28を貫通し、金属部材28によって支持された状態をもって、プラグコネクタ12のハウジング23に移動可能に配される。
【0048】
このようなもとで、移動可能に配された可動操作部材13を伴ったプラグコネクタ12のハウジング23が固定された配線基板29における下面が、リセプタクルコネクタ11のハウジング15が固定された配線基板16における上面に対向するものとされて、配線基板29が配線基板16に対面近接して重ね合わせられるとき、第1のコネクタを成すリセプタクルコネクタ11と第2のコネクタを成すプラグコネクタ12とが相互係合状態をとる。斯かる際には、図5〜7及び図13〜15に示されるように、プラグコネクタ12のハウジング23がリセプタクルコネクタ11のハウジング15に嵌合するものとされる。なお、図5(斜視図),図6(平面図),図13(斜視図)及び図14(平面図)においては、便宜上、配線基板16及び29の図示が省略されており、図7(側面図)及び図15(側面図)においては、便宜上、配線基板16及び29の夫々が仮想線をもってあらわされている。
【0049】
このとき、プラグコネクタ12のハウジング23に配列配置された複数のプラグ側コンタクト24が夫々有する複数の接触接続部が、リセプタクルコネクタ11のハウジング15に配列配置された複数のリセプタクル側コンタクト17が夫々有する複数の接触接続部17bに当接して、複数のプラグ側コンタクト24と複数のリセプタクル側コンタクト17とが夫々電気的に相互接続状態におかれる。
【0050】
図5〜7に示される相互係合状態におかれたリセプタクルコネクタ11及びプラグコネクタ12にあっては、プラグコネクタ12のハウジング23に移動可能に配された可動操作部材13が、ハウジング23に対して伏した第1の静止位置をとるものとされている。斯かるもとでは、図5における二点鎖線枠A内を拡大図示する図8図6における二点鎖線枠B内を拡大図示する図9、及び、図6における X−X 線断面をあらわす図10に示されるように、可動操作部材13の連結部41における第2の連結部分41bが、プラグコネクタ12の金属部材27に設けられたカム部33におけるカム端面34に含まれる第1の端面部34aに当接して位置決めされる。同様に、図示は省略されているが、可動操作部材13の連結部42における第2の連結部分42bも、プラグコネクタ12の金属部材28に設けられたカム部38におけるカム端面39に含まれる第1の端面部39aに当接して位置決めされる。このように、連結部41における第2の連結部分41bがカム部33におけるカム端面34に含まれる第1の端面部34aに当接して位置決めされるとともに、連結部42における第2の連結部分42bがカム部38におけるカム端面39に含まれる第1の端面部39aに当接して位置決めされるものとされた可動操作部材13は、カム部33及びカム部38によって連結部41と連結部42とを相互離隔させるように弾性変形せしめられたものとされる。それにより、可動操作部材13は、連結部41から屈曲して伸びて、プラグコネクタ12における金属部材27に形成された透孔31に係合して金属部材27を貫通し、金属部材27によって支持された可動係合係止部43を、金属部材27の外方に向けて変位させるとともに、連結部42から屈曲して伸びて、プラグコネクタ12における金属部材28に形成された透孔36に係合して金属部材28を貫通し、金属部材28によって支持された可動係合係止部44を、金属部材28の外方に向けて変位させる状態におかれる。
【0051】
図11は、斯かる際における第1の静止位置をとる状態にある可動操作部材13とプラグコネクタ12の金属部材27及び28との相互係合状態を、プラグコネクタ12及び金属部材27及び28のみを取り出して示している。図11に示されるように、第1の静止位置をとって、カム部33及びカム部38によって連結部41と連結部42とを相互離隔させるように弾性変形せしめられた可動操作部材13は、可動係合係止部43を透孔31を通じて金属部材27のコ字状部30における中央部分30aからその外部へと突出させ、また、可動係合係止部44を透孔36を通じて金属部材28のコ字状部35における中央部分35a からその外部へと突出させる。
【0052】
上述のようにして、第1のコネクタを成すリセプタクルコネクタ11と第2のコネクタを成すプラグコネクタ12とが相互係合状態をとるものとされたときには、プラグコネクタ12に備えられた金属部材27のコ字状部30における透孔31が形成された中央部分30aが、リセプタクルコネクタ11に備えられた第1の金属部材18における切欠き部21aが形成された固定係合係止部21に近接対向する位置に配されるとともに、プラグコネクタ12に備えられた金属部材28のコ字状部35における透孔36が形成された中央部分35aが、リセプタクルコネクタ11に備えられた第1の金属部材18における切欠き部20aが形成された固定係合係止部20に近接対向する位置に配される。
【0053】
そして、可動操作部材13が、ハウジング23に対して伏した第1の静止位置をとるものとされると、図10及び図10における二点鎖線枠C内を拡大図示する図12に示されるように、前述のようにして、プラグコネクタ12に備えられた金属部材27のコ字状部30における中央部分30aに形成された透孔31を通じて金属部材27のコ字状部30における中央部分30aの外部へと突出する、可動操作部材13における可動係合係止部43が、リセプタクルコネクタ11に備えられた第1の金属部材18における固定係合係止部21に形成された切欠き部21aに係合して、固定係合係止部21に対する係合係止状態をとる。また、それとともに、図10に示されるように、前述のようにして、プラグコネクタ12に備えられた金属部材28のコ字状部35における中央部分35aに形成された透孔36を通じて金属部材28のコ字状部35における中央部分35aの外部へと突出する、可動操作部材13における可動係合係止部44が、リセプタクルコネクタ11に備えられた第1の金属部材18における固定係合係止部20に形成された切欠き部20aに係合して、固定係合係止部20に対する係合係止状態をとる。
【0054】
斯かる際には、図12に示されるように、可動操作部材13における可動係合係止部43が、その中心軸方向が金属部材27のコ字状部30における透孔31が形成された中央部分30aに対して直交することになる姿勢をとるものとされ、また、可動操作部材13における可動係合係止部44が、その中心軸方向が金属部材28のコ字状部35における透孔36が形成された中央部分35aに対して直交することになる姿勢をとるものとされる。
【0055】
このようにして、可動操作部材13における可動係合係止部43がリセプタクルコネクタ11に備えられた第1の金属部材18に設けられた固定係合係止部21に対する係合係止状態をとるとともに、可動操作部材13における可動係合係止部44がリセプタクルコネクタ11に備えられた第1の金属部材18に設けられた固定係合係止部20に対する係合係止状態をとるもとにあっては、第1の静止位置をとる可動操作部材13が、プラグコネクタ12のハウジング23をリセプタクルコネクタ11のハウジング15に対して機械的に係止することになる。そして、可動操作部材13によってプラグコネクタ12のハウジング23がリセプタクルコネクタ11のハウジング15に対して機械的に係止されることにより、リセプタクルコネクタ11とプラグコネクタ12との相互係合状態が安定に維持される。
【0056】
続いて、可動操作部材13が、図5〜7に示されるハウジング23に対して伏した第1の静止位置から、図13〜15に示されるハウジング23に対して起き上がった第2の静止位置に移行するものとされると、斯かる移行にあたり、可動操作部材13の連結部41が、プラグコネクタ12の金属部材27に設けられたカム部33のカム端面34に案内されて移動するとともに、可動操作部材13の連結部42が、プラグコネクタ12の金属部材28に設けられたカム部38のカム端面39に案内されて移動する。
【0057】
そして、可動操作部材13が第2の静止位置への移行を完了したときには、図13における二点鎖線枠D内を拡大図示する図16図14における二点鎖線枠E内を拡大図示する図17、及び、図14における XVIII−XVIII 線断面をあらわす図18に示されるように、可動操作部材13の連結部41における第3の連結部分41cが、プラグコネクタ12の金属部材27に設けられたカム部33におけるカム端面34に含まれる第2の端面部34bに当接して位置決めされる。同様に、図示は省略されているが、可動操作部材13の連結部42における第3の連結部分42cも、プラグコネクタ12の金属部材28に設けられたカム部38におけるカム端面39に含まれる第2の端面部39bに当接して位置決めされる。このように、連結部41における第3の連結部分41cがカム部33におけるカム端面34に含まれる第2の端面部34bに当接して位置決めされるとともに、連結部42における第3の連結部分42cがカム部38におけるカム端面39に含まれる第2の端面部39bに当接して位置決めされるものとされた可動操作部材13は、カム部33及びカム部38によって連結部41と連結部42とを相互離隔させるように弾性変形せしめられた状態から、自らの弾性によって連結部41と連結部42とを互いに近付き合う方向に移動させて、弾性変形せしめられていない元の状態に戻るものとされる。それにより、可動操作部材13は、連結部41から屈曲して伸びて、プラグコネクタ12における金属部材27に形成された透孔31に係合して金属部材27を貫通し、金属部材27によって支持された可動係合係止部43を、金属部材27の内側に向けて変位させるとともに、連結部42から屈曲して伸びて、プラグコネクタ12における金属部材28に形成された透孔36に係合して金属部材28を貫通し、金属部材28によって支持された可動係合係止部44を、金属部材28の内側に向けて変位させる状態におかれる。
【0058】
図19は、斯かる際において第1の静止位置から第2の静止位置に移行する過程にある可動操作部材13とプラグコネクタ12の金属部材27及び28との相互係合状態を、可動操作部材13及び金属部材27及び28のみを取り出して示している。さらに、図20は、第2の静止位置をとる可動操作部材13とプラグコネクタ12の金属部材27及び28との相互係合状態を、可動操作部材13及び金属部材27及び28のみを取り出して示している。
【0059】
図20に示されるように、第2の静止位置をとって、弾性変形せしめられていない元の状態に戻った可動操作部材13は、可動係合係止部43を、透孔31を通じて金属部材27のコ字状部30における中央部分30aの内側へ引き込んで、リセプタクルコネクタ11に備えられた第1の金属部材18に設けられた固定係合係止部21から離隔させるべく変位させ、また、可動係合係止部44を、透孔36を通じて金属部材28のコ字状部35における中央部分35aの内側へ引き込んで、リセプタクルコネクタ11に備えられた第1の金属部材18に設けられた固定係合係止部20から離隔させるべく変位させる。
【0060】
上述のようにして、第1のコネクタを成すリセプタクルコネクタ11と第2のコネクタを成すプラグコネクタ12とが相互係合状態をとるもとで、可動操作部材13が、ハウジング23に対して起き上がった第2の静止位置をとるものとされると、図18及び図18における二点鎖線枠F内を拡大図示する図21に示されるように、前述のようにして、プラグコネクタ12に備えられた金属部材27のコ字状部30における中央部分30aに形成された透孔31を通じて金属部材27のコ字状部30における中央部分30aの内側に引き込まれ、リセプタクルコネクタ11に備えられた第1の金属部材18に設けられた固定係合係止部21から離隔すべく変位せしめられた可動操作部材13における可動係合係止部43が、リセプタクルコネクタ11に備えられた第1の金属部材18における固定係合係止部21に形成された切欠き部21aとの係合を解除し、固定係合係止部21に対する係合係止解除状態をとる。また、それとともに、図18に示されるように、前述のようにして、プラグコネクタ12に備えられた金属部材28のコ字状部35における中央部分35aに形成された透孔36を通じて金属部材28のコ字状部35における中央部分35aの内側に引き込まれ、リセプタクルコネクタ11に備えられた第1の金属部材18に設けられた固定係合係止部20から離隔すべく変位せしめられた可動操作部材13における可動係合係止部44が、リセプタクルコネクタ11に備えられた第1の金属部材18における固定係合係止部20に形成された切欠き部20aとの係合を解除し、固定係合係止部20に対する係合係止解除状態をとる。
【0061】
斯かる際には、図21に示されるように、可動操作部材13における可動係合係止部43が、その中心軸方向が金属部材27のコ字状部30における透孔31が形成された中央部分30aに対して傾斜することになる姿勢をとるものとされ、また、可動操作部材13における可動係合係止部44が、その中心軸方向が金属部材28のコ字状部35における透孔36が形成された中央部分35aに対して傾斜することになる姿勢をとるものとされる。
【0062】
このようにして、可動操作部材13における可動係合係止部43がリセプタクルコネクタ11に備えられた第1の金属部材18に設けられた固定係合係止部21に対する係合係止解除状態をとるとともに、可動操作部材13における可動係合係止部44がリセプタクルコネクタ11に備えられた第1の金属部材18に設けられた固定係合係止部20に対する係合係止解除状態をとるもとにあっては、第の静止位置をとる可動操作部材13が、プラグコネクタ12のハウジング23をリセプタクルコネクタ11のハウジング15に対する機械的な係止から解放することになる。そして、可動操作部材13によってプラグコネクタ12のハウジング23がリセプタクルコネクタ11のハウジング15に対する機械的な係止から解放されることにより、リセプタクルコネクタ11とプラグコネクタ12との相互分離が可能とされる。
【0063】
図22は、上述の本願発明に係る相互係合コネクタ装置の一例を構成するリセプタクルコネクタ11,プラグコネクタ12及び可動操作部材13について、リセプタクルコネクタ11が、そのハウジング15が配線基板16の上面に固定されたものとされるとともに、プラグコネクタ12が、そのハウジング23が配線基板29とは異なる配線基板50の下面に固定されたものとされたもとで、配線基板50における下面が配線基板16における上面に対向するものとされて配線基板50が配線基板16に対面近接して重ね合わされて、リセプタクルコネクタ11とプラグコネクタ12とが相互係合状態をとり、さらに、可動操作部材13が第1の静止位置をとるものとされた状態を示す。
【0064】
図23(斜視図)及び図24(平面図)に示されるように、プラグコネクタ12のハウジング23が下面に固定された配線基板50には、一対の透孔51及び52が設けられている。透孔51は、それを可動操作部材13における連結部41における第3の連結部分41c、即ち、可動操作部材13における一端部である可動係合係止部43の近傍部分が貫通する位置に形成されており、また、透孔52は、それを可動操作部材13における連結部42における第3の連結部分42c、即ち、可動操作部材13における他端部である可動係合係止部44の近傍部分が貫通する位置に形成されている。そして、配線基板50における下面に対向する上面の外部から、透孔51を通じて、可動操作部材13における連結部41及び可動係合係止部43についてのプラグコネクタ12における金属部材27及びリセプタクルコネクタ11に備えられた第1の金属部材18における固定係合係止部21との係合状態を覗き観ることができ、同様に、配線基板50の上面の外部から、透孔52を通じて、可動操作部材13における連結部42及び可動係合係止部44についてのプラグコネクタ12における金属部材28及びリセプタクルコネクタ11に備えられた第1の金属部材18における固定係合係止部20との係合状態を覗き観ることができる。
【0065】
また、リセプタクルコネクタ11のハウジング15が上面に固定された配線基板16には、複数の配線端子部16aが配列配置されている。これら複数の配線端子部16aには、リセプタクルコネクタ11における複数のリセプタクル側コンタクト17の基板接続部17aが夫々接続されている。
【0066】
リセプタクルコネクタ11とプラグコネクタ12とが相互係合状態をとり、可動操作部材13が第1の静止位置をとったもとで、図25に示されるように、可動操作部材13における可動係合係止部43が、プラグコネクタ12に備えられた金属部材27のコ字状部30における中央部分30aに形成された透孔31を通じて金属部材27のコ字状部30における中央部分30aの外部へと突出し、リセプタクルコネクタ11に備えられた第1の金属部材18における固定係合係止部21に形成された切欠き部21aに係合して、固定係合係止部21に対する係合係止状態を適正にとるものとされるときには、図24における二点鎖線枠G内を拡大して示す図26に示されるように、配線基板50の上面の外部から配線基板50に設けられた透孔51を通じて覗き観ることができる、可動操作部材13における連結部41及び可動係合係止部43についてのプラグコネクタ12における金属部材27及びリセプタクルコネクタ11に備えられた第1の金属部材18における固定係合係止部21との係合状態にあっては、可動操作部材13における可動係合係止部43が、その大部分がプラグコネクタ12に備えられた金属部材27及びリセプタクルコネクタ11に備えられた第1の金属部材18における固定係合係止部21によって隠され、その僅かな部分が金属部材27と固定係合係止部21との間において見えるに過ぎないものとされる。
【0067】
また、斯かる際、図示は省略されているが、可動操作部材13における可動係合係止部44が、プラグコネクタ12に備えられた金属部材28のコ字状部35における中央部分35aに形成された透孔36を通じて金属部材28のコ字状部35における中央部分35aの外部へと突出し、リセプタクルコネクタ11に備えられた第1の金属部材18における固定係合係止部20に形成された切欠き部20aに係合して、固定係合係止部20に対する係合係止状態を適正にとるものとされるときには、配線基板50の上面の外部から配線基板50に設けられた透孔52を通じて覗き観ることができる、可動操作部材13における連結部42及び可動係合係止部44についてのプラグコネクタ12における金属部材28及びリセプタクルコネクタ11に備えられた第1の金属部材18における固定係合係止部20との係合状態にあっては、可動操作部材13における可動係合係止部44が、その大部分がプラグコネクタ12に備えられた金属部材28及びリセプタクルコネクタ11に備えられた第1の金属部材18における固定係合係止部20によって隠され、その僅かな部分が金属部材28と固定係合係止部20との間において見えるに過ぎないものとされる。
【0068】
それに対して、リセプタクルコネクタ11とプラグコネクタ12とが相互係合状態をとり、可動操作部材13が第1の静止位置をとったもとで、例えば、図27に示されるように、可動操作部材13における可動係合係止部43が、プラグコネクタ12に備えられた金属部材27のコ字状部30における中央部分30aに形成された透孔31を通じて金属部材27のコ字状部30における中央部分30aの外部へと突出するが、リセプタクルコネクタ11に備えられた第1の金属部材18における固定係合係止部21に形成された切欠き部21aには係合せず、固定係合係止部21に対する係合係止状態を適正にとるものとされないときには、図28に示されるように、配線基板50の上面の外部から配線基板50に設けられた透孔51を通じて覗き観ることができる、可動操作部材13における連結部41及び可動係合係止部43についてのプラグコネクタ12における金属部材27及びリセプタクルコネクタ11に備えられた第1の金属部材18における固定係合係止部21との係合状態にあっては、可動操作部材13における可動係合係止部43が、その一部分がプラグコネクタ12に備えられた金属部材27によって隠されるが、他の部分はリセプタクルコネクタ11に備えられた第1の金属部材18における固定係合係止部21によって隠されることなく、固定係合係止部21の上方に見えるものとされる。
【0069】
また、斯かる際、図示は省略されているが、例えば、可動操作部材13における可動係合係止部44が、プラグコネクタ12に備えられた金属部材28のコ字状部35における中央部分35aに形成された透孔36を通じて金属部材28のコ字状部35における中央部分35aの外部へと突出するが、リセプタクルコネクタ11に備えられた第1の金属部材18における固定係合係止部20に形成された切欠き部20aには係合せず、固定係合係止部20に対する係合係止状態を適正にとるものとされないときには、配線基板50の上面の外部から配線基板50に設けられた透孔52を通じて覗き観ることができる、可動操作部材13における連結部42及び可動係合係止部44についてのプラグコネクタ12における金属部材28及びリセプタクルコネクタ11に備えられた第1の金属部材18における固定係合係止部20との係合状態にあっては、可動操作部材13における可動係合係止部44が、その一部分がプラグコネクタ12に備えられた金属部材28によって隠されるが、他の部分はリセプタクルコネクタ11に備えられた第1の金属部材18における固定係合係止部20によって隠されることなく、固定係合係止部20の上方に見えるものとされる。
【0070】
従って、プラグコネクタ12がそのハウジング23が配線基板50の下面に固定されたものとされたときには、配線基板50における下面が配線基板16における上面に対向するものとされて配線基板50が配線基板16に体面近接して重ね合わされて、リセプタクルコネクタ11とプラグコネクタ12とが相互係合状態をとり、さらに、可動操作部材13が第1の静止位置をとるものとされたもとにおいて、配線基板50に一対の透孔51及び52が設けられていることにより、配線基板50の上面の外部から、透孔51を通じて、可動操作部材13における可動係合係止部43が固定係合係止部21に対する係合係止状態を適正にとるものとされていることを視覚的に確認することができ、また、配線基板50の上面の外部から、透孔52を通じて、可動操作部材13における可動係合係止部44が固定係合係止部20に対する係合係止状態を適正にとるものとされていることを視覚的に確認することができることになる。
【0071】
上述のようなリセプタクルコネクタ11とプラグコネクタ12と可動操作部材13とを含んで構成される本願発明に係る相互係合コネクタ装置の一例においては、リセプタクルコネクタ11とプラグコネクタ12とが相互係合状態をとるもとで、可動操作部材13の両端部分の夫々が成す可動係合係止部43及び44が、リセプタクルコネクタ11における第1の金属部材18に形成された固定係合係止部21及び20に対する係合係止状態をとって、プラグコネクタ12のハウジング23をリセプタクルコネクタ11のハウジング15に対して機械的に係止するときには、可動操作部材13が、プラグコネクタ12が備えるカム部33及び38によって弾性変形せしめられた状態にあり、また、可動係合係止部43及び44が固定係合係止部21及び20に対する係合係止解除状態をとって、プラグコネクタ12のハウジング23をリセプタクルコネクタ11のハウジング15に対する機械的な係止から解放するときには、可動操作部材13が、プラグコネクタ12が備えるカム部33及び38によって弾性変形せしめられた状態から元の状態に戻される。このように、プラグコネクタ12のハウジング23がリセプタクルコネクタ11のハウジング15に対して機械的に係止されるときには、両端部分の夫々が可動係合係止部43及び44を成すものとされた可動操作部材13が弾性変形せしめられ、それにより可動係合係止部43及び44に固定係合係止部21及び20に対する係合係止状態を強制的にとらせるので、たとえ、プラグコネクタ12のハウジング23がリセプタクルコネクタ11のハウジング15に対して機械的に係止される状態と、プラグコネクタ12のハウジング23がリセプタクルコネクタ11のハウジング15に対する機械的な係止から解放される状態とが繰り返される場合においても、弾性変形せしめられた可動操作部材13の両端部分が成す可動係合係止部43及び44を、固定係合係止部21及び20に対する係合係止状態を適正かつ確実にとるものとすることができ、その結果、プラグコネクタ12のハウジング23についてのリセプタクルコネクタ11のハウジング15に対する係止を十分な信頼性をもって安定に行うことがでる。
【0072】
また、本願発明に係る相互係合コネクタ装置の一例にあっては、可動操作部材13の両端部分が成す可動係合係止部43及び44がプラグコネクタ12における第2の金属部材を成す金属部材27及び28を夫々貫通して支持されるとともに、固定係合係止部21及び20がリセプタクルコネクタ11における第1の金属部材18に形成されており、それにより、大なる剛性を有した金属部材27及び28を夫々貫通して支持された可動係合係止部43及び44が、大なる剛性を有した第1の金属部材18に形成された固定係合係止部21及び20に対する係合係止状態をとるものとされる。それゆえ、例えば、リセプタクルコネクタ11及びプラグコネクタ12の夫々の小型・軽量化が図られて、プラグコネクタ12のハウジング23及びリセプタクルコネクタ11のハウジング15の夫々の肉厚等が低減せしめられるもとにあっても、可動係合係止部43及び44による固定係合係止部21及び20に対する係合係止を強固に行うことができ、その結果、プラグコネクタ12のハウジング23についてのリセプタクルコネクタ11のハウジング15に対する係止を十分な信頼性をもって堅固に行うことがでる。
【0073】
さらに、本願発明に係る相互係合コネクタ装置の一例においては、可動係合係止部43及び44による固定係合係止部21及び20に対する係合係止を解除するにあたっての操作は、プラグコネクタ12のハウジング23に変位可能に配されて第1の静止位置と第2の静止位置とを選択的にとることができる可動操作部材13を、第1の静止位置から第2の静止位置へと変位させることで足りるので、プラグコネクタ12のハウジング23についてのリセプタクルコネクタ11のハウジング15に対する係止の解除を、特別な工具等の使用を必要としない極めて簡単で容易な操作により確実に行うことができることになる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上のような本願発明に係る相互係合コネクタ装置は、二つの配線基板に夫々取り付けて用いることができる第1及び第2のコネクタを含み、第1及び第2のコネクタが夫々取り付けられた二つの配線基板を、対面近接重ね合わせ連結によって各々に設けられた配線部が電気的に相互接続される状態におくことができる機構を成すものであって、第1のコネクタと第2のコネクタとが相互係合した状態のもとで、第1及び第2のコネクタのうちの一方に変位可能に配される係止手段によって、第1及び第2のコネクタのうちの一方のハウジングについての第1及び第2のコネクタのうちの他方のハウジングに対する係止を十分な信頼性をもって安定かつ堅固に行うことができ、また、第1及び第2のコネクタのうちの一方のハウジングについての第1及び第2のコネクタのうちの他方のハウジングに対する係止の解除を、特別な工具等の使用を必要としない極めて簡単で容易な操作により確実に行うことができるものとして、様々な電子機器等に広く適用され得るものである。
【符号の説明】
【0075】
11 ・・・リセプタクルコネクタ(第1のコネクタ), 12・・・プラグコネクタ(第のコネクタ), 13・・・可動操作部材, 15・・・ハウジング(第1のハウジング), 16,29,50・・・配線基板, 16a・・・配線端子部, 17・・・リセプタクル側コンタクト(第1のコンタクト), 17a,24a・・・基板接続部, 17b・・・接触接続部, 18・・・第1の金属部材, 19,32,37・・・基板連結部, 20,21・・・固定係合係止部, 20a,21a・・・切欠き部, 23・・・ハウジング(第2のハウジング), 24・・・プラグ側コンタクト(第2のコンタクト), 25・・・平板状部, 27,28・・・金属部材(第2の金属部材), 30,35・・・コ字状部, 31,36,51,52・・・透孔, 33,38・・・カム部, 34,39・・・カム端面, 34a,39a・・・第1の端面部, 34b,39b・・・第2の端面部, 40・・・中間部, 41,42・・・連結部, 41a,42a・・・第1の連結部分, 41b,42b・・・第2の連結部分, 41c,42c・・・第3の連結部分, 43,44・・・可動係合係止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28