(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本発明の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した制御装置に関し、以下の問題が生じることを見出した。
【0010】
図1は、既に標準化されている、H.264と呼ばれる動画像符号化方式における空間階層画像符号化装置の構成を示すブロック図である。
【0011】
空間階層画像符号化装置500は、
図1に示すように、入力画像制御部501、ダウンサンプリング部502、ベースレイヤ符号化部503、拡張レイヤ符号化部504、拡大伸張部505、および階層多重化部506を備えている。
【0012】
入力画像制御部501は、入力画像信号を各レイヤの符号化を担当する符号化部に送信する。ダウンサンプリング部502は、入力画像信号のダウンサンプリングを行い、より解像度の小さい入力画像を生成する。ベースレイヤ符号化部503は、空間階層符号化を行わない通常の画像符号化装置であり、ベースレイヤの画像符号化を行う。拡大伸張部505は、ベースレイヤの画像符号化情報を拡大または伸張して拡張レイヤの画像符号化に用いる予測情報を生成し、拡張レイヤ符号化部504に入力する。拡張レイヤ符号化部504は、予測情報を用いて入力画像制御部501から入力される入力画像信号(拡張レイヤ)の画像符号化を行う。階層多重化部506は、各階層、すなわち、ベースレイヤと拡張レイヤの符号化情報を多重化し、空間階層符号化されたビットストリームを出力する。なお、
図1に示す空間階層画像符号化装置は、例としてベースレイヤと拡張レイヤの2階層としているが、拡張レイヤ符号化部504を多段に結合することにより、複数の拡張レイヤの空間階層画像符号化を実現することができる。
【0013】
図2は、空間階層画像符号化装置の各レイヤの符号化部における入力画像の例を示す。入力画像は、1つのベースレイヤと2つの拡張レイヤからなる。ベースレイヤ(Layer1)の入力画像はSDサイズ、拡張レイヤであるLayer2の入力画像はHDサイズ、Layer3の入力画像は4K2Kサイズである。
【0014】
相対的に解像度の小さいレイヤを下位レイヤと呼び、解像度の大きいレイヤを上位レイヤと呼ぶ。すなわち、ベースレイヤが最下層の下位レイヤとなる。空間階層画像符号化は、上位レイヤの符号化を行う際、下位レイヤの予測情報を用いてレイヤ間予測を行うことにより、符号化効率を向上する。予測情報としては、イントラテクスチャ予測、動きベクトル予測、フレーム間差分予測などの情報が用いられる。なお、上位レイヤを符号化する際、下位レイヤの予測情報を用いることをレイヤ間参照(予測)と呼ぶ。空間階層画像符号化においても、通常の画像符号化で用いられる時間方向のフレーム間予測(インター予測)は用いられる。ただし、ベースレイヤのフレーム間参照関係は、全てのレイヤで一致していなければならない。
図2の点線矢印は、レイヤ間予測と、インター予測を示している。矢印の先の画像を参照情報として矢印の始点の画像が参照していることを示す。ベースレイヤのインター予測は、2枚前のフレームを参照しているので、拡張レイヤにおいても同様に2枚前のフレームを参照する。なお、レイヤ間予測を行うか否かは、ブロック単位で切り替えられる。
【0015】
図3は、既に標準化されている、H.264と呼ばれる動画像符号化方式におけるマルチビュー画像符号化装置の構成を示すブロック図である。
【0016】
マルチビュー画像符号化装置600は、
図3に示すように、入力画像制御部601、ベースビュー符号化部602、拡張ビュー符号化部603、ビュー多重化部604を備えている。
【0017】
入力画像制御部601は、必要に応じて入力画像信号から各ビュー画像を生成し、各ビュー画像を対応する各ビューの符号化部に送信する。なお、各ビューの入力画像信号が入力画像制御部601に入力されてもよい。ベースビュー符号化部602は、マルチビュー符号化を行わない通常の画像符号化装置であり、ベースビューの画像符号化を行う。また、ベースビュー符号化部602は、ベースビュー符号化部602の内部で符号化され復号化されたベースビューの再構築ビュー画像を拡張ビュー符号化部603に入力する。拡張ビュー符号化部603は、再構築ビュー画像を用いて入力画像制御部601から入力される拡張ビュー画像の画像符号化を行う。ビュー多重化部604は、各ビュー、すなわち、ベースビューと拡張ビューの符号化情報を多重化し、マルチビュー符号化されたビットストリームを出力する。なお、
図3に示すマルチビュー画像符号化装置は、例としてベースビューと拡張ビューの2つとしているが、拡張ビュー符号化部603を多段に結合することにより、複数の拡張ビューのマルチビュー画像符号化を実現することができる。
【0018】
図4は、マルチビュー画像符号化装置における各ビューの入力画像の例を示す。入力画像は、1つのベースビューと2つの拡張ビューからなる。ベースビュー(View1)、拡張ビュー(View2、View3)の画像解像度は同一である。一般的に、各ビューはわずかに違う視点から同時刻に撮影された画像であり相関を有している。現在では、立体画像(3D)の符号化方法として用いられている。
【0019】
マルチビュー画像符号化は、拡張ビューの符号化を行う際、他のビューの再構築画像を参照画像として用いてフレーム間予測を行うことにより、符号化効率を向上する。なお、拡張ビューを符号化する際、他のビューの再構築画像を用いることをビュー間参照(予測)と呼ぶ。マルチビュー画像符号化においては、通常の画像符号化で用いられる時間方向のフレーム間予測(インター予測)の参照画像として、他のビューの再構築画像が用いられる。ただし、符号化対象画像と時間的に異なる他のビューの再構築画像を参照画像として用いることはできない。
【0020】
ビュー間予測が用いられる場合には、参照するビューを選択する。
図4の点線矢印は、ビュー間予測と、インター予測を示している。拡張ビュー(View2)のビュー間予測は、ベースビュー(View1)を参照している。一方で、拡張ビュー(View3)のビュー間予測は、拡張ビュー(View2)を参照している。なお、ビュー間予測を行うか否かは、ブロック単位で切り替えられる。また、時間が異なれば、ビュー間の参照関係は異なっても良い。
【0021】
上述した空間階層画像符号化とマルチビュー画像符号化を組み合わせた符号化を行う場合、拡張ビューの拡張レイヤは、レイヤ間参照とビュー間参照が行われる。拡張ビューの拡張レイヤは、ベースビューの拡張レイヤと、拡張ビューの下位レイヤをそれぞれ復号してからでなければ復号することができず、復号処理の負荷が高く、また復号化効率が悪い。
【0022】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0024】
(実施の形態1)
図5は、本発明に係る動画像符号化方法を用いた空間階層‐マルチビュー動画像符号化装置の一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【0025】
空間階層‐マルチビュー動画像符号化装置100は、
図5に示すように、入力画像制御部101、第1ダウンサンプリング部102、ベースレイヤ符号化部103、拡張レイヤ符号化部104、第1拡大伸張部105、第2ダウンサンプリング部106、拡張ビューのベースレイヤ符号化部107、拡張ビューの拡張レイヤ符号化部108、第2拡大伸張部109、優先度決定部110、階層‐ビュー多重化部111を備えている。なお、第1ダウンサンプリング部102と第2ダウンサンプリング部106、第1拡大伸張部105と第2拡大伸張部109は、いずれも同一の機能を有しており、共用するように実装することができる。
【0026】
なお、
図5に示す空間階層‐マルチビュー動画像符号化装置は、ビューについてベースビューと拡張ビューの2つとしているが、拡張ビュー符号化部(拡張ビューのベースレイヤ符号化部107及び拡張ビューの拡張レイヤ符号化部108)を多段に結合することにより、複数の拡張ビューのマルチビュー画像符号化を実現することができる。同様に、階層についてベースレイヤと拡張レイヤの2階層としているが、拡張レイヤ符号化部104及び拡張ビューの拡張レイヤ符号化部108を多段に結合することにより、複数の拡張レイヤの空間階層画像符号化を実現することができる。
【0027】
入力画像制御部101は、入力画像信号をビューごとに分離し、各ビューの符号化を担当する符号化部に送信する。
【0028】
第1ダウンサンプリング部102(第2ダウンサンプリング部106)は、入力画像信号のダウンサンプリングを行い、より解像度の小さい入力画像を生成する。
【0029】
ベースレイヤ符号化部103は、空間階層符号化を行わない通常の画像符号化装置であり、ベースビューのベースレイヤの画像符号化を行う。そして、ベースビューのベースレイヤの再構築画像を拡張ビューのベースレイヤ符号化部107に入力する。
【0030】
第1拡大伸張部105は、ベースレイヤの画像符号化情報を拡大または伸張して拡張レイヤの画像符号化に用いる予測情報を生成し、拡張レイヤ符号化部104に入力する。
【0031】
拡張レイヤ符号化部104は、予測情報を用いて入力画像制御部101から入力される入力画像信号(ベースビューの拡張レイヤ)の画像符号化を行う。そして、ベースビューの拡張レイヤの再構築画像を優先度決定部110に入力する。
【0032】
拡張ビューのベースレイヤ符号化部107は、ベースレイヤ符号化部103によって再構築されたベースビューのベースレイヤの再構築画像を用いて、拡張ビューのベースレイヤの画像符号化を行う。
【0033】
第2拡大伸張部109は、拡張ビューのベースレイヤの画像符号化情報を拡大もしくは伸張して拡張ビューの拡張レイヤの画像符号化に用いる予測情報を生成し、優先度決定部110に入力する。
【0034】
優先度決定部110は、レイヤ間参照とビュー間参照の優先度を決定し、決定した優先度の予測情報を拡張ビューの拡張レイヤ符号化部108に送信する。
【0035】
拡張ビューの拡張レイヤ符号化部108は、優先度決定部110から送られた予測情報を用いて入力画像制御部101から入力される入力画像信号(拡張ビューの拡張レイヤ)の画像符号化を行う。
【0036】
階層‐ビュー多重化部111は、各符号化部、すなわち、ベースレイヤ符号化部103、拡張レイヤ符号化部104、拡張ビューのベースレイヤ符号化部107、拡張ビューの拡張レイヤ符号化部108から送られる符号化情報を多重化し、空間階層画像符号化かつマルチビュー画像符号化されたビットストリーム(以後、SVC-MVCビットストリームと呼ぶ)を出力する。
【0037】
次に、優先度決定部110が決定する優先度について説明する。優先度には3つのパターンがある。パターン1は、ビュー間参照が優先する。この場合は、レイヤ間参照は禁止され、レイヤ間参照のための予測情報は拡張ビューの拡張レイヤ符号化部108に送られない。したがって、拡張ビューの拡張レイヤは、ビュー間参照のみが行われる。すなわち拡張ビューのベースレイヤ符号化部107が生成した拡張ビューのベースレイヤの再構築画像は、拡張ビューの拡張レイヤ符号化部108に入力されない。
図6Aは、パターン1における入力画像の予測構造を示す図である。説明の便宜上、階層は3階層、ビューは2ビュー(3D)としている。レフトビューをベースレイヤとし、ライトビューを拡張ビューとする。ベースビューのベースレイヤ(Layer1(L))は、インター予測のみ可能である。ベースビューの拡張レイヤ(Layer2(L)、Layer3(L))は、レイヤ間予測とインター予測が可能である。拡張ビューのベースレイヤ(Layer1(R))は、ビュー間予測またはインター予測が可能である。そして、拡張ビューの拡張レイヤ(Layer2(R)、Layer3(R))は、ビュー間予測またはインター予測が可能である。パターン2は、レイヤ間参照が優先する。この場合は、ビュー間参照は禁止され、ビュー間参照のための予測情報(参照ビューの再構築画像)は拡張ビューの拡張レイヤ符号化部108に送信されない。したがって、拡張ビューの拡張レイヤは、レイヤ間参照のみが行われる。
図6Bは、パターン2における入力画像の予測構造を示す図である。拡張ビューの拡張レイヤ以外の予測構造は、
図6Aと同一である。拡張ビューの拡張レイヤ(Layer2(R)、Layer3(R))は、レイヤ間予測とインター予測が可能である。
【0038】
パターン3は、ビュー間参照とレイヤ間参照の優先度は同じである。この場合、レイヤ間参照のための予測情報とビュー間参照のための予測情報(参照ビューの再構築画像)は、両方とも拡張ビューの拡張レイヤ符号化部108に送信される。したがって、拡張ビューの拡張レイヤは、ビュー間参照とレイヤ間参照が行われる。
図6Cは、パターン3における入力画像の予測構造を示す図である。拡張ビューの拡張レイヤ以外の予測構造は、
図6Aと同一である。拡張ビューの拡張レイヤ(Layer2(R)、Layer3(R))は、レイヤ間予測とインター予測、またはレイヤ間予測もしくはインター予測が可能である。
【0039】
決定された優先度(パターン1からパターン3のいずれか)をシーケンスパラメータセット(SPS)に含めることにより、デコーダ側では、拡張ビューの拡張レイヤの予測に用いられる参照方式を知ることができるようになる。また、パターン1をデフォルト設定とすることより、優先度決定部110は、パターン1を利用する場合には、優先度をSPSに含めないようにしても良い。
【0040】
図7は、空間階層‐マルチビュー動画像符号化装置の処理フローを示す。
【0041】
優先度決定部110が優先度を決定する(ステップS101)。なお、優先度決定部110は、通信状況やエンコーダ・デコーダの演算リソースなど、さまざまな観点に基づき優先度を決定することができる。決定された優先度をシーケンスパラメータセット(SPS)に設定する(ステップS102)。なお、優先度をシーケンスの途中で変更する場合には、SPSに限らずピクチャパラメータセット(PPS)などの他のパラメータに設定することができる。符号化対象の入力画像が拡張ビューかつ拡張レイヤである場合(ステップS103のYes)に、優先度決定部110は決定された優先度に応じて、拡張ビューの拡張レイヤ符号化部108に予測情報を送信する(ステップS104)。ビュー間参照が優先する場合、ビュー間参照のための予測情報(参照ビューの再構築画像)が拡張ビューの拡張レイヤ符号化部108に送信される。拡張ビューの拡張レイヤ符号化部108は、ビュー間予測またはインター予測を行う(ステップS105)。レイヤ間参照が優先する場合、レイヤ間参照のための予測情報が拡張ビューの拡張レイヤ符号化部108に送信される。拡張ビューの拡張レイヤ符号化部108は、レイヤ間予測およびインター予測を行う(ステップS106)。ビュー間参照とレイヤ間参照の優先度が同じである場合、レイヤ間参照のための予測情報とビュー間参照のための予測情報(参照ビューの再構築画像)は、両方とも拡張ビューの拡張レイヤ符号化部108に送信される。拡張ビューの拡張レイヤ符号化部108は、レイヤ間予測およびインター予測、またはレイヤ間予測もしくはインター予測を行う(ステップS107)。
【0042】
符号化対象の入力画像が拡張ビューかつ拡張レイヤでない場合(ステップS103No)、通常の予測符号化を行う(ステップS108)。すなわち、ベースビューのベースレイヤは、インター予測符号化が行われ、ベースビューの拡張レイヤは、レイヤ間予測およびインター予測符号化が行われ、拡張ビューのベースレイヤは、ビュー間予測またはインター予測符号化が行われる。
【0043】
SVC−MVCビットストリームにおける拡張ビューの拡張レイヤの予測に用いられる参照方式をデコーダ側であらかじめ知ることができると、復号化効率が向上する。例えば、デコーダ側で拡張ビューの拡張レイヤであるLayer3(R)を復号し表示する場合、
図6Aに示すパターン1の予測構造が用いられることを知ることにより、デコーダは、Layer1(L)、Layer2(L)、Layer3(L)の画像を復号化するだけで、Layer1(R)、Layer2(R)の画像を復号化することなく、Layer3(R)の画像を復号化することができるようになる。同様に、
図6Bに示すパターン2の予測構造が用いられることを知ることにより、デコーダは、Layer1(L)、Layer1(R)、Layer2(R)の画像を復号化するだけで、Layer2(L)、Layer3(L)の画像を復号化することなく、Layer3(R)の画像を復号化することができるようになる。
【0044】
以上のように、本実施の形態によれば、レイヤ間参照とビュー間参照の優先度を決定することにより、デコーダ側での復号化効率が向上する。
【0045】
図8は、本実施の形態に係るレイヤ間予測における入力画像の予測構造を示す図である。
図8Aは、
図2に示す従来の空間階層符号化に用いられる予測構造と同様である。すなわち、第1の拡張レイヤ(Layer2)は、ベースレイヤ(Layer1)の予測情報をレイヤ間予測に用いる。また、第2の拡張レイヤ(Layer3)は、第1の拡張レイヤ(Layer2)の予測情報をレイヤ間予測に用いる。つまり、拡張レイヤは、一つ下の階層の拡張レイヤを参照する。この予測構造を順次予測構造と呼ぶ。これに対し、
図8Bに示す予測構造は、第2の拡張レイヤ(Layer3)は、第1の拡張レイヤ(Layer2)ではなく、ベースレイヤ(Layer1)の予測情報をレイヤ間予測に用いる。すなわち、全ての拡張レイヤは、ベースレイヤ(Layer1)の予測情報をレイヤ間予測に用いることになる。この予測構造をスター予測構造と呼ぶ。スター予測構造を用いると、順次予測構造を用いた場合と比較し、全階層のトータルの符号化ビット量は増加する傾向にある。しかしながら、ベースレイヤを復号化した後、上位レイヤの復号化処理を直ちに開始できるため復号化効率は高い。図示しないが、
図84に示す予測構造を一般化し、全ての拡張レイヤは、下位層の任意の拡張レイヤまたはベースレイヤを参照するようにしてもよい。その場合、例えば拡張レイヤが3層では、予測構造は順次予測構造とスター予測構造を含めて6通りとなる。順次予測構造とスター予測構造に代えて、一般化した予測構造を用いても良い。
【0046】
決定された予測構造(順次予測構造やスター予測構造など)を補足情報(SEI:Supplemental Enhancement Information)に含め、デコーダ側にSEIメッセージを送信することにより、デコーダ側では、レイヤ間予測に用いられる予測構造を知ることができるようになる。また、順次予測構造をデフォルト設定とすることより、エンコーダは、順次予測構造を利用する場合には、レイヤ間予測の予測構造を送信しないようにしても良い。
【0047】
本実施の形態に係る空間階層‐マルチビュー動画像符号化装置の図示しない予測構造制御部は、ベースビューのレイヤ間参照の予測構造と拡張ビューのレイヤ間参照の予測構造とを一致させるように制御する。具体的には、ベースビューのレイヤ間参照の予測構造に一致するように拡張ビューのレイヤ間参照の予測構造を制御する。その結果、
図6Bや
図6Cのように、ベースビューのレイヤ間参照と拡張ビューのレイヤ間参照は、いずれも順次予測構造が用いられることになる。また、ベースビューのレイヤ間参照にスター予測構造が用いられる場合、拡張ビューのレイヤ間参照にもスター予測構造が用いられる。
図9Aは、
図6Cに示す入力画像の予測構造において、レイヤ間参照をスター予測構造に変更したものである。予測構造制御部は、
図9Aのように、ベースビューのレイヤ間参照の予測構造に一致するように、拡張ビューのレイヤ間参照の予測構造を制御する。
【0048】
図示しない予測構造制御部が、このように制御することにより、デコーダ側におけるSVC−MVCビットストリームの復号化効率が向上する。例えば、デコーダ側で拡張ビューの拡張レイヤであるLayer3(R)を復号し表示する場合、
図9Aに示す予測構造が用いられると、デコーダは、Layer1(L)、Layer3(L)、Layer1(R)の画像を復号化するだけで、Layer2(L)、Layer2(R)の画像を復号化することなく、Layer3(R)の画像を復号化することができるようになる。
図9Bは、復号化効率の比較のために、各ビューのレイヤ間参照の予測構造が一致していない予測構造を示す。ベースビューのレイヤ間参照の予測構造にはスター予測構造が用いられ、拡張ビューのレイヤ間参照の予測構造には順次予測構造が用いられている。拡張ビューのレイヤ間参照の予測構造は、ベースビューのレイヤ間参照の予測構造と一致していない。このとき、デコーダ側で拡張ビューの拡張レイヤであるLayer3(R)を復号し表示する場合、Layer1(L)、Layer2(L)、Layer3(L)、Layer1(R)、Layer2(R)の全ての画像を復号化しなければならず、復号化効率は著しく低下する。
【0049】
本実施の形態によれば、拡張ビューのレイヤ間参照の予測構造をベースビューのレイヤ間参照の予測構造と一致させるように制御することにより、デコーダ側での復号化効率が向上する。
【0050】
なお、本実施の形態における動画像復号化装置及び方法は、
図5または
図7に示す全ての構成・ステップを備えていなくても良い。すなわち、
本実施の形態における一態様における動画像復号化装置では、ベースレイヤと一つ以上の拡張レイヤとからなる入力画像を空間階層符号化し、ベースビューと一つ以上の拡張ビューとをマルチビュー画像符号化する動画像符号化装置であって、前記ベースレイヤを符号化するベースレイヤ符号化部と、前記ベースレイヤ符号化部が生成した前記ベースレイヤの再構築画像を用いて、前記拡張レイヤを空間階層符号化する拡張レイヤ符号化部と、前記ベースレイヤ符号化部が生成した前記ベースレイヤの再構築画像を用いて、前記拡張ビューのベースレイヤをマルチビュー符号化する拡張ビュー・ベースレイヤ符号化部と、前記拡張レイヤ符号化部が生成した前記拡張レイヤの再構築画像を用いて、前記拡張ビューの拡張レイヤをマルチビュー符号化する拡張ビュー・拡張レイヤ符号化部と、有するとしてもよい。
【0051】
また本実施の形態における一態様における動画像復号化装置では、前記拡張ビュー・ベースレイヤ符号化部が生成した前記拡張ビューのベースレイヤの再構築画像は、前記拡張ビュー・拡張レイヤ符号化部に入力されない、としてもよい。
【0052】
また本実施の形態における一態様における動画像復号化方法では、ベースレイヤと一つ以上の拡張レイヤとからなる入力画像を空間階層符号化し、ベースビューと一つ以上の拡張ビューとをマルチビュー画像符号化する動画像符号化方法であって、前記ベースレイヤを符号化し前記ベースレイヤの再構築画像を生成するステップと、前記ベースレイヤの再構築画像を用いて、前記拡張レイヤを空間階層符号化し、前記拡張レイヤの再構築画像を生成するステップと、前記ベースレイヤの再構築画像を用いて、前記拡張ビューのベースレイヤをマルチビュー符号化するステップと、前記拡張レイヤの再構築画像を用いて、前記拡張ビューの拡張レイヤをマルチビュー符号化するステップと、を有するとしてもよい。
【0053】
(実施の形態2)
図10は、空間階層画像符号化かつマルチビュー画像符号化がなされたビットストリーム(以後、SVC−MVCビットストリームと呼ぶ)を復号化する空間階層‐マルチビュー動画像復号化装置の一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【0054】
空間階層‐マルチビュー動画像復号化装置200は、
図10に示すように、逆多重化部201、復号制御部202、逆ビュー多重化部203、第1逆階層多重化部204、ベースレイヤ復号化部205、拡張レイヤ復号化部206、第1拡大伸張部207、第2逆階層多重化部208、拡張ビューのベースレイヤ復号化部209、拡張ビューの拡張レイヤ復号化部210、第2拡大伸張部211、および切り替え器212、213、214を備えている。なお、第1逆階層多重化部204と第2逆階層多重化部208、第1拡大伸張部207と第2拡大伸張部211は、いずれも同一の機能を有しており、共用するように実装することができる。
【0055】
なお、
図10に示す空間階層‐マルチビュー動画像復号化装置は、ビューについてベースビューと拡張ビューの2つとしているが、拡張ビュー復号化部(拡張ビューのベースレイヤ復号化部209および拡張ビューの拡張レイヤ復号化部210)を多段に結合することにより、複数の拡張ビューのマルチビュー画像復号化を実現することができる。同様に、階層についてベースレイヤと拡張レイヤの2階層としているが、拡張レイヤ復号化部206および拡張ビューの拡張レイヤ復号化部210を多段に結合することにより、複数の拡張レイヤの空間階層画像復号化を実現することができる。
【0056】
逆多重化部201は、SVC−MVCビットストリームが入力されると、ビデオ符号化データと付加情報に分離する。付加情報とは、例えば、SPSやSEIなどの情報である。なお、SEIはSVC−MVCビットストリームとは別に受信する構成にしても良い。逆多重化部201は、ビデオ符号化データを逆ビュー多重化部203に送信し、付加情報を復号制御部202に送信する。
【0057】
復号制御部202は、付加情報に基づき、空間階層‐マルチビュー動画像復号化装置内部の各ユニットを制御する。なお、復号制御部202が制御に用いる制御信号については一部を除いて図示しない。
【0058】
逆ビュー多重化部203は、マルチビュー符号化されたビデオ符号化データをビュー毎の符号化データ(ベースビュー符号化データと拡張ビュー符号化データ)に分離する。
【0059】
第1逆階層多重化部204(第2逆階層多重化部208)は、階層符号化されたビデオ符号化データから各階層の符号化データ(ベースレイヤ符号化データと拡張レイヤ符号化データ)に分離し、各階層の復号化部へそれぞれ送信する。なお、本実施の形態の空間階層‐マルチビュー動画像復号化装置は、逆ビュー多重化部203が先にビュー毎の符号化データに分離し、逆階層多重化部が各ビューの符号化データを各階層の符号化データに分離する構成としているが、これに限定されない。すなわち、逆階層多重化部が先に各階層の符号化データに分離し、逆ビュー多重化部203が各階層の符号化データを各ビューの符号化データに分離する構成とすることは、当業者には自明である。
【0060】
ベースレイヤ復号化部205は、空間階層画像符号化を行わない通常の画像復号化装置であり、ベースビューのベースレイヤの画像復号化を行う。
【0061】
第1拡大伸張部207は、ベースレイヤの画像復号化情報を拡大もしくは伸張して拡張レイヤの画像復号化に用いる予測情報を生成し、拡張レイヤ復号化部206に入力する。
【0062】
拡張レイヤ復号化部206は、予測情報を用いてベースビューの拡張レイヤの画像復号化を行う。そして、再構築されたベースビューの拡張レイヤの画像を拡張ビューの拡張レイヤ符号化部に入力する。
【0063】
拡張ビューのベースレイヤ復号化部209は、ベースレイヤ復号化部205によって再構築されたベースビューのベースレイヤの画像を用いて、拡張ビューのベースレイヤの画像復号化を行う。
【0064】
第2拡大伸張部211は、拡張ビューのベースレイヤの画像復号化情報を拡大もしくは伸張して拡張ビューの拡張レイヤの画像復号化に用いる予測情報を生成し、拡張ビューの拡張レイヤ復号化部210に入力する。
【0065】
切り替え器(1)212は第1逆階層多重化部204と拡張レイヤ復号化部206との間に、切り替え器(2)213は第2逆階層多重化部208と拡張ビューのベースレイヤ復号化部209との間に、切り替え器(3)214は、第2逆階層多重化部208と拡張ビューの拡張レイヤ復号化部210との間にそれぞれ挿入される。切り替え器212、213、214は、復号制御部202によって経路のオン・オフが制御され、オフの場合にはデータは流れずに破棄される。
【0066】
図11は、空間階層‐マルチビュー動画像復号化装置の処理フローを示す。
【0067】
最初に、ターゲット復号画像が設定される(ステップS201S1)。ターゲット復号画像とは、空間階層‐マルチビュー動画像復号化装置が復号化し、図示しない表示装置に表示する画像のことである。
図6Aに示される図を例に用いると、SVC−MVCビットストリームには、Layer1(L)、Layer2(L)、Layer3(L)、Layer1(R)、Layer2(R)、Layer3(R)の6枚の符号化された画像が含まれている。しかしながら、デコーダ側の表示装置に表示されるのは、通常、選択された画像のみである。6枚の画像の中から選択した画像をターゲット復号画像と呼ぶ。なお、ターゲット復号画像の選択は、ユーザの指示で行ってもよいし、通信状況、デコーダ側の演算リソース、表示装置の解像度に基づいて決定するようにしてもよい。
【0068】
つぎに、復号制御部202は、設定されたターゲット復号画像が拡張ビューの拡張レイヤの画像(Layer2(R)、Layer3(R))であるか否かを判断する(ステップS202)。ターゲット復号画像が拡張ビューの拡張レイヤの画像である場合には、復号制御部202は、付加情報から予測構造情報(レイヤ間参照とビュー間参照の優先度情報)を取得する(ステップS203)。そして、予測構造情報に基づき、切り替え器の制御を行う(ステップS204)。切り替え器がオフに制御されると、符号化データは復号化部に入力されずに破棄される。なお、符号化データが入力されない符号化部は動作しない。符号化データが入力された復号化部は、入力された符号化データの復号化処理を行う(ステップS206)。そして、ターゲット復号画像に対応する復号化部のみが、復号された出力画像信号を図示しない表示装置に出力する。なお、ある時刻の符号化データを復号化処理(ステップS205)した後、復号制御部202が、付加情報から新たな予測構造情報を取得した場合(ステップS203)は、ステップS204に戻り、ステップS205の処理を繰り返す。例えば、シーケンスの途中で予測構造が変化した場合には、付加情報の一つであるピクチャパラメータセット(PPS)に新たな予測構造情報が含まれる。以降のシーケンスでは、取得した新たな予測構造情報に基づいて復号処理が行われる。
【0069】
ターゲット復号画像が拡張ビューの拡張レイヤの画像でない場合には、復号制御部202は、ターゲット復号画像に応じた切り替え器の制御を行う(ステップS206)。具体的には、ターゲット画像がベースビューのベースレイヤ(Layer1(L))のとき、切り替え器(1)212から切り替え器(3)214を全てオフに制御する。また、ターゲット画像がベースビューの拡張レイヤ(Layer2(L)、Layer3(L))のとき、切り替え器(2)213と切り替え器(3)214をオフに制御する。また、ターゲット画像が拡張ビューのベースレイヤ(Layer1(R))のとき、切り替え器(1)212と切り替え器(3)214をオフに制御する。
【0070】
次に、ステップS204(予測構造情報に基づく切り替え器の制御)の具体的な動作について説明する。入力画像の予測構造情報は、実施の形態1で説明したように、
図6Aから
図6Cに示されるパターン1からパターン3の予測構造を示す情報である。ターゲット復号画像は拡張ビューの拡張レイヤの画像であるLayer3(R)であるとする。
図6Aの予測構造の場合、復号制御部202は、切り替え器(1)212をオンにする。これによってベースビューの拡張レイヤ復号化部が動作し、Layer3(L)の符号化データが復号化される。一方、復号制御部202は、切り替え器(2)213をオフにする。これによってLayer1(R)の符号化データは破棄され、拡張ビューのベースレイヤ復号化部209は動作しない。さらに、復号制御部202は、切り替え器(3)214をオフにする。これによってLayer2(R)の符号化データは破棄され、拡張ビューの拡張レイヤ復号化部210は動作しない。なお、復号制御部202は、Layer3(R)の符号化データを復号化する図示しない拡張ビューの拡張レイヤ復号部に接続している図示しない切り替え器はオンに制御する。それにより、図示しない拡張ビューの拡張レイヤ復号部は動作し、再構築されたLayer3(L)に基づきLayer3(R)の符号化データは復号化される。次に、
図6Bの予測構造の場合、復号制御部202は、切り替え器(2)213と切り替え器(3)214をオンに制御する。これによって拡張ビューのベースレイヤ復号化部209が動作し、再構築されたLayer1(L)に基づきLayer1(R)の符号化データは復号化される。そして、拡張ビューの拡張レイヤ復号化部210が動作し、Layer3(R)の符号化データが復号化される。一方、復号制御部202は、切り替え器(1)212をオフに制御する。これによってLayer2(L)及びLayer3(L)の符号化データは破棄され、ベースビューの拡張レイヤ復号化部は動作しない。
【0071】
以上のように、本実施の形態によれば、予測構造情報に基づき復号化制御することにより、ターゲット復号画像の復号に必要ない画像の復号処理を省き復号化効率が向上する。
【0072】
なお、本実施の形態における動画像復号化装置及び方法は、
図10または
図11に示す全ての構成・ステップを備えていなくても良い。すなわち、
本実施の形態における一態様における動画像復号化装置では、ベースレイヤと一つ以上の拡張レイヤとからなる入力画像を空間階層符号化し、前記ベースレイヤと前記拡張レイヤをベースビューとしてそれぞれ一つ以上の拡張ビューをマルチビュー画像符号化した符号化データを、復号化する動画像復号化装置であって、前記ベースレイヤを復号化するベースレイヤ復号化部と、前記ベースレイヤ復号化部が生成した前記ベースレイヤの再構築画像を用いて、前記拡張レイヤを空間階層復号化する拡張レイヤ復号化部と、を有するとしてもよい。
【0073】
また、本実施の形態における一態様における動画像復号化装置では、ベースレイヤと一つ以上の拡張レイヤとからなる入力画像を空間階層符号化し、前記ベースレイヤと前記拡張レイヤをベースビューとしてそれぞれ一つ以上の拡張ビューをマルチビュー画像符号化した符号化データを、復号化する動画像復号化装置であって、前記ベースレイヤを復号化するベースレイヤ復号化部と、前記ベースレイヤ復号化部が生成した前記ベースレイヤの再構築画像を用いて、前記拡張ビューのベースレイヤをマルチビュー復号化する拡張ビュー・ベースレイヤ復号化部と、を有するとしてもよい。
【0074】
また、本実施の形態における一態様における動画像復号化装置では、ベースレイヤと一つ以上の拡張レイヤとからなる入力画像を空間階層画像符号化し、前記ベースレイヤと前記拡張レイヤをベースビューとして、それぞれ一つ以上の拡張ビューをマルチビュー画像符号化した符号化データを復号化する動画像復号化装置であって、前記ベースレイヤを復号化するベースレイヤ復号化部と、前記ベースレイヤ復号化部が生成した前記ベースレイヤの再構築画像を用いて、前記拡張レイヤを空間階層復号化する拡張レイヤ復号化部と、前記ベースレイヤ復号化部が生成した前記ベースレイヤの再構築画像を用いて前記拡張ビューのベースレイヤをマルチビュー復号化し、或いは前記拡張レイヤ復号化部が生成した前記拡張レイヤの再構築画像を用いて、前記拡張ビューのベースレイヤ或いは前記拡張ビューの拡張レイヤをマルチビュー復号化する、拡張ビュー復号化部と、を有するとしてもよい。
【0075】
また、本実施の形態における一態様における動画像復号化方法では、ベースレイヤと一つ以上の拡張レイヤとからなる入力画像を空間階層画像符号化し、前記ベースレイヤと前記拡張レイヤをベースビューとしてそれぞれ一つ以上の拡張ビューをマルチビュー画像符号化した符号化データを、復号化する動画像復号化方法であって、前記ベースレイヤを復号化し前記ベースレイヤの再構築画像を生成するステップと、前記ベースレイヤの再構築画像を用いて、前記拡張レイヤを空間階層復号化するステップと、を有するとしてもよい。
【0076】
また、本実施の形態における一態様における動画像復号化方法では、ベースレイヤと一つ以上の拡張レイヤとからなる入力画像を空間階層画像符号化し、前記ベースレイヤと前記拡張レイヤをベースビューとしてそれぞれ一つ以上の拡張ビューをマルチビュー画像符号化した符号化データを、復号化する動画像復号化方法であって、前記ベースレイヤを復号化し前記ベースレイヤの再構築画像を生成するステップと、前記ベースレイヤの再構築画像を用いて、前記拡張ビューのベースレイヤをマルチビュー復号化するステップと、を有するとしてもよい。
【0077】
また、本実施の形態における一態様における動画像復号化方法では、ベースレイヤと一つ以上の拡張レイヤとからなる入力画像を空間階層画像符号化し、前記ベースレイヤと前記拡張レイヤをベースビューとしてそれぞれ一つ以上の拡張ビューをマルチビュー画像符号化した符号化データを、復号化する動画像復号化方法であって、前記ベースレイヤを復号化し前記ベースレイヤの再構築画像を生成するステップと、前記ベースレイヤの再構築画像を用いて、前記拡張レイヤを空間階層復号化し、前記拡張レイヤの再構築画像を生成するステップと、前記ベースレイヤの再構築画像を用いて、前記拡張ビューのベースレイヤをマルチビュー復号化するステップと、前記拡張レイヤの再構築画像を用いて、前記拡張ビューの拡張レイヤをマルチビュー復号化するステップと、を有するとしてもよい。
【0078】
(実施の形態3)
上記各実施の形態で示した動画像符号化方法(画像符号化方法)または動画像復号化方法(画像復号方法)の構成を実現するためのプログラムを記憶メディアに記録することにより、上記各実施の形態で示した処理を独立したコンピュータシステムにおいて簡単に実施することが可能となる。記憶メディアは、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、ICカード、半導体メモリ等、プログラムを記録できるものであればよい。
【0079】
さらにここで、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法(画像符号化方法)や動画像復号化方法(画像復号方法)の応用例とそれを用いたシステムを説明する。当該システムは、画像符号化方法を用いた画像符号化装置、及び画像復号方法を用いた画像復号装置からなる画像符号化復号装置を有することを特徴とする。システムにおける他の構成について、場合に応じて適切に変更することができる。
【0080】
図12は、コンテンツ配信サービスを実現するコンテンツ供給システムex100の全体構成を示す図である。通信サービスの提供エリアを所望の大きさに分割し、各セル内にそれぞれ固定無線局である基地局ex106、ex107、ex108、ex109、ex110が設置されている。
【0081】
このコンテンツ供給システムex100は、インターネットex101にインターネットサービスプロバイダex102および電話網ex104、および基地局ex106からex110を介して、コンピュータex111、PDA(Personal Digital Assistant)ex112、カメラex113、携帯電話ex114、ゲーム機ex115などの各機器が接続される。
【0082】
しかし、コンテンツ供給システムex100は
図12のような構成に限定されず、いずれかの要素を組合せて接続するようにしてもよい。また、固定無線局である基地局ex106からex110を介さずに、各機器が電話網ex104に直接接続されてもよい。また、各機器が近距離無線等を介して直接相互に接続されていてもよい。
【0083】
カメラex113はデジタルビデオカメラ等の動画撮影が可能な機器であり、カメラex116はデジタルカメラ等の静止画撮影、動画撮影が可能な機器である。また、携帯電話ex114は、GSM(登録商標)(Global System for Mobile Communications)方式、CDMA(Code Division Multiple Access)方式、W−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)方式、若しくはLTE(Long Term Evolution)方式、HSPA(High Speed Packet Access)の携帯電話機、またはPHS(Personal Handyphone System)等であり、いずれでも構わない。
【0084】
コンテンツ供給システムex100では、カメラex113等が基地局ex109、電話網ex104を通じてストリーミングサーバex103に接続されることで、ライブ配信等が可能になる。ライブ配信では、ユーザがカメラex113を用いて撮影するコンテンツ(例えば、音楽ライブの映像等)に対して上記各実施の形態で説明したように符号化処理を行い(即ち、本発明の一態様に係る画像符号化装置として機能する)、ストリーミングサーバex103に送信する。一方、ストリーミングサーバex103は要求のあったクライアントに対して送信されたコンテンツデータをストリーム配信する。クライアントとしては、上記符号化処理されたデータを復号化することが可能な、コンピュータex111、PDAex112、カメラex113、携帯電話ex114、ゲーム機ex115等がある。配信されたデータを受信した各機器では、受信したデータを復号化処理して再生する(即ち、本発明の一態様に係る画像復号装置として機能する)。
【0085】
なお、撮影したデータの符号化処理はカメラex113で行っても、データの送信処理をするストリーミングサーバex103で行ってもよいし、互いに分担して行ってもよい。同様に配信されたデータの復号化処理はクライアントで行っても、ストリーミングサーバex103で行ってもよいし、互いに分担して行ってもよい。また、カメラex113に限らず、カメラex116で撮影した静止画像および/または動画像データを、コンピュータex111を介してストリーミングサーバex103に送信してもよい。この場合の符号化処理はカメラex116、コンピュータex111、ストリーミングサーバex103のいずれで行ってもよいし、互いに分担して行ってもよい。
【0086】
また、これら符号化・復号化処理は、一般的にコンピュータex111や各機器が有するLSIex500において処理する。LSIex500は、ワンチップであっても複数チップからなる構成であってもよい。なお、動画像符号化・復号化用のソフトウェアをコンピュータex111等で読み取り可能な何らかの記録メディア(CD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスクなど)に組み込み、そのソフトウェアを用いて符号化・復号化処理を行ってもよい。さらに、携帯電話ex114がカメラ付きである場合には、そのカメラで取得した動画データを送信してもよい。このときの動画データは携帯電話ex114が有するLSIex500で符号化処理されたデータである。
【0087】
また、ストリーミングサーバex103は複数のサーバや複数のコンピュータであって、データを分散して処理したり記録したり配信するものであってもよい。
【0088】
以上のようにして、コンテンツ供給システムex100では、符号化されたデータをクライアントが受信して再生することができる。このようにコンテンツ供給システムex100では、ユーザが送信した情報をリアルタイムでクライアントが受信して復号化し、再生することができ、特別な権利や設備を有さないユーザでも個人放送を実現できる。
【0089】
なお、コンテンツ供給システムex100の例に限らず、
図13に示すように、デジタル放送用システムex200にも、上記各実施の形態の少なくとも動画像符号化装置(画像符号化装置)または動画像復号化装置(画像復号装置)のいずれかを組み込むことができる。具体的には、放送局ex201では映像データに音楽データなどが多重化された多重化データが電波を介して通信または衛星ex202に伝送される。この映像データは上記各実施の形態で説明した動画像符号化方法により符号化されたデータである(即ち、本発明の一態様に係る画像符号化装置によって符号化されたデータである)。これを受けた放送衛星ex202は、放送用の電波を発信し、この電波を衛星放送の受信が可能な家庭のアンテナex204が受信する。受信した多重化データを、テレビ(受信機)ex300またはセットトップボックス(STB)ex217等の装置が復号化して再生する(即ち、本発明の一態様に係る画像復号装置として機能する)。
【0090】
また、DVD、BD等の記録メディアex215に記録した多重化データを読み取り復号化する、または記録メディアex215に映像信号を符号化し、さらに場合によっては音楽信号と多重化して書き込むリーダ/レコーダex218にも上記各実施の形態で示した動画像復号化装置または動画像符号化装置を実装することが可能である。この場合、再生された映像信号はモニタex219に表示され、多重化データが記録された記録メディアex215により他の装置やシステムにおいて映像信号を再生することができる。また、ケーブルテレビ用のケーブルex203または衛星/地上波放送のアンテナex204に接続されたセットトップボックスex217内に動画像復号化装置を実装し、これをテレビのモニタex219で表示してもよい。このときセットトップボックスではなく、テレビ内に動画像復号化装置を組み込んでもよい。
【0091】
図14は、上記各実施の形態で説明した動画像復号化方法および動画像符号化方法を用いたテレビ(受信機)ex300を示す図である。テレビex300は、上記放送を受信するアンテナex204またはケーブルex203等を介して映像データに音声データが多重化された多重化データを取得、または出力するチューナex301と、受信した多重化データを復調する、または外部に送信する多重化データに変調する変調/復調部ex302と、復調した多重化データを映像データと、音声データとに分離する、または信号処理部ex306で符号化された映像データ、音声データを多重化する多重/分離部ex303を備える。
【0092】
また、テレビex300は、音声データ、映像データそれぞれを復号化する、またはそれぞれの情報を符号化する音声信号処理部ex304、映像信号処理部ex305(本発明の一態様に係る画像符号化装置または画像復号装置として機能する)を有する信号処理部ex306と、復号化した音声信号を出力するスピーカex307、復号化した映像信号を表示するディスプレイ等の表示部ex308を有する出力部ex309とを有する。さらに、テレビex300は、ユーザ操作の入力を受け付ける操作入力部ex312等を有するインタフェース部ex317を有する。さらに、テレビex300は、各部を統括的に制御する制御部ex310、各部に電力を供給する電源回路部ex311を有する。インタフェース部ex317は、操作入力部ex312以外に、リーダ/レコーダex218等の外部機器と接続されるブリッジex313、SDカード等の記録メディアex216を装着可能とするためのスロット部ex314、ハードディスク等の外部記録メディアと接続するためのドライバex315、電話網と接続するモデムex316等を有していてもよい。なお記録メディアex216は、格納する不揮発性/揮発性の半導体メモリ素子により電気的に情報の記録を可能としたものである。テレビex300の各部は同期バスを介して互いに接続されている。
【0093】
まず、テレビex300がアンテナex204等により外部から取得した多重化データを復号化し、再生する構成について説明する。テレビex300は、リモートコントローラex220等からのユーザ操作を受け、CPU等を有する制御部ex310の制御に基づいて、変調/復調部ex302で復調した多重化データを多重/分離部ex303で分離する。さらにテレビex300は、分離した音声データを音声信号処理部ex304で復号化し、分離した映像データを映像信号処理部ex305で上記各実施の形態で説明した復号化方法を用いて復号化する。復号化した音声信号、映像信号は、それぞれ出力部ex309から外部に向けて出力される。出力する際には、音声信号と映像信号が同期して再生するよう、バッファex318、ex319等に一旦これらの信号を蓄積するとよい。また、テレビex300は、放送等からではなく、磁気/光ディスク、SDカード等の記録メディアex215、ex216から多重化データを読み出してもよい。次に、テレビex300が音声信号や映像信号を符号化し、外部に送信または記録メディア等に書き込む構成について説明する。テレビex300は、リモートコントローラex220等からのユーザ操作を受け、制御部ex310の制御に基づいて、音声信号処理部ex304で音声信号を符号化し、映像信号処理部ex305で映像信号を上記各実施の形態で説明した符号化方法を用いて符号化する。符号化した音声信号、映像信号は多重/分離部ex303で多重化され外部に出力される。多重化する際には、音声信号と映像信号が同期するように、バッファex320、ex321等に一旦これらの信号を蓄積するとよい。なお、バッファex318、ex319、ex320、ex321は図示しているように複数備えていてもよいし、1つ以上のバッファを共有する構成であってもよい。さらに、図示している以外に、例えば変調/復調部ex302や多重/分離部ex303の間等でもシステムのオーバフロー、アンダーフローを避ける緩衝材としてバッファにデータを蓄積することとしてもよい。
【0094】
また、テレビex300は、放送等や記録メディア等から音声データ、映像データを取得する以外に、マイクやカメラのAV入力を受け付ける構成を備え、それらから取得したデータに対して符号化処理を行ってもよい。なお、ここではテレビex300は上記の符号化処理、多重化、および外部出力ができる構成として説明したが、これらの処理を行うことはできず、上記受信、復号化処理、外部出力のみが可能な構成であってもよい。
【0095】
また、リーダ/レコーダex218で記録メディアから多重化データを読み出す、または書き込む場合には、上記復号化処理または符号化処理はテレビex300、リーダ/レコーダex218のいずれで行ってもよいし、テレビex300とリーダ/レコーダex218が互いに分担して行ってもよい。
【0096】
一例として、光ディスクからデータの読み込みまたは書き込みをする場合の情報再生/記録部ex400の構成を
図15に示す。情報再生/記録部ex400は、以下に説明する要素ex401、ex402、ex403、ex404、ex405、ex406、ex407を備える。光ヘッドex401は、光ディスクである記録メディアex215の記録面にレーザスポットを照射して情報を書き込み、記録メディアex215の記録面からの反射光を検出して情報を読み込む。変調記録部ex402は、光ヘッドex401に内蔵された半導体レーザを電気的に駆動し記録データに応じてレーザ光の変調を行う。再生復調部ex403は、光ヘッドex401に内蔵されたフォトディテクタにより記録面からの反射光を電気的に検出した再生信号を増幅し、記録メディアex215に記録された信号成分を分離して復調し、必要な情報を再生する。バッファex404は、記録メディアex215に記録するための情報および記録メディアex215から再生した情報を一時的に保持する。ディスクモータex405は記録メディアex215を回転させる。サーボ制御部ex406は、ディスクモータex405の回転駆動を制御しながら光ヘッドex401を所定の情報トラックに移動させ、レーザスポットの追従処理を行う。システム制御部ex407は、情報再生/記録部ex400全体の制御を行う。上記の読み出しや書き込みの処理はシステム制御部ex407が、バッファex404に保持された各種情報を利用し、また必要に応じて新たな情報の生成・追加を行うと共に、変調記録部ex402、再生復調部ex403、サーボ制御部ex406を協調動作させながら、光ヘッドex401を通して、情報の記録再生を行うことにより実現される。システム制御部ex407は例えばマイクロプロセッサで構成され、読み出し書き込みのプログラムを実行することでそれらの処理を実行する。
【0097】
以上では、光ヘッドex401はレーザスポットを照射するとして説明したが、近接場光を用いてより高密度な記録を行う構成であってもよい。
【0098】
図16に光ディスクである記録メディアex215の模式図を示す。記録メディアex215の記録面には案内溝(グルーブ)がスパイラル状に形成され、情報トラックex230には、予めグルーブの形状の変化によってディスク上の絶対位置を示す番地情報が記録されている。この番地情報はデータを記録する単位である記録ブロックex231の位置を特定するための情報を含み、記録や再生を行う装置において情報トラックex230を再生し番地情報を読み取ることで記録ブロックを特定することができる。また、記録メディアex215は、データ記録領域ex233、内周領域ex232、外周領域ex234を含んでいる。ユーザデータを記録するために用いる領域がデータ記録領域ex233であり、データ記録領域ex233より内周または外周に配置されている内周領域ex232と外周領域ex234は、ユーザデータの記録以外の特定用途に用いられる。情報再生/記録部ex400は、このような記録メディアex215のデータ記録領域ex233に対して、符号化された音声データ、映像データまたはそれらのデータを多重化した多重化データの読み書きを行う。
【0099】
以上では、1層のDVD、BD等の光ディスクを例に挙げ説明したが、これらに限ったものではなく、多層構造であって表面以外にも記録可能な光ディスクであってもよい。また、ディスクの同じ場所にさまざまな異なる波長の色の光を用いて情報を記録したり、さまざまな角度から異なる情報の層を記録したりなど、多次元的な記録/再生を行う構造の光ディスクであってもよい。
【0100】
また、デジタル放送用システムex200において、アンテナex205を有する車ex210で衛星ex202等からデータを受信し、車ex210が有するカーナビゲーションex211等の表示装置に動画を再生することも可能である。なお、カーナビゲーションex211の構成は例えば
図14に示す構成のうち、GPS受信部を加えた構成が考えられ、同様なことがコンピュータex111や携帯電話ex114等でも考えられる。
【0101】
図17Aは、上記実施の形態で説明した動画像復号化方法および動画像符号化方法を用いた携帯電話ex114を示す図である。携帯電話ex114は、基地局ex110との間で電波を送受信するためのアンテナex350、映像、静止画を撮ることが可能なカメラ部ex365、カメラ部ex365で撮像した映像、アンテナex350で受信した映像等が復号化されたデータを表示する液晶ディスプレイ等の表示部ex358を備える。携帯電話ex114は、さらに、操作キー部ex366を有する本体部、音声を出力するためのスピーカ等である音声出力部ex357、音声を入力するためのマイク等である音声入力部ex356、撮影した映像、静止画、録音した音声、または受信した映像、静止画、メール等の符号化されたデータもしくは復号化されたデータを保存するメモリ部ex367、又は同様にデータを保存する記録メディアとのインタフェース部であるスロット部ex364を備える。
【0102】
さらに、携帯電話ex114の構成例について、
図17Bを用いて説明する。携帯電話ex114は、表示部ex358及び操作キー部ex366を備えた本体部の各部を統括的に制御する主制御部ex360に対して、電源回路部ex361、操作入力制御部ex362、映像信号処理部ex355、カメラインタフェース部ex363、LCD(Liquid Crystal Display)制御部ex359、変調/復調部ex352、多重/分離部ex353、音声信号処理部ex354、スロット部ex364、メモリ部ex367がバスex370を介して互いに接続されている。
【0103】
電源回路部ex361は、ユーザの操作により終話及び電源キーがオン状態にされると、バッテリパックから各部に対して電力を供給することにより携帯電話ex114を動作可能な状態に起動する。
【0104】
携帯電話ex114は、CPU、ROM、RAM等を有する主制御部ex360の制御に基づいて、音声通話モード時に音声入力部ex356で収音した音声信号を音声信号処理部ex354でデジタル音声信号に変換し、これを変調/復調部ex352でスペクトラム拡散処理し、送信/受信部ex351でデジタルアナログ変換処理および周波数変換処理を施した後にアンテナex350を介して送信する。また携帯電話ex114は、音声通話モード時にアンテナex350を介して受信した受信データを増幅して周波数変換処理およびアナログデジタル変換処理を施し、変調/復調部ex352でスペクトラム逆拡散処理し、音声信号処理部ex354でアナログ音声信号に変換した後、これを音声出力部ex357から出力する。
【0105】
さらにデータ通信モード時に電子メールを送信する場合、本体部の操作キー部ex366等の操作によって入力された電子メールのテキストデータは操作入力制御部ex362を介して主制御部ex360に送出される。主制御部ex360は、テキストデータを変調/復調部ex352でスペクトラム拡散処理をし、送信/受信部ex351でデジタルアナログ変換処理および周波数変換処理を施した後にアンテナex350を介して基地局ex110へ送信する。電子メールを受信する場合は、受信したデータに対してこのほぼ逆の処理が行われ、表示部ex358に出力される。
【0106】
データ通信モード時に映像、静止画、または映像と音声を送信する場合、映像信号処理部ex355は、カメラ部ex365から供給された映像信号を上記各実施の形態で示した動画像符号化方法によって圧縮符号化し(即ち、本発明の一態様に係る画像符号化装置として機能する)、符号化された映像データを多重/分離部ex353に送出する。また、音声信号処理部ex354は、映像、静止画等をカメラ部ex365で撮像中に音声入力部ex356で収音した音声信号を符号化し、符号化された音声データを多重/分離部ex353に送出する。
【0107】
多重/分離部ex353は、映像信号処理部ex355から供給された符号化された映像データと音声信号処理部ex354から供給された符号化された音声データを所定の方式で多重化し、その結果得られる多重化データを変調/復調部(変調/復調回路部)ex352でスペクトラム拡散処理をし、送信/受信部ex351でデジタルアナログ変換処理及び周波数変換処理を施した後にアンテナex350を介して送信する。
【0108】
データ通信モード時にホームページ等にリンクされた動画像ファイルのデータを受信する場合、または映像およびもしくは音声が添付された電子メールを受信する場合、アンテナex350を介して受信された多重化データを復号化するために、多重/分離部ex353は、多重化データを分離することにより映像データのビットストリームと音声データのビットストリームとに分け、同期バスex370を介して符号化された映像データを映像信号処理部ex355に供給するとともに、符号化された音声データを音声信号処理部ex354に供給する。映像信号処理部ex355は、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法に対応した動画像復号化方法によって復号化することにより映像信号を復号し(即ち、本発明の一態様に係る画像復号装置として機能する)、LCD制御部ex359を介して表示部ex358から、例えばホームページにリンクされた動画像ファイルに含まれる映像、静止画が表示される。また音声信号処理部ex354は、音声信号を復号し、音声出力部ex357から音声が出力される。
【0109】
また、上記携帯電話ex114等の端末は、テレビex300と同様に、符号化器・復号化器を両方持つ送受信型端末の他に、符号化器のみの送信端末、復号化器のみの受信端末という3通りの実装形式が考えられる。さらに、デジタル放送用システムex200において、映像データに音楽データなどが多重化された多重化データを受信、送信するとして説明したが、音声データ以外に映像に関連する文字データなどが多重化されたデータであってもよいし、多重化データではなく映像データ自体であってもよい。
【0110】
このように、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法あるいは動画像復号化方法を上述したいずれの機器・システムに用いることは可能であり、そうすることで、上記各実施の形態で説明した効果を得ることができる。
【0111】
また、本発明はかかる上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形または修正が可能である。
【0112】
(実施の形態4)
上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置と、MPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1など異なる規格に準拠した動画像符号化方法または装置とを、必要に応じて適宜切替えることにより、映像データを生成することも可能である。
【0113】
ここで、それぞれ異なる規格に準拠する複数の映像データを生成した場合、復号する際に、それぞれの規格に対応した復号方法を選択する必要がある。しかしながら、復号する映像データが、どの規格に準拠するものであるか識別できないため、適切な復号方法を選択することができないという課題を生じる。
【0114】
この課題を解決するために、映像データに音声データなどを多重化した多重化データは、映像データがどの規格に準拠するものであるかを示す識別情報を含む構成とする。上記各実施の形態で示す動画像符号化方法または装置によって生成された映像データを含む多重化データの具体的な構成を以下説明する。多重化データは、MPEG−2トランスポートストリーム形式のデジタルストリームである。
【0115】
図18は、多重化データの構成を示す図である。
図18に示すように多重化データは、ビデオストリーム、オーディオストリーム、プレゼンテーショングラフィックスストリーム(PG)、インタラクティブグラフィックスストリームのうち、1つ以上を多重化することで得られる。ビデオストリームは映画の主映像および副映像を、オーディオストリーム(IG)は映画の主音声部分とその主音声とミキシングする副音声を、プレゼンテーショングラフィックスストリームは、映画の字幕をそれぞれ示している。ここで主映像とは画面に表示される通常の映像を示し、副映像とは主映像の中に小さな画面で表示する映像のことである。また、インタラクティブグラフィックスストリームは、画面上にGUI部品を配置することにより作成される対話画面を示している。ビデオストリームは、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠した動画像符号化方法または装置によって符号化されている。オーディオストリームは、ドルビーAC−3、Dolby Digital Plus、MLP、DTS、DTS−HD、または、リニアPCMのなどの方式で符号化されている。
【0116】
多重化データに含まれる各ストリームはPIDによって識別される。例えば、映画の映像に利用するビデオストリームには0x1011が、オーディオストリームには0x1100から0x111Fまでが、プレゼンテーショングラフィックスには0x1200から0x121Fまでが、インタラクティブグラフィックスストリームには0x1400から0x141Fまでが、映画の副映像に利用するビデオストリームには0x1B00から0x1B1Fまで、主音声とミキシングする副音声に利用するオーディオストリームには0x1A00から0x1A1Fが、それぞれ割り当てられている。
【0117】
図19は、多重化データがどのように多重化されるかを模式的に示す図である。まず、複数のビデオフレームからなるビデオストリームex235、複数のオーディオフレームからなるオーディオストリームex238を、それぞれPESパケット列ex236およびex239に変換し、TSパケットex237およびex240に変換する。同じくプレゼンテーショングラフィックスストリームex241およびインタラクティブグラフィックスex244のデータをそれぞれPESパケット列ex242およびex245に変換し、さらにTSパケットex243およびex246に変換する。多重化データex247はこれらのTSパケットを1本のストリームに多重化することで構成される。
【0118】
図20は、PESパケット列に、ビデオストリームがどのように格納されるかをさらに詳しく示している。
図20における第1段目はビデオストリームのビデオフレーム列を示す。第2段目は、PESパケット列を示す。
図20の矢印yy1,yy2,yy3,yy4に示すように、ビデオストリームにおける複数のVideo Presentation UnitであるIピクチャ、Bピクチャ、Pピクチャは、ピクチャ毎に分割され、PESパケットのペイロードに格納される。各PESパケットはPESヘッダを持ち、PESヘッダには、ピクチャの表示時刻であるPTS(Presentation Time−Stamp)やピクチャの復号時刻であるDTS(Decoding Time−Stamp)が格納される。
【0119】
図21は、多重化データに最終的に書き込まれるTSパケットの形式を示している。TSパケットは、ストリームを識別するPIDなどの情報を持つ4ByteのTSヘッダとデータを格納する184ByteのTSペイロードから構成される188Byte固定長のパケットであり、上記PESパケットは分割されTSペイロードに格納される。BD−ROMの場合、TSパケットには、4ByteのTP_Extra_Headerが付与され、192Byteのソースパケットを構成し、多重化データに書き込まれる。TP_Extra_HeaderにはATS(Arrival_Time_Stamp)などの情報が記載される。ATSは当該TSパケットのデコーダのPIDフィルタへの転送開始時刻を示す。多重化データには
図21下段に示すようにソースパケットが並ぶこととなり、多重化データの先頭からインクリメントする番号はSPN(ソースパケットナンバー)と呼ばれる。
【0120】
また、多重化データに含まれるTSパケットには、映像・音声・字幕などの各ストリーム以外にもPAT(Program Association Table)、PMT(Program Map Table)、PCR(Program Clock Reference)などがある。PATは多重化データ中に利用されるPMTのPIDが何であるかを示し、PAT自身のPIDは0で登録される。PMTは、多重化データ中に含まれる映像・音声・字幕などの各ストリームのPIDと各PIDに対応するストリームの属性情報を持ち、また多重化データに関する各種ディスクリプタを持つ。ディスクリプタには多重化データのコピーを許可・不許可を指示するコピーコントロール情報などがある。PCRは、ATSの時間軸であるATC(Arrival Time Clock)とPTS・DTSの時間軸であるSTC(System Time Clock)の同期を取るために、そのPCRパケットがデコーダに転送されるATSに対応するSTC時間の情報を持つ。
【0121】
図22はPMTのデータ構造を詳しく説明する図である。PMTの先頭には、そのPMTに含まれるデータの長さなどを記したPMTヘッダが配置される。その後ろには、多重化データに関するディスクリプタが複数配置される。上記コピーコントロール情報などが、ディスクリプタとして記載される。ディスクリプタの後には、多重化データに含まれる各ストリームに関するストリーム情報が複数配置される。ストリーム情報は、ストリームの圧縮コーデックなどを識別するためストリームタイプ、ストリームのPID、ストリームの属性情報(フレームレート、アスペクト比など)が記載されたストリームディスクリプタから構成される。ストリームディスクリプタは多重化データに存在するストリームの数だけ存在する。
【0122】
記録媒体などに記録する場合には、上記多重化データは、多重化データ情報ファイルと共に記録される。
【0123】
多重化データ情報ファイルは、
図23に示すように多重化データの管理情報であり、多重化データと1対1に対応し、多重化データ情報、ストリーム属性情報とエントリマップから構成される。
【0124】
多重化データ情報は
図23に示すようにシステムレート、再生開始時刻、再生終了時刻から構成されている。システムレートは多重化データの、後述するシステムターゲットデコーダのPIDフィルタへの最大転送レートを示す。多重化データ中に含まれるATSの間隔はシステムレート以下になるように設定されている。再生開始時刻は多重化データの先頭のビデオフレームのPTSであり、再生終了時刻は多重化データの終端のビデオフレームのPTSに1フレーム分の再生間隔を足したものが設定される。
【0125】
ストリーム属性情報は
図24に示すように、多重化データに含まれる各ストリームについての属性情報が、PID毎に登録される。属性情報はビデオストリーム、オーディオストリーム、プレゼンテーショングラフィックスストリーム、インタラクティブグラフィックスストリーム毎に異なる情報を持つ。ビデオストリーム属性情報は、そのビデオストリームがどのような圧縮コーデックで圧縮されたか、ビデオストリームを構成する個々のピクチャデータの解像度がどれだけであるか、アスペクト比はどれだけであるか、フレームレートはどれだけであるかなどの情報を持つ。オーディオストリーム属性情報は、そのオーディオストリームがどのような圧縮コーデックで圧縮されたか、そのオーディオストリームに含まれるチャンネル数は何であるか、何の言語に対応するか、サンプリング周波数がどれだけであるかなどの情報を持つ。これらの情報は、プレーヤが再生する前のデコーダの初期化などに利用される。
【0126】
本実施の形態においては、上記多重化データのうち、PMTに含まれるストリームタイプを利用する。また、記録媒体に多重化データが記録されている場合には、多重化データ情報に含まれる、ビデオストリーム属性情報を利用する。具体的には、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置において、PMTに含まれるストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報に対し、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示す固有の情報を設定するステップまたは手段を設ける。この構成により、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成した映像データと、他の規格に準拠する映像データとを識別することが可能になる。
【0127】
また、本実施の形態における動画像復号化方法のステップを
図25に示す。ステップexS100において、多重化データからPMTに含まれるストリームタイプ、または、多重化データ情報に含まれるビデオストリーム属性情報を取得する。次に、ステップexS101において、ストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報が上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された多重化データであることを示しているか否かを判断する。そして、ストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報が上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成されたものであると判断された場合には、ステップexS102において、上記各実施の形態で示した動画像復号方法により復号を行う。また、ストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報が、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠するものであることを示している場合には、ステップexS103において、従来の規格に準拠した動画像復号方法により復号を行う。
【0128】
このように、ストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報に新たな固有値を設定することにより、復号する際に、上記各実施の形態で示した動画像復号化方法または装置で復号可能であるかを判断することができる。従って、異なる規格に準拠する多重化データが入力された場合であっても、適切な復号化方法または装置を選択することができるため、エラーを生じることなく復号することが可能となる。また、本実施の形態で示した動画像符号化方法または装置、または、動画像復号方法または装置を、上述したいずれの機器・システムに用いることも可能である。
【0129】
(実施の形態5)
上記各実施の形態で示した動画像符号化方法および装置、動画像復号化方法および装置は、典型的には集積回路であるLSIで実現される。一例として、
図26に1チップ化されたLSIex500の構成を示す。LSIex500は、以下に説明する要素ex501、ex502、ex503、ex504、ex505、ex506、ex507、ex508、ex509を備え、各要素はバスex510を介して接続している。電源回路部ex505は電源がオン状態の場合に各部に対して電力を供給することで動作可能な状態に起動する。
【0130】
例えば符号化処理を行う場合には、LSIex500は、CPUex502、メモリコントローラex503、ストリームコントローラex504、駆動周波数制御部ex512等を有する制御部ex501の制御に基づいて、AV I/Oex509によりマイクex117やカメラex113等からAV信号を入力する。入力されたAV信号は、一旦SDRAM等の外部のメモリex511に蓄積される。制御部ex501の制御に基づいて、蓄積したデータは処理量や処理速度に応じて適宜複数回に分けるなどされ信号処理部ex507に送られ、信号処理部ex507において音声信号の符号化および/または映像信号の符号化が行われる。ここで映像信号の符号化処理は上記各実施の形態で説明した符号化処理である。信号処理部ex507ではさらに、場合により符号化された音声データと符号化された映像データを多重化するなどの処理を行い、ストリームI/Oex506から外部に出力する。この出力された多重化データは、基地局ex107に向けて送信されたり、または記録メディアex215に書き込まれたりする。なお、多重化する際には同期するよう、一旦バッファex508にデータを蓄積するとよい。
【0131】
なお、上記では、メモリex511がLSIex500の外部の構成として説明したが、LSIex500の内部に含まれる構成であってもよい。バッファex508も1つに限ったものではなく、複数のバッファを備えていてもよい。また、LSIex500は1チップ化されてもよいし、複数チップ化されてもよい。
【0132】
また、上記では、制御部ex501が、CPUex502、メモリコントローラex503、ストリームコントローラex504、駆動周波数制御部ex512等を有するとしているが、制御部ex501の構成は、この構成に限らない。例えば、信号処理部ex507がさらにCPUを備える構成であってもよい。信号処理部ex507の内部にもCPUを設けることにより、処理速度をより向上させることが可能になる。また、他の例として、CPUex502が信号処理部ex507、または信号処理部ex507の一部である例えば音声信号処理部を備える構成であってもよい。このような場合には、制御部ex501は、信号処理部ex507、またはその一部を有するCPUex502を備える構成となる。
【0133】
なお、ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0134】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0135】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適応等が可能性としてありえる。
【0136】
(実施の形態6)
上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データを復号する場合、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データを復号する場合に比べ、処理量が増加することが考えられる。そのため、LSIex500において、従来の規格に準拠する映像データを復号する際のCPUex502の駆動周波数よりも高い駆動周波数に設定する必要がある。しかし、駆動周波数を高くすると、消費電力が高くなるという課題が生じる。
【0137】
この課題を解決するために、テレビex300、LSIex500などの動画像復号化装置は、映像データがどの規格に準拠するものであるかを識別し、規格に応じて駆動周波数を切替える構成とする。
図27は、本実施の形態における構成ex800を示している。駆動周波数切替え部ex803は、映像データが、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成されたものである場合には、駆動周波数を高く設定する。そして、上記各実施の形態で示した動画像復号化方法を実行する復号処理部ex801に対し、映像データを復号するよう指示する。一方、映像データが、従来の規格に準拠する映像データである場合には、映像データが、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成されたものである場合に比べ、駆動周波数を低く設定する。そして、従来の規格に準拠する復号処理部ex802に対し、映像データを復号するよう指示する。
【0138】
より具体的には、駆動周波数切替え部ex803は、
図26のCPUex502と駆動周波数制御部ex512から構成される。また、上記各実施の形態で示した動画像復号化方法を実行する復号処理部ex801、および、従来の規格に準拠する復号処理部ex802は、
図26の信号処理部ex507に該当する。CPUex502は、映像データがどの規格に準拠するものであるかを識別する。そして、CPUex502からの信号に基づいて、駆動周波数制御部ex512は、駆動周波数を設定する。また、CPUex502からの信号に基づいて、信号処理部ex507は、映像データの復号を行う。ここで、映像データの識別には、例えば、実施の形態4で記載した識別情報を利用することが考えられる。識別情報に関しては、実施の形態4で記載したものに限られず、映像データがどの規格に準拠するか識別できる情報であればよい。例えば、映像データがテレビに利用されるものであるか、ディスクに利用されるものであるかなどを識別する外部信号に基づいて、映像データがどの規格に準拠するものであるか識別可能である場合には、このような外部信号に基づいて識別してもよい。また、CPUex502における駆動周波数の選択は、例えば、
図29のような映像データの規格と、駆動周波数とを対応付けたルックアップテーブルに基づいて行うことが考えられる。ルックアップテーブルを、バッファex508や、LSIの内部メモリに格納しておき、CPUex502がこのルックアップテーブルを参照することにより、駆動周波数を選択することが可能である。
【0139】
図28は、本実施の形態の方法を実施するステップを示している。まず、ステップexS200では、信号処理部ex507において、多重化データから識別情報を取得する。次に、ステップexS201では、CPUex502において、識別情報に基づいて映像データが上記各実施の形態で示した符号化方法または装置によって生成されたものであるか否かを識別する。映像データが上記各実施の形態で示した符号化方法または装置によって生成されたものである場合には、ステップexS202において、駆動周波数を高く設定する信号を、CPUex502が駆動周波数制御部ex512に送る。そして、駆動周波数制御部ex512において、高い駆動周波数に設定される。一方、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データであることを示している場合には、ステップexS203において、駆動周波数を低く設定する信号を、CPUex502が駆動周波数制御部ex512に送る。そして、駆動周波数制御部ex512において、映像データが上記各実施の形態で示した符号化方法または装置によって生成されたものである場合に比べ、低い駆動周波数に設定される。
【0140】
さらに、駆動周波数の切替えに連動して、LSIex500またはLSIex500を含む装置に与える電圧を変更することにより、省電力効果をより高めることが可能である。例えば、駆動周波数を低く設定する場合には、これに伴い、駆動周波数を高く設定している場合に比べ、LSIex500またはLSIex500を含む装置に与える電圧を低く設定することが考えられる。
【0141】
また、駆動周波数の設定方法は、復号する際の処理量が大きい場合に、駆動周波数を高く設定し、復号する際の処理量が小さい場合に、駆動周波数を低く設定すればよく、上述した設定方法に限らない。例えば、MPEG4−AVC規格に準拠する映像データを復号する処理量の方が、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置により生成された映像データを復号する処理量よりも大きい場合には、駆動周波数の設定を上述した場合の逆にすることが考えられる。
【0142】
さらに、駆動周波数の設定方法は、駆動周波数を低くする構成に限らない。例えば、識別情報が、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示している場合には、LSIex500またはLSIex500を含む装置に与える電圧を高く設定し、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データであることを示している場合には、LSIex500またはLSIex500を含む装置に与える電圧を低く設定することも考えられる。また、他の例としては、識別情報が、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示している場合には、CPUex502の駆動を停止させることなく、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データであることを示している場合には、処理に余裕があるため、CPUex502の駆動を一時停止させることも考えられる。識別情報が、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示している場合であっても、処理に余裕があれば、CPUex502の駆動を一時停止させることも考えられる。この場合は、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データであることを示している場合に比べて、停止時間を短く設定することが考えられる。
【0143】
このように、映像データが準拠する規格に応じて、駆動周波数を切替えることにより、省電力化を図ることが可能になる。また、電池を用いてLSIex500またはLSIex500を含む装置を駆動している場合には、省電力化に伴い、電池の寿命を長くすることが可能である。
【0144】
(実施の形態7)
テレビや、携帯電話など、上述した機器・システムには、異なる規格に準拠する複数の映像データが入力される場合がある。このように、異なる規格に準拠する複数の映像データが入力された場合にも復号できるようにするために、LSIex500の信号処理部ex507が複数の規格に対応している必要がある。しかし、それぞれの規格に対応する信号処理部ex507を個別に用いると、LSIex500の回路規模が大きくなり、また、コストが増加するという課題が生じる。
【0145】
この課題を解決するために、上記各実施の形態で示した動画像復号方法を実行するための復号処理部と、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する復号処理部とを一部共有化する構成とする。この構成例を
図30Aのex900に示す。例えば、上記各実施の形態で示した動画像復号方法と、MPEG4−AVC規格に準拠する動画像復号方法とは、エントロピー符号化、逆量子化、デブロッキング・フィルタ、動き補償などの処理において処理内容が一部共通する。共通する処理内容については、MPEG4−AVC規格に対応する復号処理部ex902を共有し、MPEG4−AVC規格に対応しない、本発明の一態様に特有の他の処理内容については、専用の復号処理部ex901を用いるという構成が考えられる。復号処理部の共有化に関しては、共通する処理内容については、上記各実施の形態で示した動画像復号化方法を実行するための復号処理部を共有し、MPEG4−AVC規格に特有の処理内容については、専用の復号処理部を用いる構成であってもよい。
【0146】
また、処理を一部共有化する他の例を
図30Bのex1000に示す。この例では、本発明の一態様に特有の処理内容に対応した専用の復号処理部ex1001と、他の従来規格に特有の処理内容に対応した専用の復号処理部ex1002と、本発明の一態様に係る動画像復号方法と他の従来規格の動画像復号方法とに共通する処理内容に対応した共用の復号処理部ex1003とを用いる構成としている。ここで、専用の復号処理部ex1001、ex1002は、必ずしも本発明の一態様、または、他の従来規格に特有の処理内容に特化したものではなく、他の汎用処理を実行できるものであってもよい。また、本実施の形態の構成を、LSIex500で実装することも可能である。
【0147】
このように、本発明の一態様に係る動画像復号方法と、従来の規格の動画像復号方法とで共通する処理内容について、復号処理部を共有することにより、LSIの回路規模を小さくし、かつ、コストを低減することが可能である。