特許第6156766号(P6156766)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6156766
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】物品スタンドになる箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/52 20060101AFI20170626BHJP
【FI】
   B65D5/52 Z
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-32657(P2017-32657)
(22)【出願日】2017年2月23日
【審査請求日】2017年3月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516357753
【氏名又は名称】株式会社山田製函
(74)【代理人】
【識別番号】100095359
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100143834
【弁理士】
【氏名又は名称】楠 修二
(72)【発明者】
【氏名】山田 宗基
【審査官】 高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−124123(JP,A)
【文献】 実開昭57−095376(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0034527(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D5/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚の所定形状のシートから組み立てられた箱体であって、前記箱体は底面と蓋面と底面フラップと第1側面と第2側面とを有して側部に開閉可能な開口を有し、前記蓋面は前記開口を開閉可能であって前記蓋面および前記開口は前記底面に対して鋭角をなし、
前記底面フラップは前記底面の前記開口の側の縁部に連接し、前記底面フラップは前記蓋面を開いた状態で前記開口から前記箱体の内側に収容可能であり前記箱体の外側で前記底面に対し鈍角をなす物品載置部を形成するよう折り曲げ可能に構成されており、
前記第1側面および前記第2側面は前記開口の両側に互いに対向するよう設けられ、前記第1側面および前記第2側面の少なくとも一方は前記開口の側の縁部に前記底面フラップの先端と係合可能な係合溝を有し、
前記底面フラップは延長部と立上り部と載置面とを有し、前記延長部は前記底面に連接して前記箱体の外側に伸び、前記立上り部は前記延長部に連接して立ち上がり、前記載置面は前記立上り部に連接し前記先端を有して前記先端を前記係合溝と係合するよう折り曲げ可能に構成されていることを、特徴とする物品スタンドになる箱。
【請求項2】
前記底面フラップは中間部と2つの側部とに折り曲げ可能であり、前記中間部は前記開口に沿って配置可能であり、各側部はそれぞれ前記中間部の2つの側縁部に連接しており前記中間部が前記開口部に沿って配置されたとき前記第1側面の内側および前記第2側面の内側に沿って配置可能であることを、特徴とする請求項記載の物品スタンドになる箱。
【請求項3】
前記第1側面および前記第2側面は前記係合溝を有し、前記第1側面は前記蓋面と縁部で連接し、前記第2側面の前記開口の側の縁部に連接する蓋面フラップを有し、前記蓋面フラップは前記開口の内側に折り曲げ可能であり、前記蓋面は前記第1側面の前記係合溝と連続する第1連通溝を有し、前記蓋面フラップは前記第2側面の前記係合溝と連続する第2連通溝を有し、前記底面フラップは前記蓋面および前記蓋面フラップを開いた状態で前記先端が前記係合溝、前記第1連通溝および前記第2連通溝と係合して前記物品載置部を形成可能であることを、特徴とする請求項1または2記載の物品スタンドになる箱。
【請求項4】
前記開口は長方形状であって、前記第1連通溝は前記第1側面の前記開口の側の縁部に対し垂直に伸び、前記第2連通溝は前記第2側面の前記開口の側の縁部に対し垂直に伸び、前記第1側面の前記係合溝は前記第1側面の前記開口の側の縁部に対し垂直より前記底面の側に傾斜して伸び、前記第2側面の前記係合溝は前記第2側面の前記開口の側の縁部に対し垂直より前記底面の側に傾斜して伸びていることを、特徴とする請求項記載の物品スタンドになる箱。
【請求項5】
前記底面フラップは前記蓋面および前記蓋面フラップを開いた状態で前記先端が前記係合溝、前記第1連通溝および前記第2連通溝と係合したとき前記蓋面および前記蓋面フラップに当接する突起を両縁部に有することを、特徴とする請求項3または4に記載の物品スタンドになる箱。
【請求項6】
前記箱体はさらに背面を有して前記開口と対向する側部に第2開口を有し、前記背面は前記第2開口を開閉可能であって前記背面および前記第2開口は前記底面に対して鋭角をなし、前記底面の前記背面の側の縁部に連接する第2底面フラップを有し、前記第2底面フラップは前記背面を開いた状態で前記第2開口から前記箱体の内側に収容可能であり前記箱体の外側で前記底面に対し鈍角をなす第2物品載置部を形成するよう折り曲げ可能に構成されていることを、特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の物品スタンドになる箱。
【請求項7】
前記箱体は前記開口に垂直な縦断面形状が三角形状であることを、特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の物品スタンドになる箱。
【請求項8】
前記箱体は前記開口に垂直な縦断面形状が台形状であることを、特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の物品スタンドになる箱。
【請求項9】
前記シートは紙材から成り、前記物品載置部はスマートフォンを載置可能であることを、特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の物品スタンドになる箱。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートフォンなどの物品を立て掛けるための物品スタンドになる箱に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話などの物品を保管または搬送するための化粧箱として、1枚の型紙を折り曲げて組み立て可能なものが開示されている(特許文献1参照)。 一方、スマートフォンでテレビを観たり、充電したまま長時間、操作したり通話をしたりする際、専用のスタンドが使用されている。
【0003】
このような携帯電話用のスタンドとして、平板状の携帯電話ホルダーパネル部に平板状のホルダー支持パネル部を差し込み、携帯電話載置部を携帯電話ホルダーパネル部から正面側に突出させ、携帯電話を携帯電話載置部の上に載せて携帯電話ホルダーパネル部の表面側にもたれさせて使用するものが開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−242232号公報
【特許文献2】実用新案登録第3186271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の化粧箱は、使用後は廃棄物として処理されることが多く、紙資源の有効活用が図られていないという課題があった。
特許文献2の物品スタンドは、携帯電話を立て掛けるためにのみ使用され、他に用途がないという課題があった。また、携帯電話ホルダーパネル部とホルダー支持パネル部とに分かれているため、一方を紛失すると使用できなくなり、2つをまとめて管理しておくのに手間がかかるという課題があった。
【0006】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、箱として使用後、物品スタンドとして有効活用を図ることができ、1枚の紙材料から成って管理が容易な物品スタンドになる箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る物品スタンドになる箱は、1枚の所定形状のシートから組み立てられた箱体であって、前記箱体は底面と蓋面と底面フラップと第1側面と第2側面とを有して側部に開閉可能な開口を有し、前記蓋面は前記開口を開閉可能であって前記蓋面および前記開口は前記底面に対して鋭角をなし、前記底面フラップは前記底面の前記開口の側の縁部に連接し、前記底面フラップは前記蓋面を開いた状態で前記開口から前記箱体の内側に収容可能であり前記箱体の外側で前記底面に対し鈍角をなす物品載置部を形成するよう折り曲げ可能に構成されており、前記第1側面および前記第2側面は前記開口の両側に互いに対向するよう設けられ、前記第1側面および前記第2側面の少なくとも一方は前記開口の側の縁部に前記底面フラップの先端と係合可能な係合溝を有し、前記底面フラップは延長部と立上り部と載置面とを有し、前記延長部は前記底面に連接して前記箱体の外側に伸び、前記立上り部は前記延長部に連接して立ち上がり、前記載置面は前記立上り部に連接し前記先端を有して前記先端を前記係合溝と係合するよう折り曲げ可能に構成されていることを、特徴とする。
【0008】
本発明に係る物品スタンドになる箱は、1枚の所定形状のシートから組み立てられているので、部材が散逸するようなことがなく、管理が容易である。箱体には、開口から内部に物品を収容して保管、運搬が可能である。箱として使用後、物品スタンドとして有効活用を図ることができる。箱体の状態から物品スタンドとして使用する場合、蓋面を開き、底面フラップを折り曲げて物品載置部を形成する。物品載置部にスマートフォン、額などの物品を載せて、開口の周囲に立て掛けることができる。物品載置部は底面に対して鈍角をなし、開口は底面に対して鋭角をなすため、物品は物品載置部と開口の周囲とで安定して支持される。
【0009】
本発明に係る物品スタンドになる箱で、前記箱体は第1側面と第2側面とを有し、前記第1側面および前記第2側面は前記開口の両側に互いに対向するよう設けられ、前記第1側面および前記第2側面の少なくとも一方は前記開口の側の縁部に前記底面フラップの先端と係合可能な係合溝を有するので、底面フラップの先端を係合溝と係合させることにより、物品載置部を折り曲げた状態で安定させることができる。
【0010】
本発明に係る物品スタンドになる箱で、前記底面フラップは延長部と立上り部と載置面とを有し、前記延長部は前記底面に連接して前記箱体の外側に伸び、前記立上り部は前記延長部に連接して立ち上がり、前記載置面は前記立上り部に連接し前記先端を有して前記先端を前記係合溝と係合するよう折り曲げ可能に構成されているので、載置面の上に物品を載せることができ、底面フラップにより、安定した物品載置部を容易に形成することができる。
【0011】
本発明に係る物品スタンドになる箱で、前記底面フラップは中間部と2つの側部とに折り曲げ可能であり、前記中間部は前記開口に沿って配置可能であり、各側部はそれぞれ前記中間部の2つの側縁部に連接しており前記中間部が前記開口部に沿って配置されたとき前記第1側面の内側および前記第2側面の内側に沿って配置可能であることが好ましい。
この場合、箱体として使用するとき、底面フラップの中間部を開口部に沿って配置し、各側部を第1側面の内側および第2側面の内側に沿って配置することにより、箱体の強度を高めることができる。
【0012】
本発明に係る物品スタンドになる箱で、前記第1側面および前記第2側面は前記係合溝を有し、前記第1側面は前記蓋面と縁部で連接し、前記第2側面の前記開口の側の縁部に連接する蓋面フラップを有し、前記蓋面フラップは前記開口の内側に折り曲げ可能であり、前記蓋面は前記第1側面の前記係合溝と連続する第1連通溝を有し、前記蓋面フラップは前記第2側面の前記係合溝と連続する第2連通溝を有し、前記底面フラップは前記蓋面および前記蓋面フラップを開いた状態で前記先端が前記係合溝、前記第1連通溝および前記第2連通溝と係合して前記物品載置部を形成可能であることが好ましい。
【0013】
この場合、蓋面および蓋面フラップを開いて、物品を物品載置部に載せ、蓋面および蓋面フラップに立て掛けることができる。また、底面フラップの先端を第1側面および第2側面の係合溝ならびに蓋面の第1連通溝および蓋面フラップの第2連通溝と係合させることにより、物品載置部を折り曲げた状態でさらに安定させることができる。
【0014】
本発明に係る物品スタンドになる箱で、前記開口は長方形状であって、前記第1連通溝は前記第1側面の前記開口の側の縁部に対し垂直に伸び、前記第2連通溝は前記第2側面の前記開口の側の縁部に対し垂直に伸び、前記第1側面の前記係合溝は前記第1側面の前記開口の側の縁部に対し垂直より前記底面の側に傾斜して伸び、前記第2側面の前記係合溝は前記第2側面の前記開口の側の縁部に対し垂直より前記底面の側に傾斜して伸びていることが好ましい。
【0015】
この場合、蓋面および蓋面フラップを開いて、第1側面および第2側面の係合溝ならびに蓋面の第1連通溝および蓋面フラップの第2連通溝と係合させた底面フラップの先端が、底面の側に傾斜した係合溝により、抜ける方向に対して抵抗を受けるので、物品載置部を折り曲げた状態でさらに安定させることができる。
【0016】
本発明に係る物品スタンドになる箱で、前記底面フラップは前記蓋面および前記蓋面フラップを開いた状態で前記先端が前記係合溝、前記第1連通溝および前記第2連通溝と係合したとき前記蓋面および前記蓋面フラップに当接する突起を両縁部に有することが好ましい。
この場合、蓋面および蓋面フラップを開いた状態で、底面フラップの突起が蓋面および蓋面フラップに当接するので、蓋面および蓋面フラップを開いた状態で保ち、物品を蓋面および蓋面フラップに立て掛けやすくなる。
【0017】
本発明に係る物品スタンドになる箱で、前記箱体はさらに背面を有して前記開口と対向する側部に第2開口を有し、前記背面は前記第2開口を開閉可能であって前記背面および前記第2開口は前記底面に対して鋭角をなし、前記底面の前記背面の側の縁部に連接する第2底面フラップを有し、前記第2底面フラップは前記背面を開いた状態で前記第2開口から前記箱体の内側に収容可能であり前記箱体の外側で前記底面に対し鈍角をなす第2物品載置部を形成するよう折り曲げ可能に構成されていてもよい。
【0018】
この場合、箱体の状態から、互いに対向する蓋面および背面を開いて、物品載置部および第2物品載置部を形成することができる。物品載置部および第2物品載置部には、スマートフォン、額などの物品をそれぞれ載せて、開口の周囲に立て掛けることができる。
【0019】
本発明に係る物品スタンドになる箱で、例えば、前記箱体は前記開口に垂直な縦断面形状が三角形状である。
本発明に係る物品スタンドになる箱で、例えば、前記箱体は前記開口に垂直な縦断面形状が台形状である。
本発明に係る物品スタンドになる箱で、前記シートは紙材から成り、前記物品載置部はスマートフォンを載置可能であることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、箱として使用後、物品スタンドとして有効活用を図ることができ、1枚の紙材料から成って管理が容易な物品スタンドになる箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1の実施の形態の物品スタンドになる箱の、物品スタンドに組み立てた状態を示す斜視図である。
図2図1に示す物品スタンドになる箱の平面展開図である。
図3図1に示す物品スタンドになる箱を示す斜視図である。
図4図1に示す物品スタンドになる箱の組み立て途中の状態を示す斜視図である。
図5図1に示す物品スタンドになる箱の、物品スタンドに組み立てた状態のX−X矢視断面図である。
図6】本発明の第2の実施の形態の物品スタンドになる箱の、物品スタンドに組み立てた状態を示す斜視図である。
図7図6に示す物品スタンドになる箱の平面展開図である。
図8】本発明の第3の実施の形態の物品スタンドになる箱の、物品スタンドに組み立てた状態を示す斜視図である。
図9図8に示す物品スタンドになる箱の、物品スタンドの使用状態を示す説明図である。
図10図8に示す物品スタンドになる箱の平面展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明における物品スタンドになる箱の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。
図1図5は、本発明の物品スタンドになる箱の第1の実施の形態を示している。
【0023】
図1に示す物品スタンドになる箱Aは、1枚の所定形状のシートから組み立てられた箱体である。シートは、段ボールや厚手の紙材から成っている。シートの厚さは、任意に設定可能である。図2に示すように、箱体は、第1側面1と第2側面2と底面3と背面4と背面フラップ5と蓋面6と蓋面フラップ7と底面フラップ8と第2底面フラップ9と第2背面フラップ5aとを有する。
【0024】
箱体は、物品スタンドの状態で、側部に開閉可能な長方形状の開口Kを有する。開口Kの幅は、スマートフォンの幅より小さいことが好ましい。第1側面1および第2側面2は、開口Kの両側に互いに平行に対向するよう設けられている。開口Kは、第1側面1、第2側面2、底面3および背面4の各縁部で包囲され、長方形状をなしている。図3に示すように、箱体は、三角柱状の形状を有し、開口Kに垂直な縦断面形状が三角形状である。底面3は長方形状であって、第1側面1は底面3の一方の長辺を構成する縁部に連接し、第2側面2は底面3の他方の長辺を構成する縁部に連接している。第1側面1および第2側面2は、三角形状である。図2に示すように、蓋面6は、第1側面1の開口Kの側の縁部に連接している。背面4は、第1側面1の、蓋面6と反対側の縁部に連接している。
【0025】
底面フラップ8は、底面3の開口Kの側の縁部に連接している。第2底面フラップ9は、底面3の、背面側の縁部に連接している。蓋面フラップ7は、第2側面2の開口Kの側の縁部に連接している。背面フラップ5は、第2側面2の、蓋面フラップ7と反対側の縁部に連接している。第2背面フラップ5aは、背面フラップ5の、開口K側の縁部に連接している。図2に示す平面状態から、各縁部は内側にそれぞれ直角に折り曲げられる。
【0026】
蓋面6および蓋面フラップ7は開口Kを開閉可能であって、蓋面6、蓋面フラップ7および開口Kは底面3に対して鋭角をなしている。蓋面6および蓋面フラップ7は、開口Kの内側に折り曲げ可能である。底面フラップ8は、蓋面6を開いた状態で開口Kから箱体の内側に収容可能であり、箱体の外側で底面3に対し鈍角をなす物品載置部を形成するよう折り曲げ可能に構成されている。底面フラップ8は、それぞれ平面状の、延長部8aと立上り部8bと載置面8cとを有している。延長部8aは底面3に連接し、底面3と同一平面上で箱体の外側に伸び、立上り部8bは延長部8aに連接して立ち上がり、載置面8cは立上り部8bに連接しており物品載置部の先端を有している。
【0027】
第1側面1および第2側面2は、開口Kの側の縁部に底面フラップ8の先端と係合可能な係合溝12,14を有する。蓋面6は、第1側面1の係合溝12と連続する第1連通溝13を有している。蓋面フラップ7は、第2側面2の係合溝14と連続する第2連通溝15を有している。
【0028】
第1連通溝13は、第1側面1の開口Kの側の縁部に対し垂直に伸びている。第2連通溝15は、第2側面2の開口Kの側の縁部に対し垂直に伸びている。第1側面1の係合溝12は、第1側面1の開口Kの側の縁部に対し垂直より底面3の側に傾斜して伸びている。第2側面2の係合溝14は、第2側面2の開口Kの側の縁部に対し垂直より底面3の側に傾斜して伸びている。
【0029】
底面フラップ8は、蓋面6および蓋面フラップ7を開いた状態で、先端が係合溝12,14、第1連通溝13および第2連通溝15と係合したとき、蓋面6および蓋面フラップ7に当接する突起8d、8eを両縁部に有している。
【0030】
図4に示すように、底面フラップ8は、中間部8fと2つの側部8g、8hとに折り曲げ可能である。中間部8fは、開口Kに沿って配置可能である。各側部8g、8hは、それぞれ中間部8fの2つの側縁部に連接している。各側部8g、8hは、中間部8fが開口Kに沿って配置されたとき、第1側面1の内側および第2側面2の内側に沿って配置可能である。
【0031】
底面フラップ8は、蓋面6および蓋面フラップ7を第1側面1および第2側面2に直角に開いた状態で、載置面8cの先端を係合溝12,14、第1連通溝13および第2連通溝15と係合させて物品載置部を形成可能である。載置面8cの上には、物品を載せることができる。
【0032】
この物品スタンドになる箱Aは、図2に示すように、1枚の平板状の紙材料を所定形状に切断加工し、切断加工した紙材料シートに折り曲げ加工を施して内部に製品を収納可能な所定形状の箱体とするものである。
【0033】
まず、1枚の平板状の紙材料シートに長方形状の底面3を挟んで三角形状の第1側面1と第2側面2を形成する。そして、この第1側面1に連接して背面4と蓋面6とを形成し、第2側面2に連接して背面フラップ5と蓋面フラップ7とを形成する。また、この背面4および蓋面6と第1側面1との境界に、係合手段となる切込み4a、6aを形成する。背面フラップ5と蓋面フラップ7とには、係合手段となる凸片10、11を形成する。背面4と背面フラップ5とを重ね合わせ、蓋面6と蓋面フラップ7とを重ね合わせて、凸片10、11を切込み4a、6aに差し込み、固定する。これにより、閉じた箱体となる。
なお、凸片10、11を背面フラップ5と蓋面フラップ7に設ける代わりに、背面4および蓋面6に設け、切込み4a、6aを背面フラップ5および蓋面フラップ7と第2側面2との境界に設けてもよい。
【0034】
図5を用いて、物品スタンドの状態の具体的な固定関係の一例について説明する。底面3と背面4と蓋面6とは、それぞれ60°をなしている。延長部8aは、底面3に対し、同一平面上に延びる。立上り部8bは、延長部8aに対して60°をなし、蓋面6と平行となっている。この角度は、スマートフォンでカメラ撮影する場合の最適角度である。但し、鋭角であれば、60°以外の角度、例えば70°であってもよい。載置面8cは、立上り部8bに対して83°または83°以下の角度をなしている。載置面8cの係合溝12に差し込まれた先端は、蓋面3の底面側に対して80°または80°以下の角度をなしている。この角度により、載置面8cの先端の係合12への差込みを安定させることができる。
【0035】
このような形状に加工された平板状の紙材料シートは、図4に示すように、底面3を基準として、第1側面1、第2側面2を直角に折り曲げ、さらに背面4、蓋面6、背面フラップ5、蓋面フラップ7を折り線に沿ってそれぞれ直角に折り込み、凸片10,11をそれぞれ切込み4a、6aに入れて固定することにより、図3に示すような縦断面形状または側面形状が三角形状の箱Aが完成する。そして、この箱Aに商品のスマートフォンなどを収納することができる。このような折り込み作業は、手作業または機械工程で簡単にできるものである。
【0036】
本発明の物品スタンドになる箱Aは、1枚の所定形状のシートから組み立てられているので、部材が散逸するようなことがなく、管理が容易である。箱体には、開口Kから内部にスマートフォン以外でも物品を収容して保管、運搬が可能である。箱として使用後、物品スタンドとして有効活用を図ることができる。
【0037】
箱体の状態から物品スタンドとして使用する場合、図1に示すように、蓋面6および蓋面フラップ7を第1側面1および第2側面2に直角に開き、底面フラップ8を折り曲げて物品載置部を形成し、載置面8cを係合溝に差し込み固定する。載置面8cにスマートフォンT、額などの物品を載せて、開口Kの周囲の蓋面6および蓋面フラップ7に立て掛けることができる。載置面8cは底面3に対して鈍角をなし、開口Kは底面3に対して鋭角をなすため、物品は載置面8cと開口Kの周囲とで安定して支持される。また、物品スタンドになる箱Aは、縦断面が三角形の構造なので形状的に安定し、第1側面1と第2側面2とにより上下方向の強度が保たれ、開いた蓋面6と蓋面フラップ7とにより横方向の安定性も高められている。
【0038】
物品スタンドになる箱は、底面フラップ8の先端を第1側面1および第2側面2の係合溝12,14ならびに蓋面6の第1連通溝13および蓋面フラップ7の第2連通溝15と係合させることにより、物品載置部を折り曲げた状態で安定させることができる。底面フラップ8を折り曲げることにより、安定した物品載置部を容易に形成することができる。また、箱体として使用するとき、底面フラップ8の中間部8fを開口Kに沿って配置し、各側部8g,8hを第1側面1の内側および第2側面2の内側に沿って配置することにより、箱体の強度を高めることができる。
【0039】
物品スタンドとして使用したとき、蓋面6および蓋面フラップ7を開いて、第1側面1および第2側面2の係合溝12,14ならびに蓋面6の第1連通溝13および蓋面フラップ7の第2連通溝15と係合させた載置面8cの先端は、底面3の側に傾斜した係合溝12,14により、抜ける方向に対して抵抗を受けるので、物品載置部を折り曲げた状態でさらに安定させることが可能となっている。
【0040】
また、蓋面6および蓋面フラップ7を開いた状態で、底面フラップ8の突起8d、8eが蓋面6および蓋面フラップ7に当接するので、蓋面6および蓋面フラップ7を開いた状態で保ち、物品を開口Kの周囲の蓋面6および蓋面フラップ7に立て掛けやすくなっている。
【0041】
次に、本発明の第2の実施の形態である物品スタンドになる箱Bを図6図7に示す。
この物品スタンドになる箱Bは、図6に示すように、第1側面21および第2側面22の形状を、直角を有する台形状としたものである。このように構成された物品スタンドになる箱Bは、前述した側面が三角形状の物品スタンドになる箱Aに比較して、内部に収容する商品の数量を多くすることができるので、商品の運搬などには有利である。
【0042】
この物品スタンドになる箱Bは、前述の物品スタンドになる箱Aと同様に開口Kを有している。図7に示すように、平板状の紙材料シートから長方形状の底面23を両側から挟んで台形状の第1側面21と第2側面22を形成する。そして、この第1側面21に連接して背面フラップ24、天板フラップ25、蓋面フラップ26を形成し、第2側面22に連接して背面27、天板28、蓋面29を形成する。また、この背面フラップ24、天板フラップ25、蓋面フラップ26には係合手段となる凸片24a,25a,26aを形成し、これらの凸片に対応する背面27、天板28、蓋面29と第2側面22との境界に切込み27a,28a,29aを形成する。さらに、底面23に連接してスマートフォンなどの物品を載置するための底面フラップ30を形成する。
【0043】
所定の形状に打ち抜かれた1枚の平板状の紙材料シートは、底面23を基準として第1側面21と第2側面22を直角に折り曲げ、さらに背面フラップ24、天板フラップ25、蓋面フラップ26、背面27、天板28、蓋面29をそれぞれ直角に折り曲げ、各凸片24a,25a,26aを各切込み27a,28a,29aに差し込み固定することにより、閉じた箱体となる。この組み立て作業は、手作業または機械工程で簡単にできるものである。
【0044】
さらに、本発明の第3の実施の形態である物品スタンドになる箱を図8図10に示す。
この物品スタンドになる箱Cは、図8に示すように、前述の物品スタンドになる箱Bと同様に、第1側面31および第2側面32の形状を等脚台形状としたものである。物品スタンドになる箱Cの箱体は、等脚台形の四角柱状であって、開口Kに垂直な縦断面形状が等脚台形状である。箱体は、開口Kと内側で対向する側部に第2開口K2を有している。図9に示すように、箱Cは、2台のスマートフォンTを載置できるようにするため、両側に斜面が形成されている。このように構成された物品スタンドになる箱Cは、同時に2台のスマートフォンを使用できるので、二人で対戦型ゲームなどを楽しむことができ、使用範囲が広がるものである。
【0045】
この物品スタンドになる箱Cは、前述の物品スタンドになる箱Aや物品スタンドになる箱Bと同様に、図10に示すような1枚の平板状の紙材料シートから形成される。長方形状の底面33を挟んで台形状の第1側面31と第2側面32を形成する。そして、この第1側面31に連接して背面34、天板35、蓋面36を形成し、第2側面32に連接して背面フラップ37、天板フラップ38、蓋面フラップ39形成する。さらに、底面33の開口側および背面側の縁部に連接して両側に、スマートフォンなどの物品を載置するための底面フラップ40,第2底面フラップ41を形成するものである。蓋面36および蓋面フラップ39は開口Kを開閉可能で、背面34および背面フラップ37は第2開口K2を開閉可能である。。蓋面36、蓋面フラップ39および開口Kならびに背面34、背面フラップ37および第2開口K2は、底面33に対して鋭角をなしている。
【0046】
底面フラップ40および第2底面フラップ41は、蓋面36および背面34を開いた状態でそれぞれ開口Kおよび第2開口K2から箱体の内側に収容可能である。底面フラップ40および第2底面フラップ41は、それぞれ箱体の外側で底面33に対し鈍角をなす物品載置部および第2物品載置部を形成するよう折り曲げ可能に構成されている。
【0047】
所定の形状に打ち抜かれた物品スタンドになる箱Cは、前述の物品スタンドになる箱Bと同様に、底面33を基準として第1側面31と第2側面32を直角に折り曲げ、さらに背面34、天板35、蓋面36、背面フラップ37、天板フラップ38、蓋面フラップ39をそれぞれ直角に折り曲げ、各凸片37a,38a,39aを各切込み34a,35a,36aに差し込み固定することにより、縦断面形状または側面形状が等脚台形状の閉じた箱体となる。この組み立て作業は、手作業または機械工程で簡単にできるものである。
【0048】
第3の実施の形態の物品スタンドになる箱Cは、箱体の状態から、互いに対向する蓋面36および蓋面フラップ39ならびに背面34および背面フラップ37を第1側面31および第2側面32に直角に開いて、底面フラップ40から成る物品載置部および第2底面フラップ41から成る第2物品載置部を形成することができる。物品載置部および第2物品載置部には、スマートフォン、額などの物品をそれぞれ載せて、開口の周囲に立て掛けることができる。
【0049】
以上の説明のように、本発明の実施の形態の物品スタンドは、安価な紙材料から成形され、簡単に所定の形状に打ち抜き加工ができ、組み立て作業は手作業で簡単にできるため、極めて安価な物品スタンドを提供できる。しかも、箱がそのまま物品スタンドとして使用できるので、極めて利便性の優れた物品スタンドを提供できる。
【0050】
また、スマートフォンなどの物品の包装に使用した包装用箱体をそのまま物品スタンドとしても使用することができるので、わざわざ別途スタンドを用意する必要がない。
【0051】
また、第1の実施の形態では、断面形状を三角形状にすることにより、構造が簡単で製作コストが安価で、強度的に強い物品スタンドを提供することができる。
【0052】
また、第2の実施の形態では、断面形状を台形にすることにより、内部により多くの商品を収納することが可能となる。第3の実施の形態では、2個のスマートフォンをそれぞれ反対側に置くことができるので、2人で同時にスマートフォンを使用し、対戦型ゲームなどを楽しむことができる。
【0053】
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内において種々の変更が可能である。例えば、図5で、底面3の長さ、幅は任意に設定可能であり、背面4の部分に形状を任意に追加することも可能である。これにより、箱体の形状、大きさを適宜変更し、三角形、四角形、五角形など種々の多角形の側面形状とすることも可能である。収容する物品もスマートフォンに限定されるものではなく、ゴルフボールなどの他の物品であってもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 第1側面
2 第2側面
3 底面
4 背面
4a 切込み
5 背面フラップ
6 蓋面
6a 切込み
7 蓋面フラップ
8 底面フラップ
8a 延長部
8b 立上り部
8c 載置面
10 凸片
11 凸片
12 係合溝
13 第1連通溝
14 係合溝
15 第2連通溝
8d 突起
8e 突起

【要約】
【課題】箱として使用後、物品スタンドとして有効活用を図ることができ、1枚の紙材料から成って管理が容易な物品スタンドになる箱を提供する。
【解決手段】1枚の所定形状のシートから組み立てられた箱体である。箱体は、第1側面と第2側面と底面と背面と背面フラップと蓋面6と蓋面フラップ7と底面フラップ8とを有し、側部に開閉可能な開口Kを有する。蓋面6は開口Kを開閉可能であって蓋面6および開口Kは底面に対して鋭角をなす。底面フラップ8は底面の開口の側の縁部に連接する。底面フラップ8は蓋面6を開いた状態で開口Kから箱体の内側に収容可能である。底面フラップ8は箱体の外側で底面に対し鈍角をなす物品載置部を形成するよう折り曲げ可能である。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10