特許第6156809号(P6156809)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6156809
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】芯材片及びそれを用いた編み物品
(51)【国際特許分類】
   A43B 3/00 20060101AFI20170626BHJP
   A47C 27/15 20060101ALI20170626BHJP
   A45C 11/20 20060101ALI20170626BHJP
   A45C 11/00 20060101ALI20170626BHJP
【FI】
   A43B3/00 103A
   A47C27/15 C
   A45C11/20 Z
   A45C11/00 E
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-30639(P2016-30639)
(22)【出願日】2016年2月22日
【審査請求日】2016年2月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516053822
【氏名又は名称】ウメダデザインスタジオ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100183575
【弁理士】
【氏名又は名称】老田 政憲
(72)【発明者】
【氏名】梅田 美奈
【審査官】 山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−262705(JP,A)
【文献】 特開2005−198744(JP,A)
【文献】 特開2005−143901(JP,A)
【文献】 実公昭29−007949(JP,Y1)
【文献】 特開2007−007861(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0115284(US,A1)
【文献】 米国特許第02467821(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 3/00
A45C 11/00
A45C 11/20
A47C 27/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
編み物品を形成するための芯材片であって、
複数の上記芯材片を組み合わせて一つの組芯材とし、該組芯材に編み材が編み込まれることによって、上記編み物品を形成するように構成され、
上記芯材片の少なくとも2つは、同形状同寸法に形成され、
当該芯材片の一部を切断除去するための切断除去部が所定の間隔で複数配置されており、
上記切断除去部の何れかで切断された上記芯材片を組み合わせて上記組芯材を形成することにより、上記切断除去部で切断されていない上記芯材片からなる上記組芯材よりも、小さいサイズの上記組芯材に変更可能に構成され、上記編み物品のサイズを変更可能とする、芯材片。
【請求項2】
請求項1において、
複数の上記芯材片を組み合わせて上記組芯材を形成する際に互いに嵌合可能となる凹凸面を備え、
上記凹凸面を構成する凹部が形成された位置に、上記切断除去部が設けられている、芯材片。
【請求項3】
請求項1又は2において、
当該芯材片は、角状部分又は円弧状部分を有する板状に形成されており、
上記角状部分又は上記円弧状部分には、上記編み材を通して固定するための通し孔が厚み方向に貫通形成されている、芯材片。
【請求項4】
複数の芯材片を組み合わせて一つの組芯材とし、該組芯材に編み材が編み込まれることによって形成された編み物品であって、
上記芯材片の少なくとも2つは、同形状同寸法に形成され、
上記芯材片には、当該芯材片の一部を切断除去するための切断除去部が所定の間隔で複数配置されており、
上記芯材片は、上記切断除去部の何れかで切断された上記芯材片を組み合わせて上記組芯材を形成することにより、上記切断除去部で切断されていない上記芯材片からなる上記組芯材よりも、小さいサイズの上記組芯材に変更可能に構成され、上記編み物品のサイズが変更可能になっている、編み物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芯材片及びそれを用いた編み物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紐を芯材とし、その芯材に布を編み込んだ手作りの布草履が知られている。しかし、紐の芯材に一定の力加減で編み込むことによって、布草履を望み通りの形状や大きさに仕上げることは非常に難しい。
【0003】
これに対し、特許文献1には、発泡ポリエチレンによって成形された芯材に布を編み込んで布草履を作ることが開示されている。この特許文献1の芯材は、予め草履本体の形状に成形されており、布を編み込む際も一定の形状を維持するので、所望の形状の布草履を比較的容易に作ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−66368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載されている芯材は、草履のサイズに応じて複数のサイズが必要になってしまう問題がある。複数サイズの芯材が必要になると、金型も複数種類必要になるので、芯材の製造コストを低下させることは難しくなる。
【0006】
この問題は、布や紐等の編み材が編み込まれることによって編み物品を構成する芯材について、複数のサイズが必要になる場合にも同様に生ずる。
特に、手芸キットのような編み材セット等で商品管理をする場合、サイズ毎の芯材で分けてセットにする必要性が発生するので商品数の増加が危惧される。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、所望の形状の編み物品を容易に作ることができ、しかも多様なサイズで作製できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る芯材片は、編み物品を形成するための芯材片であって、複数の上記芯材片を組み合わせて一つの組芯材とし、該組芯材に編み材が編み込まれることによって、上記編み物品を形成するように構成され、上記芯材片の少なくとも2つは、同形状同寸法に形成され、当該芯材片の一部を切断除去するための切断除去部が所定の間隔で複数配置されており、上記切断除去部の何れかで切断された上記芯材片を組み合わせて上記組芯材を形成することにより、上記切断除去部で切断されていない上記芯材片からなる上記組芯材よりも、小さいサイズの上記組芯材に変更可能に構成され、上記編み物品のサイズを変更可能とする。
【0009】
この構成によると、複数の上記芯材片を組み合わせて一つの組芯材とすることにより、編み材を編み込む際に編み物品の形状が維持されるので、作り手の力加減にかかわらず所望の形状の編み物品を容易に作ることができる。そして、切断除去部で切断された芯材片からなる組芯材を、切断除去部で切断されていない芯材片からなる組芯材よりも、小さいサイズに変更することが可能となる。さらに、同形状同寸法の芯材片を用いてその一部を切断除去部で切断するようにしたので、一種類の芯材片を用いつつ多様なサイズの編み物品に適合できることとなる。
【0010】
さらにまた、複数の上記芯材片を組み合わせて上記組芯材を形成する際に互いに嵌合可能となる凹凸面を備え、上記凹凸面を構成する凹部が形成された位置に、上記切断除去部が設けられていてもよい。この構成によると、切断除去部において一般的なハサミやカッターなどの簡易な刃物での切断が容易になり、しかも、凹部の形状から切断除去部の位置が把握しやすくなる。さらに、芯材片を互いに組み合わせる際に、その凹凸面が嵌合することで各芯材片を位置決めできる。
【0011】
さらに、当該芯材片は、角状部分又は円弧状部分を有する板状に形成されており、上記角状部分又は上記円弧状部分には、上記編み材を通して固定するための通し孔が厚み方向に貫通形成されていることが好ましい。
【0012】
この構成によると、通し孔に通した編み材を、芯材片における角状部分又は円弧状部分の外縁に編み掛けることにより、当該角状部分又は円弧状部分に対しても編み材を隙間無く適切に編み込むことが可能になる。
【0013】
また、本発明に係る編み物品は、複数の芯材片を組み合わせて一つの組芯材とし、該組芯材に編み材が編み込まれることによって形成されている。そして、上記芯材片の少なくとも2つは、同形状同寸法に形成され、上記芯材片には、当該芯材片の一部を切断除去するための切断除去部が所定の間隔で複数配置されており、上記芯材片は、上記切断除去部の何れかで切断された上記芯材片を組み合わせて上記組芯材を形成することにより、上記切断除去部で切断されていない上記芯材片からなる上記組芯材よりも、小さいサイズの上記組芯材に変更可能に構成され、上記編み物品のサイズが変更可能になっている。
【0014】
この構成によると、複数の芯材片を組み合わせて一つの組芯材とすることにより、編み材を編み込む際に編み物品の形状が維持されるので、作り手の力加減にかかわらず所望の形状の編み物品を容易に作ることができる。しかも、切断除去部で切断された芯材片からなる組芯材を、切断除去部で切断されていない芯材片からなる組芯材よりも、小さいサイズに変更することが可能となる。さらに、同形状同寸法の芯材片を用いてその一部を切断除去部で切断するようにしたので、一種類の芯材片を用いつつ、多様なサイズの編み物品を作製することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、所望の形状の編み物品を容易に作ることができ、しかも多様なサイズで作製できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本実施形態1における芯材片を示す正面図である。
図2図2は、本実施形態1における芯材片を示す側面図である。
図3図3は、比較的サイズが大きい組芯材を示す正面図である。
図4図4は、比較的サイズが小さい組芯材を示す正面図である。
図5図5は、組芯材に編み材が編み込まれた草履本体を示す正面図である。
図6図6は、編み材が編み込まれている組芯材の一部を拡大して示す正面図である。
図7図7は、鼻緒が取り付けられた草履本体を示す正面図である。
図8図8は、鼻緒が取り付けられた草履本体を示す背面図である。
図9図9は、ソール部が取り付けられた草履を示す側面図である。
図10図10は、他の実施形態における草履を示す側面図である。
図11図11は、本実施形態2における芯材片を示す正面図である。
図12図12は、本実施形態2における組芯材を示す正面図である。
図13図13は、本実施形態2における芯材片を用いた鞄の構成を示す斜視図である。
図14図14は、本実施形態2における芯材片を用いた座布団の構成を示す斜視図である。
図15図15は、本実施形態2における芯材片を用いた携帯機器カバーの構成を示す斜視図である。
図16図16は、その他の実施形態における芯材片を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
《実施形態1》
【0018】
図1図10は本実施形態1を示している。図1及び図2は芯材片10を示し、図3及び図4は組芯材を示している。図5図8は編み材が編み込まれた草履本体20を示している。図9及び図10はソール部30が装着された草履1の側面を示している。
【0019】
本実施形態における芯材片10は、編み物品である草履(編み履物)1を形成するためのものである。すなわち、複数の芯材片10を組み合わせて一つの組芯材15とし、この組芯材15に編み材としての紐材16が編み込まれることによって草履1が形成される。
【0020】
芯材片10の少なくとも2つは、同形状同寸法に形成されている。本実施形態1では、図3及び図4に示すように、2つの芯材片10が組み合わされることによって1つの組芯材15が形成される。なお、2つ以上の複数の芯材片10によって組芯材15を形成する構成としてもよい。
【0021】
芯材片10は、図1に示すように、全体として櫛歯状に形成され、端部が略円弧状に形成された基端部11と、基端部11から枝状に延びる複数の連結部12とを有している。複数の連結部12は、互いに平行に延びている。芯材片10は、図2に示すように、一定の厚みを有する板状に形成されており、基端部11及び連結部12は互いに同じ厚みになっている。芯材片10は、例えばEVA発泡体等の樹脂材料によって形成されている。
【0022】
基端部11は、草履1を履く使用者のつま先又は踵が配置される部分となる。基端部11は、その基端側(図1で上側)の中央領域から連結部12側へ向かって延びる複数の骨部11aを有している。複数の骨部11aは所定の間隔で配置されている。紐材16は骨部11a同士の間に通されると共に図1で横方向に骨部11aへ編み込まれる。
【0023】
また、基端部11の基端側には、外縁が略円弧状に形成された円弧状部分17を有している。円弧状部分17の略中央位置には、紐材16を通して固定するための通し孔11bが厚み方向に貫通形成されている。そのことにより、図5及び図6に示すように、円弧状部分17において、紐材16を少なくとも一つの通し孔11bに通して当該円弧状部分17の外縁に編み掛けた後、後に続く紐材16の編み込みにより紐材16の端部を抑え込みながら骨部11aに隙間なく編み込むことができる。
【0024】
さらに、基端部11における基端側の側面(円弧状部分17の側面)は、厚み方向に延びる溝11cが所定の間隔で複数形成されることにより、凹凸面状になっている。このような溝11cを設けることにより、紐材16を芯材片10に好適に引っ掛けることができるので、紐材16を良好に編み込むことができる。
【0025】
図1に示すように、連結部12の横幅は骨部11aよりも狭くなっている。そして、2つの芯材片10を組み合わせて組芯材15を形成する際に、各芯材片10の連結部12は互いに連結される。
【0026】
図1図4に示すように、芯材片10は、組芯材15を形成する際に互いに嵌合可能となる凹凸面10aを備えている。すなわち、連結部12の側面には、基端部11側に配置された凸部12aと、凸部12aよりも先端側に所定の間隔で複数配置された凹部12bとが形成されている。凸部12a及び凹部12bは、互いに嵌合可能な形状となっている。そして、これら凸部12a及び凹部12bによって凹凸面10aが構成されている。
【0027】
さらに、芯材片10は、当該芯材片10の一部を切断除去するための切断除去部13を有している。本実施形態の切断除去部13は、連結部12における凹部12bが形成された位置に設けられている。切断除去部13では、凹部12bが形成されることによって連結部12の幅が狭くなっているので、一般的なハサミやカッターなどの簡易な刃物での切断が容易になる。しかも、凹部12bの形状から切断除去部13の位置が把握しやすくなる。
【0028】
そうして、芯材片10は、切断除去部13で切断された芯材片10を組み合わせて、連結部12の凹凸面10a同士を嵌合させることにより、組芯材15を形成するようになっている。組芯材15には、骨部11a同士の隙間と、連結部12同士の隙間とが繋がってスリット15aが形成される。本実施形態の組芯材15には、例えば3本のスリット15aが形成されている。紐材16は、図5に示すように、スリット15aに通されながら骨部11a及び連結部12に対して横方向に編み込まれる。
【0029】
例えば、組芯材15の左端側から右端側へ紐材16を編み込む場合、組芯材15の例えば正面左側(手前左側)に位置する紐材16を左端のスリット15aに通して組芯材15の背面右側へ送る。続いて、この紐材16を組芯材15の背面側から更に右側のスリット15aへ通して組芯材15の正面右側へ送る。引き続き、この紐材16を組芯材15の正面側にから更に右側のスリット15aへ通して組芯材15の背面右側へ送る。このように、紐材16を組芯材15(骨部11a又は連結部12)に波縫い状に編み込んでいく。組芯材15の右端に到達したら、左側へ折り返して上記と同様に紐材16を組芯材15に対して波縫い状に編み込んでいく。また、組芯材15の長手方向端部(図5で上下方向端部)では、スリット15aの端部又は通し孔11bに紐材16を通しながら組芯材15の長手方向端部に編み込んでいく。このとき、上述のように、通し孔11bに通した紐材16の端部を、後に続く紐材16の編み込みにより抑え込むことで、隙間のない編み込みが可能になる(図6参照)。このようにして、図5に示すように紐材16を組芯材15の全体に編み込む。
【0030】
ここで、図3は、図1及び図2における矢印Aの位置で連結部12の一部を切断除去して組芯材15としたものを示している。一方、図4は、図1及び図2における矢印Bの位置で連結部12の一部を切断除去して組芯材15としたものを示している。このように、切断除去する位置を変更することによって、組芯材15のサイズ(すなわち、草履1のサイズ)を容易に変更できるようになっている。
【0031】
草履1は、図7図9に示すように、組芯材15に紐材16が編み込まれた草履本体20と、草履本体20に取り付けられた鼻緒25と、草履本体20が装着されるソール部30と備えている。
【0032】
草履本体20は、図5に示すように、組芯材15の外形と略同じ小判型の形状になっている。図7及び図8に示すように、鼻緒25の後側部分が後緒27となっており、この後緒27は紐材16の編み目の隙間から草履本体20の裏側へ通され、つま先側へ折り返されている。一方、鼻緒25の前側部分には先緒26が巻き掛けられており、その先緒26の両端部分が紐材16の編み目の隙間から草履本体20の裏側へ通され、踵側へ折り返されている。
【0033】
ソール部30は、図9に示すように、踵が乗るヒール部分31の厚みが大きくなっている。また、ソール部30の上面には、草履本体20が装着される凹陥部32が形成されている。そうして、草履本体20は、鼻緒25が取り付けられた状態で、ソール部30の凹陥部32に対して接着剤で接着固定されている。このとき、草履本体20の上端部分はソール部30の上端より僅かに上へ突出している。
【0034】
なお、図10に示すように、凹陥部32の底には、後緒27及び先緒26が収まるように凹部33を形成してもよい。このように、ソール部30に凹陥部32及び凹部33からなる二段底を形成すれば、草履本体20とソール部30との隙間が小さくなるので、接着剤の量を減らしつつ草履本体20とソール部30とをより確実に接着固定することができる。一方、凹陥部32に凹部33を形成する代わりに、組芯材15の底に後緒27及び先緒26を納める凹部(図示省略)を形成してもよい。このようにしても、同様に草履本体20の確実な接着固定が可能になる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態によると、所望の形状の草履1を容易に作ることができ、しかも多様なサイズで作製できる。すなわち、複数の芯材片10からなる組芯材15を草履本体20の芯材に用いたので、紐材16を編み込む際に草履1の形状を維持することができ、作り手の力加減にかかわらず所望の形状の草履1を容易に作ることができる。しかも、複数の芯材片10を組み合わせるようにしたので、その芯材片10の組み合わせ方によって芯材(組芯材15)のサイズを変更することが可能となり、草履1を多様なサイズで作製できるようになる。
【0036】
さらに、同形状同寸法の芯材片10を用いてその一部を切断除去部13で切断するようにしたので、一種類の芯材片10を用いつつ多様なサイズの草履1に適合できることとなる。その結果、芯材片10を製造するための金型も一種類で済むため、芯材片10及び草履1の製造コストを大幅に低下させることができる。
【0037】
さらにまた、複数の芯材片10を組み合わせて組芯材15を形成する際に互いに嵌合可能となる凹凸面10aを形成することにより、芯材片10を互いに組み合わせる際に、その凹凸面10aが嵌合することで各芯材片10を位置決めできる。
【0038】
なお、本実施形態では、鼻緒25の先緒26と後緒27を草履本体20の裏側へ折り曲げて取り付けた例について説明したが、公知の固定具を用いて鼻緒25の先緒26と後緒27を草履本体20に取付固定するようにしてもよい。また、接着剤を用いる代わりに、面ファスナーを用いて草履本体20をソール部30に装着固定するようにしてもよい。この場合、例えば草履本体20の裏面と、草履本体20の裏側で折り曲げられた先緒26及び後緒27と、凹陥部32の底面とのそれぞれに面ファスナーを装着しておき、これら草履本体20、先緒26、後緒27及びソール部30を互いに貼り付け固定してもよい。
《実施形態2》
【0039】
図11図15は本実施形態2を示している。図11及び図12は、それぞれ本実施形態2における芯材片10及び組芯材15を示している。図13図15は、それぞれ編み物品としての鞄41、座布団42及び携帯機器カバー43を示している。
【0040】
上記実施形態1では、芯材片10を用いた編み物品の例として草履1を説明したが、本発明はこれに限らず、鞄41、座布団42及び携帯機器カバー43等の他の編み物品を作るための芯材片10として用いることができる。
【0041】
図11に示すように、本実施形態2における芯材片10は、基端部11が帯状に延びる板形状を有しており、組芯材15としたときに全体が略四角形状となるように構成されている。すなわち、芯材片10は、組芯材15の角部分を構成する角状部分18を有している。図11及び図12では、アール形状の角状部分18を示しているが、これ以外にも角状部分18は例えば直角形状であってもよい。角状部分18には、上記実施形態1と同様に、紐材16を通して固定するための通し孔11bが形成されている。通し孔11bは、組芯材15の四隅に配置されるように形成されており、通し孔11bに通した紐材16を、角状部分18の外縁に編み掛けることによって、組芯材15の四隅部分で紐材16を隙間無く編み込めるようにしている。
【0042】
連結部12は、上記実施形態1と同様である。そして、所望の切断除去部13において連結部12の一部を切断除去することで、組芯材15のサイズを変更することができる。図12は、図11における矢印Cの位置で切断した芯材片10同士を連結したものである。
【0043】
そして、この略四角形状の組芯材15に紐材16等の編み材を編み込んでいくと、編み物品本体45を形成できる。図13に示すように、手持ち部46を取り付けた2枚の編み物品本体45を、紐材47によって互いに編み付けることにより、鞄41を作成することができる。また、図14に示すように、2枚の編み物品本体45を重ねて接着することによって座布団を作成することもできる。図14では、両面テープ48を編み物品本体45の縁部分に貼り付けることで各編み物品本体45同士を貼り合わせた例を示している。
【0044】
なお、編み物品本体45同士を貼り合わせる方法としては、図13のような紐材47や図14のような両面テープ48に限らず、他の方法であってもよい。また、座布団42の例では、編み物品45同士の間にクッション材(不図示)を挟み込むことも好ましい。
【0045】
また、図15に示すように、編み物品本体45をスマートフォン等の携帯機器50のカバーとして用いることもできる。この場合、編み物品本体45を両面テープ等によって携帯機器50に貼り付けることが可能である。
《その他の実施形態》
【0046】
例えば図12において、組芯材15の内側に配置される内骨部51を、組芯材15の外周部分を構成する外骨部52よりも柔らかい構成としてもよい。例えば、内骨部51を外骨部52よりも細い形状としてもよい。このようにすれば、編み物品本体45の内側部分が外側部分よりも変形しやすくなるので、鞄41にした場合に物を収容しやすくなり、座布団42にクッション材を入れた場合にクッション性が高くなるので、使用感が向上する。
【0047】
上記実施形態1では、鼻緒25を備えた草履1について説明したが、鼻緒25の代わりに足先カバー(不図示)を備えた草履1とすることも可能である。すなわち、図5に示したような草履本体20に対し、例えば、図5で横方向に延びる帯状の足先カバーを草履本体20のつま先側部分に装着すればよい。足先カバーは、図示しない紐材等を用いて草履本体20に取り付ければよい。
【0048】
さらに、上記実施形態1では芯材片10における連結部12の幅を骨部11aの横幅の1/2の幅とした例について説明したが、本発明はこれに限らない。図示は省略するが、連結部12の厚みを骨部11aの厚みの1/2とすることも可能である。
【0049】
また、上記実施形態1及び2では、組芯材15が平板形状である例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、複数の芯材片10を組み合わせて組芯材15を円筒等の筒状に形成することも可能である。
【0050】
ここで、図16は芯材片10の他の実施形態を示している。上記実施形態1及び2では、2つの芯材片10を組み合わせて1つの組芯材15を形成した例について説明したが、本発明はこれに限らず、3つ以上の複数の芯材片10を組み合わせて組芯材15を形成してもよい。
【0051】
図16に示す芯材片10では、基端部11と連結部12とが別個の芯材片10となっており、例えば2つの基端部11と6つの連結部12との合計8つの芯材片10を組み合わせることにより組芯材15を形成する。組芯材15を形成する際は、連結部12を切断除去部13において適宜切断することにより、組芯材15のサイズを適宜変更できる。また、各芯材片10には、凹凸面10aを構成する凸部12a及び凹部12bがそれぞれ複数形成されている。凸部12a及び凹部12bは交互に配置することが可能である。
【0052】
なお、図16において、基端部11を複数の芯材片10に分割した構成としてもよい。このようにすれば、同図で縦方向だけでなく横方向にも組芯材15のサイズを変更することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上説明したように、本発明は、芯材片及びそれを用いた編み物品について有用である。
【符号の説明】
【0054】
1 草履(編み履物、編み物品)
10 芯材片
10a 凹凸面
13 切断除去部
15 組芯材
16 紐材(編み材)
17 円弧状部分
18 角状部分
【要約】
【課題】所望の形状の編み物品を容易に作ることができ、しかも多様なサイズで作製できるようにする。
【解決手段】編み物品を形成するための芯材片10であって、複数の芯材片10を組み合わせて一つの組芯材15とし、組芯材15に編み材が編み込まれることによって、編み物品を形成するように構成されている。さらに、芯材片10の少なくとも2つは、同形状同寸法に形成され、芯材片10の一部を切断除去するための切断除去部を有し、切断除去部で切断された芯材片10を組み合わせて組芯材15を形成することが好ましい。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16