【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、低価格で扱いが簡単な酸性濃縮物を提供することを根本的な目的とする。
【0009】
この目的は、請求項1に記載の特徴を有する容器によって達成される。
【0010】
容器内の乾燥濃縮物は、液体、好ましくは水に溶解した際、透析液の製造に適した酸性液体濃縮物、もしくは酸性液体濃度の一部を形成するように構成されるものとする。
【0011】
本発明の根本的なアイデアとしては、例えば、袋やカートリッジのような容器内の酸性乾燥濃縮物を溶解し、酸性液体濃縮物を提供することにある。これにより、重いキャニスターの透析装置への搬送や、複雑なリング配管システムの設置を回避できる。これにより、本発明にかかる容器を透析装置、または好ましくは、透析装置の近くに位置するローカル調製装置に充分固定連結でき、上記の乾燥濃縮物を溶解することにより、現場、つまり治療ステーションで酸性液体濃縮物を製造することが可能となる。
【0012】
したがって、本発明は透析治療の枠内で、使用可能状態の透析液を製造するために通常使用される酸性濃縮物の製造に関する。この酸性液体濃縮物は、好ましくは、Na
+、Ca
2+、Mg
2+、K
+、Cl
−といったイオン、および場合によっては、イオンもしくは酸、緩衝剤、アセテート、グルコース等のうち1種以上の添加物からなる。
【0013】
調製装置は、中央側ではなくローカル側、例えば、透析装置または治療ステーションの近郊で使用されることが好ましい。調製装置は透析装置毎にそれぞれ設けられてもよい。
【0014】
したがって、本発明によると、ベース濃縮物も同様であるが、酸性乾燥濃縮物を好ましくは、透析装置または調製装置に固定連結可能な使い捨て容器やその他のレセプタクル内に収容してもよい。レセプタクルは、プラグイン方式または、その他の方法で、連結方法に関係なく、1つ以上の透析装置または調製装置の接続手段に、好ましくは着脱可能に連結できる1つ以上の連結素子を有していてもよい。レセプタクルと透析装置または調製装置の連結は液体密封状態で、レセプタクルが使用後再び除去され、乾燥濃縮物が充填された新たなレセプタクルに替えられるよう、着脱可能であることが好ましい。
【0015】
そして、乾燥濃縮物は、例えば、透析装置または調製装置に既存のポンプや空気圧縮機などの装置により溶解でき、使用可能状態の透析液を製造するのに直接利用できる。
【0016】
このローカル調合装置に代えて、もしくは加えて、本発明内で調製装置と呼ばれる、本発明の濃縮物レセプタクル、つまり容器が接続可能な小さな調合装置が使用されることが好ましい。この中で酸性濃縮物が溶解され、酸性液体濃縮物が生成され、適切な方法で透析装置に供給されたり、完成透析液の製造に使用されたりする。
【0017】
本発明にかかる容器は、容器を透析装置または調製装置に連結する連結手段を有する構成とする。これらの連結手段は、透析装置または調製装置側の接続手段を用いて、容器を確実に透析装置または調製装置に取り付けられるよう構成される。この接続により、液体密封または気体密封状態となる。
【0018】
この連結手段および接続手段は、プラグイン接続により透析装置または調製装置に容器を設置できるように形成される。また、容器側の連結手段および、透析装置または調製装置側の接続手段は、容器の回転運動、またはピボット運動、場合によっては差し込み留め具のようなものにより接続できるよう構成してもよい。
【0019】
本発明にかかる容器の連結手段は、例えば、一方で接続手段と連結手段の間に連結領域ができるように、透析装置または他の調製装置の接続手段と協働または連通可能である。その連結領域により、乾燥濃縮物の溶解に使用される媒体、特に液体、好ましくは水、および加えて、気体、好ましくは空気が導入される。この導入された液体、または導入された水、ならびに導入された空気または気体は、ホース、流路、チューブ等を通じて容器の連結手段から容器の下部領域に導入できる。完成液体濃縮物は、好ましくは、この連結領域を通じてレセプタクルから除去される。
【0020】
連結手段および接続手段はさらに第2の連結領域を有し、それを通じて、容器から液体、特に気体、特に好ましくは空気を除去する。
【0021】
発明の好ましい実施形態において、乾燥濃縮物を溶解するために、水だけでなく空気も、レセプタクルの連結手段、透析装置または調合手段の接続手段、またはこれら手段に対応する流体連結、さらに好ましくは、ホース等を通じて容器に導入される。
【0022】
この空気を逃がすため、連結手段および接続手段は、第2の連結領域を有し、レセプタクルと、透析装置または調製装置との間の第2の流体連結を行う。第2の連結領域を通じて空気が容器から例えば大気中に排出される。もしくは、透析装置または調製装置に排出され、そこから大気中に排出される。
【0023】
一方で容器の連結手段、他方で透析装置または調製装置の接続手段のための例示的実施形態は、特許文献1に記載されており、ここでは特許文献1が全体的に参照され、その開示内容が本発明の主題となっている。この文献から分かるように、容器の連結手段はそれぞれ、対応の接続手段のコネクタ部と接続されるコネクタ部を有する。本発明によれば、各コネクタ部は流路を有し、そこを通って空気、および乾燥濃縮物を溶解するための媒体溶液、特に水が容器に入る。
【0024】
同様に、もう一方の連結手段のコネクタ部は、開口部または流路を有し、溶解処理中に容器から空気を排出する役割を果たす。
【0025】
特許文献1の教示から逸れるが、本発明内では、コネクタ部は、好ましくは、空気および溶媒、特に水の供給、ならびに液体濃縮物の除去に用いられる。本発明内では、もう一方のコネクタ部は、気体または空気の容器からの除去にのみ用いられる。
【0026】
容器内の上記の乾燥濃縮物は、例えば、NaCl、および/またはCaCl
2、および/またはMgCl
2、および/またはKCl、および/またはさらなる電解質塩、および/またはクエン酸、および/または、1つ以上のさらなる酸、および/または、グルコース、および/またはアセテート、またはこれらの物質のうち1つ以上からなるイオンからなっていてもよい。
【0027】
発明のさらなる実施形態または態様として、容器は、乾燥濃縮物を溶解することによって酸性液体濃縮物を製造するために、乾燥濃縮物に加えて、2〜15リットル、または4〜15リットル,好ましくは、4〜15リットルの容量の液体、好ましくは水を受け入れる容量を有する。そして/または、容器の総容量は4〜15リットルである。
【0028】
特に、容器に収容される乾燥濃縮物の量は、溶解される際、4〜15リットルの容量の液体、好ましくは水に、乾燥濃縮物が好ましくは、完全に溶解した状態で液体濃縮物となる程度とする。 濃縮物は、完成透析液を製造するために希釈されるが、各物質は完成透析液の容量に対し、以下の濃度で含まれることが好ましい。
【0029】
NaCl:110〜170mmol/l、好ましくは、130〜150mmol/l
KCl:0.7〜4.3mmol/l、好ましくは、1.0〜4.0mmol/l
CaCl
2:0.7〜2.0mmol/l、好ましくは、1.0〜1.75mmol/l
MgCl
2:0.3〜1.2mmol/l、好ましくは、0.5〜1.0mmol/l
グルコース:0.8〜2.2g/l、好ましくは、1.0〜2.0g/l
クエン酸:0.1〜20mmol/l、好ましくは、1.0〜15.0mmol/l
これらの値はすべて完成透析液に対するものである。例えば34リットルの水とベース濃縮物の混合物と、1リットルの酸性液体濃縮物とを混合し、35リットルの使用可能状態の透析液を得てもよい。この調合率は上記の例だけでなく、一般的に適した調合率として適応するのが自然である。
【0030】
本発明にかかる容器の好ましい容量は4〜15リットルである。
【0031】
乾燥濃縮物、およびそれから生成される酸性濃縮物は上記物質のうち1つ、複数またはすべてからなってもよい。また、乾燥濃縮物およびそれから生成される酸性濃縮物は上記の物質以外からなってもよい。
【0032】
酸性液体濃縮物はpH値が7.0未満であることが好ましい。そして/または、乾燥濃縮物は少なくとも1種の酸を有するものとする。
【0033】
上記に明記した物質に加え、他の電解質、緩衝剤、酸等の乾燥濃縮物には他の物質が存在していてもよい。
【0034】
容器は硬質壁および/または柔軟壁を有していてもよい。容器は袋、もしくは固体壁を有するカートリッジであることが好ましい。
【0035】
固体壁および柔軟壁を組合せてもよい。容器は、例えば、液体、および/または気体、および/または酸性液体濃縮物が排出される1つ以上の領域に固体壁を有し、その他の領域に柔軟壁を有していてもよい。
【0036】
さらに容器は使い捨てのものでもよい。この容器は、寿命が来ると、例えば約1〜3回の治療に用いられた後は捨てられ、再利用されないと理解されたい。容器は、袋やカートリッジ等といった形で配布され、その中で酸性液体濃縮物を製造し、1回以上の透析治療に使われてもよい。レセプタクルは消耗後廃棄される。
【0037】
容器内の乾燥濃縮物の量は、0.5kg〜6kg、好ましくは、0.75kg〜5.5kg、さらに好ましくは、1.0kg〜5.0kg、特に好ましくは、1.3〜4.2kgである。このような容器は扱いにも問題がなく、簡単に搬送や保管ができ、1回以上の血液透析治療を行うのに適している。
【0038】
乾燥濃縮物は、2〜15リットル、または4〜15リットル、好ましくは、4〜15リットルの液体、好ましくは水に溶解されて得られる酸性液体濃縮物のpH値が7.0未満であってもよい。
【0039】
乾燥濃縮物が溶解する前、容器には液体物質が含まれていなくてもよい。しかしこれは、少なくとも1種の酸などの液体成分も乾燥濃縮物に含まれているという発明に含まれる場合である。「乾燥濃縮物」は乾燥濃縮物が完全に溶解される状態ではなく、少なくとも部分的に、好ましくは、完全に1種以上の固体を有する状態と理解されたい。
【0040】
さらに、容器は1〜15リットル、好ましくは、2〜14リットル、さらに好ましくは、3〜13リットル、そして特に好ましくは、4〜15リットルの酸性液体濃縮物が許容可能なように構成されてもよい。
【0041】
発明のさらなる実施形態において、容器は少なくとも1つの導入手段を有し、容器内の乾燥濃縮物を溶解するために、そこから、液体、好ましくは水、または液体、好ましくは水と気体、好ましくは空気とを容器に導入する。導入手段は、例えば、ホース、流路、パイプ、または他の配管であってもよい。
【0042】
導入手段は一般に、容器における乾燥濃縮物が存在する領域、例えば使用時における容器内部の下部領域に、液体、または、液体および気体を導入するように作成される。
【0043】
したがって、導入手段の端部が乾燥濃縮物内に位置するように、液体、および/または気体は容器に供給されなければならない。この構成により、液体、または液体および気体が供給されることによって乾燥濃縮物が旋回され、溶解が促進される。
【0044】
本発明内では、供給される気体は、無菌の濾過空気であることが好ましい。
【0045】
1つ以上の導入手段は乾燥濃縮物に向かって突出していると有益である。ホースやその他の配管は、例えば、容器の壁もしくはポート部から容器内部に向かって突出していてもよい。
【0046】
さらなる実施形態において、容器は少なくとも1つの領域において、複数の壁部を有しているものとする。壁部の間には、谷型または凹型の領域が形成され、容器の使用時における少なくとも谷型領域には乾燥濃縮物が存在する。このような方法で確実に乾燥濃縮物が上記の谷型領域に「滑り込み」、中央に留まり、乾燥濃縮物を溶解するのに好ましい状況となる。
【0047】
したがって、レセプタクルは下部領域に少なくとも1つまたは複数の漏斗状のくびれを有していることが好ましい。これにより、全溶解工程において、液体、または液体および空気が送られる場所に未溶解の乾燥濃縮物を直接、確実に留め、さらに旋回させることができる。この方法により、濃縮物を完全に溶解するまでの時間を好ましい時間内まで短縮できる。
【0048】
導入手段、つまりホース、配管等は、谷型領域、または漏斗状のくびれまで上に延びていることが好ましい。
【0049】
特に導入手段は、谷型領域まで上に延びているものとし、この領域に少なくとも1つの開口部,好ましくは、少なくとも1つの流出口および/または、少なくとも1つの流入口を有していていることが好ましい。使用中は、液体、好ましくは水と気体、好ましくは空気とが流出口を通じて導入され、使用中は流入口を通じて酸性液体濃縮物が容器から排出され、そして/または、流出口と流入口とは同じひとつの開口部により形成されているものとする。
【0050】
さらに導入手段には密栓要素が配置されていてもよく、乾燥濃縮物が導入手段に入るのを防ぐ。このような方法により確実に固体が導入手段に入るのを防ぎ、気体または空気および/または、液体または水、または酸性液体濃縮物のみを通す。
【0051】
導入手段の密栓要素の重量は、11kN/m
3未満、が好ましくは、10kN/m
3未満、特に好ましくは、9,7kN/m
3未満が好ましい。
【0052】
さらなる発明の実施形態において、容器は、少なくとも1つの流出手段を有していてもよく、これにより酸性液体濃縮物が容器から排出される。この流出手段は、例えば、ホースや他の配管からなり、容器の内側にまで延びていることが好ましい。流出手段は単に容器の開口部として形成されてもよい。
【0053】
特に流出手段は導入手段および/または、導入手段とは別個の構成要素として形成されていてもよい。そして/または、導入手段と流出手段とは、容器において異なる位置または異なる側、好ましくは、容器における反対側もしくは容器の同じ側に形成されていてもよい。
【0054】
上記記載の可能性に伴い、流出手段は部分的、または全体的に導入手段から形成されていてもよい。導入手段および流出手段は、容器における1つの同じ素子であってもよい。例えば、ホースや他の配管も考えられ、例えば、乾燥濃縮物を溶解するために、超純水やRO水、および/または、好ましくは、精製済み、または濾過済みの空気を搬送できる。好ましくは、乾燥濃縮物を完全に溶解する場合、このような方法で作成された酸性液体濃縮物が同じホース、または同じ配管を通して排出されてもよい。
【0055】
酸性濃縮物は透析装置に供給される、または完成透析液を製造するための透析装置で使用される。そこで酸性濃縮物および好ましくは、ベース濃縮物が水と混合され、完成透析液が作られる。そのために、1つ以上のポンプ等の計量装置が使用されてもよく、完成透析液が望ましい成分を望ましい濃度で含むように、水または主配管を流れる水流に対する適量の濃縮物を計量する。
【0056】
まず、ベース液体濃縮物、次に本発明による酸性液体濃縮物がRO水に混合されてもよい。いずれの場合も、RO水約33に対し約1のベース液体濃縮物、および約1の酸性液体濃縮物が計量される。
【0057】
この場合、RO水は2つの2次配管と連通する主配管を流れていてもよい。2次配管のうち一方は、ベース液体濃縮物を有し、他方は酸性液体濃縮物を有する。2次配管はそれぞれの容器に連結され、そこで濃縮物がそれぞれ製造される。
【0058】
さらに、容器には少なくとも1つの排気手段が配置され、好ましくは、乾燥濃縮物を溶解するために、液体、および/または気体が容器に導入されるときに、空気または他の気体を容器から逃がすよう構成される。
【0059】
排気手段は、例えば、容器内部と連結し空気を逃がす容器の壁面、配管状の、例えば、少なくとも1つの配管、および/または、少なくとも1つの膜、またはフィルタからなる。排気手段は、水および空気を導入、および濃縮物を排出するための手段と異なる構成要素であることが好ましい。
【0060】
また、容器は、少なくとも1種のコードを有し、それにより、容器および/または、乾燥濃縮物および/または、液体酸性濃縮物が識別してもよい。例えば、透析装置または調製装置、または他の装置、例えば手持ちサイズのデバイスに検出装置を設置でき、それにより、符号を読み取ることができる。例えばこの情報に基づき、自動または手動で乾燥濃縮物を溶解する特定の溶解工程を開始できる。コードの自動認識が行われた場合、ユーザのさらなるアクションなしで乾燥濃縮物を溶解するための自動溶解処理を開始できる。それが終わると、場合によっては、さらに同様に自動で、完成透析液を製造するための酸性濃縮物の計量を行ってもよい。
【0061】
乾燥濃縮物は粉末状、および/または粒状であってもよい。先に述べた通り、乾燥濃縮物は固体物質のみから成っていてもよい。しかし、この場合、本発明における「乾燥濃縮物」は、「液体成分が容器内に存在する」という意味も含む。
【0062】
容器を連結するための連結手段は、容器の連結が透析装置の接続手段、調製装置、特定の形態の透析装置または透析装置用の調製装置のみによって可能なように形成される。容器の連結手段、および透析装置または調製装置の接続手段は、鍵及び錠前方式によって嵌挿されていてもよいし、特別な方法で互いに係合されていてもよく、容器の使用に適さない透析装置または調製装置への接続異常を防止できる。
【0063】
容器は、例えばいわゆるスタンド式容器であってもよい。このような容器には、通常基板により互いに連結された少なくとも2つの壁があるのが特徴で、容器全体が立つように形成されていることが好ましい。この場合、このスタンド式容器は、本発明内では基板が上にくるように、例えば、結果的に逆三角形になるように使用されていてもよい。これは、必ずしもではないが、正確に垂直に立っていなくてもよい。傾斜した形状も本発明に含まれる。しかし、容器の使用時には、上記のスタンド基板と反対側の角が底部、または底部領域に位置することが好ましい。
【0064】
このようなスタンド式容器の利点は、好ましくはスタンド基板が折りたためるように構成されているため、空の状態では平坦であることにある。充填時には、このようなスタンド式容器は、比較的大きな容量を有する。容器はスタンド式容器として形成されていることが好ましく、各実施形態では、スタンド基板が、理論上容器を立てるために充分な安定感を有している場合も、そうでない場合も含む。
【0065】
スタンド式容器は内側に折りたたまれる状態で設置されることが好ましい。スタンド基板は、内側に折りたたまれる「基部」を有する。しかし、そのリムは不均一な長さを有し、その結果、容器が充填された状態、もしくは展開されている状態のときには、非対称三角形となっている。このような実施形態においては、容器を充填する際には上部の「スタンド基板」が折りたたまれず、折りたたみ式スタンド基板の非対称なデザインにより、僅かな重力のずれが起こり、容器が重鎮される際に、V字型の容器の下方領域をこの下方位置に留めることが可能となる。
【0066】
これにより乾燥濃縮物は効率よく溶解される。
【0067】
発明の実施形態として、容器は、適切な方法で互いに密封状態で連結された2つのフィルムを有していてもよい。例えば、膜同士は、乾燥濃縮物を溶解することにより生成された液体濃縮物を容器に収容できるように溶着してもよい。
【0068】
壁または膜のうち、一方を実質的に真っ直ぐに形成し、他方は折りたたみ式のコーナー部、または辺縁部を有するよう構成してもよい。これによる利点は、内側に折りたたまれている時には、容器のスペースは少なくて済み、展開時には大容量を有するという点にある。
【0069】
発明の好ましい実施形態において、容器は容器の壁すべてを形成するちょうど2つのフィルムを有する。
【0070】
容器の使用方法としては、容器の使用時には、フィルムの一方を折りたたんでできる「基板」を上部または上方部に設置し、縦断面が三角形となる容器の反対側を下にすることが好ましい。
【0071】
本発明はさらに、酸性液体濃縮物を製造、ひいては透析液、好ましくは血液透析用の透析液を製造するための本発明にかかる容器の使用方法に関する。好ましくは超純水またはRO水の液体流量または液体容量に対する酸性液体濃縮物、および場合によっては、ベース濃縮物を計量することにより、透析液を製造してもよい。この透析液は、場合によっては、別の物質を添加してから、場合によっては適度な温度処理を行ってから、透析治療、好ましくは血液透析治療を実施するための完成透析液として使用してもよい。
【0072】
本発明はさらに透析液、好ましくは血液透析に使用される透析液を製造するための本発明にかかる容器内の酸性液体濃縮物の使用方法に関する。
【0073】
本発明はさらに、透析装置または調製装置に関し、調製装置は、透析液用の濃縮物の製造に用いられる。本発明において、透析装置または調製装置は本発明にかかる容器に接続される、またはこのような容器への接続に適している。
【0074】
透析装置または調製装置は、適切な接続手段によって本発明にかかる容器へ接続するのに適している。透析装置または調製装置は、接続された容器内の乾燥濃縮物を完全に溶解し、このような方法で酸性液体濃縮物を得る手段を有していることが好ましい。このような手段は少なくとも1種の液体、好ましくは超純水またはRO水、または少なくとも1種の液体、好ましくは超純水またはRO水と少なくとも1種の気体、好ましくは空気とを容器に導入できるように構成されていてもよい。
【0075】
透析装置または調製装置、特に1つ以上のポンプまたは液体源、および/または、圧縮機または圧縮空気源、手段を有していてもよいし、連結している、または連結可能となっていてもよい。その手段により少なくとも1種の液体、および/または、少なくとも1種のガスは透析装置もしくは調製装置に接続された容器に導入可能となっている、もしくは導入される。
【0076】
透析装置もしくは調製装置に接続された容器内の溶液、または酸性液体濃縮物はこれらの手段、特に1つ以上のポンプにより容器から排出される。主配管を流れる酸性液体濃縮物、例えば、液体、例えば、水、または、水とベース濃縮物の混合物は、場合によってはこの手段によって計量でき、ベース濃縮物を添加後、完成透析液を製造できる。
【0077】
透析装置または調製装置は上記の手段に連結された、または上記の手段を含む少なくとも1つの計量装置を有していてもよく、その計量装置は、透析液を製造するために、容器から、液体流、または好ましくは、部分的もしくは完全に液体、好ましくは水が充填されたレセプタクルに排出される酸性液体濃縮物を計量する。
【0078】
さらに、透析装置または調製装置は、少なくとも1つの主配管および、主配管に向けて開口しており、少なくとも1つの本発明にかかる容器が配置された少なくとも1つの2次配管を有してもよい。当該少なくとも1つの容器は、少なくとも1か所または2か所において主配管に連結された2次配管に配置されていてもよい。2次配管が2つの場合、レセプタクルに通じる2次配管を経て水、または水と空気が容器に供給されてもよく、レセプタクルから延びる配管を経て液体濃縮物がレセプタクルから排出されてもよい。
【0079】
2次配管が主配管に1か所のみにおいて連結され、溶解処理が次のように行われてもよい。液体、好ましくは、RO水および/または、気体が、主配管から容器に流れ、乾燥濃縮物の溶解後、液体濃縮物が再び同じ2次配管を通って主配管、または他の配管、またはレセプタクルに搬送されてもよい。
【0080】
さらに、少なくとも1つの制御装置、または調整装置が設けられ、時間および/または、特定のプログラム、および/または、所定の量に基づいて、液体、好ましくは水、または液体、好ましくは水と気体、好ましくは空気の容器への供給、および/または、気体、好ましくは空気、および/または、酸性液体濃縮物の容器からの除去を制御または調整してもよい。
【0081】
溶解処理は、余分な圧力や実質的に余分な圧力が容器内に存在しない状態で行われるのが好ましい。容器は、直接または、装置または調製装置を介して間接的に大気に連結されているため、排気は大気に向けて行われるのが好ましい。
【0082】
制御装置、または調整装置は、時間、例えば、特定期間または特定のスケジュールに基づき、液体および/または、気体の容器への供給、および/または、溶液の容器からの除去を制御または調整するように構成されてもよい。そして/または、望ましい濃度の物質を得るためにレセプタクルには特定量の水が加えられてもよい。
【0083】
例えば、液体、特に水、または液体、特に水および気体、特に空気は、所定時間内、または所定の間隔、および/または、所定の容量および/または質量で容器に供給されてもよい。
【0084】
酸性濃縮物の製造は連続的ではなく、バッチ式で行われるのが好ましい。空気および水はまず、乾燥濃縮物、または容器に導入され、余分な空気を再度除去することが好ましい。さらに、乾燥濃縮物が完全に溶解した後、液体濃縮物がポンプ等を介して容器から排出されることが好ましい。
【0085】
処方箋には一定量の水が記載されることが好ましい。この量の水は、例えば、何度かに分けてまたは連続的に添加される。例えば、水はそれぞれ30ml容量で計量され、順に添加されてもよい。
【0086】
さらに、制御装置、または調整装置は液体、または液体および気体の供給が連続して、間隔をあけて、またはバッチ式で行われるように構成される。例えば、一度特定量の液体水を添加し、連続して、または一度、または途切れ途切れに、またはずっと気体,特に空気を容器に導入し、溶解処理を促進してもよい。
【0087】
本発明は、透析装置または調製装置のさらなる実施形態に関する。この場合、調製装置は、透析液の製造のための濃縮物液の製造に用いられ、透析装置または調製装置は、少なくとも1つの連結手段を有するように構成される。これにより、圧縮空気配管手段が、液体配管手段に連結可能、または連結される。この連結手段により、液体、または液体および気体は少なくとも1種の乾燥濃縮物を含む容器に供給可能となる。また、この連結手段により、酸性液体濃縮物が容器から排出可能となる。
【0088】
少なくとも1つの制御装置、または調整装置が設けられてもよく、液体、好ましくは水、または液体、好ましくは水と気体、好ましくは空気の容器への供給、および/または、気体、好ましくは空気および/または、酸性液体濃縮物の容器からの除去を制御または調整するように構成されてもよく。そして/または、透析装置または調製装置は、さらに請求項7から9のいずれかに記載の特徴を有する。容器は、特に請求項1から4のいずれかおよび/または、上記に記載の容器であってもよい。透析装置または調製装置は請求項1から4のいずれかおよび/または、上記に記載の容器への接続に適していてもよい。液体は、水、特にRO水、そして、気体は特に空気であってもよい。
【0089】
特に透析装置または調製装置において、圧縮空気配管とRO水を容器に供給するため、そして容器から濃縮物を排出するための水用配管との間が連結されていてもよい。この透析装置、またはこの調製装置は、空気および水を同時導入するためのプログラムを備えた制御装置および/または調整装置を有する。
【0090】
本発明はさらに、透析液の製造に用いられる酸性液体濃縮物の製造方法に関する。当該方法は、本発明にかかる容器を透析装置または調製装置に接続すること、乾燥濃縮物を完全に溶解すること、乾燥濃縮物を完全溶解することにより得た酸性液体濃縮物を容器から除去することを含む。
【0091】
液体、好ましくは水、もしくは、液体、好ましくは水と気体、好ましくは空気とは、乾燥濃縮物を溶解するために容器に導入されてもよい。
【0092】
さらに、乾燥濃縮物を溶解するために、まず、液体、好ましくは水を、続いて気体、好ましくは空気、または、液体、好ましくは水と気体、好ましくは空気とを同時に容器に導入してもよい。
【0093】
液体、好ましくは水、または液体、好ましくは水と気体、好ましくは空気は、特定時間内におよび/または、特定の容量または質量で、および/または、特定回数の搬送運動、および/または、搬送用装置の特定運転期間までに搬送される。したがって、液体、または液体および気体は、特定の時間内に、ポンプなどの搬送用装置の特定数の搬送運動により、容器に搬送される。本発明にかかる容器を液体または水で充填するために、例えば、特定数の透析装置のバランス室充填物が使用される。
【0094】
透析装置のバランス室を、溶媒を添加するため、および/または、液体濃縮物を除去するための計量システムとして使用する際、所望容量を添加するのは無理だが、バランス室容量の整数倍の添加を行うことは可能である。所定量の塩を含む、正確な濃度の完成透析液を得るためには、濃縮物を希釈する際に溶解で得られる濃度を考慮しなければならない。同様のプロセスがEP0548537A2に記載されているので、この点を参照されたい。
【0095】
もし、例えば、バランス室または計量室の所望の容量が30mlである場合、バランス室の正確な容量は−1ml〜+2mlの許容範囲でずれていてもよい。バランス室のこの正確な容量は例えば29.50mlまでであればよい。この数値は透析装置内に存在する。
【0096】
ここで処方箋に、例えば、4500mlの水量が記載される場合、4500mlから29.5mlの計量システムの切替え数152.542が得られる。これは152回の切替えと、残量29.5ml×0.542=5.99mlに相当する。この15.99mlは実際の調合率の計算において考慮される。
【0097】
このような方法で計算された袋またはレセプタクルにおける調合率から濃縮物ポンプの圧送容量が、算出されポンプに連絡される。
【0098】
前記数値は一例に過ぎず、例えば、バランス室系統を計量手段として用いる場合に使用される一般的な工程の例示に過ぎない。この工程は同様に、本発明の一部である。
【0099】
さらに、容器内の溶液の輸送、吸収量は測量され、乾燥濃縮物の溶解度はそれにより決定される。もし、例えば、輸送送量が特定値に達すると、乾燥濃縮物が完全に溶解したと判定される。このような方法で作成された酸性液体濃縮物は、容器から取り出され、透析液の製造に使用される。
【0100】
液体、または液体および気体は、連続的に、間隔をあけて、またはバッチ式に容器に導入され、そして/また、溶液は連続的に、間隔をあけて、またはバッチ式に容器から排出されてもよい。乾燥濃縮物が完全に溶解した場合のみ、溶液はレセプタクルから排出される。
【0101】
液体、好ましくは水、または液体、好ましくは水と気体、好ましくは空気の容器への供給は、乾燥濃縮物が、液体、好ましくは水完全に浸かった状態、および/または、乾燥濃縮物が気体、好ましくは空気に動かされた、好ましくは渦流化された状態で行うこともできる。
【0102】
供給される水の量は、例えば、粉末/粒状物の組成によって決まる。特定量の粉末または粒状物は、特定量の水に混合される。粉末/粒状物は、その量の水により完全に溶解されなければならない。溶解時または水の充填時、および空気の導入時には、レセプタクルは、実際には透析装置または調製装置との接続部を介して、大気中に晒されていることが好ましい。
【0103】
容器内の溶液、つまり酸性液体濃縮物は、容器内の乾燥濃縮物が完全に溶解されたときにのみ容器から排出されることが好ましい。乾燥濃縮物の完全溶解の目的は、乾燥濃縮物の材料を理想的な形で使用するためだけでなく、酸性濃縮物の再生可能な組成物を得るためである。