特許第6156913号(P6156913)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立国際電気の特許一覧

<>
  • 特許6156913-電子装置 図000002
  • 特許6156913-電子装置 図000003
  • 特許6156913-電子装置 図000004
  • 特許6156913-電子装置 図000005
  • 特許6156913-電子装置 図000006
  • 特許6156913-電子装置 図000007
  • 特許6156913-電子装置 図000008
  • 特許6156913-電子装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6156913
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/225 20060101AFI20170626BHJP
   G03B 17/02 20060101ALI20170626BHJP
【FI】
   H04N5/225 430
   G03B17/02
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-60260(P2013-60260)
(22)【出願日】2013年3月22日
(65)【公開番号】特開2014-187502(P2014-187502A)
(43)【公開日】2014年10月2日
【審査請求日】2016年3月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 純一
(72)【発明者】
【氏名】大黒 崇弘
【審査官】 高野 美帆子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−200912(JP,A)
【文献】 特開2012−004493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222−5/257
G03B 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に複数の熱源部品を実装し、当該複数の熱源部品のそれぞれの下方に配置した複数のファンからの空気を前記熱源部品に当て、前記熱源部品によって暖められた空気を筐体内で循環させて冷却を行う密閉型の電子装置であって
前記複数の熱源部品として第1の熱源部品及び第2の熱源部品の少なくとも二つ以上の熱源部品が前記筐体内の前方方向と後方方向の空間を仕切るための仕切板を設けて仕切られた空間のそれぞれに分かれて実装され、前記筐体の左右側面が、内側に凹溝部を有した鉛直方向のフィンを並列に複数備える放熱器で構成されると共に、前記放熱器の前記フィンを覆うカバーを備え、
前記仕切板を設けて仕切られた空間のそれぞれに対して、前記ファンからの送風により、前記熱源部品によって暖められた空気を前記放熱器の前記フィンの前記凹溝部に流し、当該暖められた空気を前記フィンに熱伝達させて外気中に放熱し、外気中に放出された熱を前記カバーと前記フィンとの間に形成された上下に開口を有する外部流路を流れる空気によって冷却が為されることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
請求項1記載の電子装置において、前記凹溝部の中間部分を塞ぐように取り付ける内壁板を備え、
前記内壁板により、前記凹溝部の上部に吸入口、また、前記凹溝部の下部に排出口を有する内部流路が形成されることによって、前記熱源部品によって暖められた空気が前記内部流路に流れ込み、前記フィンに効率よく熱伝達が為されることを特徴とする電子装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の電子装置において、前記筐体内の中間部分に配置され、前記筐体内の空間を上下方向に仕切るための仕切板を備え、
前記仕切板に前記ファンを取り付けて、下部空間から上部空間に向かって前記ファンからの空気を流すことを特徴とする電子装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3記載の電子装置において、
前記電子装置は、前記第1の熱源部品としてCCDが実装され、前記第2の熱源部品としてCPUが実装されている放送用のスタジオカメラであることを特徴とする電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉型電子装置の冷却構造に係り、特に、放送用カメラに適応可能な冷却構造を有する電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の放送用のテレビジョンカメラでは、カメラ筐体内部にファンを実装し、カメラ筐体下部に設けた吸気口から冷却用の空気を吸入して内部熱源の冷却を行い、内部熱源によって暖められた空気をカメラ筐体の上部または後部に設けた排気口から排出することによって、カメラ内部の冷却を行っていた。
【0003】
特許文献1には、回路基板の電子回路デバイスで発生した熱をファンの対流による放熱と熱伝導による放熱で効率良く筐体外に排出することができ、筐体内の温度上昇が抑えられるようにしたテレビジョンカメラの技術が開示されている。
また、特許文献1のポータブルタイプのテレビジョンカメラでは、テレビジョンカメラの筐体に放熱用のファンが設けてあり、筐体の底部および側面下部に設けた吸気口から取り込まれた空気が、放熱フィンや複数の回路基板の間を通った後、筐体の背面側下部に設けた排気口から外部に排出されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−172055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、放送用のスタジオカメラでは、特許文献1のようなポータブルタイプのテレビジョンカメラと異なり、筐体内にファンは設けられても、筐体の底部および側面下部に設けた吸気口から取り込んだ冷却用の空気を排出するための排気口を、筐体の背面側に設けることは構造上できない。
ここで、従来の放送用スタジオカメラのカメラ本体の冷却方法について、図7及び図8を参照して説明する。図7は、従来の放送用スタジオカメラのカメラ本体の外観を示す前方斜視図である。また、図8は、図7の放送用スタジオカメラのカメラ本体のアセンブリカット断面図である。なお、黒の太矢印は、冷却用の空気の流れを示している。
【0006】
図7及び図8に示すように、従来の前面に大型レンズを装着し放送用スタジオカメラとして使用するカメラ本体100では、カメラ本体100の上部に空冷ファン101を配置し、カメラ本体100の下部に設けた図示しない吸気口より空気を取り込み、取り込んだ空気で熱源部品102を冷却した後、暖められた空気を図示しない排気口から外部に排出する冷却構造となっていた。
しかし、カメラ本体100の上部に空冷ファン101を配置したことにより、空冷ファン101の配置場所が制限され空間的に狭い部分に配置せざるをえず、空冷ファン101自体の大きさが制限されてしまうという問題があった。
また、カメラ本体100に実装された様々な部品によって、吸気口から吸入された空気の流路が複雑になり、カメラ本体100内部での空気の流れにムリが生じて効率よい冷却ができないという問題があった。
【0007】
更に、冷却ファン101が小型になることによって、必要な流量を確保するために冷却ファン101を高速で回転しなければならず騒音になってしまうという問題があった。また、カメラ本体100の上部に冷却ファン101を配置することによって、冷却ファン101がカメラマンにより近い位置関係となり、冷却ファン101による騒音がカメラマンに不快感を与える結果となっていた。
また、従来の放送用スタジオカメラでは、空気を取り込む吸気口、並びに外部に暖気を排出する排気口が必要であり、冷却ファン101による騒音が吸気口及び排気口から必ず漏れるため、静かなスタジオでは冷却ファン101の回転数を落としたり、時には冷却ファン101自体を停止させる必要があった。そのため、カメラ本体100の内部温度が上昇し撮影に多大な影響を与えるという問題がった。
【0008】
本発明は、この様な問題を解決するためになされたもので、筐体に騒音の元となる外部吸気口及び外部排気口がなく、筐体側面に配置した放熱器及びカバーにより効率よく内部熱源部品の熱を奪い外部へ排出することが可能な密閉型の電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る電子装置は、内部に熱源部品を実装し、当該熱源部品の下方に配置したファンからの空気を前記熱源部品に当て、前記熱源部品によって暖められた空気を筐体内で循環させて冷却を行う密閉型の電子装置において、前記筐体の左右側面が、内側に凹溝部を有し鉛直方向に並んだフィンを複数備える放熱器で構成されると共に、前記放熱器の前記フィンを覆うカバーを備え、前記ファンからの送風により、前記熱源部品によって暖められた空気を前記放熱器の前記フィンの前記凹溝部に流し、当該暖められた空気を前記フィンに熱伝達させて外気中に放熱し、外気中に放出された熱を前記カバーと前記フィンとの間に形成された上下に開口を有する外部流路を流れる空気によって冷却が為されることを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る電子装置は、上記した電子装置において、前記凹溝部の中間部分を塞ぐように取り付ける内壁板を備え、前記内壁板により、前記凹溝部の上部に吸入口、また、前記凹溝部の下部に排出口を有する内部流路が形成されることによって、前記熱源部品によって暖められた空気が前記内部流路に流れ込み、前記フィンに効率よく熱伝達が為されることを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するための本発明に係る電子装置は、上記した電子装置において、前記筐体内の中間部分に配置され、前記筐体内の空間を上下方向に仕切るための仕切板を備え、前記仕切板に前記ファンを取り付けて、下部空間から上部空間に向かって前記ファンからの空気を流すことを特徴とする。
【0012】
上記目的を達成するための本発明に係る電子装置は、上記した電子装置において、前記内壁板は、断熱材によって形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、筐体に騒音の元となる外部吸気口及び外部排気口がなく、筐体側面に配置した放熱器及びカバーにより効率よく内部熱源部品の熱を奪い外部へ排出することが可能な密閉型の電子装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態1に係る電子装置の一例を示す前方斜視図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る電子装置の構成を示す図である。
図3図1及び図5に示すD−D面で切断した場合の断面図である。
図4図3に示す断面図の前方斜視図である。
図5図1及び図3に示すA−A面で切断した場合の断面図である。
図6図1及び図3に示すB−B面で切断した場合の断面図である。
図7】従来の放送用スタジオカメラのカメラ本体の外観を示す前方斜視図である。
図8図7の放送用スタジオカメラのカメラ本体のアセンブリカット断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施の形態1>
[電子装置1の構成]
以下、本発明の実施の形態1に係る電子装置について、図1図6を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る電子装置の一例を示す前方斜視図である。また、図2は、本発明の実施の形態1に係る電子装置の構成を示す図である。また、図3は、図1及び図5に示すD−D面で切断した場合の断面図であり、図4は、図3に示す断面図の前方斜視図である。また、図5は、図1及び図3に示すA−A面で切断した場合の断面図である。また、図6は、図1及び図3に示すB−B面で切断した場合の断面図である。
本発明の実施の形態1に係る電子装置1は、前面に大型レンズを装着し放送局のスタジオ等で使用する放送用スタジオカメラのカメラ本体を例にして説明するが、屋内で使用する放送用スタジオカメラに限らず、屋外で使用される密閉型の電子装置であっても、本発明を適用することは可能である。
【0016】
電子装置1の筐体部分は、図1及び図2に示すように、シャーシ11と、シャーシ11の左側面の開口を塞ぐようにシャーシ11に取り付ける側面放熱器(LF)12及び側面放熱器(LB)13と、シャーシ11の右側面の開口を塞ぐようにシャーシ11に取り付ける側面放熱器(RF)14及び側面放熱器(RB)15と、側面放熱器(LF)12及び側面放熱器(LB)13をそれぞれ覆うようにしてシャーシ11に取り付ける側面カバー(LF)21及び側面カバー(LB)22と、側面放熱器(RF)14及び側面放熱器(RB)15をそれぞれ覆うようにしてシャーシ11に取り付ける側面カバー(RF)23及び側面カバー(RB)24とから構成されている。
【0017】
シャーシ11には、電子装置1の前後方向で空間を仕切るための仕切板(M)35が取り付けられており、仕切板(M)35を境にして、前方にCCD(Charge Coupled Device)等の発熱を伴う熱源部品(F)36が実装されており、また、後方に電子装置1を制御するための制御基板等の複数の基板が実装されており、それら基板にはCPU(Central Processing Unit)等の発熱を伴う熱源部品(B)37が実装されている。また、熱源部品(F)36の下方には、熱源部品(F)36を冷却するためのファン(F)31が配置されている。また、ファン(F)31は、上下方向で空間を仕切るための仕切板(F)33に取り付けられ、下部空間から上部空間に向かって空気を吐き出し、吐き出した空気が直接当たるよう熱源部品(F)36を配置する。また、図5に示すように、熱源部品(B)37の下方には、熱源部品(B)37を冷却するためのファン(B)32が配置されている。また、ファン(B)32は、上下方向に空間を仕切るための仕切板(B)34に取り付けられ、下部空間から上部空間に向かって空気を吐き出し、吐き出した空気が直接当たるよう熱源部品(B)37を配置する。
【0018】
側面放熱器(LF)12及び側面放熱器(LB)13は、外側に突出した鉛直方向に並ぶ複数のフィンを備え、フィンの内側にそれぞれ凹溝部を有する。また、側面放熱器(LF)12及び側面放熱器(LB)13の内側中央には、図2に示すように、凹溝部の中間部分を塞ぐように、それぞれ内部流路内壁(LF)16及び内部流路内壁(LB)17が取り付けられている。この内部流路内壁(LF)16及び内部流路内壁(LB)17によって、側面放熱器(LF)12及び側面放熱器(LB)13のそれぞれに、内部流路吸気口(LF)12a,内部流路排気口(LF)12b及び内部流路吸気口(LB)13a,内部流路排気口(LB)13bが形成される。また、側面放熱器(LF)12及び側面放熱器(LB)13の内側外周には、凹溝が設けられ、そこにOリングを嵌合し、シャーシ11の左側面の開口に取り付けた状態で気密性が保たれるようになっている。つまり、フィンの内側はシャーシ11とともに内部密閉構造を形成している。
また、同様に、側面放熱器(RF)14及び側面放熱器(RB)15は、外側に突出した鉛直方向に並ぶ複数のフィンを備え、フィンの内側にそれぞれ凹溝部を有する。また、側面放熱器(RF)14及び側面放熱器(RB)15の内側中央には、図3に示すように、凹溝部の中間部分を塞ぐように、それぞれ内部流路内壁(RF)18及び内部流路内壁(RB)19が取り付けられている。この内部流路内壁(RF)18及び内部流路内壁(RB)19によって、側面放熱器(RF)14及び側面放熱器(RB)15のそれぞれに、図示しない内部流路吸気口(RF)14a,内部流路排気口(RF)14b及び内部流路吸気口(RB)15a,内部流路排気口(RB)15bが形成される。また、側面放熱器(RF)14及び側面放熱器(RB)15の内側外周には、凹溝が設けられ、そこにOリングを嵌合し、シャーシ11の右側面の開口に取り付けた状態で気密性が保たれるようになっている。つまり、フィンの内側はシャーシ11とともに内部密閉構造を形成している。
【0019】
[電子装置1の冷却方法]
次に、図5及び図6を参照し、本発明の電子装置1の冷却方法について、詳細に説明する。なお、図5及び図6において、黒の太矢印は冷却用の空気の流路を示している。
【0020】
図5において、内部流路R1の矢印で示すように、電子装置1の仕切板(M)35で仕切られた後方の空間では、主要熱源部品(B)37の下側上向きに配置したファン(B)32からの冷風を熱源部品(B)37に直接吹き付けて熱を奪い、暖められた風が上方へと送られる。上方へ送られた暖風は、左右側面方向に分かれ、電子装置1の左右側面に配置された側面放熱器(LB)13及び側面放熱器(RB)15の内部流路吸気口(LB)13a及び内部流路吸気口(RB)15aからフィン内側の凹溝部に流入し、流入した暖風はフィンへの熱伝達によって熱が奪われた後、側面放熱器(LB)13及び側面放熱器(RB)15の内部流路排気口(LB)13b及び内部流路排気口(RB)15bから排出される。排出された冷風は、ファン(B)32から吸入され、再び上方へと吐き出される。
以上のようにして、内部密閉構造の中で風の内部循環が行われ、冷却効率を上げている。
【0021】
また、図6に示すように、側面放熱器(LB)13及び側面放熱器(RB)15をそれぞれ覆うように側面カバー(LB)22及び側面カバー(RB)24をシャーシ11に取り付けたことによって、側面放熱器(LB)13と側面カバー(LB)22との間、及び側面放熱器(RB)15と側面カバー(RB)24との間に、それぞれ風の通り道である外部流路R2が形成され、側面カバー(LB)22及び側面カバー(RB)24の下部開口より入り込んだ冷風が上方に流れて行く。すなわち、側面カバー(LB)22及び側面カバー(RB)24の下部開口より入り込んだ空気は、側面放熱器(LB)13及び側面放熱器(RB)15それぞれのフィン内側の凹溝部を上方から下方に向かって流れる内部流路R1の暖風からフィンを介して熱を奪い、煙突効果によって下方から上方へと流れる。煙突効果は暖気が上昇することで起こる自然対流であり、外部流路R2上部にある側面カバー(LB)22及び側面カバー(RB)24の上部開口より暖気が排出される。このとき下部にある側面カバー(LB)22及び側面カバー(RB)24の下部開口より外部の冷気が吸気され、更に、側面放熱器(LB)13及び側面放熱器(RB)15それぞれのフィンから熱を奪う対流となる。
【0022】
なお、側面放熱器(LB)13及び側面放熱器(RB)15それぞれのフィン内側に凹溝部を設けることにより、フィン内側の表面積を広く取ることができるので、内部流路R1からフィンへの熱伝達が効率良く行え、また、フィン自体の厚みを薄くすることができるので、フィン内での熱伝導が効率良く行え、結果、内部流路R1から外部流路R2への熱交換の効率が向上する。
また、側面放熱器(LB)13及び側面放熱器(RB)15との間で内部流路R1を形成するための内部流路内壁(LB)17及び内部流路内壁(RB)19に熱伝導率の低い断熱材(プラスチックなどの樹脂)を用いることにより、暖気による内部流路内壁(LB)17及び内部流路内壁(RB)19への熱伝達によって再度電子装置1内部を暖めることなく、流路外壁であるフィンに内部流路R1による熱を確実に伝えることが可能となる。上述した風の内部循環を繰り返すことで、装置内部より発生した熱を効率良く外部へと導くことができ、電子装置1内部を効率よく冷却することができる。
【0023】
更に、図5及び図6に示すように、上下方向の空間を仕切る仕切板(B)34を設け、仕切板(B)34にファン(B)32を配置することによって、ファン(B)32による送風のショートパスを無くし冷却効率をあげることができる。この配置はファンの大きさに制限を受けることが無くファンを大型化することが容易である。大型化したファンを低速で回転し得られる流量は小型ファンを高速で回転させたときと同じ効果がある。このため、ファンの回転を低速化できるためファンの回転による騒音を低減することができる。また、流路の内部と外部は完全に分離されており内部から外部、外部から内部への風の流れが無く内部は完全な密閉構造とすることができる。内部密閉構造となった電子装置1は、ファンより発生する音の漏れが無くファンによる騒音の不快感を低減することができる。
【0024】
また、電子装置1の仕切板(M)35で仕切られた前方の空間では、上述した図5の内部流路R1と同様に、主要熱源部品(F)36の下側上向きに配置したファン(F)31からの冷風を熱源部品(F)36に直接吹き付けて熱を奪い、暖められた風が上方へと送られる。上方へ送られた暖風は、左右側面方向に分かれ、電子装置1の左右側面に配置された側面放熱器(LF)12及び側面放熱器(RF)14の内部流路吸気口(LF)12a及び内部流路吸気口(RF)14aからフィン内側の凹溝部に流入し、流入した暖風はフィンへの熱伝達によって熱が奪われた後、側面放熱器(LF)12及び側面放熱器(RF)14の内部流路排気口(LF)12b及び内部流路排気口(RF)14bから排出される。排出された冷風は、ファン(F)31から吸入され、再び上方へと吐き出される。
以上のようにして、内部密閉構造の中で風の内部循環が行われ、冷却効率を上げている。
【0025】
また、上述した図6の外部流路R2と同様に、側面放熱器(LF)12及び側面放熱器(RF)14をそれぞれ覆うように側面カバー(LF)21及び側面カバー(RF)23をシャーシ11に取り付けたことによって、側面放熱器(LF)12と側面カバー(LF)21との間、及び側面放熱器(RF)14と側面カバー(RF)23との間に、それぞれ風の通り道である外部流路R2が形成され、側面カバー(LF)21及び側面カバー(RF)23の下部開口より入り込んだ冷風が上方に流れて行く。すなわち、側面カバー(LF)21及び側面カバー(RF)23の下部開口より入り込んだ空気は、側面放熱器(LF)12及び側面放熱器(RF)14それぞれのフィン内側の凹溝部を上方から下方に向かって流れる内部流路R1の暖風からフィンを介して熱を奪い、煙突効果によって下方から上方へと流れる。煙突効果は暖気が上昇することで起こる自然対流であり、外部流路R2上部にある側面カバー(LF)21及び側面カバー(RF)23の上部開口より暖気が排出される。このとき下部にある側面カバー(LF)21及び側面カバー(RF)23の下部開口より外部の冷気が吸気され、更に、側面放熱器(LF)12及び側面放熱器(RF)14それぞれのフィンから熱を奪う対流となる。
【0026】
なお、側面放熱器(LF)12及び側面放熱器(RF)14それぞれのフィン内側に凹溝部を設けることにより、フィン内側の表面積を広く取ることができるので、内部流路R1からフィンへの熱伝達が効率良く行え、また、フィン自体の厚みを薄くすることができるので、フィン内での熱伝導が効率良く行え、結果、内部流路R1から外部流路R2への熱交換の効率が向上する。
また、側面放熱器(LF)12及び側面放熱器(RF)14との間で内部流路R1を形成するための内部流路内壁(LF)16及び内部流路内壁(RF)18に熱伝導率の低い断熱材(プラスチックなどの樹脂)を用いることにより、暖気による内部流路内壁(LF)16及び内部流路内壁(RF)18への熱伝達によって再度電子装置1内部を暖めることなく、流路外壁であるフィンに内部流路R1による熱を確実に伝えることが可能となる。上述した風の内部循環を繰り返すことで、装置内部より発生した熱を効率良く外部へと導くことができ、電子装置1内部を効率よく冷却することができる。
【0027】
更に、上下方向の空間を仕切る仕切板(F)33を設け、仕切板(F)33にファン(F)31を配置することによって、ファン(F)31による送風のショートパスを無くし冷却効率をあげることができる。この配置はファンの大きさに制限を受けることが無くファンを大型化することが容易である。大型化したファンを低速で回転し得られる流量は小型ファンを高速で回転させたときと同じ効果がある。このため、ファンの回転を低速化できるためファンの回転による騒音を低減することができる。また、流路の内部と外部は完全に分離されており内部から外部、外部から内部への風の流れが無く完全な内部密閉構造とすることができる。密閉構造となった電子装置1は、ファンより発生する音の漏れが無くファンによる騒音の不快感を低減することができる。
【0028】
以上説明したように、本発明によれば、騒音の元となる外部吸気口及び外部排気口がなく、筐体側面に配置した放熱器及びカバーにより効率よく内部熱源部品の熱を奪い外部へ排出することができる。
【0029】
なお、本発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1:電子装置、11:シャーシ、12:側面放熱器(LF)、12a:内部流路吸気口(LF)、12b:内部流路排気口(LF)、13:側面放熱器(LB)、13a:内部流路吸気口(LB)、13b:内部流路排気口(LB)、14:側面放熱器(RF)、14a:内部流路吸気口(RF)、14b:内部流路排気口(RF)、15:側面放熱器(RB)、15a:内部流路吸気口(RB)、15b:内部流路排気口(RB)、16:内部流路内壁(LF)、17:内部流路内壁(LB)、18:内部流路内壁(RF)、19:内部流路内壁(RB)、21:側面カバー(LF)、22:側面カバー(LB)、23:側面カバー(RF)、24:側面カバー(RB)、31:ファン(F)、32:ファン(B)、33:仕切板(F)、34:仕切板(B)、35:仕切板(M)、36:熱源部品(F)、37:熱源部品(B)、100:カメラ本体、101:空冷ファン、102:熱源部品、R1:内部流路、R2:外部流路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8