(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6156952
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】乳首カップライナー
(51)【国際特許分類】
A01J 5/00 20060101AFI20170626BHJP
【FI】
A01J5/00
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-511411(P2015-511411)
(86)(22)【出願日】2013年5月6日
(65)【公表番号】特表2015-516160(P2015-516160A)
(43)【公表日】2015年6月11日
(86)【国際出願番号】SE2013050500
(87)【国際公開番号】WO2013169186
(87)【国際公開日】20131114
【審査請求日】2016年4月25日
(31)【優先権主張番号】1250457-7
(32)【優先日】2012年5月7日
(33)【優先権主張国】SE
(31)【優先権主張番号】13/465,527
(32)【優先日】2012年5月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500215931
【氏名又は名称】デラヴァル ホルディング アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】エルヴェビー, ニルス
【審査官】
濱田 光浩
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2011/0126768(US,A1)
【文献】
特開2003−235374(JP,A)
【文献】
実公昭32−002078(JP,Y1)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0050334(US,A1)
【文献】
米国特許第06164243(US,A)
【文献】
仏国特許出願公開第00499796(FR,A1)
【文献】
特開昭59−082029(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01J 5/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/BIOSIS(STN)
WPIDS(STN)
FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の乳首に付与される乳首カップの外殻(4)内に取り付けられるように構成され、かつ縦軸(x)に沿って延びる縦長形状を持つ乳首カップライナーであって、乳首カップライナーが、縦軸(x)に沿って長さ(L)を持ちかつ乳首を受けるための内部空間(21)を規定する胴体(2)を含み、さらに胴体(2)が、休止状態では、縦軸(x)に横断的に多角形断面形状を持ち、多角形断面形状が、複数の角部(23)及び複数の辺部(24)を規定し、辺部のそれぞれが前記角部(23)の二つを連結し、各角部(23)が、内部空間(21)に面しかつ内部空間(21)から内部表面(25)まで延びる内部半径(r)を持つ内部表面(25)を含むものにおいて、
内部半径(r)が各角部(23)について等しいこと、及び休止状態の角部(23)のそれぞれの内部半径(r)が、角部(23)の中心部(26)で少なくとも4mmであること、
辺部(24)のそれぞれが、休止状態で縦軸(x)の方に内側に湾曲していること、
辺部(24)のそれぞれが、胴体(2)の長さ(L)に沿って辺部(24)の少なくとも中心部(28)で第一壁厚(T1)を持ち、角部(23)のそれぞれが、胴体(2)の長さ(L)に沿って角部(23)の少なくとも中心部(26)で第二壁厚(T2)を持ち、かつ第一壁厚(T1)が第二壁厚(T2)より小さいこと、及び
胴体(2)と内部空間(21)が多角形断面形状を持ち、それが、少なくとも三つかつ多くても四つの角部(23)、及び少なくとも三つかつ多くても四つの辺部(24)を規定することを特徴とする乳首カップライナー。
【請求項2】
角部(23)のそれぞれの内部半径(r)が、角部(23)の中心部(26)で少なくとも5mmであることを特徴とする請求項1に記載の乳首カップライナー。
【請求項3】
辺部(24)のそれぞれが、休止状態で胴体(2)の長さ(L)に沿って縦軸(x)の方に内側に湾曲していることを特徴とする請求項1または2に記載の乳首カップライナー。
【請求項4】
各辺部(24)が、内部空間(21)に面しかつ内部空間(21)の外側の点(P)から内部表面(27)まで延びる内部半径(R)を持つ内部表面(27)を含み、辺部(24)のそれぞれの内部半径(R)が、休止状態で辺部(24)の中心部(28)で少なくとも20mmかつ多くても60mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の乳首カップライナー。
【請求項5】
辺部(24)のそれぞれの内部半径(R)が、休止状態で辺部(24)の中心部(28)で少なくとも30mmかつ多くても50mmであることを特徴とする請求項4に記載の乳首カップライナー。
【請求項6】
角部(23)と辺部(24)の間の境界線(23−24)が内部転移点に位置され、その点で角部(23)の内部表面(25)の接線と辺部(24)の内部表面(27)の接線が、平行でありかつ互いに一致していることを特徴とする請求項4または5に記載の乳首カップライナー。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つに記載の乳首カップライナーであって、
各角部(23)が、内部表面(21)から離れるように面しかつ内部空間(21)から外部表面(35)まで延びる外部半径(r′)を持つ外部表面(35)を含み、
各辺部(24)が、内部空間(21)から離れるように面しかつ内部空間(21)の外側の位置から外部表面(37)まで延びる外部半径(R′)を持つ外部表面(37)を含み、かつ
角部(23)と辺部(24)の間の境界線(23−24)が外部転移点に位置され、その点で角部(23)の外部表面(35)の接線と辺部(24)の外部表面(27)の接線が平行でありかつ互いに一致している、
ことを特徴とする乳首カップライナー。
【請求項8】
第二壁厚(T2)に対する第一壁厚(T1)の比が0.3〜0.7の範囲にあることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の乳首カップライナー。
【請求項9】
第二壁厚(T2)に対する第一壁厚(T1)の比が約0.5であることを特徴とする請求項8に記載の乳首カップライナー。
【請求項10】
胴体(2)が、頭部(1)から出口部(3)まで長さ(L)に沿って先細りとなっていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の乳首カップライナー。
【請求項11】
胴体(2)と内部空間(21)が、休止状態では、頭部(1)から出口部(3)まで長さ(L)に沿って縦軸に横断的に略三角形断面形状を持ち、この断面形状が、それにより三つの角部(23)、及び三つの辺部(24)を規定し、辺部(24)のそれぞれが前記角部(23)の二つを連結することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の乳首カップライナー。
【請求項12】
乳首カップライナーがまた、縦軸(x)に沿って、リップ(11)及び乳首のための開口(12)を含む頭部(1)、及び出口部(3)を含み、胴体(2)が、頭部(1)から出口部(3)まで長さ(L)に沿って延びることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載の乳首カップライナー。
【請求項13】
頭部(1)が、乳首カップライナーの一体化部分であることを特徴とする請求項12に記載の乳首カップライナー。
【請求項14】
頭部(1)が、乳首カップライナーを形成するために胴体(2)に取り付けられた別個の部分であることを特徴とする請求項12に記載の乳首カップライナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提文に記載の動物の乳首に付与される乳首カップの外殻に取り付けられるように構成された乳首カップライナーに関する。
【背景技術】
【0002】
種々の断面形状を持つ胴体を持つ乳首カップライナーが知られている。円形断面形状を持つ胴体は、一般的であり、迅速かつ完全な搾乳の利点を持つ。
【0003】
US−6164243は、頭端部、胴体、及び出口チューブを含む乳首カップライナーを開示する。胴体は、胴体の長さに沿って延びる、三つの角部及び三つの辺部を持つ三角形形状を持つ。辺部のそれぞれは、休止状態では、外側に湾曲されているかまたは膨らんでいる。
【0004】
FR−953779は、外殻及び乳首カップライナーを含む別の乳首カップを開示し、それらはともに、休止状態では、外側に湾曲されているかまたは膨らんだ辺部を持つ三角形断面を持つ。
【0005】
三角形断面形状を持つ胴体を持つ乳首カップライナーは、それらが搾乳操作時に優しい乳首の取り扱いをもたらすように考えられているという意味で有利である。しかし、かかる三角形または多角形の乳首カップライナーの欠点は、それらが減圧状態を完全に遮断せず、遅い搾乳をもたらすことである。
【0006】
WO2009/042022は、正方形断面を持つ胴体を持つ乳首カップライナーを開示する。
【0007】
EP−958738は、波形状断面を持つ胴体を持つ乳首カップライナーを開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上で述べた問題を克服すること、及び効率的な搾乳を与えかつ搾乳操作時に乳首の優しい取り扱いを確実にする乳首カップライナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、冒頭に規定された乳首カップライナーであって、内部半径が各角部について等しいこと、及び休止状態の角部のそれぞれの内部半径が角部の中心部で少なくとも4mmであることを特徴とする乳首ライナーによって達成される。
【0010】
例えば胴体の三角形断面形状を持つ乳首カップライナー(その形状は完全な三角形に近い)は、内部空間に向けて比較的鋭い角を持つだろう。しかし、乳首は、これらの角が乳首により満たされるような範囲まで変形されることができず、乳首カップライナーがつぶれるときも、全搾乳時に乳首と乳首カップライナーの内部表面の間に空いている空間は残っていないだろう。
【0011】
本発明の発明者は、この問題を認識し、この問題が角部の内部表面に角部の中心部に比較的大きな半径、特に少なくとも4mmの半径を与えることによって解決されることができるという理解に到達した。従って、本発明による乳首カップライナーは、搾乳操作の全脈動周期時に乳首カップライナーの内部空間を乳首で満たすこと、及び乳首カップライナーと良好な接触を持つことを可能にするだろう。従って、本発明の乳首カップライナーは、適切かつ効果的な搾乳性能を確実にする。
【0012】
加えて、多角形断面形状は、乳首端または乳首先端に近い領域の乳首に対して低い緊張と圧力を、従って乳首の優しい取り扱いをもたらすだろう。
【0013】
請求項の解釈のために、休止状態は、乳首カップライナーが乳首カップの外殻内に取り付けられていないときの状態、従っていかなる外部の力にも全くさらされていないときの状態を示してもよいことは注意されるべきである。しかし、休止状態はまた、乳首カップライナーが乳首カップの外殻内に取り付けられており、かつ乳首カップの外殻内の乳首カップライナーの取り付けから生じる緊張以外のいかなるさらなる外部の力にもさらされていない状態を示してもよい。いずれにせよ、乳首カップライナーは、例えば休止状態では脈動減圧または搾乳減圧にさらされないし、または乳首が乳首カップライナーの内部空間中に導入されるときに起こる力または圧力にさらされない。
【0014】
本発明の一実施態様によれば、角部のそれぞれの内部半径は、角部の中心部で少なくとも5mmである。
【0015】
本発明のさらなる実施態様によれば、辺部のそれぞれは、休止状態では、縦軸の方に内側に湾曲している。かかる内側に向けられた湾曲または膨らみは、乳首カップライナーの均一なつぶれに寄与し、かつ乳首カップライナーの胴体の全ての辺部が適切につぶれることを確実にする。有利には、辺部のそれぞれは、休止状態では、胴体の長さに沿って縦軸の方に内側に湾曲されることができる。
【0016】
本発明のさらなる実施態様によれば、各辺部は、内部空間に面しかつ内部空間の外側の位置から内部表面に延びる内部半径を持つ内部表面を含み、そこでは辺部のそれぞれの内部半径は、休止状態では辺部の中心部で少なくとも20mmかつ多くても100mmである。
【0017】
有利には、辺部のそれぞれの内部半径は、休止状態で辺部の中心部で少なくとも30mmかつ多くても50mmであることができる。
【0018】
本発明のさらなる実施態様によれば、角部と辺部の間の境界線は、内部転移点に位置され、その点で角部の内部表面の接線と辺部の内部表面の接線が、平行でありかつ互いに一致する。このようにして、角部の内部表面と辺部の内部表面の間の滑らかな転移が確実にされる。
【0019】
本発明のさらなる実施態様によれば、各角部は、内部空間から離れるように面しかつ内部空間から外部表面に延びる外部半径を持つ外部表面を含み、そこでは各辺部は、内部空間から離れるように面しかつ内部空間の外側の位置から外部表面まで延びる外部半径を持つ外部表面を含み、かつ角部と辺部の間の境界線は外部転移点に位置され、その点で角部の外部表面の接線と辺部の外部表面の接線が平行でありかつ互いに一致する。このようにして、角部の外部表面と辺部の外部表面の間の滑らかな転移が確実にされる。
【0020】
本発明のさらなる実施態様によれば、辺部のそれぞれは、胴体の長さに沿って辺部の少なくとも中心部で第一壁厚を持ち、角部のそれぞれは、胴体の長さに沿って角部の少なくとも中心部で第二壁厚を持ち、第一壁厚は第二壁厚より小さい。辺部と角部の間の壁厚のかかる差はまた、辺部のそれぞれの適切なつぶれに寄与する。有利には、第二壁厚に対する第一壁厚の比は、0.3〜0.7の範囲にあることができる。特に、第二壁厚に対する第一壁厚の比は、0.5、または約0.5であることができる。
【0021】
好ましくは、辺部の第一壁厚は1〜2.6mmであることができ、角部の第二壁厚は2.3〜6mmであることができる。
【0022】
本発明のさらなる実施態様によれば、胴体は、頭部から出口部まで長さに沿って先細りとなっている。胴体の先細りにかかわらず、内部半径は、胴体の全長に沿って角部の中心部に対して、上で規定された限界内にある。
【0023】
本発明のさらなる実施態様によれば、胴体及び内部空間は多角形断面形状を持ち、それは、少なくとも三つかつ多くても四つの角部、従って少なくとも三つかつ多くても四つの辺部を規定する。従って、胴体及び内部空間は、略三角形または略正方形の断面形状を持つ。
【0024】
本発明のさらなる実施態様によれば、胴体及び内部空間は、休止状態では、略三角形、または頭部から出口部まで長さに沿って縦軸に横断的に三角形の断面形状を持ち、この断面形状は、それにより三つの角部及び三つの辺部を規定し、辺部のそれぞれが前記角部の二つを連結する。
【0025】
本発明のさらなる実施態様によれば、乳首カップライナーはまた、縦軸に沿って、リップ及び乳首のための開口を含む頭部、及び出口部を含み、胴体は、頭部から出口部まで長さに沿って延びる。
【0026】
本発明のさらなる実施態様によれば、頭部は、乳首カップライナーの一体化部分である。本発明の別の実施態様によれば、頭部は、乳首カップライナーを形成するために胴体に取り付けられた別個の部分である。
【0027】
本発明のさらなる実施態様によれば、出口部は、短いミルク導管を形成する。本発明の別の実施態様によれば、出口部は、別個の短いミルク導管への出口部の連結を可能にするように構成された接管を含む。
【0028】
本発明は、種々の実施態様の説明によってここに添付された図面を参照してより詳細に説明されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、本発明による乳首カップライナーの第一実施態様の縦方向側面図を示す。
【0030】
【
図2】
図2は、
図1の乳首カップライナーの上からの図を示す。
【0031】
【
図3】
図3は、外殻及び
図1の乳首カップライナーの縦方向断面図を示す。
【0032】
【
図4】
図4は、
図1の線IV−IVに沿った乳首カップライナーの断面図を示す。
【0033】
【
図5】
図5は、
図1の線V−Vに沿った乳首カップライナーの断面図を示す。
【0034】
【
図6】
図6は、本発明による乳首カップライナーの第二実施態様の縦方向側面図を示す。
【0035】
【
図7】
図7は、
図6の線VII−VIIに沿った乳首カップライナーの断面図を示す。
【0036】
【
図8】
図8は、本発明による乳首カップライナーの第三実施態様の縦方向側面図を示す。
【0037】
【
図9】
図9は、
図8の線IX−IXに沿った乳首カップライナーの断面図を示す。
【0038】
【
図10】
図10は、
図8の乳首カップライナーの第三実施態様の別の縦方向側面図を示す。
【0039】
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1及び2は、頭部1、胴体2、及び出口部3を含む乳首カップライナーを開示する。
図3でわかるように、この乳首カップライナーは、乳首カップの外殻4内に取り付けられるように構成されている。すなわち乳首カップライナー及び外殻4は、動物の乳首に付与される乳首カップを形成することができる。
【0041】
乳首カップライナーは、縦長形状を持ちかつ縦軸xに沿って延びる。頭部1、胴体2、及び出口部3は、縦軸xに沿って互いの後に続いて設けられる。第一及び第二実施態様では、頭部1、胴体2、及び出口端3は、天然または合成ゴム、熱可塑性エラストマーなどの一種のエラストマー材料の一片で製造される。頭部1及び/または出口部3は、胴体2とは別のおそらく弾性に劣る材料で製造されることができる。
【0042】
頭部1と胴体2の間の境界は、
図1及び3では線1−2によって示されている。胴体2と出口部3の間の境界は、
図1及び3では線2−3によって示されている。
【0043】
頭部1は、乳首カップライナーの第一端5を形成する。第一端5は、搾乳時に動物の乳房に対して付与される乳首カップライナーの上方端を形成する。
【0044】
頭部1は、乳首のための開口12を形成するリップ11を含む。さらに、頭部1は環状ベース13を含み、それからリップ11が縦軸xに向けて延びる。
【0045】
環状ベース13は、第一端5から胴体2に、すなわち境界線1−2に向けて延びる。
【0046】
頭部1はまた、環状ベース13から出口部3に向けて延びかつ外殻4の第一端を受けるための環状凹所15を形成するカラー14を含むことができる。
【0047】
胴体2は、長さLを持ちかつ乳首を受けるための内部空間21を規定する。胴体2は、縦軸xに沿って頭部1(すなわち頭部1の環状ベース13)から出口部3まで延びる。胴体2の長さLは、縦軸xに沿って頭部1の長さより有意に大きい。
【0048】
胴体2は、開示された実施態様では、頭部1から出口部3まで長さLに沿って、先細りであるか、またはわずかに先細りである。しかし、胴体2はまた、円筒状形状(すなわちいかなる先細りもなし)を持つことができることは注意されるべきである。
【0049】
従って、出口部3は、乳首カップライナーの胴体2から第二端6まで延びる。第一及び第二実施態様では、出口部3は、第二端6まで延びかつかぎ爪または他の同様なミルク受け部材(開示せず)に取り付けられるように構成されている短いミルク導管31を含む。出口部3は開示されたものより短いものであることができる。すなわち短いミルク導管31は、別個の短いミルク導管に取り付けられる接管などの出口部材によって置き換えられることは注意されるべきである。
【0050】
出口部3はまた、乳首カップライナーが乳首カップを形成するために外殻4内に取り付けられるときに外殻4の第二端と係合する肩32、溝、または凹所のような手段を含む。
【0051】
乳首カップライナーは、
図2では、休止状態で、または取り付けられた休止状態で開示されている。上述のように、休止状態は、乳首カップライナーが外殻4内に取り付けられているが乳首カップの外殻内の乳首カップライナーの取り付けからもたらされる緊張とは別のいかなるさらなる外部の力にもさらされていないときの、すなわち乳首カップライナーが搾乳減圧または脈動減圧にさらされない、または乳首が内部空間21中に導入されるときに起こる力または圧力にさらされないときの、状態を示すことができる。
【0052】
図4及び5でわかるように、胴体2及び内部空間21は、休止状態では、縦軸xに対して横断的に見て、頭部1から出口部3まで、好ましくは全長Lまたは実質的に全長Lに沿って、三つの角を持つ多角形断面形状、または三角形、または略三角形断面形状を持つ。この三角形断面形状は、三つの角部23及び三つの辺部24を規定する。各辺部24は、角部24の二つを連結する。角部23と辺部24の間の境界は、
図4に境界線23−24によって示されている。すなわち角部23と辺部24は、境界線23−24によって互いから分離されている。
【0053】
各角部23は、内部空間21に面しかつ内部空間21から内部表面25に延びる内部半径rを持つ内部空間21の方への凹状湾曲を持つ内部表面25を含む。角部23の内部半径rは、特に完全な三角形の形状の角部の内部半径と比べて、比較的長い。
【0054】
開示された実施態様では、内部半径rは、各角部23に対して等しい。さらに、角部23のそれぞれの内部半径rは、休止状態では、角部23の少なくとも中心部26で少なくとも4mmである。より詳細には、角部23のそれぞれの内部半径rは、おそらく全角部23に沿って、少なくとも角部23の中心部26では少なくとも5mmであることができる。内部半径rに対するこれらの限界は、胴体2の全長Lまたは実質的に全長Lに沿った角部23の内部表面25に対して当てはまることは注意されるべきである。
【0055】
図4及び5でもわかるように、胴体2の辺部24のそれぞれは、休止状態では、好ましくは胴体2の全長Lまたは実質的に全長Lに沿って、縦軸xの方に内側に湾曲されている。各辺部24は、内部空間21に面しかつ内部空間21の外側の点Pから内部表面27まで延びる内部半径Rを持つ内部空間21の方への凹状湾曲を持つ内部表面27を含む。辺部24のそれぞれの内部半径Rは、角部23の内部半径rより大きいか、または有意に大きい。
【0056】
辺部24のそれぞれの内部半径Rは、休止状態では、辺部の少なくとも中心部28で少なくとも20mmかつ多くても60mmであり、またはおそらく全辺部24で、好ましくは少なくとも30mmかつ多くても50mmであり、より好ましくは少なくとも35mmかつ多くても45mmである。特に、辺部24のそれぞれの内部半径Rは約40mmであることができる。辺部24のそれぞれの内部半径に対するこれらの限界は、胴体2の全長Lまたは実質的に全長Lに沿った辺部24の内部表面27に対して当てはまることは注意されるべきである
【0057】
角部23と辺部24の間の境界線23−24は、断面の面内の内部転移点に、または内部表面25,27の長さLに沿った内部転移線に位置され、そこでは角部23の内部半径rは辺部24の内部半径Rに移行される。
図4及び5でわかるように、この内部転移点に不連続性はなく、そこでは境界線23−24が内部表面25,27を横切る。言い換えれば、前記断面の面内の角部23の内部表面25の接線、及び前記断面の面内の辺部24の内部表面27の接線は、平行でありかつ内部転移点で互いに一致する。
【0058】
さらに、各角部23は、内部空間21から離れるように外側に面しかつ内部空間21から外部表面35まで延びる外部半径r′を持つ凸状湾曲を持つ外部表面35を含む。外部半径r′は、胴体2の休止状態での内部半径rより長い。
【0059】
また、各辺部24は、内部空間21から離れるように外側に面しかつ内部空間21の外側の点P′から外部表面37まで延びる外部半径R′を持つ凹状湾曲を持つ外部表面37を含む。外部半径R′は、内部半径Rと同じ点Pから延びてはいけないことは注意されるべきである。辺部24のそれぞれの外部半径R′は、角部23の外部半径r′より大きいか、または有意に大きい。
【0060】
角部23と辺部24の間の境界線23−24は、断面の面内の外部転移点に、または外部表面35,37の長さLに沿った外部転移線に位置され、そこでは角部23の外部半径r′は辺部24の外部半径R′に移行される。
図4及び5でわかるように、この外部転移点に不連続性はなく、そこでは境界線23−24が外部表面35,37を横切る。言い換えれば、前記断面の面内の角部23の外部表面35の接線、及び前記断面の面内の辺部24の外部表面37の接線は、平行でありかつ外部転移点で互いに一致する。
【0061】
胴体2の辺部24のそれぞれは、胴体2の長さLまたは全長Lに沿って辺部24の少なくとも中心部28で第一壁厚T
1を持つ。角部23のそれぞれは、胴体2の長さLまたは全長Lに沿って角部23の少なくとも中心部26に第二壁厚T
2を持つ。
図4及び5でわかるように、第一壁厚T
1は第二壁厚T
2より小さい。好ましくは、第二壁厚T
2に対する第一壁厚T
1の比は、0.3〜0.7の範囲にあることができる。より好ましくは、第二壁厚T
2に対する第一壁厚T
1の比は、約0.5であることができる。
【0062】
胴体2は、第一実施態様に開示されたものとは別の数の角部23及び辺部24を持つ多角形断面形状を持つことができることが注意されるべきである。
図6及び7は、第二実施態様を開示し、それは、胴体2及び内部空間21が四つの角部23及び四つの辺部24を持つ多角形断面形状を持つことのみで第一実施態様と異なる。
【0063】
また、五つの角部23及び五つの辺部24(図面に開示せず)を持つ断面形状も可能であることができる。
【0064】
図8〜11は、乳首カップライナーの第三実施態様を開示する。開示された実施態様では、同じまたは対応する機能を持つ要素は同じ参照記号を与えられていることが注意されるべきである。第三実施態様では、出口部3は、出口部3及び胴体2の別個の短いミルク導管31への連結を可能にするように構成された接管を含むか、または接管として設計されている(
図8〜11に開示せず)。
【0065】
さらに、第三実施態様では、乳首のための開口12を形成するリップ11を含む頭部1は、胴体2から分離されている。頭部1は、胴体2に永久的に取り付けられているかまたは胴体2に取り外し可能に取り付けられることができる。胴体2は、三つ、四つまたは可能なら五つの角部23及び三つ、四つまたは可能なら五つの辺部24を持つ、第一及び第二実施態様における胴体2と同じ形状を持つ。かかる別個の頭部1は、異なる材料、または、例えば胴体2及び頭部1またはリップ11のための弾性に関して異なる特性を持つ材料の使用を可能にする。
【0066】
第三実施態様の出口部3は、第一及び第二実施態様と組み合わされることができること、または代替的に別個の頭部が第一及び第二実施態様と組み合わされることができることは注意されるべきである。
【0067】
本発明は、開示された実施態様に限定されず、以下の請求項の範囲内で変更及び修正されることができる。