(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2制御手段は、所定時間以上前記充電電流の大きさを前記設定値に保っても前記直流バスの電圧が出力電圧から垂下しない場合、前記直流バスの電圧が前記発電装置の出力電圧から垂下するまで前記充電電流の大きさを前記設定値から徐々に大きくし、前記直流バスの電圧が前記発電装置の出力電圧から垂下した後、前記充電電流の大きさを前記電流値記憶手段に新たに記憶された充電電流の大きさ未満の値に設定する請求項2に記載の制御装置。
前記第2制御手段は、前記充電電流の大きさが前記設定値に達する前に前記直流バスの電圧が出力電圧から垂下した場合、前記充電電流の大きさを、前記電流値記憶手段に新たに記憶された充電電流の大きさ未満に設定する請求項2に記載の制御装置。
前記第2制御手段は、前記充電電流の大きさを前記設定値に保っている際に前記直流バスの電圧が前記発電装置の出力電圧から垂下した場合、前記充電電流の大きさを、前記電流値記憶手段に新たに記憶された充電電流の大きさ未満に設定する請求項2に記載の制御装置。
給電システムに接続されているコンピュータでありかつ前記給電システムが有する蓄電池への充電を制御する制御装置として動作するコンピュータによって実行される制御方法であって、
前記給電システムは、
直流バスと、前記直流バスに接続されている発電装置及び前記蓄電池と、前記直流バスの電圧を測定する測定装置を有し、
前記発電装置は発電を行って前記直流バスへ電流を出力し、前記直流バスは負荷及び前記蓄電池へ電流を出力し、
当該制御方法は、
前記直流バスの電圧が前記発電装置の出力電圧から垂下するまで、前記直流バスから前記蓄電池へ入力される電流である充電電流の大きさを徐々に大きくする第1制御ステップと、
前記充電電流の大きさを、前記直流バスの電圧が前記発電装置の出力電圧から垂下する時の充電電流の大きさ未満の値に設定する第2制御ステップと、
を有し、
前記第2制御ステップは、
前記直流バスの電圧が前記発電装置の出力電圧から垂下する時の充電電流の大きさ未満の設定値を決定し、
前記充電電流の大きさが前記設定値に達するまで前記充電電流の大きさを徐々に大きくし、
前記充電電流の大きさが前記設定値に達した後は、前記充電電流の大きさを前記設定値に保つ、制御方法。
前記第2制御ステップは、所定時間以上前記充電電流の大きさを前記設定値に保っても前記直流バスの電圧が出力電圧から垂下しない場合、前記直流バスの電圧が前記発電装置の出力電圧から垂下するまで前記充電電流の大きさを前記設定値から徐々に大きくし、前記直流バスの電圧が前記発電装置の出力電圧から垂下した後、前記充電電流の大きさを前記電流値記憶手段に新たに記憶された充電電流の大きさ未満の値に設定する請求項9に記載の制御方法。
前記第2制御ステップは、前記充電電流の大きさが前記設定値に達する前に前記直流バスの電圧が出力電圧から垂下した場合、前記充電電流の大きさを、前記電流値記憶手段に新たに記憶された充電電流の大きさ未満に設定する請求項9に記載の制御方法。
前記第2制御ステップは、前記充電電流の大きさを前記設定値に保っている際に前記直流バスの電圧が前記発電装置の出力電圧から垂下した場合、前記充電電流の大きさを、前記電流値記憶手段に新たに記憶された充電電流の大きさ未満に設定する請求項9に記載の制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0014】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る制御装置2000をその使用環境と共に例示するブロック図である。
図1において、矢印は情報の流れを表している。さらに、
図1において、各ブロックは、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位の構成を表している。
【0015】
<給電システム3000の構成>
制御装置2000は、給電システム3000に接続されている。給電システム3000は、直流バス3020を有する。また、給電システム3000は、直流バス3020にそれぞれ接続されている発電装置3040及び蓄電池3060を有する。また、直流バス3020には、負荷4000が接続されている。
【0016】
発電装置3040は発電を行い、直流バス3020へ電流を出力する。例えば発電装置3040は、太陽光発電装置や風力発電装置など、再生可能エネルギーを用いて発電を行う装置である。以下、発電装置3040が直流バス3020へ出力する電流を発電電流と表記する。
【0017】
直流バス3020に入力された電流は、負荷4000へ出力される。例えば負荷4000は、無線基地局などである。ここで、負荷4000は、給電システム3000に含まれてもよいし含まれなくてもよい。さらに、直流バス3020に入力された電流は、蓄電池3060にも出力される。蓄電池3060は、入力された電流を充電する。ここで、直流バス3020から蓄電池3060へ出力される電流(以下、充電電流)の大きさは、制御装置2000によって制御される。
【0018】
また給電システム3000は、直流バス3020の電圧を測定する測定装置3100を有する。ここで、直流バス3020から負荷4000へ出力される電流の大きさ及び直流バス3020から蓄電池3060へ出力される電流の大きさの合計が発電電流の大きさ以下である場合、直流バス3020の電圧は発電装置3040の出力電圧と等しくなる。そして、直流バス3020から負荷4000へ出力される電流の大きさ及び直流バス3020から蓄電池3060へ出力される電流の大きさの合計が発電電流の大きさを超えると、直流バス3020の電圧は発電装置3040の出力電圧から垂下する。
【0019】
<制御装置2000の構成>
制御装置2000は、直流バス3020から蓄電池3060へ出力される充電電流の大きさを制御する。そのために、制御装置2000は、第1制御部2020、第2制御部2040、及び電流値記憶部2060を有する。制御装置2000は、給電システム3000に含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
【0020】
第1制御部2020は、直流バス3020の電圧が発電装置3040の出力電圧から垂下するまで、充電電流の大きさを徐々に大きくする。電流値記憶部2060は、直流バス3020の電圧が発電装置3040の出力電圧から垂下する時の充電電流の大きさを記憶する。そして、第2制御部2040は、充電電流の大きさを、電流値記憶部2060に記憶された充電電流の大きさ未満の値に設定する。なお、第1制御部2020や第2制御部2040は、測定装置3100によって測定される直流バス3020の電圧を監視することで、直流バス3020の電圧が発電装置3040の出力電圧から垂下したことを検知する。
【0021】
例えば給電システム3000において、蓄電池3060は、充電器3080を介して直流バス3020と接続される。充電器3080は、設定された大きさの電流を直流バス3020から蓄電池3060へ出力する。制御装置2000は、充電器3080に設定する電流の大きさを制御することで、直流バス3020から蓄電池3060へ出力される充電電流の大きさを制御する。
【0022】
なお、給電システム3000には、別途系統電源(商用電源)が接続されていてもよい。例えば系統電源は、充電電流を0にした場合でも負荷4000が消費する電力を賄いきれない場合に利用される。また給電システム3000は、充電電流を0にした場合でも負荷4000が消費する電力を賄いきれない場合、蓄電池3060に充電されている電力を利用するように構成されていてもよい。
【0023】
なお、第2制御部2040は、電流値記憶部2060に記憶された値を利用しなくてもよい。この場合、第2制御部2040は、充電電流の大きさを、直流バス3020の電圧が発電装置3040の出力電圧から垂下したことを検知した際の充電電流の大きさに基づいて決定する。具体的には、第2制御部2040は、充電電流の大きさを、直流バス3020の電圧が発電装置3040の出力電圧から垂下したことを検知した際の充電電流の大きさ未満の値に決定する。この場合、制御装置2000は、電流値記憶部2060を有さなくてもよい。
【0024】
<比較例の給電システムとの比較>
以下、給電システム3000と比較例の給電システム(以下、比較例システム)との違いを具体例を用いて説明する。ここで、比較例システムは、充電電流を制御する装置が制御装置2000とは異なることを除き、給電システム3000と同様の構成であるとする。
【0025】
発電装置が発電する電力や負荷が消費する電力の大きさは、時間の経過に伴って変動することが多い。そのため、給電システムにおける余剰電流をリアルタイムで把握することは難しい。その結果、直流バスから蓄電池へ出力できる電流の大きさ(蓄電池の充電に利用できる電流の大きさ)をリアルタイムで把握することは難しい。
【0026】
<<比較例システムの動作例>>
そこで比較例システムは、次のような方法で蓄電池に対して充電を行う。
図2は、比較例システムの状態の時間変化を例示する図である。X軸は時刻を表し、左のY軸は電流の大きさを表し、右のY軸は直流バスの電圧を表している。また、丸印がプロットされた直線は蓄電池の充電に利用できる電流(余剰電流)の大きさを表し、四角形がプロットされた直線は充電電流の大きさを表し、バツ印がプロットされた直線は直流バスの電圧の大きさを表している。ここで、余剰電流の大きさは、発電電流の大きさから負荷へ出力する電流の大きさを引いたものである。
図2では、発電電力及び負荷が消費する電力が安定しており、余剰電流が一定となっている。なお、余剰電流のグラフは理解を容易にするために描画されているものであり、実際には、余剰電流をリアルタイムに把握することは難しい。
【0027】
比較例システムは、充電電流の初期値を0にし、充電電流を徐々に増加させていく。これは、余剰電流の大きさが分からないためである。ここで、充電電流の大きさが余剰電流より小さい場合、直流バスの電圧は発電電流の出力電圧となる。そこで、比較例システムは、測定装置から得られる直流バスの電圧が発電装置の出力電圧と等しい間、充電電流を増加させていく。なお
図2の場合、発電装置の出力電圧は56Vである。
【0028】
充電電流を増加させていくと、いずれ、充電電流の大きさが余剰電流の大きさを上回る。その結果、直流バスの電圧が垂下する。
図2の場合、時刻 t1 において直流バスの電圧が垂下している。
【0029】
比較例システムの制御装置は、測定装置から得られる直流バスの電圧が発電装置の出力電圧より小さくなったことを検知すると、蓄電池3060への電流供給を停止する。その結果、直流バスの電圧が上昇し、再度発電装置の出力電圧と再度等しくなる(時刻t2)。
【0030】
バス電圧が再度発電装置の出力電圧となったことを検知した制御装置は、再度充電電流を徐々に増加させていく。以上の処理を繰り返すことで、比較例システムは、系統電源から供給される電力量を極力少なくする。
【0031】
このように比較例システムでは、充電電流を徐々に増加させていく処理を頻繁に繰り返すことになるため、安定した充電を行うことができない。
【0032】
<<本実施形態に係る給電システム3000の動作例>>
これに対し、給電システム3000は、以下で説明するように動作する。
図3は、本実施形態の給電システム3000の状態の時間変化を例示する図である。各軸や各グラフが表すものは、
図2と同様である。
【0033】
本実施形態の給電システム3000は、時刻t3まで、比較例の給電システムと同様の動作を行う。すなわち、制御装置2000は、直流バス3020の電圧が発電装置3040の出力電圧から垂下するまで、充電電流を徐々に増加させていく。時刻t3において、充電電流の大きさが余剰電流の大きさ以上となり、その結果直流バス3020の電圧が発電装置3040の出力電圧から垂下する。
【0034】
制御装置2000は、測定装置3100から得られる直流バス3020の電圧を監視し、発電装置3040の出力電圧より小さくなったことを検知することで、直流バス3020の電圧が垂下したことを検知する。するとまず、電流値記憶部2060が、直流バス3020の電圧が垂下した時の充電電流の大きさを記憶する。この充電電流の大きさは、その時の余剰電流の大きさを表している。そして、第2制御部2040は、蓄電池3060に対する充電電流の供給を一旦停止する。その結果、直流バスの電圧が上昇し、再度発電装置3040の出力電圧と等しくなる。
【0035】
発電装置3040の電圧が再度発電装置3040の出力電圧となったことを検知した第2制御部2040は、充電電流を徐々に増加させていく。ただし、時刻t3までに行われる制御装置2000の動作とは、次のように異なる。
【0036】
まず第2制御部2040は、電流値記憶部2060に記憶された充電電流の大きさに基づいて設定値を決定する。例えば第2制御部2040は、電流値記憶部2060に記憶されている充電電流の大きさの80%の値を設定値とする。
図3では、時刻t3における充電電流が100Aである。そのため、第2制御部2040は設定値を80Aとする。ただし設定値の大きさは、電流値記憶部2060に記憶されている充電電流の大きさに基づいて任意に設定可能である。例えば、電流値記憶部2060に記憶されている充電電流の大きさの60%以上90%以下程度の大きさにすることなどが考えられる。
【0037】
そして第2制御部2040は、上記設定値に達するまで充電電流の大きさを徐々に大きくしていき、充電電流の大きさが上記設定値まで達したら、その後しばらくの間、充電電流の大きさを設定値に保つ。
図3の場合、時刻t4において、充電電流の大きさは設定値に達している。そのため、時刻t4以降、充電電流の大きさが80Aに保たれている。
【0038】
このようにすることで、比較例の給電システムと比較し、「充電電流の大きさを初期値から徐々に大きくしていく」という処理を繰り返す頻度が少なくなるため、蓄電池3060をより安定した状態で充電することができる。
【0039】
なお前述したように、第2制御部2040は、電流値記憶部2060に記憶された値を利用しなくてもよい。この場合、本動作例における第2制御部2040は、充電電流の大きさを、直流バス3020の電圧が発電装置3040の出力電圧から垂下したことを検知した時の充電電流の大きさに基づいて決定する。
【0040】
<<設定値の更新1>>
ここで第2制御部2040は、充電電流の大きさを所定時間上記設定値に保っても直流バス3020の電圧が発電装置3040の出力電圧から垂下しない場合、充電電流の大きさを設定値から徐々に大きくするようにしてもよい。例えば
図3において、第2制御部2040は、時刻t4から所定期間p1の間、直流バス3020の電圧が発電装置3040の出力電圧から垂下していない。そこで、第2制御部2040は、時刻t4から期間p1が経過した時刻t5から、充電電流を徐々に大きくする。例えば期間p1の長さは5秒間である。
【0041】
そして第2制御部2040は、充電電流を設定値から徐々に大きくしていった結果、直流バス3020の電圧が発電装置3040の出力電圧から垂下したら、充電電流の大きさを、直流バス3020の電圧が垂下した時の充電電流の大きさ未満の大きさに設定する。例えば
図3の場合、時刻t6において直流バス3020の電圧が発電装置3040の出力電圧から垂下している。そして時刻t6における充電電流の大きさが、電流値記憶部2060に新たに記憶される。そこで、第2制御部2040は、充電電流の大きさが電流値記憶部2060に新たに記憶された充電電流の大きさ未満となるように、充電電流の大きさを設定する。例えば第2制御部2040は、時刻t6における充電電流の大きさの80%の値を設定値とする。
図3において、時刻t6における充電電流の大きさは115Aであるため、新たな設定値は92Aとなる。
【0042】
図3に示すように、余剰電力は変動する場合がある。例えば余剰電流の大きさが変動する原因としては、天候の良し悪しや負荷の消費電力量の変動などが考えられる。そのため、充電電流の大きさを所定期間ある設定値に保って安定的に充電を行えた場合には、再度充電電流を徐々に大きくし、その時の余剰電流の大きさを探ることにより、設定値を更新することが好ましい。こうすることで、余剰電流の大きさの変動に合わせて設定値をより適切な値に更新することができる。
【0043】
例えば
図3では、同じように直流バス3020の電圧が発電装置3040の出力電圧から垂下したt3及びt6とにおいて、それぞれの時刻における余剰電流の大きさが異なる。具体的には、t6の時の余剰電流の大きさの方が大きい。そのため、t6の時の充電電流の大きさの方が大きくなっており、t6の時の充電電流の大きさに基づいて決定する設定値の方が大きくなる。よって、余剰電流が多いと考えられる場合に、蓄電池3060に充電される電力が大きくなるため、発電電流の無駄が少なくなる。
【0044】
<<設定値の更新2>>
また第2制御部2040は、充電電流を設定値まで大きくしていく途中で直流バス3020の電圧が発電装置3040の出力電圧から垂下してしまった場合、その時の充電電流の大きさで設定値を更新してもよい。具体的には、第2制御部2040は、その時の充電電流が電流値記憶部2060に新たに記憶されるため、充電電流を電流値記憶部2060に新たに記憶された充電電流未満となるようにする。例えば第2制御部2040は、電流値記憶部2060に新たに記憶された充電電流の大きさの80%の大きさを設定値とする。
【0045】
図4は、充電電流を設定値まで大きくしていく途中で直流バス3020の電圧が発電装置3040の出力電圧から垂下するケースを例示する図である。
図4において、時刻t7における充電電流の大きさに基づいて決定される設定値は、
図3の場合と同様に80Aである。
【0046】
しかし
図4の場合、時刻t7において、余剰電流が70Aまで下がってしまっている。そのため、充電電流の大きさが80Aに達する前である時刻t8において直流バス3020の電圧が発電装置3040の出力電圧から垂下してしまう。
【0047】
この際、電流値記憶部2060には、時刻t8における充電電流の大きさである70Aが記憶される。そこで第2制御部2040は、電流値記憶部2060に新たに記憶された充電電流の大きさの80%である56Aを新たな設定値に決定する。そして、第2制御部2040は、充電電流の大きさが56Aに達するまで、充電電流の大きさを徐々に大きくしていく。
【0048】
図4のように充電電流の大きさが設定値に到達する前に直流バス3020の電圧が発電装置3040の出力電圧から垂下してしまった場合に設定値を更新することにより、何らかの原因で余剰電流が少なくなってしまう場合に対処することができる。このような対処をしないと、例えば
図4の場合、給電システム3000は時刻t7以降、比較例システムと同様に、「直流バス3020の電圧が垂下するまで充電電流を徐々に大きくしていく」という動作を繰り返すようになってしまう。その結果、発電電流の無駄が多くなってしまう。なお前述した通り、余剰電流が変動する原因は、天候の良し悪しや負荷の消費電力量の変動などが考えられる。
【0049】
なお、
図4のように充電電流の大きさが設定値に到達する前に直流バス3020の電圧が発電装置3040の出力電圧から垂下してしまった場合、制御装置2000は、再度直流バス3020の電圧が発電装置3040の出力電圧から垂下するまで充電電流を徐々に大きくしていくことで、余剰電流の大きさを探るようにしてもよい。この場合、第2制御部2040は、再度直流バス3020の電圧が発電装置3040の出力電圧から垂下した時点における充電電流の大きさに基づいて、新たな設定値を決定する。
【0050】
<<設定値の更新3>>
さらに第2制御部2040は、充電電流を設定値に保っている間に直流バス3020の電圧が発電装置3040の出力電圧から垂下してしまった場合に、その時の充電電流の大きさで設定値を更新してもよい。具体的には、第2制御部2040は、その時の充電電流が電流値記憶部2060に新たに記憶されるため、充電電流を電流値記憶部2060に新たに記憶された充電電流未満となるようにする。例えば第2制御部2040は、電流値記憶部2060に新たに記憶された充電電流の大きさの80%の大きさを設定値とする。
【0051】
図5は、充電電流の大きさを設定値に保っている間に直流バスの電圧が発電装置の出力電圧から垂下するケースを例示する図である。
図5の場合、第2制御部2040は、時刻t9から充電電流を設定値(80A)に保っている。ここで、時刻t10から余剰電流の大きさが減少し始め、時刻t11において余剰電流大きさが充電電流の大きさと等しくなってしまっている。そのため、時刻t11において、直流バス3020の電圧が発電装置3040の出力電圧から垂下している。ここで、時刻t11は、時刻t9から所定期間p1が経過する前の時刻である。そのため、
図5において、直流バス3020の電圧は、充電電流が設定値に保たれている期間中に、発電装置3040の出力電圧から垂下してしまう。
【0052】
ここで、電流値記憶部2060には、時刻t11における充電電流の大きさである80Aが記憶される。そこで、第2制御部2040は、電流値記憶部2060に記憶されている充電電流の大きさの80%である64Aを新たな設定値とする。そして、第2制御部2040は、充電電流の大きさが64Aに達するまで、充電電流の大きさを徐々に大きくしていく。
【0053】
図5の様に設定値を更新することで、
図4の場合と同様、設定値を決定した後に余剰電流が少なくなった場合に対処することができる。
【0054】
なお、
図5のように充電電流の大きさを設定値に保っている間に直流バス3020の電圧が発電装置3040の出力電圧から垂下してしまった場合、制御装置2000は、再度直流バス3020の電圧が発電装置3040の出力電圧から垂下するまで充電電流を徐々に大きくしていくことで、余剰電流の大きさを探るようにしてもよい。この場合、第2制御部2040は、再度直流バス3020の電圧が発電装置3040の出力電圧から垂下した時点における充電電流の大きさに基づいて、新たな設定値を決定する。
【0055】
<制御装置2000のハードウエア構成>
制御装置2000の各機能構成部は、各機能構成部を実現するハードウエア構成要素の組み合わせ(例:ハードワイヤードされた電子回路など)として実現されてもよいし、ハードウエア構成要素とソフトウエア構成要素との組み合わせ(例:マイクロコントローラとそれを制御するプログラムの組み合わせなど)として実現されてもよい。
【0056】
<<制御装置2000のハードウエア構成例>>
図6は、制御装置2000をハードウエア構成要素とソフトウエア構成要素との組み合わせとして実現した場合における、制御装置2000の構成を例示するブロック図である。
図6において、制御装置2000は、バス1020、プロセッサ1040、メモリ1060、ストレージ1080、及び入出力インタフェース1100を有する。
【0057】
バス1020は、プロセッサ1040、メモリ1060、ストレージ1080、及び入出力インタフェース1100が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。プロセッサ1040は、例えば CPU (Central Processing Unit) や GPU (Graphics Processing Unit) などの演算処理装置である。メモリ1060は、例えば RAM (Random Access Memory) や ROM (Read Only Memory) などのメモリである。ストレージ1080は、例えばハードディスク、SSD (Solid State Drive)、又はメモリカードなどの記憶装置である。また、ストレージ1080は、RAM や ROM 等のメモリであってもよい。入出力インタフェース1100は、制御装置2000が充電器3080に対して充電電流の大きさの設定を行ったり、測定装置3100から直流バス3020の電圧の大きさを取得するためのインタフェースである。
【0058】
ストレージ1080は、制御装置2000の各機能を実現するためのプログラムを格納している。具体的には、第1制御部2020及び第2制御部2040の機能をそれぞれ実現するためのモジュールを格納している。プロセッサ1040は、これら各モジュールを実行することで、第1制御部2020及び第2制御部2040の機能を実現する。またストレージ1080は、充電電流の大きさを記憶することで、電流値記憶部2060の機能を実現する。
【0059】
例えばプロセッサ1040は、上記各モジュールをメモリ1060上に読み出して実行する。ただし、プロセッサ1040は、上記各モジュールを、メモリ1060上に読み出さずに実行してもよい。
【0060】
制御装置2000のハードウエア構成は、
図6に示した構成に限定されない。例えば、各モジュールはメモリ1060に格納されてもよい。この場合、制御装置2000は、ストレージ1080を備えていなくてもよい。
【0061】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0062】
この出願は、2014年7月30日に出願された日本出願特願2014−155400号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
1. 給電システムに接続されており、前記給電システムが有する蓄電池への充電を制御する制御装置であって、
前記給電システムは、
直流バスと、前記直流バスに接続されている発電装置及び前記蓄電池と、前記直流バスの電圧を測定する測定装置を有し、
前記発電装置は発電を行って前記直流バスへ電流を出力し、前記直流バスは負荷及び前記蓄電池へ電流を出力し、
当該制御装置は、
前記直流バスの電圧が前記発電装置の出力電圧から垂下するまで、前記直流バスから前記蓄電池へ入力される電流である充電電流の大きさを徐々に大きくする第1制御手段と、
前記充電電流の大きさを、前記直流バスの電圧が前記発電装置の出力電圧から垂下する時の充電電流の大きさ未満の値に設定する第2制御手段と、
を有する制御装置。
2. 前記第2制御手段は、
前記直流バスの電圧が前記発電装置の出力電圧から垂下する時の充電電流の大きさ未満の設定値を決定し、
前記充電電流の大きさが前記設定値に達するまで前記充電電流の大きさを徐々に大きくし、
前記充電電流の大きさが前記設定値に達した後は、前記充電電流の大きさを前記設定値に保つ1.に記載の制御装置。
3. 前記直流バスの電圧が前記発電装置の出力電圧から垂下する時の充電電流の大きさを記憶する電流値記憶手段を有し、
前記第2制御手段は、前記電流値記憶手段に記憶されている、前記直流バスの電圧が前記発電装置の出力電圧から垂下する時の充電電流の大きさを用いる2.に記載の制御装置。
4. 前記第2制御手段は、所定時間以上前記充電電流の大きさを前記設定値に保っても前記直流バスの電圧が出力電圧から垂下しない場合、前記直流バスの電圧が前記発電装置の出力電圧から垂下するまで前記充電電流の大きさを前記設定値から徐々に大きくし、前記直流バスの電圧が前記発電装置の出力電圧から垂下した後、前記充電電流の大きさを前記電流値記憶手段に新たに記憶された充電電流の大きさ未満の値に設定する3.に記載の制御装置。
5. 前記第2制御手段は、前記充電電流の大きさが前記設定値に達する前に前記直流バスの電圧が出力電圧から垂下した場合、前記充電電流の大きさを、前記電流値記憶手段に新たに記憶された充電電流の大きさ未満に設定する3.に記載の制御装置。
6. 前記第2制御手段は、前記充電電流の大きさを前記設定値に保っている際に前記直流バスの電圧が前記発電装置の出力電圧から垂下した場合、前記充電電流の大きさを、前記電流値記憶手段に新たに記憶された充電電流の大きさ未満に設定する3.に記載の制御装置。
7. 前記設定値は、前記電流値記憶手段に記憶された前記充電電流の大きさの60%以上80%以下である3.乃至6.いずれか一つに記載の制御装置。
8. 1.乃至7.いずれか一つに記載の制御装置を有する給電システムであって、
直流バスと、前記直流バスに接続されている発電装置及び前記蓄電池と、前記直流バスの電圧を測定する測定装置を有し、前記発電装置は発電を行って前記直流バスへ電流を出力し、前記直流バスは負荷及び前記蓄電池へ電流を出力する給電システム。
9. 給電システムに接続されているコンピュータでありかつ前記給電システムが有する蓄電池への充電を制御する制御装置として動作するコンピュータによって実行される制御方法であって、
前記給電システムは、
直流バスと、前記直流バスに接続されている発電装置及び前記蓄電池と、前記直流バスの電圧を測定する測定装置を有し、
前記発電装置は発電を行って前記直流バスへ電流を出力し、前記直流バスは負荷及び前記蓄電池へ電流を出力し、
当該制御方法は、
前記直流バスの電圧が前記発電装置の出力電圧から垂下するまで、前記直流バスから前記蓄電池へ入力される電流である充電電流の大きさを徐々に大きくする第1制御ステップと、
前記充電電流の大きさを、前記直流バスの電圧が前記発電装置の出力電圧から垂下する時の充電電流の大きさ未満の値に設定する第2制御ステップと、
を有する制御方法。
10. 前記第2制御ステップは、
前記直流バスの電圧が前記発電装置の出力電圧から垂下する時の充電電流の大きさ未満の設定値を決定し、
前記充電電流の大きさが前記設定値に達するまで前記充電電流の大きさを徐々に大きくし、
前記充電電流の大きさが前記設定値に達した後は、前記充電電流の大きさを前記設定値に保つ9.に記載の制御方法。
11. 前記コンピュータは、前記直流バスの電圧が前記発電装置の出力電圧から垂下する時の充電電流の大きさを記憶する電流値記憶手段を有し、
前記第2制御ステップは、前記電流値記憶手段に記憶されている、前記直流バスの電圧が前記発電装置の出力電圧から垂下する時の充電電流の大きさを用いる10.に記載の制御方法。
12. 前記第2制御ステップは、所定時間以上前記充電電流の大きさを前記設定値に保っても前記直流バスの電圧が出力電圧から垂下しない場合、前記直流バスの電圧が前記発電装置の出力電圧から垂下するまで前記充電電流の大きさを前記設定値から徐々に大きくし、前記直流バスの電圧が前記発電装置の出力電圧から垂下した後、前記充電電流の大きさを前記電流値記憶手段に新たに記憶された充電電流の大きさ未満の値に設定する11.に記載の制御方法。
13. 前記第2制御ステップは、前記充電電流の大きさが前記設定値に達する前に前記直流バスの電圧が出力電圧から垂下した場合、前記充電電流の大きさを、前記電流値記憶手段に新たに記憶された充電電流の大きさ未満に設定する11.に記載の制御方法。
14. 前記第2制御ステップは、前記充電電流の大きさを前記設定値に保っている際に前記直流バスの電圧が前記発電装置の出力電圧から垂下した場合、前記充電電流の大きさを、前記電流値記憶手段に新たに記憶された充電電流の大きさ未満に設定する11.に記載の制御方法。
15. 前記設定値は、前記電流値記憶手段に記憶された前記充電電流の大きさの60%以上80%以下である11.乃至14.いずれか一つに記載の制御方法。
16. コンピュータを1.乃至7.いずれか一つに記載の制御装置として動作させるプログラム。