特許第6156977号(P6156977)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 6156977-可撓性継手の固定構造 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6156977
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】可撓性継手の固定構造
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/04 20060101AFI20170626BHJP
   E03F 3/04 20060101ALI20170626BHJP
【FI】
   E21D11/04 A
   E03F3/04 Z
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-51912(P2013-51912)
(22)【出願日】2013年3月14日
(65)【公開番号】特開2014-177801(P2014-177801A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2015年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087701
【弁理士】
【氏名又は名称】稲岡 耕作
(74)【代理人】
【識別番号】100101328
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 実夫
(72)【発明者】
【氏名】丸井 浩司
(72)【発明者】
【氏名】松本 浩一
【審査官】 竹村 真一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−158984(JP,A)
【文献】 特開2008−133654(JP,A)
【文献】 特開2013−036263(JP,A)
【文献】 特開2009−068217(JP,A)
【文献】 特開2012−225037(JP,A)
【文献】 特開平08−120795(JP,A)
【文献】 実開昭60−55608(JP,U)
【文献】 米国特許第05249401(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 22/00
E02B 3/16、5/02
E21D 11/04
E03F 3/04
E04B 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下構造物の目地部を覆うように使用される可撓性継手の固定構造であって、
前記可撓性継手の両側縁に沿って備えられたフランジ部を前記地下構造物と共働して挟むように押さえるための、前記側縁の長さ方向に延びる所定の長さを有する押さえ金具と、
前記押さえ金具を押さえるための、金属製フラットバーをL字形に曲成した複数個の固定金具と、
前記各固定金具を所定のピッチで固定するための、前記地下構造物に打設されたアンカーボルトと、を含み、
前記押さえ金具は、上部に開口部を形成する断面コの字形であり、
前記固定金具の裏面には、溶接された平板状部が前記開口部に嵌装するように設けられていることを特徴とする固定構造。
【請求項2】
地下構造物の目地部を覆うように使用される可撓性継手の固定構造であって、
前記可撓性継手は、両側縁に沿う一対のフランジ部を備えており、
これら一対のフランジ部のうちの少なくとも一方のフランジ部を、請求項1に記載された固定構造の押さえ金具と、固定金具と、アンカーボルトとにより固定することを特徴とする固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地下構造物の止水用の可撓性継手の固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性継手は、トンネル等の地下構造物を構成するコンクリート製の管体同士の継目に設けられ、継目を管体内側から覆うために用いられている。可撓性継手は、継目を覆う可撓性を有する部分と、この部分の両側縁に沿って備えられた固定用のフランジ部とを有している。このような可撓性継手を地下構造物に固定する固定構造として、例えば、特許文献1に記載された固定構造が提案されている。
【0003】
特許文献1の図7の固定構造では、可撓性継手のフランジ部が、押さえ板を介して、地下構造物から突出したアンカーボルトの先端にねじ込まれたナットにより固定されている。押さえ板と、フランジ部には、アンカーボルトを挿通する挿通孔が所定ピッチで形成されており、これらの位置に位置合わせして、アンカーボルトが配置される。
また、特許文献1の図2の固定構造では、可撓性継手のフランジ部が、押さえ板により押さえられるとともに、この押さえ板が、固定部材により押さえられる。さらに、固定部材は、地下構造物から突出したアンカーボルトの先端にねじ込まれたナットにより、固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−150807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、可撓性継手を地下構造物に設置する場合、地下構造物のコンクリート躯体の既設の配筋や配管の位置を予め調査しておき、調査した配筋や配管に干渉しないように決められた設計位置に、可撓性継手固定用のアンカーボルトが打設される。
しかし、配筋や配管の実際の位置が、調査した位置とは異なり、設計位置のアンカーボルトと、既設の配筋や配管とが互いに干渉するような場合がある。この場合、アンカーボルトの位置を設計位置から干渉しない位置に現場にて変更しなければならない。その結果、可撓性継手の施工に手間がかかる。
【0006】
例えば、特許文献1の図7の固定構造では、アンカーボルトの位置は、フランジ部の挿通孔の位置に応じて決まっているので、変更したアンカーボルトの位置に合せて、フランジ部の挿通孔を開け直し、押さえ板を造り直す必要がある。
また、特許文献1の図2の固定構造では、アンカーボルトの位置の変更に伴って、部品の追加加工や造り直しの必要はない。しかし、固定部材が、段差を有する板材の側縁から一対のリブを立設した複雑な構造を有しているので、製造コストが高い。
【0007】
この発明は、このような従来技術に鑑みてなされたもので、主たる目的は、柔軟に施工ができ、しかも安価に提供できる可撓性継手の固定構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、地下構造物の目地部を覆うように使用される可撓性継手の固定構造であって、前記可撓性継手の両側縁に沿って備えられたフランジ部を前記地下構造物と共働して挟むように押さえるための、前記側縁の長さ方向に延びる所定の長さを有する押さえ金具と、前記押さえ金具を押さえるための、金属製フラットバーをL字形に曲成した複数個の固定金具と、前記各固定金具を所定のピッチで固定するための、前記地下構造物に打設されたアンカーボルトと、を含み、前記押さえ金具は、上部に開口部を形成する断面コの字形であり、前記固定金具の裏面には、溶接された平板状部が前記開口部に嵌装するように設けられていることを特徴とする固定構造である。
【0009】
求項記載の発明は、地下構造物の目地部を覆うように使用される可撓性継手の固定構造であって、前記可撓性継手は、両側縁に沿う一対のフランジ部を備えており、これら一対のフランジ部のうちの少なくとも一方のフランジ部を、請求項1に記載された固定構造の押さえ金具と、固定金具と、アンカーボルトとにより固定することを特徴とする固定構造である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、フランジ部とアンカーボルトとの間に、長尺の押さえ金具と複数の固定金具とを介在させるので、フランジ部の固定に際して、地下構造物の状況に応じてアンカーボルトの位置を変更することができ、柔軟に施工できる。また、固定金具は、金属製フラットバーをL字形に曲成してなるので、シンプルな構造であり、安価に製造できる。
【0011】
また、固定金具と押さえ金具との間の位置ずれを容易に且つ確実に防止できる。従って、固定作業が容易になる。また、地震発生時に可撓性継手を確実に固定できる。
請求項記載の発明によれば、可撓性継手の一対のフランジ部のうちの少なくとも一方の固定を、地下構造物の状況に応じて柔軟に施工でき、しかも安価に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、この発明の一実施形態に係る固定構造12を含む可撓性継手1の固定構造11,12の部分断面図である。
図2図2は、固定構造12の平面図である。
図3図3は、固定構造12の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る固定構造12を含む可撓性継手1の固定構造11,12の部分断面図である。図2は、固定構造12の平面図である。図3は、固定構造12の分解斜視図である。
図1を参照して、可撓性継手1は、2つの相対する地下構造物、例えば、地下に埋設される管体2,3(一部のみ図示)の目地部4の内側に配置される。図1において、上方が管体2,3で囲まれた内側空間を示している。一対の管体2,3は、その内部が互いに連通するよう隣接して地下に埋設されて、トンネル等の地下構造物の少なくとも一部を構成している。管体2,3の継目である目地部4は、例えば、管体2,3の端面に沿って配置された環状の弾性継手により構成されている。目地部4の内側を覆うように、可撓性継手1が取り付けられている。
【0014】
可撓性継手1は、図1の紙面垂直方向に延びている。可撓性継手1は、管体2,3の接続方向X(以下、単に方向Xという。)に見て、両側にそれぞれ側縁6,7を有している。可撓性継手1は、両側縁6,7に沿ってその内側に、それぞれフランジ部8,9が形成され、これらのフランジ部8,9の間に中間部10が備えられている。この中間部10は、断面波形をなしており、方向Xに伸縮可能である。
【0015】
可撓性継手1は、ゴム層間に繊維の基布を配置した構成を有している。ゴムとしては、例えば、天然ゴム系、クロロプレン系、EPDM系のゴムを利用できる。繊維の基布としては、例えば、ナイロン基布を利用できる。
図1で左側に図示されたフランジ部8は、第1の固定構造11により管体2の(内)表面に固定されている。図1で右側に図示されたフランジ部9は、この発明にかかる第2の固定構造12により管体3の(内)表面に固定されている。
【0016】
先ず、第1の固定構造11を簡単に説明する。
第1の固定構造11は、フランジ部8に重ね合せて押さえるための押さえ板16と、この押さえ板16とフランジ部8を貫通して固定するために管体2に打設されたアンカーボルト17と、このアンカーボルト17にねじ嵌合されたナット18とを含んでいる。
アンカーボルト17は、目地部4の長さ方向(図1の紙面垂直方向に相当する。以下、長さ方向Yともいう。)に、所定のピッチで管体2に打設されており、フランジ部8には、アンカーボルト17の打設ピッチに合せて挿通孔が形成されており、押さえ板16にも、各アンカーボルト17に対応して挿通孔が形成されている。
【0017】
フランジ部8は、中間部10寄りから側縁6の近傍にいたるまで、平板状に形成されており、側縁6寄りに突条が形成されている。フランジ部8には、所定のピッチで上記の挿通孔が複数個形成されている。
押さえ板16は、側縁6の長さ方向Yに延びる金属製の平板であり、上記のとおりフランジ部8の挿通孔に対応する位置にある複数の挿通孔を有している。
【0018】
アンカーボルト17は、管体2に固定されており、その一端は、管体2の(内)表面から突出している。
アンカーボルト17の一端に、フランジ部8の挿通孔および押さえ板16の挿通孔が通されて、フランジ部8に押さえ板16が重ね合わされている。押さえ板16から延び出したアンカーボルト17の一端に、ナット18がねじ嵌合されている。ナット18が締めつけられることにより、管体2の(内)表面と押さえ板16との間で、フランジ部8が挟まれて、共締めされている。
【0019】
次に、第2の固定構造12を説明する。第2の固定構造12は、この発明の一実施形態に係る固定構造である。
図1および図2を参照して、第2の固定構造12は、フランジ部9を管体3と共働して挟むように押さえるための押さえ金具21と、この押さえ金具21を押さえるための複数個の固定金具22と、各固定金具22を固定するために管体3に打設されたアンカーボルト23と、アンカーボルト23にねじ嵌合されたナット24とを含んでいる。
【0020】
フランジ部9は、中間部10寄りから側縁7の近傍にいたるまで、平板状に形成されており、側縁7寄りに突条が形成されている。フランジ部9は、挿通孔を有しておらず、このことを除いて、フランジ部8に対して方向Xについて左右対称になるように同じ形状に形成されている。以下、この態様に則して説明するが、フランジ部9の形状を、フランジ部8とは異なる形状としてもよい。
【0021】
フランジ部9の平板状の部分には、押さえ金具21が重ね合わされており、この押さえ金具21の一部に、固定金具22の一部を重ね合せてあり、この固定金具22を、アンカーボルト23で締めつけている。
アンカーボルト23は、側縁7の外方に配置されており、側縁7の長さ方向Yに沿って、所定のピッチPで互いに離れて並ぶように、複数本が立設されている。各アンカーボルト23は、管体3に打設されて固定されており、その一端は、管体3の(内)表面から突出しており、固定金具22を貫通している。固定金具22を貫通したアンカーボルト23の一端には雄ねじが形成されており、この雄ねじにナット24がねじ嵌合されている。
【0022】
アンカーボルト23およびナット24が、固定金具22を締めつけて固定するとともに、固定金具22が押さえ金具21を押さえ付けており、押さえ金具21を介して管体3の(内)表面にフランジ部9を押さえ付けて固定している。
第2の固定構造12では、フランジ部9をアンカーボルト23で押さえるのに、その間に、長尺の押さえ金具21と複数の固定金具22とを介在させるので、フランジ部9の固定に際して、地下構造物の状況に応じてアンカーボルト23の位置を変更することができ、柔軟に施工できる。また、アンカーボルト23は、フランジ部9の外方に配置されているので、より一層高い自由度で配置できる。
【0023】
例えば、アンカーボルト23の位置は、長さ方向Yについての押さえ金具21の長さの範囲内であり、且つ所定の範囲内のピッチPであれば自由に設定できる。従って、可撓性継手1の取り付け現場において、管体3内の配筋とアンカーボルト23とが互いに干渉するような場合に、干渉しないようにアンカーボルト23の位置を現場で容易に変更できる。従って、現場での施工性を高めることができる。
【0024】
図1および図3を参照して、押さえ金具21は、長さ方向Yに延び、所定の長さを有する長尺部材であり、方向Xについてフランジ部9の平板状の部分とほぼ同じ幅で形成されている。押さえ金具21は、長手方向を切る断面が、コの字形(溝型)であり、コの字がフランジ部9とは反対側(以下、上方ともいう。)に向けて開放されるように配置されている。押さえ金具21の上部に、一定幅の開口部26が形成されている。具体的には、押さえ金具21は、金属製の溝形材、例えば溝型形状鋼であり、長さ方向Yについて1〜5メートル程度の長さを有している。
【0025】
図2および図3を参照して、固定金具22は、押さえ金具21の長さの範囲内で、長さ方向Yについての任意の位置において、押さえ金具21を固定している。また、複数の固定金具22は、側縁7の長さ方向Yについての所定の範囲内の任意のピッチPで配置される。このピッチPとしては、例えば、アンカーボルト23と地下構造物の配筋(図示せず)とが干渉しないような値が採用される。ピッチPの最大値は、固定金具22の剛性や押さえ金具21の剛性を上げることで、大きくすることも可能であるが、ピッチPの所定の範囲は、200〜300mmに設定するのが好ましい。
【0026】
固定金具22は、方向Xに延びる長尺部材である。固定金具22は、方向Xについての中間部に、アンカーボルト23を通すための挿通孔27を有している。固定金具22は、方向Xについての押さえ金具21寄りの一方の端部に、押さえ金具21の上部の開口部26の縁部を押さえる一対の押さえ部28を有している。固定金具22は、一対の押さえ部28の間に設けられており押さえ金具21の上部の開口部26に嵌められる嵌合凸部としての平板状部29を有している。
【0027】
平板状部29は、押さえ金具21の上部の開口部26の一対の縁部に対して、方向Xについて相対移動不能に隙間なく嵌合しているとともに、長さ方向Yについて相対移動可能とされ、長さ方向Yの嵌合位置を変更自在とされている。
平板状部29は、平面視で矩形の所定厚の金属製の平板(鋼板)であり、長さ方向Yに延びる互いに平行な2面を有している。これらの2面間の距離が、押さえ金具21の上部の開口部26の幅寸法(方向Xの寸法)と、ほぼ等しくされている。
【0028】
図1および図3を参照して、平板状部29が、押さえ金具21の上部の開口部26に嵌装されるので、方向Xおよび上下方向Zについて固定金具22と押さえ金具21との間の位置ずれを容易に且つ確実に防止できる。従って、固定作業が容易になる。また、地震発生時に可撓性継手1を確実に固定できる。
また、固定金具22は、押さえ部28に隣接して、挿通孔27を通るアンカーボルト23により締結される部分30を有している。この締結される部分30は、挿通孔27を有する。また、締結される部分30は、方向Xについての押さえ金具21から遠い側にある他方の端部において、管体3に向けて所定高さで突出している(以下、突出部ともいう。)。この突出部により、挿通孔27の近傍にある裏面部分と、管体3の(内)表面とが、互いに隙間を持って対向している。その結果、アンカーボルト23とナット24とで締めつけるときに、固定金具22が押さえ金具21を弾性的に押さえることができ、確実に固定できる。
【0029】
また、締結される部分30の突出部の先端には、円柱状の金属製の棒材30aにより、管体3の(内)表面に当接して回動可能に支持するための支点が形成されている。これにより、無理なく確実に固定できる。
棒材30aは、長さ方向Yに沿って延びており、その長さは、固定金具22の幅寸法(長さ方向Yについての寸法)にほぼ等しくされている。
【0030】
なお、支点を形成する棒材30aとしては、長さ方向Yに互いに離れて並ぶ、同心で同径の2つの円柱状の部材により構成してもよい。また、支点を固定金具22に単一部材により一体に形成してもよい。さらに、棒材30aを廃止することも考えられる。以下では、棒材30aを用いる場合に則して説明する。
上下方向Zについて、締結される部分30の最下部としての支点と押さえ部28との間の距離が、締結時にフランジ部9に重ね合わされた押さえ金具21の上面と管体3の(内)表面との距離にほぼ等しくされている。
【0031】
固定金具22は、具体的には、金属製フラットバーをL字形に曲成されてなる。この素材としてのフラットバーは、幅寸法が厚み寸法よりも大きい長尺の金属製板材、例えば鋼板であり、幅寸法および厚み寸法のそれぞれは、長手方向について一定値とされている。この鋼板が厚み方向に曲げ加工されることにより、固定金具22の概略形状が形成される。このように、固定金具22は、金属製フラットバーをL字形に曲成してなるので、シンプルな構造であり、安価に製造できる。
【0032】
この固定金具22は、長辺部32および短辺部33を有している。長辺部32および短辺部33の互いに隣接する端部同士が略直角に接続されており、固定金具22は全体としてL字形をなしている。長辺部32は、押さえ金具21寄りに配置されるとともに方向Xに平行に延びている。短辺部33は、押さえ金具21から遠い側に配置され、管体3の(内)表面に向けて直交する方向(上下方向Zともいう。)に延びている。
【0033】
長辺部32の中央部に、挿通孔27が形成されている。長辺部32の一端の裏面31に、一対の押さえ部28が設けられ、その間に平板状部29が溶接により固定されている。長辺部32の挿通孔27の近傍部分から短辺部33にかけての部分と、短辺部33と、棒材30aとが、締結される部分30を形成している。短辺部33の下端面には、棒材30aが溶接で固定されている。短辺部33と棒材30aとが、突出部として機能する。
【0034】
なお、第1の固定構造11およびこれに対応するフランジ8と、第2の固定構造12およびこれに対応するフランジ9とを、方向Xについて左右逆に配置してもよい。また、一対のフランジ部8,9の両方に、第2の固定構造12を適用してもよい。
また、各フランジ部8,9が、第1の固定構造11のアンカーボルト17用の挿通孔を有し、第1の固定構造11の押さえ板16で押さえることができるとともに、第2の固定構造12の押さえ金具21で押さえることができる形状を有していてもよい。この場合は、各フランジ部8,9は、第1の固定構造11および第2の固定構造12のいずれか一方を選択して固定できる。
【0035】
また、第2の固定構造12は、管体2,3の接続部の他に、地下構造物における躯体同士の接続部、建築関連の地下通路、または、用水路、水処理施設(下水、上水における水処理場、ポンプ場)等に適用できる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 可撓性継手
2,3 管体(地下構造物)
4 目地部
6,7 側縁
8,9 フランジ部
12 この発明に係る第2の固定構造
21 押さえ金具
22 固定金具
23 アンカーボルト
26 開口部
29 平板状部
31 裏面
P ピッチ
Y 長さ方向
図1
図2
図3