特許第6156979号(P6156979)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6156979
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】便器洗浄タンク
(51)【国際特許分類】
   E03D 1/01 20060101AFI20170626BHJP
【FI】
   E03D1/01 Z
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-73225(P2013-73225)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-196634(P2014-196634A)
(43)【公開日】2014年10月16日
【審査請求日】2015年8月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福谷 孝二
(72)【発明者】
【氏名】平林 賢
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 洋介
【審査官】 油原 博
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3011044(JP,U)
【文献】 特開平10−152876(JP,A)
【文献】 特開2012−219508(JP,A)
【文献】 特開2009−275364(JP,A)
【文献】 特開平5−214755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00−1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便鉢部を有する便器本体に供給する洗浄水を貯留する便器洗浄タンクであって、
空気が通過する通気口を設けた第1タンク本体と、
この第1タンク本体よりも下方に位置した第2タンク本体と、
前記第1タンク本体と前記第2タンク本体とを連通し、洗浄水を貯留する際に前記第2タンク本体内に流入した洗浄水が前記第1タンク本体内に流入する連通路と、
を備えており、
前記第2タンク本体は前記連通路とは別に洗浄水の流入口及び流出口が設けられていることを特徴とする便器洗浄タンク。
【請求項2】
前記流入口は前記第2タンク本体の底面に開口していることを特徴とする請求項1記載の便器洗浄タンク。
【請求項3】
前記便器本体に洗浄水を供給する際、前記連通路を通過することができる洗浄水の流量が前記流出口から流出する洗浄水の最大流量よりも多いことを特徴とする請求項1又は2記載の便器洗浄タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は便器洗浄タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は従来の便器洗浄タンクを開示している。この便器洗浄タンクは便鉢部を有する便器本体に供給する洗浄水を貯留する。この便器洗浄タンクは、上方が開口した一つのタンク本体を備えており、便器本体から後方に延びたフレームに吊下げられている。このようにして、この便器洗浄タンクは、便器本体より後方であって、便器本体の上面より下方に配置することができる(図1図13参照)。このため、この便器洗浄タンクを便器本体に取付けた水洗式大便器はローシルエットにすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−82032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水洗式便器の小型化を図る場合、便鉢部の大きさを小さくすることができないため、便器本体を小型化することに限界がある。このため、水洗式便器の小型化を図る場合、便器本体の後方に配置する便器洗浄タンク等を小型化することになる。この場合、特許文献1の便器洗浄タンクでは、タンク本体の貯水量が少なくなり、便器洗浄を良好に行えないおそれがある。
【0005】
そこで、水洗式便器を小型化しつつ、便器洗浄を良好に行うことができる必要十分な洗浄水量をタンク本体に貯留するためには次の手段が考えられる。その手段は便鉢部の下方等に存在する複数の空き空間を利用してタンク本体を配置し、洗浄水の貯水量を確保することである。この場合、便器本体の構造等によって、タンク本体を複数に分割し、分割したタンク本体の夫々を連通路で連結することが想定され得る。
【0006】
ここで、連通路で連結したタンク本体の夫々が上下に位置し、上側に位置する第1タンク本体に流入口を設け、下側に位置する第2タンク本体に流出口を設けた場合、洗浄水を流入口から流入させて第1タンク本体及び第2タンク本体に貯留する際に次の不具合が懸念される。つまり、このような便器洗浄タンクにおいて、流入口から流入する洗浄水の流量(流量とは単位時間に流れる水量をいう。以下同じ)が、連通路を通過することができる洗浄水の流量よりも多いと、連通路が洗浄水で封鎖され、第2タンク本体内の空気が閉じ込められた状態になる。この状態で第2タンク本体への洗浄水の流入が継続し、第2タンク本体内の水位が上昇すると、第2タンク本体内に閉じ込められた空気が、連通路を流れる洗浄水の流れに逆らって、第2タンク本体から第1タンク本体側へ移動し、ボコボコという異音が発生する。
【0007】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、連通路で連結した上下に位置する各タンク本体内に洗浄水を貯留する際の異音の発生を防止することができる便器洗浄タンクを提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の便器洗浄タンクは、便鉢部を有する便器本体に供給する洗浄水を貯留する便器洗浄タンクであって、
空気が通過する通気口を設けた第1タンク本体と、
この第1タンク本体よりも下方に位置した第2タンク本体と、
前記第1タンク本体と前記第2タンク本体とを連通し、洗浄水を貯留する際に前記第2タンク本体内に流入した洗浄水が前記第1タンク本体内に流入する連通路と、
を備えており、
前記第2タンク本体は前記連通路とは別に洗浄水の流入口及び流出口が設けられていることを特徴とする。
【0009】
この便器洗浄タンクは、第1タンク本体よりも下方に位置する第2タンク本体に洗浄水の流入口を設けたため、洗浄水を貯留する際、第2タンク本体内に先ず洗浄水が流入して第2タンク本体内の水位が上昇する。そして、第2タンク本体が洗浄水で満水になると連通路を介して第1タンク本体内に洗浄水が流入する。第2タンク本体及び第1タンク本体の水位が上昇するに伴い、第2タンク本体内及び第1タンク本体内の空気は第1タンク本体に設けた通気口を介して外部に排出される。このため、この便器洗浄タンクは、第1タンク本体内の洗浄水が設定水位になるまで、スムーズに洗浄水を貯留することができる。
【0010】
したがって、本発明の便器洗浄タンクは、連通路で連結した上下に位置する各タンク本体内に洗浄水を貯留する際の異音の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例の水洗式便器を示す断面図である。
図2】実施例の便器洗浄タンクを示す断面図である。
図3】実施例の便器洗浄タンクであって、便器洗浄の待機状態を示す断面図である。
図4】実施例の便器洗浄タンクであって、便器洗浄の開始直後を示す断面図である。
図5】実施例の便器洗浄タンクであって、第1タンク本体内の水位が低下している状態を示す断面図である。
図6】実施例の便器洗浄タンクであって、第2タンク本体に洗浄水が流入し始めた状態を示す断面図である。
図7】実施例の便器洗浄タンクであって、第2タンク本体内の水位が上昇している状態を示す断面図である。
図8】実施例の便器洗浄タンクであって、第1タンク本体内の水位が上昇している状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明における好ましい実施の形態を説明する。
【0013】
本発明の便器洗浄タンクにおいて、前記流入口は前記第2タンク本体の底面に開口し得る。この場合、第2タンク本体の底面から湧き出るように洗浄水が第2タンク本体内に流入する。このように、この便器洗浄タンクは、第2タンク本体内の上部から洗浄水が流入するものではないため、第2タンク本体内に洗浄水が流入する際に洗浄水の飛散を抑制し、洗浄水の流入音を小さくすることができる。
【0014】
本発明の便器洗浄タンクにおいて、前記便器本体に洗浄水を供給する際、前記連通路を通過することができる洗浄水の流量が前記流出口から流出する洗浄水の最大流量よりも多くし得る。この場合、この便器洗浄タンクは、便器本体に洗浄水を供給する際、連通路を通過することができる洗浄水の流量が流出口から流出する洗浄水の最大流量よりも多いため、流出口から流出する第2タンク本体内の洗浄水の減少に応じて充分な流量で連通路を介して洗浄水が第2タンク本体内に補充される。このため、第1タンク本体内の洗浄水が連通路内に強力に引き込まれることなく、第1タンク本体内の水位が低下しても、第1タンク本体内の空気が第1タンク本体内の洗浄水と共に連通路内に引き込まれないため、ボコボコという異音が発生しない。
【0015】
次に、本発明の便器洗浄タンクを備えた水洗式便器を具体化した実施例について、図面を参照しつつ説明する。
【0016】
<実施例>
実施例の水洗式便器は、図1に示すように、便器本体10、排水連結管30、便座装置50、及び便器洗浄タンク70を備えている。便器本体10は、便鉢部11、便器排水路12、上面部13、及び外周壁部14を有している。便鉢部11は上部に形成した2つの吐水口(第1吐水口15、第2吐水口(図示せず))を有している。第1吐水口15は便鉢部11の左側の前後方向(図1における左右方向)の中間部で前方向(図1において左方向)に開口している。第2吐水口は便鉢部11の右側の後部で左方向に開口している。便鉢部11は、第1吐水口15の下端面に連続した段部を上部周縁に形成し、その上面を洗浄水が流れるリム通水路16を有している。水洗式便器は、便器洗浄を実行すると、第1吐水口15及び第2吐水口から洗浄水が吐水される。水洗式便器は、第1吐水口15から吐水された洗浄水が、リム通水路16に沿って流れつつ、徐々に便鉢部11の下方へ流下するため、平面視で便鉢部11内に旋回流が形成される。
【0017】
便器排水路12は便鉢部11の下流側に連通している。便器排水路12は、便鉢部11の下部に連通し、後方に向けて下方に傾斜した第1下降流路12Aと、第1下降流路12Aの下流側に連通し、後方に向けて上方に傾斜した上昇流路12Bと、上昇流路12Bの下流側に連通し、鉛直下方に延びた第2下降流路12Cとを有している。便器本体10は、便鉢部11の下部と、第1下降流路12Aと、上昇流路12Bとによって、水封部を形成している。
【0018】
便器本体10の上面部13は便鉢部11の上端周縁に略水平方向に拡がっている。上面部13は便鉢部11の上端周縁形状よりも僅かに小さい略楕円形状に形成した開口部13Aを有している。この開口部13Aが便鉢部11の上方に位置しており、便鉢部11の上方を開口している。上面部13は、便鉢部11の前端から便鉢部11の上端周縁の左右幅が最大となった位置まで、外縁が便鉢部11の上端周縁に沿った形状である。上面部13は、便鉢部11の左右幅が最大となった位置から後方において、左右外縁が略平行に延びている。上面部13は後端縁が便鉢部11より後方で左右方向に直線状に延びている。
【0019】
便器本体10の外周壁部14は、便鉢部11の前端から便鉢部11の上端周縁の左右幅が最大となった位置まで、便鉢部11の上端周縁部から下方に延びた前壁部14Aを有している。また、外周壁部14は、前壁部14Aの左右後端の夫々に連続し、略平行に後方に延びた左右壁部(図示せず)を有している。さらに、外周壁部14は、左右壁部の夫々の後端に連続した後壁部14Bを有している。このように、外周壁部14は便鉢部11及び便器排水路12を囲むように形成されている。また、便器本体10は上面部13の後端縁より後方で外周壁部14の左右壁部及び後壁部14Bに囲まれた収納空間S1を形成している。便器本体10は、外周壁部14の左右壁部及び後壁部14Bの内壁面であって、高さ方向の中間位置から内側に拡がり、便器排水路12の外周面に連続した中間壁部17を有している。便器本体10は、中間壁部17によって、製造過程における便器排水路12の変形を防止している。
【0020】
排水連結管30は床面Fに固定されている。排水連結管30は、上流端開口が便器本体10の便器排水路12の第2下降流路12Cの排出口12Dに連通しており、下流端開口が床面Fに引き出された排水管90の流入口に連通している。
【0021】
便座装置50は、局部洗浄装置等を収納する収納ケース51と、収納ケース51に回動自在に軸支された便座及び便蓋52とを有している。収納ケース51は、便器本体10の後部に形成した収納空間S1の上方を塞ぐように、便器本体10の後部上に固定されている。便座及び便蓋52は、便鉢部11の上方に位置する倒伏状態と、収納ケース51の軸部を中止に回動して起立した起立状態との間を回動自在である。
【0022】
便器洗浄タンク70は、図1及び図2に示すように、第1タンク本体71、第2タンク本体72、連通路73、給水路74、電磁開閉弁75、吐水路76、電動ポンプ77、及び吐水ノズル78を備えている。第1タンク本体71は便器本体10の中間壁部17より上方の収納空間S1内に配置されている。第1タンク本体71は天井面に空気が通過する通気口71Aを設けている。第1タンク本体71は、通気口71Aに連通しており、天井面を形成する天井板71Bより上方に突出した円筒状のフィルター部79を有している。フィルター部79は側面に複数のスリットを形成している。フィルター部79は、通気口71Aを介して第1タンク本体71内に空気を流入出させることができ、かつ虫等が第1タンク本体71内に入り込むことを防止することができる。第1タンク本体71は内部にフロートスイッチ80を有している。フロートスイッチ80は第1タンク本体71内の水位が設定水位に上昇すると検知信号を発信し、後述する給水路74に設けた電磁開閉弁75が閉弁する。これによって、給水路74から第1タンク本体71及び第2タンク本体72への洗浄水の流入が停止する。第1タンク本体71は下方に延びた円筒状の第1連結部71Cを有している。第1連結部71Cは、後述する第2タンク本体72から上方に延びた円筒状の第2連結部72C内に挿入され、第2連結部72Cと共に第1タンク本体71と第2タンク本体72を連通する連通路73を形成している。
【0023】
第2タンク本体72は、便器本体10の中間壁部17より下方であって、便鉢部11及び便器排水路12の下方空間S2及び収納空間S1内に配置されている。つまり、第2タンク本体72は第1タンク本体71よりも下方に位置している。第2タンク本体72は、上述したように、連通路73によって、第1タンク本体71に連通している。第2タンク本体72は底面に開口した流入口72Aと流出口72Bとを有している。流出口72Bは連通路73を構成する第1連結部71Cよりも流路面積が小さく形成されている。このため、流出口72Bは連通路73よりも流路抵抗が大きく、連通路73を通過することができる洗浄水の流量を流出口72Bから流出する洗浄水の最大流量よりも多くすることができる。第1タンク本体71及び第2タンク本体72は、洗浄水の貯留水位以下の外周面に結露が生じることを防止するために、防露材81によって覆われている。
【0024】
流入口72Aは給水路74が連通している。給水路74は上流側が給水源に連通している。便器洗浄タンク70は、給水路74の途中に電磁開閉弁75を設けている。便器洗浄タンク70は、電磁開閉弁75が開弁すると、洗浄水が給水路74から流入口72Aを介して第2タンク本体72内に流入し、電磁開閉弁75が閉弁すると、流入口72Aから第2タンク本体72内への洗浄水の流入が停止する。
【0025】
流出口72Bは吐水路76が連通している。便器洗浄タンク70は吐水路76の下流端に電動ポンプ77の入水口を連通している。便器洗浄タンク70は電動ポンプ77の出水口に吐水ノズル78の上流端を連通している。吐水ノズル78は途中で分岐している。電動ポンプ77が駆動することによって、吐水ノズル78の一方の先端から吐水された洗浄水は便器本体10の第1吐水口15から便鉢部11内に吐水され、他方の先端から吐水された洗浄水は便器本体10の第2吐水口から便鉢部11内に吐水される。
【0026】
このように構成された水洗式便器は次に示すように便器洗浄を実行する。
【0027】
便器洗浄を実行する前、便器洗浄タンク70は、図3に示すように、第1タンク本体71内の水位が設定水位で洗浄水を第1タンク本体71及び第2タンク本体72内に貯留しており、電磁開閉弁75が閉弁し、電動ポンプ77が停止した状態、つまり、便器洗浄の待機状態になっている。
【0028】
この状態で水洗式便器の使用者等が図示しない便器洗浄ボタンを操作すると、電動ポンプ77が駆動し、便器洗浄が開始される。電動ポンプ77が駆動すると、第1タンク本体71及び第2タンク本体72に貯留した洗浄水が流出口72Bから吐水路76に流出し、電動ポンプ77、吐水ノズル78を介して便鉢部11の第1吐水口15及び第2吐水口から便鉢部11内に洗浄水が吐水される。このようにして、水洗式便器は便器本体10に洗浄水の供給を開始する。
【0029】
この際、便器洗浄タンク70は、第2タンク本体72の流出口72Bが連通路73よりも流路面積が小さいため流出口72Bが連通路73よりも流路抵抗が大きく、連通路73を通過することができる洗浄水の流量が流出口72Bから流出する洗浄水の最大流量よりも多い。このため、流出口72Bから流出する第2タンク本体72内の洗浄水の減少に応じて充分な流量で連通路73を介して洗浄水を第2タンク本体72内に補充することができる。よって、便器洗浄タンク70は第1タンク本体71内の洗浄水が連通路73内に強力に引き込まれないため、図4及び図5に示すように、第1タンク本体71内の水位が低下しても、第1タンク本体71内の水面が連通路73の上方で局所的に低下することがなく、第1タンク内の空気が第1タンク内の洗浄水と共に連通路73内に引き込まれないため、ボコボコという異音が発生しない。
【0030】
電動ポンプ77が駆動し、設定時間が経過すると、設定水量の洗浄水が便器本体10に供給され、電動ポンプ77が停止する。すると、給水路74に設けられた電磁開閉弁75が開弁し、図6に示すように、第2タンク本体72の流入口72Aから洗浄水が第2タンク本体72内に流入し始める。流入口72Aが第2タンク本体72の底面に開口しているため、洗浄水が第2タンク本体72の底面から湧き出るように第2タンク本体72内に流入する。このように、便器洗浄タンク70は、第2タンク本体72内の上部から洗浄水が流入するものではないため、第2タンク本体72内に洗浄水が流入する際に洗浄水の飛散を抑制し、洗浄水の流入音を小さくすることができる。
【0031】
さらに、第2タンク本体72内に洗浄水が流入すると、図7に示すように、第2タンク本体72内の水位が上昇する。そして、第2タンク本体72が洗浄水で満水になると、図8に示すように、連通路73を介して第1タンク本体71内に洗浄水が流入する。第2タンク本体72及び第1タンク本体71の水位が上昇するに伴い、第2タンク本体72内及び第1タンク本体71内の空気は第1タンク本体71に設けた通気口71Aを介して外部に排出される。このため、この便器洗浄タンク70は、第1タンク本体71内の洗浄水が設定水位になるまで、スムーズに洗浄水を貯留することができる。
【0032】
したがって、実施例の便器洗浄タンク70は、連通路73で連結した上下に位置する第1タンク本体71及び第2タンク本体72内に洗浄水を貯留する際の異音の発生を防止することができる。
【0033】
第1タンク本体71内の水位が設定水位になると、フロートスイッチ80が検知信号を発信し、給水路74に設けた電磁開閉弁75が閉弁して流入口72Aから第2タンク本体72内への洗浄水の流入が停止する。これによって、便器洗浄タンク70は、図3に示すように、便器洗浄の待機状態に復帰し、便器洗浄が終了する。
【0034】
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施例では、流入口が第2タンク本体の底面に開口して設けられたが、上方から第2タンク本体内に挿入した管部材を配置し、この管部材の下端開口を流入口として第2タンク本体内に洗浄水を流入させてもよい。
(2)実施例では、流入口が第2タンク本体の底面に開口して設けられたが、第2タンク本体の底面より上方に流入口を設けてもよい。
(3)実施例では、第2タンク本体を便鉢部及び便器排水路の下方空間に配置したが、便器本体の外周壁部内の他の空いた空間に配置してもよい。
(4)実施例では、流出口が連通路よりも流路面積が小さいが、流出口が連通路よりも流路面積が大きくてもよい。
(5)実施例では、便器本体に洗浄水を供給する際、連通路を通過することができる洗浄水の流量が流出口から流出する洗浄水の最大流量よりも多いが、便器本体に洗浄水を供給する際、連通路を通過することができる洗浄水の流量が流出口から流出する洗浄水の最大流量よりも少なくてもよい。
(6)実施例では、便器洗浄タンクが第1タンク本体と第2タンク本体を別々に設け、第1タンク本体と第2タンク本体を連通路で連通させていたが、単一のタンク内の一部をくびれさせて連通路とし、その両側を第1タンク本体及び第2タンク本体とする等、第1タンク本体及び第2タンク本体を一体に成形してもよく、様々な形態で第1タンク本体と第2タンク本体を構成し得る。
【符号の説明】
【0035】
10…便器本体
11…便鉢部
70…便器洗浄タンク
71…第1タンク本体
71A…通気口
72…第2タンク本体
72A…流入口
72B…流出口
73…連通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8