特許第6156993号(P6156993)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6156993
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】フィルタ装置及び流体浄化システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 36/00 20060101AFI20170626BHJP
   B01D 24/00 20060101ALI20170626BHJP
   B01D 24/46 20060101ALI20170626BHJP
   B01D 29/62 20060101ALI20170626BHJP
   B01D 29/66 20060101ALI20170626BHJP
   B01D 29/00 20060101ALI20170626BHJP
   B03B 5/28 20060101ALI20170626BHJP
【FI】
   B01D36/00
   B01D29/08 540A
   B01D29/08 520A
   B01D29/08 530D
   B01D29/38 510B
   B01D29/38 580H
   B01D29/38 520Z
   B01D29/00 B
   B03B5/28 A
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-161642(P2013-161642)
(22)【出願日】2013年8月2日
(65)【公開番号】特開2015-29964(P2015-29964A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年7月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】501141769
【氏名又は名称】株式会社industria
(74)【代理人】
【識別番号】100081709
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴若 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一彰
【審査官】 中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−188364(JP,A)
【文献】 特表2000−511823(JP,A)
【文献】 特開平06−079107(JP,A)
【文献】 実開昭54−069774(JP,U)
【文献】 特開平10−094706(JP,A)
【文献】 特開平10−052615(JP,A)
【文献】 特開2012−196592(JP,A)
【文献】 仏国特許出願公開第02454322(FR,A1)
【文献】 米国特許第04772400(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 24/00
B01D 24/46、29/00−66、36/00
B03B 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心力により流体に含まれる微細物を分離する遠心分離装置と、
前記遠心分離装置により分離した残りの微細物を除去するフィルタ装置と、を備え、
前記遠心分離装置は、
微細物を含む流体を流体入口から供給して渦巻きを生じさせ、遠心力で微細物を外側へ移動させて分離し、分離された微細物を沈降させる本体円筒容器部と、
前記本体円筒容器部の底部に沈殿する微細物を外部に排出する微細物排出部と、を備え、
前記フィルタ装置は、
液体をろ過するためのろ過室を備え、
前記ろ過室は、
前記本体円筒容器部の内部に円筒軸心方向に沿って配置され、複数のフィルタ塊を集積させて液体をろ過する部分と、
前記本体円筒容器部の外部に配置され、流体出口に接続されて前記ろ過する部分の容積より容積が大きい前記複数のフィルタ塊を分散させて洗浄する部分を有し、
前記ろ過する部分と前記洗浄する部分との間において、前記複数のフィルタ塊を移動させる移動手段を備え、
流体浄化時には、
前記ろ過する部分に前記複数のフィルタ塊を集積させて供給される液体をろ過し、ろ過した液体を前記洗浄する部分を介して前記流体出口に導き、流体浄化し、
装置洗浄時には、
前記洗浄する部分に前記複数のフィルタ塊を分散させて供給される液体により前記複数のフィルタ塊を洗浄し、液体を前記流体出口に導き、装置洗浄することを特徴とする流体浄化システム。
【請求項2】
前記流体入口は、
前記ろ過する部分に対向する位置に配置したことを特徴とする請求項1に記載の流体浄化システム。
【請求項3】
前記複数のフィルタ塊を分散させて洗浄する際に攪拌する攪拌手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の流体浄化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流体に含まれる微粉末状クズ、また流体中の異物や混入物、汚染物質、糸状や繊維状などの軽いごみ等の微細物を除去する流体浄化システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、機械加工装置では、供給タンクから切削液を供給しながら切削加工が行なわれ、切削液には微粉末状の切削クズ、異物や混入物、汚染物質等の微細物が含まれる。
【0003】
この微細物が含まれる切削液をフィルタ装置に供給し、このフィルタ装置で微細物を除去して切削液を供給タンクに戻している(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−137743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなフィルタ装置として、例えばフィルタ膜によって微細物を捕捉して除去したり、沈殿によって除去するものがあるが、フィルタ膜が目詰まりを起こすことがあり、詰まってしまった場合、洗浄液をろ過方向とは逆方向から流して洗浄したり、またフィルタ装置の分解作業をし、そのフィルタ膜を洗浄しなければならない。
【0006】
例えば、洗浄液をろ過方向とは逆方向から流してフィルタ膜を洗浄するものでは、十分に洗浄することが困難であり、また分解して洗浄する洗浄作業は面倒であった。また、フィルタ膜は大抵繰り返し使用すると、ろ過精度は悪くなり、詰まり易くなるため、フィルタ膜の殆どが使い捨てフィルタ膜であり、コストがかかる。
【0007】
さらに、遠心分離装置などで微細物を除去するものがあるが、糸状や繊維状などの軽いごみは除去漏れが生じ、さらに清浄化しても藻が発生するなどの問題がある。
【0008】
この発明は、かかる実情に鑑みてなされたもので、微細物を確実に除去することが可能で、交換することなく簡単な洗浄作業でよく、低コストである流体浄化システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0010】
請求項1に記載の発明は、遠心力により流体に含まれる微細物を分離する遠心分離装置と、
前記遠心分離装置により分離した残りの微細物を除去するフィルタ装置と、を備え、
前記遠心分離装置は、
微細物を含む流体を流体入口から供給して渦巻きを生じさせ、遠心力で微細物を外側へ移動させて分離し、分離された微細物を沈降させる本体円筒容器部と、
前記本体円筒容器部の底部に沈殿する微細物を外部に排出する微細物排出部と、を備え、
前記フィルタ装置は、
液体をろ過するためのろ過室を備え、
前記ろ過室は、
前記本体円筒容器部の内部に円筒軸心方向に沿って配置され、複数のフィルタ塊を集積させて液体をろ過する部分と、
前記本体円筒容器部の外部に配置され、流体出口に接続されて前記ろ過する部分の容積より容積が大きい前記複数のフィルタ塊を分散させて洗浄する部分を有し、
前記ろ過する部分と前記洗浄する部分との間において、前記複数のフィルタ塊を移動させる移動手段を備え、
流体浄化時には、
前記ろ過する部分に前記複数のフィルタ塊を集積させて供給される液体をろ過し、ろ過した液体を前記洗浄する部分を介して前記流体出口に導き、流体浄化し、
装置洗浄時には、
前記洗浄する部分に前記複数のフィルタ塊を分散させて供給される液体により前記複数のフィルタ塊を洗浄し、液体を前記流体出口に導き、装置洗浄することを特徴とする流体浄化システムである。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記流体入口は、
前記ろ過する部分に対向する位置に配置したことを特徴とする請求項1に記載の流体浄化システムである。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記複数のフィルタ塊を分散させて洗浄する際に攪拌する攪拌手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の流体浄化システムである。
【発明の効果】
【0015】
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
【0020】
請求項1乃至3に記載の発明では、遠心分離装置により流体に含まれる微細物を分離し、さらに遠心分離装置の後段に配置したフィルタ装置により、遠心分離装置により分離した残りの微細物を除去することで、微細物をより確実に除去することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1の実施の形態のフィルタ装置を示す図である。
図2】第2の実施の形態のフィルタ装置を示す図である。
図3】第3の実施の形態のフィルタ装置を示す図である。
図4】第4の実施の形態のフィルタ装置を示す図である。
図5】第5の実施の形態のフィルタ装置を示す図である。
図6】第6の実施の形態のフィルタ装置を示す図である。
図7】第1の実施の形態の流体浄化システムを示す図である。
図8】第2の実施の形態の流体浄化システムを示す図である。
図9】第3の実施の形態の流体浄化システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の流体浄化システムの実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明はこれに限定されない。
【0023】
この発明のフィルタ装置および流体浄化システムは、製薬、化学、食品、飲料の原料他の流体に含まれる微細物の除去に、また自動車、精密機器、工作機、加工業の切削液の流体に含まれる切削粉等の微細物の除去に、また各工場、水処理等の循環水、排水の流体に含まれる微細物の除去に、また半導体、バイオ等の流体に含まれる不純物等の微細物の除去に、また洗浄水、溶剤等の流体に含まれる異物である微細物の除去等に使用される。このように、液体、気体の流体に含まれる微細物を捕捉して除去するものに広く使用される。
【0024】
[フィルタ装置]
(第1の実施の形態)
この実施の形態のフィルタ装置を、図1に基づいて説明する。図1(a)はフィルタ装置のろ過状態を示し、図1(b)はフィルタ装置の洗浄状態を示す。
【0025】
この実施の形態のフィルタ装置50は、液体をろ過して混入する微細物を除去する装置であり、装置本体10に液体をろ過するためのろ過室11を備え、このろ過室11には、メッシュプレート13a,13bが設けられ、複数のフィルタ塊12がメッシュプレート13a,13bの間に収容される。このろ過室11は、液体を流す流路1に配置され、一方側の流路1aから液体を他方側の流路1bに流してろ過するが、他方側の流路1bから液体を一方側の流路1aに流してろ過してもよく、いずれ側の流路から液体を流してもよい。この液体が流れる圧力によって複数のフィルタ塊12が集積されて塊りとなり、この集積された複数のフィルタ塊12によって液体をろ過し、微細物を捕捉して除去する(図1(a))。
【0026】
このフィルタ装置50は、複数のフィルタ塊12によって液体をろ過して混入する微細物を除去するが、この複数のフィルタ塊12によって微細物を捕捉して除去するために目詰まりを起こすことがある。このために、一方側の流路1aから液体を他方側の流路1bに流し、また他方側の流路1bから液体を一方側の流路1aに流すなど、いずれ側の流路から液体を集積された複数のフィルタ塊12が分散するような圧力で流す。このことによって集積された複数のフィルタ塊12は、液体が流れる圧力によってろ過室11で分散して洗浄される(図1(b))。この集積された複数のフィルタ塊12を分散させて洗浄する液体は、薬品などを混入した洗浄液、水道水、ろ過した液、純水、蒸気などであり、洗浄だけでなく、殺菌、滅菌、蒸気などでの熱処理を行うものでもよい。
【0027】
このように、ろ過室11に液体を、所定の圧力で流して複数のフィルタ塊12を集積させて液体をろ過するが、複数のフィルタ塊12を洗浄するには、ろ過室11に液体を、ろ過する際と異なり低い圧力で流して複数のフィルタ塊12を分散させて洗浄する。そして、洗浄が終了すると、ろ過室11に液体を所定の圧力で流すことで、複数のフィルタ塊12を集積させて液体をろ過することができ、分解作業や交換作業を行うことなく簡単に複数のフィルタ塊12を再生して使用することができる。
【0028】
<フィルタ塊>
フィルタ塊の形状は、粒状であるが、これに限定されず、小石状、小球体状、線状、板状等いかなる形状でもよく、大きさも0.1 cm〜5cmが好ましいが特に限定されない。
【0029】
フィルタ塊に用いられる微孔性ろ過膜は、平均孔径が0.01μm以上10μm以下の範囲にあるものがよい。好ましくは、0.45μm以上3μm以下であり、0.45μm以下が好ましい。或いは、好ましくは、0.02μm以上0.2μm以下であり、最も好ましくは、0.02μm以上0.1μm以下である。
【0030】
例えば、製薬、化学、食品、飲料の原料他の流体ろ過用途では、0.45μm以上3μm以下のものがよく使用され、また自動車、精密機器、工作機、加工業の切削液の流体ろ過用途では、特に0.02μm以上8.0μm以下のものが適している。また各工場、水処理等の循環水、排水の流体ろ過用途では、0.45μm以上5μm以下のものがよく使用され、また半導体、バイオ等の流体ろ過用途では、特に0.02μm以上0.2μm以下のものが適している。半導体の集積度が高くなるに従い、好ましく使用される膜の孔径は小さくなっており、最も好ましくは、0.02μm以上0.1μm以下である。
【0031】
膜の素材は、耐熱性が高く耐薬品性が優れて溶出の少ない膜素材であるポリテトラフルオロエチレン、ポリ弗化ビニリデンの如き弗素樹脂類、及びポリスルホン、ポリエーテルスルホン及びポリフェニレンスルホンの如きポリスルホン系ポリマーがある。耐薬品性が優れた膜素材としてはポリエチレンやポリプロピレンの如きポリオレフィン膜がある。
【0032】
(第2の実施の形態)
この実施の形態のフィルタ装置を、図2に基づいて説明する。図2(a)はフィルタ装置のろ過状態を示し、図2(b)はフィルタ装置の洗浄状態を示す。
【0033】
この実施の形態のフィルタ装置50は、第1の実施の形態と同様に構成されるが、液体を流す流路1a,1bに、切替弁2a,2bが配置されている。切替弁2a,2bは、ろ過側と洗浄側に切り替えるものである。切替弁2a,2bをろ過側とすることで、液体を流路1aからろ過室11に流して集積された複数のフィルタ塊12によって液体をろ過する(図2(a))。切替弁2a,2bを洗浄側とすることで、流路1dからろ過室11に液体を、洗ろ過方向と反対方向に流し、このことによって集積された複数のフィルタ塊12が液体が流れる圧力によってろ過室11で分散して洗浄され、洗浄に用いた液体を流路1cから排出する(図2(b))。この流路1dからろ過室11に流す液体は、薬品などを混入した洗浄液、水道水、ろ過した液、純水、蒸気などであり、洗浄だけでなく、殺菌、滅菌、蒸気などでの熱処理を行うものでもよい。
【0034】
(第3の実施の形態)
この実施の形態のフィルタ装置を、図3に基づいて説明する。図3(a)は第1の実施の形態のフィルタ装置に適用した図、図3(b)は第2の実施の形態のフィルタ装置に適用した図である。
【0035】
図3(a)の実施の形態では、複数のフィルタ塊12を分散させて洗浄する際に攪拌する攪拌手段20を備える。攪拌手段20は、機械的に攪拌機で構成され、ろ過室11内の液体を攪拌して複数のフィルタ塊12を分散させて効果的に洗浄することができる。この攪拌手段20は、液体を噴射する噴射器で構成し、液体をろ過室11内へ噴射して攪拌してもよく、また超音波を発振する超音波発振器で構成し、ろ過室11内へ超音波を発振して振動を与えて攪拌するようにしてもよい。図3(b)の実施の形態では、液体をろ過室11に流すだけでなく、切替弁2a,2bを閉めてろ過室11の内部に液体を溜めて攪拌して洗浄し、ドレン排出することも可能である。
【0036】
(第4の実施の形態)
この実施の形態のフィルタ装置を、図4に基づいて説明する。図4(a)はフィルタ装置のろ過状態を示し、図4(b)はフィルタ装置の洗浄状態を示す。
【0037】
この実施の形態のフィルタ装置50は、装置本体10に液体をろ過するためのろ過室21を備え、このろ過室21は、複数のフィルタ塊12が収容されるろ過部分22の容積が、容積可変手段23によってろ過状態と洗浄状態とに可変可能である。
【0038】
この容積可変手段23は、可動プレート23aと、可動プレート23aを移動させる操作軸23bを有する。可動プレート23aは、多数の小さい孔が形成されたメッシュプレートであり、ろ過室21内に移動可能に配置される。操作軸23bは回転によってろ過室21の軸方向に移動可能に設けられ、操作軸23bの先端は可動プレート23aに回動可能に連結される。操作軸23bは、手動またはモータなどの駆動手段によって回転される。
【0039】
操作軸23bを操作して可動プレート23aが、ろ過部分22の容積を、ろ過状態として複数のフィルタ塊12を集積させて、上流側の流路1aから液体をろ過方向に流す。この液体がろ過部分22を流れ、集積された複数のフィルタ塊12によって液体をろ過し、微細物を捕捉して除去して下流側の流路1bから送り出す(図4(a))。この実施の形態では、操作軸23bを操作して可動プレート23aがろ過部分22の容積を変化させ、この容積変化によって複数のフィルタ塊12のろ過密度が変化する。このようにして、複数のフィルタ塊12のろ過密度を制御することができる。
【0040】
操作軸23bを操作して可動プレート23aが、ろ過部分22の容積を、洗浄状態に拡大させて複数のフィルタ塊12を分散させて、下流側の流路1bから液体を、洗ろ過方向と反対方向に流す。これによって、分散された複数のフィルタ塊12が洗浄される(図4(b))。
【0041】
このように、ろ過部分22の容積を、ろ過状態として複数のフィルタ塊12を集積させて液体をろ過し、ろ過部分22の容積を、洗浄状態に拡大させて複数のフィルタ塊12を分散させて複数のフィルタ塊の洗浄が可能であり、ろ過部分22の容積を可変することで、液体のろ過と、フィルタ塊12を洗浄することができ、分解作業や交換作業を行うことなく簡単に複数のフィルタ塊を再生して使用することができる。
【0042】
(第5の実施の形態)
この実施の形態のフィルタ装置を、図5に基づいて説明する。図5(a)乃至図5(c)は第4の実施の形態のフィルタ装置に適用した図である。
【0043】
この実施の形態は、第4の実施の形態のフィルタ装置に適用したものであり、複数のフィルタ塊12を分散させて洗浄する際に攪拌する攪拌手段20を備える。この攪拌手段20は、液体を噴射する噴射器で構成し、液体をろ過部分22内へ噴射して攪拌する。また、攪拌手段20は、超音波を発振する超音波発振器で構成し、ろ過部分22内へ超音波を発振して振動を与えて攪拌するようにしてもよい。
【0044】
図5(a)の実施の形態では、ろ過時に切替弁2a,2bを開いてろ過側にし、液体をろ過室11に流して集積された複数のフィルタ塊12によって液体をろ過し、洗浄時に液体をろ過室11に入れて切替弁2a,2bを閉じて洗浄側にし、ろ過室11の内部に液体を溜めて攪拌して洗浄する。ドレン排出時には切替弁2aを閉じて排出側にし、切替弁2bを開き排出側にしドレンを排出する。
【0045】
図5(b)の実施の形態では、図5(a)の実施の形態と同様に構成されるが、洗浄時には切替弁2bを閉じて洗浄側とし、切替弁2aを開けて洗浄側としろ過室11に薬品などを混入した洗浄液、水道水、ろ過した液、純水、蒸気などを供給し攪拌して洗浄し、洗浄だけでなく、殺菌、滅菌、蒸気などでの熱処理などを行い、ドレン排出時には切替弁2aを閉じて排出側とし、切替弁2bを開き排出側とし、ドレンを排出する。
【0046】
図5(c)の実施の形態では、図5(a)の実施の形態と同様に構成され、ろ過時に切替弁2a,2bを開きろ過側とし、液体をろ過室11に流して集積された複数のフィルタ塊12によって液体をろ過するが、このろ過時に洗浄液タンク90にろ過液を貯留しておく。洗浄時に切替弁2bを閉め洗浄側とし、切替弁2aを開けて洗浄側としろ過室11に液体を供給し攪拌して洗浄し、この洗浄時の最後に洗浄液タンク90に溜めたろ過液を流し攪拌し、ドレン排出時には切替弁2bを開いて排出側とし、ドレンを排出する。
【0047】
(第6の実施の形態)
この実施の形態のフィルタ装置を、図6(a)乃至図6(c)に基づいて説明する。図6(a)では、第4の実施の形態と同様に構成されるが、メッシュプレート13の中央部分13aを円柱状にし、メッシュプレート13の表面面積を大きくしている。このメッシュプレート13の表面面積を大きくすることによって、複数のフィルタ塊12のろ過面積を拡大している。
【0048】
図6(b)では、装置本体10がろ過室21に円筒ケース24を設けた構成であり、この円筒ケース24のろ過室21の内部に位置する部分24aをメッシュとしている。可動プレート23aは、円筒ケース24の内部を移動可能に設けられ、円筒ケース24のろ過室21の内部に位置する部分24aをメッシュとすることで、複数のフィルタ塊12のろ過面積を拡大している。ドレン排出時は、切替弁2cを開くことで、洗浄後のドレンを排出路1fから排出する。
【0049】
図6(c)では、図6(b)の実施の形態と同様に構成されるが、円筒ケース24のろ過室21の内部に位置する部分24aの底部を内側に円柱状に凹ませた形状とし、円筒ケース24のろ過室21の内部に位置する部分24aをメッシュとすることで、複数のフィルタ塊12のろ過面積を拡大している。
【0050】
[流体浄化システム]
(第1の実施の形態)
この実施の形態の流体浄化システムを、図7に基づいて説明する。この実施の形態は、遠心力により流体に含まれる微細物を分離する遠心分離装置60と、遠心分離装置60の後段に配置したフィルタ装置50とを備える。
【0051】
この遠心分離装置60は、液体が流入口61から流入し、液体は微細物を含む液であり、この液体が所定流速で流入されることで渦巻きが生じ、遠心状態で微細物を外側へ移動させ、外側では渦巻きが減速して分離された微細物が沈降し、沈降した微細物は排出弁62を開くことで排出管63から取り出される。
【0052】
この遠心分離装置60から液体は、フィルタ装置50に送られ、このフィルタ装置50によりろ過することで、遠心分離装置60により分離した残りの微細物を除去し、流出口64から流出する。遠心分離装置60により分離した残りの微細物を除去することで、微細物をより確実に除去することが可能である。
【0053】
この実施の形態のフィルタ装置50は、装置本体10に液体をろ過するためのろ過室30を備え、このろ過室30は、複数のフィルタ塊12を集積させて液体をろ過する部分31と、複数のフィルタ塊12を分散させて洗浄する部分32を有する。ろ過する部分31は、小径の円筒状であり、洗浄する部分32は、ろ過する部分31より大径の円筒状であり、底部がテーパによってろ過する部分31に続いており、ろ過する部分31はメッシュの筒状に形成されている。
【0054】
このろ過する部分31と洗浄する部分32との間において、複数のフィルタ塊12を移動させる移動手段33を備え、この移動手段33は、第1の移動機構34と第2の移動機構35を有する。第1の移動機構34は、メッシュプレート34aと、保持軸34bと、駆動機構34cから構成され、メッシュプレート34aの中央部に、保持軸34bの先端部が連結され、保持軸34bを駆動機構34cによって駆動し、メッシュプレート34aをろ過する部分31に沿って移動させる。
【0055】
第2の移動機構35は、メッシュプレート35aと、保持軸35bと、駆動機構35cから構成され、メッシュプレート35aの外周部に、保持軸35bの先端部が連結され、保持軸35bを駆動機構35cによって駆動し、メッシュプレート35aをろ過する部分31と洗浄する部分32との間を移動させる。
【0056】
この実施の形態のフィルタ装置50は、ろ過室30のろ過する部分31に、メッシュプレート34aとメッシュプレート35aによって複数のフィルタ塊12が集積され、上流側流路1aから液体をろ過方向に流す。集積された複数のフィルタ塊12によって液体をろ過し、微細物を捕捉して除去して下流側流路1bから送り出す(図7(a))。
【0057】
このフィルタ装置50は、複数のフィルタ塊12によって液体をろ過して混入する微細物を除去するが、この複数のフィルタ塊12によって微細物を捕捉して除去するために目詰まりを起こすことがある。このために、第1の移動機構34と第2の移動機構35を駆動し、メッシュプレート34aとメッシュプレート35aによって複数のフィルタ塊12を集積した状態で、ろ過する部分31から洗浄する部分32の方向へ移動する(図7(b))。
【0058】
メッシュプレート34aとメッシュプレート35aによって複数のフィルタ塊12を集積した状態で、ろ過する部分31から洗浄する部分32へ移動すると、この洗浄する部分32に複数のフィルタ塊12が分散する。この状態で、下流側流路1bからろ過室30に液体を流すと、複数のフィルタ塊12が洗浄され、この洗浄に用いた液体を下流側流路1bから排出する(図7(c))。この洗浄する際に、攪拌手段によって液体を攪拌するようにしてもよい。この攪拌手段は、例えば攪拌機、液体を噴射する噴射器、超音波を発振する超音波発振器などが用いられる。
【0059】
複数のフィルタ塊12の洗浄が終了すると、まず第1の移動機構34を駆動し、メッシュプレート34aを洗浄する部分32からろ過する部分31の方向へ移動する。このメッシュプレート34aの移動によって分散している複数のフィルタ塊12がろ過する部分31へ移動していく(図7(d))。
【0060】
複数のフィルタ塊12が洗浄する部分32からろ過する部分31の方向へ移動し、洗浄する部分32に存在しなくなると、第2の移動機構35を駆動し、メッシュプレート35aを洗浄する部分32からろ過する部分31の方向へ移動する。このメッシュプレート35aの移動によって、分散している複数のフィルタ塊12がろ過する部分31へ移動し、メッシュプレート34aとメッシュプレート35aによって複数のフィルタ塊12が集積され(図7(e))、上流側流路1aから液体をろ過方向に流すことで、集積された複数のフィルタ塊12によって液体をろ過することができる(図7(a))。
【0061】
このように、ろ過室30は、複数のフィルタ塊12を集積させて液体をろ過する部分31と、複数のフィルタ塊12を分散させて洗浄する部分32を有し、ろ過する部分31と洗浄する部分32との間において、複数のフィルタ塊12を移動させることで、液体のろ過と、フィルタ塊の洗浄ができ、分解作業や交換作業を行うことなく簡単に複数のフィルタ塊12を再生して使用することができる。
【0062】
(第2の実施の形態)
この実施の形態の流体浄化システムを、図8に基づいて説明する。この実施の形態は、遠心力により流体に含まれる微細物を分離する遠心分離装置60と、遠心分離装置60の後段に配置したフィルタ装置50とを備える。このフィルタ装置50は、第1の実施の形態乃至第6の実施の形態のものが用いられ、フィルタ装置50は、遠心分離装置60により分離した残りの微細物を除去する。図8(a)の実施の形態は、遠心分離装置60とフィルタ装置50を配管により接続し、図8(b)の実施の形態は、遠心分離装置60の内部にフィルタ装置50のろ過する部分を配置した構成である。
【0063】
この遠心分離装置60は、液体が流入口66から流入し、液体は微細物を含む液であり、この液体が所定流速で流入されることで渦巻きが生じ、遠心状態で微細物を外側へ移動させ、外側では渦巻きが減速して分離された微細物が沈降する。微細物を分離した液体は、フィルタ装置50のろ過室へ送られる。このフィルタ装置50により、遠心分離装置60により分離した残りの微細物を除去することで、微細物をより確実に除去することが可能である。遠心分離装置60には、下部に排出管68が設けられ、この排出管68に排出弁69を備え、排出弁69を開いて沈殿した微細物を排出する。この遠心分離装置60の構造は、この実施の形態に限定されず、一般的な遠心分離装置の構造でもよい。
【0064】
(第3の実施の形態)
この実施の形態の流体浄化システムを、図9に基づいて説明する。この実施の形態は、第1の実施の形態と同様に構成されるが、この遠心分離装置60とフィルタ装置50が一体的に形成され、フィルタ装置50の液体流入側のろ過する部分が、遠心分離装置60の内部に配置され、微細物を分離した液体が、フィルタ装置50の液体流入側から配管を用いないで直接流入され、遠心分離装置60により分離した残りの微細物をフィルタ装置50によって除去する簡単な構造である。この実施の形態では、フィルタ装置50の液体流入側のろ過する部分を短くし、流入口61に対向して位置することがないようにしているがこれに限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0065】
この発明は、流体に含まれる微粉末状クズ、また流体中の異物や混入物、汚染物質、糸状や繊維状などの軽いごみ等の微細物を除去する流体浄化システムに適用でき、微細物を確実に除去することが可能で、交換することなく簡単な洗浄作業でよく、低コストである。
【符号の説明】
【0066】
1 液体を流す流路
1a 上流側流路
1b 下流側流路
1c 排出流路
2 切替弁
10 装置本体
11 ろ過室
12 フィルタ塊
13 メッシュプレート
20 攪拌手段
21 ろ過室
22 ろ過部分
23 容積可変手段
23a 可動プレート
23b 操作軸
30 ろ過室
31 ろ過する部分
32 洗浄する部分
33 移動手段
34 第1の移動機構
35 第2の移動機構
50 フィルタ装置
60 遠心分離装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9