特許第6156994号(P6156994)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6156994
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】産業車両の荷役レバー固定装置
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/20 20060101AFI20170626BHJP
【FI】
   B66F9/20 B
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-170144(P2013-170144)
(22)【出願日】2013年8月20日
(65)【公開番号】特開2015-40081(P2015-40081A)
(43)【公開日】2015年3月2日
【審査請求日】2016年7月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】313004724
【氏名又は名称】ユニキャリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082474
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 丈夫
(74)【代理人】
【識別番号】100129540
【弁理士】
【氏名又は名称】谷田 龍一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 尚之
【審査官】 大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−095520(JP,A)
【文献】 実開平01−162499(JP,U)
【文献】 特開平08−263159(JP,A)
【文献】 特許第3772492(JP,B2)
【文献】 実公昭63−019412(JP,Y2)
【文献】 特開昭63−305416(JP,A)
【文献】 特許第5596926(JP,B2)
【文献】 特開平10−311306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷役装置を操作するための荷役レバーと、荷役装置駆動制御用の油圧コントロールバルブと、前記荷役レバーに揺動可能に連結されたジョイントバーと、前記ジョイントバーと前記油圧コントロールバルブのスプールとの間に連結されたスプールジョイントと、前記スプールジョイントに形成された被係止部と、前記被係止部に係脱可能であって前記荷役レバーの中立位置で係止し前記スプールジョイントをロック可能な係止部と、を備え、前記スプールジョイントは、前記スプールと揺動不能に連結される一方、前記ジョイントバーとは揺動可能に連結されていることを特徴とする産業車両の荷役レバー固定装置。
【請求項2】
前記スプールジョイントは、前記スプールの端面に面接触して該スプールに対する揺動を規制する接触端面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の産業車両の荷役レバー固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業車両の荷役レバー固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フォークリフト等の産業車両は、一般に、車体前方に荷役装置用のマストやアタッチメントを搭載している。そして、運転席には、それらを作動させる荷役レバーやコントロールバルブが設置されている。この荷役レバーで油圧コントロールバルブのスプールを切り換え操作することで、荷役装置の作動方向を決定している。
【0003】
図7は、産業車両の一例としてフォークリフトの側面を図示している。フォークリフト1の荷役装置2は、傾倒(ティルト)操作可能なマスト3に、荷を積載するためのフォーク4がリフティング可能に設けられている。そして、フォークリフト1の操縦室5には、座席シート6の前方に、操舵輪7を操舵するハンドル8や、ハンドル8の横に設けられて荷役装置2を操作するための荷役レバー9等が設けられている。
【0004】
図8は、図7のフォークリフト1の操縦室5内の前側を示しており、図示例では、フロントガード5aから突きだしている荷役レバー9は、フォーク4のリフト操作を行うリフトレバー9aと、マスト3のティルト操作を行うティルトレバー9bとが、ハンドル8の横に設けられている。
【0005】
近年、安全面の観点から、座席シート6への着座がない状態で荷役レバー9を操作した際、荷役装置2を作動させない安全装置(インターロック)を搭載した車両に移行しつつある。
【0006】
この種の安全措置として、例えば、図9に示すように、シャフト10に回転自在に支持された荷役レバー9と、油圧コントロールバルブ11のスプール11aとを、連結ピン12,13によりジョイントバー14Aで回動可能に連結し、荷役レバー9がニュートラル位置にある時にジョイントバー14Aに設けた被係止部(周溝)15Aに係止部(係止突起)16が係止し、ジョイントバー14Aをロックすることで荷役レバー9を固定する、荷役レバー固定装置が知られている(例えば特許文献1)。
【0007】
油圧コントロールバルブ11は、ジョイントバー14Aと連結されたスプール11aを上下に移動させることより、内部の油圧ポートを切り換え、油圧で駆動する荷役装置2を所定方向に作動させる。一般に、スプール11aは内蔵のリターンスプリング(図示せず。)によりニュートラル位置に復帰する側に付勢されているため、荷役レバー9は、オペレータが手を放せばニュートラル位置に自動的に復帰するようになっている。
【0008】
係止部(係止突起)16は、図10に示すように、ソレノイド17のプランジャ18の先端に設けられ、シートスイッチ19がオンのとき(すなわち着座検出時)は、バッテリ電源20からソレノイド17に電流が流れ、プランジャ18をコイルバネ21のバネ力に抗して移動させられて、被係止部15から離反して、非係止状態となる。
【0009】
一方、図11に示すように、シートスイッチ19がオフのとき(すなわち非着座時)は、バッテリ電源20からの駆動電流が遮断され、プランジャ18がコイルバネ21のバネ力によって、被係止部16の側に押し出され、荷役レバー9のニュートラル位置において、被係止部16に係止部16が係止し、荷役レバー9を固定、即ちロックする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010−168204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記従来の荷役レバー固定装置では、図12に示すように、荷役レバー9のシフト操作に伴い、ジョイントバー14Aは、軸線方向に上下動するとともに、ピン13回りに最大で角度θの変位を生じる。そのため、ジョイントバー14Aに形成されている被係止部(周溝)15と、この被係止部15Aに係止させるための係止部(係止突起)16(図10参照)とのクリアランスや掛かりしろを、θ角度を考慮して設計、調整しなければ、ロック状態で荷役レバーをシフト操作した際にロックが外れる恐れがあり、設計、調整が複雑となる。さらに、機種毎にθ角度が異なるため、その都度、設計、調整が必要となり、設計、調整が煩雑となる。
【0012】
そこで、本発明は、被係止部(周溝)と係止部(係止突起)とのクリアランスや掛かりしろについての煩雑な設計・調整を不要にする、産業車両の荷役レバー固定装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明に係る産業車両の荷役レバー固定装置は、荷役装置を操作するための荷役レバーと、荷役装置駆動制御用の油圧コントロールバルブと、前記荷役レバーに揺動可能に連結されたジョイントバーと、前記ジョイントバーと前記油圧コントロールバルブのスプールとの間に連結されたスプールジョイントと、前記スプールジョイントに形成された被係止部と、前記被係止部に係脱可能であって前記荷役レバーの中立位置で係止し前記スプールジョイントをロック可能な係止部と、を備え、前記スプールジョイントは、前記スプールと揺動不能に連結される一方、前記ジョイントバーとは揺動可能に連結されていることを特徴とする。
【0014】
前記スプールジョイントは、前記スプールの端面に面接触して該スプールに対する揺動を規制する接触端面が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ジョイントバーとスプールとの間に連結したスプールジョイントを油圧コントロールバルブのスプールに対して揺動不能に連結し、該スプールジョイントに被係止部を形成したので、従来のようにθ角度を考慮する必要が無く、煩雑な設計・調整が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の産業車両の荷役レバー固定装置の第1実施形態を示す分解斜視図である。
図2】第1実施形態の荷役レバー固定装置の一部を示す正面図である。
図3】第1実施形態の荷役レバー固定装置の要部を拡大して示し、(イ)は側面図、(ロ)は正面図である。
図4】本発明の荷役レバー固定装置の第2実施形態を示し、(イ)はジョイントバーの下部のみの側面図、(ロ)は要部拡大正面図である。
図5】本発明の荷役レバー固定装置の他の実施形態を示す要部拡大側面図である。
図6】本発明の荷役レバー固定装置の更に他の実施形態を示す要部拡大側面図である。
図7】従来のフォークリフトの外観を示す側面図である。
図8】従来のフォークリフトの操縦室内の前側を示す部分拡大図である。
図9】従来の荷役レバー固定装置を示す概略構成図である。
図10図9の荷役レバー固定装置の一部拡大図である。
図11図10の荷役レバー固定装置の係止状態を示す一部拡大図である。
図12図9の荷役レバー固定装置の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る産業車両の荷役レバー固定装置の第1実施形態について、以下に図1図3を参照して説明する。なお、以下の説明において、従来例を含め、全図及び他の実施形態を通じて同様の構成部分には同符号を付した。
【0018】
図1は、本発明に係る荷役レバー固定装置の分解斜視図を示している。図1に示すように、荷役レバー固定装置は、荷役装置2(図7参照)を操作するための荷役レバー9と、荷役装置駆動制御用の油圧コントロールバルブ11と、荷役レバー9に揺動可能に連結されるジョイントバー14と、ジョイントバー14と油圧コントロールバルブ11のスプール11aとの間に連結されるスプールジョイント22と、スプールジョイント22に形成された被係止部15と、被係止部15に係脱可能であって荷役レバーの中立位置で係止可能な係止部16(一部のみ図示)と、を備え、スプールジョイント22は、後述するように、スプール11aと揺動不能に連結される一方、ジョイントバー14とは揺動可能に連結される。
【0019】
荷役レバー9は、図1に示すように、フォークリフト1のフロントガード5a(図8参照)内に横架されたシャフト10に揺動可能に支持される。荷役レバー9は、てこの原理で、シャフト10を支点、把持部9cを力点とし、ピン12による連結部が作用点となっている。ピン12を介して、荷役レバー9とジョイントバー14の上端部が揺動自在に連結されている。なお、図1において、符号23はβピン、符号24はワッシャー、符号25はカラー、符号26はブッシュ、符号27はボルト、符号28,29は取付ブラケットを示す。
【0020】
図1及び図2に示すように、油圧コントロールバルブ11のケーシング11bの上面からスプール11aの上端部が突出している。図3に分解・拡大して示すように、スプール11aの上端部は、通常、スプール11aの軸方向に直交する平坦な端面11afに、ピン連結用の軸受部11abが形成されている。軸受部11abには、連結用のピン13a(図1)を挿通するためのピン孔11acが形成されている。
【0021】
図3に示されるように、スプールジョイント22は、その下部に、スプール11aとの連結時にスプール11aの端面11afに面接触してスプール11aに対する揺動を規制する接触端面22aが形成されている。接触端面22aは、図示例では、スプールジョイント22の下端面に形成されており、具体的には、一対の軸受部22b、22bの下端面に形成されている。軸受部22b、22bには、連結用のピン13a(図1)を挿通するためのピン孔22cが形成されている。
【0022】
さらに、スプールジョイント22は、その上部に、ジョイントバー14を揺動可能に連結するための軸受部22dが形成されており、軸受部22dに、連結用のピン13b(図1)を挿通するためのピン孔22eが形成されている。ジョイントバー14は、下端部の軸受部14aに、連結用のピン13b(図1)を通すためのピン孔14bが形成されている。
【0023】
スプールジョイント22は、スプール11aと略同じ直径とすることができ、実質的にスプール11aを上方に延長するような形態とすることができる。
【0024】
スプールジョイント22の周側面に形成された周溝によって被係止部15が形成されている。図2に示すように、被係止部15に係止する係止部16は、ソレノイド17のプランジャ18の先端に設けられた係止突起によって形成されている。係止部16を構成する係止突起は、例えば、図1に示すように、被係止部15を構成する周溝に沿って係止する二股形状とすることができる。
【0025】
係止部16、ソレノイド17及びその駆動回路は、図10に示す公知技術(上記特許文献1)と同様の構成を採用することができる。従って、図2のプランジャ18は、スプリング21によって、被係止部15に係止する方向に付勢されている。荷役レバー9がニュートラル位置にあるとき、ソレノイド17は、運転席の座席シート6(図7)の下部に装着したシートスイッチ19(図10参照)がオンになると、即ち、オペレータの着座を検出すると、ソレノイド17の図示しないコイルに電流を流し、スプリング21に抗してプランジャ18を被係止部15から離反させ、係止部16と被係止部15とを非係止状態(図2の状態)に保持する。従って、オペレータが着座しているときは、荷役レバー9を操作することができる。この状態からオペレータが離席すると、シートスイッチ19がオフになり、スプリング21によってプランジャ18が押し出されて、係止部16が被係止部15に係止し、スプールジョイント22がロックされることにより、荷役レバー9が操作不能となる。従って、オペレータが座席シート6に着座していない状態、例えば、中腰の姿勢で荷役レバー9を操作しようとしても、荷役レバー9を動かすことができなくなる。
【0026】
上記構成を有する産業車両の荷役レバー固定装置によれば、ジョイントバー14とスプール11aとの間に連結したスプールジョイント22を油圧コントロールバルブ11のスプール11aに対して揺動不能に連結し、スプールジョイント22に被係止部15Aを形成したことにより、スプールジョイント22は軸線方向にのみ移動して傾動しないので、従来のようにジョイントバー14の傾動角度(θ角度)を考慮する必要が無く、煩雑な設計・調整が不要となる。
【0027】
また、図3に示すように、スプール11aの軸受部11abの上端面11adが平坦面である場合には、スプール11aの軸受部11abの上端面11adに面接触する接触平面22fをスプールジョイント22に設けることもできる。
【0028】
図4は、本発明の第2実施形態であり、スプール11a’の軸受部11ab’が2つある場合で、ジョイントバー14’の軸受部14a’が一つである場合を示しており、この場合、図1〜3のスプールジョイント22を逆さ向けにしたような形態のスプールジョイント22’を用いることができる。スプールジョイント22’は、2つの軸受部11ab’、11ab’の間に挿入される軸受部22b’を備え、これらの軸受部11ab’、22b’、11ab’が図外のピン(図1のピン13a参照)をピン孔11ac’及び22c’に連通することにより連結される。軸受部22b’を軸受部11ab’にピン13aで連結したときに平坦な端面11af’に面接触軸する接触平面22a’が軸受部22b’の下端に形成されている。この連結時に、軸受部11ac’の上端面11ab’に面接触する接触平面22f’をスプールジョイント22’に更に設けることができる。こうして軸受部11aと軸受部22b’とをピン13aで連結することにより、スプールジョイント22’はスプール11a’に揺動不能に連結される。なお、図示例において、ピン孔22c’の位置は、図3のピン孔22cと若干異なっている。ジョイントバー14’とスプールジョイント22’とは、スプールジョイント22’の軸受部22d’、22d’の間に、ジョイントバー14’の軸受部14a’が挿入され、それぞれのピン孔22e’、14b’に図外のピン(図1のピン13b参照)を挿入し、互いに対して揺動自在に連結される。
【0029】
スプールジョイントはスプールに対して揺動不能に連結されておれば特に連結態様は限定されない。例えば、上記第1実施形態ではスプールジョイント22の接触端面22aがスプール11aの端面11fに面接触する形態を例示したが、例えば図5に示すように、面接触以外に、スプールジョイント22Xの下部に複数の突起22pを設けて複数の点又は線でスプール11aの端面11afに接触させ、ピン(図1のピン13a参照)で連結することによりスプールジョイント22Xのスプール11aに対する揺動を規制することもできるし、或いは、図6に示すように、スプールジョイント22Yの下部を、スプール11aの連結用の軸受部11abに上から被せて嵌合させ得る凹部22yを備えるカップリング形態とすることもできる。
【0030】
被係止部及び係止部の形態は上記第1実施形態の形態に限らず、両者が係脱可能でスプールジョイントをロックすることができれば、その形態は特に限定されない。例えば、被係止部をスプールジョイント22の軸線に直交するようにして穿設した貫通孔とし、係止部を、被係止部を構成する貫通孔に嵌入可能な凸棒の形態とすることができる。
【符号の説明】
【0031】
9 荷役レバー
11 油圧コントロールバルブ
11a スプール
14 ジョイントバー
15 被係止部
16 係止部
22、22’ スプールジョイント
22a、22a’ 接触端面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12