特許第6157013号(P6157013)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6157013
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】樹脂製カラム体
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/60 20060101AFI20170626BHJP
【FI】
   G01N30/60 A
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-88093(P2015-88093)
(22)【出願日】2015年4月23日
(65)【公開番号】特開2016-206010(P2016-206010A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2016年12月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515112768
【氏名又は名称】株式会社SHOKEN
(74)【代理人】
【識別番号】100082658
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 儀一郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏明
(72)【発明者】
【氏名】高橋 俊
【審査官】 高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−013166(JP,A)
【文献】 特開昭59−222763(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3159609(JP,U)
【文献】 特開2013−132576(JP,A)
【文献】 特開平05−203634(JP,A)
【文献】 特開2006−138724(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0303593(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状をなす胴体部と、
前記胴体部の上端に接続する上蓋と、胴体部の下端に接続する下蓋と、を備え、
上蓋は、前記胴体部の上端に嵌合する上蓋本体部と該上蓋本体部に設けられた上蓋開口部を塞ぐ上蓋キャップとから構成され、下蓋は、前記胴体部に嵌合する下蓋本体部と該下蓋本体部に設けられた下蓋開口部を塞ぐ下蓋キャップとから構成され、
前記上蓋本体部および下蓋本体部の内面には、網が、該網の上には濾紙が敷設され、前記網および濾紙は、上蓋本体部および下蓋本体部の内面側外周端近傍位置から突設された嵌合用突起を貫通させると共に、該嵌合用突起の先端部を貫通させた押さえリングによって前記上蓋本体部および下蓋本体部内面に取り付けられ、
前記胴体部の上端面および下端面と上蓋本体部内面および下蓋本体部内面との対向面間には、前記上蓋本体部および下蓋本体部からおのおの突設された融着用突起によって気相空間が設けられて、前記胴体部と前記上蓋本体部および下蓋本体部とが融着されてなる、
ことを特徴とする樹脂カラム体。
【請求項2】
前記嵌合用突起は、上蓋本体部および下蓋本体部内面の外周端に間隔をあけてリング状をなして8個設けられた、
ことを特徴とする請求項1に記載の樹脂カラム体。
【請求項3】
前記融着用突起は、上蓋本体部および下蓋本体部の内面からリング状に突出させて設けられた、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の樹脂カラム体。
【請求項4】
前記上蓋と前記下蓋とはほぼ同一の形状をなし、該上蓋と下蓋とは前記胴体部の両端に嵌合されて樹脂カラム体が上下対称形状とされた、
ことを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3に記載の樹脂カラム体。
【請求項5】
前記樹脂カラム体内部には、分離充填材が充填可能とされた、
ことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3または請求項4に記載の樹脂カラム体。
【請求項6】
前記分離充填材が、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂を含むイオン交換樹脂、クロマト分離用吸着樹脂、シリカゲル、アルミナ、または活性炭である、
ことを特徴とする請求項5に記載の樹脂カラム体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離カラムとして利用できる樹脂製のカラム体に関する。
【背景技術】
【0002】
人の健康に係る被害を生ずるおそれのある物質や生活環境を汚染しうる物質(以下、総称的に「有害物質」と称する。)を含有する水、有機媒体、および土壌等を廃棄等する際には、各々水質汚濁防止法、土壌汚染対策法、ダイオキシン類対策特別措置法等の各法律の規制を受け、適正に処理しなければならない。たとえば、重金属類が混入している土壌は、その土壌溶出基準や含有量基準が規定されており、これらの基準値を下回るよう処理してから移動、あるいは廃棄する必要がある。また、人体、動植物に対して強い毒性溶解を示す化合物として知られているハロゲン化芳香族化合物は、特に催奇形性などのおそれ
から、有害物質として廃棄物の処理及び清掃に関する法律により指定されているものが多数ある。これら化合物が土壌、地下水、焼却灰、洗浄水、機械油等に存在する場合は、何らかの処理を施してこれらの濃度を基準値以下に減少させなければならないことが厳密に定められている。
【0003】
特に、微量の有害物質で汚染された液体が大量に存在する場合に、大量の液体から微量の有害物質を除去する必要がある。この処理を、分離カラムを用いたカラム処理にて行う場合は、サイズの大きい分離カラムを使用するか、分離カラムを頻繁に交換する必要がある。この処理にあたり、金属製のカラム体に分離充填材を充填した分離カラムを使用すると、フランジによる開閉に時間がかかったり、分離充填材の充填および取り出しに手間取ったりするなどの問題があった。また金属製のカラム体は元々重量や嵩が大きいため、送液装置への接続や分離カラムの交換、およびカラム体の運搬などの作業全般が重労働となりうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−132576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、分離カラムとして利用できる樹脂製のカラム体を提供することを目的とする。特に、有機媒体に含有される有害物質を捕集することができる分離充填材を充填して使用する樹脂製のカラム体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
筒状をなす胴体部と、
前記胴体部の上端に接続する上蓋と、胴体部の下端に接続する下蓋と、を備え、
上蓋は、前記胴体部の上端に嵌合する上蓋本体部と該上蓋本体部に設けられた上蓋開口部を塞ぐ上蓋キャップとから構成され、下蓋は、前記胴体部に嵌合する下蓋本体部と該下蓋本体部に設けられた下蓋開口部を塞ぐ下蓋キャップとから構成され、
前記上蓋本体部および下蓋本体部の内面には、網が、該網の上には濾紙が敷設され、前記網および濾紙は、上蓋本体部および下蓋本体部の内面側外周端近傍位置から突設された嵌合用突起を貫通させると共に、該嵌合用突起の先端部を貫通させた押さえリングによって前記上蓋本体部および下蓋本体部内面に取り付けられ、
前記胴体部の上端面および下端面と上蓋本体部内面および下蓋本体部内面との対向面間には、前記上蓋本体部および下蓋本体部からおのおの突設された融着用突起によって気相空間が設けられて、前記胴体部と前記上蓋本体部および下蓋本体部とが融着されてなる、
ことを特徴とし、
または、
前記嵌合用突起は、上蓋本体部および下蓋本体部内面の外周端に間隔をあけてリング状をなして8個設けられた、
ことを特徴とし、
または、
前記融着用突起は、上蓋本体部および下蓋本体部の内面からリング状に突出させて設けられた、
ことを特徴とし、
または、
前記上蓋と前記下蓋とはほぼ同一の形状をなし、該上蓋と下蓋とは前記胴体部の両端に嵌合されて樹脂カラム体が上下対称形状とされた、
ことを特徴とし、
または、
前記樹脂カラム体内部には、分離充填材が充填可能とされた、
ことを特徴とし、
または、
前記分離充填材が、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂を含むイオン交換樹脂、クロマト分離用吸着樹脂、シリカゲル、アルミナ、または活性炭である、
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の樹脂製カラム体は、重量が小さく、開閉操作が容易で、簡易に接続、交換および運搬できる。本発明の樹脂製のカラム体を使用した後は、分離充填材ごとカラムを焼却することができるので廃棄が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】樹脂カラム体の外観図である。
図2】樹脂カラム体の断面図である。
図3】上蓋本体部外面側の平面図(図3a)、上蓋本体部内面側の平面図(図3b)、上蓋本体部の断面図(図3c)である。
図4】下蓋本体部外面側の平面図(図4a)、下蓋本体部内面側の平面図(図4b)、下蓋本体部の断面図(図4c)である。
図5】網の平面図である。
図6】濾紙の平面図である。
図7】押さえリングの平面図である。
図8】別の形態の上蓋の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一実施形態の樹脂カラム体を、図1を用いて説明する。
【0010】
図1は、一実施形態の樹脂カラム体の外観図である。樹脂カラム体10は、上蓋1と筒状の胴体部2と下蓋3とを備え、上蓋1と胴体部2、下蓋3と胴体部2とがそれぞれ嵌合されて使用されるよう構成されている。上蓋1は上蓋本体部11(図2参照のこと)と上蓋キャップ12とから構成され、下蓋3は下蓋本体部31(図2参照のこと)と下蓋キャップ32とから構成されている。上蓋1と下蓋3とはほぼ同一の形状をしていることが好ましい。よって樹脂カラム体10を使用する際には上下対称の形状となっている。ここで上蓋1、胴体部2および下蓋3は、いずれも樹脂により形成されている。ここで樹脂として、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂のいずれを用いてもよく、たとえば、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリクロロビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンテレフタレートポリブチレンナフタレート等のポリエステル、フェノール樹脂、ポリカーボネート、またはエポキシ樹脂を挙げることができる。
【0011】
図2は、図1の樹脂カラム体10のI−I線での断面図である。樹脂カラム体10は、上蓋1と、筒状の胴体部2と、下蓋3とから主に構成され、これらが互いに嵌合されて使用されるよう構成されている。上蓋1は上蓋本体部11と上蓋キャップ12とから構成され、下蓋3は下蓋本体部31と下蓋キャップ32とから構成されている。樹脂カラム体10を、分離カラムとして使用するために、上蓋1には網14と、濾紙15と、押さえ用リング16とが備えられ、下蓋3には網34と、濾紙35と、押さえ用リング36とが備えられている。下蓋3の胴体部2の側の面には、下蓋3と胴体部2とを融着するための融着用突起3aと、押さえリング36を嵌合するための嵌合用突起3bとを有している。胴体部2内部に分離充填材を充填するにあたり、下蓋3に網34、濾紙35および押さえリング36を嵌合用突起3bに嵌合した後、下蓋3と胴体部2とを嵌合して、融着用突起3a部分を超音波溶着機等を用いて融着することができる。嵌合用突起3b付近の部分拡大図を参照すると、下蓋3の嵌合用突起3bには、網34と濾紙35とが嵌合されており、これらの上に押さえリング36が嵌合されて、網34および濾紙35を下蓋3に固定している。37は気相空間であり、必ずしも必要なものではないが、下蓋3と網34との間に、たとえば0.5〜3mm、好ましくは1〜2mmの気相空間を設けておいた方がよい。なお、樹脂カラム体10の大きさは、分離カラムとしての利用の目的に応じて適宜変更できる。たとえば胴体部2の内径は数センチメートルから数十センチメートルの範囲で適宜変更可能である。胴体部2の内径は5センチメートル〜15センチメートル、特に10センチメートル〜13センチメートルであることができる。胴体部2の内径に対応する上蓋1および下蓋3を用意することができる。胴体部2の長さ(高さ)は数センチメートル〜数メートルの範囲で適宜変更可能である。胴体部2の長さは、5センチメートル〜30センチメートル、特に10センチメートル〜20センチメートルであることができる。
【0012】
同様に、上蓋1の胴体部2の側の面には、上蓋1と胴体部2とを融着するための融着用突起1aと、押さえリング16を嵌合するための嵌合用突起1bとを有している。先に説明したように下蓋3と胴体部2とを嵌合した後、胴体部2に分離充填材を充填し、網14、濾紙15および押さえリング16を嵌合用突起1bに嵌合して、次いで上蓋1と胴体部2とを嵌合し、融着用突起1a部分を超音波溶着機等を用いて融着することができる。嵌合用突起1b付近の構造も、突起3b付近の部分拡大図と同様であり、上蓋1の嵌合用突起1bには、網14と濾紙15とが嵌合されており、これらの上に押さえリング16が嵌合されている。上蓋1と網14との間に、たとえば0.5〜3mm、好ましくは1〜2mmの気相空間17(図示せず)を設けておいた方がよい。
【0013】
図3は、上蓋本体部11の平面図の一例である。図3(a)は、上蓋1と胴体部2とを嵌合する際に外面になる側から見た上蓋本体部11の平面図、図3(b)は内面になる側から見た平面図である。図3(c)は、図3(a)のA−A線断面図である。上蓋本体部1は、概して円形であり、中央部には開口部1cが形成されている。開口部1cは、通常は上蓋キャップ12(図示せず)で覆われている。一実施形態の樹脂カラム体10内部に分離充填材を充填し、これを分離カラムとして使用する際には、この開口部1cに分離装置(たとえばクロマトグラフィー装置や送液装置)を接続することができる。上蓋本体部11は、樹脂により一体成形されている。上蓋本体部11の頂部外面には、ネジ溝が切られていても良く、場合により内面にもネジ溝が切られていて良い。樹脂カラム体10の使用時にはこの上蓋キャップ12を取り外して開口部1cを露出させ、当該部分と送液装置等とを接続することができる。図3(b)中、1aは融着用突起、1bは嵌合用突起である。融着用突起1aは、概ね円形の上蓋1の外周からわずかに内側に入った部分を取り囲むように形成されている。嵌合用突起1bは、図3(b)では8個設けられているが、4〜16個の範囲で適宜変更できる。
【0014】
図4は、下蓋本体部31の平面図の一例である。図4(a)は、下蓋3と胴体部2とを嵌合する際に外面になる側から見た下蓋本体部31平面図、図4(b)は内面になる側から見た平面図である。図4(c)は、図4(a)のA−A線断面図である。下蓋本体部31は、概して円形であり、中央部には開口部3cが形成されている。開口部3cは、通常は下蓋キャップ32で覆われている。一実施形態の樹脂カラム体10内部に分離充填材を充填し、これを分離カラムとして使用する際には、この開口部3cに分離装置(たとえばクロマトグラフィー装置や送液装置)を接続することができる。下蓋本体部31は、樹脂により一体成形されている。下蓋本体部31の頂部外面には、ネジ溝が切られていても良く、場合により内面にもネジ溝が切られていて良い。樹脂カラム体10の使用時にはこの下蓋キャップ32を取り外して開口部3cを露出させ、当該部分と送液装置等とを接続することができる。図4(b)中、3aは融着用突起、3bは嵌合用突起である。融着用突起3aは、概ね円形の下蓋3の外周からわずかに内側に入った部分を取り囲むように形成されている。嵌合用突起3bは、図4(b)では8個設けられているが、4〜16個の範囲で適宜変更できる。
【0015】
図5は、網14および34の平面図の一例を示す。網14および34は、濾紙15および35を補強するために用いる。上蓋1に設けられる網14は、樹脂カラム体10に通液する際に液体を樹脂カラム体10全体に拡散させる役割を果たし、下蓋3に設けられる網34は、樹脂カラム体10を通過した液体を樹脂カラム体10の中央部付近に集める役割を果たす。網14および34は、図3に示されるように複数の孔が形成された形状をしている。孔は、図5(a)のように、網14および34の全面にわたり均等に配置されていてよいが、図5(b)のように中央部付近の孔を少なく配置することもできる。網14には、上蓋1の嵌合用突起1bに対応する嵌合用孔14bが設けられ、網34には、下蓋3の嵌合用突起3bに対応する嵌合用孔34bが設けられている。網14および34は、樹脂カラム体10と同一の材料、すなわち、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリクロロビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンテレフタレートポリブチレンナフタレート等のポリエステル、フェノール樹脂、ポリカーボネート、またはエポキシ樹脂の他、天然ゴム;イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリロニトリルブタジエンスチレンゴム等の合成ゴム;またはシリコーン樹脂等により形成することができる。
【0016】
図6は、濾紙15および35の平面図の一例を示す。上蓋1に設けられる濾紙15は樹脂カラム体10に通液する液体に混在しうるゴミ等を予め除去する役割を果たし、下蓋3に設けられる濾紙35は、胴体部2内部に充填した分離充填材が外部へ漏出することを防止する。濾紙15には、上蓋1の嵌合用突起1bに対応する嵌合用孔15aが設けられ、濾紙35には、下蓋3の嵌合用突起3bに対応する嵌合用孔35bが設けられている。濾紙15および35は、紙またはガラス繊維により形成することができる。嵌合用突起15bまたは35bは、図6(b)では8個設けられているが、4〜16個の範囲で適宜変更できる。
【0017】
図7は、押さえリング16および36の平面図の一例を示す。上蓋1に設けられる押さえリング16は、上蓋1の嵌合用突起1bに、網14と濾紙15とを嵌合させる役割を果たし、下蓋3に設けられる押さえリング36は、下蓋3の突起1bに、網34と濾紙35とを嵌合させる役割を果たす。押さえリング16および36は、樹脂カラム体10と同一の材料、すなわち、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリクロロビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンテレフタレートポリブチレンナフタレート等のポリエステル、フェノール樹脂、ポリカーボネート、またはエポキシ樹脂の他、天然ゴム;イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリロニトリルブタジエンスチレンゴム等の合成ゴム;またはシリコーン樹脂により形成することができる。嵌合用突起16bまたは36bは、図7(b)では8個設けられているが、4〜16個の範囲で適宜変更できる。
【0018】
図8は、上蓋本体部11の変形例を示す斜視図である。図8の上蓋本体部11上に、上蓋本体部11の強度を高めることを目的として上蓋リブ17が設けられている。図8には上蓋リブ17が4つ設けられているが、6つ、8つなど、必要な数の上蓋リブ17を設けることができる。一実施形態の樹脂カラム体1を分離カラムとして使用する際に、分離カラムに圧力をかけて分離操作を行うことがあるが、上蓋リブ17を有することで上蓋1が圧力に耐えうるものとなる。図示していないが、下蓋3についても同様に下蓋本体部31上に、下蓋本体部31の強度を高めることを目的として下蓋リブ37を設けることができる。
【0019】
続いて、一実施形態の樹脂カラム体を分離カラムとして使用する態様を説明する。樹脂カラム10を分離カラムとして使用するにあたり、まず下蓋3に網34および濾紙35を下蓋嵌合用突起3bに嵌め込み、次いで押さえリング36で網34および濾紙35を押さえる。このように網34、濾紙35および押さえリング36を設置した下蓋3と胴体部2とを嵌合する。この際下蓋3の嵌合用突起3bを超音波溶着機等を用いて融解させ、下蓋3を胴体部2に固定する。続いて、胴体部2の内部に分離充填材を充填する。分離充填材としては、カラムクロマトグラフィに用いることができる材料であれば如何なるものを用いてもよい。分離充填材として、たとえば、陽イオン交換樹脂や陰イオン交換樹脂等のイオン交換樹脂、クロマト分離用吸着樹脂、シリカゲル、アルミナ、および活性炭が挙げられる。分離充填材は従来法にしたがい、適切な方法で胴体部2に充填することができる。続いて、網14、濾紙15、および押さえリング16を設置した上蓋1を下蓋3と同様に用意して、胴体部2と嵌合する。このように樹脂カラム体から作製した分離カラムから上蓋キャップ12と下蓋キャップ32とを取り外し、送液装置に接続する。ここに分離処理をすべき液体を通液し、分離処理を行う。処理後、分離カラムを送液装置から取り外し、ここに再び上蓋キャップ12と下蓋キャップ32とを嵌合して、分離カラム内に残った液体の漏出を防止する。使用後の分離カラムは全ての材料が可燃性材料で作製されているため、焼却処分することが可能である。
【0020】
一実施形態の樹脂カラム体を利用した分離カラムは、樹脂製のカラム体と分離充填材とから構成されているため、重量が小さく、分離カラムの交換作業が容易である。分離カラムの交換作業が容易なため、たとえば複数の分離カラムを並列で用いて、順次カラム交換を行いながら連続的に分離除去操作をすることができる。したがって本実施形態の分離カラムは、大容量の液体の分離除去処理に好適である。
【符号の説明】
【0021】
1:上蓋
1a:上蓋融着用突起
1b:上蓋嵌合用突起
1c:上蓋開口部
11:上蓋本体部
12:上蓋キャップ
14:上蓋網
15:上蓋濾紙
16:上蓋押さえリング
2:胴体部
3:下蓋
3a:下蓋融着用突起
3b:下蓋嵌合用突起
3c:下蓋開口部
31:下蓋本体部
32:下蓋キャップ
34:下蓋網
35:下蓋濾紙
36:下蓋押さえリング
10:樹脂カラム体
17:上蓋リブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8