(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6157054
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】装飾パネル
(51)【国際特許分類】
B60R 7/04 20060101AFI20170626BHJP
B60R 7/06 20060101ALI20170626BHJP
B60R 13/02 20060101ALI20170626BHJP
B60R 13/04 20060101ALI20170626BHJP
【FI】
B60R7/04 C
B60R7/06 G
B60R13/02 B
B60R13/02 Z
B60R13/04 Z
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-102(P2012-102)
(22)【出願日】2012年1月4日
(65)【公開番号】特開2013-139202(P2013-139202A)
(43)【公開日】2013年7月18日
【審査請求日】2014年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092107
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 達也
(72)【発明者】
【氏名】山本 和寿
【審査官】
常盤 務
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2009/0058118(US,A1)
【文献】
特開2001−162619(JP,A)
【文献】
特開2011−110873(JP,A)
【文献】
特開2009−051458(JP,A)
【文献】
特開2009−107211(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0017304(US,A1)
【文献】
特開平09−240386(JP,A)
【文献】
米国特許第07044533(US,B2)
【文献】
特開2006−224406(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0200105(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/04
B60R 7/06
B60R 13/02
B60R 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
意匠面と意匠面から交差するように形成される周縁部とを備えた装飾パネルであって、周縁部は、意匠面から周延長方向に沿って連続するとともに意匠面に対して鋭角をなして傾斜する第1の面と、第1の面に沿って周延長方向に形成され意匠面に対してほぼ直角をなして垂下する第2の面があり、第2の面は不連続部を備え、第1の面と第2の面の境界に面変化線があり、装飾パネルは、意匠面の少なくとも一部と周縁部の一部である第1の面とに加飾フィルムが付与され、加飾フィルムは、前記面変化線に沿って基材と密着したトリミング端末部を備えることを特徴とする装飾パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等に備えられるコンソールボックス、インストルメントパネル、グローブボックス、ドアトリム等の自動車用内外装部品に使用することができる装飾パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から自動車等に備えられたコンソールボックス、インストルメントパネル、グローブボックス、ドアトリム等の自動車用内装部品、ライセンスプレートの直上に設置され、ライセンスプレート用の照明を内蔵し、開閉のためのグリップとして使用するバックドアガーニッシュ等の自動車用外装部品には様々な装飾パネルが取り付けられている。
従来技術としては、軽量で、かつ保形性を有する発泡樹脂基材と、この発泡樹脂基材の裏面に積層一体化される樹脂リブと、上記発泡樹脂基材の表面に積層一体化される加飾材とからなる自動車用内装部品であって、前記発泡樹脂基材の製品外周の少なくとも一部に縦壁部が設定され、上記発泡樹脂基材の成形時、成形金型の型面形状により発泡樹脂基材における縦壁部に溝部が形成され、この溝部を製品端末として切断処理してなる自動車用内装部品(例えば、特許文献1参照)が存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−119404号公報(特許請求の範囲の欄、発明の詳細な説明の欄、及び
図1〜
図22を参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来技術である特許文献1は、ドアトリムの端末処理について開示しており、主にガラスやドアパネルに取り付けられるものである。ドアトリムアッパーの場合は、ドアガラス(きわめて平板状)の昇降時に出没するスリット状の開口に沿って、樹脂ウエルトなどが適用される。端末は巻込まれ、端末近傍の形状は滑らかな連続面である。
しかしながら、装飾パネルの一定でない、滑らかな連続面ではない周面はカット作業が容易でないので、人手によれば工数がかかるし、ロボットによる場合設備コスト・メンテナンスコストがかかるという問題が発生する。
そこで、本発明は、上記問題点を解決する、トリミング作業の容易な装飾パネル形状を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の発明は、請求項1に記載された通りの収納装置であり、次のようなものである。
意匠面
と意匠面から交差するように形成される周縁部とを備えた装飾パネルであって
、周縁部は
、意匠面から周延長方向に沿って連続する
とともに意匠面に対して鋭角をなして傾斜する第1の面と
、第1の面に沿っ
て周延長方向に形成され
意匠面に対してほぼ直角をなして垂下する第2の面があり
、第2の面は不連続部を備え
、第1の面
と第2の面の境界に面変化線があり
、装飾パネルは
、意匠面の少なくとも一部
と周縁部の一部
である第1の面とに加飾フィルム
が付与され、加飾フィルムは、
前記面変化線に沿
って基材と密着したトリミング端末部を備える構成である。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る装飾パネルは、上記説明のような構成を有するので、以下に記載する効果を奏する。
(1)装飾パネルの一定でない周面における加飾フィルムのトリミング作業を容易にすることができる。
(2)本発明の装飾パネルでは、加飾フィルムの接着代を確保することでフィルム端末の縮みによる装飾パネルの見栄えの悪化を防止することができる。
(3)加飾フィルムの接着代の部分は、装飾パネルを設置する際に、相手部材によって隠すことができるため、接着代による見栄えの悪化を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の装飾パネルの一実施例を示すもので、刃側から見た状態を示す概略斜視図である。
【
図2】本発明の装飾パネルを装着するセンターコンソールの一実施例を示す概略斜視図である。
【
図3】本発明の装飾パネルの一実施例を示すもので、ミネ側から見た状態を示す概略斜視図である。
【
図4】
図3の要部を拡大して示す要部拡大概略斜視図である。
【
図5】本発明の装飾パネルの裏面を示す概略斜視図である。
【
図9】本発明の装飾パネルを成形する過程において、基材に加飾フィルムを貼り付けた状態を示す概略斜視図である。
【
図10】本発明の装飾パネルにおいて、基材とフレフォーム体の一体成形した状態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
意匠面
と意匠面から交差するように形成される周縁部とを備えた装飾パネルであって
、周縁部は
、意匠面から周延長方向に沿って連続する
とともに意匠面に対して鋭角をなして傾斜する第1の面と
、第1の面に沿っ
て周延長方向に形成され
意匠面に対してほぼ直角をなして垂下する第2の面があり
、第2の面は不連続部を備え
、第1の面
と第2の面の境界に面変化線があり
、装飾パネルは
、意匠面の少なくとも一部
と周縁部の一部
である第1の面とに加飾フィルム
が付与され、加飾フィルムは、
前記面変化線に沿
って基材と密着したトリミング端末部を備える装飾パネルである。
【実施例1】
【0009】
本発明の装飾パネルの一実施例を
図1〜
図10に基づいて説明する。
図2はセンターコンソール10の斜視図である。乗用車の前二席の間に設置され、変速操作部20(ATノブ20a、インジケータパネル20b、ロック解除キー20c)、灰皿21、セレクタノブ部22(図示しないカーナビゲーションの設定などを行う操作ノブ)、ボックス部23、ボックス部23を覆う肘掛兼用のリッド24などがある。変速操作部20の左右に一対の剣状の木目パネル1が嵌め込まれ、装飾効果を得ている。
図2、
図3に示すように、木目パネル1を剣に見立てたときの刃側1aにクリップ3を、ミネ側1bにツメ6を設けてあり、センターコンソール10の凹部11の堅穴12と横穴13に各々係合させ木目パネル1をセンターコンソール10に取付けているものである。
また、
図1では刃側1aを、
図3、4はミネ側1bを示している。クリップ3は、例えばポリアセタール樹脂を射出成形したもので、基材9(
図6、
図7、
図10を参照)に一体成形されたクリップ座4に嵌合して取り付けてある。
刃側1aの周面は、木目パネル1のほぼ水平面をなす上面1cに対して鋭角をなして、すなわち逆傾斜をなす第1周面部7(
図5〜
図8を参照)と、上面1cに対してほぼ直角をなして垂下する第2周面部8(
図5、
図7、
図8を参照)とを有している。
図5、
図6からも理解できるように、クリップ座4には、刃側1aに矩形の切欠き2を設けて、ボックス部4aの成形時の離型を可能にしている。ボックス部4aの開口部4bをほぼスライド方向、すなわち
図6の紙面左方に仮想移動させた移動軌跡に存在するであろう第2周面部8のスライド金型(図示せず)との干渉をなくすように第2周面部8を取り除き、それによって切欠き2が設けられる関係にある。
なお、第1周面部7と第2周面部8との境界線がカッティングラインCL(
図6、
図8、
図10を参照)である。
図2に示すように、木目パネル1を嵌め込む作業は、まず直線状をなすミネ側1bを斜め下に向け、ツメ6を横穴13に挿し込み、ツメ6を支点として刃側1aを下降させクリップ3を堅穴12に係合させる。
【0010】
ここで、基材9に加飾フィルム5を貼り付け、装飾パネルを製造する方法を説明する。
木目パネル1は、加飾フィルム5をインサート成形により基材9に一体に成形する。
加飾フィルム5はPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、AS(アクリロニトリル・スチレン)フィルム、PMMA(ポリメチルメタクリレート)フィルム、ポリカーボネートフィルムなどに天然木材の木目を写真製版したものを原シートとして利用する。なお、本実施例では、木目の柄のものを使用しているが、それに限らず、カーボンシート柄、メタリック調の無地またはヘアライン状としたものなど、種々のものが使用できる。また樹脂シートのほか、樹脂シートをベースにジャージ織布などを重ねたもの、合成皮革をトップ層としたシート布でもよい。
予め、賦形型(オス型、メス型)に加熱され軟化した上記原シートを重ね、差圧成形(真空成形、圧空成形)をし、木目パネル1の形状となる製品部分51を含みその外周部分に余長部52を形成したプレフォーム体50を用意しておく(
図9参照)。
基材9は、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂などを使用する。図示しない射出成形型の一対の半型の一方である意匠面を形成する側に、吸着などして取付け、射出成形型を閉じ、溶融状態の樹脂を金型内に射出注入する。
なお、
図10には、基材9とフレフォーム体50の一体成形した状態の断面を示してある。
次に、余長部52を切除する(トリミング工程)。ここで
図10に示すように、カッティングラインCLは第1周面部7と第2周面部8との境界線であり、横方向に直線動作するカッター刃を備えたトリミング機または折り刃カッターなどを使用した作業者による手作業の場合でも、カッティングラインCLにカッター刃の先端を合わせ、横方向、すなわち、刃側1aを木目パネル1の長手方向に真っ直ぐに切って、トリミング作業を実施する。第1周面部7で鋭角に巻込まれた木目シート5が、外観意匠部分を外れた、凹部11に没する箇所でトリミングされる。
ミネ側1bも同様にトリミングできる。
図4、
図10に示すように、ツメ6をリブ15から横方向に延出させ、縦壁14との境界部分にコーナ16があり、このコーナ16にカッター刃を当て、コーナ16に沿ってカッター刃を動かし、縦壁14の下端で加飾フィルム5をトリミングする(切り落とす)。
加飾フィルム5と基材9は密着状態にあるが、木目パネル1の全周に亘りカッター刃による切り込みを入れた後、余長部52を持って引き剥がすことで、製品部分51を残して、余長部52を除去できる。
【産業上の利用可能性】
【0011】
自動車のコンソールボックス、インストルメントパネル、グローブボックス、ドアトリム等の自動車用内装部品やバックドアガーニッシュ等の自動車用外装部品の装飾パネルとして利用することができる。
【符号の説明】
【0012】
1・・・・木目パネル
1a・・・・刃側
1b・・・・ミネ側
1c・・・・上面
2・・・・切欠き
3・・・・クリップ
4・・・・クリップ座
4a・・・・ボックス部
4b・・・・開口部
5・・・・加飾フィルム
6・・・・ツメ
7・・・・第1周面部
8・・・・第2周面部
9・・・・基材
10・・・・センターコンソール
11・・・・凹部
12・・・・堅穴
13・・・・横穴
14・・・・縦壁
15・・・・リブ
16・・・・コーナ
20・・・・変速操作部
20a・・・・ATノブ
20b・・・・インジケータパネル
20c・・・・ロック解除キー
21・・・・灰皿
22・・・・セレクタノブ部
23・・・・ボックス部
24・・・・リッド
50・・・・プレフォーム体
51・・・・製品部分
52・・・・余長部
CL・・・・カットライン