特許第6157055号(P6157055)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6157055
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/10 20060101AFI20170626BHJP
   F21W 101/10 20060101ALN20170626BHJP
   F21W 101/14 20060101ALN20170626BHJP
   F21Y 101/00 20160101ALN20170626BHJP
【FI】
   F21S8/10 180
   F21S8/10 380
   F21W101:10
   F21W101:14
   F21Y101:00
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-36113(P2012-36113)
(22)【出願日】2012年2月22日
(65)【公開番号】特開2013-171769(P2013-171769A)
(43)【公開日】2013年9月2日
【審査請求日】2015年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092853
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮一
(72)【発明者】
【氏名】松野 浩樹
【審査官】 津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−269904(JP,A)
【文献】 特開2010−140763(JP,A)
【文献】 特開2001−076511(JP,A)
【文献】 米国特許第04979077(US,A)
【文献】 特開平10−162606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/10
F21S 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングとその開口部を覆うアウタレンズによって画成される灯室内に光源と該光源からの光を反射させるリフレクタを収納するとともに、前記リフレクタに溝部を形成して成る車両用灯具において、
前記リフレクタは、車両前後方向に延びる光軸を回転軸とする回転放物面を成す主反射面を有し、
前記主反射面に形成された前記溝部は、前記光源から出射された光の一部が当該溝部の中で2度反射するように第1反射面と第2反射面から構成されており、
前記第1反射面は、前記光源から出射された光の一部が1度目に反射する反射面であり、且つ、前記リフレクタの反射面から車両後方へ延びるよう形成されており、前記第2反射面よりも前記光軸から遠い位置に配置されており、
前記第2反射面は、前記光源から出射された光の一部が2度目に反射する反射面であり、前記第1反射面の後端から車両前方、且つ、前記光軸に向かって延びる位置に配置された2度目反射部と、前記主反射面と前記溝部の前記光源側の境界から前記2度目反射部との間に位置し前記主反射面と前記溝部とを繋ぐ接続部とを備え、
前記2度目反射部は、第1反射面に入射した前記光源から出射された光を反射して、前記第1反射面及び前記接続部に遮られることなく前記光軸に対して平行に反射させる形状に形成され、
前記主反射面及び前記溝部の内面全体にアルミ蒸着膜が形成されている、
ことを特徴とする車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溝部が形成されたリフレクタを備える車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、テールランプやストップランプ等の水平方向に広い照射方向が要求される車両用信号灯具には、それぞれ反射方向が異なる複数の反射面を接続して成る複合反射面を備えるリフレクタが使用される(例えば、特許文献1参照)。斯かる車両用信号灯のリフレクタにおいては、各反射面間には段差状の接続部が形成され、光源を点灯したときには接続部には光が到達しないために該接続部が素通しのアウタレンズを通して暗いストライプ状の影模様として見え、この影模様が車両用信号灯具の点灯時のデザインを構成している。
【0003】
又、特許文献2には、光軸を境としてこれの左右に第1反射面と第2反射面が形成されたリフレクタを備える車両用灯具において、リフレクタの第1反射面に凸条又は凹溝を光軸を中心として同心状に形成し、第2反射面に多段の回転放物面の段部を形成し、点灯時に第1反射面において凸状又は凹溝によって生じる同心円状の影と第2反射面において多段の段部によって生じる影とを略一致させることによって見栄えを向上させる構成が提案されている。
【0004】
ところで、非点灯時の車両用灯具のデザイン性向上を目的としてリフレクタに比較的大きな溝部を形成することが従来から行われている。その一例を図5及び図6に示す。
【0005】
即ち、図5は従来の車両用灯具の正面図、図6図5のC−C線断面図であり、図示の車両用灯具101においては、リフレクタ102がハウジングを兼ねており、該リフレクタ102のバルブ105の上下には比較的大きな溝部102Aが横方向に平行に形成されている。これによれば、バルブ105の非点灯時にリフレクタ102の溝部102Aが暗く見え(図6の斜線部分)、車両用灯具101を素通しのアウタレンズを通して正面から見た場合のデザイン性が高められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−231011号公報
【特許文献2】特開平11−268583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図5及び図6に示す従来の車両用灯具101においては、バルブ105の点灯時にリフレクタ102の溝部102Aには光が届かないためにこの溝部102Aが光らず、発光面積が溝部102Aの分だけ小さくなるために光度が下がるという問題があった。このような問題は特許文献1,2において提案された車両用灯具においても同様に発生する。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、非点灯時には溝部が影模様として見えてデザイン性が高められ、点灯時には溝部が光って光度が高められる車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、ハウジングとその開口部を覆うアウタレンズによって画成される灯室内に光源と該光源からの光を反射させるリフレクタを収納するとともに、前記リフレクタに溝部を形成して成る車両用灯具において、
前記リフレクタは、車両前後方向に延びる光軸を回転軸とする回転放物面を成す主反射面を有し、
前記主反射面に形成された前記溝部は、前記光源から出射された光の一部が当該溝部の中で2度反射するように第1反射面と第2反射面から構成されており、
前記第1反射面は、前記光源から出射された光の一部が1度目に反射する反射面であり、且つ、前記リフレクタの反射面から車両後方へ延びるよう形成されており、前記第2反射面よりも前記光軸から遠い位置に配置されており、
前記第2反射面は、前記光源から出射された光の一部が2度目に反射する反射面であり、前記第1反射面の後端から車両前方、且つ、前記光軸に向かって延びる位置に配置された2度目反射部と、前記主反射面と前記溝部の前記光源側の境界から前記2度目反射部との間に位置し前記主反射面と前記溝部とを繋ぐ接続部とを備え、
前記2度目反射部は、第1反射面に入射した前記光源から出射された光を反射して、前記第1反射面及び前記接続部に遮られることなく前記光軸に対して平行に反射させる形状に形成され、
前記主反射面及び前記溝部の内面全体にアルミ蒸着膜が形成されている、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両用灯具の非点灯時には、リフレクタの溝部が暗く見えてストライプ状の影模様を形成するため、当該車両用灯具を例えば素通しのアウタレンズを通して正面から見た場合のデザイン性が高められる。
【0011】
又、車両用灯具の点灯時には、リフレクタの溝部の全面が反射面として機能し、光源から出射する光の一部は、溝部の第1反射面で1度目に反射し、この反射光は、第2反射面で2度目に反射して平行光となって車両前方へと照射されるため、溝部も含めてリフレクタの全体が光り、当該車両用灯具の光度が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る車両用灯具の正面図である。
図2図1のA−A線断面図である。
図3図2のB部拡大詳細図である。
図4】本発明に係る車両用灯具のリフレクタの部分斜視図である。
図5】従来の車両用灯具の正面図である。
図6図5のC−C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は本発明に係る車両用灯具の正面図、図2図1のA−A線断面図、図3図2のB部拡大詳細図、図4はリフレクタの部分斜視図である。
【0015】
本実施の形態に係る車両用灯具1においては、図2及び図4に示すリフレクタ2がハウジングを兼ねており、このリフレクタ2とその開口部を覆う素通しのアウタレンズ3によって画成される灯室4(図2参照)内に光源であるバルブ5が収容されている。ここで、バルブ5にはソケット6が着脱可能に装着されており、バルブ5は、ソケット6をリフレクタ2の中心部に形成された円孔状の嵌合孔7に嵌め込むことによってリフレクタ2に着脱可能に取り付けられている。
【0016】
又、前記リフレクタ2の内面は反射面2aを構成しており、この反射面2aは光軸X−Xを回転軸とする回転放物面を成し、これにはアルミ蒸着等の反射処理がなされている。そして、このリフレクタ2のバルブ5の上下には横方向に長い比較的大きな溝部2Aが互いに平行に形成されており、本実施の形態では、これらの溝部2Aの内面全体が反射面2bとして構成されており、この反射面2bにも他の反射面2aと同様にアルミ蒸着等の反射処理が施されている。ここで、各溝部2Aの反射面2bは、バルブ5から出射された光の一部が溝部2Aの中で2度反射するように第1反射面2b1と第2反射面2b2から構成されている(図3参照)。より詳細には、第1反射面2b1は、光が1度目に反射する反射面であり、前記第2反射面2b2よりも光軸X−Xから遠い位置に配置されている。又、前記第2反射面2b2は、光が2度目に反射する反射面であり、前記第1反射面2b1で反射した光を光軸X−Xに対して平行に反射させるように、前記第1反射面2b1の後端から車両前方、且つ、光軸X−Xに向かって延びるよう形成された曲面状の反射面である。
【0017】
而して、本実施の形態に係る車両用灯具1においては、非点灯時には、リフレクタ2の上下の溝部2Aが暗く見えてストライプ状の影模様を形成するため、当該車両用灯具1を素通しのアウタレンズ3を通して正面から見た場合のデザイン性が高められる。
【0018】
又、車両用灯具1の点灯時には、光源であるバルブ5から出射される光L1は、リフレクタ2の回転放物面を成す反射面2aで反射して図3に示すように平行光となり、この平行光は、素通しのアウタレンズ3を通過して図1の手前側に向かって照射される。そして、バルブ5から出射される光L2は、図3に示すようにリフレクタ2の溝部2Aの第1反射面2b1で1度目に反射し、この反射光は、第2反射面2b2で2度目に反射して平行光となり、この平行光は、素通しのアウタレンズ3を通過して図1の手前側に向かって照射される。
【0019】
以上のように、本実施の形態に係る車両用灯具1においては、リフレクタ2の溝部2Aの全面が反射面2bを構成し、この反射面2bは、第1反射面2b1と第2反射面2b2で構成されているため、バルブ5から溝部2Aに達した光L2は、該溝部2Aの反射面2bの第1反射面2b1と第2反射面2b22度反射して平行光としてアウタレンズ3から出射する。このため、溝部2Aも含めてリフレクタ2の全体(図1に破線にて示す範囲)が光り、当該車両用灯具1に適用される配光法規を満足することができるとともに、車両用灯具1の光度が高められるという効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、ヘッドランプ等の車両前部に配置される任意の車両用灯具に対して適用可能である。
【符号の説明】
【0021】
1 車両用灯具
2 リフレクタ
2A リフレクタの溝部
2a,2b リフレクタの反射面
2b1 第1反射面
2b2 第2反射面
3 アウタレンズ
4 灯室
5 バルブ(光源)
6 ソケット
7 リフレクタの嵌合孔
L1,L2 光
X−X 光軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6