(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1のガラス保持金具は、その形状が断面視コ字状であるため、ガラスの取り付けと同時に障子を取り付ける必要があった。また、ガラス保持金具は、縦枠にねじ止めされて取り付けられるため、施行性に難があった。
【0005】
しかしながら、ガラス保持金具の取り付けを容易にすると、同時に取り外しも容易になるため、防犯上の懸念が生じる。このため、防犯上安心できるガラス保持金具を備える開口部装置が望まれていた。
【0006】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、ガラス保持金具の取り付けが容易で高い防犯性を有する開口部装置およびこれに用いられるガラス保持金具の取り外し方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明は、上枠(例えば、後述の上窓枠310)、下枠(例えば、後述の下窓枠320)および左右の縦枠(例えば、後述の縦窓枠330、方立40)により枠組みされた枠体(例えば、後述の窓枠30、方立40)と、該枠体内に収容されたガラス(例えば、後述のガラス51,52)又は障子(例えば、後述の障子200)と、を備える開口部装置(例えば、後述の連窓1)であって、前記縦枠又は前記障子の縦框(例えば、後述の縦框23,24)と前記ガラスの側縁部との間で前記ガラスの周縁部の上下方向に延設されたガラス保持部(例えば、後述のガラス保持部60)を備え、前記ガラス保持部は、前記縦枠又は前記縦框に固定され且つ第1係合部(例えば、後述のスリット613、隙間S2)が形成された第1ガラス保持金具(例えば、後述の長尺状第1ガラス保持金具611、短尺状第1ガラス保持金具631)と、屋外側に設けられ且つ前記第1係合部に係合する第2係合部(例えば、後述の突出部64、板状突起部67)が形成された第2ガラス保持金具(例えば、後述の長尺状第2ガラス保持金具621、短尺状第2ガラス保持金具641)と、を備え、前記第1ガラス保持金具および前記第2ガラス保持金具のうち少なくとも一方には、前記第1係合部と前記第2係合部との係合が外れることを防止するロック機構が設けられることを特徴とする開口部装置を提供する。
【0008】
本発明では、開口部装置に、ガラスを保持するガラス保持部を設ける。また、ガラス保持部に、第1係合部が形成された第1ガラス保持金具と、屋外側に設けられ、第1合部に係合する第2係合部が形成された第2ガラス保持金具と、を設ける。そして、第1ガラス保持金具および第2ガラス保持金具のうち少なくとも一方に、第1係合部と前記第2係合部との係合が外れることを防止するロック機構を設ける。
これにより、縦枠又は縦框に固定された第1ガラス保持金具の第1係合部に対して、屋外側から第2ガラス保持金具の第2係合部を係合させることで、ガラス保持部を形成できる。即ち、枠体又は障子にガラスを嵌め込んだ後に、第2ガラス保持金具を後付けできるため、容易にガラス保持金具を取り付けできる。また、第2ガラス保持金具をねじ止めする必要が無いため、縦枠とガラスの間の隙間が小さくても、容易にガラス保持金具を取り付けできるため、優れた施工性が得られる。
また、ロック機構により、第1係合部と第2係合部の係合がロックされるため、例えば、外押縁構造の開口部装置においても、ガラス保持金具を屋外側から容易に取り外すことはできない。従って、本発明によれば、高い防犯性を有する開口部装置を提供できる。
【0009】
前記第1ガラス保持金具は、見付け面に前記第1係合部としてのスリット(例えば、後述のスリット613、隙間S2)が形成された第1本体部(例えば、後述の第1長尺状本体部612、第1短尺状本体部632)を有し、前記第2ガラス保持金具は、見込方向に突出して形成され、前記スリットに挿通されて前記第1本体部に係合可能な前記第2係合部としての突出部(例えば、後述の突出部64、板状突起部67)を備えた第2本体部(例えば、後述の第2長尺状本体部622、第2短尺状本体部642)を有することを特徴とすることが好ましい。
【0010】
本発明では、第1ガラス保持金具に、見付け面に第1係合部としてのスリットを形成した第1本体部を設ける。また、第2ガラス保持金具に、見込方向に突出して形成され、スリットに挿通されて第1本体部に係合可能な第2係合部としての突出部を備えた第2本体部を設ける。
これにより、第1係合部をスリットとし、第2係合部を突出部とすることで、両者をより確実に係合させることができるため、上述の効果がより確実に奏される。
【0011】
前記ロック機構は、前記第1本体部又は前記第2本体部のいずれかに設けられた板ばね(例えば、後述の板ばね65、板状部643)の復元力を利用して構成されることを特徴とすることが好ましい。
【0012】
本発明では、ロック機構を、第1本体部又は第2本体部のいずれかに設けた板ばねにより構成する。
これにより、第1係合部と第2係合部との係合が外れることを容易に防止することができる。
【0013】
前記板ばねは、該板ばねの端部が屈曲されて形成された屈曲部(例えば、後述の屈曲部65f、屈曲部68)を有することを特徴とすることが好ましい。
【0014】
本発明では、板ばねに該板ばねの端部を屈曲させて屈曲部を設ける。
これにより、板ばねで構成されるロックを解除するように板ばねを押圧する際、押圧する力を加えやすくなる。従って、ロックが解除しやすくなる。
【0015】
前記板ばねは、前記屈曲部が屋内側に位置するように配置され、前記ロック機構は、屋内側から前記屈曲部を押圧することで解除されることを特徴とすることが好ましい。
本発明では、屋内側に位置するように配置されている板ばねの屈曲部を押圧することで、ロック機構が解除される。
これにより、屋内側からロック機構を解除しなければ、屋外側からガラス保持金具を取り外せないため、優れた防犯性能が得られる。
【0016】
前記スリットは、前記突出部が挿通可能な幅広の第1スリット部(例えば、後述の幅広部613a)と、該第1スリット部の下方に連接され且つ前記第1スリット部よりも幅狭で前記突出部が係合する第2スリット部(例えば、後述の幅狭部613b)と、を有し、前記ロック機構は、前記板ばねを折り曲げて形成された折り曲げ部(例えば、後述の折り曲げ部65c)が屋内側から前記第1スリット部に挿通され且つ前記第1スリット部の幅方向に前記板ばねが弾性変形可能に設けられて構成されることを特徴とすることが好ましい。
【0017】
本発明では、スリットに、突出部が挿通可能な幅広の第1スリット部と、第1スリット部の下方に連接され且つ第1スリット部よりも幅狭で突出部が係合する第2スリット部と、を設ける。また、ロック機構を、折り曲げ部が屋内側から第1スリット部に挿通し且つ第1スリット部の幅方向に弾性変形可能に設けられた板ばねにより構成する。
本発明によれば、先ず、板ばねにより塞がれた第1スリット部に対して第2ガラス保持金具の突出部を挿入すると、板ばねが弾性変形する。次いで、第2ガラス保持金具を下方に移動させると、突出部が幅狭の第2スリット部に係合する。このとき、弾性変形していた板ばねは、その復元力により元の状態に戻り、再び第1スリット部を塞ぐ。
これにより、第2スリット部と突出部の係合がロックされる。従って、本発明によれば、高い防犯性が得られる。
【0018】
前記第1ガラス保持金具および前記第2ガラス保持金具の少なくとも一方には、加熱発泡材が取り付けられていることを特徴とすることが好ましい。
【0019】
本発明では、第1ガラス保持金具および第2ガラス保持金具の少なくとも一方に、加熱発泡材を取り付ける。
これにより、火災時に発生する熱で発泡して膨張し、周辺の隙間を埋めることで、熱風や煙の侵入を抑制することができる。従って、本発明によれば、より防火性能を向上できる。
【0020】
上記目的を達成するため本発明は、縦枠の屋外側に設けられ、ガラスを屋外側から固定する外押縁(例えば、後述の外押縁70)と、前記縦枠に固定され且つ上方に位置する第1スリット部と、該第1スリット部から下方に連続する第2スリット部とが形成された第1ガラス保持金具と、屋外側に設けられ且つ前記第1スリット部に挿通して前記第2スリット部に係合する突出部が形成された第2ガラス保持金具と、から構成されるガラス保持金具と、前記第1ガラス保持金具に設けられ、前記突出部が前記第2スリット部に係合した状態で、前記第1スリット部を塞ぐことにより前記突出部の前記第2スリット部に対する係合が外れないようにロックするロック機構と、前記ロック機構の屋内側に設けられ、屋内側から前記ロック機構を解除するロック機構解除手段(例えば、後述の薄板90)と、を備える開口部装置におけるガラス保持金具の取り外し方法であって、前記外押縁を取り外す第1工程と、前記ロック機構解除手段により、屋内側から前記ロック機構を解除する第2工程と、前記第2工程の後、前記第2スリット部に係合している前記突出部を前記第1スリット部へ移動させて前記突出部と前記第2スリット部との係合を解除し、屋外側から前記第2ガラス保持金具を取り外す第3工程と、を有することを特徴とするガラス保持金具の取り外し方法を提供する。
【0021】
本発明では、開口部装置におけるガラス保持金具の取り外し方法において、外押縁を取り外す第1工程と、ロック機構解除手段により、屋内側からロック機構を解除する第2工程と、第2工程の後、第2スリット部に係合している突出部を第1スリット部へ移動させて突出部と第2スリット部との係合を解除し、屋外側から前記第2ガラス保持金具を取り外す第3工程と、を含んで構成する。
本発明によれば、以上のような取り外し手順によらなければ、ガラス保持金具を取り外すことができないため、高い防犯性が得られる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ガラス保持金具の取り付けが容易で高い防犯性を有する開口部装置およびこれに用いられるガラス保持金具の取り外し方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、本明細書において、「見付方向」とは、建物の壁に形成された開口部に納められた連窓におけるガラスの面方向(即ち、左右方向)を意味し、「見込方向」とは、上記ガラスの厚さ方向(即ち、奥行き方向)を意味する。
【0025】
図1は、本実施形態に係る開口部装置としての連窓1を屋内側から見たときの正面図である。連窓1は、建物の壁に形成され且つ開口縁に額縁が取り付けられた開口部に納められる。
図1に示すように、連窓1は、見付方向に2つの窓が連設された連窓であり、枠体としての窓枠30および方立40と、第1開口部装置10と、第2開口部装置20と、を備える。また、連窓1は、後述する外押縁70と、ガラス保持部60と、を備える。
【0026】
窓枠30は、上窓枠310と、下窓枠320と、左右の縦窓枠330,340により矩形に枠組みされて構成される。また、窓枠30は、これらの上窓枠310、下窓枠320および左右の縦窓枠330,340を形成する外側窓枠31と、内側窓枠32と、緩衝部材33aと、を有する。
【0027】
外側窓枠31は、窓枠30における最も外側の枠組を規定する枠体である。外側窓枠31は、金属、例えばアルミで構成される。
内側窓枠32は、外側窓枠31の見込方向内側に設けられ、屋内に配置される枠体である。内側窓枠32は、例えば塩化ビニル等の合成樹脂で構成される。
緩衝部材33aは、後述するように内側窓枠32に設けられている。
【0028】
方立40は、上窓枠310と下窓枠320との間に延設された中空の柱状部分である。方立40は、屋外側に面する外側方立41と、屋内側に面する内側方立42により構成されている。
方立40は、上窓枠310および下窓枠320の見付方向中央よりも右寄りに設けられる。即ち、本実施形態では、第1開口部装置10の開口部の方が、第2開口部装置20の開口部よりも大きい。
【0029】
第1開口部装置10は、屋内側から見て、方立40の左側の窓枠30内に納められる。第1開口部装置10は、嵌め殺し窓であり、方立40の左側の窓枠30内に嵌め込まれて固定された矩形のガラス51を備える。以下、第1開口部装置10を、嵌め殺し窓10ともいう。
【0030】
第2開口部装置20は、屋内側から見て、方立40の右側の窓枠30内に納められる。第2開口部装置20は、縦辷り出し窓であり、方立40の右側の窓枠30内に納められた矩形の障子200を備える。以下、第2開口部装置20を、縦辷り出し窓20ともいう。
【0031】
外押縁70は、第1開口部装置10および第2開口部装置20において、窓枠30の屋外側に設けられ、ガラス51、52を屋外側から固定する枠状の縁である。
【0032】
ガラス保持部60は、外押縁70の内側に配置されている。また、ガラス保持部60は、第1開口部装置10においては、縦窓枠330と方立40との間に配置され、第2開口部装置20においては縦窓枠340と方立40との間に配置され、ガラス51、52を見付方向から保持する金具である。
【0033】
図2は、本実施形態に係る連窓1の嵌め殺し窓10側の縦断面図である。
図2に示すように、ガラス51は、窓枠30内に収容されている。詳細には、ガラス51は、上窓枠310、下窓枠320、縦窓枠330および方立40により形成される枠体内に収容されている。ガラス51は、屋内側の板ガラス511と、屋外側の板ガラス512と、これら2枚の板ガラスで挟持されたスペーサ51aと、を備える複層ガラスである。
【0034】
図2に示すように、外側窓枠31は、窓枠の最外層の周囲を囲んでいる。
内側窓枠32は、内側窓枠本体部321と、内側窓枠立設部322とを有する。内側窓枠本体部321は、外側窓枠31から見込方向内側への延長線上に配置されている。内側窓枠立設部322は、内側窓枠本体部321から窓枠30の内周側へ向かって起立するように立設されている。
【0035】
緩衝部材33aは、内側窓枠立設部322の見込方向における屋外側に設けられている。緩衝部材33aは、その一部が内側窓枠立設部322の内部に埋め込まれて内側窓枠立設部322により支持され、内側窓枠立設部322の屋外側に延出している。緩衝部材33aは、板ガラス511に接している。
【0036】
図3は、本実施形態に係る連窓1の縦辷り出し窓20側の縦断面図である。より具体的には、
図3は、縦辷り出し窓20を閉鎖している状態で、戸先側から見たときの縦断面図である。縦辷り出し窓20は、窓枠30の見付方向内周側に設けられ、屋外側へ開放可能な障子200を備える点で嵌め殺し窓10と異なる。
【0037】
障子200は、上框21と、下框22と、左右の縦框23,24と、により矩形に枠組みされた框体25と、框体25内に収容されて固定されたガラス52と、ハンドル28(
図4参照)と、緩衝部材33bと、を含んで構成される。
【0038】
上框21、下框22および左右の縦框23、24それぞれは、外側框体26と、外側框体26の屋内側に連結された内側框体27と、により形成される。
【0039】
外側框体26は、屋外側に面し、外側窓枠31の最も屋外側の面よりもやや内側に配置される。見付方向中央側の縦框23における外側框体26は、方立40に隣接している。見付方向外側の縦框24における外側框体26は、縦窓枠340に隣接している。上框21および下框22の外側框体26は、それぞれ上窓枠310および下窓枠320に隣接している。外側框体26は、例えばアルミで構成される。より具体的には、外側框体26は、アルミを押出し成形することで得られる。
【0040】
内側框体27は、外側框体26に取り付けられ、屋内側に配置されている。内側框体27は、障子200の内周側へ向かうように立設されている。内側框体27は、例えば塩化ビニル樹脂等の合成樹脂で構成される。
【0041】
緩衝部材33bは、内側窓枠立設部322に設けられている構成と同様に、その一部が内側框体27の内部に埋め込まれて内側框体27により支持され、内側框体27の屋外側に延出している。緩衝部材33bは、板ガラス522に接している。
【0042】
ガラス52は、障子200内に設けられている。ガラス52は、屋内側の板ガラス521と、屋外側の板ガラス522と、これら2枚の板ガラスで挟持されたスペーサ52aと、を備える複層ガラスである。
【0043】
ハンドル28は、障子200の方立40側に設けられる。ハンドル28を屋外側に押出し、吊元側に設けられた図示しない回動軸を中心として回動させることで、障子200が開放可能となっている。
【0044】
図4は、本実施形態に係る連窓1の横断面図である。
図4に示すように、嵌め殺し窓10および縦辷り出し窓20において、ガラス51、52は、ガラス保持部60により保持されて、枠体としての窓枠30および方立40、又は障子200の框体25にそれぞれ収容されている。
【0045】
ガラス保持部60は、第1ガラス保持金具と、第1係合部と、第2ガラス保持金具と、第2係合部と、ロック機構と、を備えている。ガラス保持部60は、耐熱性の高いSUSやスチールにより構成される。
図1に示すように、ガラス保持部60は、縦枠330および方立40又は縦框23,24とガラス51、52の側縁部との間で、ガラス51、52の周縁部の上下方向に延びるように延設されている。
【0046】
図4に示されるように、方立40は、外側方立41と、内側方立42とを有している。
外側方立41は、外側窓枠31とほぼ同程度の奥行きを有し、屋外側に面している。
内側方立42は、外側方立41から連続して屋内側に延びている。内側方立42は、外側方立41の見付方向の幅よりも広い。
【0047】
以下に、嵌め殺し窓10におけるガラス保持部60の構成について説明する。
図5は、嵌め殺し窓10に設けられるガラス保持部60を示す斜視図である。(a)図は、長尺状第1ガラス保持金具611に長尺状第2ガラス保持金具621を取り付ける前の状態を示し、(b)図は長尺状第1ガラス保持金具611に長尺状第2ガラス保持金具621を取り付けた状態を示している。
図6は、縦窓枠330とガラス51の周縁部との間に設けられたガラス保持部60の断面図である。
【0048】
嵌め殺し窓10のガラス保持部60は、第1ガラス保持金具としての長尺状第1ガラス保持金具611と、第2ガラス保持金具としての長尺状第2ガラス保持金具621と、板ばね65と、を有する。ガラス保持部60は、例えば縦窓枠330および方立40の上端近傍から2/3程度の範囲に延びるように設けられている。
【0049】
図6に示すように、ガラス保持部60は、窓枠30の見付方向の一方側では、縦窓枠330における外側窓枠31および内側窓枠32における内側窓枠立設部322に接するように配置されている。また、
図6では省略されているが、窓枠30の見付方向の他方側では、ガラス保持部60は、縦窓枠340における外側方立41および内側方立42に接するように配置されている。
【0050】
長尺状第1ガラス保持金具611は、縦窓枠330および外側方立41に固定される金具である。長尺状第1ガラス保持金具611は、第1本体部としての第1長尺状本体部612と、第1係合部としてのスリット613と、を有する。
【0051】
第1長尺状本体部612は、平面部612aと、コ字側面612bと、コ字平面612dと、L字側面612cと、スリット613と、逃げ穴614と、切り欠き615と、ボルト用切り欠き616と、を有する。第1長尺状本体部612は、縦窓枠330および方立40の上端近傍から下端近傍まで上下方向に沿って配置される縦長の部材である。
【0052】
平面部612aは、
図5(a)に示すように、第1長尺状本体部612の断面視において、L字形の板部材とコ字形の板部材が互いに向き合って繋がった部分により構成されている
コ字側面612bは、第1長尺状本体部612のコ字型の部分において、平行する2つの面に直交しこれら2つの平行面を繋ぐ側面に設けられる。
コ字平面612dは、コ字側面612bに略直交するとともに平面部612aに向かい合う面に設けられる。
L字側面612cは、第1長尺状本体部612のL字型の部分において、L字の長辺を構成する形成する側面に設けられる。
ボルト用切り欠き616は、コ字平面612d上に形成されている。
なお、平面部612aの内側およびコ字平面612dの外側には、シート状の加熱発泡材80が取り付けられている。加熱発泡材80は、火災時に発生する熱で発泡して膨張し、周辺の隙間を埋めることで、熱風や煙の侵入を抑制する。以下で説明する加熱発泡材80は、いずれも同様の効果を有する。
【0053】
スリット613は、第1長尺状本体部612の見付面に上下方向に延びるように形成される。即ち、スリット613は、コ字側面612bに設けられる。スリット613は、コ字側面612bに第1長尺状本体部612の長手方向に沿うように設けられている。
【0054】
スリット613は、第1スリット部としての幅広部613aと、第2スリット部としての幅狭部613bと、を有する。幅広部613aは、窓枠30に固定された状態における上方に形成され、後述する突出部64が挿通される。幅狭部613bは、幅広部613aから連接されて下方へ延び、突出部64が係合する。
スリット613は、第1長尺状本体部612の上下方向に間隔を空けて2つ配置されている。
図5では、上方のスリット613のみ図示されており、下方のスリット613は省略されている。
【0055】
逃げ穴614は、L字側面612cにおいて、スリット613の幅広部613aに向かい合う面に設けられる。
切り欠き615は、コ字平面612dにおいて、スリット613の幅広部613aに対応する範囲内に設けられる。
逃げ穴614および切り欠き615は、後述する板ばね65の動きを規制しないようにするために設けられている。
【0056】
長尺状第2ガラス保持金具621は、屋外側に設けられ、長尺状第1ガラス保持金具611に係合する金具である。長尺状第2ガラス保持金具621は、第2本体部としての第2長尺状本体部622と、第2係合部としての突出部64と、を有する。
【0057】
第2長尺状本体部622は、縦窓枠330および方立40の上端近傍から下端近傍まで上下方向に沿って配置される縦長の部材である。第2長尺状本体部622は、第1面622aと、第2面622bとを有する。
第1面622aは、上下方向に同じ幅で延びる面である。第1面622aは、長尺状第1ガラス保持金具611に取り付けられた状態で、内側の面がコ字側面612bに対向する面となる。第2面622bは、第1面622aから屈曲して延びる面である。
なお、第1面622aの内側には、加熱発泡材80が取り付けられている。
【0058】
突出部64は、第1面622aに略直交し、第2長尺状本体部622の第2面622bから見込方向に突出して屈曲するように形成されている。突出部64は、窓枠30に配置した状態で第2面622bの上方から下方に向かって逆さにしたL字状に突出している。突出部64は、L字状の長辺を構成する長辺部分64aおよびL字状の短辺を構成する短辺部分64bを有する。L字状の長辺部分64aと第2面622bとの間には、短辺部分64bの長さの分の隙間64cが形成されている。突出部64は、スリット613に係合可能である。
突出部64は、第2長尺状本体部622の上下方向に間隔を空けて2つ配置されている。
図5では、上方の突出部64のみ図示されており、下方の突出部64は省略されている。
【0059】
板ばね65は、長尺状第1ガラス保持金具611に設けられ、スリット613に挿通している。板ばね65は、折り曲げた板状の部材である。板ばね65は、長尺状第2ガラス保持金具621の突出部64が長尺状第1ガラス保持金具611のスリット613に係合した際に、スリット613を幅方向に塞いで突出部64がスリット613から引き抜けなくするようにロックするロック機構を構成する。
【0060】
板ばね65は、折り曲げ部65cと、短板部65aと、長板部65bと、屈曲部65fと、固定部66(
図6参照)と、を有する。板ばね65は、長尺状第1ガラス保持金具611のコ字平面612dにおける内側に、例えば溶接により接合されている。板ばね65は、スリット613の幅広部613aに対応する位置に配置されている。板ばね65は、長尺状第1ガラス保持金具611において、2つ設けられたスリット613の幅広部613aのうち上方に設けられた幅広部613aに弾性変形可能な状態で挿通して一つ設けられていればよい。
【0061】
板ばね65は、略四角形の一枚の板をくの字に折り曲げて形成され、開放側の両端が屋内側に配置されている。板ばね65における長尺状第1ガラス保持金具611の長手方向に沿う辺の長さは、長尺状第1ガラス保持金具611の逃げ穴614および切り欠き615における長尺状第1ガラス保持金具611の長手方向に沿う辺の長さよりも短い。そして、板ばね65は、長尺状第1ガラス保持金具611において逃げ穴614および切り欠き615が設けられる範囲内に収まる位置に配置されている。
【0062】
折り曲げ部65cは、板ばね65を折り曲げた際に形成される部分であり、略直線状に延びている。折り曲げ部65cは、屋内側からスリット613の幅広部613aに挿通している。
短板部65aは、折り曲げられた板ばね65の幅の短い板により構成される。短板部65aは、折り曲げ部65cに対向する端部65dを有する。
長板部65bは、折り曲げられた板ばね65の幅の長い板により構成される。長板部65bは、折り曲げ部65cに対向する端部65eを有する。
屈曲部65fは、端部65eの近傍において、取り外す際に、後述する薄板90で確実に押せるようにわずかに折り曲げられた部分である。
固定部66は、短板部65aの端部65d近傍を、コ字平面612dに溶接やねじ止め等で固定して形成される部分である。
【0063】
図6に示すように、板ばね65は、長尺状第2ガラス保持金具621が長尺状第1ガラス保持金具611に係合された状態では、折り曲げ部65cと、短板部65aおよび長板部65bにおける折り曲げ部65cの近傍が、スリット613から突出するように接合されている。
【0064】
次に、
図5および
図6を参照して、ガラス51をガラス保持部60により保持するように、長尺状第2ガラス保持金具621を長尺状第1ガラス保持金具611に対して取り付ける方法および取り外す方法について説明する。
【0065】
まず、取り付け方法について説明する。
ガラス51は、外押縁70を外した状態で窓枠30に取り付けられる。この状態で、屋外側から、スリット613から突出している板ばね65の長板部65b側と、コ字平面612dとの間に形成される隙間S1に、スリット613から長尺状第2ガラス保持金具621の突出部64を挿入する。具体的には、突出部64の長辺部分64aを、板ばね65の長板部65b側およびコ字平面611dの間に差し込む。すると、板ばね65は弾性変形して長板部65bと短板部65aとが近づき、突出部64が長尺状第1ガラス保持金具611のL字側面612cまで奥深く入り込む。
【0066】
板ばね65の長板部65bと短板部65aとが近づいた状態で、長尺状第2ガラス保持金具621を下方に移動させると、
図5(b)に示すように、突出部64はスリット613の下方の幅狭部613bへ移動する。突出部64が下方に移動すると、長板部65bと短板部65aは板ばねの復元力によりもとの状態に戻り、長板部65b側と、コ字平面611dの間を付勢した状態で、幅広部613aを塞ぐ。長尺状第2ガラス保持金具621が長尺状第1ガラス保持金具611に取り付けられることにより、長尺状第2ガラス保持金具621の第1面622aと、長尺状第1ガラス保持金具611のL字側面612cによりガラス51が挟持され、ガラス51が保持される(
図6参照)。その後、外押縁70によりガラス51を窓枠30に押さえるようにして取り付ける。この状態では、屋外側から長尺状第2ガラス保持金具621を引き出すことはできなくなり、ロックされる。
【0067】
次に、取り外し方法について説明する。
図6に示すように、屋内側において、内側窓枠32と板ガラス511との間に薄板90を差し込む。板ガラス511は、緩衝部材33aにより支持されているため、薄板90は緩衝部材33aを変形させて板ガラス511に沿って板ばね65の方へ進入する。薄板90は、板ばね65の開放側の一端における端部65e近傍の屈曲部65fに当接し、開放側の他端における端部65d側へ接近する方向へ、長板部65bを短板部65aへ近づけるように屈曲部65fを押圧する。板ばね65は、板状の部材の復元力によりスリット613の幅広部613aを塞いでいたが、薄板90により押されることで、長板部65b側と、コ字平面611dの間に隙間S1が形成される。隙間S1は、薄板90が板ばね65側に進入するとともに広がり、板ばね65によるロックが解除される。この状態で、屋外側から長尺状第2ガラス保持金具621を保持し、下方から上方へ引き上げると、突出部64がスリットの幅狭部613bから幅広部613aへ移動する。そして、突出部64と幅狭部613bとの係合を解除し、突出部64を引き出すことにより、長尺状第2ガラス保持金具621を長尺状第1ガラス保持金具611から取り外すことができる。このように、屋内側から内側窓枠32とガラス51との間に薄板90を差し込まなければ、板ばね65によるロックを解除することができない。さらに、屋内側からロックを解除して、屋外側から外押縁70を取り外さなければ、ガラス51を外すことはできない。
【0068】
次に、縦辷り出し窓20におけるガラス保持部60の構成について説明する。
図7は、縦辷り出し窓20に設けられるガラス保持部60を示す斜視図であり、短尺状第1ガラス保持金具631に短尺状第2ガラス保持金具641を取り付ける前の状態を示している。
図8は、短尺状第1ガラス保持金具631に短尺状第2ガラス保持金具641を取り付けた状態を示している。
図9は、縦框24とガラス52の周縁部との間に設けられたガラス保持部60の断面図である。
【0069】
図4に示すように、縦辷り出し窓20において、ガラス52の見付方向における両端部側において、ガラス保持部60は、障子200の框体25(左右の縦框23、24)とガラス52の周縁部との間に設けられている。ガラス保持部60は、ガラス52の上下方向において、互いに間隔を空けて3個設けられている(
図1参照)。
【0070】
図7に示すように、縦辷り出し窓20のガラス保持部60は、第1ガラス保持金具としての短尺状第1ガラス保持金具631と、第1係合部としての隙間S2と、第2ガラス保持金具としての短尺状第2ガラス保持金具641と、第2係合部(突出部)としての板状突起部67と、板状部643と、を有する。縦辷り出し窓20におけるガラス保持部60では、ロック機構は、板状部643により構成される。
図9に示すように、ガラス保持部60は、外側框体26および内側框体27に接するように配置されている。
【0071】
短尺状第1ガラス保持金具631は、第1本体部としての第1短尺状本体部632と、係合面部633と、隙間S2と、を有する。短尺状第1ガラス保持金具631は、第1短尺状本体部632および係合面部633の2つの部材が重ね合わされ、第1短尺状本体部632および係合面部633の間に隙間S2が形成されるように構成されている。短尺状第1ガラス保持金具631は、縦長の形状を有し、長手方向が縦框24の上下方向に沿うとともに、幅方向が縦框23、24の見込方向に沿うように配置されている。短尺状第1ガラス保持金具631は、長尺状第1ガラス保持金具11よりも短い。
【0072】
第1短尺状本体部632は、左右の縦框23,24の見込方向に延びる所定の幅を有するとともに、上下方向に延設される。
第1短尺状本体部632は、固定面632aと、受け面632bと、支持面632cと、を有する。固定面632aは、縦框23,24に接してボルトで固定される面である。受け面632bは、固定面632aから屈曲し、固定面632aから浮いた位置で固定面632aの延びる方向に略平行に延びている(
図9参照)。受け面632bの端部632dは、短尺状第2ガラス保持金具641の挿入を容易にするように固定面632a側へ反っている。固定面632aおよび受け面632bは、縦框24の見込方向に沿って配置されている。支持面632cは、固定面632aに対して略直交する方向へ屈曲して、縦框24に支持されている。
【0073】
係合面部633は、第1短尺状本体部632に隙間S2を設けて積層されている。係合面部633は、隙間S2に挿入された短尺状第2ガラス保持金具641に係合される面である。係合面部633は、W字面633aと、W字面端部633bと、段差633cと、を有する。W字面633aは、略W字の形状を有する面である。係合面部633は、W字における二つの凸の頂部が、第1短尺状本体部632の一方側に寄るように配置されている。即ち、短尺状第1ガラス保持金具631が縦框24に固定された状態で、W字における二つの凸の頂部が屋外側に位置するように配置されている。
段差633cは、W字面633aの幅方向の両端が、W字面633aに対して直交する方向に屈曲することにより構成されている。
W字面端部633bは、段差633cから幅方向外側に配置されるW字の形状の最も外側の端部である。W字面端部633bは、第1短尺状本体部632の固定面632aにおける端部に重ね合わされて溶接されている。従って、係合面部633と第1短尺状本体部632との間には、段差633cの分の隙間S2が形成されている。
【0074】
係合面635は、係合面部633に設けられている。係合面635は、係合面部633のW字面633aにおける幅方向略中央に、W字の幅方向に延びるように設けられている板面である。係合面635は、第1短尺状本体部の一方側(屋外側)に寄るよう配置されるとともに、他方側(屋内側)に空間を空けるようにして配置されている。なお、係合面部633の外側表面には、加熱発泡材80が取り付けられている。
【0075】
短尺状第2ガラス保持金具641は、第2本体部としての第2短尺状本体部642と、板状部643と、第2係合部(突出部)としての板状突起部67と、を有する。
第2短尺状本体部642は、左右の縦框23,24の見込方向に延びる所定の幅を有するとともに、上下方向に延設される。第2短尺状本体部642は、断面視で略L字状の形状を有し、上面視では、中央が窪んだ凹状の形状をしている。
【0076】
第2短尺状本体部642は、第1面642aおよび第2面642bを有する。
第1面642aは、縦框24の長手方向に沿って同じ幅で延びる面である。第1面642aは、第2短尺状本体部642の断面視略L字状における短辺を構成するとともに、上面視の凹状における底辺を構成する。
第2面642bは、第1面642aの長手方向の一方および他方の端部から第1面に略直交する方向に延びる面である。第2面642bは、第2短尺状本体部642の断面視略L字状における長辺を構成するとともに、上面視における凹状の幅方向両側の突出部を構成する。第2面642bの上面視における幅方向の一方から他方の端部までの距離は、短尺状第1ガラス保持金具631の第1短尺状本体部632および係合面部633との間に形成される隙間S2における縦框24の長手方向に沿う長さの範囲に収まるように構成されている。
【0077】
板状部643は、第2短尺状本体部642から見込方向に延びるように設けられる。板状部643は、板状突起部67と、屈曲部68と、を有する。板状部643は、略四角形の板状の部材である。板状部643は、第2面642bにおける凹状の窪んだ部分、即ち第2面642bの上面視における幅方向略中央に、第1面642aに略直交する方向へ延びるように取り付けられる。板状部643は、第1面642aに沿う基端辺643aが第1面642aに接するように取り付けられる。板状部643は、係合面部633と第1短尺状本体部632との間に形成される隙間S2に挿入可能である。
【0078】
板状部643は、スチールのような板状の部材により形成されている。このため、板状部643は、見付方向に弾性変形することにより短尺状第2ガラス保持金具641を短尺状第1ガラス保持金具631に対してロックするロック機構を構成する。
【0079】
板状突起部67は、板状部643の基端辺643aに対向し、先端側に位置する遠位辺643b側において、遠位辺643bに沿って形成される。板状突起部67は、遠位辺643bの近傍において板状部643に三方の切込みを形成し、この切り込みを持ち上げるようにして形成されている。板状突起部67は、板状部643の先端側において、第2短尺状本体部642側に向かうに従って、係合面部633側に傾斜して突出している。板状突起部67は、板状部643と同じスチールのような板状の部材により形成されているため、弾性変形可能である。
【0080】
図8に示すように、板状突起部67は、短尺状第2ガラス保持金具641が短尺状第1ガラス保持金具631に接合された状態では、短尺状第1ガラス保持金具631における係合面部633の係合面635に係合する。
【0081】
屈曲部68は、板状部643の遠位辺643bのさらに先端側に、遠位辺643bに沿って形成されるU字状の溝である。
【0082】
次に、
図9を参照して、ガラス52をガラス保持部60で保持するように、短尺状第2ガラス保持金具641を短尺状第1ガラス保持金具631に対して取り付ける方法および取り外す方法について説明する。
【0083】
まず、取り付け方法について説明する。
ガラス52は、外押縁70を外した状態で框体25に取り付けられる。この状態で、屋外側から短尺状第2ガラス保持金具641の板状部643および第2短尺状本体部642の第2面642bを、短尺状第1ガラス保持金具631に形成されている第1短尺状本体部632と係合面部633との間の隙間S2に差し込む。すると、弾性変形可能な板状部643とおよび板状突起部67が、隙間S2に摺動して係合し、係合面部633の係合面635を超える。板状突起部67が係合面635を超えると、板状部643は復元力により板状突起部67を係合面635側に付勢して板状突起部67を係合面635に係合させる。その後、外押縁70によりガラス52を框体25に押さえるようにして取り付ける。この状態では、屋外側から短尺状第2ガラス保持金具641を短尺状第1ガラス保持金具631から引き出すことはできなくなり、ロックされる。
【0084】
次に、取り外し方法について説明する。
図9に示すように、屋内側において、内側框体27と板ガラス521との間に薄板90を差し込む。ガラス52が、緩衝部材33bにより支持されているため、薄板90は緩衝部材33bを変形させてガラス52に沿って屈曲部68の方へ進入する。薄板90は、屈曲部68に当接し、板状突起部67がガラス52から遠ざかるように屈曲部68を押圧する。すると、板状部643がガラス52から遠ざかる方へ弾性変形し、板状突起部67の係合面635に対するロックが解除される。この状態で、屋外側から短尺状第2ガラス保持金具641を保持し、屋内側から屋外側へ引き出すと、板状突起部67は第1短尺状本体部632および係合面部633の間の隙間S2を通って屋外側へ引き出される。このように、屋内側から内側框体27かとガラス52との間に薄板90を差し込まなければ、板状突起部67によるロックを解除することができない。さらに、屋内側からロックを解除して、屋外側から外押縁70を取り外さなければ、ガラス52を外すことはできない。
【0085】
図4〜9に示されるように、加熱発泡材80は、窓枠30や障子200等により密閉される空間に配置されている。加熱発泡材80は、シート状に形成され、両面テープにより窓枠30や障子200の内面に貼付されている。
図10は、外側框体26の内部を示す部分図である。
図10に示すように、加熱発泡材80は、気密部材81により外側框体26の内面に押さえつけて固定されている。
【0086】
気密部材81は、本体部82と、ねじ孔83と、ねじ84とを有する。本体部82は、例えば、樹脂製のパッキンにより構成される。本体部82は、加熱発泡材80の取り付けられる面とほぼ同じ幅を有している。本体部82は、加熱発泡材80を外側框体26の内面と気密部材81で挟んだ状態で外側框体26にねじ止めされる。
【0087】
気密部材81によれば、両面テープのみで貼り付けるシート状の加熱発泡材80を押さえつけた状態で固定するため、加熱発泡材80を取り付けるねじの本数を減らすことができる。また、加熱発泡材80を、上下の端部のみで押さえつけて、端部以外の部分ではねじ止めしないことにより、ねじにより阻害されることなく加熱発泡材80全体が膨張しやすい。また、気密部材81の本体部82は、火災の際に溶けやすい樹脂により形成されている。このため、加熱発泡材80を押さえている本体部82が溶けることにより、加熱発泡材80全体が膨張しやすい。
【0088】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態では、連窓1に、窓枠30、方立40、又は障子200における縦框23,24と、ガラス51,52の側縁部との間で、ガラス51,52の周縁部の上下方向に延設するガラス保持部60を設けた。また、ガラス保持部60に、縦枠330、方立40又は縦框23,24に固定され且つスリット613又は隙間S2が形成された第1ガラス保持金具(長尺状第1ガラス保持金具611、短尺状第1ガラス保持金具631)と、屋外側に設けられ且つスリット613又は隙間S2に係合する突出部64又は板状突起部67が形成された第2ガラス保持金具(長尺状第2ガラス保持金具621、短尺状第2ガラス保持金具641)と、を設けた。そして、第1ガラス保持金具611に、スリット613と突出部64との係合が外れることを防止する板ばね65を設け、又は第2ガラス保持金具641に、隙間S2と板状突起部67との係合が外れることを防止する板状部643を設ける構成とした。
【0089】
これにより、縦窓枠330および方立40、縦框23,24に固定された第1ガラス保持金具のスリット613又は隙間S2に対して、屋外側から第2ガラス保持金具の突出部64又は板状突起部67を係合させることで、ガラス保持部60を形成できる。即ち、窓枠30および方立40、框体25にガラス51,52を嵌め込んだ後に、第2ガラス保持金具を後付けできるため、容易にガラス保持金具60を取り付けできる。また、第2ガラス保持金具をねじ止めする必要が無いため、縦窓枠33および方立40、縦框23,24とガラス51,52の間の隙間が小さくても、容易にガラス保持金具60を取り付けできるため、優れた施工性が得られる。
また、板ばね65および板状部643により、スリット613又は隙間S2と突出部64又は板状突起部67の係合がロックされるため、例えば、外押縁構造の開口部装置においても、ガラス保持金具を屋外側から容易に取り外すことはできない。従って、本発明によれば、高い防犯性を有する開口部装置を提供できる。
【0090】
また本実施形態では、第1ガラス保持金具611、631に、見付け面に第1係合部としてのスリット613、隙間S2を形成した第1本体部(第1長尺状本体部612、第1短尺状本体部632)を設けた。また、第2ガラス保持金具621、641に、見込方向に突出して形成され、スリット613、S2に挿通されて第1本体部612、632に係合可能な第2係合部(突出部)としての突出部64、板状突起部67を備えた第2本体部(第2長尺状本体部622、第2短尺状本体部642)を設けた。
これにより、第1係合部をスリット、隙間S2とし、第2係合部を突出部64、板状突起部67とすることで、両者をより確実に係合させることができるため、上述の効果がより確実に奏される。
【0091】
また本実施形態では、ロック機構を、第1本体部612、632又は第2本体部622、642のいずれかに設けた板ばね65、板状部643の復元力を利用して構成した。
これにより、スリット613、隙間S2と突出部64、板状突起部67との係合が外れることを容易に防止することができる。
【0092】
また本実施形態では、板ばね65、板状部643に、端部が屈曲されて形成された屈曲部65f、68を設けた。
これにより、板ばね65、板状部643で構成されるロックを解除するように板ばね65、板状部643を押圧する際、押圧する力を加えやすくなる。従って、ロックが解除しやすくなる。
【0093】
また本実施形態では、板ばね65、板状部643を、屈曲部65f、68が屋内側に位置するように配置した。また、ロック機構を、屋内側から屈曲部65f、68を押圧することで解除されるように構成した。
これにより、屋内側からロック機構を解除しなければ、屋外側からガラス保持金具を取り外せないため、優れた防犯性能が得られる。
【0094】
また本実施形態では、スリットに、突出部64が挿通可能な幅広の幅広部613aと、幅広部613aの下方に連接され且つ幅広部613aよりも幅狭で突出部64が係合する幅狭部613bと、を設けた。また、ロック機構を、折り曲げ部65cが、屋内側から幅広部613aに挿通し且つ幅広部613aの幅方向に弾性変形可能に設けた板ばね65により構成した。
これにより、先ず、板ばね65により塞がれた幅広部613aに対して長尺状第2ガラス保持金具621の突出部64を挿入すると、板ばね65が弾性変形する。次いで、長尺状第2ガラス保持金具621を下方に移動させると、突出部64が幅狭部613bに係合する。このとき、弾性変形していた板ばね65は、その復元力により元の状態に戻り、再び幅広部613aを塞ぐ。これにより、幅狭部613bと突出部64の係合がロックされる。従って、本発明によれば、高い防犯性が得られる。
【0095】
また本実施形態では、第1ガラス保持金具611、631および第2ガラス保持金具621、641の少なくとも一方に、加熱発泡材80を取り付けた。
これにより、火災時に発生する熱で発泡して膨張し、周辺の隙間を埋めることで、熱風や煙の侵入を抑制することができる。従って、本発明によれば、より防火性能を向上できる。
【0096】
本実施形態では、縦枠330、方立40の屋外側に設けられ、ガラス51を屋外側から固定する外押縁70と、縦枠330、方立40に固定され且つ上方に位置する第1スリット部613aと、該第1スリット部613aから下方に連続する第2スリット部613bとが形成された長尺状第1ガラス保持金具611と、屋外側に設けられ且つ第1スリット部613aに挿通して第2スリット部613bに係合する突出部64が形成された長尺状第2ガラス保持金具621と、から構成されるガラス保持金具60と、長尺状第1ガラス保持金具611に設けられ、突出部64が第2スリット部613bに係合した状態で、第1スリット部613aを塞ぐことにより突出部64の第2スリット部613bに対する係合が外れないようにロックするロック機構と、ロック機構の屋内側に設けられ、屋内側からロック機構を解除する薄板90と、を備える連窓1におけるガラス保持金具60の取り外し方法において、外押縁70を取り外す第1工程と、薄板90により、屋内側からロック機構を解除する第2工程と、第2工程の後、第2スリット部613bに係合している突出部64を第1スリット部613aへ移動させて突出部64と第2スリット部613bとの係合を解除し、屋外側から長尺状第2ガラス保持金具621を取り外す第3工程と、を含んで構成した。
これにより、以上のような取り外し手順によらなければ、ガラス保持金具を取り外すことができないため、高い防犯性が得られる。
【0097】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
【0098】
例えば、ガラス保持部6の配置や数は、開口部装置の大きさ、ガラスの厚さ等によって適宜変更できる。