(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6157175
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】航空機胴体を製造するためのデバイスの扇状体を制約するシステム
(51)【国際特許分類】
B29C 70/06 20060101AFI20170626BHJP
B64C 1/00 20060101ALI20170626BHJP
B64C 1/12 20060101ALI20170626BHJP
B64F 5/00 20170101ALI20170626BHJP
B29C 70/16 20060101ALI20170626BHJP
B29K 105/08 20060101ALN20170626BHJP
B29L 31/30 20060101ALN20170626BHJP
【FI】
B29C67/14 J
B64C1/00 B
B64C1/12
B64F5/00 D
B29C67/14 A
B29K105:08
B29L31:30
【請求項の数】3
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-71859(P2013-71859)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2013-212685(P2013-212685A)
(43)【公開日】2013年10月17日
【審査請求日】2016年3月11日
(31)【優先権主張番号】TO2012A 000286
(32)【優先日】2012年3月30日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】512034737
【氏名又は名称】アレーニア・アエルマッキ・エッセ・ピ・ア
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】グイド・シボーナ
(72)【発明者】
【氏名】エットーレ・モスタルダ
(72)【発明者】
【氏名】ジュセッペ・イオヴィーネ
【審査官】
▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−131559(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/077698(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0305195(US,A1)
【文献】
国際公開第2007/148301(WO,A1)
【文献】
特開2011−131560(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/077699(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0117983(US,A1)
【文献】
特開2011−131561(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/077700(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0297602(US,A1)
【文献】
特開平02−299820(JP,A)
【文献】
米国特許第05022845(US,A)
【文献】
カナダ国特許出願公開第02014981(CA,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0062022(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/00−70/88
B29C 33/00−33/76
B64B 1/00− 1/70
B64C 1/00−66/00
B64D 1/00−47/08
B64F 1/00− 5/00
B64G 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機胴体を製造するためのデバイス(2)であって積層マンドレル(4)が対称軸(7)に関する回転体を画成する外面(5)により画成されるデバイスの扇状体と共に動作するように構成された制約システムであって、
前記積層マンドレル(4)が、含浸合成材料の束を受けて支持するように構成され、前記含浸合成材料の束が、前記外面(5)に配置され巻き付けられて、航空機の構造体セクションを形成するために真空下で重合処理を受ける複数の重複層を形成し、
前記積層マンドレル(4)が、前記軸(7)回りに角度方向で間隔をあけた複数の扇状体(12)を備え、前記扇状体が、
− 当該扇状体(12)が、前記軸(7)と平行であり隣り合って配置された大きな直線縁部(13)を有し、当該扇状体(12)のうち前記軸(7)とは反対側の外面が、共に前記外面(5)を画成する、膨張積層位置と、
− 当該扇状体(12)の少なくとも一部が、前記面(5)のトレースから離間移動するように接近し、前記マンドレルの径方向寸法を低減し、前記マンドレル(4)自体を航空機の構造体セクションから引き抜くことを可能とする、収縮解体位置と、
の間で移動可能であり、
異なる前記扇状体における隣り合う前記縁部(13)が、周辺重複領域(13s)において上下に配置されるように構成されており、
当該制約システムが、前記扇状体と当該扇状体に隣接する扇状体との間に配置されるように構成されており、
当該制約システムが、第1扇状体(12_A)により支持される第1捕捉本体(R1)と、前記第1扇状体(12_A)に隣接する第2扇状体(12_B)により支持される第2捕捉本体(R2)と、を備え、
前記第1及び第2捕捉本体が、互いに連結すると、前記第1扇状体(12_A)の当該第1扇状体(12_A)に隣接する前記第2扇状体(12_B)に対する所定配置が得られ、このため、前記対称軸(7)から前記外面(5)に径方向に延在する軸RDに垂直な調整面(PZ、
図4)にある2方向(x−y)に沿う並進移動を防止する、ように構成されており、
前記第1捕捉本体(R1)が、前記軸RDと同軸でありかつ前記第2捕捉本体(R2)に向けて開口するカップ状本体(50)を備え、
前記第1捕捉本体(R1)が、
3つの金属素子(52)をさらに備え、前記金属素子が、前記カップ状本体(50)内に収容され、前記軸RDを向きかつ前記軸に対して傾斜する平坦壁部(53)によって画成され、
前記第2捕捉本体(R2)が、帽子状構造体のような外形とされた端部が設けられた付属物を備え、前記端部が、前記傾斜平坦壁部(53)それぞれと単一点P1、P2、P3において当接するように構成され、
3つの前記点P1、P2、P3が、前記調整面にあ
り、
当該制約システムが、前記カップ状本体(50)の内側での傾斜する前記平坦壁部(53)、ひいては3つの前記点P1、P2、P3の空間位置を変更するために、前記カップ状本体(50)の内側での前記3つの金属素子(52)の位置を調整するための手段を備えることを特徴とする制約システム。
【請求項2】
少なくとも1つのクランプデバイス(25)が設けられ、
前記クランプデバイスが、前記マンドレルの前記膨張積層位置で作動可能であり、隣接する前記扇状体(12)の隣り合う前記縁部(13)の接触を維持するように構成され、前記重複領域(13s)における前記縁部間に閉塞力をかけることを特徴とする請求項1に記載の制約システム。
【請求項3】
前記クランプデバイス(25)が、
− 前記積層マンドレル(4)の内側に第1扇状体(12_A)から延在する付属物(32)にヒンジ接続された中央部分(30c)を有し、前記対称軸(7)と平行なヒンジ軸(33)回りに回転可能なレバー本体(30)と、
− 端部分(36)を有する出力部材(35)が設けられたアクチュエータ(34)であって、前記端部分が、前記レバー本体(30)の第1端部分(30a)にヒンジ接続され、前記ヒンジ軸(33)の横断方向に沿って両方向で直線移動可能であり、前記ヒンジ軸(33)回りで前記レバー本体(30)を回転させる、アクチュエータと、
− 前記第1扇状体(12_A)に隣接する第2扇状体(12_B)により支持される捕捉組立体(38)と、
を備え、
前記レバー本体(30)が、前記ヒンジ軸(33)に関して前記第1端部分(30a)に対する反対側に配置された第2歯状端部分(30b)を有し、
第1回転方向における前記レバー本体(30)の回転が、前記歯状部分が前記捕捉組立体(38)から離れる休止位置から前記歯状部分が前記捕捉組立体(38)と連結する作動位置まで前記歯状部分(30b)を移動させ、前記マンドレル(4)の内側を向けて力をかけて重複する前記縁部間の収縮を確保することを特徴とする請求項2に記載の制約デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機胴体を製造するためのデバイスの扇状体を制約するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、航空機胴体を製造するためのデバイスが記載されており、この航空機胴体では、積層マンドレルが、対称軸に関して回転体(以下、特にシリンダ)を画成する外面により区画される。積層マンドレルは、含浸合成材料の束を受けて支持するように構成されており、この含浸合成材料の束は、複数の重複層を形成する積層ステップにおいてマンドレルの外面に巻き付けられて配置される。上記重複層は、航空機の構造体セクション(一般的に、胴体の管状部分)を形成するためにオートクレーブ内において真空下で、後続する重合処理を受ける。
【0003】
積層マンドレルは、軸回りで角度方向に間隔をあけている複数の扇状体(sector)を備え、この扇状体は、扇状体が軸と平行であり並んで配置された大きい直線縁部を有し、扇状体のうち軸と反対側にある外面が外面を画成する膨張積層位置と、扇状体が軸に接近して面のトレースから離間するように動き、マンドレルの軸方向寸法を低減して真空下の重合処理の終わりにおいて航空機の構造体セクションから積層マンドレルを引き出すことを可能とする収縮解体位置と、の間で移動可能である。
【0004】
膨張積層位置において、扇状体に重要なことは、部品間のわずかな運動が構造体セクションの気化形状を修繕できないほどに変更してしまうので、互いに対して角度方向で適切な位置を維持することである。例えば、本願の出願人は、大型旅客機の構造体セクションを製造するために使用される積層マンドレルが例えば0.5mm未満の小さな寸法公差を有していなければならないこと、を指摘している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2007/148301号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、2つの扇状体のインデックスを可能とし、上記積層ステップ(上記ステップではマンドレルを回転させる)中における及びオートクレーブ内における積層マンドレルの後続する運動及びメンテナンス中における扇状体間の相対的な運動を防止する制約システムを製造する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、航空機胴体を製造するためのデバイスであって積層マンドレルが対称軸に関する回転体を画成する外面により区画されるデバイスの扇状体と共に動作するように構成された制約システムに関する本発明により達成され、上記積層マンドレルが、含浸合成材料の束を受けて支持するように構成され、含浸合成材料の束が、外面に配置され巻き付けられて、航空機の構造体セクションを形成するために真空下で重合処理を受ける複数の重複層を形成し、積層マンドレルが、軸回りに角度方向で間隔をあけた複数の扇状体を備え、この扇状態が、
− 扇状体が、軸と平行であり隣り合って配置された大きな直線縁部を有し、扇状体のうち軸とは反対側の外面が、共に外面を画成する、膨張積層位置と、
− 扇状体の少なくとも一部が、面のトレースから離間移動するように接近し、マンドレルの径方向寸法を低減し、マンドレルを航空機の構造体セクションから引き抜くことを可能とする、収縮解体位置と、
の間で移動可能であり、
異なる扇状体における隣接して隣り合う縁部が、周辺重複領域において上下に配置されるように構成されており、制約システムが、各扇状体とこれに隣接する扇状体との間に設けられており、制約システムが、第1扇状体により支持される第1捕捉本体と、第1扇状体に隣接する第2扇状体により支持される第2捕捉本体と、を備え、第1及び第2捕捉本体が、互いに連結すると、第1扇状体のこれに隣接する第2扇状体に対する所定空間配置が得られ、このため、対称軸から外面に径方向に延在する軸RDに垂直な調整面にある2方向(x−y)に沿う並進移動を防止する、ように構成されている。
【0008】
ここで、好ましい実施形態の例を示す添付の図面を参照しながら本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】航空機胴体を製造するためのデバイスであって本発明における制約システムを用いるデバイスを示す斜視図である。
【
図2】
図1のデバイスにおける内部支持部分を示す斜視図である。
【
図3】
図1のデバイスの一部を示す拡大断面図である。
【
図4】第1閉塞動作位置にある本発明における制約システムを示す拡大側面図である。
【
図5】第2開放動作位置にある本発明における制約システムを示す拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図4から
図6では、航空機胴体を製造するためのデバイス2(
図1)における扇状体の阻止システムを全体的に符号1で示す。
【0011】
特に、デバイス2(
図1)は、外面5により区画される積層マンドレル4を備え、この外面は、対称軸7に関して回転体を画成する。積層マンドレル4は、含浸合成材料の束を受けて支持するように構成されており、この含浸合成材料は、外面5に配置されて巻き付けられており、面5を完全にかつ均一に覆う複数の重複層を形成する。合成材料の束(例えばカーボンファイバ)は、積層マンドレル4にある積層ヘッド(公知のタイプ−図示略)を用いて配置されている。
【0012】
例えば、束は、マンドレル4を軸7回りで回転させて積層ヘッド(図示略)を上記軸7に沿って調整した態様で並進移動させることによって、配置される。例えば、米国特許出願公開第2005/0039843明細書は、積層ヘッドを示す。束の積層を終えると、含浸複合材料の束は、航空機の管状構造体セクションを形成するために、真空下で重合処理を受ける。上記処理は、積層マンドレル4をオートクレーブ(図示略)内に配置して公知のタイプの熱サイクルを実行することにより、行われる。
【0013】
図示の例において、外面5は、シリンダ状であり、積層マンドレル4は、航空機胴体のシリンダ状の管状部分を形成するために使用される。
【0014】
積層マンドレル4は、軸7回りで角度方向に間隔をあけかつ支持構造体10(
図2において概略的に示す)により支持される複数の扇状体12(図示の例において6つであるが、数は明らかに変更してもよい)を備え、この支持構造体は、軸7に沿って直線状の態様で延在する。
【0015】
扇状体12は、
− 扇状体12が、隣り合って配置され、軸7と平行な大きな直線縁部13を有し、扇状体12のうち軸7の反対側にある外面が、連続しており、全体として外面5を画成する、膨張積層位置(
図1及び
図4)と、
− 扇状体12が、軸に接近して面5のトレースから離間移動し、マンドレルの径方向寸法を低減して処理の終わりにおいて航空機の構造体セクションからマンドレル4を引き出すことを可能とする、収縮解体位置と、
の間で移動可能である。
【0016】
さらなる詳細(
図2)において、支持構造体10は、第1及び第2環状端部構造体16a、16b間で延在する。
【0017】
支持構造体10は、軸7に沿って高い剛性を確保している(上記構造体は、公知のタイプの技術で製造されるので、さらには説明しない)。
【0018】
各環状構造体16a、16bには、切頭円錐形の鋼の端部分17a、17bが設けられており、この端部分は、軸方向に延在し、軸7と同軸の開口部18を区画する。
【0019】
特許文献1は、上述したタイプの格子構造体及び端部分端部分17a、17bの一例及び使用を示す。
【0020】
各扇状体12は、横断面が軸7を中心としかつ(例えば)60°の開口角度を有する円弧の外形を有する湾曲金属壁部20(例えば
図3参照)と、マンドレル4の内側を向く補強構造体21と、を備え、この補強構造体は、壁部20の撓み/変形を防止するように構成されており、面5が完全にシリンダ状であり軸7と同軸であるままとすることを確保する。補強構造体21は、軸7に沿って間隔をあけており、湾曲した長い底辺を有してテーパ状の二等辺の外形を有する複数のリブを備える。
【0021】
2つの扇状体12における隣接する縁部13は、周辺の重複領域13sにおいて上下に配置されるように構成されている(
図4)。
【0022】
各扇状体12には、一端部において、支持構造体10と補強構造体21との間に位置付けられた一対の直線ガイド17が設けられている。ガイド17(公知のタイプなので図示しない)は、径方向に延在し、扇状体12を支持し、膨張積層位置と収縮分解位置との間で各扇状体12を可逆的に移動させることを可能とする。
【0023】
各対のガイド17には、部材25が設けられたアクチュエータ24(
図3)が設けられており、この部材25は、ガイドの延在方向と平行な方向で移動し、軸7から離間移動する可動部材25の移動は、収縮分解位置から膨張積層位置まで扇状体12を移動させ、一方、軸7に接近する可動部材25の移動は、膨張積層位置から収縮分解位置まで扇状体12を移動させる。
【0024】
好ましくは、制約デバイス25は、各扇状体12とそれに隣接する扇状体12との間に設けられる。制約デバイス25は、扇状体12を膨張積層位置に配置しているときに作動し、2つの隣接する扇状体12の縁部13を隣り合って接触させたままとするように構成されており、重複領域13s(
図4)において縁部間に制御力をかける。
【0025】
制約デバイス25は、
− 付属物26に配置された第1可動部分(詳細は後述)であって、扇状体12_Aの補強構造体21_Aから扇状体12_Aに隣接する扇状体12_Bの補強構造体21_Bに向けて延在する、第1可動部分と、
− 第1部分に結合するように構成されており、扇状体12_Bの補強構造体21_Bにより支持される第2固定部分(詳細は後述)と、
を連結するように構成された2つの部分を備える。
【0026】
このようにして、上記部分双方は、マンドレル4内に収容される。
【0027】
より詳細には、制約デバイス25の構成部分は、
− 平行六面体形状の金属ブロック32にヒンジ接続された中央部分30cを有するレバー本体30であって、この金属ブロック32が付属物26から補強構造体21_Bに向けて延在する−レバー本体30が対称軸7と平行なヒンジ軸33回りで回転自在である−、レバー本体と、
− 付属物26により支持され、直線状出力部材35が設けられたアクチュエータ34であって、この直線状出力部材が端部分36を有し、この端部分が、レバー本体30の第1端部分30aにヒンジ接続され、ヒンジ軸33と垂直な方向Dに沿って両方向で直線的に移動可能であり、レバー本体30をヒンジ軸33回りに回転させる、アクチュエータと、
− 補強構造体21から付属物26に向けて延在する捕捉組立体38と、
である。
【0028】
レバー本体30は、ヒンジ軸33に対して第1部分30aに関して反対側に配置された第2テーパ状端部分30b(フック歯部)を有する。レバー本体30は、略U字状を有しており、2つの腕部31a、31bを備え、この腕部は、中央部分30cから形成されており、互いに向かい合う側面を有する第1端部分30a及び第2端部分30bでそれぞれ終端する。
【0029】
第1回転方向(例えば時計回り)におけるレバー本体20の回転は、捕捉組立体38から間隔をあけた休止位置(
図5)からフック歯部30bが捕捉組立体38の本体40の外側に向けて開口する座部39の内側を通る作動位置(
図4)まで、フック歯部30bを設定する。
【0030】
このようにして、フック歯部30bは、本体40と連結し、この本体40は、順に、補強構造体21_Bと一体化する。
【0031】
フック歯部30bは、側面視でほぼC字状の外形を有する平坦な金属壁部から形成されており、上記C字状の金属壁部は、マンドレル4の内側に向かう径方向準線に力をかけ、そのため、重複領域13sで縁部13間の圧縮を確実にする。
【0032】
このようにして、−アクチュエータ24が扇状体12を膨張積層位置に配置した後に−出力部材35は、伸長し、そのため、レバー本体30は、時計回りで回転し、フック歯部30bは、捕捉組立体38と連結して2つの隣接する扇状体12_A、12_B間の強固な制約を設立する。
【0033】
束を配置してその後に積層マンドレルをオートクレーブに移動させる処理は、隣接する扇状体間の角度方向の並進移動をすべて防止するので、安全に実行される。このようにして、外面5が変更されないことを保証する。
【0034】
束を硬化する処理の後、出力部材35を後退させることを指令してレバー本体30を反時計回りで回転させ、そのため、第2部分30bは、休止位置に配置される。上記位置において、扇状体は、軸7に向けて後退される、すなわち、扇状体の膨張動作位置(上述した位置)から解体位置まで設定される。
【0035】
同様に本発明において、アクチュエータ34(
図4及び
図5)は、負荷測定コントローラ40Cに連結されており、この負荷測定コントローラは、歯部30bによって捕捉素子38にかけた負荷を、ひいては扇状体12_Bのこの扇状体に隣接する他の扇状体12_Bへの閉塞力を(公知の技術を用いて)測定して調整するように構成されている。
【0036】
負荷は、直接測定されており、公知のタイプのデバイスを用いて、閉塞動作中にレバー本体30の腕部31bにより維持される変形を測定し、この閉塞動作において、腕部31bは、端部分30bが座部39に押圧されることによって貫通する作動位置に設定する。
【0037】
主として、上記腕部31bに伸縮計SGを配置しており、この伸縮計は、公知の技術により、導電体からなる複数のコイルからなり、その抵抗は、腕部の変形(ひいては腕部にかかる負荷)に従って変化する。
【0038】
腕部31aに伸縮計SG2を取り付けてレバー本体30の角度制限部分を検知することがさらに可能であり、この角度制限部分において、レバー本体30は、停止部32fに当接する。測定信号は、公知のタイプの閉回路制御システム(図示略)に伝送され、この閉回路制御システムは、入力部において目的の負荷値を示す基準信号を受信し、出力部においてアクチュエータ34のための制御信号を生成し、そのため、歯部30bによりかけられた負荷は、基準負荷に収束する。あるいは、負荷を間接的に測定して得ることは可能である。
【0039】
例えば、アクチュエータ34が電気モータ42により駆動されるネジジャッキからなる場合、負荷の測定は、電気モータ42により吸収される電流Iaを測定することによって間接的に得られ、これは、公知のタイプの補間を用いて負荷をたどる。レバー本体30が隣接する部品と接触することなく自由に回転する場合、モータ42の供給電流Iaは、一定値Irをとり、この値Irは、歯部30bが捕捉組立体38に当接すると、アクチュエータ34によりかけられる閉鎖応力に起因して、著しく増大する。歯部30bにより捕捉組立体38にかかる力の値に対応する第1電流限界値If1に達すると、電気モータ42を阻止する。これにより、基準負荷に達し、互いに接触して配置されている扇状体12間に過剰な力がかかることを防止することを確保し、そのため、接触して配置されている部品への損傷を防止する。
【0040】
反時計回りで回転した後にレバー本体30がブロック32により支持される停止部32fに当接すると、角度方向の停止に対応する第2電流限界値If2を検出し、電気モータ42を阻止する。
【0041】
本発明において、捕捉組立体38は、中心合せ機能を実行しており、上記目的のため、付属物26から延在し、したがって補強構造体21_A及び扇状体12_Aと一体とされた第1捕捉本体R1(
図5及び
図6)と、本体40から延在し、したがって補強構造体21_B及び扇状体12_Bと一体とされた第2捕捉本体R2と、を備える。
【0042】
第1及び第2捕捉本体R1、R2間を連結することにより、扇状体12_Aを隣接する他の扇状体12_Bに対する位置付けをあらかじめ設定することを確保し、対称軸7から積層面5に向けて径方向に延在する軸RDに垂直な平面PZ(
図4)のx−y方向に沿う並進移動を防止する。
【0043】
特に、第1捕捉本体R1は、カップ状本体50を備え、このカップ状本体は、付属物26と一体であり、軸RDと同軸であり、捕捉本体R2に向けて開口する。第1捕捉本体R1は、3つの金属素子52をさらに備え、この金属素子は、カップ状本体50の内側に収容されており、軸RDを向きかつ特に上記軸に対して傾斜する平坦壁部53によって−他の
ものとの間で−区画されている。
【0044】
第2捕捉本体R2は、直線金属付属物56を備え、この直線金属付属物は、平行六面体本体40により支持されており、径方向RDに延在して自由部分56cで終端し、この自由部分は、本体40から突出し、カップ状本体50の開口部を向き、球形帽子状構造部の形態をなす。
【0045】
捕捉本体R1及びR2を互いに連結すると、自由部分56は、カップ状本体50に進入し、球形帽子状構造部56は、傾斜平坦壁部53(
図6)それぞれと単一点P1、P2、P3で当接する。平面PZは、3点P1、P2、P3を通過する。したがって、球形帽子状構造部56の3つの傾斜平面53との接点は、平面PZに沿って部品を正確に空間的に位置付けることを確保し、軸xyに沿う並進移動を防止する。
【0046】
特に、カップ状本体の内側にある3つの金属素子52の位置は、カップ状本体50のベース壁部に設けられたネジ穴部60を通って延在するネジ59(
図6)を用いて調整される。各ネジ59は、それぞれの金属素子52の内側に設けられた座部に配置された第1端部と、カップ状本体から突出し、六角形の座部が設けられた第2端部と、を有する。ネジ59の位置を軸方向で調整することにより、カップ状本体50の内側にある傾斜壁部53の位置、ひいては3点P1、P2、P3の空間位置を変更することができる。
【0047】
上記動作は、互いに対して扇状体の最適位置を記憶するために、扇状体の閉塞ステップにおいて実行される。上記最適位置は、その後、扇状体の開放−閉塞動作中に維持される。
【符号の説明】
【0048】
2 デバイス、4 積層マンドレル,マンドレル、5 外面,面、7 対称軸,軸、12 扇状体、12_A 第1扇状体、12_B 第2扇状体、13 直線縁部,縁部、13s 周辺重複領域,重複領域、25 クランプデバイス,制約デバイス,可動部材,部材、30 レバー本体、30a 第1端部分,第1部分、30b 第2テーパ状端部分,第2端部分,第2部分,第2歯状端部分,歯状部分,歯部、30c 中央部分、33 ヒンジ軸、34 アクチュエータ、35 直線状出力部材,出力部材、36 端部分、38 捕捉組立体,捕捉素子、50 カップ状本体、52 金属素子、53 傾斜平坦壁部、平坦壁部、P1,P2,P3 単一点、PZ 調整面、R1 第1捕捉本体、R2 第2捕捉本体、RD 軸