(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本開示を説明するが、本開示は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本開示の表示装置、全般に関する説明
2.実施例1(本開示の表示装置[第1の態様に係る表示装置])
3.実施例2(実施例1の変形[第2の態様に係る表示装置])
4.実施例3(実施例1〜実施例2の変形)、その他
【0012】
[本開示の第1の態様及び第2の態様に係る表示装置、全般に関する説明]
本開示の第1の態様に係る表示装置において、基準定電流は、2次元マトリクス状の画素配列の画素列毎に配線された電流供給線を通して各画素の電流源に供給される構成とすることができる。また、差動増幅器の出力は、走査信号に同期してオン/オフ動作を行うトランジスタを介して電流源トランジスタのゲート電極に与えられる構成とすることができる。
【0013】
本開示の第2の態様に係る表示装置において、電流源トランジスタのゲート電極に与えられる電圧は、画素各々の電流源トランジスタの特性ばらつきに対応して設定される構成とすることができる。また、電流源トランジスタのゲート電極に与えられる電圧は、画素各々の発光部の特性ばらつきに対応して設定される構成とすることができる。
【0014】
上記の各種の好ましい構成、形態を含む本開示の第1の態様及び第2の態様に係る表示装置にあっては、複数の画素が第1の方向及び第2の方向に2次元マトリクス状に配列されているが、第1の方向に沿って配列された画素群を『列方向画素群』と呼ぶ場合があるし、第2の方向に沿って配列された画素群を『行方向画素群』と呼ぶ場合がある。第1の方向を表示装置における垂直方向とし、第2の方向を表示装置における水平方向とした場合、列方向画素群とは垂直方向に配列された画素群を意味し、行方向画素群とは水平方向に配列された画素群を意味する。
【0015】
上記の各種の好ましい構成、形態を含む本開示の第1の態様及び第2の態様に係る表示装置において、
複数の画素は、第1の方向及び第2の方向に2次元マトリクス状に配列され、画素群は第1の方向に沿ってP個の画素ブロックに分割されており、
第1番目の画素ブロックに属する画素を構成する発光部から、第P番目の画素ブロックに属する画素を構成する発光部まで、画素ブロック毎に、順次、一斉に発光させ、且つ、一部の画素ブロックに属する画素を構成する発光部を発光させているとき、残りの画素ブロックに属する画素を構成する発光部を発光させない形態とすることができる。
【0016】
上記の各種の好ましい構成、形態を含む本開示の第1の態様及び第2の態様に係る表示装置にあっては、複数の制御パルスに基づき、発光部が、複数回、発光する形態とすることができる。そして、この場合、複数の制御パルスの時間間隔は一定であることが好ましい。
【0017】
また、上記の各種の好ましい構成、形態を含む本開示の第1の態様及び第2の態様に係る表示装置にあっては、1表示フレーム内における制御パルスの数よりも、1表示フレーム内における駆動回路に供給される制御パルスの数は少ない形態とすることができる。この形態は、1表示フレームにおいて一連の複数の制御パルスを生成し、一の画素ブロックに属する画素を構成する発光部を発光させないとき、一連の複数の制御パルスの一部をマスクして、一の画素ブロックに属する画素を構成する駆動回路には制御パルスを供給しないことで達成することができる。
【0018】
更には、以上に説明した各種の好ましい構成、形態を含む本開示の第1の態様及び第2の態様に係る表示装置にあっては、1表示フレームにおいて、常に、いずれかの画素ブロックが発光している構成とすることができるし、あるいは又、1表示フレームにおいて、発光していない画素ブロックが存在する構成とすることができる。
【0019】
更には、以上に説明した各種の好ましい構成、形態を含む本開示の第1の態様及び第2の態様に係る表示装置において、1つの制御パルスの電圧の絶対値は、時間の経過と共に、増加し、次いで、減少する形態であることが好ましい。これによって、各画素ブロックに属する全画素を構成する発光部を、同じタイミングで発光させることができる。即ち、各画素ブロックに属する全画素を構成する発光部の発光の時間的重心を揃える(一致させる)ことができる。そして、この場合、時間の経過と共に変化する制御パルスの電圧によってガンマ補正がなされることが好ましく、これによって、表示装置の回路全体の簡素化を図ることができる。尚、時間を変数とした制御パルスの電圧の変化率(微分値)の絶対値は、定数2.2に比例する形態とすることが好ましい。
【0020】
更には、以上に説明した各種の好ましい構成、形態を含む本開示の第1の態様及び第2の態様に係る表示装置において、発光部は発光ダイオード(LED)から構成されている形態とすることができる。発光ダイオードは、周知の構成、構造の発光ダイオードとすることができる。即ち、発光ダイオードの発光色に依って、最適な構成、構造を有し、適切な材料から作製された発光ダイオードを選択すればよい。発光ダイオードを発光部とする表示装置にあっては、赤色発光ダイオードから成る発光部が赤色発光副画素(サブピクセル)として機能し、緑色発光ダイオードから成る発光部が緑色発光副画素として機能し、青色発光ダイオードから成る発光部が青色発光副画素として機能し、これらの3種類の副画素によって1画素が構成され、これらの3種類の副画素の発光状態によってカラー画像を表示することができる。尚、本開示における『1画素』は、このような表示装置における「1副画素」に相当するので、このような表示装置における「1副画素」を、『1画素』と読み替えればよい。3種類の副画素によって1画素を構成する場合、3種類の副画素の配列として、デルタ配列、ストライプ配列、ダイアゴナル配列、レクタングル配列を挙げることができる。そして、発光ダイオードを、PWM駆動法に基づき、しかも、定電流駆動することで、発光ダイオードのスペクトル波長にブルーシフトが生じることを防止することができる。また、3つのパネルを準備し、第1のパネルを赤色発光ダイオードから成る発光部から構成し、第2のパネルを緑色発光ダイオードから成る発光部から構成し、第3のパネルを青色発光ダイオードから成る発光部から構成し、これらの3つのパネルからの光を、例えば、ダイクロイック・プリズムを用いて纏めるプロジェクタへ適用することもできる。
【0021】
更には、以上に説明した各種の好ましい構成、形態を含む本開示の表示装置にあっては、各画素ブロックにおいて、第2の方向に配列された1列に属する全ての画素(行方向画素群)における信号書込みトランジスタは、一斉に作動状態となる構成とすることができる。そして、このような構成にあっては、各画素ブロックにおいて、行方向画素群における信号書込みトランジスタが一斉に作動状態となる動作が、第1の方向に配列された第1行目に属する全ての画素(第1行目の行方向画素群)における信号書込みトランジスタから最終行に属する全ての画素(最終行の行方向画素群)における信号書込みトランジスタまで、順次、行われる構成とすることができ、更には、各画素ブロックにおいて、行方向画素群における信号書込みトランジスタが一斉に作動状態となる動作が、第1行目の行方向画素群における信号書込みトランジスタから最終行の行方向画素群における信号書込みトランジスタまで、順次、行われた後、該画素ブロックに制御パルスが供給される構成とすることができる。尚、各画素ブロックにおいて、行方向画素群における信号書込みトランジスタが一斉に作動状態となる動作が、第1行目の行方向画素群における信号書込みトランジスタから最終行の行方向画素群における信号書込みトランジスタまで、順次、行われる期間を、『信号電圧書込み期間』と呼び、各画素ブロックに属する全画素を構成する発光部が一斉に発光している期間を、『画素ブロック発光期間』と呼ぶ場合がある。
【実施例1】
【0022】
実施例1は、本開示の表示装置に関する。実施例1の表示装置における発光部及び駆動回路から構成された画素等の概念図を
図1Aに示し、実施例1の表示装置における駆動回路を構成するコンパレータ回路の回路図を
図1Bに示す。また、実施例1の表示装置における駆動回路を構成する電流源の回路図を
図2に示し、参考例の電流源の回路図を
図3に示す。更に、実施例1の表示装置を構成する回路の概念図を
図4に示す。尚、図面の簡素化のため、
図4には3×5個の画素を図示している。
【0023】
実施例1の表示装置は、発光部10、及び、発光部10を駆動する駆動回路11から構成された画素(より具体的には、副画素であり、以下においても同様である)1が、複数、2次元マトリクス状に配列されて成る。具体的には、複数の画素1は、第1の方向及び第2の方向に2次元マトリクス状に配列されている。そして、画素群は第1の方向に沿ってP個の画素ブロックに分割されている。各駆動回路11は、
(a)制御パルス線PSL及びデータ線DTLに接続され、制御パルス線PSLからの鋸波形の電圧変化を有する制御パルスLCPとデータ線DTLからの信号電圧(発光強度信号)V
Sigに基づく電位とを比較し、比較結果に基づく所定電圧(便宜上、『第1の所定電圧』と呼ぶ)を出力するコンパレータ回路12、
(b)発光部10に駆動電流、例えば定電流を供給する電流源13、及び、
(c)コンパレータ回路12からの第1の所定電圧の出力によって作動され、以て、電流源13から発光部10に電流を供給し、発光部10を駆動する発光部駆動用トランジスタTR
Drv、
を備えている。尚、信号電圧V
Sigは、具体的には、画素における発光状態(輝度)を制御する映像信号電圧である。
【0024】
図1Bに示すように、実施例1のコンパレータ回路12は、例えば、差動型コンパレータ回路から成る。具体的には、コンパレータ回路12は、
信号電圧(発光強度信号)V
Sigが入力される信号書込みトランジスタTR
Sig、
信号書込みトランジスタTR
Sigに接続され、信号書込みトランジスタTR
Sigの作動に基づき、信号電圧V
Sigに基づく電位を保持する容量部C
0、及び、
容量部C
0が保持した信号電圧V
Sigに基づく電位と制御パルスLCPとを2入力とする差動回路121、
から成る比較部を備えている。
【0025】
尚、ここでは、実施例1のコンパレータ回路12として差動型コンパレータ回路を例示したが、これに限られるものではない。実施例1のコンパレータ回路12としては、差動型コンパレータ回路の他、チョッパー型コンパレータ回路など、種々のタイプのコンパレータ回路を用いることができる。
【0026】
信号書込みトランジスタTR
Sig及び発光部駆動用トランジスタTR
Drvは、ゲート電極、チャネル形成領域及びソース/ドレイン電極から構成された、従来の電界効果トランジスタから成る。信号書込みトランジスタTR
Sigはnチャネル型の電界効果トランジスタであり、発光部駆動用トランジスタTR
Drvはpチャネル型の電界効果トランジスタであるが、このようなチャネル型に限定するものではない。
【0027】
信号書込みトランジスタTR
Sigのゲート電極は、走査線SCLを介して、表示装置に備えられた走査回路102に接続されている。また、信号書込みトランジスタTR
Sigの一方のソース/ドレイン電極は、データ線DTLを介して、表示装置に備えられた画像信号出力回路104に接続されている。更には、信号書込みトランジスタTR
Sigの他方のソース/ドレイン電極は、容量部C
0の一端に接続されている。容量部C
0の他端は、負電位側の電源(実施例1では、グランドGND)に接続されている。
【0028】
そして、信号書込みトランジスタTR
Sigには、画像信号出力回路104からデータ線DTLを通して、信号電圧(発光強度信号)V
Sigが入力される。容量部C
0は、信号書込みトランジスタTR
Sigの作動に基づき、信号電圧V
Sigに基づく電位を保持する。この信号電圧V
Sigに基づく電位は、差動回路121の反転(−)入力端に入力される。一方、差動回路121の非反転(+)入力端には、鋸波形の電圧変化を有する制御パルスLCPが入力される。
【0029】
発光部駆動用トランジスタTR
Drvのゲート電極は、コンパレータ回路12の出力部(出力端)となる、差動回路121の出力部に接続されている。また、発光部駆動用トランジスタTR
Drvは、一方のソース/ドレイン電極が、電流源13を介して正電位側の電源V
ddに接続され、他方のソース/ドレイン電極が、発光部10に接続されている。発光部10は発光ダイオードから成る。
【0030】
電流源13には、電流供給線CSLを通して、基準定電流供給部101から定電流が供給される。尚、基準定電流供給部101、走査回路102、制御パルス生成回路103、画像信号出力回路104等は、表示装置に配設されていてもよいし、外部に配設されていてもよい。
【0031】
次に、実施例1の電流源13について説明する。
図2に示すように、実施例1の電流源13は、インバータ回路131、差動増幅器132、3つのpチャネル型の電界効果トランジスタTR
11,TR
12,TR
13、及び、1つの容量部C
11から成る構成となっている。
【0032】
インバータ回路131には、走査線SCLを介して、表示装置に備えられた走査回路102から走査信号が入力される。差動増幅器132は、基準定電流供給部101から電流供給線CSLを通して供給される所望の定電流に基づく電圧を非反転(+)とし、基準電圧V
Refを反転(−)入力端とする。
【0033】
ここで、基準電圧V
Refについては、電界効果トランジスタTR
13が飽和領域に達する最少のドレイン‐ソース間電圧を、電源電位V
ddから差し引いた電位よりも低くし、基準定電流供給部101の接地側でない方の端子が所望の電流を流せる電位に、電流供給線CSLの抵抗に基準定電流供給部101の電流で発生した両端電圧値を加えた電位よりも大きければ、特に厳密に定めなくてよい。その理由は、次のとおりである。
【0034】
差動増幅器132は理想増幅器であるとし、オフセット電圧は無視できるとする。走査信号がアクティブな区間で電界効果トランジスタTR
12のドレイン電圧が基準電圧V
Refよりも高ければ、差動増幅器132の出力電圧が上昇する。また、電界効果トランジスタTR
11を介して電界効果トランジスタTR
13のゲート電圧を上昇させ、当該トランジスタTR
13のソース‐ドレイン電流を減少させる。これにより、電界効果トランジスタTR
12のドレイン電圧は下降する。
【0035】
また、電界効果トランジスタTR
12のドレイン電圧が基準電圧V
Refよりも低ければ、差動増幅器132の出力電圧が下降して、電界効果トランジスタTR
11を介して電界効果トランジスタTR
13のゲート電圧を下降させ、当該トランジスタTR
13のソース‐ドレイン電流を増加させる。これにより、電界効果トランジスタTR
12のドレイン電圧は上昇する。
【0036】
このようにして、電界効果トランジスタTR
12のドレイン電圧は、基準電圧V
Refに収束し、電界効果トランジスタTR
12のドレインの電圧は変化しなくなる。これは、電界効果トランジスタTR
13のソースドレイン電流と
電流源101の電流が同じ値になったことを意味する。
【0037】
つまり、差動増幅器132によって、電界効果トランジスタTR
13のゲート電圧は、当該トランジスタTR
13のドレイン‐ソース電流が基準定電流供給部101の電流値と同じになる条件下で、電界効果トランジスタTR
13のドレイン‐ソース間電圧が電源電位V
ddから基準電圧V
Refを差し引いたものになるように調整されることを意味する。そして、差動増幅器132の基準電圧V
Refの設定電圧は、上記説明した電圧範囲で使えば所望の動作をすることが出来る。以上が、基準電圧V
Refについて特に厳密に定めなくてよい理由である。
【0038】
電界効果トランジスタTR
11,TR
12は、各ゲート電極がインバータ回路131の出力端に共通に接続されている。従って、電界効果トランジスタTR
11,TR
12には、走査信号(走査線SCLの電位)がインバータ回路131で極性反転されて入力される。これにより、電界効果トランジスタTR
11,TR
12は、走査信号に同期してオン/オフ動作を行う。
【0039】
電界効果トランジスタTR
11は、一方のソース/ドレイン電極が電界効果トランジスタTR
13のゲート電極に接続され、他方のソース/ドレイン電極が差動増幅器132の出力端に接続されている。また、電界効果トランジスタTR
12は、一方のソース/ドレイン電極が発光部駆動用トランジスタTR
Drvの一方のソース/ドレイン電極に接続され、他方のソース/ドレイン電極が電流供給線CSLに接続されている。
【0040】
電界効果トランジスタTR
13は、電流源トランジスタであり(以下、「電流源トランジスタTR
13」と記述する場合もある)、ゲート電極が電界効果トランジスタTR
11の一方のソース/ドレイン電極に接続されている。電流源トランジスタTR
13は更に、一方のソース/ドレイン電極が正電位側の電源V
ddに接続され、他方のソース/ドレイン電極が発光部駆動用トランジスタTR
Drvの一方のソース/ドレイン電極に接続されている。容量部C
11は、一方の電極が正電位側の電源V
ddに接続され、他方の電極が電界効果トランジスタTR
11の一方のソース/ドレイン電極及び電流源トランジスタTR
13のゲート電極に接続されている。
【0041】
以上に説明した構成の実施例1の電流源13は、電流書き込み型の定電流回路である。そして、差動増幅器132の出力は、走査信号に同期してオン/オフ動作を行う電界効果トランジスタTR
11を介して電流源トランジスタTR
13のゲート電極に与えられる。尚、実施例1の電流源13を用いる駆動回路にあっては、発光部10に対してnチャネル型の電界効果トランジスタTR
00が並列に接続された構成となっている。
【0042】
ところで、画素1の駆動回路11を構成する電流源13は、各色毎に同一の電流値でばらつきが少ないことが必要とされる。電流値のばらつきを少なくできる回路としては、
図3に示す、電流書き込み型の定電流回路が考えられる。この電流書き込み型の定電流回路について、参考例の電流源13’として以下に説明する。
【0043】
図3に示すように、参考例の電流源13’は、インバータ回路131、3つのpチャネル型の電界効果トランジスタTR
11,TR
12,TR
13、及び、1つの容量部C
11から成る構成となっている。
【0044】
インバータ回路131には、走査線SCLを介して、表示装置に備えられた走査回路102から走査信号が入力される。電界効果トランジスタTR
11,TR
12は、互いに直列に接続され、各ゲート電極がインバータ回路131の出力端に共通に接続されている。従って、電界効果トランジスタTR
11,TR
12には、走査信号(走査線SCLの電位)がインバータ回路131で極性反転されて入力される。
【0045】
電流源トランジスタTR
13は、ゲート電極が電界効果トランジスタTR
11の一方のソース/ドレイン電極に接続されている。電流源トランジスタTR
13は更に、一方のソース/ドレイン電極が正電位側の電源V
ddに接続され、他方のソース/ドレイン電極が発光部駆動用トランジスタTR
Drvの一方のソース/ドレイン電極に接続されている。容量部C
11は、一方の電極が正電位側の電源V
ddに接続され、他方の電極が電界効果トランジスタTR
11の一方のソース/ドレイン電極及び電流源トランジスタTR
13のゲート電極に接続されている。
【0046】
電界効果トランジスタTR
11,TR
12の共通接続ノード、即ち、電界効果トランジスタTR
11の他方のソース/ドレイン電極及び電界効果トランジスタTR
12の一方のソース/ドレイン電極は、電流源トランジスタTR
13の他方のソース/ドレイン電極に接続されている。
【0047】
以上に説明した構成の電流書き込み型の定電流回路から成る電流源13’は、参考例である。この参考例の電流源13’の入力端、より具体的には、電界効果トランジスタTR
12の他方のソース/ドレイン電極には、電流供給線CSLを通して、基準定電流供給部101から所望の定電流I
Refが供給される。
【0048】
この参考例の電流源13’の回路動作は次のとおりである。即ち、走査信号(走査線SCLの電位)が高レベルになると、電界効果トランジスタTR
11,TR
12が共にオン状態になる。すると、これら電界効果トランジスタTR
11,TR
12を介して、電流源トランジスタTR
13に基準定電流供給部101の基準定電流I
Refが流れる。そのときに、容量部C
11の両端電圧は、電流源トランジスタTR
13に基準定電流供給部101と同じ電流を流す電圧となる。
【0049】
走査信号が低レベルの区間では、電界効果トランジスタTR
11がオフ状態になることによって容量部C
11が切り離され、当該容量部C
11は電流源トランジスタTR
13に基準定電流供給部101と同じ電流を流す電圧を保持する。そして、コンパレータ回路12の出力が第1の所定電圧(L)になると、電流源トランジスタTR
13は、容量部C
11の保持電圧に基づいて、基準定電流供給部101と同じ電流を発光部10に流す。
【0050】
上述したように、参考例の電流源13’は、電流源トランジスタTR
13に基準定電流供給部101と同じ電流を流す電圧を容量部C
11に保持し、この保持した電圧に基づいて、基準定電流供給部101と同じ電流を発光部10に流すように動作する。従って、電流源トランジスタTR
13の画素毎の特性ばらつきを考慮する必要がなくなる利点がある。この点については、実施例1の電流源13にあっても基本的に同じである。
【0051】
ところで、電流書き込み型の電流源を用いて表示装置を構成するには、基準定電流供給部(基準定電流源)101を、1垂直ライン(1画素列)に各色1つ配置し、垂直ラインの全ての画素が当該基準定電流源101に繋がるようにするのが最も効率がよい。この場合、画素の位置によっては、基準定電流供給部101はかなり長距離の配線(電流供給線CSL)を経て画素回路に接続されることになる。即ち、各画素の電流源13には基準定電流供給部101から、垂直ライン(画素列)毎に配線された電流供給線CSLを通して基準定電流I
Refが供給される。従って、実際には、
図3に示すように、容量部C
11には電流供給線CSLの配線抵抗Rや配線容量Cも接続されていることになる。通常、容量部C
11の容量値よりも配線容量Cの容量値の方が大きい。
【0052】
一方、走査信号は、水平ライン(画素行)間の混線を避けるために、隣接する水平ラインが非アクティブ状態になってから、少しのラグ時間を経てアクティブ状態になる。そのラグ時間の間に、基準定電流供給部101による電流流出のために配線(電流供給線CSL)の電位が少し低下する。この少し低下した配線の電位を、電流源トランジスタTR
13が基準定電流供給部101の基準定電流I
Refと同じ電流を流す電位になるまで、走査信号のアクティブ区間内に上げなければならない。
【0053】
しかしながら、電流供給線CSLの配線容量Cと容量部C
11とを充電し、配線の電位を変える電流値はこの両者の差分の電流値だけで、電流源トランジスタTR
13の電流が基準定電流供給部101の基準定電流I
Refに近づくにつれて小さくなってしまう。結果として、容量部C
11の電圧が所望の電圧に達するのに要する時間が長くなり(所謂セトリング問題)、走査信号のアクティブ区間内に容量部C
11の電圧が所望の電圧に達することができないこともあり得る。そして、容量部C
11の電圧が所望の電圧に達しないと、定電流書き込みが事実上できなくなるため、電流源トランジスタTR
13の電流値がばらついてしまう。
【0054】
これに対して、実施例1の電流源13にあっては、走査信号のアクティブ区間内に、差動増幅器132が電流源トランジスタTR
13のゲート電位をコントロールする。具体的には、走査信号のアクティブ区間では、電界効果トランジスタTR
11がオン状態にある。そして、走査信号のアクティブ区間において、配線(電流供給線CSL)の電位が基準電圧V
Refよりも低い場合は、差動増幅器132は、電流源トランジスタTR
13のゲート電位を下げることによって、電界効果トランジスタTR
12が、電流源トランジスタTR
13に流れる電流に応じて配線(電流供給線CSL)の電位を上げる方向に素早くコントロールする。これにより、容量部C
11の電圧が所望の電圧に達する(収束する)のに要する時間を早くすることができる。即ち、電流源トランジスタTR
13のゲート電位の収束に時間がかかるセトリング問題を解消できる。そして、電流源トランジスタTR
13の電流を、基準定電流供給部101の基準定電流I
Refに合わせることができる。
【0055】
図5に、実施例1の電流源の具体的な回路構成の一例を示す。差動増幅器132は、例えば、電界効果トランジスタによって次のように構成されている。pチャネル型の電界効果トランジスタTR
21,TR
22は、差動対トランジスタであり(以下、「差動対トランジスタTR
21,TR
22」と記述する場合もある)、ソース電極が共通に接続されて差動回路を構成している。そして、一方の差動対トランジスタTR
21は、基準電圧V
Refをゲート入力とし、他方の差動対トランジスタTR
22は、配線(電流供給線CSL)の電位をゲート入力としている。
【0056】
nチャネル型の電界効果トランジスタTR
23,TR
24は、上記の差動回路の能動負荷となるカレントミラー回路を構成している。電界効果トランジスタTR
23は、ドレイン電極及びゲート電極が共に一方の差動対トランジスタTR
21のドレイン電極に接続され、ソース電極が低電位側の電源GNDに接続されている。電界効果トランジスタTR
24は、ゲート電極が電界効果トランジスタTR
23のゲート電極に接続され、ドレイン電極が他方の差動対トランジスタTR
22のドレイン電極に接続され、ソース電極が低電位側の電源GNDに接続されている。
【0057】
pチャネル型の電界効果トランジスタTR
25は、上記の差動回路に定電流を供給する定電流源トランジスタであり(以下、「定電流源トランジスタTR
25」と記述する場合もある)、差動対トランジスタTR
21,TR
22のソース共通接続ノードと正電位側の電源V
ddとの間に接続されている。定電流源トランジスタTR
25のゲート電極には、pチャネル型の電界効果トランジスタTR
26,TR
27,TR
28及びnチャネル型の電界効果トランジスタTR
29,TR
30から成る定電圧回路で生成される一定の電圧が印加される。
【0058】
上記の定電圧回路において、pチャネル型の電界効果トランジスタTR
26,TR
27,TR
28及びnチャネル型の電界効果トランジスタTR
29,TR
30が、正電位側の電源V
ddと低電位側の電源GNDとの間に直列に接続されている。電界効果トランジスタTR
26は、ゲート電極が定電流源トランジスタTR
25のゲート電極に接続されている。電界効果トランジスタTR
27は、インバータ回路131で反転された反転走査信号をゲート入力とすることで、走査信号のアクティブ区間にオン状態になり、定電圧回路を作動状態とする。電界効果トランジスタ
TR26,TR28,TR
29,TR
30は、ゲート電極とドレイン電極とが共通に接続されたダイオード接続構成となっている。
【0059】
上記の差動回路において、他方の差動対トランジスタTR
22と電界効果トランジスタTR
24とのドレイン共通接続ノードが、当該差動回路の出力ノードとなっている。そして、この出力ノードと低電位側の電源GNDとの間にnチャネル型の電界効果トランジスタTR
31が接続されている。この電界効果トランジスタTR
31は、インバータ回路131で反転された反転走査信号をゲート入力とし、走査信号の非アクティブ区間でオン状態、アクティブ区間でオフ状態になる。差動回路の出力ノードには、ソース接地回路を構成するnチャネル型の電界効果トランジスタTR
32のゲート電極が接続されている。そして、電界効果トランジスタTR
32のドレイン電極が本差動増幅器132の出力ノードとなる。この出力ノードと正電位側の電源V
ddとの間には、ダイオード接続構成のpチャネル型の電界効果トランジスタTR
33が接続されている。
【実施例2】
【0060】
実施例2は、実施例1の変形である。実施例2の表示装置における駆動回路を構成する電流源の回路図を
図6に示し、また、実施例2の表示装置を構成する回路の概念図を
図7に示す。
【0061】
先述した電流書き込み型の定電流回路にあっては、電流源トランジスタTR
13のゲート電極に対する書き込み電圧の収束問題(セトリング問題)があり、あまり早い書き込み時間に対応するのが難しい。また、実施例1の電流源13にあっては、差動増幅器132を構成する素子数が多いため、回路面積的に不利な面がある。
【0062】
これに対して、実施例2にあっては、電流源トランジスタTR
13のゲート電極に対して画素個々に設定された電圧を直接書き込む(与える)構成を採る。そして、この構成を採ることによって、電流源トランジスタTR
13のゲート電極に対する書き込み電圧の収束問題(セトリング問題)を解消できる。具体的には、実施例2にあっては、駆動回路11を構成する電流源13として、
図6に回路図を示す電圧書き込み型の定電流回路を用いる。
【0063】
ところで、電圧書き込み型の定電流回路にあっては、各画素の電流源トランジスタTR
13に対して同じ電圧を書き込んだとしても、電流源トランジスタTR
13の画素毎の特性ばらつきにより、電流源トランジスタTR
13に流れる電流値がばらつく場合がある。そこで、実施例2の表示装置にあっては、
図7に示すように、電圧書き込み回路105を有し、当該電圧書き込み回路105から、画素列毎に配線された電圧供給線VSLを通して、電流源トランジスタTR
13のゲート電極に対して画素各々に別々の電圧値を直接書き込むようにする。
【0064】
通常、各画素1の発光部10となる発光ダイオードの特性は画素毎にばらついている。この発光ダイオードの特性ばらつきは、画面の表示ムラとなって視認される。そこで、あらかじめ、各画素毎に、発光ダイオードの特性ばらつきや、電流源トランジスタTR
13の特性ばらつきを考慮して、これらのばらつきを補正する電圧値を設定し、電圧書き込み回路105に格納しておく。そして、電流源トランジスタTR
13や発光ダイオードの画素毎の特性ばらつきを考慮して画素毎に別々に設定した電圧値を、電圧書き込み回路105から電圧供給線VSLを通して、電流源トランジスタTR
13のゲート電極に対して画素行単位で直接書き込む。
【0065】
このように、電流源トランジスタTR
13や発光ダイオードの特性ばらつきを考慮して、画素各々に別々の電圧値を書き込むシステム構成を採ることで、電流源トランジスタTR
13の画素毎の特性ばらつきを補正できるとともに、発光ダイオードの画素毎の特性ばらつきについても補正することができる。つまり、画素毎に別々に設定した電圧値を各画素に書き込むことで、電流源トランジスタTR
13に流れる電流値を画素毎に微調整することができるため、特に、発光ダイオードの特性ばらつきに起因する画面の表示ムラを補正可能な表示装置を実現することができる。
【実施例3】
【0066】
実施例3は、実施例1あるいは実施例2の変形である。
図8に、実施例3の表示装置において、1つの画素の動作を説明するための制御パルス等を示す模式図を示す。また、実施例3の表示装置における画素ブロックへの複数の制御パルスの供給を模式的に
図9に示す。更には、本開示の表示装置における制御パルス生成回路の概念図を
図11に示す。尚、
図9及び後述する
図10においては、制御パルスの鋸波形を、便宜上、三角形で示している。
【0067】
実施例3の表示装置は、発光部10、及び、発光部10を駆動する駆動回路11から構成された画素1が、複数、第1の方向及び第2の方向に2次元マトリクス状に配列され、画素群は第1の方向に沿ってP個の画素ブロックに分割されて成る表示装置である。そして、第1番目の画素ブロックに属する画素1を構成する発光部10から、第P番目の画素ブロックに属する画素1を構成する発光部10まで、画素ブロック毎に、順次、一斉に発光させ、且つ、一部の画素ブロックに属する画素1を構成する発光部10を発光させているとき、残りの画素ブロックに属する画素1を構成する発光部10を発光させない。
【0068】
例えば、画面の水平方向(第2の方向)の画素数が1920、画面の垂直方向(第1の方向)の画素数が1080であるフルHD高精細フルカラー表示装置を想定する。画素群は、第1の方向に沿ってP個の画素ブロックに分割されているが、P=6とする。すると、第1番目の画素ブロックには第1行目の画素群から第180行目の画素群が含まれ、第2番目の画素ブロックには第181行目の画素群から第360行目の画素群が含まれ、第3番目の画素ブロックには第361行目の画素群から第540行目の画素群が含まれ、第4番目の画素ブロックには第541行目の画素群から第720行目の画素群が含まれ、第5番目の画素ブロックには第721行目の画素群から第900行目の画素群が含まれ、第6番目の画素ブロックには第901行目の画素群から第1080行目の画素群が含まれる。
【0069】
以下、第1番目の画素ブロックにおける各画素の動作を説明する。
【0070】
[信号電圧書込み期間]
実施例1において説明したように、容量部C
0には、データ線DTLの電位、即ち、信号電圧V
Sigに基づく電位に応じた電荷が蓄積される。云い換えれば、容量部C
0は、信号電圧に基づく電位を保持する。ここで、第1番目の画素ブロックにおいて、第2の方向に配列された1列に属する全ての画素(行方向画素群)における駆動回路11(具体的には、信号書込みトランジスタTR
Sig)を、一斉に作動状態とする。そして、第1番目の画素ブロックにおいて、第2の方向に配列された1列に属する全ての画素(行方向画素群)における駆動回路11(具体的には、信号書込みトランジスタTR
Sig)が一斉に作動状態となる動作が、第1の方向に配列された第1行目に属する全ての画素(第1行目の行方向画素群)における駆動回路11(具体的には、信号書込みトランジスタTR
Sig)から最終行(具体的には、第180行目)に属する全ての画素(最終行の行方向画素群)における駆動回路11(具体的には、信号書込みトランジスタTR
Sig)まで、順次、行われる。
【0071】
[画素ブロック発光期間]
第1番目の画素ブロックにおいて、以上の動作が完了すると、制御パルス生成回路103から、第1番目の画素ブロックに制御パルスLCPが供給される。即ち、第1番目の画素ブロックにおける全画素1を構成する駆動回路11(具体的には、発光部駆動用トランジスタTR
Drv)が一斉に作動状態となり、第1番目の画素ブロックに属する全画素1における発光部10が発光する。1つの制御パルスLCPの電圧の絶対値は、時間の経過と共に、増加し、次いで、減少する。尚、
図8に示す例では、1つの制御パルスLCPの電圧は、時間の経過と共に、減少し、次いで、増加する。そして、時間の経過と共に変化する制御パルスLCPの電圧によってガンマ補正がなされる。即ち、時間を変数とした制御パルスLCPの電圧の変化率(微分値)の絶対値は、定数2.2に比例する。
【0072】
図8に示した例において、信号電圧書込み期間にあっては、制御パルスLCPの電圧は、例えば、3ボルト以上である。従って、信号電圧書込み期間にあっては、コンパレータ回路12は、出力部から第2の所定電圧(H)を出力するので、発光部駆動用トランジスタTR
Drvはオフ状態にある。画素ブロック発光期間において、制御パルスLCPの電圧が下降し始め、制御パルスLCPの鋸波形の電圧が信号電圧V
Sigに基づく電位以下になると、コンパレータ回路12は、出力部から第1の所定電圧(L)を出力する。その結果、発光部駆動用トランジスタTR
Drvはオン状態となり、電流供給線CSLから発光部10に電流が供給され、発光部10が発光する。制御パルスLCPの電圧は約1ボルトまで下降し、次いで、上昇に転じる。そして、制御パルスLCPの鋸波形の電圧と信号電圧V
Sigに基づく電位を超えると、コンパレータ回路12は、出力部から第2の所定電圧(H)を出力する。その結果、発光部駆動用トランジスタTR
Drvはオフ状態となり、電流供給線CSLから発光部10への電流の供給が遮断され、発光部10は発光を中止する。即ち、信号電圧(発光強度信号)V
Sigに基づく電位が制御パルスLCPの鋸波形を切り取る時間の間のみ、発光部10を発光させることができる。そして、このときの発光部10の輝度は、切り取られる時間の長短に依存する。
【0073】
即ち、発光部10が発光する時間は、容量部C
0に保持された電位と制御パルス生成回路103からの制御パルスLCPの電圧とに基づく。そして、時間の経過と共に変化する制御パルスLCPの鋸波形の電圧によってガンマ補正がなされる。即ち、時間を変数とした制御パルスLCPの電圧の変化率の絶対値は、定数2.2に比例するので、ガンマ補正のための回路を設けることは不要である。例えば、線形の鋸波形の電圧(三角波形)を有する制御パルスを用い、信号電圧V
Sigを線形の輝度信号に対して2.2乗で変化させる方法も考えられるが、実際には低輝度で電圧変化が小さくなり過ぎ、特に、このような電圧変化をデジタル処理にて実現するためには、大きなビット数が必要とされ、有効な方法とは云えない。
【0074】
実施例3にあっては、制御パルス生成回路103が1つ備えられている。制御パルスLCPの電圧の変化は、
図8に模式的に示すように、低階調部(低電圧部分)が非常に急峻に変化しており、特にこの部分の制御パルス波形の波形品位に対して敏感である。従って、制御パルス生成回路103において生成された制御パルスLCPのばらつきも考慮する必要がある。然るに、実施例3の表示装置にあっては、制御パルス生成回路103を1つしか備えていないので、制御パルス生成回路において生成された制御パルスLCPに、実質的に、ばらつきが生じることがない。即ち、表示装置全体を同一の制御パルス波形によって発光させることができるので、発光状態のばらつき発生を防止することができる。また、制御パルスLCPの電圧の絶対値は、時間の経過と共に、増加し、次いで、減少するので、1つの画素ブロックに属する全画素(より具体的には、全副画素)を構成する発光部を、同じタイミングで発光させることができる。即ち、各画素ブロックに属する全画素を構成する発光部の発光の時間的重心を揃える(一致させる)ことができる。それ故、列方向画素群における発光の遅延に起因した、画像上の縦線(縦筋)発生を確実に防止することができる。
【0075】
実施例3の表示装置にあっては、複数の制御パルスLCPに基づき、発光部10が、複数回、発光する。あるいは又、駆動回路11に供給される鋸波形の電圧変化を有する複数の制御パルスLCPと、信号電圧V
Sigに基づく電位とに基づき、発光部10が、複数回、発光する。あるいは又、制御パルス生成回路103にあっては、複数の制御パルスLCPに基づき、発光部10を、複数回、発光させる。複数の制御パルスLCPの時間間隔は一定である。具体的には、実施例3にあっては、画素ブロック発光期間において、4つの制御パルスLCPが、各画素ブロックを構成する全画素1に送られ、各画素1は、4回、発光する。
【0076】
図9に模式的に示すように、実施例3の表示装置にあっては、1表示フレームにおいて、12個の制御パルスLCPが6つの画素ブロックへ供給される。そして、1表示フレーム内における制御パルスLCPの数よりも、1表示フレーム内における駆動回路11に供給される制御パルスLCPの数は少ない。あるいは又、制御パルス生成回路103にあっては、1表示フレーム内における制御パルスLCPの数よりも、1表示フレーム内における駆動回路11に供給される制御パルスLCPの数は少ない。具体的には、
図9に示した例では、1表示フレーム内における制御パルスLCPの数は12であり、1表示フレーム内における駆動回路11に供給される制御パルスLCPの数は4である。隣接する画素ブロックにあっては、2つの制御パルスLCPが重なりあっている。即ち、2つ隣接する画素ブロックが同時に発光状態となる。また、第1番目の画素ブロックと最終番目の画素ブロックにあっても同時に発光状態となる。このような形態は、1表示フレームにおいて一連の複数の制御パルスLCPを生成し、一の画素ブロックに属する画素1を構成する発光部10を発光させないとき、一連の複数の制御パルスLCPの一部をマスクして、一の画素ブロックに属する画素1を構成する駆動回路11には制御パルスLCPを供給しないことで達成することができる。具体的には、例えば、マルチプレクサを用いて、1表示フレーム内における一連の制御パルスLCPから一部分(4つの連続した制御パルスLCP)を取り出し、駆動回路11に供給すればよい。
【0077】
即ち、実施例3の制御パルス生成回路103は、発光部10、及び、信号電圧V
Sigに基づく電位に応じた時間だけ発光部10を発光させる駆動回路11から構成された画素1が、複数、第1の方向及び第2の方向に2次元マトリクス状に配列され、画素群は第1の方向に沿ってP個の画素ブロックに分割されて成る表示装置における駆動回路11を制御するための、鋸波形の電圧変化を有する制御パルスLCPを生成する制御パルス生成回路である。そして、制御パルス生成回路103は、第1番目の画素ブロックに属する画素1を構成する駆動回路11から、第P番目の画素ブロックに属する画素1を構成する駆動回路11まで、画素ブロック毎に、順次、一斉に制御パルスLCPを供給し、且つ、一部の画素ブロックに属する画素1を構成する駆動回路11に制御パルスLCPを供給しているとき、残りの画素ブロックに属する画素1を構成する駆動回路11に制御パルスLCPを供給しない。ここで、制御パルス生成回路103にあっては、1表示フレームにおいて一連の複数の制御パルスLCPを生成し、一の画素ブロックに属する画素1を構成する発光部10を発光させないとき、一連の複数の制御パルスLCPの一部をマスクして、一の画素ブロックに属する画素1を構成する駆動回路11には制御パルスLCPを供給しない。
【0078】
より具体的には、
図11に概念図を示すように、制御パルス生成回路103において、メモリ21に格納してある制御パルスの波形信号データをコントローラ22によって読み出し、読み出された波形信号データをD/Aコンバータ23に送り、D/Aコンバータ23において電圧に変換し、電圧をローパスフィルター24で積分することで、2.2乗カーブを有する制御パルスを作成する。そして、制御パルスをアンプリファイア25を介して、複数(実施例3にあっては6個)のマルチプレクサ26に分配し、コントローラ22の制御下、マルチプレクサ26によって、一連の制御パルスLCPにおいて必要とされる一部分だけを通し、その他の部分をマスクすることで、所望の制御パルス群(具体的には、4つの連続した制御パルスLCPから成る制御パルス群を6組)を作成する。尚、元となる鋸波形は1つであるので、制御パルス生成回路103における制御パルスLCPの生成におけるばらつき発生を確実に抑制することができる。
【0079】
そして、以上に説明した信号電圧書込み期間及び画素ブロック発光期間における動作を、第1番目の画素ブロックから第6番目の画素ブロックまで、順次、実行する。即ち、
図9に示すように、第1番目の画素ブロックに属する画素1を構成する発光部10から、第P番目の画素ブロックに属する画素1を構成する発光部10まで、画素ブロック毎に、順次、一斉に発光させる。しかも、一部の画素ブロックに属する画素1を構成する発光部10を発光させているとき、残りの画素ブロックに属する画素1を構成する発光部10を発光させない。尚、1表示フレームにおいて、常に、いずれかの画素ブロックが発光している。
【0080】
ところで、1表示フレーム期間の初めの第1の期間に、全画素の発光を停止させた状態で、全画素に映像信号電圧を書き込み、第2の期間に、各画素に書き込まれた映像信号電圧により決定される少なくとも1回の発光期間内に、全画素の発光部を発光させるといった従来の駆動方法では、以下のような問題が生じる。即ち、映像信号は、1表示フレーム全ての時間に亙り、均等に送られて来る場合が多い。従って、テレビジョン受像システムにおいて、垂直ブランキング区間を第2の期間に充当させれば、全画素を同時に発光させる方法も考えられる。しかしながら、垂直ブランキング区間は、通常、1表示フレームの4%程度の時間長さである。それ故、発光効率が非常に低い表示装置となってしまう。また、1表示フレームに亙り送られてくる映像信号を第1の期間において全ての画素に書き込むためには、大きな信号バッファを用意する必要があるし、転送されてくる映像信号レート以上のスピードで各画素に映像信号を伝送するために、信号伝送回路の工夫が必要になる。更には、第2の期間において全画素を一斉に発光させるので、発光に要する電力が短時間に集中してしまい、電源設計が難しくなるという問題もある。
【0081】
これに対して、実施例3にあっては、一部の画素ブロック(例えば、第1番目及び第2番目の画素ブロック)に属する画素を構成する発光部を発光させているとき、残りの画素ブロック(例えば、第3番目から第6番目の画素ブロック)に属する画素を構成する発光部を発光させないので、PWM駆動法に基づく表示装置の駆動において、発光期間を長くすることが可能となり、発光効率の向上を図ることができる。しかも、1表示フレームに亙り送られてくる映像信号を或る期間内に全ての画素に一斉に書き込む必要がないので、即ち、従来の表示装置と同様に、1表示フレームに亙り送られてくる映像信号を、行方向画素群毎に、順次、書き込めばよいので、大きな信号バッファを用意する必要がないし、転送されてくる映像信号レート以上のスピードで各画素に映像信号を伝送するための信号伝送回路の工夫も不要である。更には、画素の発光期間において、全画素を一斉に発光させるのではないので、即ち、例えば、第1番目及び第2番目の画素ブロックに属する画素を構成する発光部を発光させているとき、第3番目から第6番目の画素ブロックに属する画素を構成する発光部を発光させないので、発光に要する電力が短時間に集中することがなくなり、電源設計が容易となる。
【0082】
図10に、実施例3の表示装置の変形例における画素ブロックへの複数の制御パルスLCPの供給を模式的に示すが、この例においては、P=5としている。即ち、第1番目の画素ブロックには第1行目の画素群から第216行目の画素群が含まれ、第2番目の画素ブロックには第217行目の画素群から第432行目の画素群が含まれ、第3番目の画素ブロックには第433行目の画素群から第648行目の画素群が含まれ、第4番目の画素ブロックには第649行目の画素群から第864行目の画素群が含まれ、第5番目の画素ブロックには第865行目の画素群から第1080行目の画素群が含まれる。
【0083】
図10に示した例にあっても、画素ブロック発光期間において、4つの制御パルスLCPが、各画素ブロックを構成する全画素1に送られ、各画素1は、4回、発光する。1表示フレームにおいて、12個の制御パルスLCPが5つの画素ブロックへ供給される。そして、1表示フレーム内における制御パルスLCPの数よりも、1表示フレーム内における駆動回路11に供給される制御パルスLCPの数は少ない。具体的には、
図10に示した例でも、1表示フレーム内における制御パルスLCPの数は12であり、1表示フレーム内における駆動回路11に供給される制御パルスLCPの数は4である。但し、
図9に示した例と異なり、1表示フレームにおいて、発光していない画素ブロックが存在する。隣接する画素ブロックにあっては、3つの制御パルスLCPが重なりあっている。そして、5つの画素ブロックにおいて、最大、4つの画素ブロックにおける発光状態が重なり合う。このように、
図9に示した例よりも多数の画素ブロックを同時に発光状態とするので、画像表示品質の一層の向上を図ることができる。
【0084】
以上、本開示を好ましい実施例に基づき説明したが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例において説明した表示装置の構成、構造、発光部や駆動回路、表示装置に備えられた各種の回路は例示であり、適宜、変更することができる。実施例においては、信号書込みトランジスタをnチャネル型とし、発光部駆動用トランジスタをpチャネル型としたが、トランジスタのチャネル形成領域の導電型はこれらに限定するものではないし、また、制御パルスの波形も、実施例において説明した波形に限定するものではない。
【0085】
尚、本開示は以下のような構成を取ることもできる。
[A01]《表示装置・・・第1の態様》
発光部、及び、発光部を駆動する駆動回路から構成された画素が、複数、2次元マトリクス状に配列されて成り、
各駆動回路は、
制御パルスと信号電圧に基づく電位とを比較し、比較結果に基づく所定電圧を出力するコンパレータ回路、
コンパレータ回路からの所定電圧に応じて発光部を駆動する発光部駆動用トランジスタ、及び、
発光部駆動用トランジスタによる駆動時に発光部に電流を供給する電流源、
を備えており、
電流源は、
電流を出力する電流源トランジスタ、
電流源トランジスタのゲート電極に接続された容量部、
基準定電流に基づく電圧と基準電圧との差分を検出する差動増幅器、及び、
電流源トランジスタに流れる電流に応じて基準定電流に基づく電圧を制御するトランジスタ、
を備え、
走査信号に同期して、差動増幅器の出力に基づいて電流源トランジスタのゲート電位を制御する表示装置。
[A02]基準定電流は、2次元マトリクス状の画素配列の画素列毎に配線された電流供給線を通して各画素の電流源に供給される上記[A01]に記載の表示装置。
[A03]差動増幅器の出力は、走査信号に同期してオン/オフ動作を行うトランジスタを介して電流源トランジスタのゲート電極に与えられる上記[A01]又は上記[A02]に記載の表示装置。
[A04]複数の画素は、第1の方向及び第2の方向に2次元マトリクス状に配列され、画素群は第1の方向に沿ってP個の画素ブロックに分割されており、
第1番目の画素ブロックに属する画素を構成する発光部から、第P番目の画素ブロックに属する画素を構成する発光部まで、画素ブロック毎に、順次、一斉に発光させ、且つ、一部の画素ブロックに属する画素を構成する発光部を発光させているとき、残りの画素ブロックに属する画素を構成する発光部を発光させないように駆動する上記[A01]乃至上記[A03]のいずれかに記載の表示装置。
[A05]複数の制御パルスに基づき、発光部が、複数回、発光する上記[A01]乃至上記[A04]のいずれかに記載の表示装置。
[A06]複数の制御パルスの時間間隔は一定である上記[A05]に記載の表示装置。
[A07]1表示フレーム内における制御パルスの数よりも、1表示フレーム内における駆動回路に供給される制御パルスの数は少ない上記[A01]乃至上記[A06]のいずれかに記載の表示装置。
[A08]1表示フレームにおいて、常に、いずれかの画素ブロックが発光している上記[A01]乃至上記[A07]のいずれかに記載の表示装置。
[A09]1表示フレームにおいて、発光していない画素ブロックが存在する上記[A01]乃至上記[A07]のいずれかに記載の表示装置。
[A10]鋸波形の電圧変化を有する制御パルスを生成する制御パルス生成回路を1つ備えている上記[A01]乃至上記[A09]のいずれかに記載の表示装置。
[A11]1つの制御パルスの電圧の絶対値は、時間の経過と共に、増加し、次いで、減少する上記[A01]乃至上記[A10]のいずれかに記載の表示装置。
[A12]時間の経過と共に変化する制御パルスの電圧によってガンマ補正がなされる上記[A11]に記載の表示装置。
[A13]時間を変数とした制御パルスの電圧の変化率の絶対値は、定数2.2に比例する上記[A12]に記載の表示装置。
[A14]発光部は発光ダイオードから構成されている上記[A01]乃至上記[A13]のいずれかに記載の表示装置。
[B01]《表示装置・・・第2の態様》
発光部、及び、発光部を駆動する駆動回路から構成された画素が、複数、2次元マトリクス状に配列されて成り、
各駆動回路は、
制御パルスと信号電圧に基づく電位とを比較し、比較結果に基づく所定電圧を出力するコンパレータ回路、
コンパレータ回路からの所定電圧に応じて発光部を駆動する発光部駆動用トランジスタ、及び、
発光部駆動用トランジスタによる駆動時に発光部に電流を供給する電流源、
を備えており、
電流源は、
電流を出力する電流源トランジスタ、及び、
電流源トランジスタのゲート電極に接続された容量部、
を備え、
走査信号に同期して、画素個々に設定された電圧を電流源トランジスタのゲート電極に与える表示装置。
[B02]電流源トランジスタのゲート電極に与えられる電圧は、画素各々の電流源トランジスタの特性ばらつきに対応して設定される上記[B01]に記載の表示装置。
[B03]電流源トランジスタのゲート電極に与えられる電圧は、画素各々の発光部の特性ばらつきに対応して設定される上記[B01]又は上記[B02]に記載の表示装置。
[B04]複数の画素は、第1の方向及び第2の方向に2次元マトリクス状に配列され、画素群は第1の方向に沿ってP個の画素ブロックに分割されており、
第1番目の画素ブロックに属する画素を構成する発光部から、第P番目の画素ブロックに属する画素を構成する発光部まで、画素ブロック毎に、順次、一斉に発光させ、且つ、一部の画素ブロックに属する画素を構成する発光部を発光させているとき、残りの画素ブロックに属する画素を構成する発光部を発光させないように駆動する上記[B01]乃至上記[B03]のいずれかに記載の表示装置。
[B05]複数の制御パルスに基づき、発光部が、複数回、発光する上記[B01]乃至上記[B04]のいずれかに記載の表示装置。
[B06]複数の制御パルスの時間間隔は一定である上記[B05]に記載の表示装置。
[B07]1表示フレーム内における制御パルスの数よりも、1表示フレーム内における駆動回路に供給される制御パルスの数は少ない上記[B01]乃至上記[B06]のいずれかに記載の表示装置。
[B08]1表示フレームにおいて、常に、いずれかの画素ブロックが発光している上記[B01]乃至上記[B07]のいずれかに記載の表示装置。
[B09]1表示フレームにおいて、発光していない画素ブロックが存在する上記[B01]乃至上記[B07]のいずれかに記載の表示装置。
[B10]鋸波形の電圧変化を有する制御パルスを生成する制御パルス生成回路を1つ備えている上記[B01]乃至上記[B09]のいずれかに記載の表示装置。
[B11]1つの制御パルスの電圧の絶対値は、時間の経過と共に、増加し、次いで、減少する上記[B01]乃至上記[B10]のいずれかに記載の表示装置。
[B12]時間の経過と共に変化する制御パルスの電圧によってガンマ補正がなされる上記[B11]に記載の表示装置。
[B13]時間を変数とした制御パルスの電圧の変化率の絶対値は、定数2.2に比例する上記[B12]に記載の表示装置。
[B14]発光部は発光ダイオードから構成されている上記[B01]乃至上記[B13]のいずれかに記載の表示装置。