(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6157199
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】連結機構を有する運搬台車
(51)【国際特許分類】
B62B 5/00 20060101AFI20170626BHJP
【FI】
B62B5/00 C
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-94392(P2013-94392)
(22)【出願日】2013年4月26日
(65)【公開番号】特開2014-213804(P2014-213804A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2016年3月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】504156795
【氏名又は名称】株式会社ネオスター
(74)【代理人】
【識別番号】100104581
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 伊章
(74)【代理人】
【識別番号】100188525
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 超史
(72)【発明者】
【氏名】星川 和胤
【審査官】
須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−276847(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0053725(US,A1)
【文献】
特開2004−168156(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0248460(US,A1)
【文献】
特開2000−289624(JP,A)
【文献】
特開平07−257384(JP,A)
【文献】
特開2000−095245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を載置する荷台と、
荷台の側面の少なくとも一面に備えられた連結挿入部と、
荷台の側面の少なくとも一面に備えられ、連結挿入部を受容する連結係合部と、
を設けた運搬台車であって、
連結挿入部と連結係合部とは、該連結係合部が備えられている側面と略平行の水平方向に自由に挿脱可能に形成されており、
前記連結係合部は、
前記連結挿入部の上面を受容する上連結係合部と、
前記連結挿入部の下面を受容する下連結係合部と、
からなり、
上連結係合部の先端部と、下連結係合部の先端部が互いに対向しており、
前記上連結係合部及び前記下連結係合部は、それぞれ櫛状に形成されている運搬台車。
【請求項2】
前記連結挿入部と前記連結係合部が、
前記荷台の同一の側面に設けられていることを特徴とする請求項1記載の運搬台車。
【請求項3】
前記連結挿入部及び前記連結係合部が、
それぞれ荷台の側面の少なくとも二面に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の運搬台車。
【請求項4】
前記連結挿入部及び前記連結係合部が、
それぞれ荷台の側面の全ての面に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の運搬台車。
【請求項5】
前記連結係合部は、
前記連結挿入部を衝止するための衝止部を有していることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の運搬台車。
【請求項6】
前記連結挿入部は、
挿入方向側に縮径するテーパー状に形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の運搬台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の運搬に用いる運搬台車に関し、特に複数の運搬台車を、載置面が一致する平面方向に連結できるようにした運搬台車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を載置、運搬できる複数の運搬台車を、その載置面が一致する平面方向に連結できるようにした運搬台車としては、特許文献1に示すもの等が知られている。
【0003】
特許文献1に記載された発明は、台車本体の商品載置板の長尺側の一方の辺と対向する下面箇所に第1連結手段が側壁から外方へ突出する係合位置と側壁の外表面から突出されない収納位置間で移動可能に設けられ、第1連結手段と反対側の側壁には、連結される相手台車本体の係合位置にある第1連結手段と係合する係合部が形成される。商品載置板の短尺側の一方の辺と対向する下面箇所に第2連結手段が側壁から外方へ突出する係合位置と側壁の外表面から突出されない収納位置間で移動可能に設けられ、第2連結手段と反対側の側壁には、連結される相手台車本体の係合位置にある第2連結手段と係合する係合部が形成されるというものである。
【0004】
特許文献1の他にも、運搬台車の載置面が一致する平面方向に連結できるようにした運搬台車としては、コンテナ用台車を示す特許文献2や、スーパーマーケット等で使用される運搬車を示す特許文献3等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−289624号公報
【特許文献2】特開2000−95245号公報
【特許文献3】特開平7−257384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1〜3に記載の従来の運搬台車においては、運搬台車が段差を通過する場合や、凹凸のある通路を通過する場合に、運搬台車に鉛直方向上向きの力が加わるため、その衝撃により連結部が外れるという問題があった。そのような場合、載置している物品が運搬台車から落ちてしまうため、物品が傷付くことや、破損する恐れがあった。
【0007】
本発明は上記のような従来の問題を解決するもので、本発明の目的は、運搬台車に鉛直方向上向きの力が加わったとしても、連結が容易に外れることを防ぐことができる運搬台車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る運搬台車は、物品を載置する荷台と、荷台の側面の少なくとも一面に備えられた連結挿入部と、荷台の側面の少なくとも一面に備えられ、連結挿入部を受容する連結係合部と、を設けた運搬台車であって、連結挿入部と連結係合部とは、該連結係合部が備えられている側面と略平行の水平方向に自由に挿脱可能に形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の本発明の運搬台車は、前記連結挿入部と前記連結係合部が、前記荷台の同一の側面に設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の本発明の運搬台車は、前記連結挿入部及び前記連結係合部が、それぞれ荷台の側面の少なくとも二面に設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の本発明の運搬台車は、前記連結挿入部及び前記連結係合部が、それぞれ荷台の側面の全ての面に設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の本発明の運搬台車は、前記連結係合部は、前記連結挿入部の上面を受容する上連結係合部と、前記連結挿入部の下面を受容する下連結係合部と、からなり、上連結係合部の先端部と、下連結係合部の先端部が互いに対向していることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の本発明の運搬台車は、前記上連結係合部及び前記下連結係合部は、それぞれ櫛状に形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の本発明の運搬台車は、前記連結係合部は、前記連結挿入部を衝止するための衝止部を有していることを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の本発明の運搬台車は、前記連結挿入部は、挿入方向側に縮径するテーパー状に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の運搬台車によれば、連結挿入部と連結係合部が、該連結係合部が備えられている側面と略平行の水平方向に自由に挿脱可能に形成されているため、台車に鉛直方向上向きの力が加わった場合に、連結部が上下方向に外れることを防止することができる。したがって、段差や凹凸のある通路であっても、連結された状態を維持しながら円滑な走行を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施例における運搬台車を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施例における運搬台車を示す平面図である。
【
図3】
図1における連結挿入部を示す拡大斜視図である。
【
図4】
図1における連結挿入部を示す拡大平面図である。
【
図5】
図1における連結挿入部を示す拡大正面図である。
【
図6】
図1における連結挿入部を示す拡大側面図である。
【
図7】
図1における連結挿入部を示す拡大底面図である。
【
図8】
図1における連結係合部を示す拡大斜視図である。
【
図9】
図1における連結係合部を示す拡大平面図である。
【
図10】
図2における連結係合部を示すA−A断面図である。
【
図11】
図1における連結係合部を示す拡大側面図である。
【
図12】
図1における連結係合部を示す拡大底面図である。
【
図13】本発明の一実施例における運搬台車の連結状態を示す斜視図である。
【
図14】本発明の一実施例における運搬台車の連結状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の一実施例における運搬台車の斜視図を示す。
図2は、本発明の一実施例における運搬台車の平面図を示す。
【0019】
図1〜2の運搬台車10は、物品を載置することが可能な荷台20を有しており、荷台20の下面には4つの車輪50が設けられている。荷台20は、合成樹脂製であり、平面形状が一方に長い略矩形状に形成されている。
【0020】
また、荷台20の側面21には、複数の台車間を連結するための連結挿入部30及び連結係合部40が設けられている。
図1〜2の実施例においては、連結挿入部30及び連結係合部40は、荷台20の側面21全てに設けられているが、これらは1以上の側面21に設けられていれば、いくつの側面21であってもよい。さらに、
図1〜2においては、同一の側面21に連結挿入部30及び連結係合部40が設けられているが、両者は必ずしも同一の側面21でなくてもよい。例えば、ある側面21には連結挿入部30、その対角側の側面21には、連結係合部40を設ける等が考えられる。
【0021】
図3は、本発明の一実施例における運搬台車の連結挿入部の拡大斜視図を示す。
図4は、本発明の一実施例における運搬台車の連結挿入部の拡大平面図を示す。
図5は、本発明の一実施例における運搬台車の連結挿入部の拡大正面図を示す。
図6は、本発明の一実施例における運搬台車の連結挿入部の拡大側面図を示す。
図7は、本発明の一実施例における運搬台車の連結挿入部の拡大底面図を示す。
【0022】
図3〜7における連結挿入部30は、断面がきのこ状であり、その傘部31の径が挿入方向側に縮径するテーパー状に形成されている。連結挿入部30がテーパー状に形成されていることにより、連結挿入部30を連結係合部40に挿入した際、両者は嵌合し外れにくくなる。
【0023】
本実施例の連結挿入部30の下面には、
図7に示すように、いわゆる「肉抜き」又は「肉盗み」と呼ばれる手法を施している。連結挿入部30の強度を損なわない程度に、樹脂材料を削減しており、それにより製造費を抑えることができる。
【0024】
図8は、本発明の一実施例における運搬台車の連結係合部の拡大斜視図を示す。
図9は、本発明の一実施例における運搬台車の連結係合部の拡大平面図を示す。
図10は、本発明の一実施例における運搬台車の連結係合部のA−A断面図を示す。
図11は、本発明の一実施例における運搬台車の連結係合部の拡大側面図を示す。
図12は、本発明の一実施例における運搬台車の連結係合部の拡大底面図を示す。
【0025】
図8〜12における連結係合部40は、連結挿入部30の上面を受容する上連結係合部41と、連結挿入部30の下面を受容する下連結係合部42と、連結挿入部30を衝止するための衝止部43からなる。
【0026】
上連結係合部41及び下連結係合部42は、それぞれ櫛状に形成されており、上連結係合部41の歯部44と下連結係合部42の歯部45は上面から見ると交互に位置している(
図8、
図9)。櫛状に形成されていることにより、歯部44又は歯部45の一部が欠損したとしても、他の歯部44又は歯部45により連結挿入部30を受容するという機能を確保することができる。また、櫛状の切り込み部(隣り合う歯部間の隙間)があることにより、「肉抜き」の効果が生まれ樹脂材料を削減することができるため、製造費を抑えることができる。
【0027】
さらに、上連結係合部41の先端部46及び下連結係合部42の先端部47は互いに対向している。このため、連結挿入部30のきのこ状の柄部32を受容する空間が生まれ(
図10)、連結挿入部30を断面きのこ状に形成することができる。なお、先端部46及び先端部47が互いに対向していない場合や、連結係合部40が円筒状等の場合は、連結挿入部30を略L字形状等に形成することにより連結させることができる。例えば、L字形状の短辺部を側面21に配設し、L字形状の長辺部を挿入方向と平行に形成する等によって、L字形状の連結挿入部30と円筒状の連結係合部40を係合させることができる(不図示)。
【0028】
次に、上記のように構成された実施の形態において、複数台の運搬台車10を平面状に連結する方法について説明する。
【0029】
図13は、本発明の一実施例における運搬台車の連結状態の斜視図を示す。
図14は、本発明の一実施例における運搬台車の連結状態の平面図を示す。
【0030】
本実施の形態において、一の運搬台車10と、他の運搬台車10を連結させるためには、まず、対応する側面21を近づけて配置させる必要がある。対応する側面21とは、例えば、一の運搬台車10の側面21(a)において連結させる場合は、他の運搬台車10の側面21(a)を指す(
図12)。上記の様に配置した後は、一の運搬台車10の連結挿入部30を他の運搬台車10の連結係合部40に水平方向に挿入すると同時に、他の運搬台車10の連結挿入部30を一の運搬台車10の連結係合部40に水平方向に挿入する。それにより、一の運搬台車10の連結挿入部30と他の運搬台車10の連結係合部40、及び、他の運搬台車10の連結挿入部30と一の運搬台車10の連結係合部40が同時に係合し、連結されることになる。
【0031】
上記の様に連結された運搬台車10は、段差を通過する場合や、凹凸のある通路を通過する場合に、運搬台車10に鉛直方向上向きの力が加わったとしても、連結挿入部30と連結係合部40の鉛直方向の動きは規制されているため、その衝撃により連結が外れることを防ぐことができる。また、水平方向の力が加わった場合においても、力の向きが連結挿入部30の挿入方向と同方向の場合は、連結挿入部30が衝止部43により衝止されるため、連結が外れることを防ぐことができる。また、通常の段差や凹凸のある通路を通過する際に、連結挿入部30の挿入方向と逆方向に力が加わった場合においても、テーパー状に形成された連結挿入部30と、連結係合部40の嵌合力により、容易に連結が外れることを防ぐことができる。
【0032】
なお、本発明の運搬台車10は、上記の形態に限らず、載置する物品の種類や台車の用途、使用環境等によって、本発明の範囲内で種々変更した態様とすることができる。例えば、荷台20が略矩形状でなく、多角形であってもよい。また、荷台20は、合成樹脂製でなくても木製や金属製であってもよい。さらに、連結挿入部30及び連結係合部40は、荷台20と同種の材料でなくても、異種の材料であってもよい等が考えられる。
【符号の説明】
【0033】
10 運搬台車
20 荷台
21 側面
30 連結挿入部
31 傘部
32 柄部
40 連結係合部
41 上連結係合部
42 下連結係合部
43 衝止部
44 歯部(上連結係合部)
45 歯部(下連結係合部)
46 先端部(上連結係合部)
47 先端部(下連結係合部)
50 車輪