特許第6157221号(P6157221)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6157221
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】充電式電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/04 20060101AFI20170626BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20170626BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20170626BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20170626BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20170626BHJP
【FI】
   H02J7/04 A
   H02J7/10 C
   H02J7/00 X
   H01M10/48 P
   H01M10/44 A
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-114397(P2013-114397)
(22)【出願日】2013年5月30日
(65)【公開番号】特開2014-236518(P2014-236518A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2016年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085198
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 久夫
(74)【代理人】
【識別番号】100098604
【弁理士】
【氏名又は名称】安島 清
(74)【代理人】
【識別番号】100087620
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 範夫
(74)【代理人】
【識別番号】100125494
【弁理士】
【氏名又は名称】山東 元希
(74)【代理人】
【識別番号】100141324
【弁理士】
【氏名又は名称】小河 卓
(74)【代理人】
【識別番号】100153936
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 健誠
(74)【代理人】
【識別番号】100160831
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 元
(72)【発明者】
【氏名】関根 加津典
(72)【発明者】
【氏名】古山 拓也
【審査官】 桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−111285(JP,A)
【文献】 特開平7−14612(JP,A)
【文献】 特開2002−199610(JP,A)
【文献】 特開2002−282180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 − 7/12
H02J 7/34 − 7/36
H01M 10/42 − 10/48
A47L 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被掃除面上の塵埃を吸引するファンモーターを有する掃除機本体と、
前記掃除機本体の内部に設けられ、前記ファンモーターに電力を供給する2次電池と、
前記2次電池の単位時間当たりの充電量を一定時間毎に検出し、その単位時間当たりの充電量が前回検出した単位時間当たりの充電量よりも低下したときに前記2次電池への充電を完了する充電検出部と
を備え
前記充電検出部は、前記2次電池の放電時間が当該2次電池が劣化する前の放電時間よりも短い設定時間以下のときに、当該2次電池が満充電になるまで充電することを特徴とする充電式電気掃除機。
【請求項2】
第1の充電モードと第2の充電モードの何れかを切り替えるモード切替手段を備え、
前記充電検出部は、前記2次電池の単位時間当たりの充電量を一定時間毎に検出し、単位時間当たりの充電量が前回の単位時間当たりの充電量よりも低下したときに前記2次電池への充電を完了する第1の充電モードを有し、更に前記第1の充電モードよりも充電速の速い第2の充電モードを有し、前記モード切替手段の切替に基づいて前記第1の充電モードあるいは前記第2の充電モードの何れかを切り替えることを特徴とする請求項1記載の充電式電気掃除機。
【請求項3】
前記2次電池の電力を測定する電力測定手段を備え、
前記充電検出部は、前記掃除機本体が使用されていないときに、前記電力測定手段により測定された電力を基に前記2次電池の充電量の残量を算出し、かつ算出した残量から前記2次電池の残り使用時間を推定することを特徴とする請求項1又は2記載の充電式電気掃除機。
【請求項4】
前記2次電池への充電完了あるいは前記ファンモーターが駆動しているときに、その状態を報知する表示手段を備え、
前記充電検出部は、前記2次電池の残り使用時間に応じて、前記掃除機本体が次回使用できるかどうかを前記表示手段に報知させることを特徴とする請求項記載の充電式電気掃除機。
【請求項5】
前記充電検出部は、前記2次電池から前記ファンモーターへの電力供給により充電量が減少すると、その充電量の残量に応じて前記表示手段に前記表示と異なる表示で報知させることを特徴とする請求項記載の充電式電気掃除機。
【請求項6】
前記充電検出部は、前記2次電池の充電量が当該2次電池の満充電の75%〜95%の間に達したときに前記2次電池への充電を完了することを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の充電式電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掃除機本体の内部に2次電池を備えた充電式電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在の充電式電気掃除機は、主にリチウムイオン電池、またはニッケル水素電池を使用しているものが主流となっているが、リチウムイオン電池とニッケル水素電池では、例えばメモリー効果の有無など、その取扱方法は異なる。
また、充電式電気掃除機は、生活様式の多様化に伴い、手軽に掃除が行える手段として市場規模が増加していると共に、急速充電や長時間駆動など、その充電池に依存した性能についても改善が求められている。
【0003】
充電池を利用した技術としては、携帯電話が挙げられるが、放電電流の大きさやセル構造などに大きな違いがあり、それぞれの携帯での最適な使用方法を適用すべきである。特に、リチウムイオン電池の場合には、満充電を超えた過充電を行なった場合には、イオン析出などにより発火など重大な事故が生じる可能性があることから、過充電の防止制御に関する技術は様々なものがでている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−333764号公報(要約)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、リチウムイオン電池では、満充電平衡電圧まで充電し、充電最低電圧まで放電する最大充放電電圧の利用が最も充電池に負荷を与え、劣化の原因となっている。前述した従来技術に開示された充電方式では、前記の最大充放電電圧の利用方法となるため、充電池が早く劣化してしまうという課題があった。
【0006】
また、満充電平衡電圧まで充電させる場合、途中段階まではほぼ時間に比例して充電電圧は上昇するが、一定電圧を超えると、一定時間に対する電圧変化が小さくなるため、満充電までの充電時間が長くかかってしまうという課題もあった。
【0007】
本発明は、前述のような課題を解決するためになされたもので、第1の目的は、2次電池の充電時間を短く、かつ2次電池の劣化を抑制することができる充電式電気掃除機を得るものである。第2の目的は、使い勝手の良い充電式電気掃除機を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る充電式電気掃除機は、被掃除面上の塵埃を吸引するファンモーターを有する掃除機本体と、掃除機本体の内部に設けられ、ファンモーターに電力を供給する2次電池と、2次電池の単位時間当たりの充電量を一定時間毎に検出し、その単位時間当たりの充電量が前回検出した単位時間当たりの充電量よりも低下したときに2次電池への充電を完了する充電検出部とを備え、充電検出部は、2次電池の放電時間が当該2次電池が劣化する前の放電時間よりも短い設定時間以下のときに、当該2次電池が満充電になるまで充電する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、2次電池の単位時間当たりの充電量を一定時間毎に検出し、その単位時間当たりの充電量が前回検出した単位時間当たりの充電量よりも低下したときに2次電池への充電を完了するようにしている。これにより、2次電池への充電時間が短くなり、2次電池の容量に対して満充電になる前に充電を完了しているので、2次電池の劣化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態1に係る充電式電気掃除機の構成を模式的に示す斜視図。
図2】本発明の実施の形態1に係る充電式電気掃除機のリチウムイオン電池の充電率を示す特性図。
図3】本発明の実施の形態3に係る充電式電気掃除機のリチウムイオン電池の充電率の一部を示す部分特性図。
図4】本発明の実施の形態4に係る充電式電気掃除機の回路図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る充電式電気掃除機の実施の形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る充電式電気掃除機の構成を模式的に示す斜視図である。なお、図1にはモード切替スイッチ30が示されているが、これは、実施の形態3で説明する。
実施の形態1の充電式電気掃除機は、掃除機本体1と、掃除機本体1に取り外し自在に連結されるホース2と、被掃除面に接して塵埃を吸引するための吸込み具4と、ホース2及び吸込み具4が取り外し自在に連結される延長管3と、充電台20とを備えている。ホース2は、例えば複数本のピアノ線が内蔵されたジャバラ部と、ジャバラ部の延長管3側の端部に設けられ、掃除機本体1を動作させる手元操作部を有する把持部2aとで構成されている。
【0012】
掃除機本体1の内部には、掃除機本体1に連結されたホース2、延長管3及び吸込み具4を介して被掃除面上の塵埃を吸引するファンモーター5と、ファンモーター5に電力を供給する例えばリチウムイオン電池6(2次電池)と、充電検出部7とが設けられている。また、掃除機本体1には、ファンモーター5により吸引された塵埃を集塵する集塵室が設けられている。掃除機本体1の外郭には、本体電極8と、表示手段である例えばLEDの発光部9とが設けられている。
【0013】
充電台20には、商用電源の交流電圧から充電用の直流電圧を生成する電源装置、リチウムイオン電池6への充電を制御する充電制御回路、電極21などが設けられている。充電台20の電極21と掃除機本体1の本体電極8とを電気的に接合することで、リチウムイオン電池6に充電が開始される。
【0014】
充電検出部7は、メモリを有し、リチウムイオン電池6と本体電極8との間、もしくはリチウムイオン電池6に並列に接続されている。この充電検出部7は、リチウムイオン電池6への充電開始を検出し、充電開始から一定時間毎に特定時間の間にリチウムイオン電池6に充電される電力量を測定し、その測定した電力量を特定時間で除算し、単位時間(特定時間)当たりの充電量を算出してメモリに保存する機能を有している。
【0015】
ここで、リチウムイオン電池6の充電特性について図2を用いて説明し、その充電特性からリチウムイオン電池6への充電完了のタイミングについて説明する。
図2は本発明の実施の形態1に係る充電式電気掃除機のリチウムイオン電池の充電率を示す特性図である。なお、図2は、縦軸に充電率を、横軸に時間をとっており、通常充電モード時の曲線図である。
【0016】
一般的な充電制御における充電率は、おおよそ90%前後のところから単位時間当たりの充電率が低下する。例えば、充電率が0〜90%の間は、1%/分で充電されて比例直線状になるが、90%を超えると0.5%/分となって、充電率が低下していく。この曲線からも分かるように、リチウムイオン電池6を100%まで充電する場合には、充電時間が長くなってしまう。
【0017】
また、リチウムイオン電池6にとって、早く劣化(≒容量低下)が生じる充電の仕方として、リチウムイオン電池6の容量に対して0〜100%での充放電を繰り返す方法である。従って、充電を途中で停止して使用することは、リチウムイオン電池6の容量低下を防ぎ、長期にわたり製品を使用することができることに繋がる。
【0018】
そこで、本実施の形態における充電検出部7は、前述のメモリに保存(記憶)した単位時間当たりの充電量が、前回保存した単位時間当たりの充電量よりも低下したときに、リチウムイオン電池6への充電を完了する。この時、充電検出部7は、発光部9を点灯して充電完了を報知する。
【0019】
また、充電検出部7は、リチウムイオン電池6からの電力供給によりファンモーター5が駆動したときには、発光部9を点灯し、リチウムイオン電池6の充電量の残量を検出する。充電検出部7は、リチウムイオン電池6の充電量が一定量まで低下したときには、発光部9の点灯を点滅に切り替え、さらにリチウムイオン電池6の充電量が少なくなったときには、発光部9の点滅周期を短くする。
【0020】
次に、前記のように構成された充電式電気掃除機の動作について説明する。
充電台20の電極21と掃除機本体1の本体電極8とを電気的に接合すると、充電検出部7は、リチウムイオン電池6への充電の開始を検出する。充電検出部7は、充電開始から一定時間毎に特定時間の間にリチウムイオン電池6に充電される電力量を測定し、その測定した電力量を特定時間で除算して、その単位時間(特定時間)当たりの充電量を算出しメモリに保存する。そして、充電検出部7は、保存した単位時間当たりの充電量が、前回保存した単位時間当たりの充電量よりも低下したときには、リチウムイオン電池6への充電を完了し、発光部9を点灯して充電完了を報知する。ここで、メモリに保存した単位時間当たりの充電量が、前回保存した単位時間当たりの充電量よりも低下したときとは、図2の特性図において、充電時間に対する充電率の変化率(傾き)が低下したときに相当する。リチウムイオン電池6の充電量が満充電の75%〜95%(95%で充電率の変化率(傾き)が著しく低下)の間に達したときに、リチウムイオン電池6への充電を完了する。
【0021】
ホース2の把持部2aに設けられた手元操作部の操作により、リチウムイオン電池6から掃除機本体1のファンモーター5へ電力が供給されると、充電検出部7は、発光部9を点灯し、リチウムイオン電池6の充電量の残量を検出する。充電検出部7は、リチウムイオン電池6の充電量が一定量まで低下したときには、発光部9の点灯を点滅に切り替え、さらにリチウムイオン電池6の充電量が少なくなったときには、発光部9の点滅周期を短くする。
【0022】
以上のように実施の形態1によれば、リチウムイオン電池6の単位時間当たりの充電量を一定時間毎に算出し、単位時間当たりの充電量が前回の充電量よりも低下したときにリチウムイオン電池6への充電を完了するようにしている。これにより、リチウムイオン電池6への充電時間が短くなり、リチウムイオン電池6の容量に対して0〜100%での充放電を繰り返す方法と比べ、リチウムイオン電池6の劣化を抑えることができる。
【0023】
また、リチウムイオン電池6からファンモーター5へ電力が供給されたときに、発光部9を点灯し、リチウムイオン電池6の充電量が一定量まで低下したときには、発光部9の点灯を点滅に切り替え、さらにリチウムイオン電池6の充電量が少なくなったときには、発光部9の点滅周期が短くなるようにしている。このように、発光部9の点灯状態の切り替えにより、次回、掃除機本体1が使用できるかどうかを、使用者にリチウムイオン電池6の充電切れの注意を促すことができ、使い勝手の良い充電式電気掃除機を提供できる。
【0024】
実施の形態2.
実施の形態2は、リチウムイオン電池6の経年劣化により放電時間が短くなったときにリチウムイオン電池6の容量が満充電(100%)になるまで行うようにしたものである。なお、実施の形態2に係る充電式電気掃除機の構成は、図1で説明した実施の形態1と同様である。
【0025】
実施の形態2においては、充電検出部7のメモリには、リチウムイオン電池6の劣化を検出するために、リチウムイオン電池6を満充電し、ファンモーター5へ電力を供給して、充電量が満充電(100%)から0%になるまでの放電時間の閾値(設定時間)が保存されている。この閾値は、リチウムイオン電池6が劣化する前の放電時間よりも短い時間である。充電検出部7は、リチウムイオン電池6の劣化を検出するまでは、実施の形態1と同様に、リチウムイオン電池6の単位時間当たりの充電量を一定時間毎に算出し、単位時間当たりの充電量が前回の充電量よりも低下したときにリチウムイオン電池6への充電を完了するようにしている。
【0026】
充電検出部7は、リチウムイオン電池6の充電量が100%から0%になるまでの放電時間を測定し、その放電時間が閾値以下のときには、リチウムイオン電池6の劣化を検出する。充電検出部7は、リチウムイオン電池6が劣化していると検出した場合の充電は、リチウムイオン電池6の容量が満充電(100%)になるまで行う。
【0027】
また、実施の形態1と同様に、リチウムイオン電池6から掃除機本体1のファンモーター5へ電力が供給されると、充電検出部7は、発光部9を点灯し、リチウムイオン電池6の充電量の残量を検出する。そして、充電検出部7は、リチウムイオン電池6の充電量が一定量まで低下したときには、発光部9の点灯を点滅に切り替え、さらにリチウムイオン電池6の充電量が少なくなったときには、発光部9の点滅周期を短くする。なお、リチウムイオン電池6が劣化しているときの一定量は、リチウムイオン電池6が劣化する前の一定量よりも少なく設定されている。
【0028】
以上のように実施の形態2によれば、リチウムイオン電池6の放電時間からリチウムイオン電池6の劣化を検出したときの充電を行う場合、リチウムイオン電池6の容量が満充電(100%)になるまで行うようにしている。このため、十分なリチウムイオン電池6の充電量を確保することができる。
【0029】
なお、実施の形態2では、リチウムイオン電池6の充電量が100%から0%になるまでの放電時間が閾値以下のときに、リチウムイオン電池6の劣化を検出するようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、放電開始から一定時間当たりの電圧変化が、リチウムイオン電池6が劣化する前の一定時間当たりの電圧変化よりも大きいときにリチウムイオン電池6の劣化を検出するようにしてもよい。
【0030】
実施の形態3.
実施の形態3は、リチウムイオン電池6の充電モードを選択できるようにしたものである。
図3は本発明の実施の形態3に係る充電式電気掃除機のリチウムイオン電池の充電率の一部を示す部分特性図である。この図3は、図2と同様に一般的なリチウムイオン電池の充電特性であり、縦軸に充電率を、横軸に時間をとっており、図2よりも横軸の時間を短くして表した曲線図となっている。
【0031】
実施の形態3においては、図1に示すように、掃除機本体1の外郭にモード切替スイッチ30が設けられた充電式電気掃除機である。モード切替スイッチ30を一方へスライドさせたときには通常充電モードである第1の充電モードが選択され、モード切替スイッチ30を他方へスライドさせたときには第2の充電モードに切り替えられる。
【0032】
例えば図3に示すように、第1の充電モードのときには、時間Tnで1C充電され、第2の充電モードのときには、同じ時間Tnで1.5C〜2.5C充電される。即ち、第2の充電モードは、第1の充電モードに比べて、1.5倍〜2.5倍の速度で充電される(斜線部分)。第1の充電モードあるいは第2の充電モードでのリチウムイオン電池6の充電完了は、実施の形態1と同様である。
【0033】
つまり、リチウムイオン電池6の単位時間当たりの充電量を一定時間毎に算出し、単位時間当たりの充電量が前回の充電量よりも低下したときにリチウムイオン電池6への充電を完了する。モード切替スイッチ30により選択される第1の充電モードあるいは第2の充電モードに基づくリチウムイオン電池6への充電は、充電検出部7によって行われる。
【0034】
リチウムイオン電池6の一般的な特性として、大きな充電電流で充電を行えばそれだけ急速に充電を完了することができるが、リチウムイオン電池6にも負担がかかってしまうため、繰り返しによる容量低下(劣化)も早くなってしまうというデメリットが生じてしまう。
しかし、実施の形態3では、充電式電気掃除機の使用者にとっては、容量低下はできるだけ少ないほうが望ましい一方で、充電時間はできるだけ短いほうがより利便性が高まるだけでなく、急に必要となった場合などでは、より早く充電をさせたい場面もあり、相反する要求機能となっている。
【0035】
また、実施の形態1と同様に、リチウムイオン電池6から掃除機本体1のファンモーター5へ電力が供給されると、充電検出部7は、発光部9を点灯し、リチウムイオン電池6の充電量の残量を検出する。そして、充電検出部7は、リチウムイオン電池6の充電量が一定量まで低下したときには、発光部9の点灯を点滅に切り替え、さらにリチウムイオン電池6の充電量が少なくなったときには、発光部9の点滅周期を短くする。なお、リチウムイオン電池6が劣化しているときの一定量は、リチウムイオン電池6が劣化する前の一定量よりも少なく設定されている。
【0036】
以上のように実施の形態3においては、第1の充電モードが選択されたときには、実施の形態1と同様の速度でリチウムイオン電池6を充電し、第2の充電モードが選択されたときには、第1の充電モードよりも1.5倍〜2.5倍の速度で充電できるようにしている。これにより、使用者がリチウムイオン電池6の寿命を長くするか、寿命が短くなるが速く充電させたいかの選択ができ、使い勝手の良い充電式電気掃除機を提供できる。
【0037】
実施の形態4.
図4は本発明の実施の形態4に係る充電式電気掃除機の回路図である。なお、図1で説明した実施の形態1と同様の部分に同じ符号を付している。
図4において、リチウムイオン電池6は、手元操作部に設けられた電源スイッチ10及び切替スイッチ11を介してファンモーター5と接続されていると共に、切替スイッチ11を介して電力測定回路12(電力測定手段)と接続されている。切替スイッチ11は、通常、ファンモーター5側を接続しており、電源スイッチ10をオンしたときに、リチウムイオン電池6からファンモーター5に電力が供給される。
【0038】
電力測定回路12は、リチウムイオン電池6と直列に接続された電流測定部14と、リチウムイオン電池6に並列に接続された電圧測定部13とで構成され、リチウムイオン電池6の電力を測定する。電流測定部14及び電圧測定部13によりそれぞれ測定されたリチウムイオン電池6の電流及び電圧は、充電検出部7に入力される。
【0039】
充電検出部7は、電源スイッチ10がオフ状態のときに、例えばファンモーター5の駆動が停止されて充電式電気掃除機の使用が終了したときに、切替スイッチ11の接続を電力測定回路12側に切り替えて、電力測定回路12により測定された電流及び電圧を一定時間(特定時間)読み込んで、その特定時間に亘り読み込んだ電流値と電圧値の積を積分して電流測定部14に直列に接続される抵抗で消費される積算電力量を算出する。この積算電力量をその特定時間で除算して、単位時間(一定時間)当たりの電力量を算出する。そして、充電検出部7は、メモリに保存した前回の単位時間当たりの電力量とからリチウムイオン電池6の充電量の低下率を算出し、かつ、予めメモリに保存しているリチウムイオン電池6の最低容量(0%)に対して残り使用時間を算出する。充電検出部7は、算出した残り使用時間が充電式電気掃除機の使用に必要な使用可能時間以下のときには、発光部9を点滅させて充電を促す。
【0040】
以上のように、算出した残り時間が充電式電気掃除機の使用に必要な使用可能時間以下のときには、発光部9を点滅させて充電を促すようにしているので、使用者にとって、次回に充電式電気掃除機を使用できるかどうかを判断でき、使い勝手の良い充電式電気掃除機を提供できる。
【0041】
なお、実施の形態4では、残り時間が充電式電気掃除機の使用に必要な使用可能時間以下のときに、発光部9を点滅させるようにしたが、残り時間に応じて発光部9の点滅周期を変えるようにしてもよい。また、発光部9に代えて、液晶表示部に残り時間を表示するようにしてもよい。
【0042】
なお、実施の形態1〜4では、充電検出部7を掃除機本体1の内部に設けたが、充電台20の中に設けてもよい。
【0043】
また、発光部9の点滅周期は、無段階の調整では技術的な制御が難しいため、例えば予めリチウムイオン電池6の充電量の残量に対する発光部9の点滅周期の時間をテーブル化してメモリに保存し、そのテーブルを用いて発光部9を制御するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 掃除機本体、2 ホース、2a 把持部、3 延長管、4 吸込み具、5 ファンモーター、6 リチウムイオン電池、7 充電検出部、8 本体電極、9 発光部、10 電源スイッチ、11 切替スイッチ、12 電力測定回路、13 電圧測定部、14 電流測定部、20 充電台、21 電極、30 モード切替スイッチ。
図1
図2
図3
図4