特許第6157277号(P6157277)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6157277
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】コンタクトプローブおよび基板検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/067 20060101AFI20170626BHJP
【FI】
   G01R1/067 A
【請求項の数】7
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-175733(P2013-175733)
(22)【出願日】2013年8月27日
(65)【公開番号】特開2015-45522(P2015-45522A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2016年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】友井 忠司
【審査官】 公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−242213(JP,A)
【文献】 特開2006−330006(JP,A)
【文献】 特開2008−122356(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/095441(WO,A1)
【文献】 米国特許第06504388(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/067
G01R 31/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブ本体と、プローブ案内機構に一端部が固定され、かつ前記プローブ本体が他端部に配設されると共に、当該プローブ案内機構による案内に従って当該プローブ本体の先端部をプロービング対象に接触させるプローブ保持部と、前記プローブ本体の後端部および前記プローブ保持部の前記他端部のいずれかに一端部が連結されると共に、直接、または前記プローブ保持部の前記一端部を介して前記プローブ案内機構に他端部が固定される座屈変形部とを備え、
前記プローブ保持部は、前記プローブ案内機構に固定可能に形成されて当該プローブ保持部の前記一端部を構成するベース部と、当該ベース部に一端部が連結され、かつ前記プローブ本体が他端部に配設されると共に、当該プローブ本体の前記先端部が前記プロービング対象に接触した状態において前記プローブ案内機構によって当該ベース部が当該プロービング対象体に接近する第1の向きに移動させられたときに当該ベース部に連結されている当該一端部に対して当該プローブ本体が配設されている当該他端部が相対的に変位させられて当該第1の向きとは逆向きの第2の向きへの当該プローブ本体の直動または近似的直動を許容する直動案内部とを備え、
前記座屈変形部は、前記直動案内部における前記他端部の前記相対的な変位によって当該座屈変形部の前記一端部が当該座屈変形部の前記他端部に接近するように当該一端部および当該他端部の間が座屈変形させられると共に、当該座屈変形させられる以前の状態に復帰しようとする弾性復帰力によって前記プローブ本体を前記第1の向きに付勢し、
前記直動案内部は、前記第1の向きと交差する第3の向きに沿って配設されると共に、前記ベース部に一端部が連結され、かつ前記プローブ本体が他端部に配設された少なくとも2本のアームを有するアーム部を備え、
前記アーム部は、前記各アームが前記第1の向きに並んで配設されて構成されているコンタクトプローブであって、
前記プローブ保持部は、前記アーム部としての第1のアーム部および第2のアーム部を備えると共に、当該プローブ保持部を前記第1の向きに沿って見たときに、前記第1のアーム部における前記各アームの第1の延在方向と、前記第2のアーム部における前記各アームの第2の延在方向とが交差するように当該第1のアーム部および当該第2のアーム部が前記ベース部に連結されているコンタクトプローブ。
【請求項2】
前記プローブ本体と前記座屈変形部とが一体的に連続して形成されている請求項記載のコンタクトプローブ。
【請求項3】
前記直動案内部は、当該直動案内部の前記一端部に対して当該直動案内部の前記他端部が相対的に変位させられたときに弾性変形する弾性変形部を備えている請求項1または2記載のコンタクトプローブ。
【請求項4】
導電性を有する板体を打抜き加工することによって前記プローブ本体、前記プローブ保持部および前記座屈変形部が一体的に連続して形成されている請求項記載のコンタクトプローブ。
【請求項5】
前記座屈変形部は、前記プローブ保持部の前記一端部を介して前記プローブ案内機構に固定可能に当該プローブ保持部の前記ベース部に前記他端部が連結されている請求項1からのいずれかに記載のコンタクトプローブ。
【請求項6】
前記座屈変形部は、座屈変形させられる以前の状態において前記一端部および前記他端部の間の少なくとも一部に曲りが生じるように形成されている請求項1からのいずれかに記載のコンタクトプローブ。
【請求項7】
請求項1からのいずれかに記載のコンタクトプローブと、
前記プローブ案内機構と、
前記プローブ案内機構によって前記プロービング対象としての検査対象基板にプロービングさせた前記コンタクトプローブを介して当該検査対象基板に入出力した電気信号に基づいて当該検査対象基板の良否を検査する検査部とを備えている基板検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブ本体がプローブ保持部によって保持されたコンタクトプローブ、およびそのコンタクトプローブを備えた基板検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のコンタクトプローブとして、基板検査装置の検査ユニットに搭載された基板検査用プローブ(以下、単に「プローブ」ともいう)が特開2003−98214号公報に開示されている。このプローブは、導電性弾性部材で形成されたニードルピンと、ニードルピンの先端部側部位を拘束する第1拘束部材と、ニードルピンの中間部を拘束する第2拘束部材と、ニードルピンの基端側が固定されたホルダと、両拘束部材およびホルダを一体化するホルダベースとを備えて構成されている。この場合、このプローブでは、第1拘束部材における傾斜部の先端に平面視V字状のV溝が形成されると共に、第2拘束部材に略雫形状の孔(以下、「雫形状孔」ともいう)が形成され、上記のホルダ、V溝、および雫形状孔によってニードルピンを保持する構成が採用されている。
【0003】
このプローブの組立てに際しては、雫形状孔に挿通させた状態のニードルピンにおける先端部側部位をV溝に嵌入させ、かつニードルピンにおける基端部をホルダに固定する。次いで、ホルダベースに対して第2拘束部材をスライドさせる。この際には、ニードルピンの中間部が、雫形状孔の狭小部に接した状態で第2拘束部材と共にホルダベースや第1拘束部材に対して移動させられる結果、側面視においてニードルピンに撓みが生じた状態になると共に、ニードルピンの先端部側部位がV溝の狭小部に押し付けられた状態となる。これにより、プローブの組立てが完了する。
【0004】
一方、このプローブを用いた基板の検査に際しては、プローブ駆動機構に取り付けられたプローブのホルダベースが基板に向けて移動させられたときに、まず、ニードルピンの先端部が基板に接触し、ホルダベースが基板に向けてさらに移動させられたときに、ニードルピンの先端部側部位がV溝の案内に従って第1拘束部材に対して相対的に上動させられる。この際には、ニードルピンの中間部が第2拘束部材における雫形状孔の狭小部から離脱するようにニードルピンが座屈変形させられ、この座屈変形によって生じる弾性復帰力が付勢力として働いてニードルピンの先端部が基板の表面に押し付けられる。これにより、プロービングが完了する。この状態において、プローブを介して各種の電気的パラメータが測定され、その測定結果に基づいて基板の良否が検査される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−98214号公報(第3−5頁、第1−7図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、従来のプローブには、以下の解決すべき問題点が存在する。すなわち、従来のプローブでは、プローブホルダに一体的に固定されたホルダおよび両拘束部材によってニードルピンを保持する構成が採用されている。また、従来のプローブでは、前述したように、ニードルピンの基端部についてはホルダに固定されてホルダに対する移動が規制されているものの、ニードルピンの先端部側部位や中間部については、プロービング動作時に両拘束部材に対する移動を許容するために、V溝や雫形状孔の狭小部に押し付けられただけの状態となっている。
【0007】
この場合、V溝や雫形状孔の狭小部に対するニードルピンの押付け力が過剰に強いときには、プロービングに際して両拘束部材に対するニードルピンの移動(摺動)が妨げられる結果、ニードルピンの先端部が基板に対して過剰に強く押し付けられて、基板の傷付き、およびニードルピンの破損等を招くおそれがある。したがって、従来のプローブでは、V溝や雫形状孔の狭小部に対するニードルピンの押付け力を十分に弱くする必要がある。
【0008】
しかしながら、V溝や雫形状孔の狭小部に対するニードルピンの押付け力が弱い状態では、例えば高速なプロービングを行ったときに、ニードルピンの先端部側部位がV溝の狭小部から離脱してしまうことがあり、かかる場合には、基板に対してニードルピンの先端部が移動することで基板の表面に傷付きが生じることとなる。このため、従来のプローブには、ニードルピン(プローブ本体)の破損を招くことなく、プロービング対象の基板に傷付きが生じるのを回避するのが困難となっているという問題点がある。
【0009】
本発明は、かかる解決すべき問題点に鑑みてなされたものであり、プローブ本体の破損、およびプロービング対象の傷付きを好適に回避し得るコンタクトプローブおよび基板検査装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成すべく、請求項1記載のコンタクトプローブは、プローブ本体と、プローブ案内機構に一端部が固定され、かつ前記プローブ本体が他端部に配設されると共に、当該プローブ案内機構による案内に従って当該プローブ本体の先端部をプロービング対象に接触させるプローブ保持部と、前記プローブ本体の後端部および前記プローブ保持部の前記他端部のいずれかに一端部が連結されると共に、直接、または前記プローブ保持部の前記一端部を介して前記プローブ案内機構に他端部が固定される座屈変形部とを備え、
前記プローブ保持部は、前記プローブ案内機構に固定可能に形成されて当該プローブ保持部の前記一端部を構成するベース部と、当該ベース部に一端部が連結され、かつ前記プローブ本体が他端部に配設されると共に、当該プローブ本体の前記先端部が前記プロービング対象に接触した状態において前記プローブ案内機構によって当該ベース部が当該プロービング対象体に接近する第1の向きに移動させられたときに当該ベース部に連結されている当該一端部に対して当該プローブ本体が配設されている当該他端部が相対的に変位させられて当該第1の向きとは逆向きの第2の向きへの当該プローブ本体の直動または近似的直動を許容する直動案内部とを備え、前記座屈変形部は、前記直動案内部における前記他端部の前記相対的な変位によって当該座屈変形部の前記一端部が当該座屈変形部の前記他端部に接近するように当該一端部および当該他端部の間が座屈変形させられると共に、当該座屈変形させられる以前の状態に復帰しようとする弾性復帰力によって前記プローブ本体を前記第1の向きに付勢し、前記直動案内部は、前記第1の向きと交差する第3の向きに沿って配設されると共に、前記ベース部に一端部が連結され、かつ前記プローブ本体が他端部に配設された少なくとも2本のアームを有するアーム部を備え、前記アーム部は、前記各アームが前記第1の向きに並んで配設されて構成されているコンタクトプローブであって、前記プローブ保持部は、前記アーム部としての第1のアーム部および第2のアーム部を備えると共に、当該プローブ保持部を前記第1の向きに沿って見たときに、前記第1のアーム部における前記各アームの第1の延在方向と、前記第2のアーム部における前記各アームの第2の延在方向とが交差するように当該第1のアーム部および当該第2のアーム部が前記ベース部に連結されている
【0013】
また、請求項記載のコンタクトプローブは、請求項記載のコンタクトプローブにおいて、前記プローブ本体と前記座屈変形部とが一体的に連続して形成されている。
【0014】
さらに、請求項記載のコンタクトプローブは、請求項1または2記載のコンタクトプローブにおいて、前記直動案内部は、当該直動案内部の前記一端部に対して当該直動案内部の前記他端部が相対的に変位させられたときに弾性変形する弾性変形部を備えている。
【0015】
また、請求項記載のコンタクトプローブは、請求項記載のコンタクトプローブにおいて、導電性を有する板体を打抜き加工することによって前記プローブ本体、前記プローブ保持部および前記座屈変形部が一体的に連続して形成されている。
【0016】
さらに、請求項記載のコンタクトプローブは、請求項1からのいずれかに記載のコンタクトプローブにおいて、前記座屈変形部は、前記プローブ保持部の前記一端部を介して前記プローブ案内機構に固定可能に当該プローブ保持部の前記ベース部に前記他端部が連結されている。
【0017】
また、請求項記載のコンタクトプローブは、請求項1からのいずれかに記載のコンタクトプローブにおいて、前記座屈変形部は、座屈変形させられる以前の状態において前記一端部および前記他端部の間の少なくとも一部に曲りが生じるように形成されている。
【0018】
また、請求項記載の基板検査装置は、請求項1からのいずれかに記載のコンタクトプローブと、前記プローブ案内機構と、前記プローブ案内機構によって前記プロービング対象としての検査対象基板にプロービングさせた前記コンタクトプローブを介して当該検査対象基板に入出力した電気信号に基づいて当該検査対象基板の良否を検査する検査部とを備えている。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載のコンタクトプローブでは、プローブ本体の先端部がプロービング対象に接触した状態においてプローブ案内機構によってベース部がプロービング対象体に接近する第1の向きに移動させられたときにベース部側の一端部に対してプローブ本体側の他端部が相対的に変位させられて第1の向きとは逆向きの第2の向きへのプローブ本体の直動または近似的直動を許容する直動案内部を備えてプローブ保持部が構成され、かつ、直動案内部における他端部の相対的な変位によって座屈変形部が座屈変形すると共に、座屈変形部が座屈変形させられる以前の状態に復帰しようとする弾性復帰力によってプローブ本体を第1の向きに付勢するように構成されている。
【0020】
したがって、請求項1記載のコンタクトプローブによれば、プロービング動作時にプローブ保持部から離脱させることなくプローブ本体を直動または近似的に直動させることができるため、プローブ本体の先端部をプロービング対象の表面における任意の一点に接触させた状態を維持することができる。これにより、プロービング対象の表面に傷付きが生じたり、プローブ本体に破損が生じたりする事態を好適に回避することができる。また、座屈変形部の弾性復帰力によってプローブ本体の先端部を十分な付勢力でプロービング対象に押し付けることができるため、プロービング対象とプローブ本体とを確実に接続させることができる。
【0021】
また、のコンタクトプローブによれば、プローブ案内機構がコンタクトプローブを案内する第1の向きと交差する第3の向きに沿って配設されると共に、ベース部に一端部が連結され、かつプローブ本体が他端部に配設された少なくとも2本のアームを備え、各アームが第1の向きに並んで配設されたアーム部を備えて直動案内部を構成したことにより、比較的簡易な構成であるにも拘わらず、プローブ本体を確実に直動または近似的に直動させることができるため、プロービング対象の表面に傷付きが生じたり、プローブ本体に破損が生じたりする事態を一層好適に回避することができる。
【0022】
さらに、のコンタクトプローブによれば、プローブ保持部を第1の向きに沿って見たときに、第1のアーム部における各アームの第1の延在方向と、第2のアーム部における各アームの第2の延在方向とが交差するように第1のアーム部および第2のアーム部をベース部に連結したことにより、一端部側を中心として両アーム部がプロービング対象の表面に沿って回動するように変形する事態を回避することができるため、プロービング対象の表面に傷付きが生じたり、プローブ本体に破損が生じたりする事態を一層好適に回避することができる。
【0023】
また、請求項記載のコンタクトプローブによれば、プローブ本体と座屈変形部とを一体的に連続して形成したことにより、プローブ本体および座屈変形部を別体に形成して一体化する構成と比較して、その製造工程が少なくなる分だけ、コンタクトプローブの製造コストを十分に低減することができる。
【0024】
さらに、請求項記載のコンタクトプローブによれば、直動案内部の一端部に対して直動案内部の他端部が相対的に変位させられたときに弾性変形する弾性変形部を備えて直動案内部を構成したことにより、座屈変形部の弾性復帰力に加えて直動案内部の弾性復帰力がプローブ本体の先端部をプロービング対象に押し付ける付勢力として働く結果、プロービング対象とプローブ本体とを一層確実に接続させることができる。
【0025】
また、請求項記載のコンタクトプローブによれば、導電性を有する板体を打抜き加工することによってプローブ本体、プローブ保持部および座屈変形部を一体的に連続して形成したことにより、各構成要素を別体に形成して一体化する構成と比較してコンタクトプローブの製造工程が少なくなる分だけ、その製造コストを十分に低減することができる。
【0026】
さらに、請求項記載のコンタクトプローブによれば、プローブ保持部の一端部を介してプローブ案内機構に固定可能に座屈変形部の他端部をベース部に連結したことにより、プローブ保持部の一端部をプローブ案内機構に固定するだけで、プローブ保持部の各構成要素と、座屈変形部とをプローブ案内機構に対して固定することができるため、コンタクトプローブを容易に着脱することができる。
【0027】
また、請求項記載のコンタクトプローブによれば、座屈変形させられる以前の状態において一端部および他端部の間の少なくとも一部に曲りが生じるように座屈変形部を形成したことにより、座屈変形部に生じさせる座屈変形の向きを強制して、意図しない向きへの座屈変形が生じる事態を回避することができる結果、プロービングに際してコンタクトプローブが破損したり、座屈変形部の座屈変形が妨げられてプローブ本体が過剰に強い力でプロービング対象に押し付けられたりする事態を好適に回避することができる。
【0028】
また、請求項記載の基板検査装置によれば、請求項1からのいずれかに記載のコンタクトプローブと、プローブ案内機構と、プローブ案内機構によってプロービング対象としての検査対象基板にプロービングさせたコンタクトプローブを介して検査対象基板に入出力した電気信号に基づいて検査対象基板の良否を検査する検査部とを備えて構成したことにより、検査対象基板に傷付きが生じる事態を回避することができるだけなく、コンタクトプローブを介して検査対象基板に電気信号を確実に入出力させることができるため、良品の検査対象基板を不良品と誤って検査したり、不良品の検査対象基板を良品と誤って検査したりする事態を回避して正確に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】コンタクトプローブ1の側面図である。
図2】コンタクトプローブ1の正面図である。
図3】コンタクトプローブ1の平面図である。
図4】薄板部3の構成について説明するための説明図である。
図5】プロービング状態におけるコンタクトプローブ1の側面図である。
図6】薄板部3a,3bの構成について説明するための説明図である。
図7】薄板部3a,3cの構成について説明するための説明図である。
図8】コンタクトプローブ1Aの側面図である。
図9】コンタクトプローブ1Aの正面図である。
図10】コンタクトプローブ1Aの平面図である。
図11】取付部2aおよび薄板部4a,4bの構成について説明するための説明図である。
図12】プロービング状態におけるコンタクトプローブ1Aの側面図である。
図13】基板検査装置100の構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面を参照して、本発明に係るコンタクトプローブおよび基板検査装置の実施の形態について説明する。
【0031】
図1〜3に示すコンタクトプローブ1は、「コンタクトプローブ」の一例であって、図13に示すように、「プロービング対象」の一例である検査対象基板Xに対するプロービングが可能に基板検査装置100のプローブ案内機構Mに取り付けられる。この場合、基板検査装置100は、一例として、一対のコンタクトプローブ1,1(または、後述するコンタクトプローブ1A,1A:図8〜10参照)と、両コンタクトプローブ1,1を検査対象基板Xにそれぞれプロービングさせるプローブ案内機構M,Mと、両プローブ案内機構M,Mを制御して両コンタクトプローブ1,1を検査対象基板Xにプロービングさせると共に両コンタクトプローブ1,1を介して検査対象基板Xに入出力した電気信号に基づいて検査対象基板Xの良否を検査する検査部110とを備えて構成されている。
【0032】
一方、コンタクトプローブ1は、取付部2および薄板部3を備えて構成されている。取付部2は、一例として、銅合金等の導電性材料によって薄板部3を取り付け可能に形成されている。この取付部2には、図2,3に示すように、プローブ案内機構Mの位置決め用凸部Ma(図1〜3参照)を挿入可能な位置決め用孔Haと、コンタクトプローブ1をプローブ案内機構Mに固定するための固定用ねじN(図1,2参照)をねじ穴Mbにねじ込むための挿通孔Hbとが形成されている。
【0033】
薄板部3は、図1〜3に示すように、ベース部11a,11b、アーム12a,12b、アーム13a,13b、プローブ本体14(「プローブ本体」の一例)および座屈変形部15(「座屈変形部」の一例)を備えて構成されている。この場合、図4に示すように、本例のコンタクトプローブ1では、ニッケル合金等の導電性材料で形成された薄板(「導電性を有する板体」の一例)を打ち抜き加工することによって、上記の各構成要素11a,11b,12a,12b,13a,13b,14,15が一体的に連続して形成されている。
【0034】
なお、本例のコンタクトプローブ1では、薄板部3のベース部11a,11bが取付部2と相俟って「ベース部」を構成すると共に、アーム12a,13aが「第1のアーム部」を構成し、かつアーム12b,13bが「第2のアーム部」を構成する(「少なくとも2本」が「2本」の構成の例)。したがって、本例のコンタクトプローブ1では、上記の各アーム12a,12b,13a,13bが相俟って「直動案内部」を構成すると共に、これら各アーム12a,12b,13a,13bと、ベース部11a,11bと、取付部2とが相俟って「プローブ保持部」が構成されている。
【0035】
このコンタクトプローブ1では、図1,2に示すように、上記の「プローブ保持部」の一端部(この例では、「ベース部」を構成する取付部2)がプローブ案内機構Mに固定され、かつ「プローブ保持部」の他端部(この例では、「直動案内部」を構成する各アーム12a,12b,13a,13bにおけるベース部11a,11bとは逆側の端部)にプローブ本体14が配設され、これにより、「プローブ保持部」がプローブ案内機構Mによる案内に従ってプローブ本体14の先端部Paを検査対象基板X(「プロービング対象」の一例)に接触させる構成が採用されている。
【0036】
また、コンタクトプローブ1では、プローブ本体14の先端部Paが検査対象基板Xに接触した状態においてプローブ案内機構Mによって取付部2およびベース部11a,11bが検査対象基板Xに接近する矢印Aの向き(「第1の向き」の一例)に移動させられたときに、各アーム12a,12b,13a,13bが弾性変形して、各アーム12a,12b,13a,13bの一端部(ベース部11a,11bに連結されている側の端部)に対して、各アーム12a,12b,13a,13bの他端部(プローブ本体14が配設されている側の端部)が相対的に変位させられることにより、上記の矢印Aの向きとは逆向きの矢印Bの向き(「第2の向き」の一例)へのプローブ本体14の近似的直動が許容される構成が採用されている。
【0037】
この場合、図1に示すように、本例のコンタクトプローブ1では、各アーム12a,12b,13a,13bがプローブ案内機構Mによるコンタクトプローブ1の案内方向である上記の矢印Aの向きと交差する矢印C1の向き(「第3の向き」の一例)に沿って配設されると共に、図2に示すように、アーム12a,13aの2本が矢印Aの向きで並んで配設され、かつアーム12b,13bの2本が矢印Aの向きで並んで配設されている。なお、図1では、アーム12a,13aだけを図示している。
【0038】
また、図3に示すように、本例のコンタクトプローブ1では、各アーム12a,12b,13a,13bをプローブ案内機構Mによる案内方向に沿って見たときに、「第1のアーム部」を構成するアーム12a,13aの延在方向である矢印D1aの方向(「第1の延在方向」の一例)と、「第2のアーム部」を構成するアーム12b,13bの延在方向である矢印D1bの方向(「第2の延在方向」の一例)とが交差するようにアーム12a,13aがベース部11aに連結され、かつ、アーム12b,13bがベース部11bに連結されている。
【0039】
さらに、このコンタクトプローブ1では、図1,2に示すように、プローブ本体14の後端部Pbに座屈変形部15の一端部が連結され、かつ「ベース部」を構成するベース部11aに座屈変形部15の他端部が連結されて座屈変形部15の他端部が「ベース部」を介してプローブ案内機構Mに固定される構成が採用されている。
【0040】
この場合、図4に示すように、本例のコンタクトプローブ1では、薄板部3の形成時における打ち抜き加工に際して、座屈変形部15における中間部位がベース部11a寄りに撓まされている。これにより、本例のコンタクトプローブ1では、座屈変形させられる以前の状態において座屈変形部15の一端部(この例では、プローブ本体14の後端部Pbに連結されている側の端部)と、座屈変形部15の他端部(この例では、ベース部11aに連結されている側の端部)との間の少なくとも一部にベース部11aに向かって突出する向きの曲りが生じた状態となっており、後述するプロービング時に座屈変形部15に生じさせる座屈変形の向きが強制(規制)されている。
【0041】
また、このコンタクトプローブ1では、各アーム12a,12b,13a,13bの一端部(ベース部11a,11b側の端部)に対する他端部(プローブ本体14側の端部)の相対的な変位によって、座屈変形部15の一端部(この例では、プローブ本体14の後端部Pbに連結されている側の端部)が、座屈変形部15の他端部(この例では、ベース部11aに連結されている側の端部)に接近し、かつ座屈変形部15の一端部および他端部の間(中間部位)がベース部11aに接近するように座屈変形部15が座屈変形させられ、この際に、座屈変形部15が座屈変形させられる以前の状態に復帰しようとする弾性復帰力によってプローブ本体14(先端部Pa)を矢印Aの向きに付勢する構成が採用されている。
【0042】
また、本例のコンタクトプローブ1では、「直動案内部」を構成するアーム12a,12b,13a,13bの全体が弾性変形可能に構成されている(「直動案内部」の全体が「弾性変形部」の構成の例)。これにより、本例のコンタクトプローブ1では、上記したように座屈変形部15が座屈変形させられた状態から弾性復帰しようとする力に加えて、座屈変形部15と共に弾性変形させられている各アーム12a,12b,13a,13bが弾性復帰しようとする力がプローブ本体14(先端部Pa)を検査対象基板Xに向けて付勢する付勢力に加算される構成が採用されている。
【0043】
このコンタクトプローブ1の製造に際しては、まず、取付部2および薄板部3をそれぞれ製作する。具体的には、銅合金等を任意の大きさに切断した板体に位置決め用孔Haおよび挿通孔Hbを形成して取付部2を製作する。また、ニッケル合金等の薄板を打ち抜き加工することにより、図4に示すように、ベース部11a,11b、アーム12a,12b,13a,13b、プローブ本体14および座屈変形部15を一体的に形成した後に、同図に示す矢印Fの部位を折り曲げることによって薄板部3を製作する。次いで、スポット溶接、または、導電性を有する接着剤による接着によって薄板部3のベース部11a,11bを取付部2に固定する。これにより、図1〜3に示すように、コンタクトプローブ1が完成する。
【0044】
この場合、前述したように、本例のコンタクトプローブ1では、ベース部11a,11b、アーム12a,12b,13a,13b、プローブ本体14および座屈変形部15がニッケル合金等の薄板を打ち抜き加工することで一体的に形成されると共に、銅合金等で形成された取付部2にベース部11a,11bがスポット溶接、または、導電性を有する接着剤による接着によって固定されている。したがって、このコンタクトプローブ1では、取付部2に対する薄板部3の固定が完了した時点において、プローブ本体14の先端部Paから取付部2までの各部が電気的に接続された状態となる。
【0045】
一方、このコンタクトプローブ1を用いた検査対象基板Xの検査(検査対象基板Xに対するプロービング)に際しては、まず、コンタクトプローブ1をプローブ案内機構Mに取り付ける。具体的には、図1,2に示すように、取付部2に形成されている位置決め用孔Haにプローブ案内機構Mの位置決め用凸部Maを挿入することでプローブ案内機構Mに対してコンタクトプローブ1を位置決めする。次いで、取付部2に形成されている挿通孔Hbに挿通させるようにして固定用ねじNをプローブ案内機構Mのねじ穴Mbにねじ込むことでプローブ案内機構Mにコンタクトプローブ1を固定する。
【0046】
この際に、本例のコンタクトプローブ1では、前述したように、プローブ本体14の先端部Paから取付部2までが電気的に接続された状態となっている。このため、上記のように取付部2をプローブ案内機構Mに固定することにより、プローブ本体14の先端部Paがプローブ案内機構Mに電気的に接続された状態となる。これにより、プロービングの準備が整う。
【0047】
一方、プロービングに際しては、図1,2に示すように、プローブ案内機構Mが、検査部110の制御に従い、図示しない基板保持部によって保持されている検査対象基板X(検査対象基板)における任意のプロービング位置の上方にプローブ本体14の先端部Paを位置させた後に、両図に示す矢印Aの向きで取付部2を検査対象基板Xに向けて下降させる(コンタクトプローブ1を検査対象基板Xに接近させる)。
【0048】
この際には、まず、プローブ本体14の先端部Paが検査対象基板Xの表面に接触させられ、プローブ案内機構Mが取付部2を矢印Aの向きでさらに移動させたときに、図5に示すように、各アーム12a,12b,13a,13bが弾性変形させられて、各アーム12a,12b,13a,13bの一端部(ベース部11a,11b側の端部)に対して各アーム12a,12b,13a,13bの他端部(プローブ本体14側の端部)が矢印Bの向きに変位させられる。なお、同図では、アーム12a,13aのみを図示している。
【0049】
これにより、各アーム12a,12b,13a,13bに連結されているプローブ本体14が、同図に破線で示す状態(先端部Paが検査対象基板Xに接触させられた瞬間の状態)から、実線で示す状態(各アーム12a,12b,13a,13bが弾性変形させられたときの状態)となるまで、検査対象基板Xに対して傾いたり移動したりせずに、取付部2やベース部11a,11bに対して近似的に直動させられる。これにより、プローブ本体14の先端部Paが検査対象基板Xの表面における一点に点的に接した状態が維持される。
【0050】
また、本例のコンタクトプローブ1では、「第1のアーム部」を構成するアーム12a,13aの一端部、および「第2のアーム部」を構成するアーム12b,13bの一端部がプローブ本体14にそれぞれ連結されている。このため、上記のように各アーム12a,12b,13a,13bが弾性変形させられる際に、アーム12a,13aの一端部(ベース部11a側の端部)を中心にして他端部(プローブ本体14側の端部)が図3に矢印Eaで示すように回動するような両アーム12a,13aの変形(検査対象基板Xの表面に沿って回動するような両アーム12a,13aの振れ)がアーム12b,13bによって阻止されると共に、アーム12b,13bの一端部(ベース部11b側の端部)を中心にして他端部(プローブ本体14側の端部)が矢印Ebで示すように回動するような両アーム12b,13bの変形(検査対象基板Xの表面に沿って回動するような両アーム12b,13bの振れ)がアーム12a,13aによって阻止される。これにより、プローブ本体14の先端部Paが検査対象基板Xの表面における一点に点的に接した状態が確実に維持される。
【0051】
また、上記のような各アーム12a,12b,13a,13bの一端部に対する他端部の変位に伴い、座屈変形部15の一端部(プローブ本体14側の端部)が他端部(ベース部11a側の端部)に接近させられるようにして座屈変形部15が座屈変形させられる。この際に、本例のコンタクトプローブ1では、前述したように、座屈変形させられる以前の状態において座屈変形部15の一端部と他端部との間の少なくとも一部にベース部11aに向かって突出する向きの曲りが生じているため、座屈変形部15が意図しない向きに座屈変形させられることなく、図5に示すように、確実かつ容易に座屈変形させられる。
【0052】
さらに、座屈変形部15が座屈変形させられた状態においては、座屈変形させられる以前の状態に復帰しようとする弾性復帰力が座屈変形部15に生じ、この弾性復帰力によってプローブ本体14の先端部Paが検査対象基板Xの表面に矢印Bの向きで付勢される。これにより、プローブ本体14の先端部Paが検査対象基板Xに対して十分な付勢力で押し付けられた状態となり、プローブ本体14の先端部Paが押し付けられている検査対象基板X(導体パターン等)と、プローブ案内機構Mとが、各アーム12a,12b,13a,13b、ベース部11a,11bおよび取付部2を介して電気的に接続された状態となる。
【0053】
また、本例のコンタクトプローブ1では、座屈変形させられた状態の座屈変形部15に生じる上記の弾性復帰力だけでなく、弾性変形させられた状態の各アーム12a,12b,13a,13bに生じる上記の弾性復帰力が、プローブ本体14の先端部Paを検査対象基板Xに向けて付勢する付勢力として働くこととなる。したがって、本例のコンタクトプローブ1では、検査対象基板Xの表面に対してプローブ本体14の先端部Paが十分な押し付け力でプロービングされた状態となる。この後、検査部110が、検査対象基板Xに対してプロービングさせられているコンタクトプローブ1を介して入出力させた電気信号の電気的パラメータと、検査用基準データとに基づいて検査対象基板Xの良否を検査する。
【0054】
一方、コンタクトプローブ1を介しての電気的パラメータの測定が完了したときには、プローブ案内機構Mが、検査部110の制御に従い、図5に示す矢印Bの向きで取付部2を上昇させる。この際には、座屈変形部15および各アーム12a,12b,13a,13bに生じている弾性復帰力によって各アーム12a,12b,13a,13bが弾性復帰する(弾性変形させられる以前の状態となる)結果、各アーム12a,12b,13a,13bの一端部(ベース部11a,11b側の端部)に対して各アーム12a,12b,13a,13bの他端部(プローブ本体14側の端部)が矢印Aの向きに変位させられる。
【0055】
これにより、各アーム12a,12b,13a,13bに連結されているプローブ本体14が、同図に実線で示す状態から、破線で示す状態となるまで、検査対象基板Xに対して傾いたり移動したりせずに、取付部2やベース部11a,11bに対して近似的に直動させられる。これにより、プローブ本体14の先端部Paが検査対象基板Xの表面における一点に点的に接した状態が維持される。また、プローブ案内機構Mが取付部2を矢印Bの向きにさらに移動させたときには、図1,2に示すように、プローブ本体14の先端部Paが検査対象基板Xから離間して検査対象基板Xの上方に位置した状態となる。これにより、検査対象基板Xに対するプローブロービング(検査対象基板Xの検査)が完了する。
【0056】
このように、このコンタクトプローブ1では、プローブ本体14の先端部Paが「プロービング対象」としての検査対象基板Xに接触した状態においてプローブ案内機構Mによって「ベース部(取付部2およびベース部11a,11b)」が検査対象基板X体に接近する矢印Aの向きに移動させられたときに各アーム12a,12b,13a,13bにおけるベース部11a,11b側の一端部に対して各アーム12a,12b,13a,13bにおけるプローブ本体14が配側の他端部が相対的に変位させられて矢印Aの向きとは逆向きの矢印Bの向きへのプローブ本体14の近似的直動を許容する「直動案内部」を備えて「プローブ保持部」が構成され、かつ、各アーム12a,12b,13a,13bにおける他端部の相対的な変位によって座屈変形部15が座屈変形すると共に、座屈変形部15が座屈変形させられる以前の状態に復帰しようとする弾性復帰力によってプローブ本体14を矢印Aの向きに付勢するように構成されている。
【0057】
したがって、このコンタクトプローブ1によれば、プロービング動作時に各アーム12a,12b,13a,13bから離脱させることなくプローブ本体14を近似的に直動させることができるため、プローブ本体14の先端部Paを検査対象基板Xの表面における任意の一点に接触させた状態を維持することができる。これにより、検査対象基板Xの表面に傷付きが生じたり、プローブ本体14に破損が生じたりする事態を好適に回避することができる。また、座屈変形部15の弾性復帰力によってプローブ本体14の先端部Paを十分な付勢力で検査対象基板Xに押し付けることができるため、検査対象基板Xとプローブ本体14とを確実に接続させることができる。
【0058】
また、このコンタクトプローブ1によれば、コンタクトプローブ1を案内する矢印Aの向きと交差する矢印C1の向きに沿って配設されると共に、ベース部11a,11bに一端部が連結され、かつプローブ本体14が他端部に配設されたアーム12a,12a,12b,12bを備え、各アーム12a,13aが矢印Aの向きに並んで配設されると共に、各アーム12b,13bが矢印Aの向きに並んで配設された「アーム部」を備えて「直動案内部」を構成したことにより、比較的簡易な構成であるにも拘わらず、プローブ本体14を確実に近似的に直動させることができるため、検査対象基板Xの表面に傷付きが生じたり、プローブ本体14に破損が生じたりする事態を一層好適に回避することができる。
【0059】
さらに、このコンタクトプローブ1によれば、「プローブ保持部」を矢印Aの向きに沿って見たときに、「第1のアーム部」を構成する両アーム12a,13aの延在方向である矢印D1aの方向と、「第2のアーム部」を構成するアーム12b,13bの延在方向である矢印D1bの方向とが交差するように各アーム12a,12b,13a,13bをベース部11a,11bに連結したことにより、一端部側(ベース部11a,11b側)を中心として各アーム12a,13a,12b,13bが検査対象基板Xの表面に沿って回動するように変形する事態を回避することができるため、検査対象基板Xの表面に傷付きが生じたり、プローブ本体14に破損が生じたりする事態を一層好適に回避することができる。
【0060】
また、このコンタクトプローブ1によれば、プローブ本体14および座屈変形部15を一体的に連続して形成したことにより、「プローブ本体」および「座屈変形部」を別体に形成して一体化する構成と比較して、その製造工程が少なくなる分だけ、コンタクトプローブ1の製造コストを十分に低減することができる。
【0061】
さらに、このコンタクトプローブ1によれば、各アーム12a,12b,13a,13bの一端部に対して各アーム12a,12b,13a,13bの他端部が相対的に変位させられたときに弾性変形する「弾性変形部」を備えて「直動案内部」を構成した(この例では、各アーム12a,12b,13a,13bの全体を「弾性変形部」で構成した)ことにより、座屈変形部15の弾性復帰力に加えて各アーム12a,12b,13a,13bの弾性復帰力が先端部Paを検査対象基板Xに押し付ける付勢力として働く結果、検査対象基板Xとプローブ本体14とを一層確実に接続させることができる。
【0062】
また、このコンタクトプローブ1によれば、導電性を有する板体を打抜き加工することによってベース部11a,11b、アーム12a,12b,13a,13b、プローブ本体14および座屈変形部15を一体的に連続して形成したことにより、各構成要素を別体に形成して一体化する構成と比較してコンタクトプローブ1の製造工程が少なくなる分だけ、その製造コストを十分に低減することができる。
【0063】
さらに、このコンタクトプローブ1によれば、「プローブ保持部」の一端部を介してプローブ案内機構Mに固定可能に座屈変形部15の他端部をベース部11a,11bに連結したことにより、ベース部11a,11bが固定されている取付部2をプローブ案内機構Mに固定するだけで、「プローブ保持部」の各構成要素と、座屈変形部15とをプローブ案内機構Mに対して固定することができるため、コンタクトプローブ1を容易に着脱することができる。
【0064】
また、このコンタクトプローブ1によれば、座屈変形させられる以前の状態において一端部および他端部の間の少なくとも一部に曲りが生じるように座屈変形部15を形成したことにより、座屈変形部15に生じさせる座屈変形の向きを強制して、意図しない向きへの座屈変形が生じる事態を回避することができる結果、プロービングに際してコンタクトプローブ1が破損したり、座屈変形部15の座屈変形が妨げられてプローブ本体14が過剰に強い力で検査対象基板Xに押し付けられたりする事態を好適に回避することができる。
【0065】
また、この基板検査装置100によれば、上記のコンタクトプローブ1と、プローブ案内機構Mと、プローブ案内機構Mによって検査対象基板Xにプロービングさせたコンタクトプローブ1を介して検査対象基板Xに入出力した電気信号に基づいて検査対象基板Xの良否を検査する検査部110とを備えて構成したことにより、検査対象基板Xに傷付きが生じる事態を回避することができるだけなく、コンタクトプローブ1を介して検査対象基板Xに電気信号を確実に入出力させることができるため、良品の検査対象基板Xを不良品と誤って検査したり、不良品の検査対象基板Xを良品と誤って検査したりする事態を回避して正確に検査することができる。
【0066】
なお、「コンタクトプローブ」の構成は、上記のコンタクトプローブ1の構成に限定されない。例えば、「第1のアーム部」を構成するアーム12a,13aと、「第2のアーム部」を構成するアーム12b,13bとがプローブ本体14を介して一体的に連続するように形成した薄板部3を用いてコンタクトプローブ1を構成する例について説明したが、このような薄板部3に代えて、図6に示す薄板部3a,3bを用いて上記のコンタクトプローブ1と同様のコンタクトプローブを構成することもできる。なお、同図および後に参照する図7において上記のコンタクトプローブ1における薄板部3と同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0067】
この場合、薄板部3a,3bは、上記の薄板部3をプローブ本体14の中央部において分割した板体であり、具体的には、薄板部3において組立てに際して折り曲げた部位(図4における矢印Fの部位)でプローブ本体14を分割してプローブ本体14a,14bが形成されている。より具体的には、ベース部11a、アーム12a,13a、プローブ本体14aおよび座屈変形部15が打ち抜き加工によって一体的に連続して形成されて薄板部3aが構成されると共に、ベース部11b、アーム12b,13bおよびプローブ本体14bが打ち抜き加工によって一体的に連続して形成されて薄板部3bが構成されている。
【0068】
この薄板部3a,3bを用いたコンタクトプローブの製造に際しては、一例として、プローブ本体14a,14bを当接させるようにして薄板部3aのベース部11aおよび薄板部3bのベース部11bを取付部2にそれぞれ固定した後に、スポット溶接、または、導電性を有する接着剤による接着によってプローブ本体14a,14bを相互に固定する。これにより、上記のコンタクトプローブ1と同様のコンタクトプローブが完成する。なお、薄板部3a,3bを用いたコンタクトプローブの動作に関しては、前述したコンタクトプローブ1と同様のため、その図示および説明を省略する。
【0069】
また、「座屈変形部」を1つだけ備えた構成を例に挙げて説明したが、2つ以上の「座屈変形部」を設けて「コンタクトプローブ」を構成することもできる。具体的には、一例として、図6に示す薄板部3bに代えて、図7に示す薄板部3cを薄板部3aと共に使用して「コンタクトプローブ」を構成することもできる。なお、薄板部3aに関しては、図6を参照しつつ説明した上記の例と同様のため、詳細な説明を省略する。
【0070】
また、薄板部3cは、上記の薄板部3bにおけるベース部11bに代えてベース部11cを備え、かつ薄板部3bにおけるプローブ本体14bに代えてプローブ本体14cを備えると共に、「座屈変形部」の他の一例である座屈変形部15cを備えている。この薄板部3cは、薄板部3aにおけるプローブ本体14aの先端部Pa側に対応する部位が存在しない点を除き、薄板部3aと同様の形状に形成されている。したがって、この薄板部3cでは、座屈変形部15cの一端部がプローブ本体14bの後端部Pbに連結されると共に、座屈変形部15cの他端部がベース部11cに連結されている。
【0071】
この薄板部3a,3cを用いたコンタクトプローブの製造に際しては、一例として、プローブ本体14a,14cを当接させるようにして薄板部3aのベース部11aおよび薄板部3cのベース部11cを取付部2にそれぞれ固定した後に、スポット溶接、または、導電性を有する接着剤による接着によってプローブ本体14a,14cを相互に固定する。これにより、コンタクトプローブが完成する。この薄板部3a,3cを用いたコンタクトプローブの動作に関しては、座屈変形部15に加えて座屈変形部15cが座屈変形させられる点を除き、前述したコンタクトプローブ1と同様のため、その図示および説明を省略する。なお、薄板部3a,3cに代えて、両薄板部3a,3cにおける各構成要素11a,11c,12a,12b,13a,13b,14a,14c,15,15cを一体的に連続して形成した薄板部(図示せず)を用いて「コンタクトプローブ」を構成することもできる。
【0072】
また、座屈変形部15(15c)の一端部をプローブ本体14(14a,14b)の後端部Pbに連結した構成を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて、「プローブ保持部」の他端部、具体的には、「プローブ保持部」における「直動案内部」の他端部(「プローブ本体」側の端部)に「座屈変形部」の一端部を連結することもできる(図示せず)。このような構成を採用した場合においても、座屈変形させられた際に「座屈変形部」に生じる弾性復帰力によって「プローブ本体」の先端部を検査対象基板Xに対して十分な付勢力で押し付けた状態とすることができる。
【0073】
さらに、取付部2に薄板部3を取り付けたコンタクトプローブ1や、取付部2に薄板部3a〜3cのいずれかを取り付けた「コンタクトプローブ」を例に挙げて説明したが、これらの構成に代えて、取付部2を設けることなく、上記の薄板部3,3a〜3cをプローブ案内機構Mに直接取り付ける構成(薄板部3,3a〜3cを「コンタクトプローブ」とする構成)を採用することができる。このような構成を採用する際には、一例として、取付部2における位置決め用孔Haやねじ穴Mbに代わる孔(プローブ案内機構Mに取り付けるための孔)を薄板部3,3a,3bのベース部11a,11bや薄板部3cのベース部11a,11cに形成すればよい(図示せず)。
【0074】
また、「ベース部」、「直動案内部」、「プローブ本体」および「座屈変形部」を一体的に連続して形成した構成を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて、「プローブ本体」や「座屈変形部」を「ベース部」や「直動案内部」とは別体に形成した後に一体化する構成を採用することもできる。具体的には、一例として、図8〜10に示すコンタクトプローブ1Aのような構成を採用することもできる。
【0075】
コンタクトプローブ1Aは、「コンタクトプローブ」の他の一例であって、取付部2a、薄板部4,4(4a,4b)、プローブ本体5、座屈変形部6および接続用配線部7を備え、基板検査装置100のプローブ案内機構Mに取り付け可能に構成されている。この場合、薄板部4,4は、後述するように、その大きさおよび形状等が互いに等しく形成されている。なお、コンタクトプローブ1Aの構成に関する理解を容易とするために、以下、上方に位置する薄板部4を薄板部4aともいい、下方に位置する薄板部4を薄板部4bともいう。また、このコンタクトプローブ1Aでは、上記のプローブ本体5、座屈変形部6および接続用配線部7がSKH(高速工具鋼)細線や、タングステンのワイヤー等で一体的に連続して形成されている。以下、このプローブ本体5、座屈変形部6および接続用配線部7を合わせて「導線8」ともいう。
【0076】
取付部2aは、プローブ案内機構Mに固定するための平板状の本体部21、薄板部4a,4bを取り付けるための板体取付部22、および導線8(座屈変形部6における接続用配線部7側の端部、および接続用配線部7における座屈変形部6側の端部の部位)を保持する保持部23がポリアセタール等の樹脂材料を用いた射出成形処理によって一体形成されている。この場合、図9〜11に示すように、本体部21には、前述したコンタクトプローブ1の取付部2と同様に位置決め用孔Haおよび挿通孔Hbがそれぞれ形成されている。また、保持部23には、導線8を挿通可能な挿通用孔23aが形成されている。
【0077】
薄板部4a,4bは、図11に示すように、ニッケル合金等の導電性材料で形成された薄板を打ち抜き加工することにより、取付部2aの板体取付部22に固定するための固定部31a,31bと、アーム32a,32bとが一体的に連続して形成され、平面視V字状に形成されている。この場合、アーム32a,32bの先端部(V字形の頂角の部位)には、導線8を挿通可能なスリットSが形成されている。
【0078】
なお、このコンタクトプローブ1Aでは、取付部2a、および両薄板部4a,4bにおける固定部31a,31bが相俟って「ベース部」を構成すると共に、両薄板部4a,4bのアーム32a,32aが「第1のアーム部」を構成し、かつアーム32b,32bが「第2のアーム部」を構成する(「少なくとも2本」が「2本」の構成の他の例)。したがって、このコンタクトプローブ1Aでは、上記の各アーム32a,32a,32b,32bが相俟って「直動案内部」を構成すると共に、これらの各アーム32a,32a,32b,32bと、固定部31a,31a,31b,31bおよび取付部2aとが相俟って「プローブ保持部」が構成されている。
【0079】
このコンタクトプローブ1Aでは、図8,9に示すように、上記の「プローブ保持部」の一端部(この例では、「ベース部」を構成する取付部2aの本体部21)がプローブ案内機構Mに固定され、かつ「プローブ保持部」の他端部(この例では、「直動案内部」を構成する各アーム32a,32a,32b,32bにおける取付部2a側とは逆側の端部)にプローブ本体5が配設され、これにより、「プローブ保持部」がプローブ案内機構Mによる案内に従ってプローブ本体5の先端部Paを検査対象基板Xに接触させる構成が採用されている。
【0080】
また、コンタクトプローブ1Aでは、プローブ本体5の先端部Paが検査対象基板Xに接触した状態においてプローブ案内機構Mによって取付部2aが検査対象基板Xに接近する矢印Aの向き(「第1の向き」の一例)に移動させられたときに、各アーム32a,32a,32b,32bが弾性変形して、各アーム32a,32a,32b,32bの一端部(取付部2a側の端部)に対して、各アーム32a,32a,32b,32bの他端部(プローブ本体5が配設されている側の端部)が相対的に変位させられることにより、上記の矢印Aの向きとは逆向きの矢印Bの向き(「第2の向き」の一例)へのプローブ本体5の近似的直動が許容される構成が採用されている。
【0081】
この場合、図8に示すように、本例のコンタクトプローブ1Aでは、各アーム32a,32a,32b,32bがプローブ案内機構Mによるコンタクトプローブ1Aの案内方向である上記の矢印Aの向きと交差する矢印C2の向き(「第3の向き」の他の一例)に沿って配設されると共に、図9に示すように、アーム32a,32aの2本が矢印Aの向きで並んで配設され、かつアーム32b.32bの2本が矢印Aの向きで並んで配設されている。なお、図8では、アーム32a,32aだけを図示している。
【0082】
また、図10に示すように、本例のコンタクトプローブ1Aでは、各アーム32a,32a,32b,32bをプローブ案内機構Mによる案内方向に沿って見たときに、「第1のアーム部」を構成するアーム32a,32aの延在方向である矢印D2aの方向(「第1の延在方向」の他の一例)と、「第2のアーム部」を構成するアーム32b,32bの延在方向である矢印D2bの方向(「第2の延在方向」の他の一例)とが交差するようにアーム32a,32aが固定部31aを介して板体取付部22に固定され、かつ、アーム32b,32bが固定部31bを介して板体取付部22に固定されている。
【0083】
さらに、プローブ本体5、座屈変形部6および接続用配線部7が1本の導線8で構成されている本例のコンタクトプローブ1Aでは、プローブ本体5の後端部Pbが座屈変形部6の一端部(プローブ本体5側の端部)に連結された状態(プローブ本体5および座屈変形部6が連続している状態)となっている。また、本例のコンタクトプローブ1では、「ベース部」を構成する取付部2aの保持部23に形成された挿通用孔23aに座屈変形部6の他端部(接続用配線部7側の端部)が挿通させられた状体で導線8が挿通用孔23aに接着剤等で固定され、これにより、座屈変形部6の他端部が取付部2aを介してプローブ案内機構Mに固定される構成が採用されている。
【0084】
この場合、図8に示すように、本例のコンタクトプローブ1Aでは、座屈変形部6における一端部(プローブ本体5側の端部)と他端部(接続用配線部7側の端部)との間を取付部2aの本体部21に向かって撓ませられている。これにより、本例のコンタクトプローブ1Aでは、座屈変形させられる以前の状態において座屈変形部6の一端部と他端部との間の少なくとも一部に本体部21に向かって突出する向きの曲りが生じた状態となっており、後述するプロービング時に座屈変形部6に生じさせる座屈変形の向きが強制(規制)されている。
【0085】
また、本例のコンタクトプローブ1Aでは、各アーム32a,32a,32b,32bの一端部(取付部2a側の端部)に対する他端部(プローブ本体5側の端部)の相対的な変位によって、座屈変形部6の一端部(プローブ本体5側の端部)が、座屈変形部6の他端部(この例では、保持部23側の端部)に接近し、かつ座屈変形部6の一端部および他端部の間(中間部位)が取付部2aの本体部21に接近するように座屈変形部6が座屈変形させられ、この際に、座屈変形部6が座屈変形させられる以前の状態に復帰しようとする弾性復帰力によってプローブ本体5(先端部Pa)を矢印Aの向きに付勢する構成が採用されている。
【0086】
また、本例のコンタクトプローブ1Aでは、「直動案内部」を構成する各アーム32a,32a,32b,32bの全体が弾性変形可能に構成されている(「直動案内部」の全体が「弾性変形部」の構成の例)。これにより、本例のコンタクトプローブ1Aでは、上記したように座屈変形部6が座屈変形させられた状態から弾性復帰しようとする力に加えて、座屈変形部6と共に弾性変形させられている各アーム32a,32a,32b,32bが弾性復帰しようとする力がプローブ本体5(先端部Pa)を検査対象基板Xに向けて付勢する付勢力に加算される構成が採用されている。
【0087】
このコンタクトプローブ1Aの製造に際しては、まず、取付部2aおよび薄板部4a,4bをそれぞれ製作する。具体的には、ABS樹脂等の樹脂材料を用いた射出成形処理によって取付部2aを製作すると共に、ニッケル合金等の薄板を打ち抜き加工することによって薄板部4a,4bを製作する。次いで、接着、または超音波溶着によって固定部31a,31bを板体取付部22に固定することにより、取付部2aに薄板部4a,4bを取り付ける。
【0088】
続いて、保持部23の挿通用孔23a、薄板部4aのスリットS、および薄板部4bのスリットSに導線8を順次挿通させた後に、一例として、挿通用孔23aの口縁部、および両スリットSの口縁部と導線8との間に接着剤を注入することにより、保持部23および薄板部4a,4bに導線8を固定する。この際には、図8に示すように、保持部23の挿通用孔23aと薄板部4aのスリットSとの間の導線8を本体部21に向かって撓ませた状態とする。これにより、導線8の先端部Paから薄板部4aのスリットSに固定された部位までの間がプローブ本体5として機能し、かつ、薄板部4aのスリットSに固定されている部位から保持部23の挿通用孔23aに固定されている部位までの間が座屈変形部6として機能すると共に、挿通用孔23aに固定されている部位以降の部位が接続用配線部7として機能する状態となり、コンタクトプローブ1Aが完成する。
【0089】
一方、このコンタクトプローブ1Aを用いた検査対象基板Xの検査(検査対象基板Xに対するプロービング)に際しては、まず、コンタクトプローブ1Aをプローブ案内機構Mに取り付ける。具体的には、図8,9に示すように、取付部2aに形成されている位置決め用孔Haにプローブ案内機構Mの位置決め用凸部Maを挿入することでプローブ案内機構Mに対してコンタクトプローブ1Aを位置決めする。次いで、取付部2aに形成されている挿通孔Hbに挿通させるようにして固定用ねじNをプローブ案内機構Mのねじ穴Mbにねじ込むことでプローブ案内機構Mにコンタクトプローブ1Aを固定する。続いて、接続用配線部7の図示しない後端部を基板検査装置100の検査部110に接続する。これにより、プロービングの準備が整う。
【0090】
また、プロービングに際しては、プローブ案内機構Mが、検査部110の制御に従い、図示しない基板保持部によって保持されている検査対象基板X(検査対象基板)における任意のプロービング位置の上方にプローブ本体5の先端部Paを位置させた後に、両図に示す矢印Aの向きで取付部2aを検査対象基板Xに向けて下降させる(コンタクトプローブ1Aを検査対象基板Xに接近させる)。
【0091】
この際には、まず、プローブ本体5の先端部Paが検査対象基板Xの表面に接触させられ、プローブ案内機構Mが取付部2aを矢印Aの向きでさらに移動させたときに、図12に示すように、各アーム32a,32a,32b,32bが弾性変形させられて、各アーム32a,32a,32b,32bの一端部(取付部2a側の端部)に対して各アーム32a,32a,32b,32bの他端部(プローブ本体5側の端部)が矢印Bの向きに変位させられる。なお、同図では、アーム32a,32aのみを図示している。
【0092】
これにより、各アーム32a,32a,32b,32bに連結されているプローブ本体5が、同図に破線で示す状態(先端部Paが検査対象基板Xに接触させられた瞬間の状態)から、実線で示す状態(各アーム32a,32a,32b,32bが弾性変形させられたときの状態)となるまで、検査対象基板Xに対して傾いたり移動したりせずに、取付部2aや、薄板部4a,4bの固定部31a,31bに対して近似的に直動させられる。これにより、プローブ本体5の先端部Paが検査対象基板Xの表面における一点に点的に接した状態が維持される。
【0093】
また、本例のコンタクトプローブ1Aでは、「第1のアーム部」を構成するアーム32a,32aの一端部、および「第2のアーム部」を構成するアーム32b,32bの一端部がプローブ本体5にそれぞれ連結されている。このため、上記のように各アーム32a,32a,32b,32bが弾性変形させられる際に、アーム32a,32aの一端部(取付部2a側の端部)を中心にして他端部(プローブ本体5側の端部)が図10に矢印Eaで示すように回動するような両アーム32a,32aの変形(検査対象基板Xの表面に沿って回動するような両アーム32a,32aの振れ)がアーム32b,32bによって阻止されると共に、アーム32b,32bの一端部(取付部2a側の端部)を中心にして他端部(プローブ本体5側の端部)が矢印Ebで示すように回動するような両アーム32b,32bの変形(検査対象基板Xの表面に沿って回動するような両アーム32b,32bの振れ)がアーム32a,32aによって阻止される。これにより、プローブ本体5の先端部Paが検査対象基板Xの表面における一点に点的に接した状態が確実に維持される。
【0094】
また、上記のような各アーム32a,32a,32b,32bの一端部に対する他端部の変位に伴い、座屈変形部6の一端部(プローブ本体5側の端部)が他端部(保持部23側の端部)に接近させられるようにして座屈変形部6が座屈変形させられる。この際に、本例のコンタクトプローブ1Aでは、前述したように、座屈変形させられる以前の状態において座屈変形部6の一端部と他端部との間の少なくとも一部に本体部21に向かって突出する向きの曲りが生じているため、座屈変形部6が意図しない向きに座屈変形させられることなく、図12に示すように、確実かつ容易に座屈変形させられる。
【0095】
さらに、座屈変形部6が座屈変形させられた状態においては、座屈変形させられる以前の状態に復帰しようとする弾性復帰力が座屈変形部6に生じ、この弾性復帰力によってプローブ本体5の先端部Paが検査対象基板Xの表面に矢印Bの向きで付勢される。これにより、プローブ本体5の先端部Paが検査対象基板Xに対して十分な付勢力で押し付けられた状態となる。
【0096】
また、本例のコンタクトプローブ1Aでは、座屈変形させられた状態の座屈変形部6に生じる上記の弾性復帰力だけでなく、弾性変形させられた状態の各アーム32a,32a,32b,32bに生じる上記の弾性復帰力が、プローブ本体5の先端部Paを検査対象基板Xに向けて付勢する付勢力として働くこととなる。したがって、本例のコンタクトプローブ1Aでは、検査対象基板Xの表面に対してプローブ本体5の先端部Paが十分な押し付け力でプロービングされた状態となる。この後、検査部110が、検査対象基板Xに対してプロービングさせられているコンタクトプローブ1Aを介して入出力させた電気信号の電気的パラメータと、検査用基準データとに基づいて検査対象基板Xの良否を検査する。
【0097】
一方、コンタクトプローブ1Aを介しての電気的パラメータの測定が完了したときには、プローブ案内機構Mが、検査部110の制御に従い、図12に示す矢印Bの向きで取付部2aを上昇させる。この際には、座屈変形部6および各アーム32a,32a,32b,32bに生じている弾性復帰力によって各アーム32a,32a,32b,32bが弾性復帰する(弾性変形させられる以前の状態となる)結果、各アーム32a,32a,32b,32bの一端部(取付部2a側の端部)に対して各アーム32a,32a,32b,32bの他端部(プローブ本体5側の端部)が矢印Aの向きに変位させられる。
【0098】
これにより、各アーム32a,32a,32b,32bに連結されているプローブ本体5が、同図に実線で示す状態から、破線で示す状態となるまで、検査対象基板Xに対して傾いたり移動したりせずに、取付部2aや固定部31a,31bに対して近似的に直動させられる。これにより、プローブ本体5の先端部Paが検査対象基板Xの表面における一点に点的に接した状態が維持される。また、プローブ案内機構Mが取付部2aを矢印Bの向きにさらに移動させたときには、図8,9に示すように、プローブ本体5の先端部Paが検査対象基板Xから離間して検査対象基板Xの上方に位置した状態となる。これにより、検査対象基板Xに対するプローブロービング(検査対象基板Xの検査)が完了する。
【0099】
このように、このコンタクトプローブ1Aでは、プローブ本体5の先端部Paが「プロービング対象」としての検査対象基板Xに接触した状態においてプローブ案内機構Mによって「ベース部(本例では、取付部2a、および薄板部4a,4bにおいて板体取付部22に固定されている側の端部)」が検査対象基板X体に接近する矢印Aの向きに移動させられたときに各アーム32a,32a,32b,32bにおける「ベース部」側の一端部に対して各アーム32a,32a,32b,32bにおけるプローブ本体5側の他端部が相対的に変位させられて矢印Aの向きとは逆向きの矢印Bの向きへのプローブ本体5の近似的直動を許容する「直動案内部」を備えて「プローブ保持部」が構成され、かつ、「直動案内部」における他端部の相対的な変位によって座屈変形部6が座屈変形すると共に、座屈変形部6が座屈変形させられる以前の状態に復帰しようとする弾性復帰力によってプローブ本体5を矢印Aの向きに付勢するように構成されている。
【0100】
したがって、このコンタクトプローブ1Aによれば、プロービング動作時に各アーム32a,32a,32b,32bから離脱させることなくプローブ本体5を近似的に直動させることができるため、プローブ本体5の先端部Paを検査対象基板Xの表面における任意の一点に接触させた状態を維持することができる。これにより、検査対象基板Xの表面に傷付きが生じたり、プローブ本体5に破損が生じたりする事態を好適に回避することができる。また、座屈変形部6の弾性復帰力によってプローブ本体5の先端部Paを十分な付勢力で検査対象基板Xに押し付けることができるため、検査対象基板Xとプローブ本体5とを確実に接続させることができる。
【0101】
また、このコンタクトプローブ1Aによれば、コンタクトプローブ1Aを案内する矢印Aの向きと交差する矢印C2の向きに沿って配設されると共に、「ベース部」に一端部が連結され、かつプローブ本体5が他端部に固定されたアーム32a,32a,32b,32bを備え、各アーム32a,32aが矢印Aの向きに並んで配設されると共に、各アーム32b,32bが矢印Aの向きに並んで配設された「アーム部」を備えて「直動案内部」を構成したことにより、比較的簡易な構成であるにも拘わらず、プローブ本体5を確実に近似的に直動させることができるため、検査対象基板Xの表面に傷付きが生じたり、プローブ本体5に破損が生じたりする事態を一層好適に回避することができる。
【0102】
さらに、このコンタクトプローブ1Aによれば、「プローブ保持部」を矢印Aの向きに沿って見たときに、「第1のアーム部」を構成する両アーム32a,32aの延在方向である矢印D2aの方向と、「第2のアーム部」を構成する両アーム32b,32bの延在方向である矢印D2bの方向とが交差するように各アーム32a,32a,32b,32bを取付部2aの板体取付部22に連結したことにより、一端部側(取付部2a側)を中心として各アーム32a,32a,32b,32bが検査対象基板Xの表面に沿って回動するように変形する事態を回避することができるため、検査対象基板Xの表面に傷付きが生じたり、プローブ本体5に破損が生じたりする事態を一層好適に回避することができる。
【0103】
また、このコンタクトプローブ1Aによれば、プローブ本体5と座屈変形部6部とを一体的に連続して形成したことにより、「プローブ本体」および「座屈変形部」を別体に形成して一体化する構成と比較して、その製造工程が少なくなる分だけ、コンタクトプローブ1の製造コストを十分に低減することができる。
【0104】
さらに、このコンタクトプローブ1Aによれば、各アーム32a,32a,32b,32bの一端部に対して各アーム32a,32a,32b,32bの他端部が相対的に変位させられたときに弾性変形する「弾性変形部」を備えて「直動案内部」を構成した(この例では、各アーム32a,32a,32b,32bの全体を「弾性変形部」で構成した)ことにより、座屈変形部6の弾性復帰力に加えて各アーム32a,32a,32b,32bの弾性復帰力が先端部Paを検査対象基板Xに押し付ける付勢力として働く結果、検査対象基板Xとプローブ本体5とを一層確実に接続させることができる。
【0105】
さらに、このコンタクトプローブ1Aによれば、「プローブ保持部」の一端部を介してプローブ案内機構Mに固定可能に座屈変形部6の他端部を取付部2aの保持部23に連結したことにより、取付部2aをプローブ案内機構Mに固定するだけで、「プローブ保持部」の各構成要素と、座屈変形部6とをプローブ案内機構Mに対して固定することができるため、コンタクトプローブ1Aを容易に着脱することができる。
【0106】
また、このコンタクトプローブ1Aによれば、座屈変形させられる以前の状態において一端部および他端部の間の少なくとも一部に曲りが生じるように座屈変形部6を形成したことにより、前述したコンタクトプローブ1と同様にして、座屈変形部6に生じさせる座屈変形の向きを強制して、意図しない向きへの座屈変形が生じる事態を回避することができる結果、プロービングに際してコンタクトプローブ1Aが破損したり、座屈変形部6の座屈変形が妨げられてプローブ本体5が過剰に強い力で検査対象基板Xに押し付けられたりする事態を好適に回避することができる。
【0107】
また、このコンタクトプローブ1Aを備えた基板検査装置100によれば、前述したコンタクトプローブ1を備えた基板検査装置100と同様にして、検査対象基板Xに傷付きが生じる事態を回避することができるだけなく、コンタクトプローブ1Aを介して検査対象基板Xに電気信号を確実に入出力させることができるため、良品の検査対象基板Xを不良品と誤って検査したり、不良品の検査対象基板Xを良品と誤って検査したりする事態を回避して正確に検査することができる。
【0108】
また、「座屈変形部」の他端部を「ベース部」に連結して、「ベース部」を介して「座屈変形部」をプローブ案内機構Mに固定する構成のコンタクトプローブ1,1A等を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて、「座屈変形部」の他端部を「プローブ案内機構」に直接固定する構成を採用することもできる(図示せず)。また、「直動案内部」の他端部に「プローブ本体」を直接配設した構成のコンタクトプローブ1,1Aを例に挙げて説明したが、このような構成に代えて、「プローブ本体」を保持可能な「保持部」を「直動案内部」の他端部に連結し、この「保持部」に「プローブ本体」を保持させることで「保持部」を介して「直動案内部」の他端部に「プローブ本体」を配設する構成を採用することもできる(図示せず)。
【0109】
さらに、「プローブ保持部」の構成は、上記の例に限定されず、例えば、特許第4008599号公報や、特許第4717144号公報において出願人が開示しているコンタクトプローブ固定具の構成などを採用して「プローブ保持部」を構成することができる。
【符号の説明】
【0110】
1,1A コンタクトプローブ
2,2a 取付部
3,3a〜3c,4a,4b 薄板部
5,14,14a〜14c プローブ本体
6,15,15c 座屈変形部
7 接続用配線部
8 導線
11a〜11c ベース部
12a,12b,13a,13b,32a,32b アーム
21 本体部
22 板体取付部
23 保持部
23a 挿通用孔
31a,31b 固定部
100 基板検査装置
110 検査部
Ha 位置決め用孔
Hb 挿通孔
M プローブ案内機構
Ma 位置決め用凸部
Mb ねじ穴
N 固定用ねじ
Pa 先端部
Pb 後端部
S スリット
X 検査対象基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13