(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1つのヌクリオンエンベロープが、(a)ヌクリオン中の基本ヌクリオン部分、(b)コア核酸、(c)1又は複数のリボキャプシド、(d)1又は複数のリボキャプシドサブユニット、(e)ヌクリオン中の他のヌクリオンエンベロープ、又は(f)これらの任意の組み合わせ、の少なくとも一部と結合しており、
前記基本ヌクリオンは、ヌクリオンエンベロープを有しないヌクリオンである、請求項2に記載の単離されたヌクリオン。
1又は複数のリボキャプシドサブユニットが開始tRNAを含み、かつ1又は複数のリボキャプシドサブユニットが伸長tRNAを含む、請求項1に記載の単離されたヌクリオン。
製造方法が、(1)コア核酸調製物と、1又は複数のリボキャプシドサブユニット調製物とを組み合わせる、(2)リボキャプシドサブユニット調製物に、1又は複数のコア核酸調製物を添加する、(3)コア核酸調製物に、1又は複数のリボキャプシドサブユニット調製物を添加する、(4)固相に直接又は非直接に固定化されたコア核酸調製物と、固定化されていない1又は複数のリボキャプシドサブユニット調製物を組み合わせる、(5)固相に直接又は非直接に固定化された1又は複数のリボキャプシドサブユニット調製物と、固定化されていないコア核酸調製物を組み合わせる、(6)コア核酸調製物と、1又は複数のリボキャプシドサブユニット調製物をバッチ処理を利用して組み合わせる、(7)コア核酸調製物と、1又は複数のリボキャプシドサブユニット調製物を連続工程を利用して組み合わせる、(8)コア核酸調製物と、1又は複数のリボキャプシドサブユニット調製物を組み合わせ、次いで混合する、(9)コア核酸調製物と、1又は複数のリボキャプシドサブユニット調製物を組み合わせ、次いで得られたヌクリオンを、当該ヌクリオン中にないコア核酸から分離する、(10)コア核酸調製物と、1又は複数のリボキャプシドサブユニット調製物を組み合わせ、次いで得られたヌクリオンを、当該ヌクリオン中にないリボキャプシドサブユニットから分離する、(11)コア核酸調製物と、1又は複数のリボキャプシドサブユニット調製物を組み合わせ、次いで得られたヌクリオンを、当該ヌクリオン中にないコア核酸及びリボキャプシドサブユニットの双方から分離する、(12)基本ヌクリオン調製物と、1又は複数のヌクリオンエンベロープ調製物を組み合わせる、(13)1又は複数の基本ヌクリオン調製物をヌクリオンエンベロープ調製物へ添加する、(14)1又は複数の基本ヌクリオンエンベロープ調製物をヌクリオン調製物へ添加する、(15)固相に直接又は非直接に固定化された基本ヌクリオンを含む調製物と、固定化されていないヌクリオンエンベロープを含む1又は複数の調製物を組み合わせる、(16)固相に直接又は非直接に固定化されたヌクリオンエンベロープを含む調製物と、固定化されていない基本ヌクリオンを含む1又は複数の調製物を組み合わせる、(17)1又は複数の基本ヌクリオン調製物と、1又は複数のヌクリオンエンベロープ調製物をバッチ処理を利用して組み合わせる、(18)1又は複数の基本ヌクリオン調製物と、1又は複数のヌクリオンエンベロープ調製物を連続工程を利用して組み合わせる、(19)1又は複数の基本ヌクリオン調製物と、1又は複数のヌクリオンエンベロープ調製物を組み合わせ、次いで混合する、(20)1又は複数の基本ヌクリオン調製物と、1又は複数のヌクリオンエンベロープ調製物を組み合わせ、次いで得られたエンベロープされたヌクリオンを、当該エンベロープされたヌクリオン中にないヌクリオンから分離する、(21)1又は複数の基本ヌクリオン調製物と、1又は複数のヌクリオンエンベロープ調製物を組み合わせ、次いで得られたエンベロープされたヌクリオンを、当該エンベロープされたヌクリオン中にないヌクリオンエンベロープから分離する、(22)1又は複数の基本ヌクリオン調製物と、1又は複数のヌクリオンエンベロープ調製物を組み合わせ、次いで得られたエンベロープされたヌクリオンを、当該エンベロープされたヌクリオン中にない基本ヌクリオン及びヌクリオンエンベロープの双方から分離する、(23)1又は複数のコア核酸調製物と、1又は複数のリボキャプシドユニット調製物、及び1又は複数のヌクリオンエンベロープ調製物とを組み合わせる、(24)1又は複数のコア核酸調製物と、1又は複数のリボキャプシドユニット調製物、及び1又は複数のヌクリオンエンベロープ調製物とを組み合わせ、次いで混合する、(25)1又は複数のコア核酸調製物と、1又は複数のリボキャプシドユニット調製物、及び1又は複数のヌクリオンエンベロープ調製物とを組み合わせ、次いで得られた組み合わせから得られたエンベロープされたヌクリオンを分離する、(26)1又は複数のコア核酸調製物と、1又は複数のリボキャプシドユニット調製物、及び1又は複数のヌクリオンエンベロープ調製物とをバッチ処理において組み合わせる、(27)1又は複数のコア核酸調製物と、1又は複数のリボキャプシドユニット調製物、及び1又は複数のヌクリオンエンベロープ調製物とを連続工程において組み合わせる、(28)これらの2又は3以上の任意の組み合わせ、及び(29)これらの2又は3以上の任意の混成からなる群から選択される、請求項16に記載の製造方法。
サイズによる分離、形状による分離、質量による分離、化学的親和性による分離、免疫学的な特性による分離、ヌクリオン成分へのビオチン部分の結合を利用した分離、ヌクリオン成分への核酸プローブの結合を利用した分離、電気的特性を利用した分離、浸透圧の特性を利用した分離、磁気の特性を利用した分離、溶解性を利用した分離、非変性ゲルによる電気泳動に基づく分離、非変性ゲルでの電気泳動分離に続くバンドの分画、濾過、透析、ゲル排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー及びこれらの2又は3以上の任意の組み合わせからなる群から選択される1又は複数のステップによりヌクリオンを単離するステップを更に含む、請求項16に記載の製造方法。
化学的修飾、物理的修飾、架橋、ヌクリオン成分の架橋、1又は複数のヌクリオン成分の架橋、核酸の分離鎖上の2又は3以上の塩基間の共有結合の導入、二官能性のナイトロジェンマスタードへの暴露、シスシスジアミノジクロロプラチニウムへの暴露、ホルムアルデヒドへの暴露、ソラレン(psolaren)への暴露、4,5’,8−トリメチルソラレンへの暴露、8−メトキシソラレンへの暴露、4−アミノメチル−4,5’,8−トリメチルソラレンへの暴露、凍結乾燥、凍結、乾燥、冷却、スカベンジャーの添加、抗酸化剤の添加、金属イオン封鎖剤の添加、乳化剤の添加、賦形剤の添加、界面活性剤の添加、紫外線安定剤の添加、RNA分解酵素阻害剤の添加、これらの2又は3以上の任意の組み合わせからなる群から選択される1又は複数のステップにより、製造中又は製造後のヌクリオンを安定化するステップを更に含む、請求項16に記載の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、1つのコア核酸(CNA)分子に結合した4つのribocapsidサブユニット(R1〜R4は標識されている)を含むnuclionの一例の模式図である。Cは、CAN上のコドンを表す。ACはribocapsid核酸上のアンチコドンを表す。矢印は、別のribocapsidサブユニット上のリンクサイト(LS)へのribocapsidサブユニット上のコネクトサイト(CS)の結合を示しています。
【
図2】
図2は、1つのメッセンジャーRNA(mRNA)分子に結合した4つのアミノアシル転移RNA分子(T1〜T4の標識が付いたもの)を含むtRNA nuclionの一例の模式図である。5’及び3’は、mRNAの末端の方向を示してます。AA1からAA4は、tRNA分子へのアシル化アミノ酸を表す。Cは、mRNA上のコドンを表す。ACはtRNAのアンチコドン上を表す。矢印は別のtRNA上のtRNAのリンクサイト(TLS)への1つのtRNA上のtRNAのコネクタ(TC)の結合を示しています。
【
図3A】
図3Aは、コンセンサスtRNAの二次構造のフォーマットにある最も保存されたtRNAヌクレオシドを示し、ここではtRNAdbデータベースの作者によって採用された規則に従いヌクレオシドの位置を番号で表示してある。点線は、基準塩基対を示し、矢印は、(i)プソイドウリジンステム(49−53位まで、61−65位まで)のスタッキングアミノ酸ステム(1−7位、66から72位まで)と、(ii)アンチコドンステム(27−31位まで、39−43位まで)ジヒロドウリジンステム(10−13、22−25)の積み重ねを示している。他の顕著なtRNAの構造要素は、アミノ酸の結合部位(76位の隣のサークル内の“AA”)、プソイドウリジンループ(54−60位)、アンチコドン(緑の箱の34−36位)を含むアンチコドンループ(32−38位)、ジヒロドウリジンループ(14−21位)と可変ループ(44−47位)を含む。有病を示す標識がない限り(下記参照)、1−76とラベルが付いた76の場所は、通常、ヌクレオシド及びO標識(占有を意味する)によって占められている。これとは対照的に、23カ所(0、17a、20a、20b、e1−5、e11−17及びe21−27)は、通常は占められておらず、E標識(余分)で示してある。黄色のボックスは1ヌクレオシド群(G、A、C又はUであり、それらは何からの修飾がある)は、これらの623配列中で90%以上のヌクレオシド有病(SP)のある位置を示している。このような黄色のボックス内の通常又はイタリック体の文字は、(i)その位置(G、A、C又はU)で90%以上のSPのヌクレオシド群、又は(ii)この位置(P又はT)で50%以上のSPの修飾ヌクレオシド、をそれぞれ示している。青色のボックスは、ヌクレオシドクラス(プリン又はピリミジン)が90%以上のSPのある位置を示している。このようなヌクレオシドクラスボックス内の通常又はイタリック体の文字が示しているのは、それぞれ(i)その位置(プリンを示すR,ピリミジンを示すY)で90%以上のSPのヌクレオシドクラス、又は(ii)その位置(修飾アデノシンを示すH)で50%以上のSPの修飾ヌクレオシドである。20位のDはその位置で50%以上のSPのジヒロドウリジンステムを示す。
【
図3B】
図3Bは、
図3Aに使用されるヌクレオシド有病の記号及びヌクレオシドの略語表です。アスタリスクが付いている特定のヌクレオシドが示すのは、関連するデータが基本及び修飾ヌクレオシドの両方に言及していることです。
【
図4A】
図4Aは、分子の右側から見たときで、リン酸ジエステルバックボーンの位置とそれらに付属するヌクレオシドを説明するためにPyMOLソフトウェアを使用して用意された10報のtRNA構造(tRNA結晶のX線回折実験により決定)のコンピュータ・モデリング・オーバーレイである。
【
図4B】
図4Bは、
図4Aに提示されたものと同じ構造のアミノ酸部位の遠位tRNAの側から見た図である。
【
図4C】
図4Cは、
図4及び
図4Bで説明した構造体のカラーキーやその他の情報を提供しています。AAで標識された列には、各tRNAのアミノ酸特異性を示します。PDBで標識された列には、データの由来であったり、研究調査に引用されているプロテインデータバンクに登録されている構造体への参照を提供します。
【
図5A】
図5AはトランスファーRNAのためのヌクレオシド有病トポグラムであり、ここでは90%以上のヌクレオシド有病を伴うヌクレオシドのためのトランスファーRNA配列について報告された623報のデータマイニングの結果を報告しており、酵母tRNAPheの三次構造をPyMOLにより生み出されたコンピューターモデルを提示している。すべてのコンポーネント原子(水素を除く)の空間充填表現を試みた。四箇所の保存ゾーンが同定された。
【
図6A】
図6Aは、酵母tRNAPheにあるtRNAリンクサイト(TLS)のコンピューター・モデルであり、その9つの保存TLSヌクレオシドにはL1からL5Lと標識された5層に積層されて、8つのGSP90ヌクレオシド及び1PSP90プリンを含んでいる。これらのTLSヌクレオシド中の原子は空間充填として示されているが、他のヌクレオシドはメッシュで表されている。
【
図6B】
図6Bは、
図6AのどのTLSヌクレオシドが他のTLSヌクレオシドへの塩基対であり、どの方法によるものか示している。
【
図7A】
図7Aは、
図4Aと
図4Bで表現した10報のtRNA構造(tRNA結晶のX線回折実験により決定)のコンピュータ・モデリング・オーバーレイであるが、ヌクレオシドのスティック表現を利用している。このTLSは、tRNAの上方からの視線で、z方向にアンチコドンステム(見ているのとは離れた)とy方向にアミノ酸ステム(ページの上部に向かって)が位置する。
【
図7B】
図7Bは、
図7Aで説明した構造体のカラーキーやその他の情報を提供しています。AAで標識された列には、各tRNAのアミノ酸特異性を示します。PDBで標識された列には、データの由来であったり、研究調査に引用されているプロテインデータバンクに登録されている構造体への参照を提供します。
【
図8A】
図8Aは、T−形nuclion内のmRNA上の隣接するコドンに結合した2つのアミノアシル化L−高次構造の酵母tRNAPhe分子(tRNA1とtRNA2の標識)のコンピューター・モデルである。破線はnuclion軸であり、mRNAの方向を示すために、5’及び3’を表示してある。
【
図9A】
図9Aは、5’方向からnuclion軸上の視線での、T−形nuclion内でmRNA上の連続したコドンに結合した3つのアミノアシル化L−高次構造の酵母tRNAPheの分子(tRNA1、tRNA2とtRNA3の標識)のコンピューター・モデルである。
【
図10A】
図10Aは、T−形nuclionでmRNA上の連続したコドンに結合した10個のアミノアシル化L−高次構造の酵母tRNAPhe分子のコンピュータモデルである。破線はnuclion軸であり、mRNAの方向を示すために、5’及び3’を表示してある。
【
図11】
図11は、tRNA nuclion(他のtRNA原子は非表示)の隣接するS−構造及びT−構造にあるtRNAアンチコドンに結合するmRNAコドンのコンピュータモデルです。mRNAコドンはオレンジです。他のすべての色は、tRNAアンチコドンを示している。隣接するテーブルは、関連するtRNAアンチコドンの構造と共に、これらの2つのnuclion高次構造内に対応するnuclionヘリックスのためのtRNA当たりのヘリックライズとへリックススターン値を提示している。
【
図12A】
図12Aは、tRNAのアンチコドンループのK−高次構造のコンピュータモデルであり、結合に関わるコドンも示し、アンチコドンループとコドンは棒により表現されている。tRNAのアンチコドンステムは、メッシュで表されている。U33は、位置33における保存GSP90ウリジンです。Pu37は位置37における保存PSP90プリンです。
【
図12B】
図12Bは、tRNAのアンチコドンループのL−高次構造のコンピュータモデルであり、結合に関わるコドンも示し、アンチコドンループとコドンは棒により表現されている。tRNAのアンチコドンステムは、メッシュで表されている。U33は、位置33における保存GSP90ウリジンです。Pu37は位置37における保存PSP90プリンです。
【
図13A】
図13Aは、S−形nuclion内mRNA上の隣接するコドンに結合した4つのアミノアシル化K−高次構造の酵母tRNA Phe分子(tRNA1、tRNA2、tRNA3とtRNA4の標識)のコンピューター・モデルである。破線はnuclion軸であり、mRNAの方向を示すために、5’及び3’を表示してある。
【
図14A】
図14Aは、R−高次構造nuclionキャップとして、mRNA上のコドンへ結合するL−高次構造の酵母tRNAPhe分子のコンピュータモデルである。いくつかの下流tRNAのアンチコドンが示されているが(対応するコドンと共に)、これらの分子のバランスが示されていない。破線はnuclion軸であり、mRNAの方向を示すために、5’及び3’を表示してある。
【
図15】
図15は、関連情報表で同定されており、3つのnuclion高次構造内の11個のアミノアシル化tRNA分子を含有する化合物のtRNA nuclionの概略図である。tRNAのための図式規則は左下隅に表示された画像で定義される。
【
図16】
図16は、化合物のtRNA nuclion及び関連情報表のコンピューター・モデルであり、どちらも
図15の模式図に対応している。2つアミノアシル化tRNAはnuclionから下流のmRNAの結合で表示されている。破線はnuclion軸であり、オレンジ色であるmRNAの方向を示すために、5’及び3’を表示してある。
【
図17】
図17は、tRNAのnuclionsの3つの高次構造の特徴表である。記号“〜”は、実質的に提示された数値の範囲内を意味する。
【
図18】
図18は、細菌と同類の真核生物の細胞小器官でのtRNAによるイニシエーション(開始)コドンマーキングの図であり、イニシエーターnuclionの形成前(上)及び形成後(下)を表す。T(N−1)からT(N+2)はtRNA分子を表す。AAは伸長tRNAに結合したアミノ酸を表す。F−Met(ホルミルメチオニン)はイニシエーターtRNAに結合する。5’及び3’は、mRNAの末端の方向を表示している。CはmRNA上のコドンを表す。ACはtRNAのアンチコドン上を表す。RとSがそのtRNAのでnuclion高次構造を示す。斜めの矢印は別のtRNA上のtRNAのリンクサイト(TLS)への1つのtRNA上のtRNAコネクタ(TC)の結合を示す。’駐車禁止’記号は、TCコネクタが隣接する上流のtRNA上でTLS部位に結合できないことを示す。
【
図19】
図19は、真核生物の細胞質内のtRNAによるイニシエーション(開始)コドンマーキングの図であり、イニシエーターnuclionの形成前(上)及び形成後(下)を表す。T(N−1)からT(N+2)はtRNA分子を表し、AAは伸長tRNAに結合したアミノ酸を表す。Met(メチオニン)はイニシエーターtRNAに結合する。5’及び3’は、mRNAの末端の方向を表示している。CはmRNA上のコドンを表す。ACはtRNAのアンチコドン上を表す。RとSがそのtRNAのでnuclion高次構造を示す。斜めの矢印は別のtRNA上のtRNAのリンクサイト(TLS)への1つのtRNA上のtRNAコネクタ(TC)の結合を示す。’駐車禁止’記号は、TCコネクタが隣接する上流のtRNA上でTLS部位に結合できないことを示す。
【
図20A】
図20Aは、続く二つの下流tRNAのCCAテイルつまりtRNA2(成長中のポリペプチド鎖を保持する)とtRNA3(その次のアミノ酸を保持している)の間でペプチジル転移を触媒する始原的(又は異常な現代な)R形nuclion tRNAのキャップ(tRNA1)のコンピュータモデルである。破線はnuclion軸であり、mRNAの方向を示すために、5’及び3’を表示してある。
【
図21】
図21は、11個のtRNA分子からなり、その中の9つはアミノアシル化、その中(tRNA2、緑)の1つが成長中ポリペプチド(’タンパク質’と表示)でアシル化され、そしてその中の1つtRNAキャップ(tRNA1、赤)はアミノ酸又はペプチドでアシル化されていない、このような始原的(又は異常な現代な)化合物nuclionによるタンパク質合成の模式図である。自由溶液中の2つのtRNAが装填とリサイクルされる自由なtRNAとして模式的に示されている。tRNAのための図式規則は右上隅に表示された画像で定義される。
【
図22】
図22は、自由溶液中でnuclionと帯電していないtRNAからmRNAの下流にある2つのアミノアシル化tRNAを追加した、
図21の模式図に対応する化合物tRNA nuclionによるタンパク質合成のコンピューター・モデルであり。赤い小さな分子はアミノ酸である。nuclionの上部から出ているポリペプチドは赤色です。mRNAはオレンジです。
【
図23A】
図23Aは、mRNAに結合する続く二つのtRNAのCCAテイル間で、つまり成長中のポリペプチド鎖を保持するtRNA2(ここで最初のアミノ酸のみ示し、“ポリペプチド”と表記)とその次のアミノ酸を保持しているtRNA3(’アミノ酸’と表記)、ペプチジル転移を触媒する始原的(又は異常な現代な)tRNAのキャップ(tRNA1)のコンピュータモデルである。関与しているヌクレオチドはL0からL5で表記された、6層に積層されている。
【
図23B】
図23Bは、
図3Bに定義されている略語を使用して
図23Aでヌクレオチドにカラーキーを提供している。特定のヌクレオシドで両端が丸で黒線で連結された箇所は、ペプチジル伝達に寄与する分子間相互作用の一部を示している。テーブル内の列は、3つのtRNAのどのヌクレオシドがL0からL5で表記された6活性部位層に整列するかを示す。
【
図24A】
図24Aは、リボザイムtRNA1でプソイドウリジンステムの方向からの視線で、始原的(又は異常な現代な)nuclionのペプチジル移転センター(PTC)に関与する3つのtRNAによって形成された4次構造複合体のレベル3と4にある6つのヌクレオシドのコンピューターモデルである。’反応’と表記された楕円は、アミノアシル化tRNA3におけるアミノ基がペプチジルtRNA2のカルボキシル基を攻撃する活性部位を強調する。ポリペプチド鎖内の最初のアミノ酸のみ表示する。
【
図24B】
図24Bは、始原的(又は異常な現代な)nuclionのPTC上部の視線で、tRNA2とtRNA3上の2つのA76アデノシンヌクレオチド間のペプチジル転移反応を示しており、tRNA2からtRNA3へ成長中のポリペプチド鎖の転移する。’Reaction’と表記された楕円は、アミノアシル化tRNA3におけるアミノ基がペプチジルtRNA2のカルボキシル基を攻撃する活性部位を強調する。ポリペプチド鎖内の最初のアミノ酸のみ表示する。
【
図24C】
図24Cは、
図3Bに定義されている略語を使用して、
図24Aと
図24Bのヌクレオチドにカラーキーを提供している。特定のヌクレオシドで両端が丸で黒線で連結された箇所は、ペプチジル転移に寄与するL3とL4層の分子間相互作用を示す。
【
図25A】
図25Aは、通常の現代のtRNA(tRNA1)のTLSの位置54(T54)でのリボシルチミンのコンピュータモデルを示す。強調したメチル基はtRNA2上のCCAの位置76のアデノシンの結合を阻害する(図示せず)。
【
図25C】
図25Cは、隣接する下流のtRNA(tRNA2)のCCAの位置76におけるアデノシンの可能な結合と共に、始原的又は異常な現代のtRNA(tRNA1)上のPLSの位置54(P54)のプソイドウリジンのコンピュータモデルを示す。
【
図25D】
図25Dは、
図3Bで定義されている略語を使用して
図25Cのヌクレオチドにカラーキーを提供している。特定のヌクレオシドで両端が丸で黒線で連結された箇所は、ペプチジル伝達に寄与する分子間塩基対を示す。
【
図26】
図26は、nuclionオペレーションのための制御ロジックの表であり、関連したり結果として生じるnuclion条件と共にtRNA T(N)の位置54及び55におけるヌクレオシドによって部分的に駆動される左右のTLSサイトの状態を要約したものある。T(N−1)は最初のtRNAのすぐ上流に隣接するtRNAに言及し、T(N+1)は最初のtRNAのすぐ下流に隣接したtRNAを指します。tRNA(N+2)はtRNA(N+1)のすぐ下流のtRNAです。
【
図27A】
図27Aは、TLSの左側から見た酵母tRNA
Pheのとして報告された高分解能構造からスペルミン結合部位のコンピューターモデルである。スペルミンは、位置54(T54)でリボシルチミンと位置55(P55)でプソイドウリジンによって大部分が結合している。
【
図28】
図28は、核酸nuclion周囲にキャプシドタンパク質を生成し、T形nuclionの12のtRNAに結合した12のEF−Tu分子(E1からE12で表示)のコンピューター・モデルである。T12はE12が結合したtRNA12を示す。破線はnuclion軸であり、mRNAの方向を示すために、5’及び3’を表示してある。
【
図29】
図29にS−形nuclionで4つのtRNAに結合した4EF−Tuの分子(E1からE4で表示)のコンピューター・モデルである。トランスファーRNA3,4、及び5は、それぞれ、T3、T4とT5で表示されている。破線はnuclion軸であり、mRNAの方向を示すために、5’及び3’を表示してある。
【
図30A】
図30Aは、tRNA1すぐ上流に結合するtRNA2(T2と表示)と整列されたEF−Tuの結合前の高次構造のコンピュータ・モデルである。tRNAのヌクレオチドのカラーキーは、
図8Bのと同じである。破線はnuclion軸であり、mRNAの方向を示すために、5’及び3’を表示してある。
【
図30B】
図30Bは別の角度から、
図30Aで提示したコンピュータモデルの拡大図である。のEF−TuはEと表示されている。
【
図30C】
図30Cは、tRNA1すぐ上流から削除されたtRNA2と整列されたEF−Tuの結合後の高次構造のコンピュータモデルです。
【
図31A】
図31Aは、S−形nuclionの4つの同族tRNAに結合した4EF−Tu分子のコンピュータモデル(E2からE5で表示)です。破線はnuclion軸であり、一般的なmRNAの方向を示すために、5’及び3’を表示してある。
【
図31B】
図31Bは、tRNAのキャップ(T1)がエンベロープnuclionに追加されたときの、
図31Aで提示された分子構造のコンピュータモデルである。このtRNAキャップからCCA−アミノ酸テイルは、tRNA4に付着するEF−Tu4(E4)での間隙に位置する。
【
図31C】
図31Cは、EF−Tu1(E1)がその後EF−Tu1とEF−Tu4間に挟まれるtRNAキャップT1に結合したときの
図31Bに提示された分子構造のコンピュータモデルである。
【
図32A】
図32Aは、nuclion軸上の5’方向の視線による
図31Aのコンピュータモデルである。表示方法は同じある。
【
図32B】
図32Bはnuclion軸上で5’方向の視線による
図31Bのコンピュータモデルである。表示方法は同じである。
【
図33A】
図33Aは、37℃の温度で、分単位の時間(x軸)に対する加水分解したMet−tRNAeMetの割合(y軸)を示すグラフである。
【
図33B】
図33Bは、10℃の温度で、分単位の時間(x軸)に対する加水分解したMet−tRNAeMetの割合(y軸)を示すグラフである。
【
図33C】
図33Cは、37℃の温度で、分単位の時間(x軸)に対する加水分解のCys−tRNACysの割合(y軸)を示すグラフである。
【
図34A】
図34Aは、37℃の反応温度(’室温’)と氷浴中でのnuclion会合でのmRNAに対するtRNA比(’モル比’)の効果を比較するために室温(’室温’)での非変性ゲルのホスフォイメージャーである。mRNAとnuclion複合体1〜5に関連したゲルバンドは、それに応じて標識されている。
【
図34B】
図34Bは、37℃の反応温度(’RXN TEMP’)と氷浴中でのnuclion会合でのmRNAに対するtRNA比(’モル比’)の効果を比較するために低温室での非変性ゲルのホスフォイメージャーである。
【
図34C】
図34Cは、ImageQuant使用して、
図34AでのmRNAと複合体1−5に相当する
32P標識されたバンドを定量化により得られたグラフである。
【
図34D】
図34Dは、ImageQuant使用して、
図34BでのmRNAと複合体1−5に相当する
32P標識されたバンドを定量化により得られたグラフである。
【
図35A】
図35Aは、nuclion会合での塩化マグネシウム濃度(’MgCl2’)の効果を特定するための1研究での非変性ゲルのホスフォイメージャーである。mRNAとnuclion複合体1〜5に関連したゲルバンドは、それに応じて標識されている。
【
図35B】
図35Bは、ImageQuant使用して、
図35AでのmRNAと複合体1−5に相当する
32P標識されたバンドを定量化により得られたグラフである。
【
図36】
図36は、150mMの塩化マグネシウムの存在下又は非存在下におけるnuclion会合でのアミノアシル化ステータスとコドン認識の影響を特定するための1研究での非変性ゲルのホスフォイメージャーです。
【
図37】
図37は、tRNAとmRNAとのモル比が3200の時の(分表示)nuclion会合のタイムコースを特定するための1研究での非変性ゲルのホスフォイメージャーです。
【
図38A】
図38Aは、競合的なmRNAの添加(分表示)によって引き起こさるnuclion解離の経時変化を特定するための1研究での非変性ゲルのホスフォイメージャーです。
【
図38B】
図38Bは、ImageQuantを使用して、
図38AでのmRNAと複合体に相当する
32P標識されたバンドを定量化し、nuclionsでのmRNA複合体の割合を算出した。
【
図39A】
図39Aは、mRNAが1、2、3、4、6又は9つのAUGコドンを有する際で、nuclionsにあるmRNAとtRNAのモル比を特定するための1研究での非変性ゲルのホスフォイメージャーです。
【
図39B】
図39Bは、ImageQuantを使用して、
図39AでmRNAと複合体に相当する
32P標識されたバンドを定量化し、それぞれのバンドにおけるmRNA複合体の割合を提示した。
【
図40】
図40は、0.075から20マイクロモル(’uM’)の範囲の濃度で、アミノアシル化tRNA単独で高分子複合体が形成するかどうかを特定するための1研究での非変性ゲルのホスフォイメージャーです。
【
図41】
図41は、fMF
3CFCのための配列コードの上流にあるシャイン・ダルガーノ配列を含むmRNAと4つのアミノアシル化tRNAの様々な組合せの結合を特定するための1研究での非変性ゲルのホスフォイメージャーです。第一レーンはmRNA単独での結果を反映しており、二番目のレーン以降は、mRNAと次のように表示された特異性を持つ1つ以上のアミノアシル化tRNAとの結果が反映されてます。C=システイン、F=フェニルアラニン、IM=メチオニン(イニシエータtRNA)とし、EM=メチオニン(伸長tRNA)。
【
図42A】
図42Aは、fMF
3CFCのための配列コードの上流にあるシャイン・ダルガーノ配列を含むmRNAを用いて、nuclion形成の程度に関してmRNAにtRNAのモル比の効果を測定するための1研究での非変性ゲルのホスフォイメージャーです。
【
図42B】
図42Bは、ImageQuantを使用して、
図42Aで得mRNAと複合体に相当する
32P標識されたバンドを定量化し、nuclionsでのmRNA複合体の割合を算出した。
【0014】
[発明の詳細な説明]
本発明は、nuclionと名付ける生物学的構造の発明者による発見に関する。
図1の模式図は、本発明のいくつかの実施形態によって教示されるようnuclionのいくつかの機能を示している。我々は、無傷のウイルス粒子を記述するために科学者や医師によって使用される用語、’villion’と似たような用語’nuclion’を採択した。但し、ほとんどのウイスルとは実質的に異なる属性をほとんどのnuclionは有しているが。
【0015】
この発明の実施形態はnuclionsとribocapsidsに基づいて、新しいプラットフォーム技術を紹介し、製薬、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー産業のためのこの技術の特定の利用を教授する。いくつかの実施形態が取り組むのは、(i)nuclions、ribocapsids、それらのコンポーネントと関連する構造体、(ii)これらの組成物の製造、分離、精製、テスト、及びこれらの組成物のカスタマイズの方法、(iii)とりわけ 医学的意義の新規分子標的を同定のためのnuclionとribocapsid技術 の産業上の利用である。例えば、前述のnuclions、ribocapsids、それらの組成物と関連する構造体は 、関連する天然nuclionsの構造や活性の調整により、RNAからタンパク質の翻訳を推進したり阻害するためのin vitro及びin vivo法の開発への産業上の利用を含む。さらに、前述のnuclions及び関連構造は、in vivoで天然のnuclion形成を阻害し、in vitroバイオアッセイのための実験モデルとして、天然nuclion組成物及び他の組成物をスクリーニングし、それにより医学的な治療、診断又は予防的結果を生成するなどのの産業上の利用を含む。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態では、各nuclionはコア核酸(CNA)を含み、その全部又は一部が1つ以上のオリゴマー又はほとんどが核酸のサブユニットのポリマーシェルに結合している。我々は、ウイルスで発見されたタンパク質’capsid’タンパク質と核酸コートを区別するために、nuclionのシェルを’ribocapsid’と呼び。いくつかの実施形態では、ribocapsidサブユニット(
図1のR1〜R4をして識別される)はその化学組成が異なるが、ribocapsid整合性を維持するために十分な構造的相同性を持っている。 いくつかの実施形態では、各ribocapsidサブユニットは、少なくとも3つの分子間の結合部位が含まれうる。これらの2つの部位は、’コネクタサイト’(’CS’)そして’リンクサイト’(’LS’)と呼ばれ、相互に隣接するサブユニットへの結合を担う。各ribocapsidサブユニット上のが第三番目の分子間部位は、コア核酸の実質的に相補的’コドン“(’C’)に結合する塩基配列“アンチコドン“(“AC“)と称される。コドン−アンチコドン相互作用は、以前、当業者に知られていたが、隣接するribocapsidサブユニット上のコネクタとリンクサイト間の相互作用は、今まで報告されていない。
【0017】
いくつかの実施形態において、これらの分子上のアンチコドンがCANのそれぞれのコドンに結合すると同時に、隣接ribocapsidサブユニット上でCSとLSのサイトとの間の結合によってnuclionは部分的に安定化される。いくつかの実施形態において、個々のサブユニット分子の定義された領域内の特定の許容な構造変化と同時に、これらのCSとLSサイトの構造と位置は、全体のribocapsid形状を安定化するために、併用を標準化するために、異なるサブユニット間で十分にで保存されています。いくつかの実施形態において、CSとLSのサイトは、コア核酸の3’及び5’にそれぞれ配向されている。他の実施形態において、CSとLSのサイトはそれぞれ、コア核酸の5’及び3’にそれぞれ配向されている。いくつかの実施形態において、コドンとアンチコドン部位のヌクレオチドは、CNAが異なるサブユニットに特異的に結合したり、他の生物学的機能を実行できるように(実質的に相補的なままで)日常的に変化する。
【0018】
いくつかの実施形態において、
図2の模式図に示すように、メッセンジャーRNA分子の周りのtRNA ribocapsidを形成するために、オリゴマー又はポリマーサブユニットとして複数のtRNA分子が機能しており、nuclionの一態様はこのようなトランスファーRNA(’tRNA’)nuclionである。各ribocapsidのtRNA(T1〜T4)上のアンチコドン(’AC’)は、nuclionのコア内のmRNAに相補的なヌクレオチドのコドン(’C’)に結合する3つのヌクレオチドの配列であってもよい。連続したtRNA分子は、mRNA上の連続した対応するコドンに結合する。それぞれのtRNA(’tRNAのコネクタ“又は“TC’と称される)のribocapsid CSのサイトは、アミノ酸(’アミノアシル化’)へ(通常はアシル化により)付着されたりされないが、その“CCAのテイル”(tRNA分子の3’末端上に3つのヌクレオチド配列)である。tRNAのribocapsid LSのサイト(’tRNAのリンクサイト“又は“TLSを’と称される)は、プソイドウリジンとジヒドロウリジンループ間の分子内相互作用によって形成されたtRNAのエルボーに位置しています。tRNA上のTCは、上流(5’mRNA)の方向にmRNAに結合した隣接tRNAのTLSで接続しうる。
【0019】
現代の細胞では、天然のtRNA nuclionsは、メッセンジャーRNAを評価と保護し、開始コドンを標識し、フレームの登録を提供し、アミノアシル化tRNAを備蓄し、そして翻訳効率を増加するための役目を担う。TLSの先祖のバージョンを含む始原的なnuclionsは、リボソームの出現の前にタンパク質合成を開拓してきた。
現代の細胞内で適切な細胞制御を維持するためには、リボソーム外のnuclionsによるそのようなタンパク質合成は許されるべきではない。それにもかかわらず、いくつかの実施形態において、データマイニングの研究が提示していることは、始原的な構成へのTLSへの逆戻りが自然界で実際に起こること、別の実施形態において、このことは、制御されていないペプチジル転移及び/又は細胞増殖を誘発することにより、高等生物である種のがんを引き起こす可能性である。他の実施形態では、ある種のウイルスは、細胞の翻訳機構を乗っ取ったり阻害するために細胞に侵入しする際に、nuclion構造を偽造することがあります。本発明のいくつかの実施形態において、生物学的限界や機能不全の前例のない理解と共に、nuclionsとribocapsidsの存在、構造、機能及び特性におけるこれらの驚くべき洞察力が、バイオテクノロジーやナノテクノロジーのための新しいテクノロジー・プラットフォームを提供し、そして、生物製剤、診断薬、治療薬や予防薬に限らず、新しいクラスの医薬品の製造及び開発のための新たなとりわけ新薬の標的を提示する。
【0020】
nuclions発見と本発明の実施形態は、多くの理由のために驚くべきものである。 従来、1つの核酸分子が他の核酸分子のポリマーシェルによってカプセル化されていることを示す、生物学的な構造が報告も主張されたことがない。特定のタンパク質が核酸(特にウイルス)の周りに高分子キャプシドを形成する方法を記述する科学の体系があるが、核酸がそのような殻を形成する報告がない。
【0021】
第二驚くべき発見は、トランスファーRNA分子が以前に理解されていたよりも進化や現代生物学においてきわめて重要な役割を果たしていることです。この存在が最初にFrancis Crick(Crick, 1957, A Note for the RNA Tie Club, 未発表; Crick, 1958, Symp. Soc. Exp. Biol., 12:138)により推定されそしてPaul Zamecnikの研究室(Hoagland et al., 1958, J. Biol. Chem., 231:241)で発見されるよりも半世紀以上も前に、トランスファーRNA分子が、メッセンジャーRNA(mRNA)の情報をタンパク質に翻訳する分子アダプターとして通常は記述されていた。タンパク質合成では、各tRNAは特異的なアミノ酸で装填され、リボソームに入ると、即座に装填されたtRNAは対応するコドンに結合し、そして前のtRNA上の成長中のポリペプチド鎖が、次のtRNA分子上のアミノ酸に転送される。
【0022】
nuclions発見と本発明のいくつかの実施形態は、以前に報告のないトランスファーRNAの、次のような更なる生物学的特性と機能を明らかにした:
【0023】
1.トランスファーRNA分子は、リボソームが存在しない場合にメッセンジャーRNAに結合し、mRNAの周りに1つ以上のポリマーribocapsidsを形成すると、得られた四次構造は、tRNAのnuclionとなる。
【0024】
2.各ribocapsidでは、全ての生物学的な領域の中でほとんどのtRNAで実質的に保存されている分子間の結合部位を介して隣接tRNAが直接結合する。
【0025】
3.保存されたtRNA配列G53−T54−P55−C56の主な役割は転移RNAリンクサイト(“TLS“)として機能することで、以前信じられていたようなリボソーム結合部位(Phillips,1969,Nature,223:347)としてではなく、隣接tRNAのCCAのテイル(tRNAコネクタ又は’TC’)にTLSは通常結合する。
【0026】
4.特定のイニシエータtRNAは、正しいフレームの登録を確保する間に、翻訳開始コドンを識別するためにTLS−TCのリンクやトリガーnuclionキャッピングを阻害する、修飾されたTLS又はTCサイトを持つ。これにより、nuclion ’がイニシエーターnuclion’と称される。
【0027】
5.イニシエータtRNAは、イニシエーターnuclionsを登録して安定させるために、シャイン・ダルガーノ配列・シーケンスのような明確なmRNAマーカー構造と相互作用する。
【0028】
6.Nuclionは、の倉庫には、タンパク質合成開始のためにtRNAの保管する。このキャッシュ装填により、電荷tRNAの供給源と配信の両方が促進され、翻訳ロジックスが改善される。
【0029】
7.Nuclionsは高エネルギーを安定させるが、tRNA及びそれらのアミノ酸間での不安定な化学結合ではなく、そうでなければ無駄になるエネルギーの節約である。実際には、tRNA nuclionは充電器である。
【0030】
8.特定のtRNA nuclionsは、nuclion倉庫からタンパク質合成のためのリボソーム工場に装填されたtRNA輸送する、EF−TuとeEF1Aなどのタンパク質伸長因子と結合する。
【0031】
9.近代的なtRNA(位置54でリボシルチミン)でのTLSヌクレオシドの少なくとも一つは、非リボソームタンパク質の合成を最小限に抑えるためにとりわけ 発展してきた。しかし、特定の変異が位置54におけるプソイドウリジンの始原的な配置をもつtRNAを生み出し 、これらの逆戻りは、特定の癌における細胞の形質転換に関与している。
【0032】
10.一部又はすべてのレトロウイルスを含むある種のウイルスは、nuclionとribocapsid構造を偽造し、おそらく正常な生物制御システムを潜り抜け、細胞のタンパク質合成機構を乗っ取る。
【0033】
11.熱力学的な力だけが、螺旋エンジンのための職工とパワーを供給して、徐々に低いエネルギー状態で段階に応じた高次構造になるように、特定のnuclionsを駆動することができます。つまり、始原的なRNAの世界では、ヘリカルRNAのエンジンがリボソームの出現の前にタンパク質合成を先駆けていた。
【0034】
12.最初のリボソームは2つのribocapsidサブユニットの融合から生じた。現代のリボソームにおけるペプチジル移転センターは、リボソームのAとPサイトでアミノアシル化及びペプチジルtRNAのCCAのテイルが整列する2つのtRNAのプソイドウリジンループから進化した。
【0035】
tRNAの初期の祖先がribocapsidサブユニットであったという認識は、分子生物学における最大の謎の一つで、タンパク質合成の開始(’翻訳’)を解明した。WolfとKooninが(Wolf et al.,2007,Biology Direct,2:14)に述べたように、翻訳系の開始は、間違いなく、生命の起源の研究における最も中心でかつ難解な問題であり、それは進化生物学で最も難しい問題の1つである。その問題は明らかなCatch−22アスペクトがあります。つまり、RNA及びタンパク質の複雑で高度に進化したセットなくしては、高い翻訳忠実度はほぼ達成し難い。しかし、精巧なタンパク質機構は正確な翻訳システムなしで進化可能ではなかった。
【0036】
簡単に言えば、過去50年間の極めて重要な分子生物学の質問は、そう、遺伝子が先か?又はタンパク質が先か?となる。この自明のパラドックスに対する驚くべき答えはどちらでもない。始原的なribocapsid RNA、現代のtRNAの祖先が先であった。nuclion構造モデルが我々に教授することは、RNAの世界でのダーウィンの選択が特定のribocapsid RNA(アミノ酸でない)に結合するRNA遺伝子の進化をもたらし、次いでこのribocapsid RNAがアミノ酸(修飾ribocapsid面がnuclion上の選択的優位性に寄与)に結合するための分子アダプタとして進化し、その後RNA螺旋エンジンがタンパク質合成を生み出した。リボソームは後に2つのribocapsid RNAの融合から進化した。この予想外の洞察力は、生物の王国(たとえば、翻訳開始の実質的な相違)の間のいくつかの医学的に重要な相違点を説明し、さらに、これらの相違点(たとえば、新しい抗生物質や抗ウイルス薬の設計、開発、製造及び使用)を活用する改良された医学的そして産業的な製品、工程、サービスの設計、開発、製造及び展開のための新しいプラットフォーム技術としての本発明のいくつかの実施形態を支持する。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態では、nuclion構造や製造方法は、当業者には驚くべきものである。例えば、いくつかの実施形態において、37℃での製造されたnuclionsの収量は8°Cの同じ製造手順で観察されたnuclion収率よりも相当高い。このより高い収率は今やnuclionsの四次構造に関連した相乗熱力学にとりわけ起因している。しかし、この発明が教示するnuclion技術の出現前では、温度上昇に伴い展開したり不安定になる三次核酸構造の観察に慣れている一般の分子生物学者には、この技術的な現象は予測不能でした。
【0038】
[定義]
以下の単語又はフレーズは、本明細書において使用される場合、本セクションで定義された意味を有するものとする。頭文字が大文字か否か、単語若しくはフレーズが、単数で使用されているか、又は若しくは複数で使用されているか、又は又は異なる時制で用いられているかに関わらない。本セクションの定義と、本明細書中の他の定義、理解又は又は示唆との間で矛盾がある場合、本セクションの定義を適用するものとする。特許請求の範囲において、本セクションで定義された単語又はフレーズが使用される場合、その単語又はフレーズは、当該単語又は又はフレーズに関連し、かつ矛盾しない一切の追加情報と共に、本セクションの定義に従って解釈されるものとする。
【0039】
アミノ酸:
実施形態本明細書中、いくつかの実施形態で用いられる用語“アミノ酸”は、ポリペプチド鎖に組み込むことができる任意の化合物及び/又は物質又はを意味する。いくつかの実施形態では、アミノ酸は一般式H
2N−C(H)(R)−COOHを有する。いくつかの実施形態では、アミノ酸は天然に存在するアミノ酸である。いくつかの実施形態では、アミノ酸は合成アミノ酸である。いくつかの実施形態では、アミノ酸はD−アミノ酸である。いくつかの実施形態では、アミノ酸はL−アミノ酸である。“標準アミノ酸”又は又は“天然アミノ酸”は、天然に存在するペプチドで共通に見つかる20個の標準L−アミノ酸のいずれかを意味する。“非標準アミノ酸”は、合成により調製されたもの、又は又は天然源から得られたものかどうかに関係なく、標準アミノ酸以外のアミノ酸を意味する。本明細書で使用する場合、“非天然アミノ酸”は、化学的に製造されたアミノ酸、又は修飾されたアミノ酸を包含し、これに限定されるものではないが、塩類、誘導体(アミド等)及び/又は置換体を含む。又は又はアミノ酸(ペプチドのカルボキシ末端及び/又はアミノ末端にあるアミノ酸を含む)は、又はメチル化、アミド化、アセチル化及び/又はアミノ酸の活性悪影響を与えることなくペプチドの循環半減期を変化できる他の化学基による置換又はにより修飾できる。アミノ酸は、ジスルフィド結合、並びに及び他の分子内及び及び分子間結合に関与することができる。用語“アミノ酸”は、“アミノ酸残基”と同じ意味で使用されており、遊離アミノ酸、ペプチドのアミノ酸残基、又は又は核酸、リボキャプシド、ヌクリオン又はこれらの成分に又は結合したアミノ酸複合体であってもよい。この用語が、遊離アミノ酸、ペプチド残基、又は核酸、リボキャプシド、ヌクリオン若しくはこれらの成分に結合したアミノ酸に言及しているか否かは、この用語が使用されている文脈から明らかになるであろう。
【0040】
会合:
本明細書において、用語“会合”及び“会合した”とは、任意の直接的又は間接的な共有結合性又は非共有結合性の相互作用によって結びつけられている又は又は2以上の要素の状態を意味します。いくつかの実施形態では、会合が共有結合性である。いくつかの実施形態では、共有結合性の会合は、リンカー部分によって媒介される。いくつかの実施形態では、会合は非共有結合性(例えば、電荷相互作用、親和性の相互作用、金属配位、物理吸着、ホスト−ゲスト相互作用、疎水性相互作用、TTのスタッキング相互作用、水素結合相互作用、ファンデルワールス相互作用、磁気的相互作用、静電相互作用、双極子−双極子相互作用等)である。
【0041】
基本ヌクリオン(nuclion):
本明細書において、用語“基本ヌクリオン”は、ヌクリオンエンベロープを有しないヌクリオンを意味する。用語“基本ヌクリオン部分”は、ヌクリオンのヌクリオンエンベロープ内のヌクリオンの部分を意味する。特に、基本ヌクリオン部分は、いかなるヌクリオンエンベロープを含まない。
【0042】
結合(又は結合する又は結合した):
本明細書において、用語“結合”“結合する(bind)”、“結合する(binds)”、“結合した”は、任意の物理的、化学的、共有結合性、非共有結合性、イオン性、静電的、エントロピー性、水素結合、スタッキング、双極子−双極子、溶媒、ファンデルワールス力、電荷、親和性、金属配位、物理吸着、ホスト−ゲスト、疎水性、塩基のスタッキング、熱的、磁気的、若しくはその他の相互作用、若しくはこれらの任意の組み合わせ、又はこれらの任意の混成により、2個以上の原子、化合物、分子、高分子、複合体、凝集体、キレート、物質、材料又は表面の会合又は接続を意味する。
【0043】
コア核酸:
本明細書において、用語“コア核酸”は、大部分が核酸である組成物を意味し、当該組成物を少なくとも1つのリボキャプシド(ribocapsid)へ結合させる手段を含む。いくつかの実施形態では、“コア核酸”は、一つのリボキャプシドのみに結合できる組成物を意味する。いくつかの実施形態では、““コア核酸“は2つ以上のリボキャプシドに結合できる組成物を意味する。
【0044】
コア核酸調製物:
本明細書において、“コア核酸調製物”は組成物(方法又は工程ではない)を意味し、天然のコア核酸、非天然のコア核酸、複数の天然のコア核酸、複数の非天然のコア核酸、均質なコア核酸、非均質なコア核酸、この群の任意の要素の溶液、この群の任意の要素の固体形態、この群の任意の要素の液体形態、この群の任意の要素のエアロゾル形態、この群の任意の要素の製剤、この群の任意の要素を含有する混合物、この群の2種以上の要素の任意の混合物、この群の2種以上の要素の任意の組み合わせ、この群と2種以上の要素の任意の混成物、を含む群から選択される要素の調製物を意味する。
【0045】
エンベロープされたヌクリオン:
本明細書において、用語“エンベロープされたヌクリオン”は、1つ以上のヌクリオンエンベロープによって、又は1つ以上のヌクリオンエンベロープで全体、一部、又は複数の部分において、封入された、被膜された、囲まれた、被覆された、保護された、箱入された、覆われた、処理された、カプセル化された、又は会合されたヌクリオンを意味する。
【0046】
エンベロープされたヌクリオン調製物:
本明細書において、用語“エンベロープされたヌクリオン調製物”は、1つ以上のエンベロープヌクリオンを含むヌクリオン調製物を意味する組成物(方法又は工程ではない)である。
【0047】
エンベロープされたtRNAヌクリオン調製物:
本明細書において、用語“エンベロープされたtRNAヌクリオン調製物”は、1つ以上のエンベロープされたtRNAヌクリオンを含むヌクリオン調製物を意味する組成物(方法又は工程ではない)である。
【0048】
エンベロープされたリボキャプシド(ribocapsid):
本明細書において、用語“エンベロープされたリボキャプシド”は、ヌクリオンエンベロープを含むがこれに限定されるものではない、エンベロープによって、又はエンベロープで全体、一部、又は複数の部分において、封入された、被膜された、覆われた、処理された、カプセル化された、又は会合されたリボキャプシドを意味する。
【0049】
エンベロープされたtRNAヌクリオン:
本明細書において、用語“エンベロープされたtRNAヌクリオン”は、1つ以上のヌクリオンエンベロープによって、又は1つ以上のヌクリオンエンベロープで全体、一部、又は複数の部分において、封入された、被膜された、囲まれた、被覆された、保護された、箱入された、覆われた、処理された、カプセル化された、又は会合されたtRNAヌクリオンを意味する。
【0050】
均質:
本明細書において、用語“均質”は、調製物、溶液、中間体、産物、抽出物、単離物、画分、混合物、又は分子、複合体若しくは構造の集合(例えば、ヌクリオン中のリボキャプシド又はリボキャプシドサブユニットの集合)の、1以上の所与の特性(組成物、構造、配置、配列、三次構造、又は別のパラメータを含むがこれらに限定されない)の均等度を意味する。いくつかの実施形態で、1つの特性に関して、組成物間で、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%が同一であるとき、組成物の集合が“均質”であると認められる。いくつかの実施形態で、1つの特性に関して、組成物間で、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%で同じクラスの組成物における組成物と似ていないとき、組成物の集合が“均質”であると認められる。例えば、いくつかの実施形態では、tRNAヌクリオンの調製物が、調製物中のヌクリオンの少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%が、tRNAリボキャプシドサブユニット分子のコア核酸分子に対する比に関して、実質的に同じ所与の比を有する場合に、“均質”であると認められる。
【0051】
不均質:
本明細書において、“不均質“という用語は、調製物、溶液、中間体、産物、抽出物、単離物、画分、混合物、又は分子、複合体若しくは構造の集合の1以上の所与の特性(組成物、構造、配置、配列、三次構造、又は別のパラメータを含むがこれらに限定されない)に関して、均質性がないことを意味する。
【0052】
相同性:
本明細書において、用語“相同性“及び“相同“は、生物学的高分子間、例えば核酸分子間(例えば、DNA分子及び/又はRNA分子)、及び/又はポリペプチド分子間、の全体的な関連性を意味する。本明細書において、用語“相同体”は、別の組成物と相同な組成物を意味する。いくつかの実施形態では、高分子の三次構造が実質的に関連している場合、高分子は“相同“であると考えられる。たとえば、すべてのtRNA分子は、個々のtRNA間の構造的な相違に関係なく、その全体的なL字型の構造のために、構造的に相同であると考えられる。いくつかの実施形態では、高分子の骨格(例えば、いくつかの核酸のホスホジエステル骨格)の三次構造が実質的に関連している場合、高分子は“相同“であると考えられる。いくつかの実施形態では、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は99%でそれらの配列が同一であれば、巨大分子は互いに“相同“であると考えられる。いくつかの実施形態では、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%でそれらの配列が類似であれば、巨大分子は互いに“相同“であると考えられる。いくつかの実施形態では、1つのピリミジンを別のピリミジンに置換、又は1つのプリンを他のプリンへの置換は、相同性を同程度に維持する。いくつかの実施形態では、未修飾塩基の修飾塩基への置換、修飾塩基の未修飾塩基への置換、又は修飾塩基の別の修飾塩基への置換は、いずれも元の塩基が同一である場合は、相同性を同程度に維持すると考えられる。
【0053】
同一性:
本明細書において、用語“同一性”は、ポリマー分子間、例えば核酸分子間(例えば、DNA分子間及び/又はRNA分子間)及び/又はポリペプチド分子間、の全体的な関連性を指す。2つの核酸配列の同一性パーセントの計算は、例えば、最適な比較目的(例えば、最適な整列のために第1と第2つ塩基配列の一方又は両方にギャップを導入することができ、そして非同一配列は比較目的のために無視できる)で2つの核酸配列をアラインメントすることで実行することができる。特定の実施形態では、比較目的のために整列される配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、あるいは100%である。次いで、対応するヌクレオチド位置にあるヌクレオチドを比較する。第1の配列のある位置が第2の配列の対応する位置と同じ塩基によって占められた時、その分子はその位置において同一である。2つの配列間のパーセント同一性は、2つの配列の最適な整列のために導入する必要があったギャップの数及びギャップの長さを考慮した、配列により共有される同一位置の数の関数である。配列の比較及び2つの配列間の同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを用いて達成されうる。
【0054】
開始ヌクリオン(Initiation nuclion):
本明細書において、用語“開始ヌクリオン(Initiation nuclion“及び“開始ヌクリオン(Initiator nuclion)“は、(i)コア核酸としてmRNAの少なくとも一部、及び(ii)1つ以上のribocapsidsと前記mRNAにおける開始コドンの位置又はその近傍で前記mRNAに結合する1つ以上のリボキャプシド及び/又は二つ以上のリボキャプシドサブユニットを含むヌクリオンを意味する。いくつかの実施形態では、開始ヌクリオン中のリボキャプシド及び/又はリボキャプシドサブユニットは更に、前記mRNA上の開始マーカー構造(シャイン・ダルガノ配列又はコザック配列を含むがこれに限定されるものではない)に結合する手段を含む。いくつかの実施形態では、開始ヌクリオン中のリボキャプシド及び/又はリボキャプシドサブユニットは更に、リボソームに結合する手段を備えている。さらなる実施形態では、開始ヌクリオンのコア核酸は、mRNAの開始コドンに作動可能に連結されたリボキャプシド結合配列及び/又はリボキャプシドサブユニット結合配列を含む。用語“作動可能に連結された“は、ある生物学的構造、組成物、成分又は活性と、他の生物学的構造、組成物、成分又は活性との機能的関係を意味する。いくつかの実施形態では、用語“作動可能に連結された“は、あるヌクリオン、リボキャプシド、リボキャプシドサブユニット、又はコア核酸と、他の核酸配列、他の核酸構造体、又は生物学的活性との機能的関係を意味する。
【0055】
単離:
本明細書において、“単離“、“単離する“、“単離された“及び“別個の(distinct)”は、それぞれ、物質、組成物、構造体、情報、又は実体を含有する初期混合物が、2以上の画分又は混合物に変換され、そのうちの少なくとも一方において、物質、組成物、構造体、情報、又は実体が濃縮される、プロセス、動作又は状態を意味する。本明細書において“単離された形態で“は、物質、組成物、構造体、情報又は実体が以前の状態又は状況と比べて単離されたことを意味する。いくつかの実施形態では、部分構造に適用した場合、“単離された形態で“という用語は、周囲の構造体から情報的に又は物理的に単離された又は別個の部分構造を意味する。さらに、本明細書において、“単離されたヌクリオン“は、天然の環境から完全に又は部分的に取り出されたヌクリオンを意味することが意図される。例えば、細胞から取り出された、又は精製されたヌクリオンは単離されたものとみなされる。さらにまた、通常それらが形成されないか、又は見いだされない細胞、組織又はマトリックスで見出されるヌクリオンも、本発明の目的においては、単離されたものとみなされる。同様に、合成されたヌクリオンは単離されたものとみなされる。宿主細胞中に含まれる合成されたヌクリオンは、本発明の目的においては、単離されたものとみなされる。一方、“精製された“は本技術分野においてよく理解され、一般的に、ヌクリオンが、緩衝液又は溶剤以外の細胞物質、細胞成分、化学的前駆体又は他の化学物質を実質的に含まないことを意味している。“実質的に含まない“とは、新規ヌクリオン以外の別の成分が検出されるないことを意味するとは意図されていない。本発明のヌクリオンは単離又は精製することができる。
【0056】
ほとんどの(Most)(又はほとんど(Mostly)):
本明細書において、用語“ほとんど(Most)“と“ほとんどの(Mostly)“は、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、及び99.9%以上、並びに及び100%を含むが、これに限定されるものではなく、50%以上を意味する。
【0057】
ネイティブtRNA:
本明細書において、用語“ネイティブtRNA“は、天然のtRNAに見出される構造及び/又は成分と実質的に類似又は相同な構造体及び/又は成分を有するtRNAを意味する。ここで、ネイティブtRNAは、別々に定義される天然のtRNA又は非天然のtRNAであってもよい。
【0058】
核酸:
本明細書において、用語“核酸“は、ヌクレオチドのポリマー又はオリゴマーを意味する。用語“核酸“及び“ポリヌクレオチド“は、置き換え可能である。いくつかの実施形態では、“核酸“は、RNA及びDNAを包含する。用語“核酸“及び“ポリヌクレオチド“は、1本鎖及び/又は二本鎖RNA、DNA及びこれらの複合体を含む。さらに、用語“核酸“、“DNA“、“RNA“及び/又は類似の用語は、核酸アナログ(例えば、ホスホジエステル骨格以外の骨格を有するアナログ)を含む。例えば、当業者において周知で骨格にホスホジエステル結合の代わりにペプチド結合を有する、いわゆる“ペプチド核酸は、本発明の範囲に含まれる。用語“アミノ酸配列をコードする塩基配列“は、互いに縮重されている核酸配列及び/又は同一のアミノ酸配列をコードする核酸配列の全てを含む。タンパク質及び/又はRNAをコードするヌクレオチド配列は、イントロンを含んでもよい。例えば、核酸は、天然の供給源から精製されたり、組換え発現系を用いて製造されたり、オプションで精製されたり、あるいは化学的に合成されてもよい。適当な例として、化学的に合成された分子では、核酸は化学的に修飾された塩基又は糖、修飾された骨格を有するアナログなどのヌクレオチド類似体を含むことができる。本明細書において、用語“核酸配列“は、核酸物質自体も意味し、特定の核酸、つまりDNA又はRNA分子などを生化学的に特徴付ける配列情報(5つの基本文字A,G,C,T又はUの間で、例えば、選択した文字の連続)に限定されるものではない。特に断らない限り、核酸配列は、5’から3’の方向で記載される。いくつかの実施形態では、“核酸“又は“ポリヌクレオチド“が含むのは、天然ヌクレオシド(例えばアデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシン、及びデオキシシチジン);ヌクレオシド類縁体(例えば、2−アミノアデノシン、2−チオサイミジン、イノシン、ピロロピリミジン、3−メチルアデノシン、5−メチルシチジン、C−5プロピニル−シチジン、C−5プロピニルウリジン、2−アミノアデノシン、C5−ブロモウリジン、C5−フルオロウリジン、C5−ヨードウリジン、C5−プロピニル−ウリジン、C5−プロピニル−シチジン、C5−メチルシチジン、2アミノアデノシン、7ジアザアデノシン、7−デアザグアノシン、8オキソアデノシン、8−オキソグアノシン、O(6)−メチルグアニン、2−チオシチジン);化学的に修飾された塩基;生物学的に修飾された塩基(例えば、メチル化塩基、シュードウリジン);インターカレートされた塩基;ロックされた核酸モノマー;修飾された糖(例えば、2’−フルオロリボース、リボース、2’−デオキシリボース、アラビノース、ヘキソース、及び2’酸素と4’炭素が架橋された変性リボース部分);及び/又は修飾されたリン酸基(例えば、ホスホロチオエート及び5’−N−ホスリンケージ)を含む。本明細書において、用語“核酸“及び“ポリヌクレオチド“はまた、任意の天然又は非天然のヌクレオチド鎖を含み、これに限定されるものではないが、任意の、及びすべての修飾体、誘導体、共役体、変異体、欠失、高次構造、構造体、対称性、ヘリックス、枝、異性体、鏡像異性、同位体、類似体、等価体、置換体、組合せ、代替、機能的等価、代替機能、ペプチド核酸、ロックされた核酸、前駆体、祖先、後継者、分解、合成バージョン、人工的な会合、そして、このような鎖又はそのヌクレオチドの他の組合せ、及びこれらの2種以上の任意の組み合わせ、並びに、これらの2種以上の任意の混成を含む。
【0059】
ヌクレオシド:
いくつかの実施形態では、用語“ヌクレオシド“は、共有結合(通常、β−グリコシド結合)を介して糖(通常はリボース又は2’−デオキシリボース)に結合した核酸塩基(多くの場合、単に“塩基“と呼ばれる。)を含む天然のグリコシルアミンを意味する。いくつかの実施形態では、用語“ヌクレオシド“は、天然ヌクレオシドの非天然バージョン、修飾体、置換体又は等価体等価を意味する。用語“ヌクレオシド“は、一般的に核酸中の隣接するヌクレオチドを結ぶリンカー部分(例えば、ホスホジエステル結合)は除外される。
【0060】
ヌクレオチド:
いくつかの実施形態では、本明細書における“ヌクレオチド“という用語は、共有結合(典型的に、β−グリコシド結合)を介して糖(通常はリボース又は2’−デオキシリボース)に結合した核酸塩基(多くの場合、単に“塩基“と呼ばれる。)を含む天然の組成物を意味し、その糖はリン酸基に共有結合的(通常は5−炭素部位を介して、ときには2−炭素又は3−炭素を介して)に結合している。用語“リボヌクレオチド“は、糖がリボースであるヌクレオチドを指し、用語“デオキシリボヌクレオチド“は、糖がデオキシリボースであるヌクレオチドを指す。天然ヌクレオチドは、プリン又はピリミジン塩基のいずれかを含めることができる。いくつかの実施形態では、“ヌクレオチド“という用語は、天然のヌクレオチドの非天然バージョン、修飾体、置換体又は等価体を指す。“ヌクレオチド“という用語は、核酸中の隣接するヌクレオチドを結ぶリンカー部分(例えば、ホスホジエステル結合)を一般的に含む。核酸中の隣接するヌクレオチドの間のリンカー部分は、ヌクレオチドを連結するための任意の化学的メカニズムを含むことができ、ホスホジエステル結合である必要はない。
【0061】
ヌクリオン(Nuclion):
本明細書において、用語“ヌクリオン(nuclion)“は、(i)コア核酸、及び(ii)1つ以上のリボキャプシド(ribocapsids)を含む成分を意味し、当該リボキャプシドは、それぞれが、2以上のリボキャプシドサブユニットのポリマーを含み、かつ当該リボキャプシドサブユニットは核酸を含む。いくつかの実施形態では、(a)リボキャプシドサブユニットのほとんどが、コア核酸の少なくとも一部に結合し、及び(b)リボキャプシドサブユニットのほとんどが、1以上の隣接するリボキャプシドサブユニットの少なくとも一部に結合している。いくつかの実施形態では、用語“ヌクリオン(nuclion)“は、1以上のヌクリオンエンベロープを追加的に含む、又は含まない組成物を意味する。いくつかの実施形態では、用語“ヌクリオン(nuclion)“は、ヌクリオンエンベロープを含まない組成物(“基本ヌクリオン”)を意味する。いくつかの実施形態では、用語’ヌクリオン(nuclion)“は、1以上のヌクリオンエンベロープを有する組成物(“エンベロープされたヌクリオン”)を意味する。いくつかの実施形態では、用語“ヌクリオン(nuclion)“は、tRNAヌクリオンを意味する。いくつかの実施形態では、用語“ヌクリオン(nuclion)“は、tRNAヌクリオン以外のタイプのヌクリオンを意味する。いくつかの実施形態では、用語“ヌクリオン(nuclion)“は1以上のヌクリオンエンベロープの有する、又は有しないすべてのタイプのヌクリオンを意味する。いくつかの実施形態では、用語“ヌクリオン(nuclion)“は、ヌクリオン調製物を意味する。いくつかの実施形態では、用語“ヌクリオン(nuclion)“はエンベロープされたヌクリオン調製物を意味する。
【0062】
ヌクリオン(Nuclion)成分:
本明細書において、用語“ヌクリオン(nuclion)成分“は、リボキャプシドサブユニット、リボキャプシド、コア核酸、ヌクリオンエンベロープ、及びこれらのいずれか2以上の組み合わせ、並びにこれらのいずれか2以上の混成からなる群より選択される要素を意味する。
【0063】
ヌクリオン(Nuclion)デバイス:
本明細書において、用語“ヌクリオン(nuclion)デバイス“は、ヌクリオン、及び当該ヌクリオンをデバイスとして機能させるための手段を含む組成物を意味する。いくつかの実施形態では、このようなデバイスは、機械装置や機械である。いくつかの実施形態では、このようなデバイスは、化学的装置である。いくつかの実施形態では、このような装置は、情報を取り扱う、処理する、又は記憶するための手段である。
【0064】
ヌクリオン(Nuclion)エンベロープ:
本明細書において、用語“ヌクリオン(nuclion)エンベロープ“は、(i)エンベロープ、シェル、筐体、層、膜、表面、周囲、コーティング、覆い、保護、ケース、カバー、処理、カプセル化、これらのいずれか2以上の組み合わせ、又はこれらのいずれか2以上の混成、及び(ii)ヌクリオンエンベロープを有しないヌクリオンの全体、一部若しくは複数部、又は1以上のヌクリオン成分の全体、一部又は複数部への組成物を結合する手段、を含む当該組成物を意味する。いくつかの実施形態では、このような組成物は、原子、金属、分子、高分子、天然分子、非天然分子、生体分子、生体高分子、タンパク質、酵素、伸長因子、開始因子、合成酵素、抗体、ハプテン、核酸、アプタマー、リボザイム、脂質、リン脂質、炭水化物、化学、複合体、シグナル伝達分子、ホルモン、細胞成分、体成分、組織成分、抗原、免疫物質、複合体、凝集体、物質、天然物質、非天然物質、造影剤、薬剤、治療薬、診断薬、予防薬、三元構造、放射性医薬品、放射性物質、キレート、混合、表面、粒子、小胞、カプセル剤、丸剤、接着剤、賦形剤、アジュバント、コロイド、フィルム、これらのいずれか2以上の組合わせ、これらのいずれか2以上の混成からなる群から選択される項目を更に含んでいてもよい。
【0065】
ヌクリオン(Nuclion)エンベロープ調製物:
本明細書において、“ヌクリオン(nuclion)エンベロープ調製物“は、天然のヌクリオンエンベロープ、非天然のヌクリオンエンベロープ、複数の天然のヌクリオンエンベロープ、複数の非天然のヌクリオンエンベロープ、均質のヌクリオンエンベロープ、異種のヌクリオンエンベロープ、これらのいずれかの要素の溶液、これらのいずれかの要素の固体形態、これらのいずれかの要素の液体形態、これらのいずれかの要素のエアロゾル形態、これらのいずれかの要素の製剤、これらのいずれかの要素を含む混合物、これらのいずれか2以上の要素の任意の混合物、ここれらのいずれか2以上の任意の組み合わせ、及びこれらのいずれか2以上の要素の任意の混成、を含む群から選択された要素の調製物を意味する組成物(方法又は工程ではない)である。
【0066】
ヌクリオン(Nuclion)調整物:
本明細書において、“ヌクリオン(nuclion)調製物“は、天然のヌクリオン、非天然のヌクリオン、天然のエンベロープされたヌクリオン、非天然のエンベロープされたヌクリオン、複数の天然のヌクリオン、複数の非天然のヌクリオン、複数の天然エンベロープされたヌクリオン、複数の非天然エンベロープされたヌクリオン、均質ヌクリオン(単複両形)、異種ヌクリオン(単複両形)、均質なエンベロープされたヌクリオン(単複両形)、異種のエンベロープされたヌクリオン(単複両形)、天然のtRNAヌクリオン、非天然のtRNAヌクリオン、天然のエンベロープされたtRNAヌクリオン、非天然のエンベロープされたtRNAヌクリオン、複数の天然のtRNAヌクリオン、複数の非天然のtRNAヌクリオン、複数の天然のエンベロープされたtRNAヌクリオン、複数の非天然のエンベロープされたtRNAヌクリオン、均質のtRNAヌクリオン(単複両形)、異種のtRNAヌクリオン(単複両形)、均質なエンベロープされたtRNAヌクリオン(単複両形)、異種のエンベロープされたtRNAヌクリオン(単複両形)、これらのいずれかの要素の溶液、これらのいずれかの要素の固体形態、これらのいずれかの要素の液体形態、これらのいずれかの要素のエアロゾル形態、これらのいずれかの要素の製剤、これらのいずれかの要素を含む混合物、これらのいずれか2以上の要素の任意の混合物、これらのいずれか2以上の任意の組み合わせ、及びこれらのいずれか2以上の要素の任意の混成、を含む群から選択された要素の調製物を意味する組成物(方法又は工程ではない)である。
【0067】
ヌクリオン(Nuclion)標的:
本明細書において、用語“ヌクリオン標的(nuclion target)“は、ヌクリオン部分構造と、ヌクリオンの構造、機能又は活性を阻害、促進、変更又は妨害するための手段とを含む組成物を意味し、ヌクリオン部分構造は、ヌクリオン、ヌクリオンの成分、又はこれらの成分の任意の組み合わせの構造の予め定められた部分を含む。いくつかの実施形態では、そのような構造の予め定められた部分は、一次構造、二次構造、三次構造、四次構造、R体構造、S体構造、T形構造、これらの2以上の要素の任意の組み合わせ、及びこれらの2以上の要素の任意の混成、を含む群から選択される。
【0068】
ヌクリオン(Nuclion)収率:
本明細書において、用語“ヌクリオン(nuclion)収率“は、ヌクリオンのアセンブリー時にヌクリオンに変換されたコア核酸の割合(%)を意味する。
【0069】
オリゴマー(又はオリゴマーの):
本明細書において、用語“オリゴマー(oligomer)“及び“オリゴマーの(oligomeric)“は、長さに制限がある、繰り返しサブユニットのセットを意味する。ここで、ほとんどのサブユニットがオリゴマーの統合性(integrity)のための十分な構造的相同性を有する。いくつかの実施形態では、ほとんどのサブユニットは、隣接するサブユニット、コア分子又は両方に結合する1つ以上の手段を有する。いくつかの実施形態では、この手段は、非共有結合である。いくつかの実施形態では、この手段は共有結合である。いくつかの実施形態では、この手段は、非共有結合と共有結合の組み合わせである。
【0070】
ポリマー(又はポリマーの):
本明細書において、用語“ポリマー(polymer)“及び“ポリマーの(polymeric)“は、原理的に長さの制限がない、繰り返しサブユニットのセットを意味する。ここで、ほとんどのサブユニットがポリマーの統合性(integrity)のための十分な構造的相同性を有する。いくつかの実施形態では、ほとんどのサブユニットは、隣接するサブユニット、コア分子又は両方に結合する1つ以上の手段を有する。いくつかの実施形態では、この手段は、非共有結合である。いくつかの実施形態では、この手段は共有結合である。いくつかの実施形態では、この手段は、非共有結合と共有結合の組み合わせである。本明細書において用いられる場合、用語“ポリマー“と“ポリマーの“は、それぞれ、“オリゴマー”及び“オリゴマーの”をも意味する。
【0071】
分布率トポグラム(prevalence topogram):
本明細書において、用語“分布率トポグラム(prevalence topogram)“は、(i)対象の組成物に関する統計情報と、(ii)その対象の三次元描写とのプレゼンテーションを意味する。いくつかの実施形態では、“分布率トポグラム“と“ヌクレオシド分布率トポグラム“は、トランスファーRNA分子の三次構造上のヌクレオシド分布率データのプレゼンテーションを意味する。
【0072】
タンパク質合成マーカー配列:
本明細書において、用語“タンパク質合成マーカー配列“は、(i)開始コドンの上流、下流又は開始コドンを含む、及び(ii)タンパク質合成の開始、終了、促進、阻害又は制御のために作動可能に連結されたmRNA中の核酸配列を意味する。例えば、タンパク質合成マーカー配列は、シャイン・ダルガーノ配列及びコザック配列を含むが、これらに限定されるものではない。
【0073】
純粋:
上述のように、他の成分を実質的に含まない場合、物質又は実体は、’純粋(pure)’又は’精製された(purified)’ものである。例えば、特定の物質及び/又は実体が約90%以上含まれている調製物は、典型的に純粋な調製物であると認められる。いくつかの実施形態では、物質及び/又は実体が、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は99.9%純粋である。
【0074】
リボキャプシド(Ribocapsid):
本明細書において、用語“リボキャプシド(ribocapsid)“は、2以上のリボキャプシドサブユニットからなるオリゴマー又はポリマーを意味し、当該オリゴマー又はポリマーはコア核酸の全体、一部又は複数部にオリゴマー又はポリマーを結合する手段を含む。いくつかの実施形態では、用語“リボキャプシド(ribocapsid)“は’コア核酸に結合した、連続した隣接するリボキャプシドサブユニットのセットを意味する。いくつかの実施形態では、1つのコア核酸に結合しているリボキャプシドサブユニットのオリゴマー又はポリマーの数を反映して、ヌクリオンは、1又は2以上のリボキャプシドを含み得る。
【0075】
リボキャプシド(Ribocapsid)サブユニット:
本明細書において、“リボキャプシド(ribocapsid)サブユニット“は、主に核酸である組成物を意味し、当該組成物はコア核酸へ前記組成物を結合するための手段を有し、かつ同じコア核酸に結合した少なくとも1つの隣接するリボキャプシドサブユニットへの前記組成物を結合するための手段を有する。疑義を避けるため、リボキャプシドサブユニットは単一のヌクレオチドでもなく、又はヌクレオシドでもない。
【0076】
リボキャプシド(Ribocapsid)サブユニット調製物:
本明細書において、“リボキャプシド(ribocapsid)サブユニット調製物“は、天然のリボキャプシドサブユニット、非天然のリボキャプシドサブユニット、複数の天然のリボキャプシドサブユニット、複数の非天然のリボキャプシドサブユニット、均質なリボキャプシドサブユニット(単複両形)、異種のリボキャプシドサブユニット(単複両形)、これらの任意の要素の溶液、これらの任意の要素の固体形態、これらの任意の要素の液体形態、これらの任意の要素のエアロゾル形態、これらの任意の要素の製剤、これらの任意の要素を含む混合物、これらの2以上の要素の任意の混合物、これらの2以上の要素の任意の組み合わせ、及びこれらの2以上の要素の任意の混成、を含む群から選択された要素の調製物を意味する組成物(方法又は工程ではない)である。
【0077】
対称性:
本明細書において、用語“対称性(symmetry)“と“対称な(symmetric)“は、2次元又は3次元ユークリッド空間内の等長写像のユークリッド群の部分集合にある幾何学的な対称性を意味する。これらの等長写像は、反射、回転、平行移動、これらの基本的な幾何学的な操作の任意の組み合わせで構成されている。らせん対称性は、回転と平行移動を組み合わせた対称性の例である。例えば、本発明のいくつかの実施形態において、tRNAから実質的に構成されたリボキャプシドサブユニットは、前記のS形tRNAヌクリオンに配置され、いくつかの実施形態では、これらのサブユニットは、コア核酸を通る中心軸の周りにらせん対称性を示す。本明細書において、用語“非対称性(asymmetry)“と“非対称の(asymmetric)“は、対称性の欠如を意味する。
【0078】
トランスファーRNA:
分子生物学の分野における当業者は、用語“転移RNA(transfer RNA)“及び“tRNA“が、メッセンジャーRNAの遺伝コードをタンパク質のアミノ酸のポリマーに翻訳するためのアダプタ分子として機能するリボ核酸を意味しており、そしてこの翻訳が通常リボソームで行われることを、以前から理解している。本明細書において、用語“転移RNA“と“tRNA“は、次の群から選択される要素を意味する。アミノ酸付加のないtRNA(’非装填(charge)tRNA’)、CCAテイルにアミノ酸付加されたtRNA(‘装填(charge)tRNA’)、CCAテイル以外の位置にアミノ酸付加されたtRNA、修飾tRNA、選択されたtRNA、天然のtRNA、非天然のtRNA、古細菌のtRNA、細菌のtRNA、ウイルスのtRNA、植物細胞小器官のtRNA、真核生物のtRNA、細胞質のtRNA、ミトコンドリアのtRNA、未変性のtRNA、非未変性のtRNA、装填された(charged)tRNA、装填されていないtRNA、装填不能なtRNA、天然アミノ酸が装填されたtRNA、非天然アミノ酸が装填されたtRNA、標準アミノ酸が装填されたtRNA、非標準アミノ酸が装填されたtRNA、正しいアミノ酸が装填されたtRNA、間違ったアミノ酸が装填されたtRNA、アミノ酸を結合するために通常のアシル化を採用した装填tRNA、アミノ酸を結合するために通常のアシル化を採用していない装填tRNA、一つのアミノ酸を装填可能なtRNA、一つ以上のアミノ酸を装填可能なtRNA、開始tRNA、伸長tRNA、サプレッサーtRNA、プライマーとして機能するtRNA、酵素合成のためのプライマーとして機能するtRNA、リボザイムとして機能するtRNA、リボザイムのためのプライマーとして機能するtRNA、レトロウイルスプライマーとして機能するtRNA、機能亢進性のtRNA、減弱性のtRNA、正しいアンチコドンを持つtRNA、誤ったアンチコドンを持つtRNA、3つのヌクレオチドのアンチコドンを持つtRNA、3つ以上のヌクレオチドのアンチコドンを持つtRNA、リボソームで正常に機能するtRNA、リボソームでは正常に機能しないtRNA、アミノアシル化合成酵素によって正しく装填されたtRNA、アミノアシル化合成酵素によって正しく装填されていないtRNA、伸長因子に結合するtRNA、伸長因子に結合してないtRNA、三重複合体を形成するtRNA、三重複合体を形成しないtRNA、開始複合体を形成するtRNA、開始複合体を形成しないtRNA、標識されたtRNA、分析用のtRNA、診断用のtRNA、治療用のtRNA、イメージング用のtRNA、予防のtRNA、tRNAワクチン、標準tRNA、放射性tRNA、tRNA放射性医薬品、蛍光標識されたtRNA、酵素的に標識されたtRNA、ビオチン化tRNA、磁気的に標識されたtRNA、造影剤を結合したtRNA、造影剤に改変されたtRNA、精製tRNA、未精製のtRNA、分離されたtRNA、分離されていないtRNA、単離されたtRNA、単離されていないtRNA、in vivoのtRNA、in vitroのtRNA、ex vivoのtRNA、tRNAの調製物、tRNAの均質な調製物、tRNAの不均一な調製物、天然のtRNAの結合部位(’TLS’)を有するtRNA、非天然のTLSを有するtRNA、天然のtRNAコネクタ(’TC’)を有するtRNA、非天然のTCを有するtRNA、TLSを有しないtRNA、TCを有しないtRNA、現代的なtRNA、CCAテイルを有するtRNA、CCAテイルを有しないtRNA、CCAのテイルの一部を有するtRNA、tRNAの祖先、tRNA前駆体、未成熟tRNA、成熟tRNA、tRNA代謝産物、始原的なtRNA、異常なtRNA、コンセンサスtRNA、複合tRNA、1つ以上の突然変異を有するtRNA、一つ以上の天然修飾を有するtRNA、1つ以上の非天然の修飾を有するtRNA、非天然ヌクレオチド又はヌクレオシドを有するtRNA、非天然の修飾塩基を有するtRNA、非天然骨格を有するtRNA、修飾された骨格を有するtRNA、リン酸ジエステル結合の代用で一つ以上のペプチド結合を有するtRNA、非天然アミノ酸ステムを有するtRNA、非天然ジヒドロウリジンステムを有するtRNA、非天然アンチコドンステムを有するtRNA、非天然プソイドウリジンステムを有するtRNA、非天然ジヒドロウリジンループを有するtRNA、非天然アンチコドンループを有するtRNA、非天然プソイドウリジンループを有するtRNA、修飾されたアミノ酸ステムを有するtRNA、修飾されたジヒドロウリジンステムを有するtRNA、修飾されたアンチコドンステムを有するtRNA、修飾プソイドウリジンステムを有するtRNA、修飾ジヒドロウリジンループを有するtRNA、修飾されたアンチコドンループを有するtRNA、修飾プソイドウリジンループを有するtRNA、別の分子が結合(conjugated)tRNA、別の分子に結合したtRNA、別の分子に会合したtRNA、一次構造を有するtRNA、二次構造を有するtRNA、三次構造を有するtRNA、四次構造を有するtRNA、多量体tRNA、二量体tRNA、三量体tRNA、コーティングされたtRNA、活性化tRNA、不活性化tRNA、ブロックされたtRNA、カスタマイズされたtRNA、特殊なtRNA、製剤化されたtRNA、賦形剤を伴う製剤化されたtRNA、安定化されたtRNA、架橋されたtRNA、乾燥したtRNA、凍結乾燥したtRNA、溶液中のtRNA、tRNA結晶、tRNAの粉、tRNAのアマルガム、tRNA懸濁液、tRNAコロイド、tRNA沈殿物、tRNAエアロゾル、tRNA軟膏、tRNA混合物、これらの2以上の要素の任意の組み合わせ、及び、これらの2以上の要素の任意の混成。
【0079】
tRNAヌクリオン(nuclion):
本明細書において、“tRNAヌクリオン(nuclion)“は、少なくとも一つのtRNAリボキャプシドを有するヌクリオンを意味する。
【0080】
tRNAヌクリオン(nuclion)調製物:
本明細書において、“tRNAヌクリオン(nuclion)調製物“は、少なくとも一つのヌクリオンがtRNAヌクリオンであるヌクリオン調製物を意味する組成物(方法又は工程ではない)である。
【0081】
tRNAリボキャプシド(ribocapsid):
本明細書において、“tRNAリボキャプシド(ribocapsid)“は、少なくとも一つのリボキャプシドサブユニットが、tRNAリボキャプシドサブユニットであるリボキャプシドを意味する。
【0082】
tRNAリボキャプシド(ribocapsid)サブユニット:
本明細書において、“tRNAリボキャプシド(ribocapsid)サブユニット“は、ほとんどがtRNAであるリボキャプシドサブユニットを意味する。
【0083】
tRNAリボキャプシド(ribocapsid)サブユニット調製物:
本明細書において、“tRNAリボキャプシド(ribocapsid)サブユニット調製物“は、リボキャプシドサブユニットの少なくとも一つがtRNAリボキャプシドサブユニットである組成物(方法又は工程ではない)である。
【0084】
トランスファーRNA
現代的なトランスファーRNA分子は、メッセンジャーRNA上の塩基配列情報をアミノ酸のポリマー(このポリマーの伸長につれて、この意味は、徐々にペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド又はタンパク質として)に翻訳するための分子のアダプタとして機能する。各tRNAは、タンパク質酵素(アミノアシル化tRNA合成酵素)により、特定のアミノ酸とアミノアシル化(’装填’)される。すべてのtRNAは、mRNA上の対応する三ヌクレオチドコドンに特異的に結合し、三ヌクレオチドアンチコドンを通常含む(Labuda et al., 1982, Biochem. Biophys. Acta, 689:230)。1つのtRNA分子は通常のアミノ酸の一種類のみに付着さするが、遺伝コードが同じアミノ酸を指定する複数のコドンを含むので、異なるアンチコドンをもつtRNA分子は同じアミノ酸を運ぶかもしれない。与えられたtRNAの特異性は、’tRNAaaa’又は’tRNA
aaa’の形式で、関連するアミノ酸についての参照を含めることによって本書面上で示されており、この ’aaa’はアミノ酸の名前(例、メチオニン)あるいはアミノ酸の標準的な3文字の記号(例、’Met’又は’met’は メチオニン)である。装填された(アミノアシル化)tRNAは形式’AAA−tRNA’、“AAA−tRNAaaa’又は’AAA−tRNA
aaa“を使用して本書面上でに記載されており、’AAA’はtRNAに接続されているアミノ酸又はアミノ酸の標準3文字の名前である。
【0085】
現代のリボソームの内部では、コドンに結合する1つのtRNA上のポリペプチドは、ポリペプチド鎖が一つのアミノ酸によって拡張されるとすぐに、次のコドン( ’ペプチジル転移’)に結合するtRNA上のアミノ酸に転送されます。すでにポリペプチドを有するtRNAはリボソームを脱して、再装填のために利用できるようになります。各生物では、2つのクラスのトランスファーRNA分子、伸長のtRNA及びイニシエータtRNAがあります。tRNA分子の大半を占める伸長tRNAは、成長中のポリペプチド鎖にアミノ酸の所定の配達を担当している。イニシエータtRNAは、mRNA上の開始コドンの認識に関与する特殊なtRNA分子であり、この役割を果たすために構造上の最適化した。細菌及び関連真核生物の細胞小器官で、ホルミル基はイニシエーターtRNAの CCAテイルにメチオニンに追加されます。多くの真核生物は、一方で、細胞質イニシエータtRNAの位置54のリボシルチミンをアデノシンに変換している。与えられたtRNAのクラス、つまりイニシエータ又は伸長は、前の段落で定義されたtRNAの略語で、それぞれ、文字’i’又は’e’を含めることによって、本書面上で示されている。
【0086】
メッセンジャーRNAに結合する隣接トランスファーRNA分子間の分子間相互作用の可能性について憶測があったが(Webb, 1973, A Role for Pseudo−uridine, pages 1−7, 20−23 and 223−240 in The Purification and Crystallisation of Transfer Ribonucleic Acids from Escherichia Coli. A thesis submitted for the degree of Doctor of Philosophy in the University of London by Nigel Lawrence Webb, King’s College, London, U.K.; Schimmel et al., 1994, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 91:11283)、この憶測はいずれも、本発明のいくつかの実施形態によって教示されるようにtRNA分子がnuclionsやribocapsidsを形成できることを予測せず、自然界で見られる内部RNA結合メカニズムを正しく予測するものでもなかった。tRNA分子の合成四次構造は構築されたが(Severcan et al., 2010, Nat. Chem., 2:772)、しかし、そのような構造が自然界に存在することが示されてはおらず、またnuclions又はribocapsidsの、これは核酸をカプセル化することができる手段に限定されないが、物理的及び化学的特性あるいは利点を持ち合わせていない。
【0087】
分子生物学では、典型的な枝分かれのない一次構造、つまりDNA,RNAやタンパク質のような未架橋高分子は、その原子組成及びそれらの原子をつなぐ化学結合の仕様です。生体高分子の一次構造は、例えばヌクレオチド又はアミノ酸の、モノマーの化学配列を指定することと等価である。巨大分子の方向は通常一本鎖の末端から末端への化学方向を指します。核酸でヌクレオチド中の炭素原子の命名の化学的な慣例は、数値的に5’末端及び3’末端を生じさせる。5’−末端は、その末端それぞれに、デオキシリボース又はリボースの糖リングにある第五炭素を有するDNA又はRNA鎖の末端を指定する。一本鎖の3’末端は、糖リング三番目の炭素の水酸基の終端に起因する名前で、’テイル’として知られている。などの核酸の一本鎖に沿ってた構造物の相対的な位置、つまり遺伝子、コドンと様々な結合部位などは、通常、’上流’(5’−末端方向)又は“下流“(3’−末端方向)いずれかが記載されている。
【0088】
二次構造は、通常、分子内の水素結合で定義される:タンパク質ではアミド基とカルボキシル基骨格間、核酸では窒素塩基(’塩基対’)のペア間。RNAの二次構造はしばしば分解(ステム及びループ)され、さらにに分類(例えば、ヘアピン、積み重ねられたステム、ステムループ 、 テトラループ、偽結び目構造)することができる。これらの二次構造要素の多くは、トランスファーRNAなどの生体分子RNAと機能的に重要である。
【0089】
Nuclionsとribocapsids
本発明のいくつかの実施形態では、nuclionsとribocapsidsは、1つ以上の下記の方法で、特徴づけられ、製造され、試験される。
【0090】
データマイニング
tRNA分子の構造と成分の保存パターンは、tRNA配列と修飾されたtRNA塩基の大量なデータセットから識別される。
【0091】
コンピュータモデリング
コンピューターモデリングは、mRNAに結合した隣接するtRNAと結果として生じるその構造間の相互作用を定義するために執り行われている。
【0092】
Nuclion製造
Nuclionsとribocapsidsは、tRNA、mRNA及び合成RNA分子の複数のタイプを使用した様々な条件下で製造され、試験される。
【0093】
データマイニング
1つの実施形態では、
図3Aは、本書面上で’tRNAdb’(Juhling et al., 2009, Nucleic Acids Res., 37:D159)として参照した公開データベースに報告された623トランスファーRNA配列中のヌクレオシドの有病率の我々のデータマイニング研究の結果を提示しており、ここに、すべての生物領域、クラス、特異性と細胞区画(“データマイニング方法とコンピュータモデリング“のための材料及び方法を参照)の天然イニシエータと伸長tRNAが含まれている。
図3AのtRNAヌクレオシドの番号の位置は、Juhlingで採択された規則に従っている(この番号付け規則が、tRNAのために本書面全体で採用されている)。
図3に示されているコンセンサスtRNAの二次構造では、点線は標準的な塩基対を示すものであり、矢印は(i)プソイドウリジンステム(49から53、61から65)をもつアミノ酸ステム(1から7、66から72)の、(ii)ジヒドロウリジンステム(10から13、22から25)をもつアンチコドンステム(27−31、39から43まで)、の積み重ねを示している。この図における“ヌクレオシド“は、塩基分子及びそれらの任意の修飾の両方が含まれている。RNAの5’末端から3’末端方向にある特定のtRNAのヌクレオチドの線形表現は、分子の一次構造を構成しうる。
【0094】
アミノ酸(“AA“)、シュードウリジン(’P’)、アンチコドン(“AC“)とジヒドロウリジン(’D’)ステムは
図3Aで標識され、他の場所で、AA−ステム、Pステム、ACステムとD−ステムと、それぞれ称されている。本書面全体で、’aa’と’’AA“はアミノ酸の略語として使用されている。
図3Aで標識された他のtRNAの構造要素が含むのは、アミノ酸の結合部位(76の隣の円内の“aa“)、プソイドウリジンループ(54から60、P−ループ)、アンチコドンループ(32から38、AC−ループ)アンチコドン(緑のボックス内34−36)、ジヒドロウリジンループ(14から21、Dループ)と可変ループ(44から47、Vループ)である。それ以外で有病のために標識されない限り(下記参照)、1から76までのラベルの付いた76箇所は、通常、ヌクレオチド及びO(占有)によって占有されている。これとは対照的に、23カ所(0、17a、20a、20b、e1−5、e11−17、e21−27)は、通常は占有されてなく、E(追加用)標識が付いています。
【0095】
図3Aの黄色のボックスは、1ヌクレオシド群(G、A、C又はU)が、それらのいずれかの修飾と合わせて、分析した623配列内で90%以上のヌクレオシド有病(SP)のある位置を示すしている。このような黄色のボックス内の通常書体又はイタリック体の文字が示すのは、それぞれ、(i)その位置(G、C又はU)で90%以上のSPのヌクレオシド群、又は(ii)その位置(PやT)で50%以上のSPの修飾ヌクレオシドである。青色のボックスは、ヌクレオシドクラス(プリン又はピリミジン)は以上の90%のSPを持っている位置を示します。このような青いボックス内の通常書体又はイタリック体の文字が示すのは、それぞれ、(i)は、それぞれ、その位置(プリンのためのR、ピリミジンためのY)で90%以上のSPのヌクレオシドクラス、又は(ii)その位置(変更されたアデノシンのH)で50%以上のSPの修飾ヌクレオシドである。20位のDは、その位置で50%以上のSPとジヒドロウリジンを示す。
図3Bは、
図3Aに使用されるヌクレオシド有病の記号及びヌクレオシドの略語表である。特定のヌクレオシドは関連データがそのようなヌクレオシドの基本及び修飾形態の両方に言及したデータであることを示すために星印が付いている。
【0096】
4つの二本鎖RNAのヘリックスで合計21塩基対のために、AA−、P−、ACとD−ステムには、それぞれ通常7、5、5、4塩基対ある。ヌクレオシド、ヌクレオシドクラスとらせん構造の高水準の保存は、これらの623の配列によって表されるすべての生物領域、tRNAのクラス、アミノ酸特異性と細胞区画にわたって実質的に観察される。
【0097】
コンピュータモデリング
巨大分子の三次構造は、好ましくは原子座標によって定義された一本鎖の三次元構造体である。1つの実施形態で、
図4Aで示しているのは、tRNA結晶からのX線回折により決定され報告された10種のtRNAの三次構造が、分子の右側(この文書全体を通して、’右’はtRNAを3’−テイルから見たときで、AC−ステムは下方)から重ね合わせて観察した我々のコンピュータモデリング研究の結果である。
図4Bは、
図4Aに示したものと同じ構造の3’−テイルに遠位側からの眺めである。
図4Cは、
図4A及び
図4Bで説明した構造体のカラーキーやその他の情報を提供している。
【0098】
tRNAの二次構造の初期の解析による示唆された、すべての生物の領域間でのtRNA構造保存の顕著な水準は、tRNA三次構造の比較でも裏付けられた。現在までに決定された全てのtRNAの結晶構造において、アンチコドンとジヒドロウリジンステムヘリックスは互いに重なり合う間に、アミノ酸ステムとプソイドウリジンステムヘリックスは互いに重なり合い、。この保存されたL字型のtRNA構造のエルボーは、主にプソイドウリジン(OK)とジヒドロウリジンループ間の分子内相互作用によって形成される。
【0099】
四次構造は三次構造の2つ以上の巨大分子の定義された組織である。これまでに報告された天然四次構造の大部分は、タンパク質分子(例:ヘモグロビン、筋肉フィラメント)、あるいは核酸(例:リボソーム、ウイルス)をもつタンパク質分子の組み合わせです。これらのすべての四次構造は水素結合、ファンデルワールス力と静電気力の組み合わせにより一緒に保持されている。用語’四次順’は、DNAがヒストンと複合体を形成しているクロマチンにある高水準の組織のDNAに適用された。リボソーム内の別のRNAユニットとスプライソソーム間の相互作用は、また、核酸四次構造として記述されているが、すべてではないが、これらの複合体のほとんどはタンパク質を含む。核酸の二重らせん以外で、核酸のみから構成されるいくつかの天然な四次構造が、現在までに報告されている。特定のアプタマーは、複数のRNA分子の四次構造であるが、これらのRNAはnuclionsの特徴であるオリゴマー又はポリマーサブユニットとribocapsidシェルを持っていない。
【0100】
コンピュータモデリングは(インシリコ研究)tRNA分子の2次構造、3次構造を予測し、決定するために使用されている(参照例、米国特許出願公開2011/0112817)が、本発明のいくつかの実施形態により教授されたnuclion又はribocapsidの構造を得るコンピューターモデリング研究の報告や請求はない。
【0101】
内部tRNA結合部位
1つの実施形態では、
図5Aは、90%以上のグローバルヌクレオシド有病(’GSP90’)を持つ15のtRNAヌクレオシドは酵母tRNA
Pheの三次構造に提示されているヌクレオシド有病トポグラムです(Shi,et al、2000、RNA、6:1091)。
図5Bは、
図5Aのヌクレオチドにカラーキーを提供している。このトポグラムは、単なるヌクレオシド型(プリン又はピリミジン)ではなく、個々のヌクレオシドの有病を報告している。
【0102】
tRNAのこれら15GSP90ヌクレオシドは、4つの保存地帯に位置しており、そのうちの2つは機能についてよく報告されており、アンチコドンループと3’CCAテイルがアミノ酸ステムに付着している。高度に保存されたCCAのテイルは、タンパク質合成へのtRNAの調整のための特定のアミノ酸で(’アミノアシル化’)エステル化されており、ribocapsidのtRNAコネクタ(TC)としての役割を果たし、そして通常、同じmRNAに結合する5’の隣接ribocapsid tRNAのtRNAリンク部位に結合する。
【0103】
15のうち11のほとんどのGSP90ヌクレオシドがtRNAのエルボーの領域にある。これらの11GSP90ヌクレオシドの3つ(DループからA14とA21とAA−ステムとD−ステムの間のU8、)が、エルボー(’AUAトリプル’)の塩基で平面トリプル構造を形成し、tRNA分子が特定の状況下でその構造を調整するようである。
【0104】
1つの実施形態では、11のエルボーヌクレオシドの8は、9つのヌクレオチド(
図6Aに示されている)から構築された実質的に五層積み重ね内で一緒に配置されている:P−ループから6つのGSP90ヌクレオシド(G53−T54−P55−C56、A58、C93)、Dループ(G18−G19)から2つのGSP90ヌクレオシド、及び1つのPSP90プリン(R57)、さらにP−ループからも含む。
図6Bは、
図6AのTLSのどのヌクレオシドが他のTLSヌクレオシドへの塩基対となり、及びその方法(“ワトソン・クリック“は、標準的な塩基対を示し、“その他“は塩基対のHoogsteen又は他のタイプを示す)を示している。
図6Cは、
図3Aで定義されている略語を使用して、
図6AのTLSのヌクレオチドにカラーキーを提供しているしている。tRNAのエルボーの9のヌクレオチドの積み重ねは、通常3’−隣接ribocapsid tRNAのCCAテイルを結合するtRNAのリンクサイトの活性中心である。このtRNAリンクサイトにおけるヌクレオシドの種類はすべての生物学領域にまたがり高度に保存されているだけでなく、その高次構造もまた高度に保存されている。40年以上当業者の理解されていたことは、tRNAのヌクレオチド配列の主な役割G53−T54−P55−C56は、リボソーム(Phillips, 1969, Nature, 223:347)に特異的に結合することであったので、内部tRNAリンクの本発明といくつかの実施形態の発見は予期さていなかった。
【0105】
1つの実施形態で、
図7Aは、前述の
図4Aで比較した報告された10のtRNA構造でこれらTLSヌクレオチドの拡大図である。
図7Bは
図7Aで説明した構造体のカラーキーやその他の情報を提供しています。一つの例外を除いて、これら構造体のこれらTLSヌクレオチド中の原子の位置は、実質的空間に固定されている。9つの同調構造は、3種(酵母フェニルアラニン、アスパラギン酸、牛リジンと人間のセレノシステインtRNA)からの大腸菌由来の細菌イニシエータメチオニンtRNAと真核生物由来の伸長tRNAが含まれていることを考えると、この観察結果は注目に値する。全伸長 tRNAにあるTLS及びTC結合部位の構造の標準化により、そして保存された形状(限りnuclionの形成に影響を与える限り)を持つtRNA分子を使用することにより、成分tRNAと関連アンチコドンがメッセンジャーRNA上のコドンによって特異的にプログラムされた必須アミノ酸に応じて変化させる間に、生物は均一なribocapsidsを会合できる。
【0106】
図7Aの1つの実質的な構造の例外は、酵母開始tRNAです。酵母は、多くの真核生物のための典型であり、その細胞質イニシエータtRNAでT54をアデノシンに置換しており(Kolitz et al., 2010, FEBS Lett., 21:584)、それ故に、観測された空間的な不一致である。後述するように、真核生物において、この非定型アデノシンは、nuclion構造の調節とmRNAの開始コドンに関連するフラグにおいて重要な役割を果たしている。イニシエータtRNAは選択したTLS及びTCの結合部位を静止でき、それによって、正確にribocapsidセグメントを中断し、異なるnuclionフラグ構造を持つ開始コドンを標識するための強力なメカニズムを提供することができる。
【0107】
nuclionsとribocapsidsの発見、本発明の実施形態の前は、核酸、tRNAと他の分子との間の結合や複合体形成の実験が数例報告(参照、米国特許例の番号第7902169、7745594、7049431、5821052、及び米国特許出願公開2010/0056768、2010/0016409、2008/0026389、2005/0266416、2004/0157304)されており、それらはtRNAのアンチコドンのmRNAと相補的なコドンへの結合や他のtRNAの相補的なコドンへの結合を含むがその限りでない。しかし、高分子ribocapsid形成につながるtRNA分子上でTLSとTCのサイト間の内部tRNA結合を調べるような報告された研究や特許請求の範囲はない。
【0108】
T−形nuclion
1つの実施形態において、
図8Aは、tRNA nuclion(“T形’が指定)の1つの立体構造の典型的な繰り返し構造にある隣接するmRNAコドンに結合した2つのtRNA分子のコンピュータモデル(“データマイニング方法とコンピュータモデリング“のための材料及び方法を参照)を示している。
図8Bは、
図3Bで定義されている略語を使用して、
図8Aでヌクレオチドにカラーキーを提供しているしている。
【0109】
3’mRNA(下流)方向(青)にあるtRNA上のTCにおけるアミノアシル化CCAは、5’−隣接(上流)のtRNA(暗緑色)でTLSに結合する。TLSの左右両側には、配列T54−P55−C56(黄色)とG18−G19(シアン)で、それぞれ標識されています。mRNAの(オレンジ)は、破線で表示されているnuclion軸に近接しています。これ以降のnuclionsのコンピューター・モデルでは、酵母tRNA
Phe の結晶構造(例えば、構造体の対応するコドンループの高次構造は“L型“として指定される)を用いた。フェニルアラニン分子(赤)は、CCAテイル(ラズベリー)へのアミノアシル化構造物の可視化と分析を容易にするモデリングのためにに、PyMOLコンピュータ・ソフトウェアのビルド機能を使用して追加された(PyMOL by Surhone et al., VDM Publishing House, 2010)。しかしながら、X線構造解析から報告されたテールの設定は保持されていた。実際には、このCCAのテイルは非常に柔軟であることが知られている。その結果、生体内での可能なCCAの構成は、これ以降のコンピューター・モデルに示されているよりもTLSサイトに近い。
【0110】
T−形ribocapsidリピートでのtRNAは、3’mRNAの方向の各アンチコドン(色光緑)、5’mRNAの方向のそれぞれのCCAテイル(有色のラズベリー)で、表示された軸に対して右巻き螺旋で繰り返される(以後、5’及び3’はmRNAの向き意味する)。各tRNAのA76は5’方向で隣接するtRNAのTLSの右側に配置されます(’右’は、tRNAのAA−ステムから見た時で、アンチコドンを下方)。tRNA毎のtRNA螺旋回転(〜98±10°)は、実質的に正規のA−形RNA(98°)における3つのヌクレオチドのことですあるが、tRNA毎のT形の螺旋上昇(A−RNAにおける3つのヌクレオチド;〜15±3Å対〜8.4Å)は異なる。このドキュメント中では、シンボル’〜’はおよそを意味します。
【0111】
1つの実施形態では、
図9Aに5’方向からnuclion軸上の視線で、3つのそのようなtRNAのコンピュータモデルである。
図9Bは、
図3Bで定義されている略語を使用して、
図9Aのヌクレオチドにカラーキーを提供しているしている。それぞれのtRNAのジヒドロウリジン部分は、おそらく、TC−TLSのリンク特異性を高めるために、TC及びTLSのサイト間の分子間の静電絶縁体としてDHUsの役割と一致し、3’−隣接tRNA上のアミノアシル化ステムに隣接している。
【0112】
別の実施形態では、
図10Aは、T−形nuclionにある10のそのようなL−形tRNAのコンピュータ・モデルを示しています。立体干渉が軸圧縮のこのレベルでは観察されなかったので、原理的には、その長さには幾何学的な限界が実質的には存在しないが(従って、T形ribocapsidにおけるtRNAサブユニットは“高分子“とみなされる)、ただし、その熱力学安定性が特定の環境条件の下で実際にその長さを制限することがある。
図10Bは
図3Bで定義されている略語を使用して、
図10Aでヌクレオチドにカラーキーを提供している。
【0113】
このT形nuclion内に隣接するtRNA間の全体的な安定感は良好だが、しかし、いくつかの空間が軸方向のtRNAの間に残っている。このribocapsidにおけるL形tRNAがらせん構造で配置されているが、T形nuclionにおける各tRNAのためのコドンとアンチコドンは、別の実施形態では、
図11に示すように、隣接したtRNAのものとは積み重ならない。
【0114】
酵母tRNA
Pheの結晶に見られるのACループL−立体配座では、隣接したAC−ステム間の潜在的な立体干渉が、このT−形nuclionにおけるtRNAの大きい軸方向の圧縮を防ぐ。このコドンは、軸外アンチコドンと、nuclion軸に近い。そのアンチコドンのみが、相互ではなく、その親のtRNA内に積層されている。このT形nuclionのコドンは互いに積み重ねられない。
【0115】
S−形nuclion
第2のtRNAのアンチコドンループの高次構造(“K−形“)の証拠は、溶液中の大腸菌tRNA
Phe(Cabello−Villegas et al., 2005, Nucleic Acids Res., 33:6961)のNMR研究に由来し、この研究が、ヌクレオチド32から33と37から38は、アンチコドンステムの下で互いに向かい合って積み重なることを示唆している。本発明の1つの実施形態では、この第2のACループの高次構造の我々のコンピュータのモデル(
図12A)は、tRNAステムから解離した3つのアンチコドンヌクレオチド34から36を示しており、tRNA結晶構造のX線測定から報告された一般的なL型のAC−ループ構造に見られるACステムの3 ’側の下に積み重ねられたアンチコドンとは対照的である(
図12B)。tRNA構造上のマグネシウム濃度の効果の研究はまた、複数のコドンループを指摘し(Bujalowski et al., 1986, Biochem., 25:6365)、全体のtRNAの三次構造がマグネシウム依存性であることを示唆する(Friederich et al., 1997, Biochem., 36:6090)。蛍光標識されたtRNA上の修飾塩基を用いた温度上昇動態は、アンチコドンループは柔軟かつ、コドンの結合で高次構造を変化することを示す(Yoon et al., 1975, J. Molec. Biol., 99: 507)。電気泳動の研究はまた、アンチコドンループの複数の高次構造を示唆している(Pieczenik, 1980, J. Molec. Biol. 138:897)。従って、それらの物理的や化学的環境に応じて、ACループが複数の構造やそのような高次構造の混成を採用できることは、とりわけ。ribocapsidsとnuclionsにおけるtRNAの関与を容易にするためである。
【0116】
1つの実施形態では、nuclionのACループのK−形の採用は、それぞれのtRNAの近隣のそれらとコドンとアンチコドンの両方を積み重ね、標準A形RNA螺旋のものと実質的に類似の寸法を有する螺旋コア構造を形成する(
図11)。結果として得られる圧縮nuclion(“S−形’と指定)の低エネルギー状態では熱力学的に望ましいあまり積み重ねてないT形であり、LからK形へのアンチコドンループ遷移とT−形からS形ribocapsidの併用へ自動遷移を促進する。T−形nuclionでは、L形のアンチコドンがAC ステム(隣接するアンチコドンを伴わず)の下に積層されており、保存されたウリジン33は弾き出され、修飾されたプリン37は部分的に積層され、コドンのいずれもその近隣とは積み重ねていない。S−形nuclionでは、各K−形アンチコドンは親tRNAの代わりに隣接するアンチコドンと主に積み重なり、しかし、U33とR37は今親のtRNAと積み重らず、隣接するコドンも積み重ねられている。このS−形nuclionは、T−形nuclion や二重らせんにある塩基以上にtRNA毎の合計積み重ね塩基を生成する。一度、tRNAがmRNAに結合し、それらのTLS接続がT−形nuclionを整列させると、この熱力学的な相違が、どんな上流の幾何学的な制約なしに、T−形からS−形にnuclion遷移を自動的に駆動できる。
【0117】
1つの実施形態では、
図13Aは、全てのコドンとアンチコドンがその近隣のtRNAと積み重なるS−形nuclionにある4つの K−形アミノアシル化tRNAのコンピュータモデルを示している。
図13Bは、
図3Bに定義されている略語を使用した
図13A中のヌクレオチドにカラーキーを提供している。tRNAあたりのヘリックスターンの結果は〜98°(A−RNAとT−形nuclionは実質的に同じ)ですが、tRNAのあたり螺旋上昇は現在〜8.4Å(〜15±3 A、T−形に対して)、A−RNAらせんの3つのヌクレオチドではそれらは同程度。S形転移に対するT形の一次構造の影響は、mRNA周りのtRNAの圧縮近くになる、nuclionの〜45%軸圧縮です。S形nuclionでは、TLSへのアミノアシル化A76の進入角度は、T形のものとほぼ同様である。推定T− S遷移への立体障害は、コンピュータモデリング研究で全く不明であった。立体的な干渉及びT−形とは対照的なために、S形のnuclionに関与している隣接するtRNAの数は、実質的に4つに限られる(従って、S形のribocapsidにおけるtRNAサブユニットは“オリゴマー“とみなされている)。S形(tRNA1)における5 ’tRNAとの距離の4コドン離れたtRNA(tRNA5)との間の接触は、実質的に、S−形nuclionの参入から後者を防止し、T−形又は複合S/T構造体を保持する。
【0118】
R−形nuclionキャップ
コンピュータモデリングは、S−形nuclionが単一tRNA分子にその5 ’末端にキャッピングすることができることを示した。本発明での1つの実施形態では、L型のアンチコドンループは親のACステムとコアnuclionらせんの両方をにより積み重ねられているので、nuclionのS又はT形の内のtRNAよりも更に低いエネルギー状態を有するR体nuclion tRNAのキャップのコンピュータ・モデルを、
図14Aは示している。
図14Bは、
図3Bに定義されている略語を使用して
図14Aのヌクレオチドにカラーキーを提供しているしている。
【0119】
一方、S及びT形nuclionsにあるtRNAのACループは、親のACステム又はnuclionヘリックスのいずれかで積み重ねれており、しかし同時に両方ということはない。 コンピュータモデリング研究が、完全なACの積み重ねを持つそのようなtRNAのキャップは、一度に1つのtRNA分子のためだけに発生すること、TC−TLS接続を最初に切断されなければならないことを示した。そのような積み重ねや切断のための熱力学駆動は、nuclionコアらせんを持つtRNAキャップのAC−ステムの同軸整列によって増幅され、そのACループ上のキャッピングtRNAに10塩基対以上の添加を通じて積み重ねS形RNAらせんの長さを効果的に3倍にする。
【0120】
本発明の一実施形態では、R−形nuclionにおけるキャッピングtRNAのアミノアシル化ステムがRNAにおける上流の構造に特異的に結合するのは、開始tRNA分子の結合を特に登録し段階的行うためで、mRNAの開始部位を標識するために、nuclion複合体の正確なフレーム登録及び改良された組成を両立させる。一実施形態では、細菌におけるそのような相互作用の一例は、タンパク質合成のマーカー配列に開始tRNAのアミノアシル化ステムの結合であり、シャインダルガルノ(’SD’)配列等は細菌のmRNAの開始コドンの上流の短い距離にしばしば位置している。シャインダルガルノ配列はリボソームを結合するために機能し、開始tRNAはおそらくSDの部位への結合からはずれる。
【0121】
Nuclionダイナミクス
現代的な細胞内の一実施形態では、tRNA nuclionの異なる形の熱力学的特性は、あらかじめ定義された条件下で、(i)可変長の相対的に圧縮されていないT形ribocapsid構造に結合する初期mRNAへ、その後に(ii)最大4tRNA長の完全に圧縮されたS形ribocapsidへ、そして最後に(iii)のnuclion構造をキャッピングする単一の同軸R形tRNAへ、自由溶液のアミノアシル化tRNAの転移を駆動することができます。このnuclion構造の中で最も安定した部分は、合計5つのtRNA(又は6つのtRNA。複合S/T tRNAが含まれている場合)のために、RとS形を含む。一実施形態では、得られた化合物のtRNA nuclionの模式図を
図15に、このnuclionのコンピュータモデルを
図16に示してある。
【0122】
別の実施形態では、
図17は、tRNA nuclionの3つの異なる形態の物理的特性を要約したものであり、そして、T形とS形とR形で徐々に低いエネルギー状態を与える、積み重なり、塩基対形成と軸双極子特性を示している。3つのnuclion形間のエネルギー関係は、メッセンジャーRNAは通常、5 ’から3’の方向に翻訳されていることで、説明されている。tRNA分子の構造が必要とすることは、第一に3’方向からT形nuclionに入ること、次いで5 ’方向でR−形にS体に徐々に遷移することである。各時間、R−形tRNAはタンパク質合成のために削除され、3’−隣接するS−形tRNAはR形に遷移し、そして1コドンによって5 ’から3’方向のmRNAに沿ってnuclionは動く。
【0123】
細胞生物におけるtRNA nuclionダイナミクスのこのモデルでは、tRNAは徐々に伸長因子タンパク質によってnuclionからリボソームに輸送され、これはRとS形での5つの現在のtRNAを含むnuclionセグメントが、T形テイルを持つ5 ’から3’方向へのmRNAに沿って動き出すとすぐに起こり、その方向の長さはアミノアシル化tRNAの供給に部分的に依存する。次期の装填されたtRNAは、短い滞留時間で、mRNA上のトリプレット(必ずしもコドンでなく)に無秩序に結合するが、その後急速にribocapsidで認定されます。任意の時点で、1つの装填されたtRNAだけが、T−ribocapsidの3’末端に直接隣接するコドンに適切に結合し、利用可能な1箇所に固定し、5’−隣接のtRNA上のTLSを開き、より低いT形エネルギー状態を採用し、そして留まる。この選択工程は、効率的に装填されたtRNAを認定し、非同族tRNAの拒絶反応を増幅する一方で、フレーム整合性を保持する。 そうすることで、Nuclionはまた、初期の自由溶液からのアミノアシル化tRNAを結合することで装填アクセレータとして機能し、そこでは今後の翻訳(すなわち、キャッシュプレロード)のために必要な実質的な量であり、このことによりその合成を調節するフィードバックループを進めている。このモデルは、キャッピング状態やその他の要因によって、mRNAのサイトで連続して結合した現代的なtRNAの数が、RとS nuclion形の集合に対応して4又は5つでありことを提示している。いくつかの実施形態では、所定の条件下で、このT形構造の相対的な安定性がS形のそれよりも実質的に小さい。いくつかの実施形態では、S形のtRNAに直接隣接する複合S/T tRNAは後者と積み重ねることができ、圧縮nuclionで合計6つの連続したtRNAを与える。
【0124】
この発明の一実施形態では、T−形構造からS形構造へ遷移するためにtRNAはアミノアシル化されてる必要があり、そしてこの必要性が、装填されたtRNAの整合性を確保するための追加のスクリーニング方法を提供している。一方、この実施形態では、S形のtRNAは装填されなければならず、T形nuclionは、装填と非装填tRNAの両方を収容することができます。tRNAのアミノアシル化は、その電気的特性を変化させ、S−形nuclion構造に適した立体構造にそのアンチコドンの変換を容易にすることも可能にする。
【0125】
現代のtRNA nuclionは確実にアミノアシル化tRNAを保管し、そうでなければ自由溶液では比較的短い半減期となり(Putz et al., 1997, Nucleic Acids Res., 125:1862)、貴重な自由エネルギーを無駄にする。言い換えれば、充電器としてのtRNA nuclion機能。FIFO(先入れ先出し)在庫管理システムは、また、mRNAをプリロードによる翻訳アクセレータとして機能し、それ故、リボソームのペプチジル移転センターは、必要な装填のtRNAによってシーケンシャルブラウンアクセス用として長く待つ必要はありません。入力動態は好意的に飽和している。nuclionキャップは認定されたコドン伸長を標識し、他の分子による制御を容易にする。イニシエータ又はその近隣によるキャッピングの引き金となって、TC−TLSリンクを阻害する開始tRNAによって翻訳が開始されます。tRNA ribocapsidはまた、加水分解、酵素による攻撃や破損からメッセンジャーRNAを保護し、細胞内や真核細胞内の異なる区画間でメッセージを転送するための車両として働くことができる。これらの洞察が、本発明のいくつかの実施形態の基礎を形成する。
【0126】
イニシエータnuclions
隣接ribocapsid tRNA間のTC−TLSリンクの中心的役割は、メッセンジャーRNA上の開始コドンを標識するためのtRNA nuclionのための天然のメカニズムを提供したことである。このようなnuclionは、本申請で’イニシエータnuclion’を指す。イニシエータtRNAは、tRNAをnuclionのキャップ位置に強要し、そしてタンパク質合成を開始させるためのリボソームのためにribocapsidフラグを提供するように、mRNA上のそれらの5’及び3’近隣と2つのTC−TLSリンクのいずれかを阻害するように進化してきてきた。
図18と
図19の模式図に示すように、2つのリンク阻害方向が進化の過程で可能だった:開始tRNAの上流又は下流、それがそれぞれ、その5’又は3’近隣に向かっています。これらのブロッキングの方向のいずれか又は両方が本発明のいくつかの実施形態で使用される。
【0127】
細菌や真核生物の細胞小器官の関連で利用されている上流のブロック(
図18を参照)は、上流のtRNAとの接続を防止するために、開始tRNAにアミノアシル化TCテールの修飾を必要とし、それによって開始tRNAを強制的にR−キャップの位置を形成する。得られた細菌イニシエーターnuclionはタンパク質合成の開始コドンを標識する。細菌におけるこのタイプの開始tRNAでは、ホルミル基は、このTCサイトの上流の隣接tRNAのTLSへの結合を阻害するために、CCAテイル部にメチオニンに装着されている。このホルミル化の更なる利点は、開始tRNAのアミノアシル化リンケージを安定することです。開始tRNAが最も5’のribocapsidサブユニットであるため、この結合は暴露され、通常のribocapsid結合による保護されない。
【0128】
これとは対照的に、真核生物の細胞質イニシエータtRNAを利用した下流のブロックは(
図19に示すように)、3’隣接−tRNAのCT結合を阻害するために、イニシエータTLSサイトへの修飾を採用し、このことから、この下流の近隣をキャップ位置に強制し、真核生物のイニシエーターnuclionを生成する。
【0129】
これらnuclionの開始メカニズムは、2種類のリンクブロックのために異なるキャッピング成果を生成する。上流のブロックで、イニシエーターnuclionのキャップは、mRNA上の開始コドンを占有する開始tRNA自体です。下流のブロックでは、しかし、イニシエータnuclion上のキャップは、イニシエータtRNAではなく、その3’近隣で開始コドンが空く。イニシエータnuclions間のこの区別は、細菌や真核生物間のリボソーム翻訳開始において観察された差異と一致している。細菌のリボソームが占有開始コドンで直接翻訳開始するのに対し、真核生物のリボソームはイニシエータtRNAを含む複合体を開始コドンから離れて最初に形成し、次にリボソーム複合体が開放された開始コドンを探してmRNAを精査する。翻訳される第2コドン上のR−tRNA nuclionキャップのついて翻訳開始部位の標識する真核生物は、精査するリボソームのために顕著な標的を提供し、上流コドンの認識又は予備フレームの登録の必要性を減少させる。Nuclion翻訳開始機構におけるこれらの相違は、細菌や関連する真核生物の細胞小器官におけるメッセンジャーRNAは、一般にポリシストロン(つまり、複数の翻訳領域を持つ、又は’ORF’)で、一方、真核生物(動物と人間を含む)の細胞質のほとんどのmRNAがモノシストロン(1ORFを持つ)であるという事実と一致している。細菌では、真核生物におけるリボソームは通常、mRNAの5 ’末端に単に付着するのに対し、リボソームは、複数のnuclion構造によってフラグが立てられた複数の開始コドンでmRNAに結合することができます。本発明の一実施形態では、我々のコンピュータのモデル研究は、真核生物における種のウイルスは、mRNAの途中でnuclion開始信号を模擬実験とこれら内部リボソーム進入部位(“IRES“)への直接のリボソーム誘致により、これらnuclionフラグ制御システムを迂回する方法を学んできたことを示している。
【0130】
すべての生物領域では、センスコドン上(1つのR形に4つのS形を加えた)の5つの下流の修飾されたtRNAのtRNA nuclion構造は、少なくとも15の連続した、積み上げられた標準RNA塩基対の精度で優れたコドンフレームの登録を提供している。プレ修飾、装填tRNAのキャッシュは、アミノアシル化tRNAの体系化され物品の構築とそれらの合成の加速により、リボソームの効率的な運用のためにも重要である。真核生物は、感染を阻止するために、選択的優位性として細菌とは異なる開始tRNAリンクブロッキング戦略を進化させてきた可能性がある。それにもかかわらず、nuclion形成のための厳しい立体要件は、nuclionのRNAらせんの物理と化学に牽引され、根本的なtRNAの形状が保持されなければならなかったことを意味した。
【0131】
nuclionsによるタンパク質合成
tRNAのリンクサイトにおけるヌクレオシドの我々の研究は、位置54及び55両方で(この始原的なtRNAのリンクサイトを“PLS“と名付ける)プソイドウリジンヌクレオシドを含む始原TLSと共に、リボソームの出現前に現代のnuclionsの先祖がタンパク質合成を行ったことを示す。プソイドウリジンは、タンパク質なし(それはウリジンから異性化)でRNAにより確実に合成されうる唯一の修飾ヌクレオシドであり、ペプチジル転移でプソイドウリジンの早期かつ重要な役割のための支援の理論的根拠を提供している。例えば、TLSをその先祖のPLSの構成に先祖返りする現代のtRNAの変化はオフリボソームペプチジル転移を誘起することができるので、初期進化にあるこの洞察は、現代医学と本発明のいくつかの実施形態に関連しています。このような不要なタンパク質合成は細胞制御の撹乱をもたらし、そして特定の状況において、制御されない細胞増殖や癌などの関連疾患を引き起こしえる。本発明のいくつかの実施形態では、nuclionsによるタンパク質合成の起源を理解は、リボソームの可用前に、産業応用の範囲のためのnuclionsとribocapsidsを設計、製造及び使用する当業者を支援する。
【0132】
排他的なRNA世界(The RNA World by Gesteland et al., Cold Spring Harbor Monograph Series, Third Edition, 2005)から地球上の生命を、タンパク質への核酸の翻訳に基づいている我々の現在の生物圏に移行したイベントの重要な配列は、以下のように折り畳まれいた可能性が高い(以下の説明が正確かどうかということは、本発明の実施形態の性質、範囲又は有用性に与える影響はありません)。
【0133】
RNA世界では、分子は無秩序に複製され、相補的ないくつかの部分で、プラスRNA鎖とマイナスRNA鎖の複雑な混合物を齎した。それらは速やかに分解されており、そこで、選択圧がより良い環境に耐えるように二次その後三次構造を持つRNAを齎した。分子は偶然の交換で結合した。次に、ribocapsidで自身の包囲と複製の両方を行える現代的なトランスファーRNA(Bernhardt et al., 2010, Biology Direct, 5:16)、より大きなRNAに2つのヘアピン構造は融合された。Nuclionsは世界に入っていた。
【0134】
その後、1RNAの子孫の異常高次構造は、3’−隣接RNAのアデノシンの結合でribocapsid安定性を高めたプソイドウリジンに異性化するU55の原因となった。そこにこの時点では細胞はなかったが、それにもかかわらず、特殊化は起きた。RNA分子の混合物の中では、相補性を維持しながら、プラス鎖とマイナス鎖は異なるが相乗スキルを開発した。マイナス鎖のプラス鎖への無限転写は継続し、その逆も同様であった。ribocapsidsによって現在もたらされる強化された保護とともに、nuclionのコアにあるプラスRNA鎖は徐々に伸長した。これは、新たに形成されたマイナス鎖を切断し複数のribocapsid RNAセグメントにするリボザイム活性に依存した。
【0135】
各長、コアプラスRNA鎖は、アミノ酸の任意の先見欲求ではなく、RNAのヘリックスの立体化学とnuclion熱力学によって駆動されて、トリプレットのペアでいくつかの短いマイナス鎖を結合した。すべての3つのnuclion高次構造は、Tの圧縮でSついでRでキャッピング、という所定の一連の方法で形成された。R−CAPは、進化のこの段階で、ribocapsid RNAの最低エネルギー状態であったので、一度も形成を動かさなかった。彼らは安定性が増加するにつれて、これらの部分的なRS構造がnuclionsに選択的優位性を与えた。 ribocapsid RNAは、すべてが1つのコアストランドによってプログラムされた場合でも、徐々に異なる特性を進化させた。
【0136】
プラス鎖RNAはすぐにいくつかのマイナス鎖RNAがribocapsidのさまざまな場所で、他のものより優れていたことを学んだ。未発達の遺伝コードは、3つのribocapsid結合ヌクレオシドの単に1つ又は2つを使用して、ribocapsid結合を計画通りに進めるために、このコアのRNA上に出現した。ダーウィン生存圧力は、現代のtRNA前駆体であり、複数のribocapsid RNAを計画したより洗練されたコードにつながったが、まだアミノ酸で装填されていなかった。nuclionsは、多くの構造を示すようになった。内部ribocapsid RNA結合の阻害を計画通りに進めることで、はっきりと異なるがリンクされたnuclionセグメントは高次構造に組み立てることができた。始原的な遺伝子及び翻訳開始力学は進化し始めていた。それにもかかわらず、第一nuclionゲノムの主要な役割は、ribocapsid RNAの仕様及び会合であり、アミノ酸ではなく、タンパク質を別の話であった。
【0137】
これらの初期のnuclionsはそれらのRNAゲノムを保護し、その後、豊富なアミノ酸がribocapsid RNAの3 ’末端に無秩序に結合した海洋表面のような場所にそれらを輸送した。彼らの子孫は、アミノ酸でそのribocapsidsを有用に飾り、そして、後で、個々のribocapsid RNAに特異的なアミノ酸を招く方法を学びました。時間の経過ともに、nuclionゲノムの部分は、nuclionの整合性、生存と複製へのアミノ酸の増加の貢献を認識し、ribocapsid RNAの計画利用から、それらのRNAに付着したアミノ酸の計画利用へ論理的に移行した。すべてではありませんがほとんどribocapsid RNAは、アミノ酸のための分子のアダプタの役割に徐々に移行しました。しかし、タンパク質はまだ存在しなかった。
【0138】
その後、先祖tRNAのU54によるプソイドウリジンとnuclionへの異性化は、螺旋エンジンに形質転換した。1つのribocapsidサブユニットから次へと連続するアミノ酸の転移を触媒した繰り返しキャッピングをしながら、nuclionはRNAゲノムに沿って移動を開始しました。当初、結果生じるペプチド中のアミノ酸の混合はカプシドアミノ酸のことを受動的に反映している。これらの初期のポリペプチドは、何らかの生化学的な利用性は僅かであったが、それらの電気化学及び新規構造がribocapsid安定性とnuclion熱力学を改善しました。自由エネルギーの増加を必要とせずにすべてが、このRNAらせんエンジンを駆動するために追加の燃料として、海の表面のような場所でアミノアシル化から齎された。タンパク質合成は生まれていた。
【0139】
分子進化のこの要点として、唯一の生命体は、1つ以上のribocapsid内に単一のRNA分子を含むnuclionsあった。RNAゲノムは、ribocapsid RNAをてるためのすべてのデータ、それらを製造するためのリボザイム活性、及びそれらを会合するためのプログラムを含んでいた。nuclionsは何百万年もよく働いたが、それらのRNA成分を分散する傾向があったブラウン運動によって最終的には制限されてた。コンパートメントが必要となった。当初は、軽石の小さな穴が足りていた可能性があり、あるいはペプチドの装飾は海での溶液表面にnuclionを保持した。任意のイベントでは、RNAゲノムは、新しい家を必要とした。
【0140】
最初に計画利用されたタンパク質はおそらく、βシートの糊を作り、ブラウンの移行を低減するためにグリシン、アラニンなどのアミノ酸が豊富シンプルな繰り返しのポリマーである。後で、この便利な接着剤は、より良い地域環境を制約するために、より洗練された構造タンパク質、ケラチンの祖先へと進化した。ずっと後に、タンパク質酵素が進化し、それは、最初に、タンパク質の接着剤により抑制された高分子上で唯一の動作した可能性があった。最終的には、生の細胞は小分子の移動を減らし、進化酵素によってそれらの生化学的変換を可能にするために発展した。
【0141】
nuclionにおけるRNAゲノムは、リボザイムサービスを提供し続けている間、複製、翻訳、制御に必要な全ての情報を正確に維持するには、今や肥大化し不器用になっていた。いったんその新しい細胞の家に移動していた、この先駆的な分子は、他の人が行うことができる外注活動を開始した。第一リボソームを形成するために2つのribocapsid RNAは融合した(現代のリボソームのペプチジル移転センターにおけるRNA配列の我々の分析が示していることは、このPTCは2つのtRNAのようなP−ループから進化し、AとPサイトにおけるtRNAのCCAテイルを整列するのに役立っていることである)。その後、すべてのプログラムやデータは、RNAゲノムがメッセンジャーRNAの役割を引き受けるとすぐに、再現と保存の点で卓越したDNAと名付ける新しい分子上に複写された。タンパク質及び他のRNAは、構造と触媒作業を分割し続け、その時々に協力した。今、私たちは生物圏でそれを知っているように生命は進化し始めていた。
【0142】
本発明の一実施形態では、
図20Aは、先祖の、異常な、現代的な、又は非天然なnuclionの5’末端の3つの相互作用しているtRNAによるペプチジル転移のコンピュータモデルであり、少なくともキャッピングtRNA T1が、位置54と55に2つの プソイドウリジンを含む始原的タイプTLSサイト(’PLS’)を持つことを特徴とする。
図20Bは
図3Bで定義されている略語を使用して、
図20Aのヌクレオチドにカラーキーを提供しているしている。
【0143】
tRNA1キャップのこのPLSはnuclion軸に近く、これは、次の二つのtRNA(tRNA2及びt−RNA3)上のCCAコネクターが、タンパク質合成のためこのnuclionの5’末端を構成し、tRNA1のPLSに同時に結合することができるようにすることによる。別の実施形態では、
図21の模式図に一致し、結果生じるペプチジル移転センター(’PTC’)以下のとおり作動する(’左’と’右’はtRNA1上のアミノアシル化ステムからのPLSの眺望、アンチコドンは下方)。
1.tRNA1はnuclion軸の近傍にPLSを配置しているnuclionをキャップ;
2.tRNA2上のCCA−ペプチドは、PLSの左側に結合する;
3.tRNA3上のCCA−アミノ酸は、PLSの右側に結合する;
4.成長しているペプチドはtRNA2からtRNA3上のアミノ酸に転送;
5.ペプチドの接続されていないtRNA2はtRNA1に置換;
6.tRNA1はnuclionを退場させる;及び
7.キャップとしてのtRNA2と共に、このサイクルの繰り返し(tRNA番号は1刻みで増加)。
【0144】
一実施形態では、
図22は、
図21の模式図に対応した始原的な(又は異常な現代)nuclionによるタンパク質合成のコンピューター・モデルである。この過程を駆動するエネルギーはnuclion遷移の熱力学駆動に由来し、高エネルギーの連続放出が連結しているアミノ酸をtRNAに結合させる。得られたポリペプチド鎖は、実質的にnuclionと同軸になり、タンパク質のα−ヘリックス(100°)で1アミノ酸辺りのヘリックスターンは(おそらく偶然ではない)は、nuclion(〜98°)にある各々のSとT形tRNAの場合と実質的に同様であった。従って、mRNA又はタンパク質成長上のいかなるねじりストレスに対応して、nuclion駆動のペプチジル転移は最小限に進むことができる。
【0145】
一実施形態では、
図23Aは始原的な(又は現代的な異常)nuclionにあるペプチジル移転センターのコンピュータモデルであり、R−キャップtRNA1上のPLSの左側には、成長中のポリペプチド鎖PPを持つtRNA2のCCAテールを結合し、及びtRNA1上のPLSの右側には、次のアミノ酸AAを持つ tRNA3のCCAテールの結合を示している。
図23Bは、
図3Bで定義されている略語を使用して
図23Aのヌクレオチドにカラーキーを提供している。特定のヌクレオシド間で丸端を持つ黒線は、ペプチジル伝達に寄与する分子間相互作用のいくつかを示している。この表の列は、3つのtRNAのどのヌクレオシドが、L0からL5と標識された6活性部位層に整列するかを示している。
【0146】
すべての3つのtRNAのアンチコドンは、依然としてそれぞれの対応コドンに標準形に結合するため、これらの3つのコドン−アンチコドン対は完全にコアnuclionヘリックスの密接グリップ内でお互いに積み重ねたままであった。tRNA3とtRNA2がtRNA1へ結合するとき、他のtRNA3を持つTC−TLSのリンクは切断される。RNA1 PLSで保存された9つのGSP90ヌクレオシドは、連続した5層L1からL5に積層されている。酵母tRNA
Pheの例では、第1層は、tRNA2のアミノ酸ステムに積み重ねることができる裸のワトソン−クリック塩基対C56−G19を含有し、PLSにある第2層は、レイヤます70Sリボソームにある保存されたアデノシンA2602に類似していて、ペプチジル転移で触媒的に作用するプリンR57を保存する。PLSにある第3層は、フーグスティーン構造にあるG18により結合したユビキタスなP55であり、第4層はフーグスティーン構造ごとのA58に結合したP54である。そのPLSを束ねる第5層は、別のワトソン・クリックのペアのG53−C31、である。
【0147】
一実施形態では、
図24Aは、tRNA1にあるプソイドウリジンステムの方向から見た図面で、3つのtRNAによって形成された第4次複合体のレベル3とレベル4にある6つのヌクレオシドを示している。tRNA2とtRNA3がtRNA1へ結合する時、3’−末端アデノシン(A76)は、P54及びP55にそれぞれ結合する。楕円の’反応’の標識は、アミノアシル化tRNA3におけるアミノ基がペプチジルtRNA2にあるカルボキシル基を攻撃する活性部位を強調している。関連する実施形態では、
図24Bは、tRNA2からtRNA3に成長中のポリペプチド鎖を転送する2つのA76アデノシンヌクレオチド間(PTC上部からの眺め)のペプチジル転移反応の拡大図を示している。楕円で’反応’の標識は、アミノアシル化tRNA3におけるアミノ基がペプチジルtRNA2にあるカルボキシル基を攻撃する活性部位を強調している。
【0148】
図24Cは、
図3Bに定義されている略語を使用している
図24Aと
図24Bのヌクレオチドにカラーキーを提供しているしている。特定のヌクレオシド間の丸端をもつ黒線は、ペプチジル伝達に寄与するL3とL4層における分子間相互作用を示す。
【0149】
この第4次複合体では、P55トリプル塩基対(T1:G18 − T1:P55 − T3:A76)とP54トリプル塩基対(T1:A58 − T1:P 54 − T2:A76)は、tRNA1にある同軸アミノアシル化及びプソイドウリジンステムから双子らせんによって増幅された6つのレベル上の14プラスヌクレオシドの複数鎖のRNA積層の強固なグリップ内で、隣接する第3層と第4層上にそれぞれ積み重ねられる。3つのtRNAの間の水素結合、スタッキング、静電相互作用の実質量は、複合体の形成を駆動する。この四次構造では、3つのtRNAはペプチジル転移のために正確に整列される。アミノアシル化tRNA3のアミノ基はペプチジルtRNA2内にカルボキシル基を常に攻撃できる。P54〜P55を含むPLSの装備により、先祖nuclionにおけるtRNAリボザイムは、タンパク質又はリボソームなしで、基質としてのtRNAの同胞と、タンパク質合成が可能であった。
【0150】
ほとんどの正常な現代のtRNAのTLSでは、現代の細胞には非リボソームタンパク質の合成が望ましくないものとして、位置54でプソイドウリジンは、ペプチジル転移(
図25A参照)に必要なtRNA2におけるA76の結合を阻害するリボシルチミンに置き換えられる。
図25Bは、
図3Bで定義されている略語を使用して
図25Aのヌクレオチドにカラーキーを提供しているしている。
【0151】
一実施形態では、
図25Cは、T1によるT2の結合を誘起できる、先祖PLS構成にあるP54により可能なトリプル塩基構造を示す。
図25Dは、
図3で定義されている略語を使用している
図25Cのヌクレオチドにカラーキーを提供している。丸端をもつ黒線は、分子間塩基対形成を示す。
【0152】
現在までに報告されたP54〜P55構築を有するトランスファーRNA配列は、トリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)に及びに感染したニワトリの細胞からのtRNA
Trp(Hu et al., 1983, Nucleic Acids Res., 11:4823)、そしてマウス白血病ウイルス(MLV)に感染したマウス細胞からtRNA
Pro((Harada et al., 1979, J. Biol. Chem., 254:0979)を含むが、これらに限定されない。これらのウイルスはいずれも、レトロウイルスである。
【0153】
図26は、nuclionオペレーションのための制御ロジックの表であり、関連したり結果として生じるnuclion条件と共にtRNA T(N)の位置54及び55におけるヌクレオシドによって部分的に駆動される左右のTLSサイトの状態を要約したものある。T(N−1)はtRNA(N)のすぐ上流に隣接するtRNAに言及し、T(N+1)はtRNA(N)のすぐ下流に隣接したtRNAを指します。tRNA(N+2)はtRNA(N+1)のすぐ下流のtRNAです。いくつかの実施形態では、このnuclionロジック・テーブルは、新しいバイオ医薬品の製品やサービスの設計、開発、製造、導入及び使用するために採用される。
【0154】
TLS調節
いくつかの実施形態では、天然及び非天然化合物は、特定のnuclion構造と活動のアゴニスト又はアンタゴニストとして作動できる、とりわけnuclion形成を変更するためであり、関連する生物学的効果を調節し、nuclion媒介医学的障害を治療するためである。 これらの化合物は、又はTLSとTC構造の両方あるいはその一方にあるnuclion標的あるいはそのような構造のサブセットへ結合するため、あるいは競合するようにに設計されるかもしれない。
【0155】
ペプチジル転移のためのオリジナルのリボザイムサイトとしての役割において、tRNA1キャップ上の先祖のPLSのサイトでは、主にその左側にtRNA2のCCAテイル(成長中のポリペプチド鎖を持つ)を結合でき、一方、主にその右側にtRNA3のCCAテイル(次のアミノ酸)を結合できた。TLSの右側が現在通常で使用されているように、ribocapsidにある隣接tRNA分子間の通例のリンクのために、PLSの右側も使用されていた。隣接ribocapsid tRNAを結合するのTLS−TCの相互作用の重要な能力は、私たちの生物圏全体で8つのGSP90ヌクレオシドの実質的な保存を説明している。70Sリボソームにおける23S RNA上ペプチジル転移サイトを持つこのtRNAはサブ構造の比較は、nuclionsは初期進化でタンパク質合成を行った際に、tRNA中の保存されたプリンR57はペプチジル転移のための触媒として役目を果たしていたことを示す。リボソームA2602と同様に、このプリンは水素結合していないが、もともと2つの他のtRNAから2つのA76sを保持するために進化したRNAヘリックス内に戦略的に位置している。突出しているリボソームA2602とは対照的に、しかし、tRNAの結晶構造に見られるR57は、その親らせん内に積層されている。
【0156】
一実施形態では、我々のコンピュータ・モデリング研究は、通常の現代nuclion形成において、ribocapsid tRNAの3’A76は5’−隣接tRNAのTLSの右側にあるP55に結合することを示しているが、本研究は3’−隣接tRNAからC74とC75を結合するための開放TLSサイトを同定してなかった。TLSでのG18とG19はC74−C75の近傍にあるが、現在までに報告されたtRNAの結晶構造その全てが実質的に結晶化のためのポリアミンでは少なくとも、それ以外はTLS−積み重ね結合に従事している。それは、これらのポリアミンが、始原的なタンパク質合成におけるT2結合のために展示したものと同様の立体構造にTLSサイトを固定している可能性があり、それより、TLSの現代ribocapsid形T2結合を阻害している。
【0157】
TLSサイトのこのポリアミン固定の証拠は、tRNA結晶化のために通常必要とされるポリアミンの一つ、スペルミンを用いたtRNAの結晶のX線構造解析に起因する(Dock e al., 1984, Biochem., 66:179)。
図27Aは、TLS の左側から見たときの酵母tRNA
Pheについて報告された高分解能構造によるスペルミン結合部位を示している(Jovine et al., 2000, J. Mol. Biol. 301:401)。
図27Bは、TLSの端から見た時と同じ構造。
【0158】
スペルミンは、TLSの高次構造ロックに一致して、tRNAリンクサイトの左側のヌクレオシドT54とP55によって大部分が結合されている。報告された溶液中でのtRNAエルボー領域の柔軟性を考えると、そのような高次構造ロックはtRNAの結晶化に不可欠であるかもしれない。そのようなポリアミンのロックの一つの予期せぬ結果は、ribocapsid形成で通常用いられるTLSの右側の歪みである。TLSはtRNAの結晶構造では見られない1つ以上の代替高次構造があり、それは3’隣接でtRNAでTLSのG18とG19はC75とC74にそれぞれ結合し、70SリボソームにおけるA2602観察されたものと類似したR57の付随突起を伴っている。この洞察は、スペルミンようなポリアミンがribocapsid形成を阻害し、実験試薬内でのこれまで広く普及した封入(’RNAを安定させるために’)が、おそらくnuclionsの発見遅らせたことを示唆している。本発明のいくつかの実施形態で、一定の製造ソリューション、反応混合物からポリアミンは具体的に除外されます。
【0159】
Nuclion標的
本発明のいくつかの実施形態は、nuclionの前記1つ以上の成分の少なくとも一部に結合する化合物に前記nuclionを会合させることでnuclionを解離するための方法に関連している。さらなる実施形態では、そのような化合物の1つ以上を結合するnuclionサブ構造は、nuclion標的です。さらなる実施形態において、nuclions及び本書面中に記載のようにして製造された関連構造は、nuclion標的に結合する化合物をスクリーニングするために使用することができる。いくつかの実施形態では、nuclion構造と活動のアゴニスト又はアンタゴニストとして作動できる化合物は、標的となったnuclionに組み込またnuclion成分以外のnuclion成分である。
【0160】
本発明のいくつかの実施形態では、前記の構造、機能又は活動の上、阻害、促進、装填、調節又は構造、機能、nuclionの活性の阻害に作動可能に関連付けられたnuclionサブ構造を含むnuclion標的に関連しており、(i)nuclionサブ構造が一定のnuclion構造、その成分、又はそのような成分の任意の組み合わせの部分を含み、且つ(ii)構造の一定の部分は、一次構造、二次構造、三次構造、四次構造、R形構造、S形構造、T形構造、この群のいずれか2つ以上の構成要素の組み合わせ、この群の任意の2つ以上の構成要素の混成、から形成された群から選択される、ことを特徴とする。さらなる実施形態において、nuclion標的は、自然から単離されたnuclion標的、精製されたnuclion標的、増幅されたnuclion標的、細胞成分から分離されたnuclion標的、実質的に他のnuclion構造のないnuclion標的、他のnuclion構造から抽出されたnuclion標的、他のnuclion構造から区別されたnuclion標的、この群のいずれか2つ以上の構成要素の組み合わせにおいては、自然に起こりえないnuclion標的を包含する郡から選択される。
【0161】
一態様では、nuclion標的は、基本nuclion、エンベロープnuclion、イニシエーターnuclion、tRNA nuclion、エンベロープtRNA nuclion、正常nuclion、異常nuclion、復帰nuclion、変異nuclion、始原的なnuclion、天然nuclion、非天然nuclion、古nuclion、細菌nuclion、ウイルスnuclion、プラスミドnuclion、真核nuclion、細胞質nuclion、プラスチドnuclion、ミトコンドリアnuclion、tRNA nuclion、エンベロープtRNA nuclion、この群のいずれか2つ以上の構成要素の組み合わせ、この群の任意の2つ以上の構成要素の混成、から形成された群から選択、からなる群から選ばれたnuclion内又はnuclion上に位置している。
【0162】
別の態様において、全体、一部あるいは複数の部分でのnuclion標的は、部品は、全体、部分又は接続サイト、リンクサイト、tRNAコネクタ、tRNAリンクサイト、アンチコドン、コドン、リンクサイトに結合した、tRNAネクタサイトとtRNAリンクサイトの相互束ね、アンチコドンとコドンの相互束ね、コネクタサイトとそれが結合するコア核酸構造、tRNAのコネクタとそれが結合するmRNA構造、tRNAコネクタ及びそれが結合するmRNA開始構造、tRNAコネクタとそれが結合するmRNA上のシャインダルガーノ構造、tRNAのコネクタとそれが結合するコザック構造、リンクサイトとそれが結合するコア核酸構造、tRNAリンクサイトとそれが結合するmRNA構造、tRNAのリンクサイトとそれが結合するmRNA開始構造、tRNAリンクサイトととそれが結合するmRNA上のシャインダルガーノ構造、tRNAリンクサイトとそれが結合するmRNA上のコザック構造、プソイドウリジンループ、ループジヒドロウリジン、ジヒドロウリジンループに結合するプソイドウリジンループ、アンチコドンループ、コア核酸に結合するアンチコドンループ、CCAテイル、Pスタック、位置53から位置56までのtRNAヌクレオチドを含むサブ構造、G53−T54−P55−C56ヌクレオチドを含むtRNAのサブ構造、ヌクレオチドG53−P54−P55−C56含むtRNAサブ構造、ヌクレオチドG53−T54−P55−C56とG18−G19とR57−A58とC61を含むtRNAサブ構造、tRNAヌクレオチドG53−P54−P55−C56とG18−G19とR57−A58とC61含むtRNAサブ構造、この群の任意の1つ以上の構成要素の相同体、この群のいずれか2つ以上の組み合わせ、そしてこの群のいずれか2つ以上の混成、からなる群から選択された、全体、一部あるいは複数の部分構成要素である。
【0163】
別の態様では、nuclionの構造、機能又は活性を、促進、阻害、変更あるいは中断するための手段は、nuclion形成を阻害、nuclion形成の鈍化、nuclion形成の阻止、nuclion形成の可能化、nuclion形成の促進、nuclion破壊の促進、nuclion解離の促進、nuclion解離の加速化、nuclion構造変化、nuclion高次構造の変化、nuclion構造の破壊、nuclion構造の修飾、nuclion成分の変更、一つ以上のnuclion成分の解離、nuclion機能又は活動の阻害、nuclion機能又は活性の亢進、nuclion機能又は活性の下方制御、nuclion機能又は活性の上方制御、nuclion機能又は活性の促進、nuclion機能又は活性の減速、nuclion機能又は活性の妨害、nuclion機能又は活性の遮断、nuclionの機能又は活性の開始、nuclionの機能又は活性の停止、nuclion機能又は活性の調節、nuclion機能又は活性の競合、nuclion機能又は活性の追加、nuclion機能又は活性を削除、nuclionの機能又は活性の変更、nuclion機能又は活性の制御、この群のいずれか2つ以上の組み合わせ、この群のいずれか2つ以上の混成、の群から選択された効果を得るための手段である。
【0164】
別の態様において、nuclionの構造、機能又は活性を、促進、阻害、変更あるいは中断するための上記の手段は、別のnuclion、nuclion成分、物理薬剤、化学薬剤、生物薬剤、抗体、酵素、リボザイム、核酸、アンチセンス化合物、アプタマー、RNA干渉剤、遺伝子薬剤、ワクチン、外来エージェント、ウイルス、医薬品、治療薬、予防薬、診断薬、この群のいずれか2つ以上の組み合わせで、この群のいずれか2つ以上の混成、からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、本発明は、nuclion又は本書面上でに記載された関連する構造体を合成することにより、本書面上でに記載されたnuclion標的をスクリーンするための方法に関しており、天然及び非天然のライブラリから1つ又はそれ以上の化合物を持つnuclion又は関連する構造体を接触させて、そして、nuclion又は関連する構造体の活性と構造の両方又はいずれか一方に結合し調節する化合物を同定することである。具体的には、この方法は、nuclionの構造、機能又は活動を促進、阻害、変更あるいは中断するための化合物をスクリーニングするために実施することができる。さらなる実施形態において、この方法は、生体の天然nuclionの構造、機能又は活動を促進、阻害、変更あるいは中断するため、天然及び非天然nuclion成分をスクリーンするためににin vitroで実施することができる。例えば、本書面に記載したnuclion又は関連する構造の合成は、in vitroで適切なnuclion成分と接触させたときに、nuclion又は関連構造物の構造高次構造は破壊され、nuclion又は関連する構造の機能又は活性の変化をもたらす。
【0165】
nuclionsに結合する伸長因子
細菌の伸長因子EF−Tuとその真核生物の対応するeEF1Aは通常、タンパク質合成のためのリボソーム(Mateyak et al., 2010, J. Biol. Chem., 285:21209)にアミノアシル化tRNAを伝達する。一実施形態では、当社のコンピュータ・モデリング研究は、nuclion倉庫からリボソーム工場へのアミノアシル化tRNAの輸送に一貫性があり、これらの伸長因子はあらかじめ定義された条件下で特定のtRNA nuclionsに結合することを示している。これらの伸長因子もnuclion形成の速度と種類の制御と抑制で重要な役割を果たしています。その表面に結合した1つ以上の伸長因子を持つnuclionは、本発明のいくつかの実施形態によって教示された’エンベロープ状のnuclion“の一例であり、結果生じる伸長因子分子のコートは、他の実施形態によって教示された“nuclionエンベロープ“の一例です。
【0166】
一実施形態では、
図28は、nuclionにあるコア核酸ribocapsidの周りにタンパク質キャプシドを生成している、T形nuclionの12個のtRNAに結合した12個のEF−Tu分子(E1からE12標識が付いたもの)のコンピューター・モデルを示している。T12はE12が結合するtRNA12を示しています。コンピュータ研究では、下流が(mRNAの3’末端方向で)を正方向でした場合に、各々のEF−Tu(N)はEF−Tu(N+4)にも結合しうることを示した。T−形nuclionに結合したEF−Tu分子の数に明らかな幾何学的な制限はない(実際には、熱力学的因子が数を制限するが)。これとは対照的に、最大4つのEF−Tu分子がS−形nuclionにぴたりと結合しているかもしれませんが(
図29)、しかし原因のEF−Tu(N)と入来するEF−Tu(N+4)間の干渉のために、実質的にそれ以上はない。 S−nuclionsにおけるEF−Tuに対するこの立体化学結合制限は、別の実施形態でのコンピュータモデリング研究で既に前述した、S−ribocapsidにある4つのtRNAの限界と一致している。
【0167】
一実施形態では、EF−Tuが各々のアミノアシル化tRNAをnuclionから苦労して引き出すメカニズムのコンピュータモデルが
図30A、
図30B、
図30C及び
図30Dに示されている。
図30A及び
図30Bモデルは、結合前の高次構造を示しており、
図30Cと
図30Dモデルは、結合後の構成を示している。これらのモデルは、2WRNに報告されたようにtRNA
Thrを持つEF−Tu複合体の結晶構造を利用していて(Schmeing et al., 2009, Science, 326[5953]:688)、前述したS形nuclion形式にある3’tRNAのそれを持つtRNA
Thrのアミノ酸ステムを整列させている。この結合前のモデルでは、tRNA
Thrは隠されており、結合後のモデルではtRNA
Pheが隠されている。
【0168】
EF−Tu分子は、その機能に一貫して、nuclionの外側表面上に完全に位置しています。EF−TuがnuclionからtRNAを苦労して引き出すときに、同時にそのmRNAコドンからtRNAのアンチコドンを除去しながら、上流のtRNAでTLSからアミノアシル化CCAを退縮させる(
図30C及び
図30D)。tRNAに付着したEF−Tu分子が、nuclionに同時に結合する複数のEF−Tu分子を考慮して、同族tRNAのTLSに著しく侵害しない。
【0169】
一実施形態では、我々のコンピュータの研究は、EF−Tuが、カップnuclionを整理して終了するために、そして前述した関連した潜在的に負の影響を持つ非リボソーム系のタンパク質合成を阻害するために、第二tRNA結合部位を有することを示している。
図31A、
図31Bと
図31Cは、の同じnuclion上の2つのEF−Tu分子間に挟まれたR−tRNAキャップに関するコンピュータモデルでnuclion軸に平行な視線で図示されています。
図31Aは、4つのEF−Tu分子(EF−Tu2からEF−Tu5)がS−形nuclionにおけるその4つの同族tRNAへの結合を示す。
図31Bは、R−tRNAのキャップ(T1)の次の構造体への追加を示す。つまり、EF−Tu4(E4)の裂に位置するこのtRNAキャップからCCA−AAテールがtRNA4に付着した構造。最初に報告されたEF−Tu上の結合部位とは対照的に、この第2の部位はtRNA1のアミノアシル化ステムの右側に結合し、tRNA1に対して、EF−Tu1とEF−Tu4間に強固に挟まれることを可能にする(
図31C)。
図32A、
図32B、
図32Cは、
図31A、
図31Bと
図31Cの3の構造に対応し、nuclion軸上の5’方向によるこれらの同じ四次構造の3つの図である。nuclion持つこれらのEF−Tuの四次構造は、報告されたEF−Tuの構造及び機能と互換性があり、また始原的なnuclionを取り巻くタンパク質カプシドとしてEF−Tuの先祖代々の役割と一致している。キャッピングtRNAを取り囲むEF−Tu分子の付加的な利点は、それらがこのキャッピングtRNAのアミノ酸とCCAテイルの間で不安定なアミノアシル化結合を保護し、安定させることである。そのような保護(及びそのようなシャインダルガーノ配列などの開始構造の相互作用の非存在下)の非存在下では、最初の(ほとんど5’)tRNA上のアミノアシル化結合は暴露されたり加水分解を受けやすいが、S−形nuclionにある別のアシル化tRNAがTLS結合により保護されている。
【0170】
tRNAと伸長因子EF−Tuは(又は真核生物におけるeEF1Aに相当する分子)の両方の濃度は、細胞内の非常に高いです。tRNAは、細胞内で最も頻度の高いRNA分子の一つであり、リボソームRNAについで通常は2番目に多い。大腸菌ではEF−Tuの頻度は高く、翻訳機構の他の重要なタンパク質成分よりも大幅になモル過剰で、全細胞タンパク質の5−10%を占めている。tRNA nuclionsがEF−Tu(規定では、又はeEF1A)を結合できることを考えると、生体内のnuclionsのほとんどは、細胞内でのEF−Tu(又はeEF1A、規定では)でコーティングされ、エンベロープnuclionsの例を提供してる。ほとんどのnuclionsが正常に伸長因子タンパク質でコーティングされているという事実は、本発明のいくつかの実施形態によれば、それらが天然の供給源から単離される方法に影響を与える。そのような精製されるエンベロープnuclionsに対して、当業者に知られている穏やかな方法がribocapsidにこのタンパク質コートの結合を保持するために採用されなければならない。
【0171】
いくつかの実施形態では、nuclionの会合は、根本的なメッセンジャーRNAに相対して結果生じる四次構造の集合体の分子量が著名に増大する。例えば、約500から600ヌクレオチド長辺りの成熟真核メッセンジャーRNAは、約170,000万の分子量を持つことができる。典型的なtRNA分子は25,000〜30,000の範囲の分子量を有する。一実施形態では、5つのtRNA分子が小さいnuclionを形成するために、このmRNA(RとS−高次構造の場合)に追加された時、結果として生じるnuclionの集合分子量は約300,000である。5つのeEF1A分子の伸長因子コートがこのnuclionに適用される場合、抽出されたエンベロープnuclionは500,000を超える分子量の集合体である。いくつかの実施形態では、これらの四次構造の明確な物理的、化学的、電気的性質と共に、集合体の分子量におけるこの著名な差は、他の材料からnuclionsとエンベロープnuclionsを単離し、精製するために活用されます。
【0172】
Nuclion対称性
いくつかの実施形態では、nuclionの対称性の程度とタイプは、そのribocapsidサブユニットが編成されていた方法でかつ程度を反映している。いくつかの実施形態では、nuclionでのribocapsidサブユニットが対称に配置されており、このようなnuclionは’対称性nuclion’と称される。他の実施形態では、Nuclionでのribocapsidサブユニットが対称なく配置されており、そのようなnuclionは“非対称nuclion’と称される。いくつかの実施形態では、nuclionが対称に配置されたいくつかのribocapsidサブユニットと非対称に配置されたいくつかのribocapsidサブユニットを含み、そのようなnuclionは’部分的対称性nuclion’と称される。いくつかの実施形態では、nuclionは、1つ以上のタイプの対称性を持つribocapsidサブユニットを含み、そのようなnuclionを“混合対称性nuclion’と称される。nuclionに配置されたribocapsidサブユニットが、ウイルス(ウイルスについてのセクションを参照)で観察されるようribocapsidサブユニットと実質的に同様な対称性を提示するが、しかしribocapsidサブユニットは、主に核酸であり、一方、ウイルスキャプシドサブユニット(’キャプソメア’)は主にタンパク質である。例えば、本発明のいくつかの実施形態では、tRNA分子を実質的に包含するribocapsidサブユニットは、S形tRNA nuclionに配置され、いくつかの実施形態では、これらのRNAサブユニットはコア核酸を通じて中心軸の周りにらせん対称性を示す特徴がある。比較において、螺旋ウイルス(例えば、タバコモザイクウイルスなど)は、中空管、中心空洞がありうるらせん構造の軸の周りに積み重ねられた実質的に同一のタンパク質キャプソメアから典型的に構成されている。しかしながら、このようなウイルスでは、ウイルス核酸が必ずしもこのチューブに含まれているとは限らない。言い換えれば、対称の同一又は類似の型への本書面上の参考文献は、構造の異なる成分が必ずしも互いに対する同一又は類似の空間的な関係を持っていることを意味するものではありません。
【0173】
異なる種類のnuclion
別の実施形態では、nuclionの異なる種類があります。いくつかの実施形態では、機能的なribocapsidサブユニットの大半のための基本的な要件は、コア核酸と別ribocapsidサブユニットの両方に同時に結合するための手段を持っているということです。実際には、これらの実施形態では、このribocapsidがこれらの役割の両方と互換性がある分子構造と大きさを持つことが必要である。しかしながら、いくつかの実施形態では、ribocapsidサブユニットがトランスファーRNAであることを必要条件とはせず、その構造がトランスファーRNAに類似していることも必要条件とはならない。現代のトランスファーRNAは、基本的なnuclion形成の要件を実質的に超えて複数の役割を果たすように進化してきたので、tRNAはnuclion形成に必須でない特定の特殊な属性と関連する構造的な要素を持っている。さらに、いくつかの実施形態では、nuclion形成にとって、ribocapsidサブユニットが同じ螺旋方向で積み重なることも、天然なトランスファーRNA分子のようにまた同じ5’から3’方向へ、積み重なることも必須ではない。いくつかの実施形態では、ribocapsidサブユニットが、tRNA分子よりも小さいても又は大きくても良く、さらにtRNAが実質的に異なる形状を有することができる。いくつかの実施形態では、ribocapsidサブユニット(ribocapsid単位N)が隣接ribocapsidサブユニット(N+1とN−1の両方又はいずれか一方)に特異的に結合するが間に、他の実施形態でのribocapsidサブユニットが非隣接ribocapsidサブユニット(例:N+2とN−2両方又はいずれか一方。N+3とN−3両方又はいずれか一方など)に結合する。
【0174】
いくつかの実施形態では、アンチコドンとコドンはいずれも、3つのヌクレオチドの長さである。しかし、この長さはnuclion形成のための必要条件ではない。特定の実施形態では、アンチコドンとコドンの長さは3ヌクレオチド以上もあればそれ以下もある(例えば、4つのヌクレオチド)。さらに、いくつかの実施形態では、それはアンチコドンとコドンは天然のヌクレオチドの構成が必要条件ではない。実際、いくつかの実施形態では、結果得られるnuclions上の特定の望ましい属性を付与するために非天然ヌクレオチドを使用することが望ましい。
【0175】
いくつかの実施形態では、アミノ酸の付加に関わらずリンクサイトはCCAテールです。いくつかの実施形態では、リンクサイトはGTPC配列を含む。しかしながら、これらの構造のどちらもribocapsidサブユニット間のリンクが要件とはならない。いくつかの実施形態では、CCA又はGTPCに実質的に無関係である分子構造はribocapsidサブユニットをリンクするために使用されている。他の実施形態では、サブユニット間のリンクの1つ以上のタイプが同じnuclion内で採用されている。
【0176】
いくつかの実施形態では、ribocapsidサブユニット構造、接続形状、リンク機構、及びコドンの一定の置換:アンチコドン相互作用が、有用な産業用アプリケーションの広範で多量な異なるnuclion構造を生む。
【0177】
データマイニングとコンピュータモデリングのための材料及び方法
本発明のいくつかの実施形態では、このヌクレオシドデータマイニングの研究は、他の実施形態では他のデータベースが使用されているが、ドイツのライプチヒ大学(Juhling et al., 2009, Nucleic Acids Res., 37:D159)によって維持されているtRNAdbデータベースからの情報を使用して実施された。他の実施形態では、配列情報は、遺伝情報に優先して使用されている。これは、遺伝情報が他の実施形態で用いているが、前者が修飾されたヌクレオシドの存在を報告することによる。いくつかの実施形態では、修飾又は未修飾された各ヌクレオシドの情報が別々に分離され、すべてのtRNAの位置での各ヌクレオシドの配列有病率(“SP“)を計算するために、アルゴリズムはMicrosoft Excelで記載された。集合(623)にある配列の総数のパーセントで表示し、特定のtRNAの位置でヌクレオシドの出現回数としてSPは算出された。
【0178】
いくつかの実施形態では、適応可能で利用可能なときに、以下のコホート内で、SPデータは配分されそして分析された:[伸長又はイニシエーター]と[古細菌、細菌、真核生物又はウイルス]と[細胞質やオルガネラ]。すべてのコホートが適切に表現されていない、又は、いくつかのケースでは、まったく表現されていないため、SPの結果は標準化されていなかった。従って、その結果は、tRNAdbデータベースに貢献した配列集団を反映して、コホートによる不均衡な配列表現により、統計的に不可避に偏りがあった。
【0179】
いくつかの実施形態では、コホートによる有病トポグラムは、任意のtRNAの最高解像度を得るために、独立した研究所による結晶研究で決定されていた、酵母tRNA
Pheの構造(PDB:1EHZ)(Shi et al., 2000, RNA, 6:1091)にSPの結果を投影することにより構築された。結晶構造がすべてのコホートでは使用できなかったので、保存された二次構造は、三次構造の保存への指針に利用され、先に述べた例外にすべての対象を用いた。
【0180】
いくつかの実施形態では、この本書面で参照したコンピュータモデリング研究は、他の実施形態で他のソフトウェアが使用されているが、コンピュータプログラムのPyMOLバージョン1.2r3pre(Schrodinger LLC; PyMOL by Surhone et al., VDM Publishing House, 2010)を使用して行った。その酵母tRNA
Pheの構造は、モデルのほとんどのための構造プラットフォームであり、他のtRNAは状況に応じて置換又は追加された。 調査を容易にするために、PyMOLのビルド機能を使用して、アミノ酸がこれらtRNAに時には追加された。
【0181】
次の表は、この研究で使用され、結晶の研究から決定された10のtRNAの構造を含む。前述のタンパク質構造データバンク(’PDB’)IDに対応する参照は次の通り。CW5と3CW6(Barraud et al., 2008, Nucleic Acids Res., 15:4894); 1YFG(Basavappa et al., 1991, EMBO J., 10:3105); 2TRAと3TRA(Westhof et al., 1988, Acta. Crystallogr. A., 44:112);1EHZ(Shi et al., 2000, RNA, 6:1091)、1EVV(Jovine et al., 2000, J. Mol. Biol. 301:401)、2WDK(Voorhees et al., 2009, Nat Struct. Mol. Biol., 5:528);1FIR(Benas et al., 2000, RNA, 6:1347); 3A3A(Itoh et al., 2009, Nucleic Acids Res., 37:6259)。
【0182】
【表1】
【0183】
高度好熱菌リボソームの構造が2WDG−N(Voorhees et al., 2009, Nat Struct. Mol. Biol., 5:528)に、3I8F−I と3I9B−E(Jenner et al., 2010, Nat. Struct. Mol. Biol., 17:555)として報告され、70S リボソームの研究に使用された。AサイトにあるtRNAに対して報告された2WDKでのコドン−アンチコドン構造は、アンチコドンループのL−立体配座のために使用された。高度好熱菌EF−Tuを用いたモデリングは2WRNの構造を使用した(Schmeing et al., 2009, Science, 326[5953]:688)。関連三次構造の限定された可用性により、いくつかのコンセンサスコンピュータモデルは、異なる種由来の分子成分で構成された。生物学的な領域間でのtRNAの形状の高度の保存は、このアプローチを容易にした。特定のキーコンピュータモデリングのよる前段階の地形的な結論はスケールモデルを構築することで確認された。
【0184】
Nuclion製造
本発明のいくつかの実施形態では、nuclionsとribocapsidsはtRNA分子及びRNA分子の範囲から製造されています。一連の製造研究で、本発明のいくつかの実施形態によって教示されるように、その生化学的及び生物物理学的特性を決定し、我々はそのようなnuclionsとribocapsidsを組み立て、それらの機能を試験した。
【0185】
実施例1:アミノアシル化リンケージの安定性
本発明の特定の実施形態では、tRNAのnuclion製造用のribocapsidサブユニットとして使用する装填されたtRNAのアミノアシル化結合の安定性を決定するために、我々は、10℃と37℃でのメチオニン特異的伸長tRNA(’tRNAeMet’)の加水分解速度を測定し、そして37℃でのシステイン特異的tRNA(’tRNACys’)の加水分解速度を測定した。この結果は
図33に、y軸は加水分解の割合を示しx軸は時間を分単位で示している。アミノアシル化tRNA(
35S−標識メチオニンやシステインと)は最初に調整し、下記’nuclion製造のための材料及び方法“に記載した。その後、50mMのトリス−HCl pH 7.5及び10mMのMgCl
2で示した温度で加水分解反応を行った。反応分割物はギ酸で反応停止し、酸性条件下でのセルロースTLC上の電気泳動分離によってアミノアシル化tRNAから遊離アミノ酸は除去された。
35S標識製品は、蛍光画像で可視化されとImageQuantを用いて定量化した。
【0186】
これらの条件下でメチオニン特異的伸長tRNA上のアミノアシル化結合の半減期は、37℃で20分(
図33A)、10℃で約100分であった(
図33B)。システイン特異的tRNA上のアミノアシル化リンケージの半減期は、これらの条件下で、37℃で約40分であった(
図33C)。これらの半減期は、以前に報告されたデータと実質的にほぼ一致しており、本発明のいくつかの実施形態でのtRNA nuclionモデルによって予測されたように、nuclion形成がアミノアシル化結合の安定性を増大させるか否かを決定するための基礎を提供する。アミノアシル化結合の半減期は、tRNAの種類と本発明の他の実施形態によって異なる。
【0187】
実施例2:mRNAに対するtRNAのモル比の効果
一実施形態では、9連続のAUGトリプレット(AUGコドンが伸長とイニシエーターメチオニン特異的tRNAの両方に特異的である)を含む
32P標識されたmRNAでアミノアシル化メチオニン特異的な伸長tRNA(’Met−tRNAeMet’)のモル比を変化して保温することによって、tRNAのnuclionsは会合された。メチオニンコドンを含むこのmRNAの配列(’mRNAMet’)は、AUGに下線:
5’−GGG−
AUG−AUG−AUG−AUG−AUG−AUG−AUG−AUG−AUG−CUU−UCU−AGG−CAC−3’(配列番号:1)。
【0188】
反応物[緩衝液A(50mMのトリス−HCl pH 7.5、4%グリセロール、0.05%キシレンシアノール、0.05%ブロモフェノールブルー)に15μMの未変性Met−tRNAeMet、0.0047から3.6μMの
32P−mRNAMet、150mMのMgCl
2を添加した6μL]は、37℃あるいは氷浴(4℃)で10分間保温した。mRNAへのtRNAのモル比は、一定量の
32P−標識されたmRNAMetを含んだ反応混合物に非標識mRNAMetを様々な量で添加することにより調整した。2μLの反応分割物は、5mMのMgCl
2を含む89MM Tris−ホウ酸緩衝液中(pH8.3)で非変性12%PAGEゲル(8センチメートル×7センチ×0.8ミリメートル)に添加され、200Vでブロモフェノールブルー色素が底に到達するまで電気泳動された。1つのゲルは室温(約45分、22℃)で電気泳動され、一方、他のゲルは低温室(〜80分、8℃)で電気泳動された。乾燥させた後、ゲルは3.25時間蛍光スクリーンに感光させ、Typhoon phosphorimagerで可視化した。
【0189】
図34A及び
図34Bは、室温又は低温室でそれぞれに電気泳動されたこれらのゲルの結果を報告している(’Geltemp“)。各図は、37℃と氷浴中の両方での複合体の会合に関してmRNAに対するtRNAの異なるモル比の効果を示している(’RXN temp’)。未結合のmRNAは、ゲルの遠い下方に分離バンドとして移動しており、このことはmRNA単体を用いた別途の解析により検証された(実験提示なし)。少なくとも5つtRNAのバンドを分離した:mRNAの複合体はゲルに表示した(’複合体1−5’)。複合体の隣接バンドは実質的に互いにほぼ等距離であり、連続したバンドがmRNA当たりn+1個の追加のtRNAを含んだ、高分子のtRNA nuclion構造と一致した。この実施形態では、37℃で行った反応は、4℃で行われたものよりnuclionsの収量が良く、個々の多量体の電気泳動解像度は室温と比較すると低温室で実施したゲルの方が良好であった。異なる温度の影響は、本発明の異なる実施形態で観察されています。
【0190】
図34Cと
図34Dのデータは、ImageQuantを用いて、
図34A及び
図34Bそれぞれで
32P標識されたmRNAに相当するバンドとの複合体1−5の定量化によって得られた。結果は、遊離mRNAのポリマーtRNAへの進行性の変換を示している:mRNAへのtRNAの増加モル比における37℃時のmRNA複合体。 mRNAに対してtRNAが高いモル比では、実質的にすべてのmRNAは、ポリマーのtRNA nuclion複合体に変換した。この実施形態では、低温室で電気泳動した非変性ゲルは、tRNA:mRNA複合体を維持しやすく、室温によるゲルで比較すると、わずかならながら、37℃で形成されたものよりも若干良かった。ゲルが8℃で電気泳動されたとき、保持された高次複合体の割合は、室温での電気泳動ゲルで観察される割合よりもモル比の増加に伴い増え、いずれの条件もnuclion会合は37℃で行われた。
【0191】
nuclion会合の速度と種類に関してmRNAへのtRNAのモル比の影響は、現在の発明の異なる実施形態に応じて変化しうる。
【0192】
実施例3:マグネシウム濃度の影響
別の実施形態では、9連続メチオニンコドンを含む
32P−標識されたmRNAMetを用いて、アミノアシル化メチオニン特異的な伸長 tRNAのnuclion複合体の会合に関して、塩化マグネシウム(MgCl
2)の濃度による効果を調べた。mRNAMet(0.24μM)へのMet−tRNAeMet(15.5μM)のモル比は、65であった。指示されたMgCl
2の濃度を補充した緩衝液中Aで実施した反応は、氷浴中で10分間保温した。複合体形成は、実施形態2に記載のように、低温室中での反応の分割物の電気泳動分析により観察された。乾燥ゲルは10時間蛍光イメージさせた。
図35Aは、高分子tRNA:mRNA nuclion複合体(’複合体1−5’)の分離バンドの形成が再び示しされたゲルイメージである。
図35Bは、ImageQuantを用いて、
図35Aで
32P標識されたmRNAに相当するバンドとの複合体1−5の定量化によって得られたグラフである。
図35Cは、塩化マグネシウムの濃度100mM以下で、
図35Bから得られたデータを表示してある。
【0193】
この実施形態では、mRNAへの装填されたtRNAの結合は、MgCl
2の濃度に所定の増加に伴い実質促進される。100 mM濃度を実質的に超えるMgCl
2では、試験したこの条件下で、tRNA nuclion形成のために望ましい。MgCl
2の異なる濃度は、本発明の他の実施形態では望まれる。
【0194】
実施例4:アミノアシル化化ステータスとコドンの認識に及ぼす影響
別の実施形態では、nuclion会合におけるアミノアシル化ステータスと同族対非同族アンチコドンとコドンの組み合わせにおける影響を、メチオニン特異的mRNA(mRNAMet、9連続したAUGのコドン)と未変性Met−tRNAeMet、未変性脱アシルtRNAeMet、未変性Cys−tRNACys間の比較反応により検討した。150mMのMgCl
2を添加あるいは無添加の緩衝液Aに15μMのtRNAと4.7nMの
32P−標識されたmRNAMet(mRNAに対するtRNAのモル比が3200)を含む反応混合物は、氷浴中で10分間保温された。各反応混合物の分割物を、低温室の中で5mMのMgCl
2を含む89mMトリス−ホウ酸pH8.3緩衝液で実行12%PAGEゲルで200Vで80分間電気泳動された。
図36は結果報告する。ゲルの最初の2レーン(レーン1の標識が付いた)は、
32P−標識されたmRNAを含むが、tRNAを含まない。未変性メチオニン特異的伸長tRNA(レーン2の標識が付いたもの)又はアミノアシル化メチオニン特異的伸長tRNA(レーン3の標識が付いたもの)のいずれかの添加は、nuclion複合体形成の相当量をもたらすが、しかし、アミノアシル化システインtRNAの添加(レーン4の標識が付いたもの)は150mMのMgCl
2の存在の有無とは無関係に起きなかった。この実施形態では、高分子のバンド数とパターンは、tRNAのアミノアシル化状態に依存します。150mMのMgCl
2及びアミノアシル化メチオニン特異的伸長tRNAの存在下では、nuclion複合体のラダーは、未変性脱アシル化メチオニン特異的伸長tRNAを使用した際のラダーよりも低度の高分子を提示する。この観察は、T形nuclionが装填及び非装填tRNAの両方を収容することができ、S−形nuclionは装填されたtRNAをだけを収容することができるという、この実施形態にある説明に一致する。この説明は、既存のS−形nuclionにtRNAを追加するための自然の中での審査基準の一つが前記のtRNAがアミノ酸で装填しなければならないとする、本実施のためnuclionモデルを支持する。これらの結果は、この実施形態では、装填及び非装填tRNAeMet両方がmRNAMet上にnuclionを形成できるが、AUGのコドンに結合しないCys−tRNACys上には形成できないことを示している。このことは、この種類のtRNA nuclionの形成における特定のコドン−アンチコドン相互作用のための要件と一致しています。本発明の他の実施形態では、nuclion形成の程度や種類とコドン−アンチコドン相互作用の特異性の程度は、この段落で説明した結果とは異なる。
【0195】
実施例5:tRNAがnuclion会合のキネティクス
本発明の一実施例では、37℃でのtRNA nuclion複合物の会合の経時変化は、150 mM MgCl
2を含む緩衝液Aにの
32P−標識されたmRNAMet(9連続したAUG)へのMet−tRNAeMetのモル比が3200を含む溶液を用いて測定した。指定された時間(
図37のゲルの結果について’分’を参照)で、反応混合物の分割物は、共同群として解凍され、そして低温室の中で反応成分の電気泳動分離(89 mMトリス−ホウ酸pH8.3緩衝液中で200Vで80分)のために12%ゲル上にロードされるまで、ドライアイス浴に移された。この結果得られた蛍光イメージは、初期tRNA nuclion形成は非常に急速(1分以下)であるのに対し、が高次構造の出現には多少時間がかかることを示す。我々は、ここで観察された反応コースは、複合体形成がゲル上で解凍し、サンプルのロードに必要な時間にも起こりうるという事実に照らして解釈されるべきであることに注意してください。他の実施形態では、nuclion複合体形成の速度論は、この段落に記載したものとは異なっている。
【0196】
実施例6:nuclion標的に結合する薬剤によるNuclion解離
いくつかの実施形態では、生物由来あるいは生物に備わる天然nuclionsとribocapsidsが、一定の生化学的、生理的又は医学的効果を達成するための手段の備わった天然又は非天然物質を投与することによって、調節され、阻害され、中断され、あるいは亢進された。いくつかの実施形態では、投与された物質が、特定のnuclion標的に会合する手段として設計されている。いくつかの実施形態では、標的にされたnuclionsは、その標的とされたnuclionsの濃度を実質的に低減するために、nuclion成分の1つ以上と競合する化合物を投与することによって解離される。一実施形態の例では、nuclionsコア核酸と競合する手段を含む化合物が添加された条件で、所定のtRNA nuclionsの解離の動態を検討した。この手段は、標的とされたnuclionにあるribocapsid上のアンチコドンのセットに相補的であった、追加されたRNAの上に複数のコドンのセットだった。 この例では、アンチコドンのこのセットは“nuclion標的“を構成し、追加されたRNAは有効な薬剤である。
【0197】
この例では、Met−tRNAeMet(15μM)及び
32P−標識されたmRNAMet(9連続したAUGのトリプレット;0.0075μM)との間に形成されたribocapsidの解離に関する時間経過が、150mMのMgCl
2を含む緩衝液Aに15μM非放射性mRNAMet(RNA薬剤)の存在下で予め形成された複合体を37℃で保温することにより決定した。前と同様に、分割物は、5mMのMgCl
2を含む89mMトリス−ホウ酸pH8.3緩衝液で12%ポリアクリルアミドゲルで8℃で200Vで80分間電気泳動におけるその後の分析のために、ドライアイス浴中に移された。得られた蛍光イメージ(
図38A)及び関連した時間経過(
図38B)は、本実施形態で、大幅に過剰のフリーmRNAMet(コア核酸の濃度の〜1000倍)が、nuclions中のmRNAMetを競合したりあるいは置換するために存在するとき、加算されたnuclion複合体は約3分の半減期で解離することを示している。一実施形態のこの例では、追加されたRNAのエージェントは、nuclion標的を構成するribocapsidアンチコドンに結合することによってnuclionsを急速に妨害した。他の実施形態では、nuclion複合体の解離の動態は、本項に記載したものとは異なっている。
【0198】
実施例7:nuclion長とモル比の変動
一実施形態の例では、連続したAUGのトリプレットの数(すなわち、1、2、3、4、6、9)で異なっていた固定長の42−merのmRNAのセットを調整することによって、一連のtRNAのnuclionsにあるmRNAに対するtRNAのモル比を、我々は決定した。これらのmRNAは
32Pで5’末端が標識されており、150mMのMgCl
2を含む緩衝液A(mRNAへのtRNAのモル比は200であった)で、37℃で10分間、15μMのmRNAMet(RNA薬剤)の存在下で保温された。得られたPAGEゲルの蛍光イメージは
図39Aに示されている。各mRNA中の連続したAUGのトリプレットの数はゲルの上部に表示され、一方、各バンドでのmRNAへのtRNAの見掛けのモル比が両側に表示されている。この蛍光イメージのImageQuant分析の結果は、
図39Bに示されている。付属の棒グラフに、それぞれのバンドの各mRNAの画分が定量化されている。この結果のパターンに基づいて、我々は個々の多量体にモル比を割り当てた。この実施形態で、観測されたモル比が示していることは、1つのAUGトリプレットへの1つのMet−tRNAeMetの結合が、追加tRNAの非鋳型重合を、ある程度促進できることである。
【0199】
実施例8:コア核酸はnuclion形成のために必要とされる
Met−tRNAeMetとmRNAMet間で、我々が観察したいくつかの高分子複合体に対して、理論的だが可能性の低い説明は、放射性標識mRNAそれ自身でたまたま会合し、より高次の多量体をtRNAが形成することがありえるということである。我々はこの説明を排除するために、150mMのMgCl
2を含む緩衝液Aで、37℃で10分間、15μMのmRNAMet(RNA薬剤)の存在下で保温された
32Pで3’末端が標識されたMet−tRNAeMetの濃度系列の移動度を分析した。tRNAの濃度は、0.075〜20マイクロモル(’μM’又は’uM’)の範囲であった。反応分割物を、5mMのMgCl
2を含む89mMトリス−ホウ酸pH8.3緩衝液で、低温室で12%PAGEゲルで200Vで80分間電気泳動した。得られたゲルの蛍光イメージを
図40に示します。二量体及び三量体tRNA種に対応するバンドは、ほぼすべてのレーン(tRNAの二量体及び三量体形成の公表された報告と一致する)で観察されますが、それらは全tRNAの少数成分であり(それぞれ15%、3%)、mRNA主導のnuclions形成が高次のオリゴマーの明確なラダーを発生することと対照的にtRNAの濃度増加伴う割合の増加がない。従って、本実施形態の条件の下で、アミノアシル化tRNAがコア核酸などの同族mRNAの非存在下ではnuclionsを形成しない。
【0200】
実施例9:イニシエータnuclionはシャイン・ダルガーノ配列に結合する
一実施形態の例では、nuclion形成の一般性を検証し、ribocapsid tRNAがmRNAに結合しているときに、シャインダルガルノ( ’SD’)のこのmRNAの配列をfMet−tRNAiMetが認識できるかどうかを検討した。それはSD配列は細菌では起こり、mRNA上に存在下でそのSD配列がリボソームに結合できることは、当業者に知られていたが、しかし、SD配列のtRNAへの結合が報告されたことはない。ヒトなどの真核生物は、翻訳に関与する類似mRNA配列はコザック配列です。しかし、細菌と真核生物のタンパク質合成を開始するためのリボソームを利用する仕様には大きな違いが認められる。本発明のいくつかの実施形態によって教えられたものを含むそのような相違にある洞察が、抗生物質などの新規医薬化合物を製造し、使用して、設計するための医学的及び商業的に重要な新しい戦略とツールを提供することができます。 シャイン・ダルガーノとコザック配列は、細胞生物における翻訳の効率、精度と制御を改善するのに役立つタンパク質合成マーカー配列の一例である。
【0201】
我々は、以下の配列を有するmRNAを調製した:
5’−−GGGA
AGGAGGUAAAA−AUG−UUU−UUU−UUU−UGC−UUU−UGC−UAG−GCA−−3’(配列番号:2)
【0202】
このmRNAは、シャイン・ダルガーノ配列(下線付き)A
4リンカー(4つの連続したアデノシン)によってコーディングトリプレットから分離されている。翻訳では、アミノ酸配列fMF
3CFC(ホルミル−メチオニン、フェニルアラニン、フェニルアラニン、フェニルアラニン、システイン、フェニルアラニン、システイン)のヘプタペプチドの合成を、このmRNAが指定することになります。
32Pで末端標識した後に、このmRNAは、150mMのMgCl
2を含む緩衝液B(100mMのトリス−HCl pH7.5、4%グリセロール、0.05%キシレンシアノール、0.05%ブロモフェノールブルー)にMet−tRNAeMet、fMet−tRNAiMetは、Phe−tRNAPhe、及びCys−tRNACysの様々な組み合わせで共に、氷浴中で10分間保温された(fMet−tRNAiMetがN−ホルミルメチオニンでアミノアシル化された開始メチオニン特異的tRNA;Phe−tRNAPheがアミノアシル化されたフェニルアラニン特異的tRNA)。各tRNAは、mRNAに対するtRNAのモル比が2000となるように、15μMであった。実施形態8に記載のように、反応物は低温室で電気泳動的で分析され、ゲルの蛍光イメージは
図41に示されている。fMet−tRNAiMetが存在下では、常にゲル上のバンドに大きな変化が見られます。これとは対照的に、イニシエータメチオニルtRNAが伸長メチオニルtRNAに置き換えられた装填されたtRNAの完全なセットは有意なゲルシフトを示されず、このことはfMet−tRNAiMetが、イニシエーターnuclionを安定させるために、シャイン・ダルガーノ配列と特異的に相互作用でき、おそらく、イニシエータnuclionを正しい読み枠への段取りを支援すうことを意味する。
【0203】
実施例10:イニシエータnuclion・会合ー上のモル比の影響
一実施形態では、上述したfMF
3CFCのための配列コードをもつ同じ放射標識されたmRNAを用いて、mRNAへのtRNAのモル比を10から2000に変化させたときに、我々はイニシエータnuclion形成の程度を調べた。前と同じように、反応は、それぞれ15μMのfMet−tRNAiMet、Phe−tRNAPhe、及びCys−tRNACys用いて、氷浴中で10分間、150mMのMgCl
2を含む緩衝液B(100mMのトリス−HCl pH7.5、4%グリセロール、0.05%キシレンシアノール、0.05%ブロモフェノールブルー)で行われた。
図42Aは、実施形態8に記載のように実施された、これらの反応の電気泳動の蛍光イメージを示す。
図42Bは、
図42Aに示された蛍光イメージから決定した、tRNA:mRNAのモル比の関数としてnuclion形成の程度を示すグラフである。結合曲線は、Met−tRNAeMetがmRNAMetとともに保温されたときに観察されたものと実質的に同様で、検討された条件に対して、nuclion会合の動態は、実質的に類似していたことを示している。本発明の他の実施形態では、nuclion会合の動態は、所定の条件により異なります。
【0204】
nuclion製造のための材料及び方法
他の材料及び方法が、他の実施形態で使用されるが、本発明のいくつかの実施形態では、我々のnuclion製造研究のために以下の材料及び方法を我々は採用した。
【0205】
ネイティブトランスファーRNA
大腸菌(A
260単位あたり1000ピコモルメチオニンアクセプタ活性)からメチオニン特異的伸長のtRNA(tRNAeMet)及び酵母(A
260単位あたり1000ピコモルフェニルアラニンアクセプタ活性)からフェニルアラニン特異的tRNA(tRNAPhe)は、Chemical Block社(モスクワ、ロシア)から購入した。他の未変性tRNA(例;ホルミルメチオニン特異的tRNA、tRNAiMet、システイン特異的tRNA、tRNACys)はpKK223−3(Liu et al., 2011, Nat Commun., 2:329)のIPTG誘導性プロモーターから大腸菌で過剰発現させた。tRNAの転写後修飾のための十分な時間を確保するように誘導した後、培養は12から18時間維持され、そして、各tRNAはフェノール溶解により全tRNAのプールの一部として単離され、続いて一連の異なる沈殿を行った。tRNAのプールは、pH9.0のトリス緩衝液で37℃で3時間保温することにより脱アシル化された。ネイティブtRNACysはさらに、相補的なビオチン化オリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションにより精製され、続いてストレプトアビジン−セファロース上で捕捉され、洗浄、高温で保温することにより、固体支持体から遊離された(Yokogawa et al., 2010, Nucleic Acids Res., 38:e89)。
【0206】
アミノアシル化
組み換えHis−タグeMetRSとeCysRSは0.4mMのIPTGで誘導でBL21(DE3)内で37℃でそれぞれ発現させ、タロン樹脂を続いてAKTA FPLCのMono Qカラムを通してクロマトグラフィを用いて精製した。 酵素濃度は、標準としてBSAを用いてBradford法により測定し、活性部位バーストアッセイ(Fersht et al., 1975, Biochemistry, 14:1)で補正された。ネイティブtRNACys(90μM)は、20mMトリス−HCl、pH7.5、20mM KCl、10mM MgCl
2、25mM DTT、2mM ATPで37℃で10分間、20μMのCysRSとの保温によりシステイン(180μM)でアミノアシル化された。その反応物は2.5 M NaOAc pH5.0の0.1ボリュームの追加により停止され、等量のpH5.2フェノール−クロロホルム−イソアミルアルコール(25:24:1)で抽出された。エタノール沈殿後、tRNAは、25mM NaOAc(pH5.0)に溶解され、−20℃で保存された。装填効率は、反応中に、少量の
3H−システインを入れることによって、決定された。エタノール沈殿に続いて、装填されたtRNAの分割物は、遊離アミノ酸とATPの完全な除去を確実にするためにCentrispin−20ゲルろ過カートリッジ(Princeton Separations)を介して遠心分離された。通過分画のA
260及びトリチウムカウントから、装填されたtRNAの画分を計算できた。
35S標識されたネイティブCys−tRNACysは装填反応に
3H−システインを
35S−システインへの交換により調製した。ネイティブtRNAeMetとtRNAiMetの装填は、
3H−メチオニン又は
35S−メチオニンの存在下で、MetRSを使用して、同様の方法で行った。Met−tRNAiMetのホルミル化反応は、その反応にメチオニルホルミルトランスフェラーゼ及びN
10−ホルミルテトラヒドロ葉酸を含めることによるアミノアシル化で同時に行われた。
【0207】
伸長Met−tRNAは、5mM CTPとの一定量のα−
32P−ATPの存在下で、酵素を添加しCCAと脱アシル化tRNAの保温により、3’末端が標識された。標識されたtRNAはフェノール抽出され、Centrispin−20カートリッジを通して遠心分離され、エタノール沈殿させた。上記のように回収したtRNAは装填されていた。
【0208】
ネイティブ酵母tRNAPheは、村上(Murakami et al., 2006, Nat. Methods, 3:357)により記載された、Phe−CMEの存在下でeFX Flexizymeを使用して装填された。装填効率は、同じ著者によって説明されているようにビオチン化し、ストレプトアビジンを添加後、アミノアシル化tRNAを12%変性PAGEゲルで電気泳動によって決定された。
【0209】
メッセンジャーRNAの調製
mRNAはT7 RNAポリメラーゼプロモーターを含んでいた合成二本鎖DNAの鋳型を使用して 、in vitro 転写 により調製された。転写産物を、7M尿素による変性12%ポリアクリルアミドゲルによる電気泳動により精製した。バンドがUVシャドウイングによって可視化され、一晩振とうすることにより、TE緩衝液中にmRNAを抽出した。mRNAを澄んだ上清からエタノール沈殿させ、TE溶液に−20℃で保存した。最初にエビアルカリホスファターゼとの保温し、次いで、γ
32P−ATP又はγ
32P−GTPの存在下でT4キナーゼ処理により、mRNAは5’−末端が標識された。遊離放射性元素はエタノール沈殿及びCentrispin−20カートリッジを通して遠心分離により除去した。
【0210】
電気泳動分離
35S−Met−tRNAeMet及び
35S−Cys−tRNACysは、ピリジン−酢酸pH 2.8緩衝液内で、プラスチックシートを背部にしたセルロース上でTLC電気泳動により遊離アミノ酸から分離された(Zaher et al., 2009, Nature, 457:161; Youngman et al., 2004, Cell, 117:589)。5mM MgC
2を含むでトリス−ホウ酸pH8.3緩衝液で、12%ポリアクリルアミドゲルで電気泳動により、
32Pで標識されたmRNAからNuclionsを分解した。オリゴマー形成のための
32Pで標識されたMet−tRNAeMetの分析は、同じゲルシステムを用いて行った。これらのゲル(通常は6.5センチメートル×8センチメートル×0.75ミリメートル)は、ブロモフェノールブルーがゲルの底に到達するまで、低温室又は室温で200Vで電気泳動された。電気泳動後、ゲルは吸引下で濾紙上で乾燥させた。
32Pで標識されたバンドは、蛍光イメージによって可視化され、それらの強度をImagequantソフトウェアを用いて決定した。 TLCは、同様の方法で分析された。ここで用いたゲル電気泳動法の一般的な概要については、Sambrook及びRussellを参照してください(Sambrook et al., 2001, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York)。
【0211】
製造工程
いくつかの実施形態では、(i)天然nuclions(得られた物質は、本書面上で“生物学的nuclion“又は“生物学的nuclions’と名付ける)を精製すること、又は(ii)天然又は合成成分(得られた材料は本書面上で’合成nuclion’又は’合成nuclions’)からnuclionsを会合すること、によりnuclionsが製造されています。“天然nuclionsを精製すること“は、細胞又は細胞溶解物中に存在すると、それらが結合するような細胞成分からnuclionsを単離することを意味する。いくつかの実施形態において、精製には、同一もしくは実質的に同一の成分のnuclionsの均質な製剤の調製も含めることができます。いくつかの実施形態では、生物学的nuclionsの製造は、生物、生物学的製剤、細胞培養又は発酵源からの天然nuclionsを単離し、その使用目的に適切な範囲にそれらを精製することを含む。いくつかの実施形態では、合成nuclionsの製造はribocapsid核酸分子とコア核酸分子を組み合わせることを含む。いくつかの実施形態では、生物学と合成nuclions両方が、精製や更なる修飾を含んだ追加製造工程に供されてる。いくつかの実施形態では、得られたnuclion製剤は、均質である(実質的にすべてのnuclionsが同じ組成を有している)、又は不均一(組成の異なるnuclionsの混合物を含む)である。
【0212】
いくつかの実施形態では、核酸のための化学、生物学及び薬学分野での当業者は、nuclions、nuclionコアで使用するための核酸分子、それにribocapsidで使用するためのサブユニット分子、を生産するための2つの主原料を単離又は製造手順に精通している(Vomelova et al., 2009, Folia. Biol. Praha, 55:243; Tan et al., 2009, J. Biomed. Biotechnol., 2009:574398)。一実施形態では、コア核酸(’CNA’)は、一本鎖RNAである。別の実施形態では、一本鎖DNAが使用されます。いくつかの実施形態において、1種以上のトランスファーRNAがribocapsidサブユニットに使用されています。他の実施形態では、他の態様の核酸を用いてもよい。いくつかの実施形態では、コアとribocapsidサブユニットの一次、二次及び三次構造は、自然界に見られるものもあれが、ないものあり、あるいはそれらの混生である。コアとribocapsidサブユニットは、天然源から抽出されたり、合成的に産生されたり、又は天然及び合成材料の組み合わせから誘導できる。いくつかの実施形態では、コアとribocapsidサブユニットは、天然ヌクレオチド、非天然ヌクレオチド、修飾された天然ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、ヌクレオチド置換し、これらの任意の組み合わせ、又は、それらの任意の混成からなる鎖である。いくつかの実施形態では、コアとribocapsidサブユニットの骨格は、(i)DNA又はRNA、又はそれらの任意の組み合わせにある、自然にある核酸で発見された骨格であり、(ii)非天然骨格、天然骨格の修飾、自然の類似バックボーン、天然骨格の類似体、天然骨格の置換、又はそれらの任意の組み合わせ、(iii)任意の天然及び非天然骨格の組み合わせ、又は(iv)天然及び非天然骨格の任意の混成である。nuclion生産のための原材料を構成するヌクレオチド、それらの類似体又は置換体のポリマーを製造あるいは修飾するために利用された方法は、天然又は非天然の工程を採用するか、又はそれらの任意の組み合わせがあります。
【0213】
ribocapsidサブユニットをトランスファーRNA分子を用いる実施形態では、このようなtRNA分子は、自然の中で見つかった形、又は自然には存在しない形、又はそれらの組み合わせ、複合又はそれらの混合物で見つかった形である。このような天然のtRNA分子は、(i)いかなる生物学的な領域、ウィルスや他の生命体に自然の中で発見されたあらゆるアミノ酸のための受容体特異性をもつすべての種のtRNA、及び(ii)追加のアミノ酸、酵素活性のためのプライマー分子、又はいくつかの他の機能を果たす分子に貢献する開始コドン、伸長分子を認識するために開始分子であるかどうかに関係なく、すべてのtRNAのクラス、を含むがこれらに限定はなく、自然界に見られるすべての転送分子を含む。非天然のtRNAは、(i)完全な天然のtRNAのものとは異なるヌクレオチド配列の一定の長さあるいは任意の部分を有する、(ii)同じ位置に自然の中で見つかったものとは異なる1つ以上のヌクレオチドを含む、(iii)全部又は一部に、同じ位置に自然界に見られるものとは異なる骨格型又は修飾をもつ、(iv)自然界に見られるヌクレオチド配列に対して又はこの中にある、任意の伸長、あるいは1つ以上のヌクレオチドの欠失を有する、又は(v)その位置に自然界では見られないtRNA分子の任意の部分に対して又はこの間での任意の修飾又は架橋を有するような、任意のtRNA分子を含むがこれに限定されない。いくつかの実施形態では、nuclionsは、nuclionが使用されることを意図されているあるいは対する種、又はnuclionが使用されることを意図されているあるいは対する種とは別の種、あるいは他の種に由来するtRNAの混合物を用いて調製される。いくつかの実施形態では、nuclion生産のためのtRNAはnuclionが、免疫原性、発熱又は派生nuclionの他の副作用を最小限に抑えるたり、軽減するために、nuclionが使用されることを意図されているあるいは対する種に限定される。
【0214】
いくつかの実施形態において、1つ以上のribocapsidサブユニット分子(’RSM’)は、1つ以上のtRNA分子を含むがこれに限定されるものではないが、ribocapsidサブユニットがnuclionsを作るために利用される前に、アミノ酸、アミノ酸の前駆体又は修飾されたアミノ酸と共役している。アミノ酸や核酸に適用されるような化学、生物、医薬分野における当業者は、アミノ酸の単離、製造及びを修飾、そして、それらあるいは核酸への前駆物質を共役するための手法に精通しているであろう。いくつかの実施形態では、そのような共役のためのアミノ酸は、(i)タンパク質合成(“翻訳“)のために自然の中で使用される、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、オルニチン、フェニルアラニン、プロリン、ピロリジン、セレノシステイン、セリン、チロシン、バリン、タウリン、スレオニン、トリプトファン、(個別及び集合的に“標準アミノ酸’)、を含むがこれらに限定されないアミノ酸であり、(ii)翻訳後修飾又は他の生物学的工程の結果として自然に発生する’非標準“アミノ酸、(iii)自然には存在しないの合成と修飾された標準又は非標準アミノ酸、又は(iv)前駆体又はそれら(i)、(ii)又は(iii)カテゴリ中にある任意のアミノ酸の組み合わせである。一実施形態では、アミノ酸がtRNAの3’末端に共役され、その共役がribocapsidサブユニットとして使用されます。別の実施形態では、3’末端のtRNA分子に共役したアミノ酸は、自然の中でそのようなtRNA分子が特異的であるため、標準アミノ酸又はその前駆体である(’いつものアミノ酸’)。
【0215】
いくつかの実施形態では、通常のアミノ酸の代用、これへの付加、あるいはこの欠如に、原子、分子、高分子、ポリマー、又は通常のアミノ酸(個別及び集合的に、“AA置換’)以外の部分が、1つ以上のribocapsid核酸分子に共役している(ribocapsid tRNA分子を含むがこれに限定されない)。AAの置換はアミノ酸自体であっても良いが、それが通常のアミノ酸ではないことを提供する。一実施形態では、AA置換はtRNA分子の3’端に共有結合される。別の実施形態では、tRNA分子の3’末端へのAA置換の共役は、通常のアミノ酸以外の標準的なアミノ酸である。AA置換は、ribocapsid内で隣接するtRNAの間のリンク(TC−TLSリンクを含むがこれに限定されるものではない)の量、質や安定性を、増加、減少又は調節するためにとりわけ使用され、そしてribocapsid、nuclion又は両方で特定の属性を付与するために使用されるかしれない。
【0216】
いくつかの実施形態では、tRNAにアミノ酸又はAA置換を共役するために使用される化学リンクは、自然の中で使用されるエステル結合、又は、アミド結合を含むがこれらに限定されない他の天然又は非天然のエステル又は化学結合である。一実施形態では、この共役リンクは、tRNAの3’末端の位置にアデノシンヌクレオチドの糖環内のアミノ酸のカルボキシル基と間の2’又は3’ヒドロキシル基の間のエステル結合である。一実施形態では、共役リンクは、アミノアシル化合成酵素含むがこれらに限定されない目的のために特定の天然酵素を用いて形成されたり(Ibbaa et al., 2001, EMBO Rep., 2:382)あるいは、専用の触媒を使用せずに有機又は無機化学の方法によって形成される。
【0217】
未修飾ribocapsidサブユニットと未修飾コア核酸の組み合わせは、本書面上で“基本nuclion’と名付ける。いくつかの実施形態では、基本nuclionに存在するもの以外の分子や修飾は、その構造や機能、又はその両方を変更するために、基本nuclionに追加されたり、製造される。(さらに、その得られたnuclionは、本書面上で“複雑なnuclion’と名付ける)。いくつかの実施形態では、このような付加的な分子及び修飾が以下を含むがこれに限定されるものではない。(i)付加的な分子の結合は、水素結合、塩基対積み重ね、共有結合、イオン相互作用、又はそれ以外によって達成されることを特徴とし、ribocapsidサブユニットを結合することには関与していないコア核酸分子の部分に結合するための、1つ以上の分子の添加(核酸、タンパク質、脂質、炭水化物、ポリマー、小さな化学部分又は他の分子を含むが限定はされません)、(ii)いかなる手段によって付着されたり、いかなる目的のために意図された(半減期、酵素感受性やnuclionの輸送又はその成分の調整を含むがそれに限定されるものではなく)、キャップは任意の化学物質又は材料を特徴とする(メチル化グアノシン5’キャップ、端末三リン酸5’キャップあるいは3’末端付近のポリ(A)テイルを含むがこれに限定されない)、コア核酸分子の5’又は3’末端(又はその両方の末端)への化学キャップの付加あるいは修飾、(iii)上記のアミノ酸、その前駆体、修飾及び置換の域を超えた、ribocapsid核酸に付加分子の共役、(iv)天然又は非天然材料タンパク質、炭水化物、脂質、コレステロール、核酸、合成ポリマー、リポソーム、凝集物、分散剤、誘引剤、忌避剤、アジュバント、蛍光材料、磁性材料、放射性物質、放射線不透過性材料、金属、セルロース、シリカ、プラスチック、又は任意の他の有機又は無機材料を含むがこれに限定されない)による、又はnuclionとの組み合わせて、nuclion、ribocapsid又はコア核酸への、追加の処置やコーティング、あるいはエンベロープの提供、(v)追加の一級、二級、三級、又は四次構造(二重らせん、三重らせん、ステム、ループ、ステムループ、ヘアピン、シュードノット、テトラループ、リボスイッチ、リボザイム、ポリアデノシン配列、シャイン・シーケンス、又はコザック配列を含むがこれに限定されない)、をもたらす、基本nuclionにおける核酸成分の1つ以上の設計又は製造の変更、及び(vi)nuclionの構造又は機能に協働して影響したり作用する、接続、封入、組み込み、導入、混合、会合、又は、追加の分子又は分子成分の同時投与。これには、一本鎖RNA、二本鎖RNAは、コードRNA、非コードRNA、メッセンジャーRNA、イントロン、エクソン、トランスファーRNA、リボソームRNA、リボザイムRNA、アンチセンスRNA、センスRNA、ナンセンスRNA、調節RNA、マイクロRNA、低分子干渉RNA、核内低分子RNA、核小体低分子RNA、スプライソソーム、一本鎖DNA、二本鎖DNA、DNAとRNAの組み合わせ、アプタマー、インターカレート物質、ウイルス、ウイルス成分、ウイルスRNA、ウイルスDNA、タンパク質、酵素、ヒストン、抗体、開始因子、伸長因子、終結因子、翻訳因子、脂質、炭水化物、対照化合物、又は他の生化学的、化学的又は無機的な原子、元素、分子、化合物、材料又はこの段落に記載されているいずれかの分子の前駆体、を含むがこれに限定されるものではない、(vii)前述のフレーズ(i)から(vi)に記載された分子あるいは修飾の任意の組み合わせ、複合又は混合。
【0218】
いくつかの実施形態では、複雑なnuclionsは次の1つ以上の特性を含むがこれに限定されない:
(i)nuclionを製造するために使用されたコア核酸は、5’末端に化学キャップを持つ一本鎖RNA分子である。
(ii)nuclionを製造するために使用されたコア核酸は、3’末端に化学キャップを持つ一本鎖RNA分子である。
(iii)nuclionを製造するために使用されたコア核酸は、任意にさらに分解に抵抗しnuclionの性能を改善するために修飾された、3’末端にポリ(アデノシン)テイルを持つ一本鎖RNA分子である。
(iv)nuclionを製造するために使用されたコア核酸は、5’末端に化学キャップ’及び3’末端にポリ(A)テイルを持つ一本鎖RNA分子である。
(v)コア核酸は安定性とnuclionの性能を改善するために、5’末端で自己アニールヘアピンループを持つように設計された一本鎖RNA分子である。
(vi)コアRNA分子は、ribocapsidサブユニットにより部分的に囲まれており、残りのコア核酸分子はribocapsidサブユニットに結合していない。
(vii)コアRNA分子はribocapsidサブユニットにより部分的に囲まれており、残りのコア核酸分子は、1つ以上の’スマートRNA成分’が含まれている。この実施形態には、リボザイム、リボスイッチ、アプタマー、スプライソソーム、ポリ(A)配列又は、生物学的効果を持っている任意のRNA成分又は構造、を含むがこれには限定されていない。
(viii)コアRNA分子はribocapsid核酸に部分的に結合しており、残りのコア核酸の一部又はすべてに対して補完的な1つ以上の他の核酸分子は、前記の残りのコア核酸に結合している。
(ix)コアRNA分子はribocapsidサブユニットに部分的に結合しており、残りのコア核酸の一部又はすべてに対して補完的な1つ以上の他の核酸分子はそれに結合し、この他のRNA分子は1つ以上のスマートRNA成分を含むことを特徴とする。又は
(x)コア核酸又は1つ以上ribocapsid核酸は、nuclion製造の前後に放射性又は放射線不透過性物質で標識されています。
【0219】
Nuclion設計の要因
いくつかの実施形態では、nuclion製造、コア核酸とribocapsid核酸のために選択された原料(上記のように修飾するかどうか)で、実質的に以下の受け入れ基準を遵守しなければならない:(i)コア核酸分子(’CNA’)ribocapsid核酸を結合する複数の結合部位(’コドン’)を持つ構造、領域の一部又は全部必ず含むこと、(ii)すべてのribocapsidサブユニットは、CNA上のコドンに結合する少なくとも1つの結合部位(’アンチコドン’)を必ず含むこと、(iii)ribocapsidサブユニットのほとんどは、同じCNAに結合した隣接ribocapsidサブユニット上のribocapsidコネクタサイト(CS)に結合するために、少なくとも1つのribocapsidリンクサイト(LS)を全部必ず含むこと、及び(iv)ribocapsidサブユニットのほとんどが同じCNA上の隣接するRNA上のLSに結合するために、少なくとも1つのCSを必ず含むこと。
【0220】
いくつかの実施形態では、与えられたnuclion内の実質的にすべてのribocapsidサブユニットは、コア核酸に結合しているが、すべてのribocapsidサブユニットが必ずしもコア核酸の両方向の隣接ribocapsidサブユニットに直接結合してない。一実施形態では、
図1でnuclionと4つのribocapsidサブユニットとの模式図で例示した通り、左端ribocapsidサブユニットR1は唯一ribocapsidサブユニット(R2)に直接結合し、右端のribocapsidサブユニット(R4)は唯一ribocapsidに直接結合し、サブユニット(R3)は、ribocapsidサブユニットR2とR3各々は2つのribocapsidサブユニットに直接結合する。いくつかの実施形態では、ribocapsidサブユニットは、CS−LSのリンクを経由して別のribocapsidサブユニットに結合できない可能性もある。一実施形態では、
図14AでR形tRNAのモデルと
図15のtRNAのnuclionの模式図で例示したように、nuclionにあるribocapsidをキャップするコア核酸は別のribocapsidに直接結合しないが、それは依然同じコア核酸に結合したままである。
【0221】
いくつかの実施形態では、
図18の概略図面に例示したように、nuclionの構造又は機能を変更するために、CS−LSのリンクが設計により阻害あるいは破砕しされた。いくつかの実施形態では、上流及び下流のCS−LSリンク(tRNA nuclionsにあるTC−TLSリンクに相当)の阻害は、メッセンジャーRNA上の翻訳開始部位で開始コドン標識するために利用されている。上流阻害の実施形態では、開始tRNA上のアミノ酸は、その5’近傍での接続を阻害するためにホルミル化されており、それにより、開始tRNAをR形キャップ位置に強要し、タンパク質合成のための開始コドンを標識することになる。下流阻害の実施形態では、3’−隣接のtRNA上のCS(tRNA nuclionsにおけるCT)の結合を阻害するために、開始tRNA上のLSサイト(tRNA nuclionsのTLS)は修飾され、それにより、この隣接をャップの位置に強要する。
【0222】
いくつかの実施形態では、nuclionsは構造体の広い範囲で会合され、単一nuclion構造は、1つ又は複数のribocapsid高次構造を含んでもよい。
図16で提示された複数のnuclion高次構造(“化合物nuclion’)を含むnuclionのデザインで例示された一実施形態では、三つの異なるnuclion高次構造は、統合されたtRNA nuclion構造を形成するために混合されて示されています。複合nuclionのこの例では、R形tRNAはnuclionの5’末端をキャップし、の終わり、4つのS形tRNAは中間部を形成するために一緒に結合し、nuclionの3’側に一連のT−形tRNAが続く。二つの追加アミノアシル化tRNAは、nuclionからmRNAの下流に結合して表示されている。
【0223】
一実施形態では、
図17は化合物tRNA nuclionのこの例での3つの nuclion高次構造の特性及び寸法の要約です。複合nuclionの別の実施形態では、シングルコア核酸上の近接するribocapsidの複数のセクションは、構造上の改行で区切られています。一実施形態では、これらの改行は、特定のribocapsidサブユニット(例えば、ホルミルメチオニンでアミノアシル化される細菌のイニシエータのtRNAなど)を選択することにより達成され、これらのnuclionsセクションを囲んでいる。 これらの囲まれたribocapsidサブユニットのCS又はLSのサイトが、それらの位置でribocapsid構造の継続を阻害するためにブロックされている。
【0224】
本発明のいくつかの実施形態では、nuclionsは、核酸複合体の形成に適していることが、製薬、化学的、生物学分野における当業者に知られている、バッチ、連続的又は他の工程を使用してコア核酸とribocapsid核酸から会合され、採用された方法、試薬及び溶液は、核酸を変性せず、原料のいずれかが修飾されたような機会で、そのような修飾を変更したり削除しない。RNA nuclionsの製造に適応されているいくつかの実施形態では、コアRNAとribocapsid核酸(任意の変更を含む)の溶液は、(i)ribocapsid核酸の各々の種のモル濃度が、(ii)コアRNAのモル濃度を乗じコアRNA上の対応するコドンの数、よりも過剰になるように調製し、混合される。
【0225】
いくつかの実施形態では、会合したnuclionsその後、結合していない原料から分離され、当業者に公知の核酸分画のための標準的な生化学や生物物理学のいずれかの方法により精製される(吸着、親和性、分画、遠心分離、クロマトグラフィー、結晶化、透析、電気分解、電気泳動、酵素処理、蒸発、フィルター処理、限外濾過、ゲル分離、磁気分離、ミニカラム、pH分離、温度変化、塩勾配、溶媒勾配、温度勾配、沈殿、固相分離や溶剤分別を含むがこれに限定されるものではない)。
【0226】
nuclionsの製造、分離、精製手順のいくつかの実施形態では、十分にnuclionの整合性を維持し、最大化するために、核酸に対して十分に未変性な条件化で行われる。いくつかの実施形態では、nuclionsの製造、分離、精製を行うための溶液は、nuclion内分子間結合を妨げない十分に低量の成分がある。このような化合物は、1つ以上の(i)nuclion内の隣接するtRNA間のLS−CSリンク(一実施形態では、スペルミン及びスペルミジンなどのようなポリアミンを含むがこれら限定されないtRNA nuclionsに関係した妨害する化合物など)、が十分に低いレベルに限定されるものではない)、(ii)ribocapsid核酸とコア核酸の間のコドン−アンチコドンのリンク(いくつかの実施形態では、このような干渉化合物の例はコドンやアンチコドンの全部又は一部に相補的であるオリゴヌクレオチドを含む)、あるいは(iii)追加された分子のいずれかと、コア核酸又はribocapsid核酸の間の複雑なnuclionにあるリンク、の1つ以上を阻害する十分に低量の成分を含むがこれに限定しない。
【0227】
いくつかの実施形態では、nuclionsは、それらの成分核酸に多種多様な情報を含むために設計及び製造れ、そこにはDNA情報、RNA情報、ウイルス情報、又はそれらの組み合わせ(個別と総称して“核酸情報“と名付ける)を含むがこれに限定されるものではない。一実施形態では、核酸情報がコア核酸分子内、分子上又は分子に付随して保管されています。別の実施形態において、核酸情報は、1つ以上のサブユニットribocapsid分子内や分子上又は付随して保管されています。別の実施形態において、核酸情報は、1つ以上のribocapsidサブユニット内や上又は付随と、又はコア核酸内や上又は付随した両方に保存さている。
【0228】
いくつかの実施形態では、tRNA nuclionsは、特定のアプリケーションに必要な核酸の情報を含む、特定の塩基配列を有する一本鎖コアRNA分子を最初に合成することにより製造されています。このCNAはその後に、CNA上のヌクレオチドの連続したトリプレットに結合するアンチコドンを有する装填されたtRNA分子を用いて処理されるが、リプレットが自然の中でコドンの有効な配列を表示しているかどうかは無関係である。未結合のtRNAはそれから分離され、CNAのヌクレオチド配列は後の生物学的機能のための核酸情報を保持している完成nuclionsを残し、同時にribocapsid RNAの結合部位を提供する。別の実施形態では、tRNAを結合するCNAの上の最初の(最も5’)ヌクレオチドトリプレットは、開始tRNA分子を結合するイニシエーター配列(AUG配列を含むがこれに限定されない)です。
【0229】
いくつかの実施形態では、nuclionで核酸情報をパッケージ化することにより、ウイルスのキャプシド内のウイルスゲノムのパッケージとは異なり、この情報を保護しそしてその意図された標的への送達を容易にすることができる。しかしながら、nuclionカプシドは実質的に核酸から構成されているものの、ウイルスカプシドは実質的にタンパク質から構成されている。いくつかの実施形態では、nuclionsにおける核酸情報のパッケージングは、ビリオンのパッケージ化核酸情報に比べて重要な利点を提供することができます。例えば、トランスファーRNAなどribocapsidサブユニットを含むnuclionsはビリオンよりも実質的に免疫原性が低くすることができ、これは1つには、ウイルスに用いられるタンパク質のキャプシドは、一般的に、人間のような高等生物における細胞性及び液性免疫システムによって実質的に強い反応を引き出すということによる。nuclionが、’トロイの木馬’伝達アプローチともいうべき、そのような宿主の防御システムをうまく回避できるように、この免疫応答がウイルスとそのゲノム核酸情報の阻害や減少につながることができます。この実施形態では、ホストは、投与された( ’非自己’)nuclionを、まるでホスト(“自己“)物質のような扱い、その配信された核酸情報の少なくとも部分又はのかなりの部分を許容する。いくつかの実施形態では、tRNAのnuclion中の核酸は、埋め込 まれた核酸情報のその後の処理と活性化を促進する形で標的細胞に提示されます。 特定の実施形態では、標的となった細胞では、細胞工程の正常な部分としてnuclion構造をみなし、それゆえ、それらを転写するために(いくつかの実施形態において)、翻訳するために(いくつかの実施形態の場合)作用し、そうでなければ(他の実施形態では)埋め込まれた核酸情報を実装する。
【0230】
いくつかの実施形態では、nuclionは、シェルなしコア核酸の1つ以上の部分を残して、ribocapsidによりコア核酸が部分的カプセル化されるように製造されています。一実施形態では、それはコア核酸の一部が他の分子又は細胞成分との相互作用のために利用可能であることを望まれる場合には、とりわけこの戦略を採用しています。別の実施形態では、nuclionシェル外側のコア核酸の一部が、細胞標的に結合するアプタマーとして機能したり、あるいはそれに接続しており、それ故、関連する実施形態では、標的到着で活性化されるシェル内に核酸を伝達する。別の実施形態では、ribocapsidシェル外側コア核酸の部分は、シェル外側に実質的に二本鎖RNA構造を形成するために、投与前に別のRNA分子を結合する一本鎖RNAである。一実施形態では、この二本鎖RNAは、干渉RNAとして機能するように長さ、構成、及び修飾状態である。いくつかの実施形態では、コア核酸のバランス周りのシェルは、それによってその目的の標的に干渉RNAの標的化を容易にして、全体nuclionための伝達媒体として機能します。別の実施形態では、ribocapsidシェル外側コア核酸は、細胞動作を変更するために設計されたアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、一方、nuclion構造は、活性成分の安定性を向上させ、所望の組織への薬物送達を増加させる。
【0231】
製造上の考慮事項
nuclionの単離と合成の効率や収量に影響を与える要因は多数あります。いくつかの実施形態では、nuclion特定の種類の重要な製造上の配慮は、コア核酸コアや原材料として使用されてribocapsid核酸の安定性である。
【0232】
いくつかの実施形態では、tRNA分子とアミノアシル化(装填)tRNAの付着されたアミノ酸間の結合は、特定の環境化(Putz et al., 1997, Nucleic Acids Res., 125:1862)で、自由溶液中で僅か20−30分の半減期かもしれず、アミノ酸はすぐ解放される。一実施形態では、アミノアシル化tRNAテールはコネクタサイトであるtRNAのnuclionsの生産に用いる製造工程は、完了nuclionsに組み込まれたアミノアシル化tRNA分子の経済的に合理的な収量を達成するために完全に十分に速くなります。アミノアシル化tRNAから製造されたtRNA nuclionsのいくつかの実施形態では、成長nuclionは、アミノ酸なしの非装填tRNA分子を区別する傾向があり、そこで、全体的な収量の減少にもかかわらず、そのようなtRNAのnuclionの純度が大幅に低減されず、十分資格のあるアミノアシル化tRNAがnuclion会合を適切に完了するにために残ることになる。いくつかの実施形態では、一度これらのアミノアシル化tRNAがnuclionに組み込まれると、隣接のtRNA上のリンクサイトで行われたアミノアシル化結合が安定化され、アミノアシル化tRNAの半減期が大幅に延長されます。いくつかの実施形態では、しかしながら、ribocapsidセグメントの最初の(最も5’)tRNAのアミノアシル化結合は、通常それほど保護されていないので、シャイン・ダルガーノ配列に限定せずそのようなmRNA構造への結合など実施形態の例にある他の方法で安定化されるまで、その半減期は比較的短いままである。自然界では、開始因子と特定のmRNAの構造は、このような安定性を提供できる。nuclion製造の一実施形態では、アミノ酸が最初のtRNA(必ずしもそうではありませんが)上に保持される必要があるところでは、代替の結合は(アミド結合を含むがこれに限定されない)を利用した。
【0233】
nuclion製造に関連するいくつかの実施形態では、コア核酸は第一に実質的に固相支持体に結合された(に結合するが、吸着、吸収、アビジン−ビオチン結合、ハプテン−抗体結合、共有結合、イオン結合、そのような支持上のコア核酸を実質的に固定化するいかなる他の方法を含み、これらにいは限定されるものではない方法による)。ribocapsid核酸はその後実質的にコア核酸に結合しするために加えられ、そしてコア核酸に結合していないribocapsid核酸はその後実質的に除去される。最後に、会合されたnuclionsは、実質的に固相から削除されます。生化学、生物学、製薬、化学技術分野における当業者は、このような固相材料から、投与、吸着、結合、溶出及びそれらへの核酸分子や複合体の分画に用いられている方法に精通しています。一実施形態では、ビオチンがコア核酸に接続又は結合し、そしてストレプトアビジンカラムは、固相支持体として使用されています。関連する実施形態においては、T7 RNAPの基質であるビオチン修飾GMPの誘導体の存在下で、このRNAの転写を行うことにより、5’末端に結合したフォト開裂性のビオチン基によりコア核酸は最初に調整された。つまり、nuclionsが会合し、そその後、混合物は、ストレプトアビジンセファロースを通し、洗浄操作を経て、そして、精製されたnuclionは適正な波長の一定の光量への暴露により固定支持体から回収される。別の実施形態では、ハプテン分子は、コア核酸に接続したり結合し、そしてハプテンに特異的なモノクローナル抗体は固相に結合する。別の実施形態では、コア核酸に特異的なモノクローナル抗体は、固相に結合する。
【0234】
いくつかの実施形態では、このようなnuclion会合に用いる固相物質は、シリカ基盤あるいはシリカ被覆物質、ベンゾイル化イオン交換物質、DEAEセルロース、樹脂、プラスチック、金属、ヒドロキシアパタイト、磁気材料、ガラス、プラスチック、ナイロン、セルロース、ゲル、セファロース、アガロース、ストレプトアビジンカラム、そのような物質の改変された構築物、を含むがこれらに限らない天然又は非天然の物質である。nuclionsのそのような固相会合に用いる方法論としては、バッチ化学、遠心分離、カラムクロマトグラフィー、磁気分離、温度勾配、溶媒グラジエント、塩勾配、pH勾配、電気泳動、濾過、又は固相に結合した物質から未結合物質を分離する他の方法あるいはその逆の方法を含むがこれらに限らない。
【0235】
固相nuclion会合の一実施形態では、コア核酸は、望ましいが必須ではないコア核酸の3’末端の近傍に、ポリ(A)配列を含むように単離又は製造されています。固相は、ポリAテイルを有するRNAのみが実質的に樹脂に結合するように、デオキシチミジンのオリゴ(dT)オリゴマーが付着されている樹脂である(Aviv et al., 1972, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 69:1408)。この樹脂はコア核酸と共に充填され、その後、溶液やribocapsid核酸の溶液又は溶液にさらされた(例えば、tRNAやアミノアシル化tRNAなどのそのような核酸、ただしこれらには限定されない)。未結合のribocapsid核酸は、溶出、遠心分離、磁気分離、又は他の手段によって樹脂に結合したnuclionsから分離される。その後nuclionsは、樹脂の化学的又は物理的環境を調整することによって、又はそのような樹脂にあるそれらの結合部位からnuclionsを置換するオリゴヌクレオチドなどの分子を導入することにより、樹脂から遊離される。オリゴ(dT)セルロースカラムのクロマトグラフィーは、ポリ(A)配列を含むコア核酸から会合したnuclionsの大規模調製の一実施形態である。ほとんどの真核生物の細胞質内のメッセンジャーRNAはポリ(A)テイルを有しているが、細菌や真核生物の関連する細胞内小器官にあるmRNAはそうではないという点には、留意すべきである。従って、このようなオリゴ(dT)カラムの使用は、動物やヒトなどの真核生物での使用にnuclionsとribocapsidsを調整のための一実施形態である。
【0236】
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドはribocapsid形成(’CNAプローブ“)のために意図されていないコア核酸(’CNA’)の一部に相補的に合成される。その後、CNAプローブは固相支持体又は他の分離装置に固定されるが、先に、ribocapsidサブユニットの結合部位を露出した状態で、コア核酸をその支持体又は装置に適用する。未結合のコア核酸が除去され、ribocapsidサブユニットはnuclionsを形成するためにそのカラムに適用され、その後、非結合サブユニットが除去される。最後に、会合したnuclionsはnuclionsの整合性を保持する方法を用いて、CNAとCNAのプローブ間の結合を阻害することによって溶出される。一実施形態では、ビオチンは、CNAプローブに共役している。ビオチンを共役させたCNAプローブはストレプトアビジンカラムに固定される。コア核酸はその後、CNAの一部がCNAプローブに結合すると、カラムに適用されます。ribocapsidサブユニットはその後、会合したnuclionsを固相により保持されると、カラムに適用されます。最後に、会合したnuclionsはCNAと固定化された相補的ポリヌクレオチド間の結合を切断することによってカラムから溶出される。いくつかの実施形態では、間接的にCNAを固定するためのCNAプローブの使用は、部分的には、CNAを直接固定化するための貴重な代替手段を提供しているが、これは、1つには、前者の方法の使用が、後者で用いたものとは異なる方法で最終段階の溶出を行うことが理由である。
【0237】
会合したnuclionsの単離、精製の適用できる別の実施形態では、Chinaliの方法に従ってEF−Tuは又はeEF1Aのような伸長因子が固相マトリックスにリンクされて、カラムが調製される(Chinali, 1977, J Biochem. Biophys. Methods, 34:1)。固形物質に固定されたEF−Tu(又はeEF1A)分子は、nuclionのribocapsidシェルでtRNA分子に結合し、他の材料からnuclionsの分離を可能にします。一実施形態では、当業者に公知の方法(たとえば、カラム内のセファデックスゲルろ過)により、Nuclionsに結合していないtRNA分子が混合物から最初に除去される場合、EF−Tu(又はeEF1A)カラムは、エンベロープれていないnuclionsを分離するのに有用な方法を提供する。
【0238】
EF−Tu(細菌及び真核生物における関連する細胞小器官)とeEF1A(真核生物の細胞質内)などの細胞内に存在する特定の伸長因子タンパク質が高濃度である場合、いくつかの実施形態では、天然資源から単離されたnuclionsのかなりの部分は、このようなタンパク質により包まれているかもしれません。いくつかの実施形態では、このようなエンベロープnuclionsが存在しこれに対処するために、天然資源からnuclionsを単離する際には、特別な手順が組み込まれている。一実施形態では、高分子量のエンベロープnuclionsは、まず結合していない低分子量の伸長要因から単離される(例えばゲルろ過、遠心分離又は沈殿によるが、これらに限定されない)。一実施形態では、この高分子量分画は、適用可能な伸長因子(EF−Tu又はeEF1Aを含むがこれらに限らない)に特異的なモノクローナル抗体が事前に共役された固相担体を含むカラムに適用されます。エンベロープnuclionsがカラム上の抗体に結合する可能性から条件が選択され、不純物はカラムから洗い流される。次にカラムの化学、pH、温度やその他の条件の変更を適用することによって、エンベロープnuclionsは、モノクローナル抗体から切り離され、カラムから回収される。
【0239】
nuclion精製のいくつかの実施形態では、他の材料からnuclionsとエンベロープnuclionsを単離するために電気泳動が使用される。 電気泳動を使用するいくつかの例は、“Nuclion製造“と題する項目に提示されている。いくつかの実施形態では、このような電気泳動方法論は、他の材料からnuclionsの単離度を向上させるために、温度勾配を含むがこれに限定されない他の技術を組み合わされている。
【0240】
nuclion会合の別の重要な考慮事項は、ヌクレアーゼに対するRNAの感受性です。一実施形態では、nuclions又はエンベロープnuclionsが、天然資源から単離されたとき、分子生物学の当業者に周知の方法を用いて、リボヌクレアーゼが急速に不活性化される順序でそれらは処理されます。一実施形態では、細胞の破壊に続き、それらは直後また迅速に回収されます。別の実施形態では、リボヌクレアーゼ阻害剤は、リボヌクレアーゼを不活性化するために回収後に追加されます。別の実施形態では、nuclionsが天然又は非天然の原料から合成的に会合されるとき、その原料はリボヌクレアーゼを実質的に含まないように調整されるか、又は現存リボヌクレアーゼが十分に不活性される。いくつかの実施形態では、nuclionsの製造及び精製に用いた溶液及び機器は、リボヌクレアーゼ活性を実質的に含まない。
【0241】
いくつかの実施形態において、一つ以上の間接的な部分画方法論を使用することにより、他の細胞成分から単離又は他のnuclionsから単離されて、天然資源から天然nuclions又は天然エンベロープnuclionsを単離できる。
【0242】
いくつかの実施形態では、天然資源からnuclions又はエンベロープnuclionsを単離する際の別の考慮事項は、コア核酸を形成するために使用されるメッセンジャーRNAの半減期は比較的短い場合があることです。細菌や関係する真核生物細胞小器官におけるmRNAの半減期は、平均的には、真核生物の細胞質内のmRNAの半減期よりも実質的に極めて短い。その上、ほとんどの真核生物のmRNAはモノシストロンあり、そして短くすることができるのに対し、細菌における成熟mRNAはしばしばポリシストロンである。いくつかの実施形態では、これらの違いの正味の影響は、一定の条件下で、と真核生物の供給源から単離されたnuclionsやエンベロープnuclionsは、細菌源からのものとは別の処理を必要とすることです。
【0243】
いくつかの実施形態では、製造工程で続いているnuclionの特定の種類のribocapsid会合の優先順位があります。一実施形態では、コアRNAとribocapsidアミノアシル化−tRNAから製造されたtRNA nuclionsは、CNA上のribocapsid領域の5’末端のコドンにある装填されたtRNAで会合が開始され、その後5’から3’方向にあるribocapsidへ装填されたtRNAを付加することにより、ribocapsidは徐々に伸長され、その後、付加される最後の装填されたtRNAはCNAの上ribocapsid領域の3’末端のコドンに結合される。他の実施形態では、tRNAの付加のような配列は必要ではなく、あるいは望ましいくはない。他の実施形態では、1つのコア核酸上の複数のコドンがtRNAの同じ種に特異的である場合は、このような進行性のtRNAの付加は、実用的でもなく又は望ましくないないかもしれない。いくつかの実施形態では、コア核酸及び同族ribocapsid核酸の適切な混合物を提示された際には、nuclionは自動的に会合する。
【0244】
モル比とnuclion収率
いくつかの実施形態では、コア核酸分子に対するribocapsid分子の一定のモル比を実質的に達成、維持、あるいは超過することが、nuclionsを製造する際に望ましい。例えば、tRNAのnuclionsを製造するいくつかの実施形態で、10−15μM濃度の製剤でのtRNAと 0.05−0.3μM濃度のコア核酸をそれぞれ用いることが望ましい。いくつかの実施形態では、そのような条件が採用され、そしてtRNA:CNAのモル比が50:1のとき、CNAの約75%がnuclionsに変換されます(つまり、’nuclion収量’は75%であること)。他の実施形態では、モル比が200:1に上昇させると、このnuclion収率は95%以上に増加します。いくつかの実施形態では、与えられたnuclion収率を達成するために必要なモル比は、反応液のpHや温度同様に、使用された特定のtRNA及びCNA、緩衝液に存在する一価、二価、及び多価の陽イオンの濃度、に応じて変化する。
【0245】
同種及び異種の調整
いくつかの実施形態では、製造業者は、特定のアプリケーションのための設計と機能仕様に従って、nuclionsとribocapsidsの同種又は異種のいずれかの試料を生成するために選択できます。いくつかの実施形態では、コア核酸(’CNA’)の安定性は、コア核酸分子のtRNA ribocapsidサブユニット分子の比率(’tRSM’)が変化する異種nuclion調整を製造することによって、十分に増加される。例えば、一実施形態では、所定のコア核酸は、所定の条件下で、tRNA ribocapsidサブユニットの所定のセットと混合され、その際、会合したnuclionsは全ての同じコア核酸を持っていますが、tRSM/CNA比は4から6まで変化する。すべての3つのnuclionカテゴリ(4、5と6のtRSM/CNAの比)にあるnuclionsは、その後、意図された目的のために異種の調整として回収され、精製され、使用される。
【0246】
他の実施形態では、それは別RSM/CNA比を持つnuclionsから特定のRSM/CNA比を持つnuclionsを分離することが望ましい。例えば、一実施形態では、所定のコア核酸は、所定の条件下で、tRNA ribocapsidサブユニットの所定のセットと混合され、会合したnuclionsは、すべて同じコア核酸を持っていますが、tRSM/CNA比は4から6まで変化する。tRSM/CNA比が5のnuclionsは、その後、意図された目的のために均質な調製物として回収され、精製され、使用される。
【0247】
nuclionsのさらなる分離・精製するための方法は、本書面上での他の箇所に記載されており、いくつかの実施形態では、これらの方法はnuclionsの異質と同質な調整に適用されます。いくつかの実施形態では、nuclionsの分離に適用可能な方法の例としては、調整用ゲル電気泳動、ゲル濾過、高速タンパク質液体クロマトグラフィー、ショ糖密度勾配による超遠心分離法を含むがこれらにはに限定されない。いくつかの実施形態では、ゲル電気泳動は、優先されるnuclionの分離法である。一実施形態では、このnuclion分離法は、5mMのMgCl
2含む90mMトリス−ホウ酸pH8.3の緩衝液で、7.5−15cmの長さの非変性12%ポリアクリルアミドゲルに、nuclionsの異種調整を適用することによって実装される。ゲルの幅と厚さ(0.15〜2.0ミリメートル)に応じて、数μLから数mLの範疇でnuclion調整物は、ゲルに適用することができます。ゲルにロードする前に、その反応物は、20%グリセロール、0.25%ブロモフェノールブルー、0.25%キシレンシアノールなどからなる0.1体積の溶液が混合される。ブロモフェノールブルー指示薬がゲルの底に到達するまで電気泳動は、その後、室温又は低温室で行われる。CNAが放射性標識されている場合は、分離されたnuclionsが(tRSM/CNA比で変動する)オートラジオグラフィー又は蛍光イメージによって可視化され、そうでなければ、UVシャドウイングが使用されます。注目する各バンドをゲルから切り出し、nuclionは電気溶出又は任意の緩衝液に単純な抽出によって回収される。異なる実施形態では、調整されたnuclionsの性状、ゲル中のアクリルアミドパーセンテージ、及び実行中の緩衝液の組成に応じて、電気泳動の時間は(インジケーターがゲルの底に到達した時点で決定される)変化する。
【0248】
二価の陽イオンとマグネシウム濃度
一つ以上の二価の陽イオンを所定の濃度を実質的に達成、維持、あるいは超えることが、nuclionsを製造する際に、望まれる。いくつかの実施形態で、二価の陽イオンは、好ましくはマグネシウムイオンである。いくつかの実施形態では、nuclion形成が二価の陽イオンの非存在下で行われることがあるが、他の実施形態では、マグネシウムイオンの存在が、収量を増強させる。二価陽イオンの非存在下で試行されたnuclion会合に対して、いくつかの実施形態でのnuclion収量は、10mMのMgCl
2の存在下で40%と、それらの実施形態では飽和状態に近い80mMのMgCl
2の存在下で、60%増加している。従って、tRNA nuclionsを製造するいくつかの実施形態で、40から80mMのMgCl
2濃度を維持することが望ましい。
【0249】
温度
いくつかの実施形態では、所定の温度を実質的に維持するか、又は越えることが、nuclionsを製造する際に、望まれる。例えば、いくつかの実施形態において、同一の反応が37℃と氷浴中で行われると、反応の速度及び程度の両方がより高い温度で大きくなる。従って、tRNA nuclionsを製造する際に、いくつかの実施形態では、25〜37℃の所定の温度で反応を行うことが望ましい。他の実施形態では、所定の温度以下に製造温度を維持することが望ましい。
【0250】
架橋とソラレン
いくつかの実施形態では、nuclionsを製造する際に、会合したnuclionsの安定性を向上させることが望ましい。いくつかの実施形態において、このことが、一つ以上のnuclion成分を架橋することによって達成される。いくつかの実施形態では、所定の架橋剤が、別のRNA鎖上の2つの塩基間で共有結合を導入するために採用される。その鎖は、塩基対であったり単に近接しているものもある。いくつかの実施形態では、架橋剤は、効率的、迅速、かつ可逆であるた、全体のnuclion構造を破壊しないものであるべきである。例えば、二官能性のナイトロジェンマスタードは非効率的な架橋剤であり、そして非可逆的な結合を導入する。しかし、同じ鎖上隣接するGに反応するシスジアミノジクロロプラチニウムは、鎖間架橋を導入しない。ホルムアルデヒドは、優れた二官能性の架橋剤であるが、ワトソン・クリック型決定基と反応し、そして、いくつかの二本鎖DNAとRNAを変性する。これとは対照的に、いくつかの実施形態では、ソラレンは、nuclion構造の安定化のための望ましい光化学架橋剤を表す。これらの化合物は、RNA−RNA二重鎖を含む二本鎖核酸中に挿入し、近紫外光の存在下で、二本鎖のA−U又はU−A配列中の2つのウリジン間に共有結合を形成する。いくつかの実施形態では、フォトクロスリンクは、迅速かつ効率的であり、結果得られた架橋は260 nmの光への照射によって、簡便に光逆転させることができます。例えば、いくつかの実施形態では、nuclionの一部である一つ以上のtRNAがAU又はUAを有するアンチコドンベアリングを持つ限り、ribocapsidサブユニットのアンチコドンとコドン核酸のコドンでは、ソラレンにより光架橋できる。代表的なソラレンは、いくつかの実施形態では、4,5’,8−トリメチルソラレン、8−メトキシ、4−アミノメチル−4,5’,8−トリメチルソラレンを含む。他の実施形態では、nuclion成分の所定の架橋のために、異なる方法を採用している。いくつかの実施形態では、架橋は、nuclion複合体におけるコア核酸として組み立てられた活性核酸成分の半減期を、増加させるために望まれる。他の実施形態では、架橋の必要はない。
【0251】
実施例11:基本nuclionの製造
一実施形態では、のMet−tRNAeMet ribocapsidのサブユニットから構成されるtRNA nuclionは、以下のように製造される:15μMのMet−tRNAeMet及び0.15μM コアmRNA(9連続したAUGのコドン;5’−GGG−
AUG−AUG−AUG−AUG−AUG−AUG−AUG−AUG−AUG−CUU−UCU−AGG−CAC−ACG−AGA−3’配列番号:3)は、2mLの50mMトリス−HCl pH7.5、80mMのMgCl
2(’X1反応緩衝液’)で37℃で10分間保温する。この方法により製造された製品は、基本的nuclionの一例です。
【0252】
この基本nuclionを精製するためには、nuclionsを過剰のtRNAから精製できるように、CNAにデスチオビオチン群を追加することが有利である。mRNAが化学的に合成されている場合、デスチオビオチン群は、合成時にRNAの3’末端に直接共役することができます。それ以外の場合は、mRNAが転写によって調製されている場合、自身がデスチオビオチンに連結されている相補的なDNAオリゴヌクレオチドにハイブリダイズできる(例えば、5’−デスチオビオチン−TCTCGTGTGCCTAGAAAG−3’:配列番号:4)。mRNAの5’末端は、γ
32P−ATP存在下でT4ポリヌクレオチドキナーゼにより、必要ならエビアルカリホスファターゼで事前処理することにより、状況に応じて放射性標識することができます。
【0253】
nuclionsのアフィニティー精製はデスチオビオチンに相対するビオチンに対するストレプトアビジンの親和性の差を利用しています。関連する実施形態において、nuclion形成後、反応溶液は、いくつかのウルトラフリー−MCフィルターカートリッジ(ミリポア社製)の上部カップにストレプトアビジン−セファロース(GE Healthcare社製)と混合される。10分間保温した後、カートリッジは、水溶液を除去するために、10,000rpmで10秒間遠心分離される。そのセファロースは、いかなる遊離tRNAを排除するために二回洗浄される。CNAと関連したnuclionsは、デスチオビオチンよりも、ストレプトアビジンに対してより高い親和性を持っている遊離ビオチンの添加により、ストレプトアビジン−セファロースからはずれる。これ及び他のいくつかの実施形態では、すべての精製工程は5℃ から10℃で反応緩衝液X1で実施されることに注意してください。
【0254】
電気泳動分析がnuclion製剤中の不均一性を示していた場合、個々の多量体は、通常、ゲル濾過クロマトグラフィーによって解決できます。いくつかの実施形態では、4−アミノメチル−4,5’,8 −トリメチルソラレンの存在下で、近紫外光への曝露により、コドン−アンチコドンのトリプレットを光化学的に架橋することで、ribocapsidサブユニットを共有結合的に安定させることは有利である。
【0255】
実施例12:開始nuclionの製造
一実施形態では、混合されたribocapsid配列を持つtRNAが開始nuclionは、fMet−(Phe)3−Cys−Phe−Cysをコードして上流にシャイン・ダルガーノ配列(5’−GGGA
AGGAGGUAAAA−AUG−UUU−UUU−UUU−UGC−UUU−UGC−UAG−GCA−3’;配列番号:5)を含む0.15μMのCANと、それぞれ15μMのfMet−tRNAiMet、Phe−tRNAPhe及びCys−tRNACysを保温することによって製造される。反応物は、2mLの50mMトリス−HCl pH7.5と80mMのMgCl
2で、37℃で10分間保温された。この結果得られた開始nuclionの精製は、実施形態11に記載されている。この方法により製造された製品は、開始nuclionの一例です。
【0256】
実施例13:天然nuclionの単離
一実施形態では、天然のtRNA nuclionは、in vitro翻訳を触媒できる人間の無細胞抽出液から単離されています。このような抽出物は、外因的に添加されたmRNA上のribocapsid形成をサポートするために、装填されたtRNAの十分な量を含んでいる必要があり、そしてその抽出物はPierce社とAvidity社の両方から市販されている。この実施形態では、βアクチン又はその一部をコードするin vitro転写産物が、そのような抽出物に添加される。使用前に、そのmRNAは、放射性標識されるか、あるいはデスチオビオチンを有する相補的なDNAオリゴヌクレオチドへハイブリダイズされる、あるいはこの両方で処理され、こうして検出及びアフィニティー精製を容易にさせる。mRNAが放射性標識されている場合は、標準的な電気泳動又はクロマトグラフィー法により、nuclion形成について直接分析することができる。mRNAがデスチオビオチン親和性タグを持つ場合、別の方法として、実施形態11で説明したように、それらをストレプトアビジン−セファロースを用いて精製することができる。
【0257】
一実施形態では、未修飾βアクチンmRNAの添加は、新鮮に溶解したヒト細胞から、内因性のmRNAのnuclionsを単離、特徴付けをできるかどうかに関する試験を提供する。この実施形態では、βアクチンmRNAが、コード配列の5’又は3’に位置したmRNAの領域へ相補的なデスチオビオチンを共役したDNAオリゴヌクレオチドと一緒に追加されます。保温中、nuclion形成とハイブリダイゼーションの両方が実施され、そこで、得られたmRNAを親和性で単離できる。電気泳動又はクロマトグラフィー分析後、DNA捕捉プローブの放射性標識を取り入れたり又はノーザンハイブリダイゼーション等の例により、mRNAの検出が促進される。最後に、βアクチンmRNAを単離する前に、追加される安定性のために、ソラレンでの光架橋によりnuclion構造は固定される。3’及び5’非翻訳領域を含むヒトのβアクチンのmRNA配列は、Ponte達によって記載されている(Ponte et al., 1984, Nucleic Acids Research 12: 1687)。
【0258】
この工程由来の製品は、単離されたnuclionの一例です。
【0259】
対応特許と範囲
当業者が認識するか、又は通常の実験以上のものを使用して確認できるように、本発明の特定の実施形態に対する多くの対応特許は、本書面上でに記載する。本発明の範囲は上記の説明に限定されることを意図しているのではなく、付記の特許請求の範囲に記載されている。
【0260】
この請求内で、’a’、’an’、及び’the’のような記事は、1つ以上を意味し、別の指示がなければ、あるいはそれ以外は文脈から自明である。従って、例えば、’nuclion’への参照は、そのような複数のnuclionsを含み、そして’tRNA’への参照は、当業者に知られている1つ以上の細胞への参照を含み、その他いろいろである。群にある1つ以上のメンバー間に’又は’や’あるいは’を含む請求項又は記述は、1つ、1つ以上、あるいは全ての群メンバーが、指示がない限り文脈から明らかに、特定の産物又は工程に、存在したり、採用されたり、又はそうでなけれが関連している場合には、満足とみなされる。本発明は、その群から選ばれる正確に1つのメンバーが、特定の製品又は工程に、存在し、採用され、又はそうでなければ関連している実施形態を含む。本発明は、1つ以上あるいは全ての群メンバーが、特定の製品又は工程に、存在し、採用され、又はそうでなければ関連している実施形態を含む。さらに、当然のことながら、本発明は、1つ以上の記載されている請求項からの1つ以上の制限、要素、節、記述用語、その他諸々、が他の請求項に導入される、すべての変形、組み合わせ、複合、及び置換を網羅している。たとえば、他の請求項に依存しているすべての請求項は、同じ基本請求項に依存している他の請求項で発見された1以上の制限を含むように変更することができる。さらに、請求項は、組成を列挙する箇所では、特に明記しない限り、あるいは当業者には、矛盾や不正確さを生じることが明白である場合を除き、本書面上で開示されたいずれかの目的のための成分を使用する方法は含まれており、本書面上で開示された製造方法に従いその成分を製造する方法あるいは当業者に周知の他の方法は含まれていると理解するべきである。
【0261】
要素がリストとして表示されている箇所では、例えば、マーカッシュ群形式で、その要素の各サブ群も開示されており、任意の要素が、その群から削除することができる、と理解するべきである。一般的に、発明、又は発明の側面が、特定の要素、特徴から構成されるあるいは含むものとして参照されいている箇所では、本発明又は発明の側面の特定の実施形態は、特定の要素、特徴等を構成する、あるいはそれらの本質的要素を構成する、と理解するべきである。簡素化の目的のために、それらの実施形態は本書面上にこれらの言葉では記載されていない。用語“構成する“と“含む“は制限のないことを意図し、そして追加の要素や工程の包含を可能にすることに留意されたい。
【0262】
範囲が示されている場合は、終点が含まれている。さらに、特に断らない限り、又は文脈そして当業者の理解から明白でない場合、範囲として表現されている値は、任意の特定の値又は本発明の異なる実施形態に記載された範囲内のサブ値を、文脈から明らかでない限り、範囲の下限の単位の10分の1に想定できる、ことを理解すべきである。
【0263】
また、先行技術の範囲内にある本発明の任意の特定の実施形態は、明示的に請求項のいずれか一つ以上から除外することができることを理解すべきである。このような実施形態は、当業者に周知と見なされるので、それらは除外が明示的に本書面上に記載されていない場合でも、除外される。本発明の成分(例えば、任意のnuclion組成、任意のribocapsid組成、任意のnuclion成分、任意の修飾、nuclionsやribocapsids又はnuclion成分を製造する任意の方法、nuclionsやribocapsids又はnuclion成分などの任意のアプリケーション)の任意の特定の実施形態は、先行技術の存在に関連するかどうかにかかわらず、何らかの理由で、任意の1つ又は複数の特許請求の範囲から除外することができます。
【0264】
上記及び本書面全体で議論した刊行物は、本出願の出願日前に公開されたもののみ提供されています。本発明者らは、事前開示のおかげで、そのような開示に先行する権利を与えられないことを認めるものと解釈されるべきではありません。