(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6157400
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】ガス遮断装置
(51)【国際特許分類】
G01F 3/22 20060101AFI20170626BHJP
G01F 1/00 20060101ALI20170626BHJP
G01F 15/06 20060101ALI20170626BHJP
F23K 5/00 20060101ALI20170626BHJP
【FI】
G01F3/22 D
G01F1/00 Y
G01F15/06
F23K5/00 304
G01F3/22 B
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-84398(P2014-84398)
(22)【出願日】2014年4月16日
(65)【公開番号】特開2015-203672(P2015-203672A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2016年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000221834
【氏名又は名称】東邦瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩田 和希
(72)【発明者】
【氏名】岩本 龍志
(72)【発明者】
【氏名】浅野 一高
(72)【発明者】
【氏名】大和久 崇
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 守
(72)【発明者】
【氏名】小牧 充典
(72)【発明者】
【氏名】藤井 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】浅田 昭治
(72)【発明者】
【氏名】増田 雄大
(72)【発明者】
【氏名】西口 一弘
(72)【発明者】
【氏名】市川 貴雄
(72)【発明者】
【氏名】田光 敏文
(72)【発明者】
【氏名】山浦 路明
【審査官】
森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】
特公平7−37831(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F
F23K5
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部と通信する外部通信を行う外部通信部と、
外部通信部の端子が短絡状態にあることを判定する制御部と、
弁の開栓及び閉栓を行う弁駆動部と、
前記外部通信部を遠隔操作で短絡させる接続線と、を備え、
前記制御部は、前記弁駆動部が閉栓状態にあり、前記外部通信部の端子が短絡と判定すると、復帰操作として前記弁駆動部を開栓させることを特徴とする、ガス遮断装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記外部通信部からの設定により、前記外部通信部の端子が短絡時に復帰操作の有無を選択設定する、請求項1に記載のガス遮断装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記外部通信部の端子が短絡時に復帰操作有であるとき、短絡確定時間を任意に設定する、請求項2に記載のガス遮断装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記外部通信部の端子が短絡時の復帰操作設定を無効とする期間を設ける、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス遮断装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記外部通信部の端子が短絡時の復帰操作設定を解除する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガス遮断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部通信端子を持つガス遮断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、何らかの事象発生により流路が閉栓(遮断)されたメータに対して、作業者または需要家がメータにある復帰スイッチによって復帰操作を行うことが可能であった。また、外部の通信によって、メータに対して各種設定が可能であった。
【0003】
図3は、特許文献1に記載された従来の遮断弁内蔵型ガスメータの概略構成を示すものである。
図3に示すように、特許文献1に開示されている遮断弁内蔵型ガスメータ110は、外部通信部111と、復帰スイッチ112と、制御部113と、弁駆動部114と、から構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−40967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の構成では、ガスメータ110が高所に設置されている場合など、ガスメータ110にある復帰スイッチ112まで距離があるため、需要家または作業者による復帰操作が困難であった。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するためのもので、新たに遠隔復帰操作を行うための復帰装置を設けることなく、作業者または需要家による遠隔復帰操作を可能にするガス遮断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明のガス遮断装置は、外部から通信する外部通信部と、外部通信部の端子が短絡状態にあることを判定する制御部と、弁の開栓及び閉栓を行う弁駆動部と、前記外部通信部を遠隔操作で短絡させる接続線と、を備え、前記弁駆動部が閉栓状態にあり、接続線を用いて外部通信部の端子をショートさせ、前記制御部で短絡確定と判定されたら、復帰操作として開栓させるものである。
【0008】
これによって、遠隔復帰操作を行うための復帰装置を新たに設ける必要がなく、既存の構成のままで、作業者または需要家による遠隔復帰操作が可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のガス遮断装置は、新たに遠隔復帰操作を行うための復帰装置を設けることなく、需要家または作業者による遠隔復帰操作を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態1におけるガス遮断装置の構成図
【
図2】本発明の実施形態1におけるガス遮断装置のフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
第1の発明は、外部と通信する外部通信部と、外部通信部の端子が短絡状態にあることを判定する制御部と、弁の開栓及び閉栓を行う弁駆動部と、外部通信部の端子を遠隔操作で短絡させる接続線と、を備え、制御部は、弁駆動部が閉栓状態にあり、接続線により外部通信部の端子を短絡させ、短絡確定と判定したら、復帰操作として、弁駆動部に流路を開栓させる。これにより、遠隔復帰操作を行うための復帰装置を新たに設ける必要がなく、既存の構成のままで、作業者または需要家による遠隔復帰操作を行うことができる。
【0013】
第2の発明は、特に、第1の発明のガス遮断装置において、前記外部通信部からの設定で、制御部は、短絡による復帰操作の有無を設定することにより、短絡による復帰操作を禁止することができ、意図しない短絡による復帰操作を防ぐことができる。
【0014】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明のガス遮断装置において、制御部は、短絡確定までの時間を任意に設定する。これにより、短絡が発生している時間を適正に判定することができ、ノイズ又は瞬間的な短絡による誤判定を防ぐことができる。また、例えば、短絡時間を0に設定することで、短絡による復帰操作をバイパスすることができる。
【0015】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか1つの発明のガス遮断装置において、制御部は、短絡による復帰操作を無効とする期間を設ける。これにより、特定の期間でのみ、短絡による復帰操作が可能となり、意図しない期間で短絡が発生し復帰操作が実行されることを防ぐことができる。
【0016】
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか1つの発明のガス遮断装置において、制御部は、設定された短絡による復帰操作設定を解除させることにより、短絡による復帰操作設定を取りやめることができる。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるガス遮断装置の構成図を示すものである。
【0018】
図1に示すように、本実施の形態1に係るガス遮断装置は、ガスメータ10で構成されている。ガスメータ10は、流路が閉栓された場合に開栓を行う復帰スイッチ11、監視センタなど外部からメータの設定及び状態確認を行う外部通信部12、ガスメータ10の制御に必要な種々の演算処理を実行する制御部13、及び流路の開栓・閉栓を行う弁駆動部14を備えている。
【0019】
また、ガスメータ10に対しては、作業員が外部通信部12によって、必要なデータを相互に送受信することにより、メータに関する設定を行うことができる。例えば、後述する短絡確定時間は任意の時間幅(例えば、数秒等)で設定することができ、短絡による復帰操作実行の有無を設定することができる。なお、これらの設定は、電話回線等を介して外部との間で必要なデータを送受信することにより行うこともできる。また、時間設定の為の操作スイッチ(操作手段)を設けて、設定するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0020】
弁駆動部14は、ガスメータ10内に配管された図示しないガス流路の途上に設置されていて、何らかの異常が発生した場合に制御部13からの指示により流路を閉栓する。
【0021】
復帰スイッチ11は、閉栓してガスを遮断している弁駆動部14を再び開栓して使用できる状態に復帰させるためのスイッチである。この復帰スイッチ11が需要家又は作業員により押下されると、制御部13は復帰処理として、弁駆動部14を開状態とする。
【0022】
制御部13は、異常を検知した場合にガスの遮断又は警報を行い、また必要に応じて遠隔の監視センタにガスメータ10の使用状態又は警報内容等を通報する処理を実行する。
【0023】
接続線15は、外部通信部12の端子を遠隔で短絡させるものである。制御部13は、外部通信部12の端子を接続線15の先で短絡させ、通信短絡状態にすることで短絡による復帰操作を動作させる。
【0024】
次に、以上のように構成されたガス遮断装置について、その動作、作用を
図2のフローチャートを参照しながら説明する。
【0025】
以下に説明する処理は、制御部13のマイクロコンピュータにより、プログラムに従って実行される。
【0026】
制御部13は、監視センタから外部通信部12によって設定された短絡による復帰操作実行の設定有無の判定を行い(S01)、短絡による復帰操作設定なしの場合(S01でNo)は処理を終える。一方、制御部13は、短絡による復帰操作実行の設定有りの場合(S01でYes)、監視センタから外部通信部12によって設定させた短絡確定時間の判定を行う(S02)。
【0027】
制御部13は、短絡確定時間が0の場合は、短絡による復帰操作実行の設定をバイパスさせ、処理を終える(S02でYes)。一方、制御部13は、短絡確定時間が0ではない場合、すなわち、バイパス設定ではない場合、(S02でNo)、短絡による復帰操作実行の設定有りを確定させる(S03)。
【0028】
次に、制御部13は、短絡が発生している期間が、短絡による復帰操作可能期間かどうかの判定を行う(S04)。ここで、短絡による復帰操作可能期間とは、例えば、弁が閉栓していない期間、つまり開栓する必要のない期間などのことである。
【0029】
制御部13は、短絡による復帰操作可能期間ではない場合(S04でNo)は、短絡による復帰操作を実施せず、通常の通信短絡扱いとして、処理を終了する。一方、制御部13は、短絡による復帰操作可能期間中に外部通信部の端子が短絡した場合(S04及びS05でYes)、短絡が発生してから短絡が続行している時間である短絡時間と短絡確定時間との比較を行う(S06)。制御部13は、短絡時間が短絡確定時間以上である場合、短絡による復帰操作を行う(S07)。
【0030】
以上のように、本実施の形態では短絡による復帰操作有無を設定でき、短絡確定時間の設定によっても短絡による復帰操作設定バイアス有無を設定することができる。また、短絡による復帰操作の無効期間を設けることで、特定の期間でのみ動作させることができ、意図しない期間での短絡による復帰操作を防ぐことができる。さらに、短絡確定時間を設けることで、ノイズや瞬間的な短絡による誤判定を防止している。
【0031】
なお、短絡時機能バイパス設定のための短絡確定時間は0に限らず、任意の値を割当ててもよい。
【0032】
また、本実施の形態の外部通信部12によって、短絡による復帰操作の機能を解除することができる。これにより、短絡による復帰操作を設定解除することができる。
【0033】
なお、短絡による復帰操作の設定解除は外部通信部12による設定解除に限らず、あらかめ設定されている解除条件が成立したかどうかを制御部13で判断し、条件成立の場合に自動的に短絡による復帰操作の設定解除を行ってもよい。
【0034】
また、上述の説明では、メータの一例として、ガスの使用量を計るガスメータ10を例にとって説明したが、これに限られるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明に係るガス遮断装置は、遠隔復帰操作を行うための復帰装置を新たに設ける必要がなく、既存の構成のままで、作業者または需要家による遠隔復帰操作が可能となるため、有用である。
【符号の説明】
【0036】
10 ガスメータ(メータ)
11 復帰スイッチ
12 外部通信部
13 制御部
14 弁駆動部
15 接続線