特許第6157449号(P6157449)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツングの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6157449
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】投薬インターフェースアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/24 20060101AFI20170626BHJP
   A61M 39/22 20060101ALI20170626BHJP
【FI】
   A61M5/24 530
   A61M39/22
【請求項の数】14
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2014-506879(P2014-506879)
(86)(22)【出願日】2012年4月26日
(65)【公表番号】特表2014-515678(P2014-515678A)
(43)【公表日】2014年7月3日
(86)【国際出願番号】EP2012057694
(87)【国際公開番号】WO2012146678
(87)【国際公開日】20121101
【審査請求日】2015年4月16日
(31)【優先権主張番号】61/480,063
(32)【優先日】2011年4月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】11173280.6
(32)【優先日】2011年7月8日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ホルトウィック
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ・アレキサンダー・デービス
(72)【発明者】
【氏名】シモン・ルイス・ビルトン
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・ムーア
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ウィンペニー
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ナイジェル・ラングリー
【審査官】 佐藤 吉信
(56)【参考文献】
【文献】 特表平08−503874(JP,A)
【文献】 米国特許第05378233(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/24
A61M 39/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
−投薬インターフェースの内側本体(2000)と、
−マニホルド(2300)と
を備え、
−内側本体(2000)は、
−内側本体(2000)の遠位端(2002)から遠位針を受容するように構成された凹部(2044)と、
−第1の流体リザーバ(2050)および第2の流体リザーバ(2054)と
を備え、
−内側本体(2000)およびマニホルド(2300)は、第1の流体リザーバ(2050)および第2の流体リザーバ(2054)それぞれから凹部(2044)に流体連結をもたらすチャネルが形成されるように組み立てられ、
−マニホルド(2300)は、
マニホルドの表面上の構造として含み、流れの方向を変えるように構成された充填ブロック(2314)と、
−充填ブロック(2314)と流体連結をもたらすように構成された流体溝構成(2318)と
を備え、
−第1の流体リザーバ(2050)および第2の流体リザーバ(2054)それぞれから凹部(2044)への流体連結が、流体溝構成(2318)および充填ブロック(2314)を介してもたらされ、
−内側本体(2000)は、
平坦面(2082)を備える遠位ネック部分(2080)と、
凹部(2044)に流体連結するキャビティ(2060)を備え、そのキャビティ(2060)は、凹部(2044)によって定められた軸上に配置され、
−凹部(2044)は、遠位ネック部分(2080)に沿って上部の平坦面(2082)からキャビティ(2060)に向かって内部に延びる、装置。
【請求項2】
充填ブロック(2314)は、突出部を備え、内側本体(2000)およびマニホルド
(2300)は、キャビティ(2060)が充填ブロック(2314)を受容するように組み立てられる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
突出部は、キャビティ(2060)の容積の半分より多くを充填するように構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
内側本体(2000)は、投薬インターフェースの外側本体と締まり嵌めを形成するように構成された少なくとも1つの外側突出部材(2006、2014)を備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
内側本体(2000)は、平坦面(2040)を備え、凹部(2044)は、その平坦面(2040)の対称面上に配置され、その対称面は、内側本体(2000)の長手方向軸に平行である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
第1の流体リザーバ(2050)および第2の流体リザーバ(2054)は、平坦面(2040)の対称面に対して対称的に配置される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
チャネルは、マニホルド(2300)と内側本体(2000)の境界に形成される、請求項5または6に記載の装置。
【請求項8】
内側本体(2000)は、第1の開口(2070)と第2の開口(2074)とを備え、各開口は、第1の流体リザーバ(2050)および第2の流体リザーバ(2054)へのそれぞれの流体連結をもたらすために、それぞれ第1の近位針および第2の近位針を受容するように構成される、請求項5〜7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
第1の開口(2070)および第2の開口(2074)は、平坦面(2040)の対称面に対して対称的に配置される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
内側本体(2000)の遠位端(2002)に配置された針ガイド(3000)を備え、針ガイド(3000)は、針凹部(3010)を備える、請求項1〜9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
針ガイド(3000)は、遠位針を凹部(2044)に位置合わせするように構成される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
内側本体(2000)の遠位ネック部分(2080)の平坦面(2082)に沿って配置され、針ガイド(3000)を通る針を受容するように構成された穿刺可能セプタム(2900)を備える、請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
セプタム(2900)に亘って、および内側本体(2000)の遠位ネック部分(2080)の外径に亘って配置されたフェルール(2800)を備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の装置を備える薬物送達デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、別個のリザーバから少なくとも2つの薬物を送達するための医療デバイスに関する。このような薬物は、第1および第2の薬剤を含むことができる。医療デバイスは、自動的に、またはユーザにより手動で薬物を送達するための用量設定機構を備える。特に、本発明は、そのような医療薬物送達デバイスの投薬インターフェースのための部材アセンブリに関する。
【0002】
医療デバイスは、注射器、例えば、手持ち式注射器、特にペン型注射器で、1つまたはそれ以上の多用量カートリッジから医薬品を注射することにより投与を行う種類の注射器であり得る。特に、本発明は、ユーザが用量を設定することのできる、このような注射器に関する。
【背景技術】
【0003】
薬物を、2つまたはそれ以上の多用量リザーバ、コンテナまたはパッケージに含むことができ、これらは各々が独立した薬物(単一の薬物化合物)または予混合された(共処方された複数の薬物化合物)薬物を含む。
【0004】
ある病気の状態には、1つまたはそれ以上の異なる薬剤を使用する治療が必要である。一部の薬物化合物は、最適な治療用量を送達するために、互いに特定の関係で送達される必要がある。本特許出願が特に有利となるのは、併用療法が望ましく、しかし限定されないが、安定性、治療効果の低下、毒性等の理由で単一処方では不可能な場合である。
【0005】
例えば、場合によって、GLP−1またはGLP−1アナログ(第2の薬物または二次薬剤と呼ぶこともできる)等のグルカゴン様ペプチド−1を伴う長時間作用型インスリン(第1の薬剤または一次薬剤と呼ぶこともできる)による糖尿病の治療に有利となり得る。
【0006】
したがって、単回の注射または送達ステップにおいて2つまたはそれ以上の薬剤を送達するためのデバイスであって、薬物送達デバイスの複雑な物理的操作をせずにユーザが容易に実行することのできるデバイスを提供する必要がある。提案された薬物送達デバイスは、2つまたはそれ以上の活性薬物のための別個の貯蔵コンテナまたはカートリッジ・リテーナを提供する。これらの活性薬物は、単回の送達手順中に組み合わされ、かつ/または患者に送達される。これらの活性薬物を共に組合せ用量で投与することができ、あるいはこれらの活性薬物を次々に連続して組み合わせることができる。
【0007】
また、薬物送達デバイスは、薬剤の量を変化させる機会を考慮する。例えば、注射デバイスの特性を変化させる(例えば、ユーザ可変用量を設定する、またはデバイスの「一定」用量を変化させる)ことにより、1つの流体量を変化させることができる。各変異が異なる体積および/または濃度の第2の活性薬物を含むパッケージを有する種々の二次薬物を製造することにより、第2の薬剤量を変化させることができる。
【0008】
薬物送達デバイスは単一の投薬インターフェースを有することができる。このインターフェースは、少なくとも1つの薬物を含む薬剤の一次リザーバおよび二次リザーバと流体連通するように構成され得る。薬物投薬インターフェースは、2つまたはそれ以上の薬剤をシステムから流出させて患者に送達することのできる出口タイプのものとすることができる。
【0009】
別個のリザーバからの化合物の組合せを、両頭針・アセンブリを介して身体に送達することができる。これにより、ユーザの観点から、標準ニードル・アセンブリを使用する現在使用可能な注射デバイスに厳密に適合するように薬物送達を達成する、組合せ薬物注射システムが提供される。1つの考えられる送達手順は、以下のステップを含み得る。
【0010】
1.投薬インターフェースを電気機械注射デバイスの遠位端に取り付ける。投薬インターフェースは、第1および第2の近位針を備える。第1および第2の針は、一次化合物を含む第1のリザーバと二次化合物を含む第2のリザーバとをそれぞれ穿刺する。
2.両頭針・アセンブリ等の用量ディスペンサを、投薬インターフェースの遠位端に取り付ける。このようにして、ニードル・アセンブリの近位端が、一次化合物および二次化合物の両方に流体連通する。
3.注射デバイスからの一次化合物の所望の用量を、例えば、グラフィカル・ユーザインターフェース(GUI)を介してダイヤル/設定する。
4.ユーザが一次化合物の用量を設定した後、マイクロプロセッサが制御する制御ユニットが、二次化合物の用量を判定または計算することができ、好ましくは、この第2の用量を予め記憶された治療用量プロファイルに基づいて判定または計算することができる。この計算された薬剤の組合せが、その後ユーザにより注射される。治療用量プロファイルは、ユーザが選択可能である。あるいは、ユーザが二次化合物の所望の用量をダイヤルまたは設定することができる。
5.場合により、第2の用量が設定された後、デバイスを作動状態に配置することができる。場合による作動状態は、コントロール・パネルの「OK」または「作動」ボタンを押圧および/または保持することにより達成することができる。所定の時間、作動状態にすることができ、この間にデバイスを使用して組合せ用量を投薬することができる。
6.その後、ユーザは、用量ディスペンサ(例えば両頭針・アセンブリ)の遠位端を所望の注射部位に挿入し、または当てる。注射ユーザ・インターフェース(例えば、注射ボタン)を起動することにより、一次化合物および二次化合物(および場合によっては第3の薬剤)の組合せ用量が投与される。
【0011】
1つの注射針または用量ディスペンサを介して1つの注射ステップで、両方の薬剤を送達することができる。これは、2つの別個の注射を投与するのに比べてユーザのステップが減るという点で、ユーザに便利な利点をもたらす。
【0012】
薬物送達デバイスの投薬インターフェースは、送達すべき両方の流体すなわち薬剤の流体経路が、単一の針を通って注射される前に合流する構造を表す。第1の流体および第2の流体をそれぞれのカートリッジから投薬インターフェース内に解放することは、それぞれの弁によって制御される。これらの弁の動作により、その弁のカートリッジに関連する流体からの用量が決まる。実際の注射点前の、流体が横断する弁から下流の容積は、アレージ(ullage)とも呼ばれる。アレージは、一方では、注射すべき流体の一方に特化したチャネルの容積を含み、他方では、両方の流体によって使用されるチャネルの容積をも含む。具体的には、入口点のすぐ上流から針へのチャネルは、一般に、注射すべき流体全てが横断することになる。
【0013】
ある種の薬剤の場合、正確な用量を確保することができることが重要である。用量は、基本的に弁によって解放される流体の量によって制御されるので、アレージの容積が大きいほど、正確な用量を確保するのが困難でなくなる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Rote Liste、ed.2008、Chapter 50
【非特許文献2】「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17.ed. Alfonso R. Gennaro(Ed.)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985
【非特許文献3】Encyclopedia of Pharmaceutical Technology
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明の目的は、薬剤を送達するための薬物送達デバイスの用量精度を改善することができる薬物送達デバイスのための投薬インターフェースまたはその部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明のこの課題は、投薬インターフェースの内側本体と、マニホルドとを備え、内側本体は、内側本体の遠位端から遠位針を受容するように構成された凹部と、第1の流体リザーバおよび第2の流体リザーバとを備え、内側本体およびマニホルドは、第1の流体リザーバおよび第2の流体リザーバそれぞれから凹部に流体連結をもたらすチャネルが形成されるように組み立てられ、マニホルドは、流れの方向を変えるように構成された充填ブロックと、充填ブロックと流体連結をもたらすように構成された流体溝構成とを備え、第1の流体リザーバおよび第2の流体リザーバそれぞれから凹部への流体連結が、流体溝構成および充填ブロックを介してもたらされる装置によって解決される。
【0017】
内側本体およびマニホルドは、それぞれ成形部材である。具体的には、内側本体およびマニホルドは、オープンアンドシャット工具(open−and−shut−tool)を使用して成形されてもよい。次いで、これらは、例えば溶接プロセスにより共に組み立てられる。その後、組み立てられた内側本体およびマニホルドには、投薬インターフェースの他の部材が備え付けられる。具体的には、内側本体上の外側突出部材が、アセンブリ上の投薬インターフェースの外側本体との締まり嵌めを形成する。
【0018】
組み立てられた内側本体およびマニホルドの機能は、複数のカートリッジのそれぞれから、次いで注射針を受容する共通の凹部への流体チャネルを提供することである。カートリッジからのそれぞれの流体は、個々の弁を介して内側本体のリザーバに入る。マニホルドは、内側本体とマニホルドが組み立てられたとき、各リザーバに覆いを与える。チャネルを通って、各流体は、全ての流体に共通の凹部に流れる。内側本体をマニホルドと組み立てることにより、内側本体は、覆いとして働く。したがって、内側本体をマニホルドと組み立てることにより、各流体リザーバから凹部への流体チャネルが実際に生み出される。本来のチャネルは、リザーバから凹部への流体連結であり、しかし凹部それ自体を含まないことは理解できよう。凹部は、完全に組み立てられたとき薬物注射デバイスの針を受容し、したがって流体は、凹部から針に入る。
【0019】
2つの注型部材、すなわち内側本体およびマニホルドを組み立てることによって流体チャネルを形成すること、ならびにオープンアンドシャット工具を介して各部材を成形することができることにより、複雑な道具を必要とすることなしに厳しい機械公差を達成することができる。したがって、これらの厳しい公差は、流体チャネル、凹部、およびニードル・ウェルを含むアレージ容積を決定するいくつかの幾何形状の寸法を削減することを可能にする。
【0020】
マニホルドは、薬物送達デバイスの投薬インターフェース内で流体流を案内するための部材とすることができる。マニホルドは、任意の3次元構造であってよい。特に、任意のくぼみ、突出部、またはより複雑な構成をその表面に有する任意の形状の平坦な板状の構造であってよい。マニホルドは、任意の材料、特に合成材料のものであってよい。
【0021】
流体チャネルは、特にマニホルド上の流体溝構成によって形成される。それにより、内側本体は、流体溝構成のための覆いとして働く。マニホルドは、充填ブロック、すなわち流体溝構成から凹部に流れの方向を変えるように働くマニホルドの表面上の構造物を提供する。流体溝構成は、任意の数の流体溝を備えることができ、流体溝は、マニホルドの表面に沿って流体の通過を可能にする、マニホルドの表面上の任意のくぼみであってよい。
【0022】
本発明の他の好ましい実施形態では、内側本体は、凹部に流体連結するキャビティを備え、そのキャビティは、凹部によって定められた軸上に配置され、充填ブロックは、突出部を備え、内側本体およびマニホルドは、キャビティが充填ブロックを受容するように組み立てられる。流体溝構成を通って流れる流体は、充填ブロックによってキャビティ内に方向を変えられ、そのキャビティからさらに下流に凹部へ流れる。キャビティが充填ブロック、特に充填ブロックの突出部を受容したとき、キャビティの有効容積が減少し、それによりアレージをも減少させる。生産公差の点では、2つの別個のかみ合い部品を有することによって有効容積を削減することは、初めから単一の成形部材で小さい容積を作り出そうと試みるのに対して、より容易であり、よりコストがかからない。それにより、小さいアレージが、より手頃な対策によって達成される。
【0023】
本発明の他の好ましい実施形態では、突出部は、キャビティの容積の半分より多くを充填するように構成される。
【0024】
本発明の他の好ましい実施形態では、内側本体は、投薬インターフェースの外側本体と締まり嵌めを形成するように構成された少なくとも1つの外側突出部材を備える。外側突出部材は、投薬インターフェースの外側本体とのスナップ嵌めに使用される。投薬インターフェースの外側本体は、投薬インターフェースのさらなる部材である。外側本体は、薬物送達デバイスの投薬の組立て中に、内側本体、したがって間接的にはマニホルドと組み立てられる。
【0025】
キー・アセンブリ・スナップ機能を、流体チャネル、したがってアレージを提供する同じ部材上に直接成形することにより、公差スタックアップが防止される。したがって、スナップ嵌めのための突出部材が別個の部材上に設けられる場合に比べて、より厳しい公差を使用することができる。これらのより厳しい公差は、アレージ容積の削減に対応する。
【0026】
本発明の他の好ましい実施形態では、内側本体は、平坦面を備え、凹部は、その平坦面の対称面上に配置され、その対称面は、内側本体の長手方向軸に平行である。内側本体の平坦面は、内側本体がマニホルドと組み立てられたときマニホルドに面することができる。平坦面の対称面は、仮想平面であり、実際の物理的な表面ではない。
【0027】
投薬インターフェース内に少なくとも2つの流体弁があるので、これらは、投薬インターフェースの中心軸から離れる可能性が高いことになる。両流体のための針への入口点を表す、またはそれに近接する凹部を中心軸上またはその近くに有することにより、流体経路、それによりアレージ内の総距離が削減される。
【0028】
本発明の他の好ましい実施形態では、第1の流体リザーバおよび第2の流体リザーバは、平坦面の対称面に対して対称的に配置される。各流体は、その対応する流体リザーバから凹部までの距離を横断しなければならないので、この実施形態の特徴は、両流体についての流体チャネル長の差と、両流体についての総流体チャネル長とを共に最小限に抑える助けとなる。
【0029】
本発明の他の好ましい実施形態では、チャネルは、マニホルドと内側本体の間の境界に形成される。これは、流体チャネルが、一方の側でマニホルドによって、また他方の側で内側本体によって境界を定められることを意味する。またこれは、流体溝構成から凹部まで−しかし凹部を含まない−の流体流における任意の点が、マニホルドと内側本体の間の境界上にあることを意味する。この構成は、さらに厳しい公差と、流体チャネル、凹部、およびニードル・ウェルを含むアレージ容積を決定する幾何形状全ての寸法のさらなる削減を可能にする。具体的には、流れ経路内の脆いコア・ピンまたは分割線を回避することができる。
【0030】
本発明の他の好ましい実施形態では、内側本体とマニホルドは、レーザ溶接によって組み立てられる。
【0031】
本発明の他の好ましい実施形態では、内側本体は、第1の開口と第2の開口とを備え、各開口は、それぞれの流体連結を第1の流体リザーバおよび第2の流体リザーバにもたらすために、それぞれ第1の近位針および第2の近位針を受容するように構成される。第1の近位針は、第1の近位針から流出する流体が第1の流体リザーバに流れ込むように第1の開口によって受容されてもよい。同様に、第2の近位針は、第2の近位針から流出する流体が第2の流体リザーバに流れ込むように第2の開口によって受容されてもよい。
【0032】
本発明の追加の好ましい実施形態では、第1の開口および第2の開口は、平坦面の対称面に対して対称的に配置される。流体リザーバの場合と同様に、開口の対称配置は、両流体についての流体チャネル長の差と、両流体についての総流体チャネル長とを共に最小限に抑える助けとなる。
【0033】
本発明の他の好ましい実施形態では、この装置は、内側本体の遠位端に配置された針ガイドを備え、針ガイドは、針凹部を備える。針ガイドは、内側本体の一部ではなく、外側ハウジング内に含まれる。この針ガイドは、遠位針、すなわち注射針を受容するように構成される。注射針は、針ガイドを通過し、内側本体によってさらに受容される。針ガイドの使用は、内側本体それ自体だけが位置合わせに使用される場合に可能であるはずものより注射針の正確な位置合わせを可能にする。
【0034】
本発明の他の好ましい実施形態では、針ガイドは、遠位針を凹部に位置合わせするように構成される。これにより、針位置において低減された公差、したがって遠位針を内側本体に入れるためのより小さいチャネルを使用することが可能になる。
【0035】
本発明の他の好ましい実施形態では、この装置は、内側本体の遠位ネック部分の平坦面に沿って配置され、針ガイドを通る針を受容するように構成された穿刺可能セプタムを備える。内側本体の遠位ネック部分の平坦面は、内側本体の長手方向軸に対して垂直に配置されてもよい。
【0036】
本発明の他の好ましい実施形態では、この装置は、セプタムに亘って、および内側本体の遠位ネック部分の外径に亘って配置されたフェルールを備える。さらに、本発明は、上述の実施形態のいずれかによる装置を備える薬物送達デバイスを対象とする。
【0037】
添付図面を適宜参照しながら以下の詳細な説明を読むことにより、本発明の種々の態様のこれらおよびその他の利点が当業者に明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】デバイスのエンドキャップを取り外した、送達デバイスの斜視図である。
図2】カートリッジを示す送達デバイスの遠位端の斜視図である。
図3】1つのカートリッジ・リテーナが開放位置にある、図1または2に示す送達デバイスの斜視図である。
図4図1に示す送達デバイスの遠位端に着脱可能に取り付けることのできる投薬インターフェースおよび用量ディスペンサを示す図である。
図5図1に示す送達デバイスの遠位端に取り付けられた、図4の投薬インターフェースおよび用量ディスペンサを示す図である。
図6】送達デバイスの遠位端に取り付けることのできるニードル・アセンブリの一構成を示す図である。
図7図4に示す投薬インターフェースの斜視図である。
図8図4に示す投薬インターフェースの別の斜視図である。
図9図4に示す投薬インターフェースの横断面図である。
図10図4に示す投薬インターフェースの分解図である。
図11図1に示すデバイス等の薬物送達デバイスに取り付けられた投薬インターフェースおよびニードル・アセンブリの横断面図である。
図12】代替投薬インターフェースの斜視図である。
図13図12に示す投薬インターフェースの別の斜視図である。
図14図12、13に示す投薬インターフェースの横断面図である。
図15図12、13に示す投薬インターフェースの分解図である。
図16図12、13に示す投薬インターフェースの代替分解図である。
図17図12、13に示す投薬インターフェースの外側本体の斜視図である。
図18図12〜13に示す投薬インターフェースの内側本体の斜視図である。
図19図12〜13に示す投薬インターフェースのマニホルドの斜視図である。
図20】セプタム、フェルール、および針ガイドを含む、図19に示す内側本体の遠位端の一部分の断面図である。
図21図18に示す内側本体にレーザ溶接された図19に示すマニホルドの図である。
図22図15および図16に示す針ガイドの斜視図である。
図23図15および図16に示す針ガイドの別の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1に示す薬物送達デバイスは、近位端16から遠位端15へ延びる本体14を備える。遠位端15に、着脱可能なエンドキャップまたはカバー18が設けられる。このエンドキャップ18および本体14の遠位端15が共に作用して、スナップ嵌めまたはフォーム・フィット連結を提供し、カバー18が本体14の遠位端15上に摺動すると、キャップと本体外面20との間のこの摩擦嵌めにより、カバーが本体から誤って落下するのを防止するようにする。
【0040】
本体14は、マイクロプロセッサ制御ユニット、電気機械駆動トレイン、および少なくとも2つの薬剤リザーバを含む。エンドキャップまたはカバー18がデバイス10から取り外される(図1に示すように)と、投薬インターフェース200が本体14の遠位端15に取り付けられ、用量ディスペンサ(例えば、ニードル・アセンブリ)がインターフェースに取り付けられる。薬物送達デバイス10を使用して、第2の薬剤(二次薬物化合物)の計算された用量と、第1の薬剤(一次薬物化合物)の可変用量とを、両頭針・アセンブリ等の単一ニードル・アセンブリを通して投与することができる。
【0041】
駆動トレインは、第1および第2の薬剤の用量を放出するために、各カートリッジの栓にそれぞれ圧力を及ぼすことができる。例えば、ピストン・ロッドは、カートリッジの栓を、薬剤の単回用量分の所定の量だけ前方に押すことができる。カートリッジが空のときは、ピストン・ロッドが本体14内に完全に後退されて、空のカートリッジを取り外して新しいカートリッジを挿入することができるようになっている。
【0042】
コントロール・パネル領域60が本体14の近位端近くに設けられる。好ましくは、このコントロール・パネル領域60は、ユーザが操作して組合せ用量を設定し注射することのできる、複数のヒト・インターフェース要素を伴うデジタル・ディスプレイ80を備える。この構成では、コントロール・パネル領域が、第1の用量設定ボタン62、第2の用量設定ボタン64、および「OK」の記号で指定された第3のボタン66を備える。加えて、本体の最も近位端に沿って、注射ボタン74も設けられる(図1の斜視図では見えない)。
【0043】
カートリッジ・ホルダ40を本体14に着脱可能に取り付けることができ、少なくとも2つのカートリッジ・リテーナ50、52を含むことができる。各リテーナは、ガラス・カートリッジ等の1つの薬剤リザーバを含むように構成される。好ましくは、各カートリッジが異なる薬剤を含む。
【0044】
加えて、カートリッジ・ホルダ40の遠位端で、図1に示す薬物送達デバイスが投薬インターフェース200を備える。図4に関連して説明するように、一構成では、この投薬インターフェース200が、カートリッジ・ホルダ40の遠位端42に着脱可能に取り付けられた外側本体210を備える。図1に見られるように、投薬インターフェース200の遠位端214は、好ましくは取付ハブ216を備える。この取付ハブ216は、従来のペン型注射ニードル・アセンブリ等の用量ディスペンサを、薬物送達デバイス10に着脱可能に取り付けることができるように構成され得る。
【0045】
デバイスをオンにすると、図1に示すデジタル・ディスプレイ80が点灯され、あるデバイス情報、好ましくはカートリッジ・ホルダ40内に含まれる薬剤に関連する情報をユーザに提供する。例えば、一次薬剤(薬物A)および二次薬剤(薬物B)の両方に関連するある情報をユーザに提供する。
【0046】
図3に示すように、第1および第2のカートリッジ・リテーナ50、52を、ヒンジ留めカートリッジ・リテーナとすることができる。これらのヒンジ留めリテーナにより、カートリッジにユーザの手が届くようになる。図3は、第1のヒンジ留めカートリッジ・リテーナ50が開放位置にある、図1に示すカートリッジ・ホルダ40の斜視図である。図3は、第1のリテーナ50を広げて第1のカートリッジ90に手が届くようにすることにより、ユーザが第1のカートリッジ90に手を届かせる方法を示す。
【0047】
図1の説明時に前述したように、投薬インターフェース200はカートリッジ・ホルダ40の遠位端に結合される。図4は、カートリッジ・ホルダ40の遠位端に連結されていない投薬インターフェース200の平坦図である。インターフェース200と共に使用可能な用量ディスペンサまたはニードル・アセンブリも示され、保護外側キャップ420内に設けられる。
【0048】
図5では、図4に示す投薬インターフェース200がカートリッジ・ホルダ40に結合されて示される。投薬インターフェース200とカートリッジ・ホルダ40との間の軸方向取付け手段は、当業者に公知のいかなる軸方向取付け手段であってもよく、スナップ・ロック、スナップ嵌め、スナップ・リング、キー・スロット、およびこのような連結の組合せを含む。また、投薬インターフェースとカートリッジ・ホルダとの間の連結または取付けは、コネクタ、止め、スプライン、リブ、溝、ピップ、クリップ、および同様の設計機能等の、適合する薬物送達デバイスのみに特定のハブを確実に取り付け可能な追加の機能(図示せず)を含むことができる。このような追加の機能により、適切でない二次カートリッジが、適合しない注射デバイスに挿入されることを防止する。
【0049】
また、図5は、投薬インターフェース200の取付ハブにねじ留め可能な、投薬インターフェース200の遠位端に結合されたニードル・アセンブリ400および保護外側キャップ420を示す。図6は、図5の投薬インターフェース200に取り付けられた両頭針のニードル・アセンブリ400の横断面図である。
【0050】
図6に示すニードル・アセンブリ400は、両頭針406およびニードル・ハブ401を備える。両頭針またはカニューレ406は、ニードル・ハブ401内に固定して取り付けられる。このニードル・ハブ401は、周方向に垂下するスリーブ403を周囲に沿って有する円板状要素を備える。このニードル・ハブ401の内壁に沿って、ねじ山404が設けられる。このねじ山404により、ニードル・ハブ401を投薬インターフェース200にねじ留めすることができ、1つの好ましい構成では、投薬インターフェース20
0に、遠位ハブに沿った対応する外側ねじ山が設けられる。ニードル・ハブ401の中心部に、突出部402が設けられる。この突出部402は、ハブからスリーブ部材の反対方向に突出する。両頭針406は、突出部402およびニードル・ハブ401を通して中心に取り付けられる。この両頭針のニードル・アセンブリ400は、両頭針の第1の、または遠位穿刺端405が注射部位(例えば、ユーザの皮膚)を穿刺するための注射部分を形成する。
【0051】
同様に、ニードル・アセンブリ400の第2の、または近位穿刺端407が、円板の反対側から突出して、スリーブ403により同心に囲まれる。1つのニードル・アセンブリ構成では、第2の、または近位穿刺端407をスリーブ403よりも短くして、このスリーブがバックスリーブの先端をある程度保護するようにしてもよい。図4および5に示す保護外側キャップ420は、ニードル・ハブ401のスリーブ403周りにフォーム・フィットされる。
【0052】
次に図4〜11を参照して、このインターフェース200の1つの好ましい構成について説明する。この1つの好ましい構成では、このインターフェース200が、
a.外側本体210、
b.第1の内側本体220、
c.第2の内側本体230、
d.第1の穿刺針240、
e.第2の穿刺針250、
f.弁シール260、および
g.セプタム270を備える。
【0053】
外側本体210は、本体近位端212と本体遠位端214とを有する。外側本体210の近位端212で、投薬インターフェース200をカートリッジ・ホルダ40の遠位端に取り付けることができるように、連結部材が構成される。好ましくは、投薬インターフェース200をカートリッジ・ホルダ40に着脱可能に連結することができるように、連結部材が構成される。1つの好ましいインターフェース構成では、インターフェース200の近位端は、少なくとも1つの凹部を有する上方に延びる壁218により構成される。例えば、図8に見られるように、上方に延びる壁218は、少なくとも第1の凹部217および第2の凹部219を有する。
【0054】
好ましくは、第1および第2の凹部217、219が、外側本体壁内に位置決めされて、薬物送達デバイス10のカートリッジ・ホルダ40の遠位端近くに位置決めされた外側突出部材と協働するようになっている。例えば、このカートリッジ・ホルダ40の外側突出部材48は、図4および5に見られる。第2の同様の突出部材がカートリッジ・ホルダ40の反対側に設けられる。このように、投薬インターフェース200がカートリッジ・ホルダ40の遠位端上を軸方向に摺動すると、外側突出部材が第1および第2の凹部217、219と協働して締まり嵌め、フォーム・フィット、またはスナップ・ロックを形成する。あるいは、当業者が理解するように、投薬インターフェースおよびカートリッジ・ホルダ40を軸方向に結合可能な他の同様の連結機構を使用することもできる。
【0055】
外側本体210およびカートリッジ・ホルダ40の遠位端は、カートリッジ・ホルダの遠位端上に軸方向に摺動可能なスナップ・ロックまたはスナップ嵌め構成に、軸方向に係合するように作用する。1つの代替構成では、投薬インターフェース200にコーディング機能が設けられて、不注意による投薬インターフェースの相互使用を防止する。すなわち、1つまたはそれ以上の投薬インターフェースの不注意による相互使用を防止するように、ハブの内側本体を幾何学的に構成することができる。
【0056】
取付ハブ216は、投薬インターフェース200の外側本体210の遠位端に設けられる。このような取付ハブを、ニードル・アセンブリに解除可能に連結されるように構成することができる。一例として、この取付ハブ216は外側ねじ山を有することができ、この外側ねじ山は、図6に示すニードル・アセンブリ400等のニードル・アセンブリのニードル・ハブの内壁面に沿って設けられた内側ねじ山に係合する。スナップ・ロック、ねじ山を通して解除されるスナップ・ロック、バヨネット・ロック、フォーム・フィット、または他の同様の連結構成等の、代わりの解除可能なコネクタを設けてもよい。
【0057】
投薬インターフェース200は、第1の内側本体220をさらに備える。この内側本体のある詳細が、図8〜11に示される。好ましくは、この第1の内側本体220が、外側本体210の延長壁218の内面215に結合される。より好ましくは、この第1の内側本体220が、リブおよび溝フォーム・フィット構成により、外側本体210の内面に結合される。例えば、図9に見られるように、外側本体210の延長壁218に第1のリブ213aおよび第2のリブ213bが設けられる。この第1のリブ213aは、図10にも示される。これらのリブ213a、213bは、外側本体210の壁218の内面215に沿って位置決めされ、第1の内側本体220の協働溝224a、224bとのフォーム・フィットまたはスナップ・ロック係合を生じさせる。好ましい構成では、これらの協働溝224a、224bが、第1の内側本体220の外面222に沿って設けられる。
【0058】
加えて、図8〜10に見られるように、第1の内側本体220の近位端近くの近位面226を、近位穿刺端部244を有する少なくとも第1の近位に位置決めされた穿刺針240により構成することができる。同様に、第1の内側本体220は、近位穿刺端部254を有する第2の近位に位置決めされた穿刺針250により構成される。第1および第2の針240、250は共に、第1の内側本体220の近位面226に堅固に取り付けられる。
【0059】
好ましくは、この投薬インターフェース200は、弁構成をさらに備える。このような弁構成を、第1および第2のリザーバにそれぞれ含まれる第1および第2の薬剤の相互汚染を防止するように構成することができる。好ましい弁構成を、第1および第2の薬剤の逆流および相互汚染を防止するように構成することができる。
【0060】
1つの好ましいシステムでは、投薬インターフェース200が、弁シール260の形状の弁構成を備える。このような弁シール260を、第2の内側本体230により画成されたキャビティ231内に、保持チャンバ280を形成するように設けることができる。好ましくは、キャビティ231は、第2の内側本体230の上面に沿って位置する。この弁シールは、第1の流体溝264および第2の流体溝266を画成する上面を有する。例えば、図9は、第1の内側本体220と第2の内側本体230との間に着座された弁シール260の位置を示す。注射ステップ中に、この弁シール260は、第1の通路内の一次薬剤が第2の通路内の二次薬剤に拡散することを防止すると共に、第2の通路内の二次薬剤が第1の通路内の一次薬剤に拡散することを防止するのに役立つ。好ましくは、この弁シール260は、第1の逆流防止弁262および第2の逆流防止弁268を備える。このように、第1の逆流防止弁262は、第1の流体溝264、例えば弁シール260の溝に沿って移送される流体が、この流体溝264内に戻ることを防止する。同様に、第2の逆流防止弁268は、第2の流体溝266に沿って移送される流体がこの流体溝266に戻ることを防止する
【0061】
第1および第2の流体溝264、266は共に、第1および第2の逆流防止弁262、268のそれぞれに向かって集束し、出力流体路または保持チャンバ280を提供する。この保持チャンバ280は、第2の内側本体の遠位端と穿刺可能セプタム270を伴う第1および第2の逆流防止弁262、268とにより画成された内側チャンバによって画成される。図示したように、この穿刺可能セプタム270は、第2の内側本体230の遠位端部と外側本体210のニードル・ハブにより画成された内面との間に位置決めされる。
【0062】
保持チャンバ280は、投薬インターフェース200の出口ポートで終端する。この出口ポート290は、好ましくはインターフェース200のニードル・ハブ内で中心に位置決めされ、穿刺可能なセプタム270を固定位置に維持するのを助ける。このように、両
頭針のニードル・アセンブリがインターフェースの取付ハブ(図6に示す両頭針等)に取り付けられると、出力流体路により、両方の薬剤を、取り付けられたニードル・アセンブリに流体連通させることができる。
【0063】
投薬インターフェース200は、第2の内側本体230をさらに備える。図9に見られるように、この第2の内側本体230は凹部を画成する上面を有し、弁シール260がこの凹部内に位置決めされる。したがって、インターフェース200が図9に示すように組み立てられると、第2の内側本体230が、外側本体210の遠位端と第1の内側本体220との間に位置決めされる。第2の内側本体230および外側本体は共に、セプタム270を定位置に保持する。内側本体230の遠位端は、弁シールの第1の流体溝264および第2の流体溝266に流体連通するように構成可能なキャビティまたは保持チャンバを形成することもできる。
【0064】
外側本体210を薬物送達デバイスの遠位端上に軸方向に摺動させることにより、投薬インターフェース200を多目的デバイスに取り付ける。このようにして、第1のカートリッジの一次薬剤と第2のカートリッジの二次薬剤のそれぞれにより、第1の針240と第2の針250との間に流体連通を形成することができる。
【0065】
図11は、図1に示す薬物送達デバイス10のカートリッジ・ホルダ40の遠位端42に取り付けられた後の投薬インターフェース200を示す。両頭針のニードル・アセンブリ400もこのインターフェースの遠位端に取り付けられる。カートリッジ・ホルダ40は、第1の薬剤を含む第1のカートリッジと第2の薬剤を含む第2のカートリッジとを有するものとして示される。
【0066】
投薬インターフェース200がカートリッジ・ホルダ40の遠位端上に最初に取り付けられると、第1の穿刺針240の近位穿刺端244が第1のカートリッジ90のセプタムを穿刺することにより、第1のカートリッジ90の一次薬剤92と流体連通する。第1の穿刺針240の遠位端も、弁シール260により画成される第1の流体溝264と流体連通する。
【0067】
同様に、第2の穿刺針250の近位穿刺端254が第2のカートリッジ100のセプタムを穿刺することにより、第2のカートリッジ100の二次薬剤102と流体連通する。この第2の穿刺針250の遠位端は、弁シール260により画成された第2の流体溝266と流体連通する。
【0068】
図11は、薬物送達デバイス10の本体14の遠位端15に結合されるこのような投薬インターフェース200の好ましい構成を示す。好ましくは、このような投薬インターフェース200は、薬物送達デバイス10のカートリッジ・ホルダ40に着脱可能に結合される。
【0069】
図11に示すように、投薬インターフェース200はカートリッジ・ホルダ40の遠位端に結合される。このカートリッジ・ホルダ40は、一次薬剤92を含む第1のカートリッジ90と二次薬剤102を含む第2のカートリッジ100とを含むものとして示される。投薬インターフェース200は、カートリッジ・ホルダ40に結合されると、基本的に、第1および第2のカートリッジ90、100から共通の保持チャンバ280へ流体連通路を設けるための機構を提供する。この保持チャンバ280は、用量ディスペンサと流体連通するものとして示される。ここでは、図示したように、この用量ディスペンサが両頭針のニードル・アセンブリ400を備える。図示したように、両頭針のニードル・アセンブリの近位端はチャンバ280と流体連通する。
【0070】
1つの好ましい構成では、投薬インターフェースが、本体に1つの向きのみで取り付けられ、すなわち一方向のみに装着されるように構成される。図11に示すように、投薬インターフェース200がカートリッジ・ホルダ40に取り付けられると、一次針240を第1のカートリッジ90の一次薬剤92と流体連通させるためのみに使用できるようになり、一次針240を第2のカートリッジ100の二次薬剤102と流体連通させるために使用できるようにインターフェース200がホルダ40に再び取り付けられることが防止される。このような一方向の連結機構は、2つの薬剤92、102間の相互汚染の可能性を低下させるのに役立ち得る。
【0071】
以下で、図12〜23を参照しながら、本発明の以下の実施形態について詳細に説明する。
【0072】
図12は、投薬インターフェース1200の例示的な一実施形態の遠位端の斜視図である。図13は、図12に示す投薬インターフェース1200の例示的な実施形態の近位端の斜視図であり、図14は、図12および13に示す投薬インターフェース1200の横断面図である。より詳細に説明するように、1つの好ましい構成では、図12〜17に示す投薬インターフェース1200が、
a.外側本体1210、
b.内側本体2000、
c.マニホルド2300、
d.第1の穿刺針4000、
e.第2の穿刺針4050、
f.ロックアウトばね2600、
g.第1のダイヤフラム弁2700、
h.第2のダイヤフラム弁2750、
i.フェルール2800、
j.外側セプタム2900、および
k.針ガイド3000
を備える。
【0073】
これらの種々の部材間の一般的な相互関係は、投薬インターフェース1200の1つの分解斜視図を示す図15からわかる。同様に、図16は、投薬インターフェース1200の別の分解斜視図を示す。
【0074】
図17は、投薬インターフェース1200の外側本体1210の斜視図である。次に図12〜17を参照すると、図示されているように、この本体1210は、本体遠位端1212および本体近位端1214を有する。本体近位端1214は、カートリッジ・ホルダの遠位端近くに、薬物送達デバイスの遠位端に沿って着座するように構成される。好ましくは、外側本体1210は、射出成形ポリプロピレン(PP)部材を備える。
【0075】
さらに、外側本体1210は、外側本体1210の遠位端から近位端へ延びる第1および第2のシュラウド1250、1260を備える。好ましくは、外側本体が投薬インターフェース1200の他の部材と組み立てられ、インターフェースが薬物送達デバイスに取り付けられると、シュラウド1250、1260が、露出した第1および第2の穿刺針またはカニューレ4000、4050(例えば、図13も参照)を覆い隠す。このように、シュラウド1250、1260は、ユーザが投薬インターフェース1200を薬物送達デバイスに取り付けるとき針刺し損傷を防止するのに役立つ。
【0076】
図12〜17からわかるように、投薬インターフェースの外側本体1210の上面1240は、平滑な丸い外面を有する。この図示した外側本体構成では、薬物送達デバイスの本体の遠位端は2つの平坦部を備え、その結果、投薬インターフェース1200が薬物送達デバイスに適正に接続されたとき、これらの2つの遠位で面する平坦部が投薬インターフェースの外側本体1210のの領域と裏の領域を覆い、それにより全体的に滑らかな表面がもたらされる。
【0077】
加えて、次に図12〜17を参照すると、外側本体1210がさらに、2つの可撓性連結部材1220、1230を、外側本体1210の各側に1つずつ備える。例えば、第1の連結部材1220が図15〜17に見られ、第2の連結部材1230が図16に見られる。これらの連結部材は、第1および第2のシュラウド1250、1260間に位置決めされる。好ましくは、これらの連結部材1220、1230は、平坦なタブとして構成され、外側に(すなわち互いから離れて)曲がるように構成されて、外側本体1210を投薬インターフェース1200の内側本体2000(例えば、図14参照)に対して取り付け、切り離すことができるようにする。例示的な一実施形態では、2つの連結部材1220、1230が近位方向に延び、各平坦部が少なくとも1つの凹部を含む。例えば、図16または図17からわかるように、第1の延長平坦部1220は、少なくとも第1の凹部1224を備える。同様に、図16からわかるように、第2の延長平坦部1230は第2の凹部1228を備える。
【0078】
好ましくは、2つの凹部1224、1228は、内側本体2000の中央部近くに位置する第1および第2の外側突出部材2006、2014とそれぞれ協働するようにこの外側本体1210内に位置決めされる。例えば、内側本体2000の斜視図を示す図18からわかるように、内側本体2000は、第1の外側突出部材2006を備える。第2の同様の外側突出部材2014は、内側本体部の反対側に設けられる。内側本体のこれらの外側突出部材2006、2014が図15に見られる。
【0079】
このように、本体1210が、組立てステップ中に内側本体2000の遠位端上に軸方向に位置決めされ、外側突出部材2006、2014が、外側本体の第1および第2の凹部1224、1228と協働して、2つの部材間に締まり嵌め、フォーム・フィット、またはスナップ・ロックを形成する。好ましくは、このような締まり嵌めは、永久締まり嵌めを含む。あるいは、当業者が理解するように、外側本体1210および内側本体2000を軸方向に結合可能な他の同様の連結機構を同様に使用することができる。しかし、1つの好ましい構成では、この連結が永久締まり嵌めを含んで、ユーザが投薬インターフェースを再使用しようとしてインターフェースを操作することを防止する。
【0080】
投薬インターフェース1200の内側本体2000およびデバイスのカートリッジ・ホルダの遠位端に設けられた解除ボタンは、カートリッジ・ホルダ40の遠位端上に軸方向に摺動可能な、軸方向に係合するスナップ・ロックまたはスナップ嵌め構成を形成するように作用する。例示的な実施形態では、投薬インターフェース1200は、不注意による投薬インターフェースの相互使用を防止するようにコーディング機能を備えることができ
る。すなわち、ハブの内側本体を、1つまたはそれ以上の投薬インターフェースの不注意による相互使用を防止するように、幾何学的に構成することができる。
【0081】
投薬インターフェース1200の外側本体1210は、好ましくは複数のガイド・リブの形状のガイド構成1266をさらに備える。ガイド構成は、取付け中に投薬インターフェース1200を適切に方向付けすることにより、投薬インターフェース1200の薬物送達デバイスに対する装着しやすさを向上させる。例えば、図15〜17に示すように、2つのガイド・リブ1270、1272が示され、外側本体の一側に沿って設けられる。第1のガイド・リブ1270が、第1の平坦タブ1220と第1のシュラウド1250との間に位置決めされる。同様に、第2のガイド・リブ1272も、外側本体の第1のリブ1270と同一の側に位置決めされ、第1の平坦タブ1220と第2のシュラウド1260との間に位置決めされる。図15に示すように、同様の二重ガイド・リブ構成が、外側本体1210の他側に設けられる。
【0082】
この構成では、ガイド・リブ構成により装着しやすさが向上する。1つの好ましい構成では、ガイド・リブ構成1266が、対称のガイド・リブ構成を有して、投薬インターフェースをデバイスの遠位端上にどちらの向きにも装着できるようにする。代替ガイド・リブ構成1266では、構成が非対称構成を有し、投薬インターフェースが薬物送達デバイスに対してどちらの向きにも装着されるわけではなく、1つの単一の向きでのみ装着される。
【0083】
図17に示す投薬インターフェースの外側本体1210に戻り、取付ハブ1216が外側本体1210の遠位端1212に設けられる。このような取付ハブ1216は、連結機構1218を備えることができる。好ましくは、この連結機構1218により、ニードル・アセンブリ(図6に示す両頭針のニードル・アセンブリ400等)を解除可能に取付ハブ1216に連結することができる。一例として、この連結機構1218は外側ねじ山を有することができ、この外側ねじ山は、図6に示すニードル・アセンブリ400等のニードル・アセンブリのニードル・ハブの内壁面に沿って設けられた内側ねじ山に係合する。スナップ・ロック、ねじ山を通して解除されるスナップ・ロック、バヨネット・ロック、フォーム・フィット、または他の同様の連結構成等の、代わりの解除可能なコネクタを設けてもよい。
【0084】
本体取付ハブ1216は、外側本体の上面1240から離れて遠位に延び、全体が円筒形延長部1280として形成され得る。この円筒形延長部1280は、内部空間1286を画成する。この内部空間1286は、組み立てられた投薬インターフェース1200の横断面図である図14に見られる。最も遠位端では、連結ハブが開口1238を画成する。例示的な一実施形態では、開口1238は、針ガイド3000を受容するように適切にサイズ設定される。例えば、図22および図23は、そのような針ガイド3000の斜視図を示す。好ましくは、針ガイド3000は、概して円形の外形を備え、この概して円形の外形が内側凹部3010を画成する。好ましくは、この内側凹部3010は、円錐形の内側凹部を含む。そのような円錐形の内側凹部を設けることの1つの利点は、両頭針が取付ハブ1216に取り付けられたとき、凹部は、円錐形の凹部3010によって両頭針の
近位針を案内し、投薬インターフェース1200によって提供されたセプタムと接触させることである。これは、取り付けられたニードル・アセンブリの近位に向けられた針が内側本体の遠位端内の接触経路を通って案内され、次いで、最終的に内側本体2000によって画成された保持チャンバまたはキャビティと流体連通させることを可能にする。ニードル・アセンブリの近位に向けられた針を、中央に合わされた位置に案内することにより、ニードル・アセンブリの取付けをより容易にすることができる。さらに、近位に向けられた針を、内側本体2000の保持チャンバまたはキャビティにより正確に案内することができる。したがって、保持チャンバまたはキャビティの直径、したがってその容積は、針ガイド3000の円錐形の凹部3010がない場合より小さくすることができる。
【0085】
さらに、下記でより詳細に述べるように、円筒形延長部1280によって画成された内部空間1286は、内側本体2000の遠位端2002近くに設けられたネック部分2080の平坦な遠位表面2082上に着座するフェルール2800および出口セプタム2900をしっかりと配置し位置合わせするように適切に寸法設定される。これは、図14に与えられた投薬インターフェース1200の横断面図に示されている。
【0086】
図15および図16の分解図からもわかるように、外側本体1210の他に、投薬インターフェース1200は、内側本体2000をさらに備える。例えば、図18は、図15および図16に示す内側本体2000の斜視図を示す。図18、および図14に与えられた投薬インターフェース1200の横断面図からわかるように、内側本体2000は、外側本体1210によって画成された内部空間内に着座する。好ましくは、投薬インターフェース1200の内側本体2000は、薬物送達デバイスの遠位端に結合されるように構成され、また一方、外側本体1210によって画成された内部空間内にしっかりと配置される。薬物送達デバイスの遠位端への着脱可能な接続を行うために、内側本体2000は、概してY字形の構成2008を備え、このY字形の構成は、遠位延長部2002と、近位延長部2004とを有する。
【0087】
さらに、2つの翼状の部材2010、2012が、遠位延長部2002と近位延長部2004の間にある。内側本体2000の近位部2004は、第1の近位に延びるタブ2022と、第2の近位に延びるタブ2032とをそれぞれ備える。これらの近位に延びるタブ2022、2032は、概して可撓性の材料製であり、投薬インターフェース1200が薬物送達デバイスに取り付けられたとき、または薬物送達デバイスから取り外されたとき、これらのタブは内側空間に向かって内向きに(すなわち、互いに向かって)曲がることができる。
【0088】
第1および第2のタブ2022、2032は、投薬インターフェース1200が薬物送達デバイスに解放可能に結合されることを可能にするように、突出部構成をさらに備える。例えば、第1のタブ2022は、第1および第2の突出部2026a、2026bを備え、一方、第2のタブ2032は、第1および第2の突出部2036a、2036bを備える。投薬インターフェース1200、したがって内側本体2000が薬物送達デバイスに取り付けられたとき、タブの様々な突出部2026a、2026bおよび2036a、2036bは、薬物送達デバイスの外側ハウジングの遠位端近くで本体の平坦面に沿って設けられた第1および第2の対応する凹部の下、次いでそれらの中に摺動する。そのような可撓性のタブ構成の1つの利点は、例えば解放ボタンを押すことによってこれらのタブを外側本体1210に解放可能に結合することができ、送達デバイスに結合された投薬インターフェース1200を取り外すことが投薬インターフェース1200を誤って分解することにならないようにする助けとなることである。
【0089】
そのようなタブ構成があるので、ソフト・エジェクションを達成することができる。例えば、薬物送達デバイス上の解放ボタンを押すことにより、投薬インターフェース1200は、薬物送達デバイス上の移動止め位置に解放される。これは、両頭針・アセンブリが依然として取り付けられていてもよい投薬インターフェースの2部制御式のエジェクションを実現する。また、解放ボタンを押すことにより、引き離す力を投薬インターフェース1200にかけることができ、その結果、第1および第2の穿刺針4000、4050を第1および第2のカートリッジとの流体連通から係合解除し、しかし、ロックアウトばね2600など内部のロックアウト機能を係合するのに十分なほど遠くへ投薬インターフェース1200を変位させることができ、それにより、投薬インターフェース1200が薬物送達デバイスに再び取り付けられるのを防止する。薬物送達デバイス上の移動止めは、投薬インターフェースをこの係合解除された位置で、いつでもユーザがデバイスから完全に取り外し、次いで処分できる状態で保持する。
【0090】
さらに、図15〜18および図18からわかるように、内側本体2000は、2つの翼状の部材2010、2012間にあり、また遠位部2002と近位部2004の間にある平坦面2040をさらに備える。この略平坦面2040は、複数の凹部またはリザーバを画成することが好ましい。例えば、好ましい実施形態では、この略平坦面2040は、第1の円形キャビティまたは第1の流体リザーバ2050、および第2の円形キャビティまたは第2の流体リザーバ2054を共に画成するように構成されてもよい。好ましい一構成では、第1および第2の流体リザーバ2050、2054を弁構成と共に使用し、薬剤など流体が第1および第2の穿刺針4000、4050から保持チャンバ2060に流れることを可能にすることができる。
【0091】
例えば、好ましい一実施形態では、第1の円形キャビティまたは第1の流体リザーバ2050は、あるキャビティ深さを画成し、この第1の円形キャビティは、2つの異なる直径を有してもよい。同様に、第2の円形キャビティ2054は、2つの異なる直径を有するあるキャビティ深さを画成してもよい。最も好ましくは、図14に与えられた横断面図からわかるように、第1のキャビティ2050の第2の深さは、第1の針4000の遠位端部分4010が延びているキャビティを有することになる。好ましくは、第1の円形キャビティ2050は、第1の近位に延びる穿刺針4000の遠位端と流体連通する。同様に、第2の円形キャビティ2054は、第2の近位に位置決めされた穿刺針4050の遠位端と流体連通するように構成される。第1の針4000と第2の針4050は共に、内側本体2000内で剛性取付けされる。この好ましい実施形態では、2つの薬剤カートリッジを含む薬物送達デバイスに取り付けられたとき、第1の穿刺針4000の遠位端は、第1の円形キャビティと流体連通することになり、一方、第1の針4000の近位穿刺端は、薬物送達デバイス内の第1のカートリッジ内に含まれる薬剤と流体連通することになる。第2の穿刺針4050は、第1の穿刺針4000と同様に構成されることになり、第2の円形キャビティ2054、および第2のカートリッジ内の第2の薬剤と流体連通する。
【0092】
さらに、図18に与えられた内側本体の斜視図に戻ると、内側本体の略平坦面2040は、保持チャンバまたは第3のキャビティ2060をさらに画成する。この第3のキャビティ2060は、内側本体2000の遠位端2002近くに位置決めされる。図示のように、この第3のキャビティ2060は、概して矩形を有することができる。下記でより詳細に述べるように、この第3のキャビティ2060は、第1のカートリッジ内に含まれる第1の流体、第2のカートリッジ内に含まれる第2の流体、または薬物送達デバイス内に含まれる両流体のための保持チャンバとして働く。第1の流体および/または第2の流体が薬剤を含む場合、この第3のキャビティ2060は、用量充填ステップおよび/または用量投与ステップ中に保持チャンバとして働くことができる。
【0093】
図18からわかるように、内側本体2000は、遠位ネック部分2080をさらに備え、この遠位ネック部分は、略平坦面2082を備える。内側本体2000のこのネック部分2080は、直径Dnp2086を画成する概して円形の形状を有する。ネック部分2080の直径Dnp2086は、出口セプタム2900の直径と同様の寸法のものとなるようにサイズ設定されることが好ましい。
【0094】
凹部2044がこの遠位ネック部分2080内に設けられ、この凹部2044は、ネック部分2080に沿って上部の平坦面2082から第3のキャビティ2060に向かって内部を延びる。最も好ましくは、凹部2044は、内側本体2000の平坦面2040に沿って設けられた第3のキャビティ2060との流体連通をもたらすように構成される内部流体チャネルを画成する。したがって、両頭針・アセンブリなど用量ディスペンサが投薬インターフェース1200に接続されたとき、ニードル・アセンブリの近位に延びる針は、針ガイド3000によってこの凹部2044内に案内されることになる。したがって、この近位針は、第3のキャビティまたは保持チャンバ2060内にある流体および/または(1つまたはそれ以上の)薬剤と流体連通することになる。
【0095】
投薬インターフェース1200が組み立てられたとき、穿刺可能セプタム2900は、この上部の平坦面2082に沿っているように位置決めされることになる。次いで、金属フェルール2800がセプタム2900のこの遠位端の上に設けられ、次いでセプタム2900の上、したがってネック部分2080の外径Dnp2086周りで圧着されることになる。したがって、図14に与えられた横断面図に示されているように、フェルール2800は、ネック部分2080の平坦面2082に沿ってセプタム2900を定位置で保持するように働くことになる。
【0096】
図14に与えられた横断面図からわかるように、内側本体2000は、第1および第2の穿刺針またはカニューレ4000、4050をさらに備える。一般に、これらの第1および第2の針は、薬物送達デバイス内に含まれるカートリッジと、内側本体2000の第1または第2の凹部またはリザーバ2050、2054との間で流体連通をもたらすために使用することができる。
【0097】
好ましい一構成では、第1の針4000と第2の針4050は共に、内側本体2000に永久的に添着される。第1および第2の針4000、4050と内側本体2000との間の接続は、締まり嵌め、保持接着剤、または針を内側本体に接続するための任意の他の好適な手段のうちの1つ、またはそれらの組合せによって行うことができる。例示的な一実施形態では、締まり嵌めと保持接着剤の組合せが使用される。図15および図16は、内側本体2000の平坦な近位表面2066を示す。これらの図からわかるように、平坦な近位表面2066は、第1および第2の開口2070、2074を備える。第1の開口2070に関しては、第1のテーパ2072を第1の開口内に成形し、第1の針4000が挿入されるとき接着剤を供給するための領域を提供することができる。接着剤が、リザーバ内に含まれる、またはリザーバ内を流れる可能性がある薬剤と接触し汚染する可能性を防止するために、第1の開口2070は、締まり嵌めに向かってしだいに細くなる。そのような締まり嵌めは、リザーバと、テーパ2072内に付着された接着剤との間を封止することができる。第2の針4050は、第2のテーパ2076によって同様に内側本体2000の第2の開口2074に取り付けることができる。
【0098】
図14に示す部分横断面図、および図15および図16に示す投薬インターフェース1200の分解図からわかるように、投薬インターフェース1200は、マニホルド2300をさらに備える。好ましくは、このマニホルド2300は、内側本体2000の遠位部分2002のY字形と概して同様の形状を備える。例えば、図19は、投薬インターフェース1200と共に使用することができるマニホルド2300の1つの構成の斜視図を提供する。図15〜16および図19に示されているように、マニホルド2300は、概して平坦な上面2304と、概して平坦な底面2310とを備える。
【0099】
投薬インターフェース1200の好ましい構成では、マニホルド底面2310は、内側本体2000の略平坦面2040に沿っているように位置決めされる。好ましくは、マニホルドと内側本体2000の間を封止するために、これらの2つの部材を共にレーザ溶接してもよい。そのようなレーザ溶接封止を容易にするために、一構成では、内側本体2000は、好ましくはレーザ溶接添加剤でドープされるシクロオレフィンポリマー(COP)で成形されてもよい。そのようなレーザ溶接添加剤は、レーザ光に対する内側本体の感度を高めることができる。さらに、マニホルド2300は、溶接レーザがマニホルド2300を通過し、最小限の界面で2つの部材間にある嵌合表面を活性化することを可能にするように、光学的に透明なCOPで成形されてもよい。例えば、図21は、内側本体の平坦面に沿って設けられ、次いでレーザ溶接トラック2394に沿ってレーザ溶接されたマニホルド2300を示す。図示のように、このレーザ溶接トラック2394は、マニホルド2300の外側縁部に沿って延びる。それぞれマニホルドおよび内側本体上の大きな、平坦な嵌合表面領域は、溶接が作用するための実質的な表面領域を作り出すように働き、これは、これらの2つの部材間に生み出される封止を最大限にする傾向がある。
【0100】
好ましくは、マニホルド2300は、流体溝構成2318と、矩形の突出部または充填ブロック2314とをさらに備える。例えば、図20は、内側本体2000にレーザ溶接されたマニホルド2300の部分断面図を示す。図示のように、図19および図20を参照すると、溝構成2318と突出部または充填ブロック2314は共にマニホルド上面2304に沿って設けられてもよい。突出部2314は、マニホルド2300の遠位端2302近くに設けられてもよい。好ましい一構成では、この突出部2314は、矩形の突出部を含む。そのような矩形構成の場合、マニホルド2300が内側本体2000の平坦面2040に沿って組み立てられた(例えば、レーザ溶接された)後で、突出部2314は、内側本体2000の第3のキャビティまたは保持チャンバ2060内にあることになる。図示のように、矩形の突出部または充填ブロックは、依然として流体流の方向を変えながら、第3のキャビティまたは保持チャンバの大部分を充填する。そのような構成の1つの利点は、投薬インターフェース1200のアレージを減少させることである。
【0101】
さらに、流体溝構成2318を2つのレーザ溶接された部材間でキャビティとして形成することにより、流体溝幾何形状の大部分をオープンアンドシャット工具を使用して成形することができる。したがって、オープンアンドシャット工具の使用により、流体溝構成に伴う脆いコア・ピンまたは分割線の必要が低減される。また、これは、複雑な道具なしに比較的複雑かつ厳しい公差の幾何形状を可能にする。内側本体2000上の外側突出部2006など同じ部材上でキー・アセンブリ・スナップ機能を成形することもまた、公差スタックアップを低減する助けとなり、小さいニードル・ウェル、したがってより小さいアレージを可能にする傾向もある。
【0102】
さらに、針ガイド3000を使用しタイプAカニューレを導くことは、針位置に対する公差の一部が低減されるので、そのカニューレが受容されるチャネルをより小さくすることができることを意味する。投薬インターフェースを介した流れ経路の位置合わせもまた、ある特別な考慮を必要とする。単に一例として、例示的な一構成では、薬物送達デバイス内に含まれる両方のカートリッジ、ならびにニードル・アセンブリは、デバイス中心線1162に沿って薬物送達デバイスの深さを切り開く単一の平面内で位置決めされる。しかし、投薬インターフェース部材の片側におけるダイヤフラム弁2700、2750および流体溝構成2318の位置決めにより、流体溝構成2318は、この中心線1162から外れる。取付済みのニードル・アセンブリを介して投薬する前に、この溝構成2318は、内側本体2000内に成形された第3のキャビティまたは保持チャンバ2060を使用して中心線1162上に戻される。これらの要素が相俟って、投薬する前に投薬インターフェース1200を充填するために必要とされる液体または薬剤の体積を削減し、それにより用量精度の助けとなる。
【0103】
本明細書で使用される「薬物」または「薬剤」という用語は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
一実施形態では、薬学的に活性な化合物が最大1500Daの分子量を有し、かつ/またはペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
さらなる実施形態では、薬学的に活性な化合物が、糖尿病もしくは糖尿病性網膜症等の糖尿病に関連する合併症、深部静脈もしくは肺血栓塞栓症等の血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、癌、黄斑変性症、炎症、花粉熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの治療および/または予防に有用であり、
さらなる実施形態では、薬学的に活性な化合物が、糖尿病または糖尿病性網膜症等の糖尿病に関連する合併症の治療および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
さらなる実施形態では、薬学的に活性な化合物が、少なくとも1つのヒトインスリンまたはヒトインスリンのアナログもしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはそのアナログもしくは誘導体、エキセンディン−3もしくはエキセンディン−4、またはエキセンディン−3もしくはエキセンディン−4のアナログもしくは誘導体を含む。
【0104】
インスリン・アナログは、例えばGly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;位置B28のプロリンがAsp、Lys、Leu、ValもしくはAlaに置き換えられており、位置B29でLysがProに置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0105】
インスリン誘導体は、例えばB29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−Y−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−Y−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリンおよびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0106】
エキセンディン−4は、例えばエキセンディン−4(1−39)、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2の配列のペプチドを意味する。
【0107】
エキセンディン−4誘導体は、例えば以下の化合物一覧から選択される:
H−(Lys)4−des Pro36,des Pro37エキセンディン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−des Pro36,des Pro37エキセンディン−4(1−39)−NH2、
des Pro36[Asp28]エキセンディン−4(1−39)、
des Pro36[IsoAsp28]エキセンディン−4(1−39)、
des Pro36[Met(O)14,Asp28]エキセンディン−4(1−39)、
des Pro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンディン−4(1−39)、
des Pro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンディン−4(1−39)、
des Pro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンディン−4(1−39)、
des Pro36[Met(O)14Trp(O2)25,Asp28]エキセンディン−4(1−39)、
des Pro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンディン−4(1−39);または
des Pro36[Asp28]エキセンディン−4(1−39)、
des Pro36[IsoAsp28]エキセンディン−4(1−39)、
des Pro36[Met(O)14,Asp28]エキセンディン−4(1−39)、
des Pro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンディン−4(1−39)、
des Pro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンディン−4(1−39)、
des Pro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンディン−4(1−39)、
des Pro36[Met(O)14Trp(O2)25,Asp28]エキセンディン−4(1−39)、
des Pro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンディン−4(1−39)、
(ここで、基Lys6−NH2はエキセンディン−4誘導体のC末端に結合していてもよい);
【0108】
または配列
H−(Lys)6−des Pro36[Asp28]エキセンディン−4(1−39)−Lys6−NH2、
des Asp28 Pro36,Pro37,Pro38エキセンディン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−des Pro36,Pro38[Asp28]エキセンディン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5des Pro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンディン−4(1−39)−NH2、
des Pro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンディン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンディン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンディン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−des Pro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンディン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−des Asp28 Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンディン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンディン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンディン−4(1−39)−NH2、
des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンディン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンディン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンディン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−des Pro36[Met(O)14,Asp28]エキセンディン−4(1−39)−Lys6−NH2、
des Met(O)14 Asp28 Pro36,Pro37,Pro38エキセンディン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンディン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンディン−4(1−39)−NH2、
des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンディン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンディン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンディン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−des Pro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンディン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−des Asp28 Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンディン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンディン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンディン−4(1−39)−NH2、
des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンディン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンディン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンディン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
のエキセンディン−4誘導体;
または上述のエキセンディン−4誘導体のいずれか1つの薬学的に許容し得る塩もしくは溶媒和物。
【0109】
ホルモンは、例えば脳下垂体ホルモンもしくは視床下部ホルモン、または非特許文献1に列挙されるような調節活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニスト、例えばゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、リュープロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンである。
【0110】
多糖類は、例えばグルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンもしくはその誘導体、または上述の多糖類の硫酸化、例えばポリ硫酸化形態、および/またはその薬学的に許容し得る塩である。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容し得る塩の例はエノキサパリンナトリウムである。
【0111】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られる球形の血漿タンパク質(約150kDa)である。球形血漿タンパク質は、アミノ酸残基に加えられた糖鎖を有するため、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能ユニットは、免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIgユニットのみを含む)であり、分泌型抗体は、IgA等の2つのIgユニットを有する二量体、硬骨魚IgM等の4つのIgユニットを有する四量体、または哺乳類IgM等の5つのIgユニットを有する五量体である。
【0112】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖;システイン残基の間のジスルフィド結合により結合された2つの同一の重鎖および2つの同一の軽鎖から構成される「Y」型分子である。各重鎖は、約440アミノ酸長であり;各軽鎖は、約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折畳み構造を安定化させる鎖間ジスルフィド結合を含む。各鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは、約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に応じて異なるカテゴリ(例えば、可変またはV、および定常またはC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインとその他の電荷アミノ酸との相互作用により共に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折畳み構造を有する。
【0113】
α、δ、ε、γおよびμで指定される5つのタイプの哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖のタイプは、抗体のアイソタイプを定義し;これらの鎖は、それぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見つけられる。
【0114】
異なる重鎖は、サイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を、δは約500個のアミノ酸を含み、一方、μおよびεは約550個のアミノ酸を含む。各重鎖は、2つの領域、定常領域(CH)および可変領域(VH)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプの全ての抗体においては本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体においては異なる。重鎖γ、αおよびδは、3つのタンデム型のIgドメインおよび追加の可撓性のためのヒンジ領域から構成された定常領域を有し;重鎖μおよびεは、4個の免疫グロブリンドメインから構成された定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞により生成された抗体において異なるが、単一のB細胞またはB細胞クローンにより生成された全ての抗体については同一である。各重鎖の可変領域は、約110個のアミノ酸長であり、単一のIgドメインより成る。
【0115】
哺乳類には、λおよびκで指定される2つのタイプの免疫グロブリン軽鎖が存在する。軽鎖は、2つの連続したドメイン:1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2つの軽鎖を有し、軽鎖κまたはλの内、哺乳類の各抗体につき1つのタイプのみ存在する。
【0116】
全ての抗体の一般的構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、詳細に前述したように、変動領域(V)により決定される。より詳細には、軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(VH)について3つの可変ループが、抗原への結合、すなわち、その抗原の特異性の原因となる。これらのループは、相補性決定領域(CDR)として呼ばれる。VHおよびVLドメインからのCDRが抗原結合部位に寄与するため、最終の抗原特異性を決定するのは重鎖および軽鎖の組合せであり、それぞれの単体のみではない。
【0117】
「抗体フラグメント」は、上記で定義したように、少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、フラグメントが由来する完全抗体と本質的に同一の機能および特異性を示す。パパインによる限定されたタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。それぞれ1つの完全なL鎖およびH鎖の約半分を含む2つの同一アミノ末端フラグメントは、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両重鎖の半分のカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、補体結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定されたペプシンの消化は、Fab片およびH−H鎖間ジスルフィド結合を有するヒンジ領域を含む単一F(ab’)2フラグメントを生成する。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断され得る。さらに、重鎖と軽鎖の可変領域は、単一鎖可変フラグメント(scFv)を形成するために共に融合可能である。
【0118】
薬学的に許容し得る塩は、例えば酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩は、例えばHCl塩またはHBr塩である。塩基性塩は、例えばアルカリまたはアルカリ金属から選択されるカチオン、例えばNa+、もしくはK+、もしくはCa2+、またはアンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)、(ここで、R1〜R4は互いに独立して:水素、場合により置換されたC1〜C6−アルキル基、場合により置換されたC2〜C6−アルケニル基、場合により置換されたC6−C10−アリール基、または場合により置換されたC6〜C10−ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容し得る塩のさらなる例は、非特許文献2および3に記載される。
【0119】
薬学的に許容し得る溶媒和物は例えば水和物である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23