(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6157473
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】180度回転スプールを備えた魚釣用リール
(51)【国際特許分類】
A01K 89/00 20060101AFI20170626BHJP
A01K 89/015 20060101ALI20170626BHJP
【FI】
A01K89/00 B
A01K89/015 C
【請求項の数】14
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-529932(P2014-529932)
(86)(22)【出願日】2012年9月10日
(65)【公表番号】特表2014-526252(P2014-526252A)
(43)【公表日】2014年10月6日
(86)【国際出願番号】US2012054379
(87)【国際公開番号】WO2013036903
(87)【国際公開日】20130314
【審査請求日】2015年9月9日
(31)【優先権主張番号】13/606,357
(32)【優先日】2012年9月7日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/573,522
(32)【優先日】2011年9月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514058544
【氏名又は名称】マーク フランシス ケンドラ
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】マーク フランシス ケンドラ
【審査官】
門 良成
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第03727857(US,A)
【文献】
特開平09−248109(JP,A)
【文献】
実開昭59−059770(JP,U)
【文献】
米国特許第04213579(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 89/00
A01K 89/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプール組立体を旋回可能に支持するためのスプール支持機構と、
前記スプール組立体と係合し、スプール支持機構からスプール組立体をロック及びアンロックするばね式ロック装置と、が含まれる魚釣用リールであって、
前記スプール組立体は、前記ばね式ロック装置を用いて、前記スプール支持機構からロック及びアンロックすることができ、また、前記スプール組立体は、いずれの方向にでも90度回転することができ、これによって、スプール組立体は、0度インライン位置、90度右キャスティング位置、又は90度左キャスティング位置においてキャスティングすることができる魚釣用リール。
【請求項2】
前記スプール支持機構には、ブレースが含まれ、
前記ブレースには、1対のブレースアーム部材が含まれ、
前記ブレースアーム部材は互いに結合又は一体化され、
前記ばね式ロック装置には、ばね式スプール支持バンド、スプールスレッド、及びスレッドロック装置が含まれ、
前記ブレースアーム部材の各々には、前記ばね式スプール支持バンドから前記スプールスレッドを切り離すことによって、また、前記スレッドロック装置で前記スプールスレッドをロックすることによって90度回転し得る前記ばね式スプール支持バンドのそれぞれの旋回プロングを受けるための旋回点開口部が含まれる、請求項1に記載の魚釣用リール。
【請求項3】
前記ばね式スプール支持バンドには、共通の旋回点において取り付けられた左側スプール支持バンド及び右側スプール支持バンドが含まれ、
前記左側スプール支持バンド及び前記右側スプール支持バンドは、互いに対して独立に90度回転可能である、請求項2に記載の魚釣用リール。
【請求項4】
90度点において、前記左側スプール支持バンド又は前記右側スプール支持バンドのいずれかをアンロックし、また、左側スプール支持バンド又は右側スプール支持バンドをそれぞれインライン位置に戻すために用いられるトリガ機構が更に含まれる、請求項3に記載の魚釣用リール。
【請求項5】
前記ばね式スプール支持バンドの内の一方は、他方の前記ばね式スプール支持バンド側に90度回転されると、スプール支持バンドばねに抗して装着され、前記トリガ機構のばね式トリガロック装置によって所定の位置にロックされる、請求項4に記載の魚釣用リール。
【請求項6】
前記スプール組立体には、スプールと、前記スプールの各側に結合された1対のスプールディスクと、が含まれ、
1対の前記スレッドは、前記1対の前記スプールディスクの各々に取り付けられたスレッドガイドで受けられ、
ねじ付きスプール軸が、前記スプール及び前記1対のスプールディスクを通って横に延在し、
前記1対のスレッドは、前記ねじ付きスプール軸のいずれかの側に対し垂直に付勢される、請求項2に記載の魚釣用リール。
【請求項7】
前記スレッドロック装置は、スレッドロックタブの切り欠きと係合して、前記ばね式スプール支持バンドから解放された位置で互いに隣接して前記1対の付勢されたスプールスレッドを保持する、請求項6に記載の魚釣用リール。
【請求項8】
前記トリガ機構には、前記ばね式トリガロック装置と係合するスプール支持バンドロックばねが含まれ、
前記スプール支持バンドロックばねは、釣り人によって逆方向の圧力が印加され、前記ばね式スプール支持バンドがインライン位置に解放されるまで、前記ばね式スプール支持バンドに対して前方への圧力を保持する、請求項5に記載の魚釣用リール。
【請求項9】
前記ねじ付きスプール軸の周りに配置されたスプール・ディスク・ブッシングに受けられるスプールギアと、
前記スプールギアと係合するディスクギアと、
トリガギアと係合するハンドルギアであってハンドルと共働する前記ハンドルギアと、が更に含まれ、
前記トリガギアが前記ディスクギア及び前記スプールギアと係合するようにトリガが解放されると、前記ハンドルの回転により、前記ハンドルギアを回転させて、前記トリガギアが回転する、請求項8に記載の魚釣用リール。
【請求項10】
釣り糸のキャスティング方法であって、
第1位置にあるスプールから釣り糸をキャスティングすることと、
前記スプールを第2位置に回転することであって、前記第2位置は、前記第1位置から90度又は180度回転された位置であることと、
前記スプールが前記第2位置にある状態で釣り糸をキャスティングすることと、
を含み、
前記スプールは、スプール支持機構に支持されたスプール組立体の一部であり、
ばね式ロック装置は、前記スプール組立体と係合され、スプール支持機構からスプール組立体をロック及びアンロックし、
前記スプール組立体は、前記ばね式ロック装置を用いて、前記スプール支持機構からロック及びアンロックすることができ、前記スプール組立体は、いずれの方向にでも90度回転することができ、これによって、スプール組立体は、0度インライン位置、90度右キャスティング位置、又は90度左キャスティング位置においてキャスティングすることができる方法。
【請求項11】
前記スプール支持機構には、ブレースが含まれ、
前記ブレースには、1対のブレースアーム部材が含まれ、
前記ブレースアーム部材は、互いに結合又は一体化され、
前記ばね式ロック装置には、ばね式スプール支持バンド、スプールスレッド、及びスレッドロック装置が含まれ、
前記ブレースアーム部材の各々には、前記ばね式スプール支持バンドから前記スプールスレッドを切り離すことによって、また、前記スレッドロック装置で前記スプールスレッドをロックすることによって90度回転し得る前記ばね式スプール支持バンドのそれぞれの旋回プロングを受けるための旋回点開口部が含まれる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ばね式スプール支持バンドには、共通の旋回点において取り付けられた左側スプール支持バンド及び右側スプール支持バンドが含まれ、
前記左側スプール支持バンド及び前記右側スプール支持バンドは、互いに対して独立に90度回転可能であり、
トリガ機構は、90度点において、前記左側スプール支持バンド又は前記右側スプール支持バンドのいずれかをアンロックし、また、左側スプール支持バンド又は右側スプール支持バンドをそれぞれインライン位置に戻すために用いられる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ばね式スプール支持バンドの内の一方は、他方の前記ばね式スプール支持バンド側に90度回転されると、スプール支持バンドばねに抗して装着され、前記トリガ機構のばね式トリガロック装置によって所定の位置にロックされる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記トリガ機構には、前記ばね式トリガロック装置と係合するスプール支持バンドロックばねが含まれ、
前記スプール支持バンドロックばねは、釣り人によって逆方向の圧力が印加され、前記ばね式スプール支持バンドがインライン位置に解放されるまで、前記ばね式スプール支持バンドに対して前方への圧力を保持する、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、魚釣用リールの分野に関し、特に、180度回転して、釣り人がスプールのどちら側からでも又はインライン位置からキャスティングできるようにするスプールを有する魚釣用リールに関する。
【背景技術】
【0002】
魚釣りの歴史全体にわたって、釣り糸の捩れは、常に釣り人にとって不便であった。この避けがたい釣り糸の捩れは、スピニングリールやスピンキャスティングリールにおいては、投げ餌釣りリールに比べてより劇的に起こる。しかしながら、投げ餌釣りリールによりキャスティングする場合でさえ、この場合、釣り糸はスプールから直接離れ、また、スプールに直接巻き取られるものの、キャスティングの際の空中でのルアースピニング又は巻き取りの際の水中でのスピニングの結果、釣り糸は依然として捩れる。スピニング及びスピンキャスティングリールでは、釣り糸は、コイルが引き離されるようにスプールの側方からキャスティングされ、釣り糸が特定の方向に捩られる。
【0003】
ある期間に渡って釣り糸のキャスティング及び巻き取りを行うと、釣り人には、釣り糸の捩れの蓄積を阻止する方法が無いことから、捩れが益々蓄積される。最終的に、これは、バックラッシュや鳥の巣(birds nests)の結果となり、釣り糸は使用可能となる。また、捩れた釣り糸は、短くなり、キャスティングの長さが犠牲になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
釣り糸の捩れ方向に対して適切な方向で釣り人が釣り糸をほどき、これによって捩れを除去できる魚釣用リールを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、釣り人がスプールのいずれかの側から又はインライン位置においてキャスティングできる魚釣用リールを提供する。巻き取りと同じ方向にスプールの釣り糸があるスプール位置(インライン位置と称する)から開始して、釣り糸は、この位置からキャスティングできる。又は、スプールは、キャスティングのために、インライン位置からいずれの方向にも90度回転できる。スプールが回転した後、キャスティングは、スプールの釣り糸に垂直な方向のスプール側から行われる。キャスティングの後、スプールがインライン位置の開始位置に戻され、スプールの釣り糸は巻き取りと同じ方向になる。そして、釣り糸は、スプールと係合することによって釣り糸を巻き込む一連のギアに接続されたハンドルを回すことによって巻き取られる。
【0006】
本発明によって、釣り人は、従来のインラインスプール位置又はサイドスプール位置からキャスティングできるばかりでなく、釣り人は、スプールのいずれの側からもキャスティングできる。第1キャスティングが、スプールの一方側又は他方側から行われると、多数の正の釣り糸捩れが生成される。第2キャスティング時、スプールの反対側からキャスティングすることによって、多数の負の釣り糸捩れが生成され、従って、釣り糸捩れの数がゼロになる。また、本発明によって、釣り人は、0度インラインスプール位置からキャスティングして、キャスティング時の空中でのルアースピニング又は巻き取り時の水中でのスピニングによって生成された釣り糸捩れを、釣り糸の捩れに逆らう適切なスプール側からのキャスティングによって取り除くことができる。
【0007】
釣り糸は、スプールの一方側からキャスティングされる場合、あたかもスプールの他方側からキャスティングされたかのように逆方向に捩れる。釣り人は、釣り糸をほどくための適切な側からキャスティングすることによって、釣り糸をほどき、釣り糸の捩れの蓄積を防ぐことができる。従って、本発明のリールは、釣り人によって用いられて、釣り糸をほどくことができる。
【0008】
本発明について、以下の図面を参照して更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】釣りざおに平行なインラインキャスティング及び巻き取り位置にあるスプールを示す本発明の魚釣用リールの側面図である。
【
図2】釣りざおに平行なインラインキャスティング及び巻き取り位置にあるスプールを示す
図1に示す魚釣用リールの平面図である。
【
図3】
図1に示す魚釣用リールの概略分解透視図である。
【
図4】右側キャスティング位置にあるスプールを示す本発明の魚釣用リールを示す上面図である。
【
図5】左側キャスティング位置にあるスプールを示す本発明の魚釣用リールを示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の好適な実施形態を詳細に参照し、その例を添付図面に示す。可能な限り、同じ参照番号を図面及び説明全体で用いて同じ又は同様な部品を参照する。
【0011】
図1−3は、本発明の教示内容に基づく、インラインキャスティング及び巻き取り位置にある魚釣用リール10を示す。この位置は、零度位置とも称する。リール本体12は、ロッド搭載垂直支持部13によって支持される。ロッド搭載垂直支持部13は、釣りざお(図示せず)に取り付けることができる。
【0012】
スプール支持機構15は、リール本体12の前端部14に配置される。スプール支持機構15には、ブレースアーム16及びブレースアーム17が含まれる。ブレースアーム16及びブレースアーム17は、
図3に示すように、バンド18で互いに結合可能となっている。他の選択肢として、ブレースアーム16及びブレースアーム17は、互いに一体化してもよい。バンド18は、ねじ19でリール本体12の前端部14に結合可能となっている。ばね式スプール支持バンド60には、左側スプール支持バンド61及び右側スプール支持バンド62が含まれる。ブレースアーム16及びブレースアーム17は、スプール31の90度回転のために、しかるべき側のスプール支持バンド61、62からスプールスレッド51、52を外すことによって90度回転し得るスプール支持バンド61、62の旋回プロング22を受けるためのそれぞれの旋回用点開口部20、21を有する。スレッドロック装置58は、旋回用点開口部20、21によってスプール31を回転させるためのスプール組立体30のスレッドタブ57と係合される。スレッドロック装置58は、付勢手段によってばね負荷がかけられている。このため、スレッドタブ57の切り欠き500にスレッドロック装置58をロックできる。
【0013】
スプール組立体30には、スプールスレッド51、52及びスレッドロック装置58の土台として機能するスプール31の各側にあるスプールディスク32、33と、スレッドタブ57とが含まれる。スプールディスク32、33は、スプール・ディスク・ブッシング34と、スプール31の軸として機能するねじ付きスプール軸35とによって互いに接続される。ねじ付きナット36は、ねじ付きスプール軸35のいずれの端部にも取り付けることができる。
【0014】
スプールギア37は、スプール31とスプールディスク32との間のスプール・ディスク・ブッシング34で受けることができる。例えば、スプールギア37は、約1.47インチの直径と、約19の歯を有することができる。ディスクギア38は、ディスクギアねじ39でスプールディスク32に取り付けることができる。例えば、ディスクギア38には、8つの玉軸受けを含むことができ、また、直径約2.94インチ及び38の歯を有することができる。ディスクギア38は、スプールギア37と噛み合う。ハンドルギア40は、噛み合いギアトリガ74が解放されると、トリガギア79と噛み合う。トリガギア79は、ディスクギア38と同じサイズである。ハンドル42は、平坦側ねじ切り端部43を用いて、ハンドルギア40をリール本体12に取り付けられる。平坦側ねじ切り端部43は、ねじ付きナット44と、逆転防止ギア80と、ドラッグ圧力ナット81と、ハンドルギア40の各側にある2つのドラッグ座金83と、によって受けられる。噛み合い逆転防止ギア80は、逆転防止キャッチレバー82である。ハンドルグリップ46は、ハンドル42に取り付けられる。トリガギア79がディスクギア38及びスプールギア37と噛み合ってスプール31を回転するように噛み合いギアトリガ74が解放されると、ハンドル42の回転によって、ハンドルギア40が回転してトリガギア79が回転する。更に、ハンドルギア40、ディスクギア38、トリガギア79、及びスプールギア37に構成されているのは、ドラッグ機構である。ドラッグ機構は、逆転防止ギア80、ドラッグ座金83、ドラッグ圧力ナット81、及び逆転防止キャッチレバー82を用いることによって、調整可能な圧力で魚が釣り糸をスプール31から解放できるようにする。
【0015】
スレッドロック装置58には、2つのスプールスレッド51、52、スレッドタブ57、及びスレッドプロング29が含まれる。スプールスレッド51、52のスレッドプロング29は、スプール支持機構15内においてスプール組立体30の回転をロック及びアンロックするためのばね式スプール支持バンド60と係合する。各スプールスレッド51、52は、スレッドガイド53で受ける。スレッドガイド53は、スレッドガイドキャップ54の下で受ける。スレッドガイドキャップ54は、スプールディスク32、33に取り付けられる。スレッドばね55は、スプールスレッド51、52の突起部56に配置される。スレッドばね55は、ねじ付きスプール軸35に対して垂直に配置される。スプールスレッド51、52は、スプールディスク31、32の中心点からスレッドばね55を用いてばね負荷がかけられている。
【0016】
スレッドタブ57は、
図1に示すように、スプールスレッド51、52に垂直に結合される。スレッドロック装置58は、スレッドタブ57のスロット501に配置される。スレッドロック装置58は、スレッドロック装置プロング59によってスレッドタブ57と結合可能となっている。
【0017】
動作時、スプールスレッド51、52は、互いの方に動いて、スレッドプロング29をスプール支持バンド61、62から解放できる。スレッドタブ57を操作して、スレッドロック装置58と係合させ、スプールスレッド51又は52を互いに隣接してスプール支持バンド61、62から解放された位置に保持できる。そして、スプール支持バンド61又は62は、旋回プロング22においてそれ自体の支持バンドばね69に抗して回転できる。反対のスプール支持バンド61又は62の動きは、支持バンドプロング502によって抑制されるが、支持バンドプロング502は、各スプール支持バンド61又は62の回転を90度に限定するための制限スロット503によって受ける。
【0018】
左側スプール支持バンド61及び右側スプール支持バンド62は、2つの共通の旋回点63、64において取り付けられ、互いに独立に動く。左側スプール支持バンド61及び右側スプール支持バンド62の各々は、対向するスプール支持バンドの方向に90度回転できる。一方のスプール支持バンド61又は62は、他方のスプール支持バンド61又は62側に90度回転すると、スプール支持バンドばね64に抗して装着され、ばね式トリガロック装置73によって所定の位置にロックされる。スプールスレッド51は、左側スプール支持61に向かう方向に及び左側スプール支持61から離れる方向に摺動して、左側スプール支持61と係合及び分離される。スプールスレッド52は、右側スプール支持62に向かう方向に及び右側スプール支持62から離れる方向に摺動して、右側スプール支持62と係合及び分離される。一方のスプール支持バンド61又は62は、他方のスプール支持バンド61又は62側に90度回転されると、スプール支持バンドばね69に抗して装着され、ばね式トリガロック装置73によって所定の位置にロックされる。左側スプール支持バンド61及び右側スプール支持バンド62には、スプールスレッド51、52のスレッドプロング29の係合と分離のための受け孔66が組み込まれている。
【0019】
スプール支持機構15の外には、トリガ機構70がある。トリガ機構70は、左側スプール支持バンド61又は右側スプール支持バンド62のいずれかを90度点においてアンロックするために、また、左側スプール支持バンド61又は右側スプール支持バンド62それぞれをインライン位置に戻すために用いられる。また、トリガ機構70は、トリガギア79の係合及び分離が可能である。トリガ機構70には、ばね式トリガロック装置73と係合するスプール支持バンドロックばね72が含まれる。ばね式トリガロック装置73は、90度点において支持バンド61、62の回転をロック及びアンロックするために用いられる。スプール支持バンドロックばね72は、逆方向の圧力が釣り人によって印加されて、ばね式スプール支持バンド60がインライン位置に解放されるまで、ばね式スプール支持バンド60に抗する前方への圧力を保持する。係合ギアトリガ74は、係合ギアトリガガイド75で受ける。係合トリガばね76は、係合ギアトリガ74とばね止め具77との間に配置される。釣り人の指は、係合ギアトリガ74がトリガギア79を切り離すために用いられる。その後、ばね式トリガロック装置73を動かして、ばね式トリガロック装置73を解放し、これによって、ばね式スプール支持バンド60をアンロックする。釣り糸505は、スプール31に取り付けられる。
【0020】
動作時、魚釣用リール10は、
図1に示すように、インライン位置においてキャスティングできる。この位置では、スプールスレッド51、52のプロング29は、ばね式スプール支持バンド60と係合される。右側へのキャスティングの場合、
図4に示すように、スプールスレッド52のプロング29は、矢印A
1の方向に右側スプール支持バンド62から解放され、スプール組立体30は90度回転する。
【0021】
右側へのキャスティングの場合、スプールスレッド52は、右側スプール支持バンド62から切り離され、左側スプール支持バンド61は、右側スプール支持バンド62に対して90度回転する。スレッドタブ57を操作して、スレッドロック装置58と係合させ、右側スプール支持バンド62から解放された位置においてスプールスレッド52を互いに隣接して保持できる。スプール組立体30の回転後、ばね式トリガロック装置73は、左側スプール支持バンド61を所定の位置にロックできる。この位置は、第1キャスティングの90度正捩れ位置と称し得る。右側キャスティング位置を解放する場合、係合ギアトリガ74を動かして、トリガギア79を切り離す。その後、ばね式トリガロック装置73を動かして、ばね式トリガロック装置73を解放し、これによって、左側スプール支持バンド61をアンロックして、左側スプール支持バンド61を180度の位置に戻し、スプール組立体30を回転して、
図1に示すように、インラインキャスティング位置に戻す。ばね式トリガロック装置73による左側スプール支持バンド61の解放によって、スレッドロック装置58が解放され、スレッドロック装置58が右側支持バンド62と接触すると、スレッドタブ57からスプールスレッド52が解放される。スレッドロック装置58の解放時、プロング29が支持バンド孔66において右側スプール支持バンド62と係合するように、スプールスレッド52はスレッドばね55によって付勢される。
【0022】
図5に示す左側へのキャスティングの場合、スプールスレッド51のプロング29は、左側スプール支持バンド61から解放され、右側バンド62は、矢印A
2の方向に90度回転される。
図5は、左側キャスティングの場合のスプール組立体30の回転を示す。左側キャスティング時、スプールスレッド51は、左側スプール支持バンド61から切り離され、右側スプール支持バンド62は、左側スプール支持バンド61に対して90度回転する。スレッドタブ57を操作して、スレッドロック装置58と係合させ、左側スプール支持バンド61から解放された位置において互いに隣接してスプールスレッド51を保持できる。スプール組立体30の回転後、ばね式トリガロック装置73は、右側スプール支持バンド62を所定の位置にロックできる。この位置は、第2キャスティングの90度負捩れ位置と称し得る。左側キャスティング位置を解放する場合、係合ギアトリガ74を動かして、トリガギア79を切り離す。その後、ばね式トリガロック装置73を動かして、ばね式トリガロック装置73を解放し、これによって、右側スプール支持バンド62をアンロックして、右側支持バンド62を180度の位置に戻し、
図1に示すように、スプール組立体30を回転させインラインキャスティング位置に戻す。また、右側スプール支持バンド62の解放によって、スレッドロック装置58が左側スプール支持61に接触して、スレッドロック装置58からスプールスレッド51を解放すると、スレッドロック装置58が解放される。スレッドロック装置58の解放時、スプールスレッド51は、プロング29が支持バンド孔66においてそれぞれの左側スプール支持バンド61と係合するように、スレッドばね55によって付勢される。
【0023】
魚釣用リール10は、
図4又は5に示すように、第1位置にあるスプール31から釣り糸505をキャスティングし、第1位置から90度又は180度回転された第2位置にスプール31を回転し、スプール31が第2位置にある状態で釣り糸505をキャスティングするための方法に用いることができる。
【0024】
魚釣用リール10は、
図4及び5に示すように、キャスティング又は巻き取りによって正捩れを生成する第1位置にあるスプール31から釣り糸505をキャスティングし、第1位置から180度回転された第2位置にスプール31を回転し、釣り糸505のニュートラルなゼロ捩れを維持するために、負捩れを生成する第2位置にスプール31がある状態で、釣り糸505をキャスティングするための方法に用いることができる。
【0025】
上述した実施形態は、多くの可能な特定の実施形態の内、本発明の原理の応用を代表し得る一例のみを例示したものであることを理解されたい。数多くの様々な他の構成は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、当業者によって、これらの原理に基づき、容易に考案することが可能である。