特許第6157501号(P6157501)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アジョンス・ナシオナル・プール・ラ・ジェスティオン・デ・ドゥシェ・ラディオアクティフの特許一覧

特許6157501水素を検出及び/又は投与するデバイス、並びに水素を検出及び/又は投与する方法
<>
  • 特許6157501-水素を検出及び/又は投与するデバイス、並びに水素を検出及び/又は投与する方法 図000003
  • 特許6157501-水素を検出及び/又は投与するデバイス、並びに水素を検出及び/又は投与する方法 図000004
  • 特許6157501-水素を検出及び/又は投与するデバイス、並びに水素を検出及び/又は投与する方法 図000005
  • 特許6157501-水素を検出及び/又は投与するデバイス、並びに水素を検出及び/又は投与する方法 図000006
  • 特許6157501-水素を検出及び/又は投与するデバイス、並びに水素を検出及び/又は投与する方法 図000007
  • 特許6157501-水素を検出及び/又は投与するデバイス、並びに水素を検出及び/又は投与する方法 図000008
  • 特許6157501-水素を検出及び/又は投与するデバイス、並びに水素を検出及び/又は投与する方法 図000009
  • 特許6157501-水素を検出及び/又は投与するデバイス、並びに水素を検出及び/又は投与する方法 図000010
  • 特許6157501-水素を検出及び/又は投与するデバイス、並びに水素を検出及び/又は投与する方法 図000011
  • 特許6157501-水素を検出及び/又は投与するデバイス、並びに水素を検出及び/又は投与する方法 図000012
  • 特許6157501-水素を検出及び/又は投与するデバイス、並びに水素を検出及び/又は投与する方法 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6157501
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】水素を検出及び/又は投与するデバイス、並びに水素を検出及び/又は投与する方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20170626BHJP
【FI】
   G01N21/27 B
【請求項の数】15
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-549454(P2014-549454)
(86)(22)【出願日】2012年12月26日
(65)【公表番号】特表2015-503737(P2015-503737A)
(43)【公表日】2015年2月2日
(86)【国際出願番号】EP2012076898
(87)【国際公開番号】WO2013098289
(87)【国際公開日】20130704
【審査請求日】2015年12月11日
(31)【優先権主張番号】1162587
(32)【優先日】2011年12月30日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514157607
【氏名又は名称】アジョンス・ナシオナル・プール・ラ・ジェスティオン・デ・ドゥシェ・ラディオアクティフ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジョアン・ベルトラン
(72)【発明者】
【氏名】シルヴィ・ドゥルピーヌ−ルソワル
(72)【発明者】
【氏名】グザヴィエ・フェロン
【審査官】 深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−076599(JP,A)
【文献】 特開2013−076652(JP,A)
【文献】 特開2005−351651(JP,A)
【文献】 特開2011−053146(JP,A)
【文献】 特開平05−187829(JP,A)
【文献】 特開2005−030512(JP,A)
【文献】 特開昭63−249040(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0228275(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0103066(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/27
G01N 21/49
G01N 21/63
G01N 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備(1)のモニタリングを意図した、水素の検出及び/又は定量解析のためのデバイス(100)であって、前記デバイス(100)が、
−前記設備(1)に備えることが意図された第1の測定用光ファイバー(10)と、
−前記第1の測定用光ファイバー(10)に光学的に接続され、かつ前記第1の光ファイバーの少なくとも1つのパラメータを測定するのに適した、光学システム(20)と、
を備え、
前記光学システム(20)が、ブリルアンタイプの測定原理に従った、前記第1の測定用光ファイバー(10)に沿った前記第1の光ファイバー(10)のパラメータの測定に適しており、
前記第1の測定用光ファイバー(10)が、水素に対する敏感性を提供するためのコーティングを含まないことを特徴とする、デバイス(100)。
【請求項2】
前記第1の光ファイバーのパラメータの測定は、時間領域でのブリルアン光反射率測定、周波数領域でのブリルアン光反射率測定、相関領域でのブリルアン光反射率測定、時間領域での解析によるブリルアン光測定、周波数領域でのブリルアン光測定、及び相関領域での解析によるブリルアン光測定を含む群から選択されたブリルアン測定原理に従って測定される、請求項1に記載のデバイス(100)。
【請求項3】
前記デバイスは、前記第1の測定用光ファイバー(10)上の少なくとも1つの位置で前記第1の測定用光ファイバー(1)の少なくとも1つのパラメータの基準測定を行うように適合され、前記基準測定は水素の存在によって影響を受けない、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記光学システム(20)は、2つの異なる波長で前記第1の光ファイバーに沿った基準測定を行うように適合される、請求項1から3の何れか1項に記載のデバイス(100)。
【請求項5】
前記第1の測定用光ファイバーが、水素に対して鈍感にされた少なくとも1つの部分を含み、故に、前記部分における前記光学システム(20)による前記第1の測定用光ファイバー(10)のパラメータの測定が基準測定を提供する、請求項3に記載の、又は請求項3と組み合わせて請求項1若しくは2に記載のデバイス(100)。
【請求項6】
前記設備(1)に備えることが意図されながら前記光学システム(20)に接続される基準光ファイバー(30)がまた提供され、前記基準光ファイバー(30)は基準測定を提供するよう意図されている、請求項1又は2に記載のデバイス(100)。
【請求項7】
前記基準光ファイバー(30)は、水素に対して低下した敏感性を有するように、好ましくは水素に対して鈍感であるように構成される、請求項6に記載のデバイス(100)。
【請求項8】
前記設備(1)に備えることが意図されながら前記光学システム(20)に接続される第2の測定用光ファイバー(11)がまた提供され、前記第2の測定用光ファイバー(11)は、前記第1の測定用光ファイバー(10)とは異なる水素との相互作用を有するように構成される、請求項1から7の何れか1項に記載のデバイス(100)。
【請求項9】
第2の測定用光ファイバー(11)は、前記第2の測定用光ファイバー(11)において水素の拡散を制限するための手段を含む、請求項5に記載のデバイス(100)。
【請求項10】
前記第2の測定用光ファイバー(11)の水素の拡散を制限するための手段は前記第2の測定用光ファイバーのクラッディングを含み、前記クラッディングは水素に対して部分透過性を有する、請求項8に記載のデバイス(100)。
【請求項11】
第2の測定用光ファイバー(11)は、前記光ファイバー(11)の水素との相互作用を修正するように構成された事前の水素担持を有する、請求項7に記載のデバイス(100)。
【請求項12】
1つ又は複数の光測定用ファイバー(10、11)及び基準光ファイバー(30)は、クラスター又はリボンの形態で配置される、請求項5若しくは6に記載の、又は請求項5若しくは6と組み合わせて請求項7から10の何れか1項に記載のデバイス(100)。
【請求項13】
設備のモニタリングのための、水素を検出及び/又は定量解析するための方法であって、前記方法が、
−前記設備に、水素に対する感度を提供するためのコーティングを含まない第1の測定用光ファイバーを設置するステップと、
−ブリルアン測定原理に従って、測定用光ファイバーに沿ってパラメータの測定を行うステップと、
−ブリルアン測定原理に従って前記測定用光ファイバーに沿って測定されたパラメータから、前記測定用光ファイバー(10)における水素をそれぞれ検出及び/又は定量解析するステップと、
からなるステップを含む、方法。
【請求項14】
請求項1から12の何れか1項に記載のデバイス(100)を使用し、
−ブリルアン測定原理に従って前記第1の測定用光ファイバーに沿って前記第1の測定用光ファイバーのパラメータを測定するために、光学システム(20)を使用するステップと、
−ブリルアン測定原理に従って測定用光ファイバーに沿って測定されたパラメータから、前記第1の測定用光ファイバー(10)における水素をそれぞれ検出及び/又は定量解析するステップと、
からなるステップを含むことを特徴とする、水素を検出及び/又は定量解析するための方法。
【請求項15】
請求項3若しくは6に記載の、又は請求項3若しくは6と組み合わせて請求項4から11の何れか1項に記載のデバイスが使用され、それぞれ検出及び/又は定量解析するステップが、
−前記第1の測定用光ファイバー(10)に沿った基準測定を行うために、光学システム(20)を使用するステップと、
−前記基準測定に基づいて、ブリルアン測定原理に従って前記第1の測定用光ファイバー(10)に沿ってなされた前記第1の測定用光ファイバー(10)のパラメータの測定を補正するステップと、
−前記基準測定を用いて補正された、ブリルアン測定原理に従った前記第1の測定用光ファイバー(10)に沿った前記第1の測定用光ファイバー(10)のパラメータの測定から、前記第1の測定用光ファイバー(10)における水素の存在をそれぞれ検出及び/又は測定するステップと、
からなるサブステップを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素の検出及び定量解析の分野に関する。
【0002】
化学生成物及び/又は放射性生成物の保管施設、地熱掘削、倉庫保管サイト、及び工業タンクなどの設備は、その保管された生成物に関連する水素の放出のリスクにさらされることがあり、これらの水素の放出は爆発性であり、一定の条件下では人間に対して有害であり得る。
【0003】
これらのリスクを制御するために、かつ生じ得る如何なる水素の放出をも予防的に検出するために、この種の保管施設に水素の検出及び/又は測定に適した化学的検出器を備え付けるのが一般的である。化学生成物又は放射性生成物の長い保管期間(数年)、及び保管構造への接近不可能性により、関連する機器及び水素検出器などの化学的検出器は、明確な安全性の理由のために、長時間にわたって耐久性を有する必要があり、つまり、全保管期間又はその一部にわたって最適な安定性及び敏感性を有する必要がある。さらに、大面積をカバーし、かつ均一でない環境を特性化するために、それらは大量に配置される必要がある。最終的に、測定デバイスは爆発のリスクの側面を考慮に入れる必要があり、また、デバイスの固有の安全性を保証できなければならない。
【0004】
本発明は従って、より具体的には、水素を検出及び/又は定量解析するためのデバイスに関し、また、水素を検出及び/又は定量解析するための方法に関する。
【背景技術】
【0005】
モニタリングすべき領域が略100メートルを超える程度である、化学生成物及び/又は放射性生成物に対する保管サイトなどの設備において、水素の存在をモニタリングする場合、水素センサとして光ファイバーを用いた水素を検出及び/又は定量解析するためのデバイスの使用が知られている。この種のデバイスは、特に、設備の固有の安全性を保証する検出を提供するという利点を有するが、それは、この種のデバイスが多量の水素を含む気体環境において爆発を引き起こし得るスパークのリスクのない光学的測定を使用するからである。
【0006】
以下及び本文書の残りにおいて、水素は、その原子形態、その分子形態(つまり二水素)、又はそのアイソトープ形態(つまり重水素)である水素を意味する。
【0007】
従って、特許文献1(WO2009/067671)では、水素を検出及び/又は定量解析するためのこのようなデバイスについて記載されている。特許文献1に記載されているデバイスは、
−モニタリングされるべき領域における、設備に備えることが意図された測定用光ファイバーと、
−光ファイバーに光学的に接続され、かつ明確に規定された波長において前記光ファイバーによる光の吸収の変動を測定するのに適した、光学システムと、
を備える。
【0008】
このようなデバイスは、光ファイバーでの水素の拡散特性、及びそれから生じる所定の波長における遷移特性の低下を使用する。これは、ファイバーでの水素の吸収が、水酸基OH及び分子二水素Hの生成を引き起こし、1080、1180及び1240nmなどの赤外部にある所定の波長を吸収するからである。これらの波長でのファイバーの遷移の減衰は従って、その中にある水素の濃度に直接関連する。
【0009】
従って、このようなデバイスが、モニタリングされるべき設備において、モニタリングされるべき領域の全体にわたって設置された光ファイバーを備える場合、水素の漏れにより、光吸収の前記測定によって検出され得るセンシング光ファイバーによる水素の一部の吸収を生じさせるであろう。
【0010】
それにもかかわらず、このようなデバイスは、設備における水素の存在の効果的な検出を提供するが、それは一定数の欠点を有する。これは、このようなデバイスが光ファイバーのエージングに左右され、この状態が完全に知られていないと、それは水素の存在の誤った検出を引き起こし得るからである。これは、特許文献1に記載の発明では、光ファイバーのエージングが近赤外のスペクトル領域で通常均一でない遷移の損失をもたらし、それ故に水素の検出において不確かさが生じるからである。
【0011】
特許文献2(WO2008/136870)には、水素を検出及び/又は定量解析するための別の種のデバイスであって、測定用光ファイバーが少なくとも1つの内接したブラッグ・グレーティング、つまり、屈折率が周期的に変調されるファイバーの部分と、ブラッグ・グレーティングを受け入れる光ファイバーの部分のターゲットコーティングと、を備える、デバイスについて記載されている。ターゲットコーティングは、水素の吸収に適している。このようなデバイスは、特許文献1に記載されたデバイスと同様に、設備に備えることが意図された測定用光ファイバーと、光ファイバーに光学的に接続された光学システムと、を備える。
【0012】
このようなデバイスに対する光学システムは、光ファイバーにおいて様々な波長で電磁放射線を放出するように、かつ各内接したブラッグ・グレーティングが前記電磁放射線を反射する波長を測定するように構成される。これは、内接したブラッグ・グレーティングの特徴がターゲットコーティングによって吸収される水素の量に左右されるからである。従って、ブラッグ・グレーティングのうちの1つが反射する波長を測定することによって、対応するコーティングによって吸収される水素の量を決定することが可能である。
【0013】
従って、このようなシステムがモニタリングされるべき設備に設置され、光ファイバーが内接したブラッグ・グレーティング又はモニタリングされるべき領域全体にわたって設置されているグレーティングを備える場合、内接したブラッグ・グレーティングのうちの1つの近くでの水素の漏れは、このブラッグ・グレーティングによって反射された電磁放射線の波長でのシフトをもたらし、それが生じる点での漏れを検出する。
【0014】
このようなデバイスは従って、ブラッグ・グレーティングの多重化がある場合に水素漏れの地理的起源を識別する可能性を有して、各内接したブラッグ・グレーティングでの設備における水素の検出を可能にする。
【0015】
特許文献2に記載されているデバイスは、漏れの地理的起源を識別する可能性を有して、設備における水素の存在の検出を可能にするが、デバイスは一定数の欠点を有する。これは、光ファイバーはブラッグ・グレーティングの内接及び使用される多重化技術に左右されるため、光ファイバーが検出及び/又は定量解析が得られる制限された多くの位置を有するからである。また、特許文献1に記載されているようなターゲットコーティングのエージングは分かっておらず、数年を超える期間にわたる生成物の敏感性の維持に関して不確かさを示していることにも留意すべきである。
【0016】
さらに、このようなデバイスはまた、光ファイバーの水素への露出の条件による、ブラッグ・グレーティングの消失のリスクも提示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】国際公開第2009/067671号
【特許文献2】国際公開第2008/136870号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、これらの欠点を改善することを目的とする。
【0019】
本発明の目的の1つは従って、水素を検出するために光ファイバーを使用する、水素を検出及び/又は定量解析するためのデバイスであって、設備のモニタリングされるべき領域を備える場合に水素の存在を検出し、かつ光ファイバーの全長さにわたって連続的にこの水素の源の位置を識別することができる、デバイスを提供することであり、このようなデバイスは、従来技術のデバイスと比較して、光ファイバーのエージングの状態に左右される僅かな水素の検出及び/又は定量解析も提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この目的を達成するために、本発明は、設備のモニタリングが意図された水素を検出及び/又は定量解析するためのデバイスに関し、前記デバイスは、
−設備に備えることが意図された第1の測定用光ファイバーと、
−第1の測定用光ファイバーに光学的に接続され、かつ第1の光ファイバーの少なくとも1つのパラメータを測定するのに適した、光学システムと、
を備え、
光学システムは、ブリルアンタイプの測定原理に従った、第1の測定用光ファイバーに沿った第1の光ファイバーのパラメータの測定に適している。
【0021】
従ってこのようなデバイスは、第1の測定用光ファイバーのパラメータを測定するためのブリルアン測定原理を使用することによって、第1の測定用光ファイバーに沿った光学モードの有効伝播率neffの変動を検出することができ、この変動はブリルアンピーク、故にブリルアンタイプの測定原理に従った測定の間に測定されたパラメータに直接影響を与える。光ファイバーにおける水素の拡散は光学モードの有効伝播率neffに影響を与え、このような拡散は、屈折率、故にブリルアン測定原理に従って測定されたパラメータに変動をもたらすことによって検出可能となり、このようなデバイスを用いて定量化可能となる。
【0022】
このような測定は、所定の波長での光ファイバーの遷移の変動に左右されるものとは異なり、光学モードの有効伝播率neffに左右され、ブリルアンピークの変動のみに関連するが、光ファイバーのエージング状態に対して顕著な依存性を示さない。このようなデバイスは従って、光ファイバーのエージング状態に左右されず、故に長期間にわたって信頼性を保った検出及び/又は定量解析を可能にする。
【0023】
この測定は、光ファイバーに沿ったブリルアン温度測定と同一の原理に従って、略10キロメートルを超える距離にわたって1メートル未満の空間分解能で、第1の測定用光ファイバーの全長さにわたって実施できるが、パラメータの変動が生じた正確な点、それ故に水素の拡散が生じた第1の測定用光ファイバーの正確な部分を示すことを可能にする。
【0024】
このようなデバイスは従って、設備のモニタリングされるべき領域を備える場合、モニタリングされるべき領域における水素源の正確な位置の識別とともに、長期間にわたってこれらの事象のサイトを予測する必要なく、水素源の検出及び定量解析を可能にするが、それは、その測定が測定用光ファイバーのエージングによってほんの僅かにのみ影響を受けるからである。
【0025】
ブリルアン測定原理に従った測定とは、上記及び本文書の残りにおいて、(i)ブリルアン後方散乱スペクトル(ストークス又はアンチストークス周波数であろうが、主要な(principal)又は二次的なピークの場合であろうが、ゼロでない光学モードとのオーバーラップを有する様々な音響モードに関連する)、又は(ii)ブリルアンゲインに関わる少なくとも1つのパラメータの測定を意味する。このパラメータは例えば、ブリルアン後方散乱現象を生じさせる電磁パルスに対する2つのブリルアン後方散乱ピークのうちの1つの周波数、又はピーク間の周波数、これら2つのブリルアンピークのうちの1つの強度、あるいはそれらの形態(例えばピークの半値全幅)におけるオフセットであり得る。
【0026】
ブリルアンピークとは、上記及び本文書の残りにおいて、同時のブリルアン後方散乱ピーク及びブリルアンゲインピークの両方を意味し、ピークの種類は、使用されるときにデバイスによって行われるブリルアン測定の種類に直接左右される。従って、例えば、反射率測定原理に従ってブリルアン測定を行うデバイスがある。
【0027】
第1の光ファイバーのパラメータは、時間領域でのコーディングによる空間分解能法と関連しているブリルアン光反射率測定、周波数領域でのコーディングによる配置方法と関連しているブリルアン光反射率測定、相関領域(correlation domain)でのブリルアン光反射率測定、時間領域での解析と関連しているブリルアンゲイン光測定、周波数領域でのブリルアンゲイン光測定、及び相関領域での解析によるブリルアンゲイン光測定を含む方法の群から選択されたブリルアン測定原理に従って測定され得る。
【0028】
従って、デバイスは、空間分解能、それに沿ってモニタリングが実施される距離、水素検出閾値、及び定量的水素分解能の観点で、モニタリングされるべき設備に関連する要件に応じて適合され得る。
【0029】
時間領域でのブリルアン光反射率測定、周波数領域でのブリルアン光反射率測定、相関領域でのブリルアン光反射率測定、時間領域での解析によるブリルアン光、周波数領域でのブリルアン光、及び相関領域での解析によるブリルアン光の測定は、それらの英語名及び対応する略称がよく知られており、それぞれ、Brillouin Optical Time Domain Reflectometry(BOTDR)、Brillouin Optical Frequency Domain Reflectometry(BOFDR)、Brillouin Optical Time Domain Analysis(BOTDA)、Brillouin Optical Time Frequency Domain Analysis(BOFDA)、及びBrillouin Optical Correlation Domain(BOCDA)である。これらの測定は、一般的に光ファイバー温度測定デバイス及び/又は変形(deformation)モニタリングデバイスで実施される測定である。
【0030】
そのデバイスは、第1の測定用光ファイバー上の少なくとも1つの位置で測定用光ファイバーの少なくとも1つのパラメータの基準測定を行うように適合されることができ、前記基準測定は水素の存在によって影響を受けない。
【0031】
この構成では、第1の測定用光ファイバーのパラメータの測定によって、ブリルアン測定に影響を与えるパラメータがブリルアン測定原理に従ってなされた測定を補正でき、故に、基準測定の間に測定されたパラメータの影響を制限あるいは除外することで、水素の検出及び/又は定量解析を改善することができる。
【0032】
ブリルアン測定に影響を与えるパラメータは特に、温度、第1の測定用光ファイバーの変形、及び放射線、圧力、相対湿度、並びに大気の含水量であり得る。
【0033】
光学システムは、2以上の異なる波長で、第1の光ファイバーに沿った基準測定を行うように適合させることができる。これを達成するために、デバイスは、ブリルアンラインが発生するカスケードで、幾つかのポンプレーザーを含むか、又は刺激となり得る。
【0034】
水素の存在が2つの異なる影響を示す2つの異なるポンプ波長でのパラメータの測定は、この影響が知られている場合、この影響を除去し、かつ水素に敏感でない前記パラメータの基準測定を提供することを可能にする。
【0035】
光学システムは、測定用光ファイバーに沿った温度及び/又は変形及び/又は上記の他のパラメータの基準測定を提供するために、水素を測定するファイバーに近接して配置された他種の光ファイバーを添加することによって、測定用光ファイバーの少なくとも1つの他の影響パラメータの変動を測定するように適合され得る。
【0036】
そのデバイスは、ラマン拡散原理であろうがレイリー拡散原理であろうが、他の後方散乱測定に従って第1の光ファイバーに沿った少なくとも1つのパラメータの基準測定を行うように適合され得る。
【0037】
第1の測定用光ファイバーは、水素に対して鈍感にされた少なくとも1つの部分を含むことがあり、故に、前記部分での光学システムによる第1の測定用光ファイバーのパラメータの測定は、基準測定を提供する。
【0038】
上記及び本文書の残りの部分において、水素に対して鈍感にされた光ファイバーの部分又は光ファイバーとは、光ファイバーの部分又は光ファイバーが、前記光ファイバーの部分又は前記ファイバーの大気環境における水素の存在が前記光ファイバーの部分又は前記光ファイバーに行われた測定に影響を与えないような構成を有することを意味する。
【0039】
このような部分は、ブリルアン測定原理に従った第1の測定用光ファイバーのパラメータの測定を補正するために、水素の影響のない基準測定を提供することができる。
【0040】
設備に備えることが意図されながら光学システムに接続される基準光ファイバーがまた提供され、前記基準光ファイバーは基準測定を提供するよう意図されている。
【0041】
設備に備えることが意図されながら光学システムに接続される基準光ファイバーがまた提供され、前記基準光ファイバーは、第1の測定用光ファイバーに沿った温度及び/又は変形の基準測定を提供するよう意図されている。
【0042】
このような基準光ファイバーは、ブリルアン測定原理に従った水素検出及び/又は定量解析測定と干渉し得るパラメータの測定を提供することによって、第1の測定用光ファイバーに沿った前記検出及び/又は定量解析測定を補正することを可能にする。このような補正により、基準光ファイバーになされた基準測定の間に測定されるパラメータの影響を制限又は除外することができる。
【0043】
基準光ファイバーは、水素に対して低下した敏感性を有するように、優先的には水素に対して鈍感であるように構成され得る。
【0044】
基準光ファイバーの水素に対するこのような低下した敏感性、又は鈍感性により、基準光ファイバーを用いて得られる基準測定における水素の影響を低減あるいは無効にすることができる。
【0045】
基準光ファイバーは、コアと、基準光ファイバーが水素に対して低下した、優先的にはゼロである敏感性を有するようにその材料が構成されたクラッディングと、を含むことができる。
【0046】
この可能性によると、コア及び/又はクラッディングは、シリコン若しくはカルコゲニドをベースとするガラス、又は空気若しくは液体で充填された空隙(「孔を有するファイバー」)であり得る。
【0047】
基準光ファイバーは、コアと、基準光ファイバーが水素に対して低下した、優先的にはゼロである敏感性を有するようにドーピング元素の拡散が構成されたクラッディングと、を含むことができる。
【0048】
基準光ファイバーは、基準光ファイバーにおいて水素の拡散を制限するように適合されたコーティングを含むことができる。
【0049】
設備に備えることが意図されながら光学システムに接続される第2の測定用光ファイバーがまた提供され、前記第2の測定用光ファイバーは、第1の測定用光ファイバーとは異なる水素との相互作用を有するように構成される。
【0050】
従って、このような第2の測定用光ファイバーにより、デバイスは、水素との相互作用が異なり、前記相互作用の差異に従って、単一の測定用光ファイバーを有するデバイスよりも広大な範囲にわたる一時的な情報又は最適化された敏感性などの、検出された水素源上の補助的な情報を提供することができる、2つの測定へのアクセスを可能にする。
【0051】
第2の測定用光ファイバーは、前記第2の測定用光ファイバーにおいて水素の拡散を制限するための手段を含むことができる。
【0052】
このような拡散を制限するための手段は、水素が光ファイバーに入る速度を低下させ、故に、検出される水素を生じさせる水素源の一時的な情報を提供する。
【0053】
第2の測定用光ファイバーの水素の拡散を制限するための手段は、前記第2の測定用光ファイバーのコーティングを含むことができ、前記コーティングは、水素に対して部分透過性(partial permeability)を有する。
【0054】
水素に対する部分透過性とは、前記光ファイバーにおける拡散を完全に除去することなしに、前記コーティングを備えた光ファイバー内への水素の浸透を制限するようにコーティングが適合されることを意味する。
【0055】
このようなコーティングは、第2の測定用光ファイバーの光学特性への影響が低いか、あるいはゼロである、第2の測定用光ファイバーにおける水素の拡散を制限するための手段を提供する。
【0056】
第2の測定用光ファイバーの水素の拡散を制限するための手段は、その内部構造がそのドーパントの選択によって、そのガラスマトリックスの選択によって、又は前記第2の測定用光ファイバーの水素に対する敏感性を増加させるように構成された事前の水素担持(prior hydrogen loading)など、若しくは例えばガンマ及び/又はUV放射線などのイオン化放射線担持などの前処理によって修正された、光ファイバーの選択であり得る。
【0057】
これらの前処理により、水素検出の閾値を変更し、故にこのような第2の測定用光ファイバーでなされた測定から得られる検出及び/又は定量解析の敏感性を変更することができる。
【0058】
これらの特定の前処理及び(性質、並びに第1及び第2のコーティングの観点からの)光ファイバーの選択は、水素吸収の飽和閾値を変更する。
【0059】
第2の測定用光ファイバーは、前記光ファイバーの水素との相互作用を修正するように構成された事前の水素担持を有することができる。
【0060】
1つ又は複数の測定用光ファイバー及び基準光ファイバーは、クラスター又はリボンの形態で配置され得る。
【0061】
互いに対するこのような光ファイバーの配置により、熱的な観点から、並びに応力、圧力、及びそれらがさらされる放射線レベルの観点から、全ての光ファイバーに対して同一の環境を提供することができる。従って、基準光ファイバーを備えるデバイスでは、基準測定は、水素の検出及び/又は定量解析に用いられるのと同一の条件下で実施される。同様に、第2の測定用光ファイバーを備えるデバイスでは、第1及び第2の測定用光ファイバーによってなされる測定は互いに同等である。
【0062】
本発明はまた、設備のモニタリングのための、水素を検出及び/又は定量解析するための方法に関し、前記方法は、
−設備に第1の測定用光ファイバーを設置するステップと、
−ブリルアン測定原理に従って、測定用光ファイバーに沿ってパラメータの測定を行うステップと、
からなるステップを含む。
【0063】
本発明はまた、本発明によるデバイスを用いて水素を検出及び/又は定量解析するための方法に関し、
−ブリルアン測定原理に従って第1の測定用光ファイバーに沿って第1の測定用光ファイバーのパラメータを測定するために、光学システムを使用するステップと、
−ブリルアン測定原理に従って測定用光ファイバーに沿って測定されたパラメータから、測定用光ファイバーにおける水素をそれぞれ検出及び/又は定量解析するステップと、
からなるステップを含む。
【0064】
このような方法は、設備のモニタリングされるべき領域がどの程度であろうと、設備における水素の検出及び/又は定量解析を結果としてもたらすことができる。また、水素の存在を検出する場合、水素の検出が行われる第1の測定用光ファイバーに沿った点を識別することができる。
【0065】
基準測定を行うように適合されたデバイスが使用され得、水素を検出及び/又は定量解析するためのそれぞれのステップは、
−第1の測定用光ファイバーに沿った基準測定を行うために、光学システムを使用するステップと、
−基準測定に基づいて、ブリルアン測定原理に従って第1の測定用光ファイバーに沿ってなされた第1の測定用光ファイバーのパラメータの測定を補正するステップと、
−基準測定を用いて補正された、ブリルアン測定原理に従った第1の測定用光ファイバーに沿った第1の測定用光ファイバーのパラメータの測定から、第1の測定用光ファイバーにおける水素の存在をそれぞれ検出及び/又は測定するステップと、
からなるサブステップを含む。
【0066】
率(index)変動測定を補正するこのようなステップを含む方法は、例えば温度の変化に関連し得る水素の存在の誤った検出のリスクを制限する。
【0067】
本発明は、添付の図面を参照して、純粋に例示の目的で提示され制限的ではない実施例の説明を読むことで、より良く理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0068】
図1】単一の測定用光ファイバーが提供され、前記システムはブリルアン原理に従った反射率測定を行うように適合された光学システムを含む、本発明によるデバイスの概略図である。
図2】多量の水素の存在下に第1の測定用光ファイバーが配置されたとき、及び前記第1の測定用光ファイバーから水素を脱気した後、のそれぞれで、図1に示されたデバイスをそれぞれ使用して得られた同一のブリルアン後方散乱ピークの2つのスペクトルを示す図面である。
図3】2つの同一のブリルアンピークをともに有する2つのブリルアン測定スペクトルを示す図面であり、これらの2つのスペクトルはそれぞれ、図1に示されたデバイスで得られ、これはそれぞれ、32%の水素を含む雰囲気にデバイスの第1の測定用光ファイバーを露出する前及び後である、図面である。
図4図3に示されたスペクトルのメインのブリルアンピークを中心とした拡大図面である。
図5図3に示されたスペクトルの二次的なブリルアンピークを中心とした拡大図面である。
図6】2つのタイプの第1の測定用光ファイバー及び水素に対して鈍感にされた光ファイバーにおける、図1に示されたデバイスでのブリルアン測定の間の、大気水素の比率に対するメインのピークの周波数の変動を示す図面である。
図7】単一の測定用光ファイバーが提供され、前記システムがブリルアン原理に従って光解析測定を行うように適合された光学システムを含む、本発明によるデバイスを示す図面である。
図8】デバイスが測定用光ファイバー及び基準光ファイバーを含み、光学システムがブリルアン測定原理に従って反射率測定を行うように適合された、本発明の第2実施形態によるデバイスを示す図面である。
図9】デバイスが互いに接続された測定用光ファイバー及び基準光ファイバーを含み、光学システムが測定用光ファイバー及び基準光ファイバーによって形成されたループに沿ってブリルアン測定原理に従った解析測定を行うように適合された、本発明の第2実施形態によるデバイスを示す図面である。
図10】デバイスが互いに独立して光学システムに接続された測定用光ファイバー及び基準光ファイバーを含み、光学システムが測定用光ファイバー及び基準光ファイバーに沿ってブリルアン測定原理に従った解析測定を行うように適合された、本発明の第2実施形態によるデバイスを示す図面である。
図11】デバイスが第1及び第2測定用光ファイバー並びに基準光ファイバーを含み、光学システムが第1及び第2測定用光ファイバー並びに基準光ファイバーに沿ってブリルアン測定原理に従った反射率測定を行うように適合された、本発明の第3実施形態によるデバイスを示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
様々な図面の同一の、同様の、又は等価の部分は、1つの図面から別の図面へ移行し易くするために、同一の数値番号で示される。
【0070】
図面に示される様々な部分は、図面をより読みやすくするために、必ずしも均一の縮尺通りではない。
【0071】
様々な可能性(変形物及び実施形態)は、互いに排他的であるとして理解されてはならず、互いに結合され得る。
【0072】
図1は、化学生成物及び/又は放射性生成物のための保管施設、地熱掘削、保管サイト、又は工業タンクなどの設備1のモニタリングされるべき領域に備える、水素の検出及び/又は定量解析のためのデバイス100を示す。図1に示されたデバイス100は、本発明の第1実施形態によるデバイスである。図1は、デバイスの構成が反射率測定原理に従ったブリルアン測定を行うように適合された、この第1実施形態の第1の可能性を示す。
【0073】
このようなデバイス100は、
−設備1に備える、第1の測定用光ファイバー10と、
−第1の測定用光ファイバー10に接続され、かつブリルアン測定を行うように適合された、光学システム20と、
を含む。
【0074】
図1に示された構成によるデバイスでは、光学システムが反射率測定配置での測定に対して適合され、光ファイバーがその端部の1つのみによってシステムに接続されることに留意すべきである。
【0075】
第1の測定用光ファイバー10は、光学システム20の動作波長に適合された光ファイバーである。光ファイバーは例えば、ブリルアン温度測定を行うのに通常使用されるものと同様であり得る。
【0076】
低下したアクセス可能性を有する設備に対して、第1の光ファイバーは優先的に、如何なるメンテナンスも必要とせずに、数十年を超え得る耐久性を有し、かつ安定した測定を可能とするように適合される。
【0077】
第1の測定用光ファイバー10は通常、コアと、光学クラッディング(optical cladding)と、保護コーティングと、を含む。コア及びクラッディングは、二酸化ケイ素から作られることができ、コア内に光を閉じ込めるように、コアはクラッディングよりも高い屈折率を有する。勾配した率を有する単一モードの光ファイバーもまた適している。屈折率の変化は、例えばゲルマニウム、リン、フッ素、アルミニウムなど、このタイプの用途に通常使用されるドーピング元素を組み込むことによって得られ得る。コーティングは、第1の測定用光ファイバー10が設置される条件に関係し得る第1の測定用光ファイバー10へのダメージを制限するために、操作条件に適合され得る。第1の測定用光ファイバー10にとって不利な条件を有さない設備に対するこのようなコーティングは例えば、アクリレート又はポリイミドなどの単純なプラスチックコーティングであり得る。
【0078】
第1の光ファイバーのコーティングはまた、例えばパラジウムコーティングなどの、具体的に水素に対する敏感性を増加させるように適合されたコーティングであり得る。光ファイバーはまた、例えばカルコゲニドをベースとするガラスなどの、特定のガラスで構成され得る。「孔を有するファイバー」(空隙を残すことによって製造される−場合によっては続いて充填される)もまた適している。
【0079】
第1の測定用光ファイバー10は、光学システム20が放出する波長において、電磁放射線を導くのに適している。
【0080】
第1の測定用光ファイバー10は、そのラジウム(radium)に沿ってドーピング元素の比率を調整することによってブリルアン後方散乱スペクトル又はブリリオンゲイン(Brillion gain)が容易に測定できるような適合性を有し得る。このような適合性によって、第1の測定用光ファイバー10は特に、ブリルアンラインを生じさせる様々な音響モードを有することができ、ブリルアンラインはスペクトル的に分離しているか、又は光ファイバーにおける水素の拡散と実質的に同一の方法で変化する。
【0081】
第1の測定用光ファイバー10に加えられる力の影響を制限するために、第1の測定用光ファイバー10は、第1の測定用光ファイバー10がさらされる力を低減するように、(英語「ルーズチューブ(loose tube)」としても知られている)浮遊中間シース(floating intermediate sheath)を備えていることがある。このように、このような力が水素の検出に与えることのある影響は制限される。
【0082】
第1の測定用光ファイバー10は、モニタリングされるべき領域にわたって、その設備に配置される。この配備は、モニタリングされるべき領域の最大表面積をカバーし、故に前記領域における水素の如何なる漏れも放出も検出することを保証するために実施される。
【0083】
第1の測定用光ファイバー10は、第1及び第2端を備え、第1端は、図1.d.に示されるような構成における反射率測定タイプのブリルアン測定では、光学システム20に接続される。
【0084】
光学システム20は、第1の測定用光ファイバーに沿った空間分解能法で、ブリルアン測定を行うのに適した光学システムである。
【0085】
光学システムは、ブリルアン測定のタイプに応じて適合される。従って、図1に示される構成において、光学システムは、ブリルアン光時間領域反射率測定(英語の略語BOTDR)、ブリルアン光周波数領域反射率測定(英語の略語BOFDR)、及びブリルアン光相関領域反射率測定(BOCDR)などのブリルアン反射率測定を行うように適合される。
【0086】
これを達成するために、光学システム20は、
−少なくとも1つの電磁放射線を放出するのに適した、レーザーなどの発光手段21と、
−スペクトル解析システム、ゲイン解析システム、又はロス解析システムなどの、電磁放射線を検出かつ測定するのに適した光学的測定手段22と、
−放出手段及び測定手段を制御し、かつ測定手段22が行う測定を解析するのに適した、制御及び解析手段23と、
を備える。
【0087】
放出手段21は通常、その波長が本発明の可能性に従って固定され得るか、又は調節可能となり得るレーザーを含む。ブリルアン測定タイプに従ったその手段は、連続して又はパルスで放出する1つ又は複数のレーザーを含むことができる。これ又はこれらのレーザーのうち、1つのレーザーは主要(principal)と考えられ、ポンプとも呼ばれ、主要な波長で主要な放射線を放出する。
【0088】
求められた用途に対して、放出手段の主要な放出波長は、ブリルアン温度測定原理に従った測定温度に通常使用される波長である。水素の存在に対して最大敏感度を得るために、主要な放出波長は、水素の拡散が最大敏感度を示す、国際公開第2009/067671号に記載されたような波長範囲内で選択され得る。この原理によると、放出波長は略1.2μmであり得る。
【0089】
測定手段22は、典型的に略10GHz付近で、通常9〜13GHzの間である放出手段によって放出される波長に非常に近い波長で、電磁放射線を検出及び/又は測定するのに適している。このような測定手段22は、ブリルアン測定のタイプに適している。従って、例えば、BOTDR測定を行うのに適した光学システムでは、測定手段はスペクトル解析手段である。このタイプの測定手段22はまた、ブリルアン光ファイバー温度センサで知られているため、本文書においてさらに詳細には説明しない。
【0090】
制御及び解析手段23は、ブリルアン測定原理に従って第1の測定用光ファイバー10のパラメータの測定を行うように、放出手段21及び測定手段22を制御するのに適している。このような適合性を有する制御及び解析手段23は、適切な電磁放射線を放出するように放出手段21を制御することができ、また、ブリルアン後方散乱であろうとゲインであろうとロスであろうと、電磁放射線が通過するときに第1の測定用光ファイバー10に沿って起こるブリルアン現象から生じる電磁放射線を検出しかつ測定するように、測定手段22を制御することができる。
【0091】
このような制御及び解析手段23の適合性は、ブリルアンタイプの光ファイバーセンサによる温度測定の間に使用されるものと同一であるため、本文書においてさらに詳細には説明しない。
【0092】
制御及び解析手段23はまた、第1の測定用光ファイバー上の点での水素の滞在的拡散を識別するように、この同一の光ファイバー10上の点での光学モードの有効伝播率neffの変動を検出するために、検出手段22によって行われる測定を解析するのに適している。
【0093】
設備が局所的に又は全体的に変動し得る温度を有する本発明の可能性によると、このような変動は第1の測定用光ファイバー10に沿ったブリルアン測定において変動をもたらすことができ、デバイスは基準測定を提供するように、第1の測定用光ファイバー10上の少なくとも1つの位置においてパラメータを測定するように適合され得、この基準測定は好ましくは、第1の測定用光ファイバー10の温度及び/又は変形の測定である。
【0094】
この可能性によると、このような測定は、基準測定としての役割を果たすために、水素の存在によって影響を受けてはいけない。このような条件は例えば、文献:国際公開第2011/115686号に記載されたようなブリルアン測定以外であり得る測定を用いて、放出手段22の2つの異なる放出波長を使用した測定を用いた、第1の光ファイバーに沿った温度測定を使用して得られ得る。
【0095】
この同一の可能性によると、第1の測定用光ファイバー10は、その全長さにわたって規則的に分散された水素に対して鈍感にされた部分を有することができ、水素に対して鈍感にされていない第1の測定用ファイバー10の部分に沿った測定を補正するための基準測定を提供する役割を果たすことができる。鈍感にされた部分は、文献:欧州特許出願公開第1195628号明細書(EP1195628)に記載された原理に従って光ファイバーの構成自身を修正することによって、又は文献:欧州特許出願公開第1426804号明細書(EP1426804)に記載されたような前記部分の表面上の適切なコーティングの存在によって、そのようになされ得る。
【0096】
図2は、この第1実施形態によるデバイス100の使用中になされる測定の一例を示す。Y軸は、任意のユニットにおける後方散乱電磁放射線の強度の大きさAを表し、X軸は、放出手段21によって放出された放射線に対する後方散乱放射線のシフト周波数f(MHz)を表す。このデバイス100の使用の間、第1の測定用光ファイバー10は、水素で光ファイバーを飽和するように、7日間にわたって高い水素圧(150bar)の存在下に配置された。次いで、第1の測定用光ファイバー10は、同一時間空気に戻され、故に、水素は第1の測定用光ファイバー10から脱気された。この図面に示される第1のスペクトル202及び第2のスペクトル201はそれぞれ、7日間の露出の最後、及び空気に戻されて配置された時間の最後にもたらされた。
【0097】
従って、第1のスペクトル202は、第1の測定用光ファイバー10の水素での飽和に相当するブリルアン後方散乱ピークの周波数シフトを示し、一方で、第2のスペクトル201は、前記第1の測定用光ファイバー10において水素の不在下で観察されたブリルアン後方散乱ピークに相当する。
【0098】
従ってこの図面では、第1の測定用光ファイバー10が水素と接触して配置される場合に、水素の拡散がブリルアン周波数の増加及びそのピークの強度の低下をもたらすことを見ることができる。この2重の影響は、以下の式:
【数1】
(ここで、νはブリルアンシフト周波数であり、Vは音波の速度、つまりブリルアン後方散乱現象をもたらす光子の速度であり、λは放出される電磁放射線の波長である)に従ってブリルアン周波数シフトに生じる光学モードの有効伝播率neffの変化に直接的に関連する。
【0099】
図2に提示された測定は、光学波の有効伝播率neffの変動を検出及び/又は評価するために制御及び解析手段を適合させる様々な可能性を示す。これは、屈折率の変動の検出及び/又は評価が、
−a)主要なピーク又は二次的なピークのブリルアン周波数の変動の直接的な測定、
−b)主要なピーク又は二次的なピークのうちの1つのブリルアンピークの強度の測定、
−c)強度の低下が周波数シフト及びブリルアンピークの強度の低下の両方に関連し得るという最近の可能性に従った、水素の不在下での主要なブリルアンピーク又は二次的なピークのうちの1つと実質的に対応する所定の周波数での強度の測定
の何れかによって得られ得るからである。
【0100】
図3、及び図4及び5に提示されるその拡大図は、主要なブリルアンピーク及び二次的なブリルアンピークの両方で機能する可能性を示す。図4及び5は、主要な及び二次的なブリルアンピークのそれぞれの周波数を中心とした、図3の拡大図である。
【0101】
図3から5では、Y軸は、任意のユニットにおける後方散乱電磁放射線の強度の大きさAを表し、X軸は、放出手段21によって放出された放射線に対する後方散乱放射線の周波数f(これは、図3ではGHzであり、図4及び5ではMHzである)を表す。
【0102】
図3から5に現れる測定は、第1の測定用光ファイバー10がそれぞれ32%と0%の水素を含む雰囲気に接触して配置されたときに得られるブリルアンタイプの2つの測定211及び212である。従って、水素と接触した第1の測定用光ファイバー10のこの配置の間、水素の拡散がメイン及び二次的なブリルアンピークの両方の強度のシフト及び変動をもたらすことを見ることができる。従って測定システム22は、主要なピーク又は二次的なピークのうちの1つの何れか、あるいは主要なピーク及び1以上の二次的なピークの両方で、ブリルアン測定を実施するように適合され得る。
【0103】
従って、設備にデバイスが備え付けられた後、水素の検出及び/又は定量解析は、
−ブリルアン測定原理に従って、第1の測定用光ファイバー10に沿った第1の測定用光ファイバー10のパラメータの変動を測定するために、光学システムを使用するステップと、
−第1の測定用光ファイバー10に沿ったブリルアン測定原理に従った測定を用いて、第1の測定用光ファイバー10において水素を検出及び/又は定量解析するステップと、
からなるステップを含む方法に従って実施される。
【0104】
基準測定を行うように適合された光学システムでは、第1の測定用光ファイバー10において水素の存在を測定及び/又は検出することからなるステップは、
−第1の測定用光ファイバー10に沿って基準測定を行うために光学システムを使用するステップと、
−基準測定に基づいて、第1の測定用光ファイバー10に沿った測定用光ファイバー10のパラメータの変動の測定を補正するステップと、
−第1の測定用光ファイバー10に沿った補正されたブリルアン測定の原理に従ったパラメータの測定を用いて、第1の測定用光ファイバー10において水素を検出及び/又は定量解析するステップと、
からなるサブステップを含む。
【0105】
基準測定を行うために光学システムを使用するステップでは、前記測定は、基準測定が水素に対して鈍感にされた第1の測定用光ファイバー10の部分を用いて得られる場合、第1の測定用光ファイバー10に沿った光学モードの有効伝播率neffの変動の測定と同時に行われ得る。
【0106】
光ファイバー上の位置において吸収される水素の量の精確な測定のために、デバイス100をキャリブレートする事前のステップを提供することも必要であることに留意されたい。
【0107】
図6は、3つの異なる光ファイバーに対するこのようなステップを示す一例であり、1番目はフッ素をベースとするドーピングを含み、2番目はゲルマニウムをベースとするドーピングを含み、3番目は、続いて見られるように、水素に対して鈍感にされている。
【0108】
図6において、Y軸は、放出手段21によって放出された放射線に対する後方散乱放射線のシフト周波数f(MHz)を表し、X軸は、光ファイバーがさらされている水素の量を表す。
【0109】
従って、図6では、2つの光ファイバーが同様の外観の主要なブリルアンピークの周波数シフトの変動を示す場合に、これら2つのファイバーが同一の水素との相互作用を有さないことを見ることができ、このことは、本発明によるデバイスにおいて水素の量の精確な測定を得るために、このようなキャリブレーションステップが必要であることを明示する。さらに、図6に示される測定はまた、光ファイバーがさらされる水素の量に対してブリルアン測定に応じて測定されたパラメータの変動が非線形であることを示す。
【0110】
このようなキャリブレーションステップは当業者には身近であるため、本文書においてさらに詳細には説明しない。
【0111】
図7は、デバイス100の構成が、時間、周波数、又は相関領域における解析によって実施されるブリルアン測定を行うように適合される、第1実施形態の第2の可能性によるデバイス100を示す。
【0112】
このような構成は、ブリルアン光時間領域解析(BOTDA)測定、ブリルアン光周波数領域解析(BOFDA)測定、又はブリルアン光相関領域解析(BOCDA)測定であるブリルアン測定の原理に従ってパラメータの測定を行うデバイスに対して適合される。
【0113】
この第1実施形態の第2の可能性によるデバイスは、光ファイバーから出る電磁放射線の解析を可能にするために第1の測定用光ファイバー10が両端で光学システムに接続されるという点で、第1の可能性によるシステムとは区別される。光ファイバー20は、対応領域(つまり、時間、周波数、又は相関)での解析によってブリルアン測定を行う光ファイバー温度センサの光学システムと同様の構造を有する。
【0114】
第1の可能性による構造を有するデバイスに関して、第1の光ファイバーの一部分は水素に対して鈍感にされ得る。このような一部分は有利には、第1の測定用光ファイバーの後半部分である。従って、その前半部分に沿って第1の測定用光ファイバー10の後半部分を設置することによって、第1の測定用光ファイバー10の前半部分の全長さにわたって基準測定を行うことが可能になる。
【0115】
図8は、基準光ファイバー30が提供されている第2実施形態によるデバイスを示す。図8は、デバイスの構成が反射率測定原理に従ってブリルアン測定を行うように適合された第2実施形態の第1の可能性を示す。
【0116】
第2実施形態によるデバイスは、それが光学システムに接続された基準光ファイバー30を備え、また、光学システム20が基準光ファイバー30に沿って基準測定を行うように適合されるという点で、第1実施形態によるデバイスとは区別される。
【0117】
この第2実施形態の第1の可能性によると、基準光ファイバー30は、水素に対して低下した敏感性を有するように構成された光ファイバーである。このような基準光ファイバー30の構成は、文献:欧州特許出願公開第1195628号明細書(EP1195628)に記載の原理に従ったファイバー自体の修正された構成によって、又は文献:欧州特許出願公開第1426804号明細書(EP1426804)に記載されたような基準光ファイバーの表面上の適切なコーティングの存在によって、得られ得る。
【0118】
基準光ファイバー30は優先的に、第1の測定用光ファイバー10に沿った光学モードの有効伝播率neffの変動の測定の補正を促進するために、第1の測定用光ファイバー10と同様の特徴を有する。
【0119】
第1の測定用光ファイバー10及び基準光ファイバー30は、設備にデバイスが備え付けられるときに、並んで取り付けられる。このような設備への装着を促進するために、第1の測定用光ファイバー10及び基準ファイバー30は、ファイバーのクラスターの形態で、又はリボンの形態で配置され得る。
【0120】
基準光ファイバー30は、光学システムの一端で接続される。
【0121】
光学システム20は優先的に、第1の測定用光ファイバー10に沿ったブリルアン測定に従ったパラメータの測定と同一の条件下で、基準光ファイバー30に沿ったブリルアン測定に従ったパラメータの変動の測定(基準測定とも呼ばれる)を行うように適合される。本発明の範囲から逸脱することなく、基準光ファイバー30に沿って測定されたこのパラメータのみに関連するブリルアン測定原理に従って、測定用光ファイバー10に沿って測定されたパラメータの変動を補正するように、基準光ファイバー30に沿って温度などのパラメータを測定するように光学システムを適合させることも可能である。
【0122】
第1の基準光ファイバーが浮遊中間シースを備えている本発明の可能性によると、基準光ファイバーもまたこのような装備に備えることができる。
【0123】
この第2実施形態によるデバイスの使用は、第1の測定用光ファイバー10に沿ったパラメータの基準測定及び補正測定を行うために光学システム20を使用するステップを含む第1実施形態によるデバイスの使用と類似している。
【0124】
図9及び10はそれぞれ、デバイス100の構成が、時間、周波数、又は相関領域における解析によってなされるブリルアン測定を行うように適合された、第2実施形態の第2及び第3の可能性を示す。
【0125】
このような第2実施形態の第2及び第3の可能性は、光ファイバーから出る放射線の解析を可能にするように第1の測定用光ファイバー10が両端で光学システム20に接続されるという点で、第2実施形態によるシステムの第1の可能性とは区別される。光学システム20は、対応領域(つまり、時間、周波数、又は相関)における解析によってブリルアン測定を行う光ファイバー温度センサの光学システムと類似の構成を有する。
【0126】
図9は、第1の測定用光ファイバー10が光学システム20に接続されていないその端部で基準光ファイバー30の端部に光学的に結合される可能性を示す。第1の測定用光ファイバー10に接続されていない基準光ファイバーの端部は、光学システム20に接続される。従って、これにより、光ファイバーの後半部分が水素に対して鈍感にされた第1実施形態の第2の可能性と同様の構成が提供される。
【0127】
図10は、第1の測定用光ファイバー10と基準光ファイバー30とが互いに独立して光学システム10に接続される、第2実施形態の第3の可能性を示す。光学システムは、第2実施形態の第1の可能性に関して、第1の測定用光ファイバー10に沿ったパラメータの測定及び基準光ファイバー20を用いた基準測定を独立して行うように適合される。
【0128】
図11は、デバイスが第2の測定用ファイバー11を備える第3実施形態によるデバイスを示す。
【0129】
デバイス100は、図11に示されるように、また、第1及び第2実施形態の第1の可能性と同様に、反射率測定原理に従ってブリルアン測定を行うのに適した構成を有する。
【0130】
第3実施形態によるデバイスは、それが第1の測定用光ファイバー10とは異なる水素との相互作用を有する第2の測定用光ファイバー11を備えるという点で、第2実施形態によるデバイスとは区別される。光学システムはさらに、第2の測定用光ファイバー11に沿ってブリルアン測定に従ったパラメータの測定を行うように適合されるが、このパラメータは、第1の測定用光ファイバー10に沿って測定されるものと同一である。
【0131】
第2の測定用光ファイバー11は、様々なタイプであり得る水素との異なる相互作用を有する。
【0132】
第1の測定用光ファイバー10とは異なる相互作用の第1タイプは、第2の測定用光ファイバー11における水素の低下した拡散である。このような相互作用は、水素に対して部分透過性を有する第2の測定用光ファイバー11の適切なコーティングなどの拡散バリアを用いて得られ得る。このようなコーティングは、厚さ及び密度などのその特徴が第2の測定用光ファイバー11における水素の拡散を完全に排除することなくそれを低下させるように選択された、カーボンのコーティングであり得る。このようなコーティングの効果は、図6において見ることができ、それは、このようなコーティングを用いて水素に対して鈍感にされた光ファイバーに対するブリルアンピークの周波数シフト223が一定であり、かつ水素の存在によって影響を受けないことを示す。
【0133】
第1の測定用光ファイバー10とは異なる相互作用の第2タイプは、水素に対する第2の測定用光ファイバー11の低下した敏感性である。このような第2の測定用光ファイバー11の低下した敏感性は、第1の測定用光ファイバー10とは異なる第2の測定用光ファイバー11の構成で得られ得る。構成のこのような違いは例えば、文献:欧州特許出願公開第1195628号明細書(EP1195628)に記載されたような、光ファイバーのコア及び/又はクラッディングの変更された組成である。
【0134】
必然的に、かつ欧州特許出願公開第1195628号明細書における記載とは対照的に、第2の測定用光ファイバー11のこれらの様々な部分の組成は、前記光ファイバー11がゼロではない水素に対する敏感性を有するように適合される。その原理によると、異なるその構成を使用することによって水素に対する第2の測定用光ファイバー11の敏感性が増加することもまた予測できることにも留意されたい。
【0135】
異なる相互作用の第3タイプは、例えば光ファイバーのコア及びクラッディングを形成する材料(例えばシリカ)を圧縮することによって得られる、同量の水素に対する光学モードの有効伝播率neffの変動である。この異なる相互作用の第3タイプはまた、水素又は重水素での第2の測定用光ファイバー11の事前担持(preloading)によって得られることがあり、この事前担持は、例えば紫外線放射処理によって確定となる。
【0136】
従って、第1の測定用光ファイバー及び第2の測定用光ファイバー11によって吸収される同量の水素に関し、第2の測定用光ファイバー11は、吸収される水素の量が添加される水素での事前担持と同等の有効光伝播率の変動を有する。光学モードの有効伝播率neffの変動は図6に示されるように線形ではないため、第2の測定用光ファイバー11は吸収される水素の量に従って、結果として異なる敏感性を有することになる。
【0137】
従って、第1の測定用光ファイバー10とは異なる水素との相互作用を有する第2の測定用光ファイバー11は、第1の測定用光ファイバー10によって供給される測定と相補的な測定を提供することを可能にする。
【0138】
第2の測定用光ファイバー11が第1の測定用光ファイバー10とは異なる敏感性を有する場合、それがその構成のおかげか水素での事前給気(pre−charging)のおかげであるかに関わらず、デバイスはそして、そこで水素が検出及び/又は定量解析され得、第1及び第2の測定用光ファイバー10、11によって提供される範囲を組み合わせることによって広げられた範囲を有する。
【0139】
第2の測定用光ファイバー11が水素の拡散の低下を有する場合、この差異は、前記第2の測定用光ファイバー11において水素の低下された拡散速度を引き起こす。その結果、第1及び第2の測定用光ファイバー10、11の間の測定の差異により、設備において水素源の時間情報を得ることが可能になる。
【0140】
必然的に、この第3実施形態によると、第1及び第2の測定用光ファイバー10、11をデバイスの設備の状態に適合させることによって、第1及び第2の測定用光ファイバー10、11の間の相互作用のこれらの様々なタイプの差異を組み合わせることができる。
【0141】
第3実施形態と同様の原理によると、デバイスがそこで水素が検出及び/又は定量解析され得る幅広い範囲を有することを可能にするように、又は様々なタイプの水素との相互作用の利点を組み合わせるように、2つ以上の測定用光ファイバーを組み合わせることもまた可能である。
【0142】
必然的に、このような実施形態は、デバイスの構成が反射率測定原理に従ってブリルアン測定を行うように適合されている可能性として図11に示されたが、デバイス100の構成が時間、周波数、又は相関領域における解析によって実施されるブリルアン測定を行うように適合されている可能性も、図示はされていないが有する。この可能性によると、第1及び第2の測定用光ファイバー10、11、並びに基準光ファイバー30は、互いに平行に、直列に、又は第1及び第2の測定用光ファイバー10、11、並びに基準光ファイバー30からの2つの光ファイバーが平行に配置される任意のハイブリッド結合(hybrid combination)で光学システムに結合され得、第3の光ファイバーは個別に光学システム20に結合されている。
【0143】
図示されていない可能性によると、本発明の範囲から逸脱することなく、基準光ファイバー10に対して、設備に存在する放射線などの温度及び/又は光ファイバーの変形以外のパラメータの測定を行うように適合することもまた可能である。このような測定は、その主要機能に加えて、この他のパラメータをモニタリングする機能をデバイスに持たせることも可能にすることができ、それはモニタリングされるべき設備における検出及び/又は定量解析である。
【0144】
伝達手段21と測定手段22のそれぞれが、本発明の範囲から逸脱することなく、1つ又は複数のモジュールを備えることができ、モジュールは単一の光ファイバーでの測定専用とすることができ、これが基準の幾つかの光ファイバー又は全ての光ファイバーであろうが測定用の幾つかの光ファイバー又は全ての光ファイバーであろうが関係ない、ということにも留意すべきである。
【符号の説明】
【0145】
1 設備
10 第1の測定用光ファイバー
11 第2の測定用光ファイバー
20 光学システム
21 発光手段
22 光学的測定手段
23 制御及び解析手段
30 基準光ファイバー
100 デバイス
201 第2のスペクトル
202 第1のスペクトル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11