【文献】
Digital Video Broadcasting(DVB);Frame structure channel coding and modulation for a second generation digital terrestrial television broadcasting system(DVB-T2),Final draft ETSI EN 302 755,2010年10月,V1.2.1,pp.118-125
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、差動変調済シンボルの復号を可能にする方法および装置を提供することを目的とする。この差動変調済シンボルは、受信機がタイミングオフセット誤差の影響を受けるOFDMシステムの非均等に分布したサブキャリア上にマッピングされるものであってもよいし、データシンボルが必ずしも連続せず、受信機が位相傾斜オフセット(phase ramp offset)を生成する周波数同期誤差による影響を受ける逐次時分割多重伝送(sequential Time Division Multiplexing transmission)を介して伝送され得るものであってもよい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的のために、本発明は、差動変調済受信シンボルを復号する方法であって、
前記差動変調済受信シンボルは、取り得る符号語の集合のうちのある符号語の差動変調済バージョンの伝送に対応し、
各符号語は、所定数の要素からなるベクトルであり、
前記受信シンボルは、送信機と受信機との間のチャネルの資源上で転送され、
前記資源は均等に隔てられる
方法において、
前記方法は、取り得る符号語それぞれについて、受信機によって実行されるステップとして、
‐差動変調済受信シンボルを差動復調することによって差動復調済シンボルのベクトルを取得するステップであって、各差動復調済シンボルは2つの連続する差動変調済受信シンボルを組み合わせることによって取得される、ベクトルを取得するステップと、
‐各差動復調済シンボルの積を計算するステップであって、前記差動復調済シンボルは、均等に隔てられた資源上で転送される2つの連続する変調済受信シンボルを組み合わせることによって取得され、前記積は、差動復調済シンボルの前記ベクトルにおける前記差動復調済受信シンボルのランクと同じランクを符号語において持つ符号語の要素の共役によって計算される、積を計算するステップと、
‐前記積の和の尺度(module)を計算するステップと、
‐前記積の和の計算された各前記尺度のうちで前記積の前記和の前記尺度が最大となる符号語を選択することによって、差動復調済シンボルのベクトルを復号するステップと
を備えることを特徴とする、方法に関する。
【0005】
また、本発明は、差動変調済受信シンボルを復号する装置であって、
前記差動変調済受信シンボルは、取り得る符号語の集合のうちのある符号語の差動変調済バージョンの伝送に対応し、
各符号語は、所定数の要素からなるベクトルであり、
前記受信シンボルは、送信機と受信機との間のチャネルの資源上で転送され、
前記資源は均等に隔てられる
装置において、
前記復号する装置は前記受信機に含まれ、
前記装置は、取り得る符号語それぞれについて、
‐差動変調済受信シンボルを差動復調することによって差動復調済シンボルのベクトルを取得する手段であって、各差動復調済シンボルは2つの連続する差動変調済受信シンボルを組み合わせることによって取得される、ベクトルを取得する手段と、
‐各差動復調済シンボルの積を計算する手段であって、前記差動復調済シンボルは、均等に隔てられた資源上で転送される2つの連続する変調済受信シンボルを組み合わせることによって取得され、前記積は、差動復調済シンボルの前記ベクトルにおける前記差動復調済受信シンボルのランクと同じランクを符号語において持つ符号語の要素の共役によって計算される、積を計算する手段と、
‐前記積の和の尺度を計算する手段と、
‐前記積の和の計算された各前記尺度のうちで前記積の前記和の前記尺度が最大となる符号語を選択することによって、差動復調済シンボルのベクトルを復号する手段と
を備えることを特徴とする、装置にも関する。
【0006】
このように、位相傾斜(phase ramp)と同様の位相誤差の影響を受ける差動変調済シンボルの復号性能が改善される。
【0007】
特定の特徴によれば、均等に隔てられていない可能性のある資源上で受信シンボルが転送される場合には、
前記受信機は、
‐差動復調済シンボルを差動復調済シンボルグループにグルーピングし、各差動復調済シンボルグループは、所定数の資源だけ隔てられる資源上で転送される2つの連続する差動変調済受信シンボルを組み合わせることによって取得されるシンボルを含み、
取り得る符号語それぞれについて、前記積および前記和の尺度の前記計算は、取得された各差動復調済シンボルグループについて実行され、
‐取り得る符号語それぞれについて、前記受信機は、すべての前記差動復調済シンボルグループについて計算された前記和の尺度を合計し、
前記差動復調済シンボルの復号は、積の和の前記尺度の各前記合計のうちで積の前記和の前記尺度の前記合計が最大となる符号語を選択することによって実行される。
【0008】
このように、受信機がタイミングオフセット誤差の影響を受けるOFDMシステムの非均等に分布したサブキャリア上にマッピングされる差動変調済シンボルの復号か、または、データシンボルが連続でなく受信機が周波数同期誤差の影響を受ける逐次時分割多重伝送を介して伝送され得る差動変調済シンボルの復号は、改善される。
【0009】
特定の特徴によれば、前記受信シンボルは直交周波数分割多重シンボルの周波数要素であり、前記差動変調済シンボルはサブキャリア上で転送される。
【0010】
特定の特徴によれば、前記受信シンボルは時分割多重シンボルであり、前記差動変調済シンボルは時間スロット上で転送される。
【0011】
特定の特徴によれば、前記受信機は、
‐同期化中に、前記差動変調済受信シンボル上に生じる可能性のあるまたは生じる位相誤差傾斜に関する情報を取得し、
‐前記位相誤差に関する情報が所定の値よりも大きいか否かをチェックし、
‐前記位相誤差に関する情報が前記所定の値よりも大きくない場合に、前記積および前記和の尺度計算を中断する。
【0012】
このように、本アルゴリズムは、それが重要な性能改善をもたらす時にのみ実行され、受信機における計算の数は限定される。
【0013】
さらに別の態様によれば、本発明は、
プログラム可能な装置に直接ロード可能とすることができるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータプログラムがプログラム可能な装置上で実行される時に本発明による方法の各ステップを実施するための命令またはコード部を備える、コンピュータプログラムに関する。
【0014】
コンピュータプログラムに関する特徴および利点は、本発明による方法および装置に関して上述したものと同じであるので、ここでは繰り返さない。
【0015】
本発明の特徴は、以下に示す例示的な実施形態の記載を読めばより明らかになるであろう。以下の記載は添付の図面を参照して作成されている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明が実施される通信ネットワークを表す。
【0018】
通信ネットワークは、たとえば、少なくとも1つの発信元Srctが、少なくとも1つの受信機Recが配置されるエリア内で、信号を転送またはブロードキャストする通信ネットワークである。
【0019】
発信元Srctは、たとえば、DVB(デジタルビデオブロードキャスト)標準規格に従う信号をブロードキャストする地上局または衛星である。
【0020】
通信ネットワークは、たとえば、基地局が1つの移動端末に信号を転送するか、または2つ以上の移動端末に信号をブロードキャストするセルラー通信ネットワークである。発信元Srctは、基地局に信号を転送する移動端末であってもよい。
【0021】
受信機Recは、ビデオ信号のようなデータがブロードキャストされる宛先の移動端末であってもよく、リモート通信装置(携帯電話等)と通信中の移動端末であってもよく、サーバまたは基地局またはホーム基地局(移動端末から信号を受信するもの)と通信中の移動端末であってもよい。
【0022】
簡明のため、
図1にはただ1つの発信元Srctのみを示すが、ネットワークはより多くの数の発信元Srctを含んでもよい。
【0023】
簡明のため、
図1にはただ1つの受信機Recのみを示すが、より多くの数の受信機Recに信号が転送またはブロードキャストされてもよい。
【0024】
発信元Srcsによって転送またはブロードキャストされる信号は、OFDMシンボル(たとえばDVB−NGHブロードキャスティング標準(broadcasting norm)と互換性のあるもの)であってもよい。
【0025】
本発明は、信号がOFDM(直交周波数分割多重)シンボルである例において開示される。また、後に開示するように、本発明は、時分割多重方式を用いて信号が転送またはブロードキャストされる時にも適用可能である。
【0026】
たとえばDVBにおいて、標準規格ETSI EN 302755 v1.2.1 (2010-10)の「デジタルビデオブロードキャスティング(DVB);第2世代DVBシステム(DVB−T2)のためのフレーム構造チャネル符号化および変調(Digital Video Broadcasting (DVB); Frame structure channel coding and modulation for a second generation DVB system (DVB-T2)」では、なんらかの特定の同期化(some particular synchronization)が存在する。
【0027】
P1と表記される同期シンボルは、1024個のサブキャリアを含むOFDMシンボルに、プレフィクス/ポストフィクスを追加することによって形成される。この1024個のサブキャリアのうち、帯域の中央部分にある853個のサブキャリアは有効サブキャリア(useful subcarrier)であり、残りはガードサブキャリアである。この853個の有効サブキャリアのうち、384個のみが用いられ(これらはアクティブサブキャリアと名付けられる)、残りは、使用されないサブキャリア(unused subcarrier)と名付けられゼロにセットされる。
【0028】
発信元Srctは、384ビット系列を形成するために、誤り訂正符号化されたp=7ビットの情報を含むビット情報系列Sに基づき、P1同期シンボルを生成する。
【0029】
ビット情報系列Sは、2つのフィールド(S1およびS2であり、それぞれ3ビットおよび4ビットを含む)から構成される。誤り訂正符号は、CSS1およびCSS2の2パターンによって作成される相補系列集合(complementary sequence set)(CSS)の形態の下で転送される。CSS1パターンは、長さ8の相補系列8個からなる8個の直交集合に基づいてS1を符号化する。この場合、CSS1パターンそれぞれの合計の長さは64となり、CSS2パターンは、長さ16の相補系列16個からなる16個の直交集合に基づいてS2を符号化する。
【0030】
この場合、CSS2パターンそれぞれの合計の長さは、256となる。S=[S1 S2]に対応する系列ベクトルb(以下、本翻訳文において、ベクトルbを単に「b」と表記する場合がある)は、b=[CSS1 CSS2 CSS1]と構築され、したがって、384の長さを持つ。この2値系列bは、対応する+1/−1符号語ベクトルd(以下、本翻訳文において、ベクトルdを単に「d」と表記する場合がある)に置き換え可能である。
【0031】
bは、たとえば差動2値位相シフトキーイング(DBPSK)ベクトルx=MSS_DIFFを用いて変調され(以下、本翻訳文において、ベクトルxを単に「x」と表記する場合がある)、その後、384個のアクティブサブキャリアにマッピングされるべき384個のシンボルからなるx
SCR=MSS_SCRを得るためにスクランブルされる。DVB−T2に記載される特定のケースでは、すべての符号語dが同一の値「1」で始まる。差動符号化された系列xの先頭にダミーを挿入する必要はない。このように、xとdとは同じサイズを有する。一般的なケースでは、差動符号化された系列xは、符号語dの長さに対して1だけ大きい長さを持つ場合があり、したがって、M個のアクティブサブキャリアへの差動変調の後に、長さM−1の符号語がマッピングされる。以下では、dは有効な要素をM−1個だけ持ち、最初の値「1」を計算から除外することができると想定する。
【0032】
このサブキャリアマッピングパターンは、
図2に示すように、長さM=384の、不規則なキャリア拡散系列(irregular Carrier Distribution Sequence)(CDS)により与えられる。
【0033】
本発明において、他の種類の差動変調を用いてもよい。
【0034】
本発明によれば、受信機Recは:
‐差動変調済受信シンボルを差動復調することによって差動復調済シンボルのベクトルを取得し、各差動復調済シンボルは2つの連続する差動変調済受信シンボルを組み合わせることによって取得され、
‐各差動復調済シンボルの積を計算し、前記差動復調済シンボルは、均等に隔てられた資源上で転送される2つの連続する変調済受信シンボルを組み合わせることによって取得され、前記積は、差動復調済シンボルの前記ベクトルにおける前記差動復調済受信シンボルのランクと同じランクを符号語において持つ符号語の要素の共役によって計算され、
‐前記積の和の尺度を計算し、
‐前記積の和の計算された各前記尺度のうちで前記積の前記和の前記尺度が最大となる符号語を選択することによって、差動復調済シンボルのベクトルを復号する。
【0035】
受信シンボルが、均等に隔てられていない可能性のある資源上で転送される場合には、前記受信機は:
‐差動復調済シンボルを差動復調済シンボルグループにグルーピングし、各差動復調済シンボルグループは、所定数の資源だけ隔てられる資源上で転送される2つの連続する差動変調済受信シンボルを組み合わせることによって取得されるシンボルを含み、
取り得る符号語それぞれについて、前記積および前記和の前記尺度の前記計算は、取得された各差動復調済シンボルグループについて実行され、
‐すべての前記差動復調済シンボルグループについて計算された前記和の尺度を合計し、
前記差動復調済シンボルの復号は、積の和の前記尺度の各前記合計のうちで積の前記和の前記尺度の前記合計が最大となる符号語を選択することによって実行される。
【0036】
図2は、発信元によって転送されるシンボルP1が384個のアクティブな考慮中のサブキャリアにマッピングされるアクティブサブキャリアのインデックスの集合の例を開示する。
【0037】
図2に示す384個のインデックスの番号付けは、0から開始し、853個の有効サブキャリアの集合に対するものとして理解される。たとえば、
図2の表において先頭のインデックスによって示される先頭のアクティブサブキャリアは、P1シンボルの853個の有効サブキャリアの集合のうちでインデックス44を持ち、したがって45番目の有効サブキャリアである(サブキャリアの番号付けはインデックス0から開始したので)。
【0038】
行20は、先頭から64個のアクティブサブキャリアのインデックスを与える。
【0039】
行21は、次の256個のアクティブサブキャリアのインデックスを与える。
【0040】
行22は、末尾の64個のアクティブサブキャリアのインデックスを与える。
【0041】
図2のインデックスの集合は、公称帯域幅の中央部分における884個の有効キャリアの集合のうちM=384個のアクティブキャリアを識別する。N=1024点の逆離散フーリエ変換の前に、1024個のサブキャリアまでゼロパディングが実行される。
図14に示すように、IDFTの出力にプレフィクスおよびサフィックスの双方が追加される。
【0042】
853個の有効サブキャリアのうち、インデックスk
i−1およびk
iである、i番目およびi+1番目のアクティブサブキャリアの間の距離α
iは、
図2の例に示すように、必ずしも一定ではない。
【0043】
ベクトルα=[α
1 … α
M−1](以下、本翻訳文において、ベクトルαを単に「α」と表記する場合がある)を、各アクティブサブキャリアと、その次のアクティブサブキャリアとの間の距離を含むベクトルとする。
【0044】
この距離は、対応するインデックスの差として理解され、距離「1」は連続するサブキャリアに対応し、距離「2」は使用されないサブキャリア1つだけ隔てられた2つのアクティブサブキャリアに対応し、距離「3」は使用されないサブキャリア2つだけ隔てられた2つのアクティブサブキャリアに対応し、距離「4」は使用されないサブキャリア3つだけ隔てられた2つのアクティブサブキャリアに対応し、距離「5」は使用されないサブキャリア4つだけ隔てられた2つのアクティブサブキャリアに対応する。
【0045】
距離α
iは、A
1…Qと表記されるQ個の異なる値を取り得る。各値A
iはq
i回出現し(ただし
【0047】
であり)、ベクトルα内でのこれらのq値のインデックスの集合をI
iと表記する。ここで、各集合I
iを形成するインデックスは、1からM−1まで数えられるものとして理解される。
【0048】
図2の例において、αは長さM−1=383のベクトルであり、
図3〜
図8に示すように、1から5までのQ=5種類の値を取り得る要素α
iを持つ。
【0049】
図3は、
図2の例によるアクティブサブキャリアを隔てる距離をすべて表す表である。
【0050】
より正確には、この表は、各アクティブサブキャリア間の距離を含むベクトルαの各要素を表す。
【0051】
図4は、384個のアクティブサブキャリアのうち、次のアクティブサブキャリアとの距離が1であるアクティブサブキャリアのインデックスを表す表である。
【0052】
384個のアクティブサブキャリア内でのインデックスの番号付けは、1から開始する。
【0053】
より正確には、
図4は集合I
1の各値を表す。
【0054】
たとえば、I
1内にインデックス「9」があるので、これは、9番目および10番目のアクティブサブキャリア(
図2に与えられたインデックス「65」および「66」の有効サブキャリアに対するインデックスのもの)の間の距離が1であるということを意味する。
【0055】
図5は、384個のアクティブサブキャリアのうち、次のアクティブサブキャリアとの距離が2であるアクティブサブキャリアのインデックスを表す表である。
【0056】
384個のアクティブサブキャリア内でのインデックスの番号付けは、1から開始する。
【0057】
より正確には、
図5は集合I
2の各値を表す。
【0058】
たとえば、I
2内にインデックス「7」があるので、これは、7番目および8番目のアクティブサブキャリア(
図2に与えられたインデックス「62」および「64」の有効サブキャリアに対するインデックスのもの)の間の距離が2であるということを意味する。
【0059】
図6は、384個のアクティブサブキャリアのうち、次のアクティブサブキャリアとの距離が3であるアクティブサブキャリアのインデックスを表す表である。
【0060】
384個のアクティブサブキャリア内でのインデックスの番号付けは、1から開始する。
【0061】
より正確には、
図6は集合I
3の各値を表す。
【0062】
たとえば、I
3内にインデックス「4」があるので、これは、4番目および5番目のアクティブサブキャリア(
図2に与えられたインデックス「51」および「54」の有効サブキャリアに対するインデックスのもの)の間の距離が3であるということを意味する。
【0063】
図7は、384個のアクティブサブキャリアのうち、次のアクティブサブキャリアとの距離が4であるアクティブサブキャリアのインデックスを表す表である。
【0064】
384個のアクティブサブキャリア内でのインデックスの番号付けは、1から開始する。
【0065】
より正確には、
図7は集合I
4の各値を表す。
【0066】
たとえば、I
4内にインデックス「3」があるので、これは、3番目および4番目のアクティブサブキャリア(
図2に与えられたインデックス「47」および「51」の有効サブキャリアに対するインデックスのもの)の間の距離が4であるということを意味する。
【0067】
図8は、384個のアクティブサブキャリアのうち、次のアクティブサブキャリアとの距離が5であるアクティブサブキャリアのインデックスを表す表である。
【0068】
384個のアクティブサブキャリア内でのインデックスの番号付けは、1から開始する。
【0069】
より正確には、
図8は集合I
5の各値を表す。
【0070】
たとえば、I
5内にインデックス「5」があるので、これは、5番目および6番目のアクティブサブキャリア(
図2に与えられたインデックス「47」および「51」の有効サブキャリアに対するインデックスのもの)の間の距離が5であるということを意味する。
【0071】
図9は、シンボルP1およびそのガード区間の構成の例を表す。
【0072】
プレフィクス34およびサフィックス35は、シンボルP1の有効部分の両側に定義されるガード区間である。古典的なOFDM(直交周波数分割多重)シンボルのような巡回的な継続(cyclic continuation)の代わりに、シンボルの周波数シフトされたバージョンが用いられる。このように、先頭のガード区間を35と表記し、シンボルの主要部分を34と表記し、末尾のガード区間を36と表記すると、末尾のガード区間36は、シンボル34の末尾542個のサンプルを周波数シフトしたバージョンを搬送し、先頭のガード区間35は、シンボル34の先頭482個のサンプルを周波数シフトしたバージョンを運ぶ。
【0073】
ここで、本発明は、単一のガード区間が存在する時または単純な古典的巡回プレフィクスが存在する時のような、任意の種類のガード区間についても適用可能であるということに留意すべきである。
【0074】
図10は、本発明が実施される受信機のアーキテクチャを表す図である。
【0075】
受信機Recは、たとえば、バス101によって相互に接続される構成要素と、
図15に開示されるプログラムによって制御されるプロセッサ100とに基づくアーキテクチャを有する。
【0076】
ここで、受信機Recは、専用の集積回路に基づくアーキテクチャを有してもよいということに留意すべきである。
【0077】
バス101は、プロセッサ100を、読み出し専用メモリROM102、ランダムアクセスメモリRAM103および無線インタフェース105にリンクする。
【0078】
メモリ103は、変数を収容することを意図するレジスタと、
図15に開示されるアルゴリズムに関するプログラムの命令とを含む。
【0079】
プロセッサ100は、無線インタフェース105の動作を制御する。
【0080】
読み出し専用メモリ102は、
図15に開示されるアルゴリズムに関するプログラムの命令を含み、この命令は、受信機Recがアクティベートされた時に、ランダムアクセスメモリ103へと転送される。
【0081】
無線インタフェース105は、発信元Srctによって転送されまたはブロードキャストされた無線信号を受信する手段を備える。
【0082】
無線インタフェース105は、転送されまたはブロードキャストされた信号を受信するために用いられる少なくとも1つのアンテナAntに接続される。
【0083】
図11は、受信機の無線インタフェースの構成要素のブロック図を開示する。
【0084】
受信機Recの無線インタフェース105は、同期化を実行する時間周波数同期モジュール110を備える。
【0085】
ここで、後に開示するように、同期化はタイミングオフセット誤差の影響を受ける可能性があるということに留意すべきである。
【0086】
受信機Recの無線インタフェース105は、同期した受信シンボルについて、
図9に開示されるプレフィクス35およびサフィックス36を除去する、プレフィクスおよび/またはポストフィクス除去モジュール111を備える。
【0087】
本発明がOFDM伝送方式とともに実装される時には、受信機Recの無線インタフェース105は、プレフィクス35およびサフィックス36が除去された受信シンボルに対して離散フーリエ変換を実行するDFTモジュール112を備える。
【0088】
受信機Recの無線インタフェース105は、有効サブキャリアを取得するためにガードサブキャリアを除去することによりDFTモジュール112の出力をデマッピングする、サブキャリアデマッピングおよびアンスクランブルモジュール113を備える。
【0089】
サブキャリアデマッピングおよびアンスクランブルモジュール113は、
図2の例に示す所与のサブキャリアマッピングパターンに従って、M個のアクティブサブキャリアを取り出す。
【0090】
サブキャリアデマッピングの後にはアンスクランブルが続く。
【0091】
受信機Recの無線インタフェース105は、サブキャリアデマッピングおよびアンスクランブルモジュール113によって提供される信号を復調する差動復調器114を備える。
【0092】
より正確には、差動復調器114は、差動変調済受信シンボルを差動復調することにより、差動復調済シンボルのベクトルを取得する。差動復調済シンボルは、それぞれ2つの連続する差動変調済受信シンボルを組み合わせることにより取得される。
【0093】
受信機Recの無線インタフェース105は、差動復調器114の出力を復号する復号モジュール115を備える。
【0094】
上述したように、時間周波数同期モジュール110は不完全であり、TO個のサンプルのタイミングオフセットが生じる。
【0096】
DFTおよびインデックスk
i(ただし
図2に示すように、k
iは必ずしも連続ではなく、等距離に分布してもいない)の有効サブキャリアへのサブキャリアデマッピングの後、サブキャリアデマッピングおよびアンスクランブルモジュール113の出力における信号は、次のように表せる:
【0098】
ただし、h
iはインデックスk
iの有効キャリアに対応するチャネル伝達関数であり、η
iはそのサブキャリアに加わる分散σ
2の雑音である。
【0099】
この関係は、巡回プレフィクスおよび/またはサフィックスを伴うOFDMシステムにおいては厳密に正確である。プレフィクスおよび/またはサフィックスが巡回的でない場合には、雑音部分もまたプレフィクスおよび/またはサフィックスが巡回的でないという事実に起因する干渉を含むということを考慮すれば、この方程式は正しいと考えられる。
【0100】
差動復調モジュール114の出力におけるこの信号は、次のように表せる:
【0106】
である。上述の方程式では、各符号語dの先頭の要素d
0=1は無視される。一般的なケースとして、差動変調前の符号語dと、差動復調後の差動復調済ベクトルrとは、1からM−1まで番号付けされるM−1個の有効な要素を持つものと考える。要素d
0=1も考慮する必要がある(したがって符号語dがM個の要素を持つ)場合には、ダミー値r
0を挿入しなければならない。差動変調前の符号語dと、差動復調後の差動復調済ベクトルrとは、同数の要素を持たねばならず、各要素r
iは、各要素d
iの受信バージョンであり、各要素d
iは、差動復調済ベクトルrのベクトル内でその受信バージョンr
iが持つランクと同じランクを符号語d内で持つ。
【0107】
タイミングオフセットは、復調済信号に、位相誤差傾斜(phase error ramp)を生じさせるか、または位相傾斜によって近似可能な位相誤差を生じさせる。どの復調済シンボルが被る位相回転(phase rotation)も、タイミングオフセットTOと、差動復調済シンボルを搬送するサブキャリア間の距離α
iとに依存し、これによって、その時点の差動復調済シンボルの推定が可能となる。
【0108】
本発明によれば、復号モジュール115は、位相誤差が起こす性能劣化を軽減するように構成される。
【0109】
修正された対数尤度比基準が適用される。これは、大域的コスト関数
【0112】
ここで、コスト関数は、性能指数(figure of merit)、確信度レベル、効用関数、または信頼性関数と呼ばれてもよいということに留意すべきである。
【0113】
各符号語d
nについて、復号モジュール115は、
【0118】
DVB標準規格およびP1シンボルという特定のケースでは、d
nは、p=7ビットの情報Sを符号化するのに用いられる128個の符号語の集合のうちn番目の符号語である。
【0121】
を見つけ出すことによって実行される。ただし、n
maxは、
【0123】
であることを保証するインデックスである。
【0124】
符号語ごとのコスト関数Λ
nを最大化することは、
【0127】
通信ネットワークは、チャネル推定の実行されない差動変調を採用しているので、項
【0129】
は最大化において無視される。この場合、
【0132】
特定の実現モードによれば、
図3の例のようにαの要素α
iがQ個の異なる値を取る時には、本発明は差動復調済シンボルグループをQ個形成し、各グループを個別に処理する。
【0133】
上記の方程式は、符号語ごとの部分的コスト関数(各部分的コスト関数が、所与のサブキャリア距離に関連付けられた変調シンボルに対応する)の総和として書き直すことができる:
【0137】
は、n番目の符号語d
nを構成する各変調シンボル
【0139】
に対応し、また、受信された差動復調済シンボルr
iに対応する。受信された差動復調済シンボルr
iは、853個の有効サブキャリアの集合内の384個のアクティブサブキャリアのうち、i番目およびi+1番目のアクティブサブキャリア(インデックスk
i−1およびk
iのもの。A
3=k
i−k
i−1=3の距離だけ隔てられる)にマッピングされる受信された差動変調済シンボルy
i−1,y
iから取り出せる。
【0140】
各部分的コスト関数について、個別に最大化が実行される。上述の方程式は単純化可能であり、したがって、次のように単純化された符号語ごとのコスト関数を計算可能である:
【0150】
図12は、受信機の無線インタフェースの復号モジュールの構成要素のブロック図を開示する。
【0151】
復号器115は、伝送されたシンボルdを組み合わせて(jointly)復号し、位相誤差を訂正する。
【0152】
復号器115は、表121を用いて差動復調済シンボルグループをQ個形成する抽出モジュール120を備える。表121は、所与の距離だけ隔てられたアクティブサブキャリア上で転送された受信シンボルから取得された差動復調済シンボルを、抽出モジュール120が識別できるようにするものである。
【0153】
抽出モジュール120は、差動復調済シンボルr
iのQ個のグループを識別する。k番目のグループはそれぞれq
k個の差動復調済シンボルを有し、各差動復調済シンボルr
iは、有効サブキャリアの空間において、インデックスk
i,k
i−1によって識別され固定距離A
k=k
i−k
i−1だけ隔てられるサブキャリア上で転送された受信シンボルy
i,y
i−1を組み合わせることによって取得される。
【0154】
k番目のグループにおける、識別された差動復調済シンボルr
iのインデックスiの集合を、I
kと表記する。
【0155】
復号器115は、2
p個の前置和計算モジュールを備える。簡明のため、
図12には2つの前置和計算モジュール123および127のみを示す。
【0156】
前置和計算モジュール123は、符号語表122によって提供される符号語d
1を用いて、和
【0159】
前置和計算モジュール127は、符号語表122によって提供される符号語
【0164】
前置和計算モジュール123および127はそれぞれ、Q個の部分的コスト関数計算モジュールにQ個の和を提供する。
【0165】
簡明のため、
図12には、4つの部分的コスト関数計算モジュールのみを示す。
【0168】
を計算する部分的コスト関数計算モジュール124に対し、前置和計算モジュール123は、1番目の和
【0173】
を計算する部分的コスト関数計算モジュール125に対し、前置和計算モジュール123は、Q番目の和
【0178】
を計算する部分的コスト関数計算モジュール128に対し、前置和計算モジュール127は、1番目の和
【0183】
を計算する部分的コスト関数計算モジュール129に対し、前置和計算モジュール127は、Q番目の和
【0186】
次に、各符号語につき、すでに識別された差動復調済シンボルグループQ個のうちk番目のグループそれぞれについて、部分的コスト関数が計算される。この部分的コスト関数は、そのグループについて推定共通位相シフトA
kφ
kが局所的に補償されるので、準最適な位相誤差補償を暗に含む。
【0187】
部分的コスト関数計算モジュール124および125は、計算された部分的コスト関数を符号語毎単純化コスト関数計算モジュール126に提供し、符号語毎単純化コスト関数計算モジュール126は、
【0190】
部分的コスト関数計算モジュール128および129は、計算された部分的コスト関数を符号語毎単純化コスト関数計算モジュール130に提供し、符号語毎単純化コスト関数計算モジュール130は、
【0193】
各符号語毎単純化コスト関数は最大化モジュール131に供給され、最大化モジュール131は、
【0195】
を選択することにより、符号語d
nmaxが伝送されたということを決定する。
【0196】
図13は、発信元のアーキテクチャを表す図である。
【0197】
発信元Srctは、たとえば、バス1301によって相互に接続される構成要素と、プログラムによって制御されるプロセッサ1300とに基づくアーキテクチャを有する。
【0198】
ここで、発信元Srctは、専用の集積回路に基づくアーキテクチャを有してもよいということに留意すべきである。
【0199】
バス1301は、プロセッサ1300を、読み出し専用メモリROM1302、ランダムアクセスメモリRAM1303および無線インタフェース1305にリンクする。
【0200】
メモリ1303は、変数を収容することを意図するレジスタと、プログラムの命令とを含む。
【0201】
プロセッサ1300は、無線インタフェース1305の動作を制御する。
【0202】
読み出し専用メモリ1302はプログラムの命令を含み、この命令は、発信元Srctがアクティベートされた時に、ランダムアクセスメモリ1303へと転送される。
【0203】
無線インタフェース1305は、本発明によってシンボルを転送する手段を備える。
【0204】
無線インタフェース1305は、本発明によって信号をブロードキャストするために用いられるアンテナAntsに接続される。
【0205】
無線インタフェース1305は、
図14に開示されるような構成要素を備える。
【0206】
図14は、発信元の無線インタフェースの構成要素のブロック図を開示する。
【0207】
発信元Srctの無線インタフェースは、誤り訂正符号を用いて2値系列Sを符号化する誤り訂正符号化モジュール140を備える。
【0208】
誤り訂正モジュール140の出力bは、2値の+1/−1系列dに置き換えられ、差動変調モジュール141に提供され、差動変調モジュール141がこれを変調する。変調は、DBPSK、DQPSK、DAPSK、DPSKまたは任意の他の差動変調とすることができる。結果として得られる長さMの系列xは、任意選択で、スクランブルモジュール142によってスクランブルされてもよい。このスクランブルされた系列x
SCRは、マッピングパターンモジュール144によって提供される所与のサブキャリアマッピングパターン(たとえば
図2に開示されるようなもの)に従い、ゼロ挿入およびマッピングモジュール143によってM個のアクティブサブキャリア上にマッピングされる。
【0209】
IDFTモジュール145によってN点の逆離散フーリエ変換が実行された後、送信の前に、プレフィクス/サフィックス挿入モジュールによりプレフィクスおよび/またはサフィックスを挿入することが可能である。TDM逐次伝送の場合には、IDFTモジュールは存在せず、マッピングは時間領域において実現される(サブキャリアの代わりに時間的位置)ものとして理解される。
【0210】
図15は、本発明による受信機によって実行されるアルゴリズムの例を開示する。
【0211】
ステップS1500において、受信機Recは、表121を用いて差動復調済シンボルグループをQ個形成する。表121は、所与の距離だけ隔てられたサブキャリア上で転送された受信シンボルから取得された差動復調済シンボルを、抽出モジュール120が識別できるようにするものである。
【0212】
ここで、均等に隔てられた資源上で変調済受信シンボルが転送される時には、ステップS1500は実行されないか、または単一の差動復調済シンボルグループが形成されるということに留意すべきである。
【0213】
表121は、
図4〜
図8に示す各表を含む。
【0214】
抽出モジュール120は、差動復調済シンボルr
iのQ個のグループを識別する。k番目のグループはそれぞれq
k個の差動復調済シンボルを有し、各差動復調済シンボルr
iは、有効サブキャリアの空間において固定距離A
k=k
i−k
i−1だけ隔てられた位置k
i,k
i−1に転送される受信シンボルy
i,y
i−1を組み合わせることによって取得される。k番目のグループにおける、識別された差動復調済シンボルr
iのインデックスiの集合を、I
kと表記する。
【0215】
次のステップS1501において、受信機は、すでに識別された差動復調済シンボルにおける、Q個のグループのうちk番目のグループそれぞれについて、またn番目の符号語d
nそれぞれについて、部分的コスト関数
【0218】
これらの部分的コスト関数は、各部分的コスト関数の計算に関与するシンボルグループについて推定共通位相シフトA
kφ
kが局所的に補償されるので、準最適な位相誤差補償を暗に含む。
【0219】
次のステップS1502において、受信機Recは符号語毎単純化コスト関数
【0222】
次のステップS1503において、受信機Recは、
【0227】
図16は、本発明による受信機によって実行されるアルゴリズムの、特定の実現モードを開示する。
【0228】
図16は、時間同期の場合のタイミングオフセットが、受信された差動変調済シンボルに、位相傾斜誤差を生じさせるか、または位相傾斜によって近似可能な位相誤差を生じさせる、特定のOFDMシステムのケースを開示する。TDM伝送の場合には、「時間同期中のタイミングオフセット」は、「周波数同期誤差」に置き換えられる。
【0229】
本アルゴリズムの特定の実現モードによれば、推定されるタイミングオフセットがある閾値よりも小さい場合には(たとえばタイミングオフセットが存在しないか、または十分に小さい場合には)、タイミングオフセットに起因する位相誤差を無視して古典的復号を実行するという付加条件が実行される。
【0230】
タイミングオフセットの存在/重要性に関するアプリオリな情報が存在する場合には、
図15のアルゴリズムは、タイミングオフセットが十分に重要であるとわかっている時にのみ適用されてもよい。事前の情報が存在しない時には、タイミングオフセットは、検出の早期フェーズにおいて(たとえば取り得る符号語の一部または全部について与えられ得る位相推定の一部または全部に頼って)、または、検出の後期の段階(the late stages)において(たとえば検出された符号語
【0232】
のみに対応する推定)、推定可能である。
【0233】
ステップS1600において、受信機Recは、先に開示したように、差動変調済受信シンボルの同期中に発生する可能性のある(または発生する)タイミングオフセットに関する情報を取得する。
【0234】
次のステップS1601において、受信機Recは、タイミングオフセットに関する情報が所定の値または閾値よりも大きいか否かをチェックする。
【0235】
タイミングオフセットに関する情報が所定の値よりも大きい場合には、受信機はステップS1603に移動し、
図15に開示されるアルゴリズムの実行は実行され続ける。
【0236】
タイミングオフセットに関する情報が所定の値よりも大きくない場合には、受信機はステップS1602に移動し、
図15に開示されるアルゴリズムの実行は中断される。
【0238】
上述のように、本発明は、TDM伝送方式にも適用可能である。
【0239】
その場合には、時間領域の各位置で伝送される差動符号化済系列は、必ずしも連続するものでなくともよい。上記の例に開示されたアクティブサブキャリアは、時間領域の専有位置によって置き換えられる。
【0240】
OFDM伝送方式について述べたものと同様にして、受信系列は、時間領域における位相傾斜誤差(たとえばドップラーシフトまたは周波数同期誤差に起因するもの)の影響を受ける。
【0241】
OFDM伝送方式の場合に周波数領域位相傾斜を生じさせるタイミングオフセット誤差は、TDM伝送方式では、時間領域位相傾斜を生じさせる周波数誤差によって置き換えられる。
【0242】
さらに、TDM伝送方式の場合には、送信機/受信機構造において、IDFT/DFTは存在しない。
【0243】
当然ながら、本発明の範囲から逸脱することなく、上述の発明の実施形態に多数の変更を加えることができる。