(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のバッテリと前記第2のバッテリのうち一方のバッテリは、前記第1のバッテリの状態に関する情報と前記第2のバッテリの状態に関する情報とに基づいて、充電対象のバッテリを選択する
ことを特徴とする請求項9に記載の鞍乗型電動車両。
前記インレットは、前記第1のバッテリの正極と、前記第1のバッテリの負極と、前記第2のバッテリの正極と、前記第2のバッテリの負極とにそれぞれ接続される4つの端子を有している
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の鞍乗型電動車両。
前記インレットは、前記第1のバッテリの正極と、前記第1のバッテリの負極と、前記第2のバッテリの正極と、前記第2のバッテリの負極とにそれぞれ接続される4つの端子を有し、
前記第1の充電装置は前記鞍乗型電動車両の前記インレットに接続するための充電プラグを有し、
前記充電プラグは、前記第1のバッテリと前記第2のバッテリとを直列に接続する配線、又は、前記第1のバッテリと前記第2のバッテリとを並列に接続する配線を有する
ことを特徴とする請求項13に記載の充電システム。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係る鞍乗型電動車両について説明する。以下では、鞍乗型車両の一例として電動二輪車1について説明する。
図1は電動二輪車1の側面図である。
図2は電動二輪車1が有しているバッテリケース2の例を示す斜視図である。
図3は自動二輪車1が備えるバッテリ20の斜視図である。
【0025】
[車両全体の概要]
図1に示すように、電動二輪車1の前輪3はフロントフォーク4の下端で支持されている。フロントフォーク4は車体フレーム5の前端に設けられているヘッドパイプ部5aで支持されているステアリングシャフトを中心として左右に回転可能となっている。フロントフォーク4の上部にはステアリングハンドル9が取り付けられている。ステアリングハンドル9の右側及び左側にはグリップ9aが設けられている。右側のグリップ9aはアクセルグリップとして機能する。
【0026】
電動二輪車1は、
図2に示すように、複数のバッテリ20を有している。複数のバッテリ20は互いに別個に車体に対して脱着可能である。すなわち、1つのバッテリ20を他のバッテリ20とは独立して車体から取り外したり、他のバッテリ20とは独立して車体に搭載する作業が可能となっている。
図3に示すように、各バッテリ20は、後述するバッテリセル21(
図5参照)や、バッテリマネジメントシステム22(
図5参照)などを収容するハウジング20aを有している。バッテリ20は、例えばリチウムイオン電池や、ニッケス水素蓄電池である。バッテリ20の種類はこれらに限定されない。
【0027】
電動二輪車1は複数のバッテリ20を収容するためのバッテリケース2を有している。バッテリケース2は、例えば、
図2に示すように上方に開口している箱型である。バッテリケース2の上部には、バッテリケース2を閉じるためのケースカバー2aが設けられてもよい。
図1に示すように、バッテリケース2は例えばシート6の下方に配置される。こういった例では、シート6を取り外し、ケースカバー2aを開けることにより、バッテリ20の車体への脱着作業が可能となる。バッテリケース2の位置は
図1に示す例に限られず、適宜変更されてよい。
図2に示すように、電動二輪車1では、バッテリケース2は2つのバッテリ20がこれに搭載できるように構成されている。バッテリ20の数は2つより多くてもよい。
【0028】
図1に示すように、電動二輪車1は電動モータ31を有している。電動モータ31は複数のバッテリ20から受ける電力によって駆動し、駆動輪である後輪7に動力を供給する。一例では、車両に搭載されている複数のバッテリ20が電動モータ31の駆動のために同時に使用される。他の例として、車両に搭載されている複数のバッテリ20の中から選択されたバッテリ20が電動モータ31の駆動のために使用され(
図15参照)、電動モータ31の駆動のために使用するバッテリ20が順番に切り替えられてもよい。電動モータ31から後輪7に至る動力伝達経路には、例えば、ギアやベルトによって構成される減速機構8や、チェーンやベルトなどの動力伝達部材11が配置される。
【0029】
[車両の構成]
図4は自動二輪車1の構成を示すブロック図である。
図5はバッテリ20の構成を示すブロック図である。後において詳説するように、バッテリ20は、車体に搭載した状態で充電でき、且つ車体から取り外した状態でも充電できる。
図6は複数のバッテリ20を車体に搭載した状態で充電する第1充電装置70と、複数のバッテリ20との接続状態を示すブロック図である。
図7はバッテリ20を車体から取り外した状態でこれを充電する第2充電装置80とバッテリ20との接続状態を示すブロック図である。
図7の例では、第2充電装置80はバッテリ20を個別に充電するよう構成されている。第1充電装置70は、例えば、公共の充電設備に設けられている充電装置であり、比較的高い電圧を出力できる。第2充電装置80は、例えば家庭に設けられている充電装置である。
【0030】
後において説明するように、複数のバッテリ20が車体に搭載されているとき、複数のバッテリ20のうち1つは複数のバッテリ20を代表するマスターバッテリとして機能し、残りのバッテリ20はスレーブバッテリとして機能する。
図4及び
図6では、マスターバッテリに符号20(M)が付され、スレーブバッテリに符号20(S)が付されている。以下の説明では、マスターバッテリとスレーブバッテリとについて説明するときには符号20(M)或いは符号20(S)を使用し、それらを区別しない説明では単に符号20を使用する。
【0031】
図4に示すように、電動二輪車1はバッテリ20から電力を受けて、電動モータ31にその駆動電力を供給するモータ駆動装置32を有している。モータ駆動装置32はバッテリ20から受ける直流を交流に変換して、電動モータ31に供給するインバータを含んでいる。電動二輪車1は車両制御装置33を有している。車両制御装置33はメモリーやCPUを含み、モータ駆動装置32を通して電動モータ31を制御する。例えば、車両制御装置33はアクセル操作量(アクセルグリップ9aの操作量)を検知し、アクセル操作量に基づいて目標トルクを算出する。車両制御装置33は目標トルクに応じた指令値を生成し、モータ駆動装置32は指令値に応じた電流を電動モータ31に供給する。車両制御装置33による電動モータ31の制御の方法は、上述の例に限定されない。
【0032】
図4に示すように、自動二輪車1はインジケータ37を有してもよい。インジケータ37は車両制御装置33によって制御される。車両制御装置33は、バッテリ20の状態を表す情報(例えば、バッテリ20の異常発生やバッテリ20の残量)に基づいてインジケータ37を制御し、バッテリ20の状態をライダーに提示する。後において説明するように、車両制御装置33は、バッテリ20の状態に関する情報をマスターバッテリ20(M)から受信する。より詳細には、車両制御装置33は、バッテリ20の状態に関する情報をマスターバッテリ20(M)だけから受信する。
【0033】
図4に示すように、自動二輪車1は複数のバッテリ20の電流をモータ駆動装置32に供給するための電力ラインPLを有している(
図4の例では電力ラインPLは配線P1a、P1b、P2a、P2bを含んでいる)。電力ラインPLには、モータ駆動装置32への電力供給を遮断するためのモータ制御スイッチ34が設けられている。モータ制御スイッチ34は、例えばパワーFETやリレーによって構成される。車両制御装置33はモータ制御スイッチ34のオン/オフ状態を制御する信号をモータ制御スイッチ34に出力する。
【0034】
複数のバッテリ20は、例えば直列に接続されている状態で、電動モータ31(言い換えると、モータ駆動装置32)に電力を供給する。これにより、電動モータ31の出力を高くできる。
図4では、2つのバッテリ20が直列に接続されている。2つのバッテリ20は並列に接続されている状態でモータ駆動装置32に電力を供給してもよい。バッテリ20の数が2つよりも多い場合、それらの全てが直列に接続されてもよいし、並列接続と直列接続とが混在してもよい。
【0035】
[バッテリ]
図5に示すように、各バッテリ20はバッテリセル21を有している。バッテリセル21の電極はバッテリ20の充放電端子23a,23bに接続している。充放電端子23bとバッテリセル21の電極との間には、これらの接続を遮断するためのバッテリ制御スイッチ24が配置されている。バッテリ制御スイッチ24も、例えば、パワーFETやリレーなどによって構成され得る。
【0036】
また、各バッテリ20はバッテリマネジメントシステム22を有している(以下では、バッテリマネジメントシステムをBMSと称する)。BMS22はコントローラ22Aとバッテリモニタ22Bとを有している。バッテリモニタ22Bはバッテリセル21の状態を監視するためのセンサや回路要素である。具体的には、バッテリモニタ22Bは、バッテリセル21の温度を検知するための温度センサや、バッテリセル21の出力電圧を検知するための電圧計、バッテリセル21から出力される電流とバッテリセル21に供給される電流を検知するための電流計などを含んでいる。バッテリモニタ22Bの信号はコントローラ22Aに入力される。
【0037】
コントローラ22AはメモリーやCPUを含んでいる。コントローラ22Aはバッテリモニタ22Bの信号に基づいてバッテリ20の状態を監視する。コントローラ22Aは車両制御装置33と通信可能に構成されており、バッテリ20の状態(例えば、バッテリ残量や、異常発生)を車両制御装置33に通知したり、車両制御装置33からの要求に従ってバッテリ制御スイッチ24のオン/オフ状態を制御する。また、コントローラ22Aは充電装置70、80と通信可能に構成され、充電に係る指令(充電準備指令や、電流出力指令、充電停止指令など)を充電装置70、80に送信する。コントローラ22Aが実行する処理については、後において詳説する。
【0038】
バッテリ20はコントローラ22Aが車両制御装置33や充電装置70、80と通信するための通信端子23c(
図5参照)を有している。
図4に示すように、バッテリ20の車体への搭載時、通信端子23cは通信ラインCLを通して車両制御装置33に接続される。また、通信端子23cは、バッテリ20の充電時には通信ラインCLを通して充電装置70、80のコントローラに接続される(
図6及び
図7参照)。コントローラ22Aは、CAN(Control Area Network)や、LIN(Local Interconnect Network)などの規格に基づいて、車両制御装置33や、充電装置70、80などと通信する。
【0039】
図5に示すように、バッテリ20は、上述の充放電端子23a、23b、及び通信端子23cを有するコネクタ部23を有している。コネクタ部23はバッテリ20のハウジング20aから露出している(
図3参照)。バッテリ20の車体への搭載時、コネクタ部23はバッテリケース2に設けられているリセプタクルに接続する。
図5に示すように、コネクタ部23は、さらにマスター/スレーブ判定端子23dを有している。コントローラ22Aは、バッテリ20の車体への搭載時に、マスター/スレーブ判定端子23dを通して入力される信号に基づいて、自身がマスターバッテリ20(M)であるか、或いはスレーブバッテリ20(S)であるかを判断する。マスターバッテリ20(M)とスレーブバッテリ20(S)の指定や機能については後において説明する。
【0040】
[第1充電装置とバッテリとの接続]
自動二輪車1はインレット35を有している。
図6に示すように、インレット35には、外部に設置されている第1充電装置70の充電プラグ71が接続可能となっている。インレット35は車体の外側に露出可能となるように自動二輪車1の車体に設けられている。例えば、インレット35はバッテリケース2の近くに設けられる。インレット35はシート6の下側に設けられてもよい。インレット35の車体における位置はこれらに限定されない。
【0041】
インレット35に充電プラグ71が接続されているとき、バッテリ20(具体的には、充放電端子23a、23b)は、インレット35及び第1充電装置70のケーブル(電力ラインP7a、P7b)を通して第1充電装置70に接続している。自動二輪車1の電力ラインPLは、バッテリ20の充放電端子23a、23bと電極とインレット35の充電端子35b、35cとを繋いでいる電力ラインP1b、P2bを有している。電力ラインP1b、P2bは、第1充電装置70から供給される電力を、車体に搭載されている複数のバッテリ20に供給する。これにより、複数のバッテリ20を同時に充電できる。インレット35に充電プラグ71が接続されているとき、バッテリ20の通信端子23cは、インレット35及び第1充電装置70のケーブル(通信ラインC7)を通して第1充電装置70に接続している。これにより、第1充電装置70とバッテリ20との通信が可能となっている。インレット35には、車体に設けられている通信ラインCLの通信端子35sが設けられている。
【0042】
図4に示すように、インレット35に充電プラグ71を接続しないとき、インレット35にはインレットカバー36が装着されるのが好ましい。自動二輪車1の例では、インレット35には、モータ駆動装置32に繋がっている電力ラインP1a、P2aの端子35a、35dが設けられている。インレットカバー36には充電端子35bと端子35aとを繋ぐ配線が設けられている。また、インレットカバー36には充電端子35cと端子35dとを繋ぐ配線が設けられている。インレットカバー36がインレット35に装着されているとき、インレットカバー36に設けられている配線と、電力ラインP1a、P2aとによって複数のバッテリ20とモータ駆動装置32とを繋ぐ回路が構成されている。このようにインレットカバー36に配線を設けることにより、充電用の回路と放電用の回路とを切り替えるためのスイッチ(パワーFETやリレー)が不要となる。なお、インレットカバー36には必ずしもこのような配線は設けられなくてもよい。その場合、充電用の回路と放電用の回路とを切り替えるためのスイッチが車体に設けられてよい。
【0043】
[第2充電装置とバッテリとの接続]
上述したように、複数のバッテリ20は車体から別個に取り外すことができる。
図7に示すように、バッテリ20は、バッテリ20が車体から取り外されている状態で、第2充電装置80と接続可能となっている。バッテリ20は、例えばバッテリスタンド82によって支持される。そして、バッテリ20充放電端子23a、23bは、バッテリスタンド82に設けられている配線と、第2充電装置80のケーブル(電力ラインP8a、P8b)とを介して第2充電装置80と接続する。これにより、第2充電装置80からバッテリ20への電力供給が可能となっている。また、バッテリ20の通信端子23cは、バッテリスタンド82の配線と第2充電装置80のケーブル(通信ラインC8)とを介して第2充電装置80に接続している。これにより、第2充電装置80とバッテリ20との通信が可能となっている。
【0044】
バッテリスタンド82には、バッテリ20のコネクタ部23と接続するためのリセプタクルが設けられる。第2充電装置80のケーブル(電力ラインP8a、P8b、通信ラインC8)の端部には、バッテリスタンド82のコネクタ部83に接続するための充電プラグ81が設けられている。コネクタ部83には充電端子83a、83b及び通信端子83sが設けられている。
【0045】
このように、自動二輪車1は別個に車体から取り外すことができる複数のバッテリ20を有している。また、各バッテリ20に充電を制御するコントローラ22Aが設けられている。そのため、各バッテリ20を車体から取り外して充電することができるので、例えば1つの大型のバッテリが車体に搭載されている場合に比べて、バッテリの充電作業を容易化できる。さらに、自動二輪車1はインレット35を有しているので、複数のバッテリ20を車体に搭載した状態で充電することが可能となる。
【0046】
[第2充電装置の変形例]
なお、第2充電装置80に複数のバッテリ20が接続されてもよい。
図8は第2充電装置80の変形例を示す図である。この図に示す第2充電装置80Aには複数のバッテリ20が接続されている。具体的には、第2充電装置80Aには、複数のバッテリ20を支持できるように構成されているバッテリスタンド82Aが設けられている。バッテリスタンド82Aに支持されている複数のバッテリ20は、バッテリスタンド82Aに形成されている配線を通して、第2充電装置80Aの電力ラインP8a、P8bに接続している。これにより、第2充電装置81Aは複数のバッテリ20を同時に充電することができる。バッテリスタンド82Aでは複数のバッテリ20は直列に接続されている。各バッテリ20の通信端子23cはバッテリスタンド82Aに設けられている通信ラインと、第2充電装置80Aの通信ラインC8とを通して、第2充電装置80Aに接続している。第2充電装置80Aの機能・構成は上述の第2充電装置80と同様でよい。第2充電装置80Aには充電プラグ81Aが設けられ、バッテリスタンド82Aはコネクタ部83Aを有している。これらは上述の充電プラグ81とコネクタ部83と同じ構成を有してよい。
【0047】
[バッテリのコントローラの機能]
複数のバッテリ20が車体に搭載されているとき、複数のバッテリ20のうち1つのバッテリ20はマスターバッテリ20(M)となり、他のバッテリ20はマスターバッテリ20(M)と通信するスレーブバッテリ20(S)となる。マスターバッテリ20(M)は、複数のバッテリ20を代表して車両制御装置33や第1の充電装置70、第2の充電装置80Aと通信する。すなわち、マスターバッテリ20(M)は、マスターバッテリ20(M)の状態に関する情報とスレーブバッテリ20(S)の状態に関する情報とを統合し、統合によって得られた情報を車両制御装置33に送信する。また、第1充電装置70や第2充電装置80Aによる複数のバッテリ20の充電時には、マスターバッテリ20(M)はマスターバッテリ20(M)の状態に関する情報とスレーブバッテリ20(S)の状態に関する情報とに基づいて、第1充電装置70や第2充電装置80Aと通信し、充電に係る処理を実行する。ここで、マスターバッテリ20(M)の状態に関する情報及びスレーブバッテリ20(S)の状態に関する情報とは、例えばバッテリ残量、異常発生、バッテリセル21の出力電圧、バッテリセル21の温度などである。スレーブバッテリ20(S)は、スレーブバッテリ20(S)自身に関する状態情報をマスターバッテリ20(M)に送信したり、マスターバッテリ20(M)から送信される情報(要求)に基づいて、バッテリ制御スイッチ24を制御する。
【0048】
複数のバッテリ20のそれぞれが外部の装置(例えば、充電装置)と通信する機能を有しており、単独で充電装置(例えば第2充電装置70)で充電できる。ところが、複数のバッテリ20を車体に搭載したり、複数のバッテリ20を第1充電装置70、或いは第2充電装置80Aで充電する場合には、複数のバッテリ20は1つのバッテリのように振る舞う。バッテリ20のこのような機能によると、複数のバッテリ20を利用することに起因して車両制御装置33や、充電装置70、80Aで特別な処理を実行する必要がなくなる。例えば、複数のバッテリ20を識別して通信したり、複数のバッテリ20の状態を別個に監視するといった処理が、車両制御装置33及び充電装置70、80Aにおいて不要となる。
【0049】
図5に示すように、各バッテリ20のコントローラ22Aは、その機能として、状態監視部22a、状態情報統合部22b、充電制御部22c、放電制御部22d、及びマスター/スレーブ判定部22eを有している。複数のバッテリ20のいずれもが、これらの機能を有している。
【0050】
[マスター/スレーブ判定部]
マスター/スレーブ判定部22eは、バッテリ20(自らが)がマスターバッテリ20(M)であるか否か、或いは、スレーブバッテリ20(S)であるか否かを判断する。この処理は例えば次のよう方法で実現できる。バッテリケース2は、複数のバッテリ20がそれぞれ搭載される複数のバッテリ搭載位置を有している。マスター/スレーブ判定端子23dと電気的に接続する端子が複数のバッテリ搭載位置に選択的に設けられる(以下では、この端子を「役割指定端子」と称する)。役割指定端子は、バッテリ20のマスター/スレーブ判定端子23dに予め定めた信号(例えば、グランド信号)を入力するように構成される(以下では、この信号を「役割指定信号」と称する)。マスター/スレーブ判定部22eは役割指定信号に基づいて、バッテリ20がマスターバッテリ20(M)であるか否か、或いはスレーブバッテリ20(S)であるか否かを判断する。
【0051】
バッテリケース2が2つのバッテリ20を収容可能である場合、2つのバッテリ搭載位置のうち一方にだけ役割指定端子が設けられる。マスター/スレーブ判定部22eは役割指定信号を検知したときには、マスターバッテリ20(M)として指定されたと判断する。これに替えて、マスター/スレーブ判定部22eは役割指定信号を検知したときには、スレーブバッテリ20(S)として指定されたと判断してもよい。バッテリケース2が2つより多くのバッテリ20を収容可能である場合には、複数のバッテリ搭載位置のうち1つにだけ役割指定端子が設けられてよい。この場合、マスター/スレーブ判定部22eは役割指定信号を検知したときには、マスターバッテリ20(M)として指定されたと判断する。
【0052】
[状態監視部]
状態監視部22aはバッテリモニタ22Bの信号に基づいてバッテリ20の状態を監視する。一例では、状態監視部22aはバッテリセル21の温度を検知する。状態監視部22aはバッテリセル21の温度と定めた閾値(上限値及び/又は下限値)とを比較し、バッテリセル21の温度が異常でないかどうかを判断してもよい。他の例として、状態監視部22aはバッテリセル21の出力電流或いは充電電流を検知し、その電流に基づいてバッテリ残量を算出する。さらに他の例として、状態監視部22aはバッテリセル21の電圧を検知する。状態監視部22aはバッテリセル21の電圧が異常値に達していないかどうかを判断してもよい。さらに他の例として、状態監視部22aは、バッテリモニタ22Bの信号に基づいて、バッテリモニタ22Bを構成しているセンサや回路要素(電流計、電圧計)に異常が生じていないかどうかを判断してもよい。ここで説明した状態監視部22aが検知或いは算出する情報、及び状態監視部22aの判断結果が、上述した「バッテリの状態に関する情報」であり、以下ではこれらの情報を「個別状態情報」と称する。バッテリ20がスレーブバッテリ20(S)である場合、状態監視部22aは個別状態情報をマスターバッテリ20(M)に送信する。
【0053】
[状態情報統合部]
状態情報統合部22bは、バッテリ20がマスターバッテリ20(M)として指定されている場合に、他のバッテリ20、すなわちスレーブバッテリ20(S)の個別状態情報を取得(受信)する。そして、状態情報統合部22bはマスターバッテリ20(M)の個別状態情報とスレーブバッテリ20(S)の個別状態情報とを統合する。「マスターバッテリの個別状態情報とスレーブバッテリの個別状態情報とを統合する」とは、マスターバッテリの個別状態情報とスレーブバッテリの個別状態情報とに基づいて1つのバッテリ状態情報を算出あるいは選択することである。具体的には、「マスターバッテリの個別状態情報とスレーブバッテリの個別状態情報とを統合する」とは、複数のバッテリの状態を表す数値の合計を算出したり、複数のバッテリの状態を表す情報(数値を含む)のうち1つを予め定めたルールに従って選択することである。こうすることにより、車両制御装置33、第1充電装置70、及び第2充電装置80Aは、複数のバッテリ20を1つのバッテリと見なして、電動モータ31の駆動に係る処理や、インジケータ37の表示の制御、充電に係る処理を実行することができる。以下では、統合により得られた情報を「統合状態情報」と称する。
【0054】
一例では、状態情報統合部22bは、マスターバッテリ20(M)の温度とスレーブバッテリ20(S)の温度のうち高いほうの温度を選択し、これを統合状態情報とする。状態情報統合部22bは、バッテリ20の温度と予め設定された下限値とを比較する場合には、マスターバッテリの温度とスレーブバッテリの温度のうち低いほうの温度を選択し、これを統合状態情報としてもよい。そして、低いほうの温度と下限値とが比較されてもよい。すなわち、低いほうの温度が複数のバッテリ20の全体の温度と見なされて、下限値との比較がなされる。
【0055】
また、複数のバッテリ20が直列に接続している場合には、状態情報統合部22bは、マスターバッテリ20(M)のバッテリ残量とスレーブバッテリ20(S)のバッテリ残量のうち少ないほうのバッテリ残量を統合状態情報とする。すなわち、少ないほうのバッテリ残量が複数のバッテリ20の全体のバッテリ残量と見なされる。複数のバッテリ20が並列に接続している場合、マスターバッテリ20(M)のバッテリ残量とスレーブバッテリ20(S)のバッテリ残量は通常等しくなる。そのため、この場合、状態情報統合部22bは、マスターバッテリ20(M)のバッテリ残量とスレーブバッテリ20(S)のバッテリ残量のうちいずれか一方が統合状態情報とされてもよい。
【0056】
さらに、複数のバッテリ20が直列に接続している場合には、状態情報統合部22bは、マスターバッテリの電圧とスレーブバッテリの電圧の合計を統合状態情報とする。一方、複数のバッテリ20が並列に接続している場合には、状態情報統合部22bは、マスターバッテリ20(M)の電圧を統合状態情報としてもよい。
【0057】
さらに他の例では、状態情報統合部22bは、マスターバッテリ20(M)とスレーブバッテリ20(S)のうちいずれかのバッテリに異常が生じている場合に、異常の発生を表す情報を統合状態情報としてもよい。例えば、マスターバッテリ20(M)の温度センサが正常でスレーブバッテリ20(S)の温度センサが異常である場合には、温度センサの異常を示す情報を統合状態情報としてもよい。この場合、複数のバッテリ20に異常が生じていると見なさる。
【0058】
バッテリ20がマスターバッテリ20(M)として指定されている場合、状態情報統合部22bは統合状態情報を車両制御装置33に送信する。また、状態情報統合部22bは統合状態情報を第1充電装置70や第2充電装置80Aに送信してもよい。バッテリ20がスレーブバッテリである場合には、状態情報統合部22bは動作しない。
【0059】
[充電制御部]
充電制御部22cは、バッテリ20がマスターバッテリ20(M)として指定されている場合、マスターバッテリ20(M)の状態とスレーブバッテリ20(S)の状態とに基づいて第1充電装置70と通信し、充電に係る処理を実行する。充電制御部22cは、例えば状態情報統合部22bで得られた統合状態情報に基づいて、第1充電装置70との間で充電に係る処理を実行する。具体的には、充電制御部22cは統合状態情報に基づいて充電に関する指令を第1充電装置70に送信する(「充電に関する指令」を充電指令と称する)。また、マスターバッテリ20(M)の充電制御部22cは、第1充電装置70とスレーブバッテリ20(S)との間を中継する。後において説明するように、マスターバッテリ20(M)の充電制御部22cは、統合状態情報に替えて或いは統合状態情報とともに、マスターバッテリ20(M)の個別状態情報とスレーブバッテリ20(S)の個別状態情報とに基づいて、第1充電装置70との間で充電に係る処理を実行してもよい。
【0060】
図9は第1充電装置70による充電時にバッテリ20と第1充電装置70との間で送信・受信される情報を説明するための図である。
【0061】
複数のバッテリ20が
図6に示されるように直列に接続される場合、統合状態情報を利用する例として、次のような処理が実行される。充電制御部22cはバッテリ20と第1充電装置70との接続を検知したとき(インレット35に充電プラグ71が接続されていることを検知したとき)、統合状態情報に基づいて充電開始の適否を判断する。すなわち、充電制御部22cは、統合状態情報が予め定めた充電開始の条件を満たすか否かを判断する。こうすることにより、複数のバッテリ20のうちいずれか1つが充電を控えるべき状態にある場合に充電が開始することを防ぐことができる。
【0062】
例えば、充電制御部22cは、統合状態情報であるバッテリセル21の温度が予め定めた温度条件に適合しているか否かを判断する。また、充電制御部22cは、統合状態情報である異常発生情報(例えば、センサや回路要素の異常)として充電開始に適さないものがあるか否かを判断する。ここで、バッテリセル21の温度や異常の発生が予め定めた条件を満たす場合に(具体的には、温度が正常であり、且つセンサ等に異常が発生していない場合に)、充電制御部22cは第1充電装置70に充電指令の1つである充電準備指令を送信する。ここで、充電制御部22cは、統合状態情報であるバッテリ残量が予め定めた条件に適合しているか否か、例えば、バッテリ残量が予め定めた閾値よりも低いか否かを判断してもよい。さらに、充電制御部22cは、統合状態情報に基づいて第1充電装置70が出力すべき電流値を算出し、この電流値を充電指令の1つとして第1充電装置70に送信してもよい。例えば、充電制御部22cは、統合状態情報の1つであるバッテリセル21の温度に基づいて電流値を算出してもよい。
【0063】
第1充電装置70はマスターバッテリ20(M)から充電準備指令を受信したとき、第1充電装置70が備えるリレーをオン状態にするなどの充電の準備を実行する。その後、第1充電装置70は、マスターバッテリ20(M)にスイッチ接続要求フラグの送信を開始する。バッテリ残量が上述の条件に適合している場合(すなわち、バッテリ残量が閾値よりも低い場合)、スイッチ接続要求フラグを受信したマスターバッテリ20(M)は、バッテリ制御スイッチ24を接続する(バッテリ制御スイッチ24をオン状態とする)。また、マスターバッテリ20(M)は、受信しているスイッチ接続要求フラグをスレーブバッテリ20(S)に転送する。スレーブバッテリ20(S)は受信したスイッチ接続要求フラグに基づいてバッテリ制御スイッチ24を接続する。その後、マスターバッテリ20(M)の充電制御部22cが第1充電装置70に電流出力開始指令を送信すると、第1充電装置70は電流を出力する。これにより、第1充電装置70による充電が開始する。第1充電装置70は、電流出力を開始する前に、端子間電圧に基づいてバッテリ20のバッテリ制御スイッチ24がオン状態となっているか否かを判断し、バッテリ20のバッテリ制御スイッチ24がオン状態となっている場合に電流出力を開始してもよい。
【0064】
充電中、充電制御部22cは、統合状態情報に基づいて充電停止・終了を判断する。すなわち、充電制御部22cは、統合状態情報が予め定めた充電停止・終了の条件を満たすか否かを判断する。例えば、充電制御部22cは、統合状態情報であるバッテリセル21の温度が予め定めた充電停止の温度条件に該当するか否かを判断する。また、充電制御部22cは、統合状態情報であるバッテリ残量が予め定めた充電終了の条件に達したか否かを判断する。統合状態情報が予め定めた充電停止・終了の条件を満たす場合、充電制御部22cは上述の充電指令の1つとして充電停止指令を第1充電装置70に送信する。
【0065】
充電中、マスターバッテリ20(M)とスレーブバッテリ20(S)の双方において、バッテリ20の状態が監視される。スレーブバッテリ20(S)は、充電中、状態監視部22aで得られた個別状態情報をマスターバッテリ20(M)に送信する。マスターバッテリ20(M)では、マスターバッテリ20(M)の個別状態情報と、スレーブバッテリ20(S)の個別状態情報とに基づいて統合状態情報が算出される。充電中、充電制御部22cは、統合状態情報に替えて、マスターバッテリ20(M)の個別状態情報とスレーブバッテリ20(S)の個別状態情報とに基づいて充電停止・終了を判断してもよい。
【0066】
第1充電装置70はマスターバッテリ20(M)から充電停止指令を受信したのち、電流の出力を停止するとともに、スイッチ遮断要求フラグを送信する。充電制御部22cはスイッチ遮断要求フラグを受信すると、バッテリ制御スイッチ24を遮断する(バッテリ制御スイッチ24をオフ状態とする)。また、マスターバッテリ20(M)の充電制御部22cは受信したスイッチ遮断要求フラグをスレーブバッテリ20(S)に転送する。スレーブバッテリ20(S)は受信したスイッチ遮断要求フラグに基づいてバッテリ制御スイッチ24を遮断する。
【0067】
このようなマスターバッテリの充電制御部22cによれば、第1充電装置70がスレーブバッテリ20(S)と直接的には通信することなく、マスターバッテリ20(M)とスレーブバッテリ20(S)の双方が充電され得る。充電制御部22cの処理は上述したものに限定されない。例えば、充電制御部22cは統合状態情報の一部又は全部を第1充電装置70に送信してもよい。この場合、第1充電装置70は統合状態情報に基づいて充電の開始・継続・終了の適否を判断してもよい。
【0068】
上述したように、マスターバッテリ20(M)(充電制御部22c)は、統合状態情報とともに或いは統合状態情報に替えて、複数のバッテリ20の個別状態情報に基づいて第1充電装置70との間で通信し、充電に係る処理を実行してもよい。例えば、複数のバッテリ20が
図11Aで示されるように並列に接続されている場合、マスターバッテリ20(M)は複数のバッテリ20の個別状態情報に基づいて、各バッテリ20について充電の適否を判断してもよい。具体的には、マスターバッテリ20(M)は、各バッテリ20のバッテリ残量に基づいて、各バッテリ20について充電の適否を判断してもよい。
【0069】
複数のバッテリ20が並列に接続されている場合に、個別状態情報を利用する例として、次のような処理が実行される。この場合においても、充電制御部22cは、まずバッテリセル21の温度が予め定めた条件に適合しているか否かを判断したり、異常発生情報として充電開始に適さないものがあるか否かを判断する。この判断は、統合状態情報に基づいて実行されてもよいし、個別状態情報に基づいて実行されてもよい。充電制御部22cは、いずれのバッテリ20についても異常が発生していない場合に、第1充電装置70に充電準備指令を送信する。
【0070】
充電制御部22cは、各バッテリ20のバッテリ残量に基づいて、複数のバッテリ20の中から充電を要する或いは充電が可能なバッテリ20を選択する。例えば、マスターバッテリ20(M)のバッテリ残量が十分に存在し、スレーブバッテリ20(S)のバッテリ残量が少ない場合には、充電制御部22cはスレーブバッテリ20(S)を選択する。充電制御部22cは、いずれかのバッテリ20を選択した場合、選択したバッテリ20についてだけ、バッテリ制御スイッチ24を接続するための処理を実行する。具体的には、スレーブバッテリ20(S)が選択されている場合には、充電制御部22cはスイッチ接続要求フラグをスレーブバッテリ20(S)に送信する。スレーブバッテリ20(S)は受信したスイッチ接続要求フラグに基づいてバッテリ制御スイッチ24を接続する。これにより、スレーブバッテリ20(S)について第1充電装置70による充電が開始する。一方、マスターバッテリ20(M)が選択されている場合には、充電制御部22cは自身のバッテリ20が備えるバッテリ制御スイッチ24を接続する。
【0071】
その後、充電制御部22cが第1充電装置70に出力開始指令を送信すると、第1充電装置70は電流を出力する。第1充電装置70は、電流出力を開始する前に、端子間電圧に基づいていずれかのバッテリ20のバッテリ制御スイッチ24がオン状態となっているか否かを判断し、バッテリ20のバッテリ制御スイッチ24がオン状態となっている場合に電流出力を開始してもよい。充電中、スレーブバッテリ20(S)は個別状態情報をマスターバッテリ20(M)に送信する。マスターバッテリ20(M)の充電制御部22cは、充電されているバッテリ20の個別状態情報に基づいて充電停止・終了を判断する。すなわち、充電制御部22cは、充電されているバッテリ20の個別状態情報が予め定めた充電停止・終了の条件を満たすか否かを判断する。個別状態情報が予め定めた充電停止・終了の条件を満たす場合、充電制御部22cは充電停止指令を第1充電装置70に送信する。
【0072】
上述したように、
図7に示す第2充電装置80はバッテリ20を別個に充電するように構成されている。この場合、状態情報統合部22bは動作しない。バッテリ20は自己の状態情報(個別状態情報)に基づいて、第2充電装置80との間で充電に係る処理を実行する。具体的には、バッテリ20は個別状態情報に基づいて充電に関する指令(すなわち、上述の充電指令)を第2充電装置80に送信する。
図10は第2充電装置80による充電時にバッテリ20と第2充電装置80との間で送信・受信される情報を説明するための図である。
【0073】
充電制御部22cはバッテリ20と第2充電装置80との接続を検知したとき(バッテリスタンド82のコネクタ83に充電プラグ81が接続されていることを検知したとき)、状態監視部22aで取得された個別状態情報に基づいて充電開始の適否を判断する。すなわち、充電制御部22cは、個別状態情報が予め定めた充電開始の条件を満たすか否かを判断する。例えば、充電制御部22cは、個別状態情報であるバッテリセル21の温度が予め定めた充電開始の温度条件に適合しているか否かを判断する。また、充電制御部22cは、個別状態情報である異常発生情報(例えば、センサや回路要素の異常)として充電に適さないものがあるか否かを判断してもよい。個別状態情報が予め定めた条件を満たす場合に(具体的には、温度が正常であり、センサ等の異常が発生していない場合に)、充電制御部22cは第2充電装置80に、充電指令の1つである充電準備指令を送信する。また、充電制御部22cは、個別状態情報であるバッテリ残量が予め定めた条件に適合しているか否か、例えばバッテリ残量が閾値をよりも低いか否かを判断してもよい。
【0074】
充電制御部22cは、個別状態情報に基づいて第2充電装置80が出力すべき電流値を算出し、この電流値を充電指令の1つとして第2充電装置80に送信してもよい。例えば、充電制御部22cは、個別状態情報の1つであるバッテリセル21の温度に基づいて電流値を算出してもよい。
【0075】
第2充電装置80はバッテリ20から充電準備指令を受信したとき、第2充電装置80が備えるリレーをオン状態にするなどの充電の準備を実行する。その後、第2充電装置80は、バッテリ20にスイッチ接続要求フラグの送信を開始する。バッテリ残量が上述の条件に適合する場合(閾値よりも低い場合)、スイッチ接続要求フラグを受信したバッテリ20(充電制御部22c)は、バッテリ制御スイッチ24を接続する(バッテリ制御スイッチ24をオン状態とする)。充電制御部22cが第2充電装置80に電流出力開始指令を送信すると、第2充電装置80は電流を出力する。これにより、第2充電装置80による充電が開始する。第2充電装置80は、電流出力を開始する前に、端子間電圧に基づいてバッテリ20のバッテリ制御スイッチ24がオン状態となっているか否かを判断し、バッテリ20のバッテリ制御スイッチ24がオン状態となっている場合に電流出力を開始してもよい。
【0076】
充電中、充電制御部22cは、個別状態情報に基づいて充電停止・終了の適否を判断する。すなわち、充電制御部22cは、個別状態情報が予め定めた充電停止・終了の条件を満たすか否かを判断する。例えば、充電制御部22cは、個別状態情報であるバッテリセル21の温度が予め定めた充電停止の温度条件に該当するか否かを判断する。また、充電制御部22cは、個別状態情報であるバッテリ残量が予め定めた充電終了の条件に達したか否かを判断する。個別状態情報が予め定めた充電停止・終了の条件を満たす場合、充電制御部22cは充電停止指令を第2充電装置80に送信する。
【0077】
第2充電装置80はバッテリ20から充電停止指令を受信したのち、電流の出力を停止するとともに、スイッチ遮断要求フラグを送信する。充電制御部22cはスイッチ遮断要求フラグを受信すると、バッテリ制御スイッチ24を遮断する。
【0078】
このように充電制御部22cは、バッテリ20が第2充電装置80に接続されているとき、個別状態情報に基づいて第2充電装置80との間で充電に係る処理を実行する。そのため、第2充電装置80を利用する場合には、複数のバッテリ20を別個に充電することが可能となる。充電制御部22cの処理は上述したものに限定されない。充電制御部22cは個別状態情報の一部又は全部を第2充電装置80に送信してもよい。この場合、第2充電装置80は個別状態情報に基づいて充電の開始・継続・終了の適否を判断してもよい。
【0079】
上述したように、
図8に示す第2充電装置80Aは、第1充電装置70と同様に、複数のバッテリ20が同時に接続可能に構成されている。この場合、第2充電装置80Aにも、上述した役割指定端子が設けられる。その結果、マスター/スレーブ判定部22eは、バッテリ20が第2充電装置80Aに接続されているときに、役割指定信号に基づいて、自身がマスターバッテリ20(M)であるか、或いはスレーブバッテリ20(S)であるかを判断する。そして、第2充電装置80Aによる充電の際にも、充電制御部22cは、バッテリ20が第1充電装置70に接続されている場合と同様の処理を実行してもよい。
【0080】
なお、バッテリ20は、第2充電装置80での特別な処理を要することなく、どのタイプの充電装置に接続されているのか判断するのが好ましい。このような処理の一例として、バッテリ20はいずれかの充電装置との接続を検知したときに、他のバッテリ20を検索する処理を実行する。具体的には、バッテリ20は、いずれかの充電装置との接続を検知したときに、他のバッテリ20に応答を要求する信号を送信する。そして、応答がない状態が所定時間を超えて継続した場合に、バッテリ20は単独で充電装置に接続されている、すなわち第2充電装置80に接続されていると判断する。
【0081】
例えば、役割指定信号がマスターバッテリ20(M)を指定する信号である場合、バッテリ20は、いずれかの充電装置との接続を検知したものの、マスター/スレーブ判定端子23dを通して役割指定信号が入力されない場合、マスターバッテリ20(M)に応答を要求する信号を送信する。そして、応答がない状態が所定時間を超えて継続した場合に、バッテリ20は単独で充電装置に接続されている、すなわち第2充電装置80に接続されていると判断する。各バッテリ20は、マスター/スレーブ判定端子23dを通して役割指定信号が入力され、且つ、他のバッテリ20から応答要求があったときには、マスターバッテリ20(M)として予め定められた信号を応答する。バッテリ20がどのタイプの充電装置に接続されているかの判断は必ずしも上述した例に限られず、適宜変更されてよい。
【0082】
[放電制御部]
放電制御部22dは、バッテリ20がマスターバッテリ20(M)として指定されている場合に、車両制御装置33から受信した放電に係る指令に従ってバッテリ20が有するバッテリ制御スイッチ24を制御する(以下では、放電に係る指令を「放電指令」と称する)。また、放電制御部22dは車両制御装置33から受信した放電指令を他のバッテリ20(すなわち、スレーブバッテリ20(S))に転送する。
【0083】
例えば、放電制御部22dは、車両制御装置33から放電開始指令を受けたときには、バッテリ20が有するバッテリ制御スイッチ24を接続する(バッテリ制御スイッチ24をオン状態とする)。それと同時に、放電制御部22dは放電開始指令をスレーブバッテリ20(S)に転送する。これにより、スレーブバッテリ20(S)においてもバッテリ制御スイッチ24が接続される。その結果、複数のバッテリ20によるモータ駆動装置32への電力供給が可能となる。また、放電制御部22dは、車両制御装置33から放電停止指令を受けたときには、バッテリ20が有するバッテリ制御スイッチ24を遮断する(バッテリ制御スイッチ24をオフ状態とする)。また、放電制御部22dは放電停止指令をスレーブバッテリ20(S)に転送する。これにより、スレーブバッテリ20(S)においてもバッテリ制御スイッチ24が遮断される。その結果、複数のバッテリ20によるモータ駆動装置32への電力供給が停止する。
【0084】
[車両制御装置における処理]
上述した状態情報統合部22bは統合状態情報を車両制御装置33に送信する。車両の走行中、車両制御装置33は統合状態情報に基づいて車両を制御する。例えば、車両制御装置33は、バッテリ残量や、バッテリセル21の温度、バッテリ20の出力電圧、異常発生を表す情報などに基づいて電動モータ31の駆動開始・駆動停止を判断する。ここで、車両制御装置33は、「バッテリ残量」や、「バッテリセル21の温度」、「バッテリ20の出力電圧」としてはマスターバッテリ20(M)から受信する統合状態情報を使用する。車両制御装置33はこれらの情報に基づいて複数のバッテリ20の状態が予め定めた電動モータ31の駆動開始条件に適合しているか否か、複数のバッテリ20の状態が予め定めた電動モータ31の駆動停止条件に該当しているか否かを判断する。
【0085】
また、車両制御装置33は統合状態情報に基づいてインジケータ37を制御する。例えば、インジケータ37がバッテリ残量やバッテリセル21の温度を表示する機能を有する場合には、車両制御装置33は統合状態情報であるバッテリ残量をインジケータ37で表示する。
【0086】
複数のバッテリ20が車体に搭載されているとき、車両制御装置33がスレーブバッテリ20(S)が送信する個別状態情報を利用しないことが求められる。同様に、充電装置70、80Aがスレーブバッテリ20(S)が送信する個別状態情報を利用しないことが求められる。このための処理として、マスターバッテリ20(M)とスレーブバッテリ20(S)との通信に専用のプロトコルが適用されてもよい。例えば、マスターバッテリ20(M)とスレーブバッテリ20(S)は、それらの間で送信・受信する情報(例えば、個別状態情報や、スイッチ接続要求フラグやスイッチ遮断要求フラグ)に予め定めた専用の符号を付加してもよい。車両制御装置33と充電装置70、80Aは、この符号が付加された情報を取得しないように構成されるのが好ましい。このようにマスターバッテリ20(M)とスレーブバッテリ20(S)との通信に専用のプロトコルを適用することにより、個別状態情報の誤った取得を防止するための処理を車両制御装置33と充電装置70、80Aとに設ける必要を低減できる。
【0087】
なお、本発明は以上説明した実施形態に限られず、種々の変更が可能である。以下では、変形例について説明する。これまで説明した箇所と同一箇所には同一符合を付し、その説明を省略する。
【0088】
[充電時の並列接続]
上述したように、第1充電装置70及び/又は第2充電装置80Aによる充電の際、複数のバッテリ20は並列に接続されてもよい。並列接続によると、複数のバッテリ20を選択的に充電することが可能となる。その結果、例えば複数のバッテリ20の間でバッテリ残量に差がある場合、バッテリ残量の少ないバッテリ20の充電を最初に開始し、その後、バッテリ残量の差が低減・解消されたときに他のバッテリ20の充電を開始することが可能となる。
【0089】
図11A及び
図11Bは自動二輪車1の変形例を説明するためのブロック図である。これらの図では、自動二輪車1は充電時に複数のバッテリ20が並列に接続できるように構成されている。
図11Aは第1充電装置70と複数のバッテリ20との接続状態の変形例を示し、
図11Bは走行時の複数のバッテリ20の接続状態を示している。
【0090】
図11Aでは、複数のバッテリ20(より具体的には2つのバッテリ20)は、第1充電装置70による充電時に並列に接続されている。すなわち、各バッテリ20の正極は第1充電装置70の電力ラインP7aに接続され、各バッテリ20の負極は第1充電装置70の電力ラインP7bに接続されている。
図11Aの例では、自動二輪車1はインレット135を有している。インレット135は、上述したインレット35とは異なり、複数のバッテリ20の正極にそれぞれ接続している複数の充電端子35b、35fと、複数のバッテリ20の負極にそれぞれ接続している複数の充電端子35e、35cとを有している。第1充電装置70の充電プラグ71は充電端子35b、35e、35f、35cにそれぞれ接続する複数の端子を有し、複数の充電端子35b、35fの双方は電力ラインP7aに接続し、複数の充電端子35e、35cの双方は電力ラインP7bに接続している。
【0091】
図11Aの例においても、複数のバッテリ20のうち1つはマスターバッテリ20(M)として機能し、残りのバッテリ20はスレーブバッテリ20(S)として機能する。複数のバッテリ20が並列に接続されている場合、マスターバッテリ20(M)のコントローラ22Aとスレーブバッテリ20(S)のコントローラ22Aは、第1充電装置70による充電時に、個別状態情報に基づく上述した処理を実行する。
【0092】
すなわち、マスターバッテリ20(M)は、マスターバッテリ20(M)の個別状態情報と、スレーブバッテリ20(S)の個別状態情報とに基づいて、選択充電を実行するか否かを判断する。「選択充電」とは、複数のバッテリ20のうちいずれかを選択し、選択したバッテリ20だけ充電することを意味する。選択充電を実行するか否かの判断は、例えばマスターバッテリ20(M)が第1充電装置70の接続を検知したときに、実行される。
【0093】
マスターバッテリ20(M)は、例えばマスターバッテリ20(M)のバッテリ残量とスレーブバッテリ20(S)のバッテリ残量の差に基づいて選択充電を実行するか否かを判断する。例えばバッテリ残量の差が予め定めた閾値より大きい場合に、マスターバッテリ20(M)は選択充電を実行すると判断し、バッテリ残量の少ないバッテリ20の充電を開始する。具体的には、マスターバッテリ20(M)は、選択充電の対象となるバッテリ20のバッテリ制御スイッチ24を接続する。マスターバッテリ20(M)が選択充電の対象である場合には、マスターバッテリ20(M)のバッテリ制御スイッチ24を接続し、スレーブバッテリ20(S)が選択充電の対象である場合には、スレーブバッテリ20(S)にスイッチ接続要求フラグを送信する。また、マスターバッテリ20(M)は第1充電装置70に電流出力開始指令を送信する。
【0094】
選択充電を開始した後、マスターバッテリ20(M)は選択充電の対象となったバッテリ20の個別状態情報に基づいて、選択充電を終了するか否か判断してもよい。上の例を参照すると、選択充電の対象となったバッテリ20のバッテリ残量と他のバッテリ20のバッテリ残量との差が予め定めた閾値より小さくなった場合に、マスターバッテリ20(M)は選択充電を終了すると判断してもよい。このとき、マスターバッテリ20(M)は選択充電に続けて、他のバッテリ20の充電を開始してもよい。
【0095】
マスターバッテリ20(M)は、個別状態情報として異常発生を表す情報を利用してもよい。すなわち、マスターバッテリ20(M)は、マスターバッテリ20(M)の異常発生を表す情報とスレーブバッテリ20(S)の異常発生を表す情報とに基づいて、充電を実行するか否かを判断してもよい。この判断は、例えば、バッテリ残量に基づいて選択充電を行うか否かの判断を行う前に実行される。一例では、いずれかのバッテリ20で異常が生じている場合には、マスターバッテリ20(M)は、全てのバッテリ20について充電を控える。他の例としては、異常の生じているバッテリ20と異常が生じていないバッテリ20とがある場合、マスターバッテリ20(M)は異常の生じていないバッテリ20についてのみ充電を実行すると判断してもよい。
【0096】
図11Aに示すように充電時に複数のバッテリ20が並列に接続される一方で、車両の走行時、すなわち複数のバッテリ20がモータ駆動装置32に電力を供給するときには、複数のバッテリ20は直列に接続されてもよい。
図11Bの例では、インレット135にインレットカバー136が取り付けられている。インレットカバー136には複数のバッテリ20を直列に接続するための配線が形成されている。具体的には、インレットカバー136には、上述のインレットカバー36の端子や配線に加えて、インレット35の端子35eと端子135fとを接続する端子及び配線が設けられている。このようなインレットカバー136を利用することにより、スイッチ(パワーFETやリレー)を利用することなく、充電時に複数のバッテリ20の並列に接続し、走行時に複数のバッテリ20を直列に接続できる。なお、スイッチ(パワーFETやリレー)を利用して、並列接続と直列接続が切り替えられてもよい。
【0097】
なお、ここでは第1充電装置70を例にして、並列接続された複数のバッテリ20を充電する形態について説明した。しかしながら、第2充電装置80Aで複数のバッテリ20を充電する場合にも、複数のバッテリ20は並列に接続されてよい。この場合においても、マスターバッテリ20(M)は選択充電を実行するか否かの判断を個別状態情報に基づいて実行してもよい。
【0098】
[充電アダプタ]
複数のバッテリ20を充電する場合に、複数のバッテリ20の並列接続と直列接続との選択を可能とする充電アダプタが利用されてもよい。こうすることにより、充電にかけることのできる時間に応じて、並列接続と直列接続とを選択できる。
図12A及び
図12Bはこのような充電アダプタの例を説明するための図である。
図12Aは複数のバッテリ20を直列に接続する充電アダプタ141が示され、
図12Bは複数のバッテリ20を並列に接続する充電アダプタ142が示されている。これらの図は、第1充電装置70でバッテリ20を充電する場合を例示している。
【0099】
上述したように、インレット135は複数のバッテリ20の正極にそれぞれ接続している複数の充電端子35b、35fと、複数のバッテリ20の負極にそれぞれ接続している複数の充電端子35e、35cとを有している。
図12Aに示す充電アダプタ141と
図12Bに示す充電アダプタ142のそれぞれはインレット135に脱着可能となっている。また、第1充電装置70の充電プラグ71は充電アダプタ141、142に脱着可能に構成されている。
【0100】
図12Aに示す充電アダプタ141は、インレット135の端子35eと充電端子35fとを繋ぐ端子及び配線を有している。これにより、複数のバッテリ20は直列に接続する。充電アダプタ141はインレット135の充電端子35bと第1充電装置70の電力ラインP7aとを繋ぐ端子及び配線を有している。さらに、充電アダプタ141はインレット135の充電端子35cと第1充電装置70の電力ラインP7bとを繋ぐ配線を有している。充電アダプタ141は、インレット135の通信端子35sと第1充電装置70の通信ラインC7とを接続する端子及び配線を有している。一方、
図12Bに示す充電アダプタ142は、インレット135の端子35bと端子35fの双方を、第1充電装置70の電力ラインP7aに接続する端子及び配線を有している。また、充電アダプタ142は、インレット135の端子35eと端子35cの双方を、第1充電装置70の電力ラインP7bに接続する端子及び配線を有している。これにより、複数のバッテリ20は並列に接続している。充電アダプタ142は、インレット135の通信端子35sと第1充電装置70の通信ラインC7とを接続する端子及び配線を有している。
【0101】
上述した充電アダプタ141、142は第2充電装置80Aによる充電に際して使用されてもよい。
図13A及び
図13Bはこのような充電アダプタ141、142及び第2充電装置80Aの例を示す図である。
図13Aでは複数のバッテリ20が充電アダプタ141によって直列に接続され、
図13Bでは複数のバッテリ20が充電アダプタ142によって並列に接続されている。
【0102】
なお、これらの図に示す第2充電装置80Aのバッテリスタンド82Aはコネクタ部183Aを有している。コネクタ部183Aは、車体に設けられているインレット135と同様に、複数のバッテリ20の正極にそれぞれ接続している複数の充電端子83a、83dと、複数のバッテリ20の負極にそれぞれ接続している複数の充電端子83c、83bとを有している。
図13Aに示す充電アダプタ141と
図13Bに示す充電アダプタ142のそれぞれはコネクタ部183Aに脱着可能となっている。また、第2充電装置80Aの充電プラグ81Aは充電アダプタ141、142に脱着可能に構成されている。
【0103】
図13Aに示す充電アダプタ141は、コネクタ部183Aの端子83cと端子83dとを繋ぐ端子及び配線を有している。これにより、複数のバッテリ20は直列に接続する。充電アダプタ141はコネクタ部183Aの充電端子83aと第2充電装置80Aの電力ラインP8aとを繋ぐ端子及び配線を有している。さらに、充電アダプタ141はコネクタ部183Aの充電端子83bと第2充電装置80の電力ラインP8bとを繋ぐ配線を有している。充電アダプタ141は、コネクタ部183Aの通信端子83sと第2充電装置80Aの通信ラインC8とを接続する端子及び配線を有している。一方、
図13Bの充電アダプタ142は、コネクタ部183Aの端子83aと端子35dの双方を、第2充電装置80Aの電力ラインP8aに接続する端子及び配線を有している。また、充電アダプタ142は、コネクタ部183Aの端子83cと端子83bの双方を、第2充電装置80Aの電力ラインP8bに接続する端子及び配線を有している。これにより、複数のバッテリ20は並列に接続している。充電アダプタ142は、コネクタ部183Aの通信端子83sと第2充電装置80の通信ラインC8とを接続する端子及び配線を有している。なお、
図13Bに示すように、第2充電装置80Aで並列接続用の充電アダプタ142を使用する場合、一部のバッテリ20だけをバッテリスタンド82Aに配置した状態で当該一部のバッテリ20が充電されてもよい。
【0104】
[走行時の並列接続]
複数のバッテリ20は走行時においても並列に接続されてもよい。このような接続形態によると航続距離の長い自動二輪車を実現できる。
図14は並列に接続されている複数のバッテリ20を有している自動二輪車の構成を示すブロック図である。この図に示す例では、インレット135にはインレットカバー236が取り付けられている。インレットカバー236は、複数のバッテリ20を並列に接続するための配線を有している。詳細には、インレットカバー236は、インレット135に設けられている充電端子35a、35b、35cを接続する配線236aと、充電端子35e、35c、35dを接続する配線236bとを有している。
【0105】
[一部のバッテリの放電・充電]
車両の走行時、複数のバッテリ20は選択的にモータ駆動装置32と接続されてもよい。すなわち、複数のバッテリ20のうち一部だけがモータ駆動装置32と接続されてもよい。
図15は複数のバッテリ20のこのような接続形態を有している自動二輪車の構成を示すブロック図である。この図に示す例では、インレット135にはインレットカバー336が取り付けられている。インレットカバー336は、複数のバッテリ20のうち一部だけをモータ駆動装置32に接続する配線を有している。詳細には、インレットカバー336は、インレット135に設けられている充電端子35a、35fを接続する配線336aと、充電端子35c、35dを接続する配線336bとを有している。これにより、2つのバッテリ20のうち一方だけがモータ駆動装置32と接続され、他方のバッテリ20はモータ駆動装置32から切り離されている。一方のバッテリ20のバッテリ残量が閾値を下回った場合には、インレットカバー336の向きを反転させることで、他方のバッテリ20とモータ駆動装置32とを接続できる。すなわち、インレットカバー336の向きを反転させることで、インレット135に設けられている充電端子35a、35bを接続し、充電端子35e、35dを接続できる。マスターバッテリ20(M)がモータ駆動装置32から切り離され、スレーブバッテリ20(S)だけがモータ駆動装置32と接続する場合であっても、車両制御装置33との通信はマスターバッテリ20(M)が中継してもよい。
【0106】
第1充電装置70によるバッテリ20の充電時、複数のバッテリ20は選択的に第1充電装置70に接続されてもよい。すなわち、複数のバッテリ20のうち一部だけが充電されてもよい。
図16は複数のバッテリ20のこのような接続形態を有している自動二輪車の構成を示すブロック図である。この図に示す例では、インレット135には充電アダプタ143が取り付けられている。充電アダプタ143は複数のバッテリ20のうち一部だけを第1充電装置70に接続する配線を有している。詳細には、充電アダプタ143は、インレット135に設けられている充電端子35fと、充電プラグ71に設けられている電力ラインP7aの端子とを接続する配線143aと、インレット135に設けられている充電端子35cと、充電プラグ71に設けられている電力ラインP7bの端子とを接続する配線143bとを有している。これにより、2つのバッテリ20のうち一方だけが第1充電装置70と接続され、他方のバッテリ20は第1充電装置70から切り離されている。一方のバッテリ20の充電が終了したときには、充電アダプタ143の向きを反転させることで、他方のバッテリ20と第1充電装置70とを接続できる。すなわち、充電アダプタ143の向きを反転させることで、インレット135に設けられている充電端子35bと、充電プラグ71に設けられている電力ラインP7aの端子とを接続でき、また、インレット135に設けられている充電端子35eと、充電プラグ71に設けられている電力ラインP7bの端子とを接続できる。マスターバッテリ20(M)が第1充電装置70から切り離され、スレーブバッテリ20(S)だけが第1充電装置70と接続する場合であっても、第1充電装置70とスレーブバッテリ20(S)との通信はマスターバッテリ20(M)が中継してもよい。このような充電アダプタ143は第2充電装置80Aによる充電において使用されてもよい。すなわち、
図13Aの例において、第2充電装置80Aの充電プラグ81Aは、充電アダプタ141に替えて、充電アダプタ143を通してバッテリスタンド82Aのコネクタ部183Aに接続してもよい。