(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記反応器(1)が少なくとも2つの圧力を保持しない第一の空洞部(4)、および第一の空洞部(4)ごとに加圧されたガス状の水素を制御して供給するために適した少なくとも1つの供給装置(5、5a)を含み、前記第一の空洞部(4)は、生じる生成物ガス混合物P1を少なくとも一時的に収容するために適していることを特徴とする、請求項1に記載の反応器。
前記少なくとも1つの第二の空洞部(8)が、加圧されたガス状の水素を制御して供給するために適した少なくとも1つの供給装置(9、9a)を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の反応器。
前記反応器(1)がさらに、1つまたはそれより多くの圧力を保持しない据付装置(7)を含み、前記装置(7)は、下方の反応器領域(2)において生じた生成物ガス混合物Puの総量をガス収集領域(6)へと連続的に輸送するために適しており、且つ、触媒が前記据付装置(7)中に存在する場合には、生成物ガス混合物Pu中にまだ存在する硫黄と水素とを硫化水素へと反応させるために適していることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の反応器。
前記反応器が内壁(11)を含み、反応器の稼働の間、反応器外壁と内壁(11)との間の空間が関与してエアリフトポンプの原理による硫黄溶融物の連続的な循環が可能になることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の反応器。
【技術分野】
【0001】
本発明は、高められた圧力且つ高められた温度での元素の硫黄および水素からの硫化水素の合成のための反応器および方法に関する。本発明はさらに、高い収率および低いH
2S
x含有率で硫化水素を製造するための反応器の使用に関する。
【0002】
硫化水素は、例えばメチルメルカプタン、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、スルホン酸、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホンの合成のための、および多数のスルフィド化反応のための、工業的に重要な中間生成物である。現在、それは主に、鉱油および天然ガスの処理から、および硫黄と水素との反応によって得られている。
【0003】
硫化水素は、元素から、典型的にはガス状の水素を硫黄溶融物中に導入することによって、硫黄を気相に変換し、且つそれをそこで水素との発熱反応において硫化水素に変換することによって、製造される(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第6版、1998、Wiley−VCH)。
【0004】
十分な反応速度および高い硫化水素収率を達成するために、反応は標準条件に対して高められた温度で行われなければならない。意図されているさらなる用途によっては、>5barの圧力で製造された硫化水素を準備することが必要であることがある。この場合、必要とされる圧力で直接的に硫化水素の合成を実施することが有利であることがある。これは、十分な硫黄が気相に変換されることを確実にするために、さらなる温度上昇を必要とする。しかしながら、硫化水素の合成を温度>450℃で実施することは、それらの条件下で硫化水素が反応器の材料に腐食損傷を引き起こすという欠点を有する。従って、高い変換速度を可能にし、且つ同時に少なくとも反応器の圧力を保持する部品における損傷を回避する反応器を構成する必要がある。
【0005】
硫化水素収率を高めるための1つの手段は、硫黄溶融物中での水素ガスの滞留時間を長くすることである。これは、例えばUS2876070号およびDE102008040544号A1において、硫黄溶融物内に配置された中間トレイまたはカップの形状のガス収集領域を有する反応器を使用することによって行われる。しかしながら、この種の構成は、水素変換率>96%しか達成しない。ガス収集領域の数を増加させることで変換率を高めることができるかもしれないが、これは、より大きな反応器容積が要求されるという欠点を有しかねない。
【0006】
硫黄溶融物中での水素ガスの滞留時間を長くする原理は、DE102008040544号A1において、硫黄溶融物中で不規則セラミック充填物の床を有する反応器によっても実施される。この反応器は、変換率>99%を達成する。しかしながら、この反応器の設計は、一定の水素供給を必要とし、なぜなら、水素供給の低下または遮断に際して、反応ガスが完全に不規則充填物床の領域から抜けることがあり、且つ、該不規則充填物床が液体の硫黄で満たされかねないからである。従って、そのような反応器は、非常に狭い負荷範囲内でしか稼働できない。
【0007】
反応速度を高めるさらなる手段は、触媒、例えばコバルト、ニッケルまたはモリブデンの酸化物または硫化物の使用である。この手段は、例えばUS2863725号およびEP2125612号B1において、硫黄溶融物中に浸漬し且つガス状の反応物が流通する触媒充填管を有する反応器の形で開示されている。しかしながら、それらの反応器の欠点は、それらが<5barの圧力で稼働され、硫黄と水素との反応が主に触媒性のものであるという事実の結果、多量の触媒が必要とされることであると判明している。
【0008】
従って、本発明の課題は、硫黄および水素から硫化水素を製造するための反応器であって、水素の高い変換率および生成される硫化水素の高い純度が確実になる前記反応器を提供することである。前記反応器は、圧力>5barでの硫化水素の製造も可能にし、非常に小型の設計を有し、且つ、非常に広い負荷範囲を確実にするべきである。特に、一体化された製造システムにおいては、一体化システムによってその時に必要とはされないが柔軟性がないことに起因して過剰量を配分しなければならないよりは、様々な負荷に対して柔軟に反応できるような非常に広い負荷範囲が有利である。最後に、コスト、維持、および安全性の観点から、反応器は、意図されている稼働条件下で腐食損傷傾向が少なくなければならない。硫黄溶融物を準備するために且つ反応熱の放散のために必要とされるエネルギーに関して、特に効率的な反応器の設計が追加的に望まれている。さらに、必要とされる触媒量の最小化および触媒の耐用寿命の最大化が望ましい。
【0009】
この課題を解決するために、本発明は、標準条件に対して高められた温度且つ高められた圧力で、硫黄と水素との発熱反応によって、硫化水素と硫黄とを含む最終的な生成物ガス混合物P
finalが生じる、硫化水素の連続的な製造のために適した反応器であって、
・ 硫黄溶融物を収容するために適した下方の反応器領域、および
・ 1つまたはそれより多くの圧力を保持しない第一の空洞部、および第一の空洞部ごとに、加圧されたガス状の水素を制御して供給するために適した少なくとも1つの供給装置、ここで、前記空洞部は発熱反応において生じ且つ硫化水素、硫黄および水素を含む生成物ガス混合物P
1を少なくとも一時的に収容するために適している、および
・ 1つまたはそれより多くの圧力を保持しない第二の空洞部、ここで、前記第二の空洞部は第一の空洞部の上に配置され、且つ、第一の空洞部内で生じた生成物ガス混合物P
1を少なくとも一時的に収容するために、且つ、硫黄と水素との発熱反応によってさらなる硫化水素が生じ、生成物ガス混合物P
2が生じるために適している、
・ 標準条件に対して高められた温度且つ高められた圧力で生成物ガス混合物P
finalを収容するために適したガス収集領域
を含む前記反応器を提供する。
【0010】
前記反応器は、少なくとも1つの第二の空洞部が第一の空洞部の各々よりも大きな容積を有すること、および/または少なくとも1つの第二の空洞部が構造上の理由により第一の空洞部の各々よりも低い熱除去を有することを特徴とする。
【0011】
本発明による反応器の設計は、1つまたはそれより多くの第二の空洞部内での水素含有ガス混合物の滞留時間が延長され、且つ、熱損失が低減されるという利点を有する。これは、1つまたはそれより多くの第二の空洞部内での水素変換率を高める。これは、第二の空洞部内の水素濃度が第一の空洞部と比べて低いことによって引き起こされる第二の空洞部内での反応速度の低下を補償する。
【0012】
それらの手段は、第二の空洞部を用いて水素変換率が80%より高く、またはさらには90%より高くまで上昇するという効果を達成することができる。それによって第一の空洞部および第二の空洞部の領域において高い水素変換率が達成されることにより、硫黄溶融物より上のガス空間内で反応が進行し、硫黄溶融物より上のガス空間の過熱をもたらすという作用が特に回避される。
【0013】
該反応器は外側の、圧力を保持する容器を含む。それは好ましくは、2つの端部の各々でフードによって閉じられた直立シリンダーの形状を有する。本発明の反応器は、好ましくは0.5〜200m
3の容積を有する。本発明による反応器は、液体の硫黄を供給するために適した1つまたはそれより多くの供給装置も有する。
【0014】
水素を導入するための供給装置は、ガス状の反応物質が反応器をその長軸方向に沿って流通するように、好ましくは反応器の下端にある。
【0015】
硫黄溶融物中に導入された水素は、ガス状の硫黄で飽和され、且つ、第一の空洞部に収容される。第一の空洞部のガス空間内で水素と硫黄とが発熱反応において硫化水素へと反応して、水素、硫黄および硫化水素を含む生成物ガス混合物P
1が生じる。第一の空洞を離れた生成物ガス混合物P
1は、第二の空洞部に少なくとも部分的に収容され、且つ、そこで反応してさらなる硫化水素が生じ、生成物ガス混合物P
2が生じる。空洞部は、空洞部において放出される反応熱が硫黄溶融物中に放散されるように、好ましくは硫黄溶融物によって取り囲まれている。
【0016】
この発明に関する「第一の空洞部」とは、当該空洞部内に収集されたガス混合物が事前に他の空洞部をまだ流通していない場合の空洞部に関する。
【0017】
この発明に関して「第二の空洞部」とは、当該空洞部内に収集されたガス混合物の少なくとも一部が直前に少なくとも1つの第一の空洞部を流通した場合の空洞部に関する。
【0018】
本発明に関する「空洞部」とは、ガス容積を収容し且つ保持することができる任意の構造的な装置を意味すると理解される。空洞部は、例えば、フード形の据付装置の形態を取ることができ、その下に特定のガス容積が集まり、且つ下向きに開いているフード形の外縁上を、より高い反応領域へと流れることができる。
【0019】
さらなる例示的な実施態様において、空洞部を種々の水準で中空体または不規則充填物の床によって形成してよい。例えば、それらの中空体または不規則充填物はふるいまたはふるい箱上の床の形態を取ってよい。適した中空体または不規則充填物は、例えば直線または曲がった中空円筒、中空球、変形中空球、ベル型の物体、鞍型の物体、ねじ型の物体、またはギザギザおよび/または開口部を備えた他の三次元物体である。ガスが中空体の穴または不規則充填物に浸透することを可能にするために、中空体および不規則充填物は好ましくは、それらの外壁にオリフィスを有する、且つ/または多孔質材料から製造される。本発明による中空体および不規則充填物の床は、好ましくは有用な多孔度(開放多孔度)Φ
openが0.32より高く、より好ましくは0.40より高く、最も好ましくは0.6より高い。
【0020】
好ましい実施態様において、空洞部は、1つまたはそれより多くのオリフィスを有する水平の中間トレイで構成され、前記オリフィスを通ってガスがより高い反応器領域へと流れ込むことができる。オリフィスの端部に沿って、中間トレイは垂直に下向きに走るせきを有し、前記のせきが特定のガス容積を空洞部内に保持する。
図3は、本発明において有用な空洞部のいくつかの例示的な実施態様を示す。
【0021】
フード型の据付装置の形態、または上記の水平な中間トレイの形態での空洞部の使用は、中空体または不規則充填物の床の形態での空洞部の使用のために一般に好ましい。中空体または不規則充填物の欠点は、特定の条件下での反応器の長期にわたる稼働時間の間に反応の副生成物の堆積が生じることがあり、それが中空体または不規則充填物を閉塞しかねないことであり得る。フード型の据付装置の形態、または水平の中間トレイの形態での空洞部の使用は、あり得るこの欠点を回避するために適しており、従って、反応器の耐用寿命を延ばすことに寄与することができる。さらには、この空洞部の設計は、ガス状の反応物が空洞部内に滞留する時間の調整を容易にし、なぜなら、パラメータ、例えば空洞部容積の高さ対幅の比などがより容易に計算され且つ変更されるからである。
【0022】
この空洞部の設計のさらなる利点は、水素供給が減少した場合、反応ガス自体が完全には空洞部から脱け出さず、且つ、水素の供給の減少が滞留時間の延長をもたらすことである。この滞留時間の延長は、より少ない水素供給による反応温度の低下を補償し、ひいては定常的な高い変換率を可能にするために適している。従って、フード型の据付装置の形態または中間トレイの形態での空洞部は、反応器の受け容れ可能な負荷範囲を著しく高める。
【0023】
従って、反応器の負荷範囲は、0〜4000m
3(STP)(H
2)/(m
3(空洞部の容積)・h)の範囲内であることができる。空洞部の容積は、各々の場合、ガスが流通する空洞部に関する。
【0024】
構造上の理由による空洞部からのより低い熱除去は、例えば熱伝導性がより低い材料の使用を通じて達成することができる。当該空洞部はこの材料から製造されていてもよいし、その表面の少なくとも一部がこの材料で裏張りされていてもよい。この裏張りが、追加的に熱輸送を低減するガス溝を形成することができる。個々の空洞部からのより少ない熱除去は、選択的に、より大きな材料厚を有する材料を使用することによって達成することもできる。
【0025】
ガス溝が断熱材として使用される場合、空洞部をアルミニウムまたはアルミニウム合金で裏張りして空洞部の材料の防食性を高めることができる。
【0026】
さらに好ましい実施態様において、個々の空洞部からのより少ない熱除去は、熱除去を妨害する空洞部の幾何学的構造を使用することによって達成される。例えば、空洞部の表面積対空洞部の容積の比をより低くすることによって熱除去を低減することができる。
【0027】
好ましい実施態様において、第一の空洞部は表面対容積の比1.5〜30m
-1、好ましくは3〜9m
-1、より好ましくは4〜6m
-1、および/または高さ対幅の比0.02〜5、好ましくは0.05〜1、より好ましくは0.08〜0.12、および/またはせきの長さ対スループットの比0.1〜10m*h/t
H2S、好ましくは0.2〜1.8m*h/t
H2S、より好ましくは1.0〜1.2m*h/t
H2Sを有する。さらに好ましい実施態様において、第二の空洞部の少なくとも1つは表面対容積の比1.5〜30m
-1、好ましくは2.8〜9m
-1、より好ましくは3〜5m
-1、および/または高さ対幅の比0.02〜5、好ましくは0.05〜2、より好ましくは0.1〜1、および/またはせきの長さ対スループットの比0.1〜10m*h/t
H2S、好ましくは0.15〜1.8m*h/t
H2S、より好ましくは0.2〜1.1m*h/t
H2Sを有する。
【0028】
好ましい実施態様において、反応器は2つまたはそれより多くの第一の空洞部を含む。この場合、水素供給装置を、第一の空洞部が独立して水素を供給されることができるように設計することができる。従って、個々の空洞部内に供給される硫黄および水素の量を、各々の第一の空洞部について別個に設定できる。これは例えば、1つまたはそれより多くの第一の空洞部への水素の供給を遮断することによって、硫化水素生成の減少を可能にする。第一の空洞部内で残存する反応は、一定の水素濃度で、ひいては一定の反応条件下で継続することができる。選択的に、導入される水素の一定の総量を用いて、水素負荷をいくつかの空洞部の間で分布させるか、または個々の空洞部内に集中させて、制御された方式で第一の空洞部内の反応条件へ影響を及ぼすことができる。
【0029】
選択的な実施態様において、水素を導入するための供給装置は、硫黄で予め飽和されていない第一空洞部のガス空間内に水素を直接的に導入できるように設計されている。反応器を、それが第一の空洞部ごとに複数の供給装置を有し、そのいくつかが水素を硫黄溶融物中に導入し、その他が水素を当該空洞部のガス空間内に直接的に導入するように構成してよい。この構成方式により、相対的な水素濃度、即ち、第一空洞部内での水素および硫黄反応物の割合を制御することが可能になる。
【0030】
さらなる実施態様において、1つまたはそれより多くの第二の空洞部も、加圧されたガス状の水素を制御して供給するために適した少なくとも1つの供給装置を含むことができる。このように、ガス状の水素を第一の空洞部だけでなく当該第二の空洞部にも導入して、例えばP
2中での水素濃度を高め、ひいては当該第二の空洞部での反応速度を高めることができる。供給装置を、第一の空洞部の場合と同様に、水素を第二の空洞部の下の硫黄溶融物内または直接的に第二の空洞部のガス空間内のいずれかに導入できるように構成することができる。
【0031】
空洞部のガス空間内への水素の直接的な導入は、より多量の水素および硫黄がより高い空洞部に入るという結果にもなる。
【0032】
特定の実施態様において、反応器はさらに、第二の空洞部の上に配置された1つまたはそれより多くの、圧力を保持しない第三の空洞部および随意にさらなる相応に適した空洞部を含むことができる。
【0033】
この発明に関して「第三(第四、第五等)の空洞部」とは、当該空洞部内に収集されたガス混合物の少なくとも一部が直前に少なくとも1つの第二(第三、第四等)の空洞部を流通した場合の空洞部に関する。
【0034】
第三およびそれより上の空洞部内での水素の変換率を高めるために、第二の空洞部の場合と同様に、水素含有ガス混合物の滞留時間を延長するか、または当該空洞部の熱損失を最小化することができる。このために、少なくとも1つの第三以上の空洞部が第一の空洞部の各々よりも大きな容積を有するように、且つ/または少なくとも1つの第三以上の空洞部が構造上の理由により第一の空洞部の各々よりも低い熱除去を有するように、反応器を設計することができる。このことは、上述の構成手段によって達成することができる。
【0035】
反応器の稼働の間、生成物ガス混合物P
uは、硫黄溶融物上に集まり、且つ、そこから1つまたはそれより多くの圧力を保持しない据付装置を通過して反応器のガス収集領域に入る。反応器の好ましい実施態様において、ガス収集領域は、下方の反応器領域の上に配置される。選択的な実施態様において、ガス収集領域は、例えば、下方の反応器領域より下、下方の反応器領域内、または下方の反応器領域の側部に配置されてもよい。
【0036】
好ましい実施態様において、前記反応器はさらに、1つまたはそれより多くの圧力を保持しない据付装置を含み、前記装置は、下方の反応器領域において生じた生成物ガス混合物P
uの総量をガス収集領域へと連続的に輸送するために適しており、且つ、触媒が前記据付装置内に存在する場合には、生成物ガス混合物P
u中にまだ存在する硫黄と水素とを硫化水素へと反応させるために適している。
【0037】
1つまたはそれより多くの据付装置は、好ましくはU字型の管の形態を取る。反応器は、生成物ガス混合物を輸送するための複数の同一または同様に構成された管を含むことができる。U字型の管は、典型的には反応器内で水平に、その2つの端部の各々が上を向くように配置される。ガス収集領域が下方の反応器領域より上に配置される場合、管の端部の各々がガス収集領域中に突き出す一方で管のU字型の部分が下方の反応器領域内にあるように、該管を、下方の反応器領域をガス収集領域から分割する中間トレイに接続することができる。個々の管の肢は、短い方の足の端部が下方の反応器領域内にあり且つ長い方の足の端部がガス収集領域に突き出すように、異なる長さであってもよい。
【0038】
反応器の選択的な実施態様において、1つまたはそれより多くの据付装置は、直線状の垂直な管の形態をとる。下方の反応器領域が硫黄溶融物を含有する場合、直線状の管は、好ましくは、硫黄溶融物中に浸漬し、且つ硫黄溶融物の上のガス空間を下方の反応器領域内またはその下に配置されたガス収集領域につなぐように配置される。
【0039】
該管は、好ましくは20〜3000mm、好ましくは60〜150mm、より好ましくは80〜120mmの直径を有する。例えば管の側壁内、または等しくない長さの肢を有するU字型の管の場合は短い方の肢の端部に備えられていてよいオリフィスを通じて、生成物ガス混合物P
uは下方の反応器領域から管に入る。液体の硫黄が管内に入ることを防ぐために、オリフィスは硫黄溶融物の界面上、好ましくは0.1〜3m、好ましくは0.4〜1.4mの距離のところに配置される。生成物ガス混合物は、管に沿って流れ、且つ、例えば管の端部に備え付けられたオリフィスを通じてガス収集領域に入る。
【0040】
1つまたはそれより多くの据付装置は好ましくは、生成物ガスP
u中に存在する水素と硫黄とをさらに硫化水素へと変換するための不均一触媒を含有する。典型的には、コバルト含有触媒およびモリブデン含有触媒が使用される。これは好ましくは硫黄耐性の水素化触媒であり、好ましくは担体、例えばシリカ、アルミナ、ジルコニアまたはチタニアから構成され、且つ、1つまたはそれより多くの活性な金属であるモリブデン、ニッケル、タングステン、鉄、バナジウム、コバルト、硫黄、セレン、リン、ヒ素、アンチモンおよびビスマスを含む。タブレット型の、硫酸塩を有する、または硫酸塩を有さない、CoO、MoO
3、およびAl
2O
3で構成される混合化合物が特に好ましい。触媒は好ましくは固定床の形態で配置される。この場合、不均一触媒は、ペレット、タブレット、または類似の成形体の形態を取る。しかしながら、他の設計、例えばハニカムまたは流動床も可能である。触媒は据付装置内で不規則充填物、モノリス、またはニットの上の被覆物として存在することもできる。
【0041】
据付装置内に配置される触媒の量は、変換されるべき残留水素の量、据付装置の寸法、触媒の種類および場合によりさらなる要因に依存する。触媒床の場合、供給される水素の量に依存して、使用される触媒の量は水素負荷が4000m
3(STP)(H
2)/(m
3(触媒床容積)・h)の値を上回らないようなものであるべきである。
【0042】
さらには、反応容器内の1つまたはそれより多くの部位にさらなる触媒が備えられていてもよい。この場合、触媒は好ましくは、それが液体の硫黄と接触しないように配置される。この触媒は、ペレット床の形態、液体硫黄中に懸濁された粉末の形態、または不規則充填物、モノリスまたはニット上の被覆物の形態であってよい。さらなる触媒が使用される場合、この触媒は空洞部としてはたらく内部構造物内に備えられていてよい。さらなる実施態様において、この触媒は液体硫黄および全ての空洞部の上に備えられていてよい。
【0043】
本発明の好ましい実施態様において、下方の反応器領域からの生成物ガス混合物P
uをガス収集領域に輸送するための据付装置の1つ、1より多く、または全ては、構造の観点において、下方の反応器領域が硫黄溶融物で十分に満たされた後、それらが硫黄溶融物と熱的に接触するように、据付装置が触媒を含有する場合には硫黄溶融物への熱の輸送によって触媒が冷却されるように配置される。上述のU字型または直線状の管の場合、それらは好ましくは、触媒で満たされた管の領域において外側の殻の領域が、硫黄溶融物によって、20%より多くの程度まで、好ましくは50%より多くの程度まで、より好ましくは75%より多くの程度まで取り囲まれる。
【0044】
反応器内での本質的に均質な温度分布を確実にするために、該反応器は好ましくは内壁を含み、反応器の稼働の間、反応器外壁と内壁との間の空間が関与してエアリフトポンプの原理による硫黄溶融物の連続的な循環が可能になる。内壁によって取り囲まれた反応器領域内の底部からの上向きの水素の導入によって運ばれる硫黄はここを流れ、且つ、反応器外壁と内壁との間の空間内の底部へと流れる。下向きに流れる硫黄を、反応器外壁を介した熱の除去によって冷却することができる。好ましい実施態様において、下向きに流れる硫黄の冷却は、例えば反応器外壁上または反応器外壁と内壁との間の空間内に備えられる熱交換器によって補助される。
【0045】
好ましい実施態様において、反応器は、生成物ガス混合物P
final中に存在する硫黄の凝縮のために適した還流凝縮器を含む。還流凝縮器は好ましくはガス収集領域より上に配置される。還流凝縮器は、生成物ガス混合物P
finalをガス収集領域から還流凝縮器に輸送するために適した投入ラインを介してガス収集領域に接続されており、且つ、凝縮された硫黄を反応器に、好ましくは下方の反応器領域に返送するために適した返送ラインを有する。凝縮された硫黄の返送は、硫黄溶融物を冷却するためにも役立ち、ひいては、硫黄溶融物を一定の温度に維持することに寄与する。
【0046】
数年または数十年間の長期の稼働の間でさえも、本発明による反応器は維持されるかもしくはまれにのみ補修されるべきである。本発明による構造は、圧力を保持する部品内での過剰な温度の発生を回避し、ひいてはプラントの安全を高め、なぜなら、この領域における腐食の低減は有害な物質、例えば硫化水素の漏洩に起因する材料破損および事故の可能性のリスクを最小化するからである。点検、維持および補修の要請が少ないことは、コストを低下させ且つ可用性を改善する。
【0047】
本発明は、標準条件に対して高められた温度且つ高められた圧力での硫黄と水素との発熱反応により硫化水素と硫黄とを含む生成物ガス混合物P
finalが生じる、硫化水素の製造方法であって、以下の段階:
・ 加圧された反応器の下方の反応器領域内に硫黄溶融物を準備する段階、
・ 加圧された水素を硫黄溶融物中に供給し、供給された水素が、硫黄溶融物からガス状に変換された硫黄と共に、少なくとも1つの圧力を保持しない第一の空洞部に少なくとも部分的に収容される段階、
・ 水素および硫黄が少なくとも一時的に第一の空洞部内に残り、発熱反応において、硫化水素、硫黄および水素を含む生成物ガス混合物P
1が生じる段階、
・ 生成物ガス混合物P
1を1つまたはそれより多くの第二の空洞部内に収容し、且つ、そこに少なくとも一時的に生成物ガス混合物P
1が残り、生成物ガス混合物P
1中に存在する硫黄および水素が反応してさらなる硫化水素が生じ、生成物ガス混合物P
2が生じ、且つ、1つまたはそれより多くの第一の空洞部の各々よりも大きな容積を有する且つ/または構造上の理由から1つまたはそれより多くの第一の空洞部の各々よりも低い熱除去を有する少なくとも1つの第二の空洞部を使用して、当該第二の空洞部内での水素変換率の上昇をもたらす段階、および
・ 生成物ガス混合物P
finalをガス収集領域に集める段階
を含む前記方法も提供する。
【0048】
該方法は好ましくは既に記載された本発明による反応器内で実施される。
【0049】
純粋な水素ではなく、汚染された水素が硫黄溶融物を通ることも可能である。不純物は、例えば二酸化炭素、硫化水素、水、メタノール、メタン、エタン、プロパンまたは他の揮発性炭化水素であり得る。ガスの容積に対して65%より高い純度を有する水素を使用することが好ましい。水素またはそれらの反応生成物中の不純物は、好ましくはメチルメルカプタンの合成前に除去されず、反応混合物内に残る。使用される硫黄も種々の不純物を含有することがある。
【0050】
供給される水素の圧力および容積は、反応器が稼働される圧力に、および必要とされる水素の容積に依存する。使用される硫黄の量は、実質的に、使用される水素の量に対する化学量論組成比である。消費された硫黄は工程の間に補充される。
【0051】
本方法のさらなる実施態様において、硫黄溶融物中に供給された水素の少なくとも一部は、少なくとも1つの第二の空洞部に直接的に収容される。「直接的に」とは、ここで、供給される水素が第二の空洞部に入る前に第一の空洞部に収容されないことを意味すると理解される。その際、水素の供給を、第一の空洞部および第二の空洞部内で異なって反応速度に影響を及ぼすことを目的として制御することができる。
【0052】
該方法を、生成物ガス混合物が少なくとも1つの第三以上の空洞部内に収容され且つ少なくとも一時的に残って、生成物ガス混合物P
2中に存在する硫黄と水素とが反応してさらなる硫化水素が生じるように実施できる。
【0053】
該方法の選択的な実施態様において、少なくともいくらかの水素を、それが予め硫黄溶融物と接触しないように少なくとも第一および/またはそれより上の空洞部に供給する。このことにより、同時にさらなる硫黄を空洞部のガス空間へと輸送することなく、当該空洞内の水素濃度を高めることができる。
【0054】
空洞部(例えば第二の空洞部)下方の液体硫黄中への水素の供給は、第一に、この空洞部に供給される水素が増加するという効果、第二に、硫黄も液体硫黄からこの空洞部のガス空間へと輸送されるという効果を有する。
【0055】
該方法の1つの実施態様においては、下方の反応器領域内で生じた生成物ガス混合物P
uの総量が、1つまたはそれより多くの圧力を保持しない据付装置によってガス収集領域へと連続的に輸送され、その際、前記据付装置内で触媒を使用することにより、生成物ガス混合物P
u中に存在する硫黄と水素とが反応してさらなる硫化水素が生じる。
【0056】
該方法を好ましくは、硫黄と水素との反応によって放出される反応熱を、可能な限り完全に硫黄溶融物中に放出するように実施する。これは、触媒上で放出される反応熱を含む。
【0057】
従って、好ましくは、触媒中で硫黄と水素との反応によって放出された反応熱が硫黄溶融物へ熱輸送されることにより、触媒が冷却される。
【0058】
該方法を好ましくは、触媒を含有する据付装置内への導入前の生成物ガス混合物P
u中の硫化水素の割合が、ガス容積の少なくとも60%、好ましくは少なくとも90%であるように実施する。このために必要とされる工程条件は以下に記載される。これは、触媒領域における水素の割合が低いことが、触媒の過熱を防ぎ、ひいては触媒の耐用寿命を長くするという利点を有する。
【0059】
該方法は好ましくは、生成物ガス混合物P
final中に存在する硫黄を凝縮し且つ直接的に反応器へと、好ましくは下方の反応器領域へと再循環させる追加的な工程段階を含む。結果として、生成された硫化水素の量に応じて硫黄溶融物の冷却が生じるという有利な効果がある。より特定には、硫黄溶融物の温度が上がる瞬間に、水素の変換率、硫黄の揮発および硫黄の還流も増加し、従って硫黄溶融物の過熱が打ち消される。硫黄の凝縮は好ましくは120〜150℃の温度で実施される。
【0060】
本発明による方法は、典型的には、1〜30bar、好ましくは5〜15bar、より好ましくは7〜12barの圧力で実施できる。硫黄溶融物の温度は、典型的には300〜600℃、好ましくは380〜480℃、より好ましくは400〜450℃である。従って、水素の変換率99.9%は容易に達成可能である。99.93%の範囲での水素の変換率も観察された。
【0061】
本発明による方法は、99.8容積%より高い純度を有する硫化水素の製造を可能にする。99.85容積%までの純度も見出された。この場合、存在する硫黄の凝縮後の生成物ガス混合物は、0.05〜0.15容積%の水素、10〜30ppmの硫黄、および400〜600ppmのスルファンを含有することがある。本発明に関するスルファンとは、実験式H
2S
x(前記xは典型的には2〜10の整数である)による多硫化水素に関する。上述の硫黄濃度は、上述の温度範囲内での硫黄の凝縮によって既に可能である。120℃未満の温度での氷結(他のH
2S工程から公知)は、この目的のために必要とされない。
【0062】
本発明は、スルファン含有率が600ppmを上回らない、好ましくは400ppmを上回らない、より好ましくは200ppmを上回らない硫化水素の製造のための本発明による反応器の使用にも関する。
【0063】
本発明を、以下の例によってさらに説明する:
1. 標準条件に対して高められた温度且つ高められた圧力で、硫黄と水素との発熱反応によって、硫化水素と硫黄とを含む最終的な生成物ガス混合物P
finalが生じる、硫化水素の連続的な製造のために適した反応器(1)であって、
・ 硫黄溶融物(3)を収容するために適した下方の反応器領域(2)、
・ 1つまたはそれより多くの圧力を保持しない第一の空洞部(4)、および第一の空洞部ごとに、加圧されたガス状の水素を制御して供給するために適した少なくとも1つの供給装置(5、5a)、ここで、前記空洞部(4)は発熱反応において生じ且つ硫化水素、硫黄および水素を含む生成物ガス混合物P
1を少なくとも一時的に収容するために適している、および
・ 1つまたはそれより多くの圧力を保持しない第二の空洞部(8)、ここで、前記第二の空洞部(8)は第一の空洞部(4)の上に配置され、且つ、第一の空洞部(4)内で生じた生成物ガス混合物P
1を少なくとも一時的に収容するために、且つ、硫黄と水素との発熱反応によってさらなる硫化水素が生じ、生成物ガス混合物P
2が生じるために適している、
・ 標準条件に対して高められた温度且つ高められた圧力で生成物ガス混合物P
finalを収容するために適したガス収集領域(6)
を含み、少なくとも1つの第二の空洞部(8、10)が第一の空洞部(4)の各々よりも大きな容積を有する、且つ/または少なくとも1つの第二の空洞部(8、10)が構造上の理由から第一の空洞部(4)の各々よりも低い熱除去を有することを特徴とする、前記反応器。
【0064】
2. 前記反応器(1)が少なくとも2つの圧力を保持しない第一の空洞部(4)および、第一の空洞部(4)ごとに加圧されたガス状の水素を制御して供給するために適した少なくとも1つの供給装置(5、5a)を含み、前記第一の空洞部(4)は、生じる生成物ガス混合物P
1を少なくとも一時的に収容するために適していることを特徴とする、例1に記載の反応器。
【0065】
3. 前記少なくとも1つの第二の空洞部(8)が、加圧されたガス状の水素を制御して供給するために適した少なくとも1つの供給装置(9、9a)を含むことを特徴とする、例1または2に記載の反応器。
【0066】
4. 反応器(1)がさらに、第二の空洞部(8)の上に配置された1つまたはそれより多くの、圧力を保持しない第三の空洞部(10)および随意にさらなる相応に適した空洞部を含むことを特徴とする、例1から3までのいずれか1つに記載の反応器。
【0067】
5. 少なくとも1つの第三以上の空洞部(10)が第一の空洞部(4)の各々よりも大きな容量を有し、且つ/または少なくとも1つの第三以上の空洞部(8、10)が構造上の理由から第一の空洞部(4)の各々よりも低い熱除去を有する、例4に記載の反応器。
【0068】
6. 前記反応器(1)がさらに、1つまたはそれより多くの圧力を保持しない据付装置(7)を含み、前記装置(7)は、下方の反応器領域(2)において生じた生成物ガス混合物P
uの総量をガス収集領域(6)へと連続的に輸送するために適しており、且つ、触媒が前記据付装置(7)中に存在する場合には、生成物ガス混合物P
u中にまだ存在する硫黄と水素とを硫化水素へと反応させるために適していることを特徴とする、例1から5までのいずれか1つに記載の反応器。
【0069】
7. 生成物ガス混合物P
uを下方の反応器領域(2)からガス収集領域(6)に輸送するための据付装置(7)の1つ、1より多く、または全てが、構造の観点において、下方の反応器領域(2)が硫黄溶融物(3)で十分に満たされた後にそれらが硫黄溶融物(3)と熱的に接触し、据付装置(7)が触媒を含有する場合には、硫黄溶融物(3)への熱の輸送によって触媒が冷却されるように配置されることを特徴とする、例6に記載の反応器。
【0070】
8. 前記反応器が内壁(11)を含み、反応器の稼働の間、反応器外壁と内壁(11)との間の空間が関与してエアリフトポンプの原理による硫黄溶融物の連続的な循環が可能になることを特徴とする、例1から7までのいずれか1つに記載の反応器。
【0071】
9. 前記反応器がさらに、
・ 生成物ガス混合物P
final中に存在する硫黄を凝縮するために適した還流凝縮器、
・ 生成物ガス混合物P
finalをガス収集領域から還流凝縮器に輸送するために適した投入ライン、および
・ 凝縮された硫黄を前記反応器に返送するために適した返送ライン
を含むことを特徴とする、例1から8までのいずれか1つに記載の反応器。
【0072】
10. 標準条件に対して高められた温度且つ高められた圧力での硫黄と水素との発熱反応により硫化水素と硫黄とを含む生成物ガス混合物P
finalが生じる、硫化水素の製造方法であって、以下の段階:
・ 加圧された反応器の下方の反応器領域内に硫黄溶融物を準備する段階、
・ 加圧された水素を硫黄溶融物中に供給し、供給された水素が、硫黄溶融物からガス状に変換された硫黄と共に、少なくとも1つの圧力を保持しない第一の空洞部に少なくとも部分的に収容される段階、
・ 水素および硫黄が少なくとも一時的に第一の空洞部内に残り、発熱反応において、硫化水素、硫黄および水素を含む生成物ガス混合物P
1が生じる段階、
・ 生成物ガス混合物P
1を1つまたはそれより多くの第二の空洞部内に収容し、且つ、そこに少なくとも一時的に生成物ガス混合物P
1が残り、生成物ガス混合物P
1中に存在する硫黄および水素が反応してさらなる硫化水素が生じ、生成物ガス混合物P
2が生じ、且つ、1つまたはそれより多くの第一の空洞部の各々よりも大きな容積を有する且つ/または構造上の理由から1つまたはそれより多くの第一の空洞部の各々よりも低い熱除去を有する少なくとも1つの第二の空洞部を使用して、当該第二の空洞部内での水素変換率の上昇をもたらす段階、および
・ 生成物ガス混合物P
finalをガス収集領域に集める段階
を含む前記方法。
【0073】
11. 硫黄溶融物中に供給された水素の少なくとも一部が、1つまたはそれより多くの第二の空洞部に直接的に収容されることを特徴とする、例10に記載の方法。
【0074】
12. 前記生成物ガス混合物が1つまたはそれより多くの第三以上の空洞部内に収容され且つ少なくとも一時的に残って、生成物ガス混合物P
2中に存在する硫黄と水素とが反応してさらなる硫化水素が生じることを特徴とする、例10または11に記載の方法。
【0075】
13. 下方の反応器領域内で生じた生成物ガス混合物P
uの総量が、1つまたはそれより多くの圧力を保持しない据付装置によってガス収集領域へと連続的に輸送され、その際、前記据付装置内で触媒を使用することにより、生成物ガス混合物P
u中に存在する硫黄と水素とが反応してさらなる硫化水素が生じることを特徴とする、例10から12までのいずれか1つに記載の方法。
【0076】
14. 触媒が、触媒中での硫黄と水素との反応によって放出された反応熱が硫黄溶融物に熱輸送されることによって冷却されることを特徴とする、例13に記載の方法。
【0077】
15. 触媒を含有する据付装置内への導入前の生成物ガス混合物P
u中の硫化水素の割合が、ガス容積の少なくとも60%であることを特徴とする、例13または14に記載の方法。
【0078】
16. 生成物ガス混合物P
final中に存在する硫黄が凝縮され、且つ直接的に反応器へと再循環される追加的な工程段階を含むことを特徴とする、例10から15までのいずれか1つに記載の方法。
【0079】
17. 硫化水素の製造を、5〜15barの圧力で実施することを特徴とする、例10から16までのいずれか1つに記載の方法。
【0080】
18. 硫黄溶融物の温度が400〜450℃であることを特徴とする、例10から17までのいずれか1つに記載の方法。
【0081】
19. 硫黄溶融物がエアリフトポンプの原理により連続的に循環されることを特徴とする、例10から18までのいずれか1つに記載の方法。
【0082】
20. スルファン含有率が600ppmを上回らない硫化水素の製造のための例1から9までのいずれか1つに記載の反応器の使用。