(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の圧力流体制御装置は、スプール弁と電磁弁が直線に配置された、いわゆる直列型配置である。この場合、電磁弁の端部に圧力流体の流路、具体的には、パイロット圧用の圧力流体を、スプール弁から電磁弁の弁室に供給する流路や、電磁弁の弁室からスプール弁のパイロット室に供給する流路等が集中して設けられる。特に、電磁弁の小型化を図る場合、各流路を形成するスペースに制限があるので、流路の設計及び加工が複雑である。
【0007】
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、流路を設計することや、該流路を加工によって設けることが容易な電磁
弁を備える圧力流体制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために、本発明に係る
圧力流体制御装置は、電磁コイルが巻回されたボビンと、
前記ボビンの中空部内に挿入された第1固定コアと、
前記中空部に挿入され、前記電磁コイルへの通電及び通電停止に伴って変位する可動コアと、
前記可動コアが挿入される第2固定コアと、
前記第2固定コア内に収容され、前記可動コアの変位に追従して変位する弁体部と、
を備え、
前記第2固定コアには、圧力流体を弁部に供給するための圧力流体供給通路が、前記弁体部の変位方向に対して略直交する方向に沿って延在するように形成され
た電磁弁を有することを特徴とする。
【0009】
従来技術に係る電磁弁において、圧力流体を弁部に供給するための圧力流体供給通路は、可動コアの変位方向に沿って延在するように形成されている。これに対し、本発明においては、圧力流体供給通路を、可動コアの変位方向に対して略直交する方向に延在するようにしている。従って、圧力流体供給通路と別の流路(例えば、電磁弁の弁部から導出される圧力流体の流路)とが集中することを回避することが可能となる。
【0010】
すなわち、本発明によれば、狭小なスペースに複数個の流路が集中することを回避することができる。従って、電磁弁の小型化を図りながら、該電磁弁の周囲の流路を設計及び加工することが容易となる。
【0011】
また、第2固定コアが、ボビンに当接するフランジ部と、弁部を収容する中空部とを一体的に有する部材からなることが好ましい。この場合、フランジ部と中空部を別部材(別体)として設ける場合に比して、部品点数が低減する。この分だけ、電磁弁を組み立てることが容易となるとともに組立作業が簡素となる。
【0012】
このように構成される電磁弁は、例えば、取付対象物の取付孔に挿入されて用いられる。この場合において、その側壁には、前記取付孔を封止するためのシール部材が装着される。このシール部材の個数は、1個であることが好ましい。電磁弁の部品点数が一層低減するからである。
【0013】
加えて、弁体部が可動コアの一部位であることが好ましい。この場合、弁棒や弁体等の別部材が不要となる。従って、電磁弁の部品点数が一層低減するので、電磁弁を組み立てることが一層容易となり、その組立作業も一層簡素となる。
【0014】
また、本発明に係る圧力流体制御装置は、上記のように構成された電磁弁と、
弾発部材によってパイロット室に指向して弾発付勢されたスプールを有するスプール弁と、
前記スプール弁及び前記電磁弁が設けられた弁本体と、
を備え、
前記弁本体に、前記圧力流体供給通路に連通して前記スプール弁から前記圧力流体を前記弁部に供給するための圧力流体供給連通路が形成され、
且つ前記圧力流体供給通路は、前記スプール弁のパイロット室に対してパイロット圧を供給するためのパイロット圧供給通路として機能し、
前記電磁弁は、前記
弁本体の入力ポートと前記パイロット室とを連通状態又は連通遮断状態に切り換えることを特徴とする。
【0015】
すなわち、上記の電磁弁は、スプール弁に対し、圧力流体をパイロット圧として供給する。これに伴ってスプール弁内のスプールが変位することで、圧力流体の出力が制御される。
【0016】
この圧力流体制御装置では、第2固定コアを、スプールを堰止するストッパとして機能させるとよい。この場合、ストッパ部を別部材として組み込むことなく、従って、簡素な構成としながら、スプールの変位量に制限を設定することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電磁弁の弁部に圧力流体を供給するための圧力流体供給通路を、可動コアの変位方向に対して略直交する方向に延在するように形成している。このため、圧力流体供給通路以外の流路を、圧力流体供給通路の経路とは別の経路で形成することができるので、流路が集中することを回避することが可能となる。
【0018】
従って、電磁弁の小型化を図りつつ、該電磁弁の周囲の流路を設計及び加工することが容易となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る
圧力流体制御装置につき
、それを構成する電磁弁との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施の形態では、電磁弁として、自動車の走行動力源であるエンジンのエンジン本体に取り付けられ、且つ全体が交換可能ないわゆるカートリッジ型の圧力流体制御装置に組み込まれたものを例示する。また、以下の説明における「下方」、「上方」は、
図1及び
図2における下方、上方を意味するが、これは理解を容易にするためであり、圧力流体制御装置を実使用する際の姿勢を定義するものではない。
【0021】
図1は、本実施の形態に係る電磁弁10を含んで構成された圧力流体制御装置12の全体概略縦断面図である。この圧力流体制御装置12は、エンジン本体14に形成された取付孔16に挿入され、自動車に搭載されるエンジンの動弁装置の作動特性を変更するために用いられる。なお、
図1には、圧力流体制御装置12が閉弁状態にあるときを示している。
【0022】
圧力流体制御装置12は、前記電磁弁10の他、スプール弁20と、中空且つ長尺な弁本体22とを有する。スプール弁20と電磁弁10の弁部24(後述)は、弁本体22の長手方向に沿って延在する収納孔26内に収容される。収納孔26内の底面には、円盤形状に陥没した円盤状凹部28が形成される。
【0023】
また、弁本体22の側壁には、下方から、入力ポート30、出力ポート32、及び解放ポート34が略同位相で形成されるとともに、これらのポート30、32、34に対して略180°の位相差となる側の側壁に、第1パイロット圧出力ポート36、第1パイロット圧入力ポート38が形成される。これら5個のポート30、32、34、36、38により、弁本体22の内部(収納孔26)が外部に連通する。
【0024】
弁本体22の側壁には、底部が平坦面形状をなすようにして凹部40が形成されている。該凹部40は収納孔26側に向かって陥没しており、このため、凹部40の陥没方向底面と取付孔16の内壁との間にクリアランスが形成される。このクリアランスが、圧力流体(例えば、作動油)の流路となる。以下、このクリアランス(流路)を「第1パイロット圧供給流路」と表記し、その参照符号を42とする。
【0025】
なお、第1パイロット圧出力ポート36及び第1パイロット圧入力ポート38は、凹部40の陥没方向底面に形成される。
【0026】
弁本体22の上側部には、第1シール部材44が装着される。該第1シール部材44により、弁本体22と取付孔16の内壁との間がシールされる。すなわち、取付孔16が封止される。本実施の形態において、取付孔16を封止するためのシールは、この第1シール部材44のみである。換言すれば、弁本体22の側壁には、第1シール部材44以外のシール部材は装着されていない。
【0027】
弁本体22の下部に設けられるスプール弁20は、収納孔26内に収容されたスプール50を有する。スプール50は、その内部にスプリング室52及び圧力流体解放流路54が一体的に連なって形成された略円筒形状をなす中空体からなり、スプリング室52の内径は、圧力流体解放流路54の内径に比して大きく設定されている。従って、スプリング室52と圧力流体解放流路54の間に段部が形成される。
【0028】
スプール50の側壁には、第1環状凹部56と第2環状凹部58が下方からこの順序で形成される。第2環状凹部58に対応する位置には、スプール50の内部(圧力流体解放流路54)と外部を連通する横孔60が形成される。
【0029】
また、スプール50の上端面には、略円柱形状をなす凸部62が突出形成される。この凸部62が、電磁弁10を構成する筒状部材64(第2固定コア)の下端面65に当接することにより、スプール50が堰止されてそれ以上の変位が阻止される。また、該凸部62には、絞り66が圧力流体解放流路54に連なるように形成される。
【0030】
スプール50の上端面と筒状部材64の下端面65との間には、パイロット室68が形成される。スプール50は、パイロット室68に供給された圧力流体により、下方に指向して押圧される。
【0031】
以上の構成のスプール50において、スプリング室52には、下端が円盤状凹部28の底面に着座し、且つ上端が段部に着座する第1コイルスプリング70が収容される。従って、スプール50は、第1コイルスプリング70によって電磁弁10側に弾発付勢される。
【0032】
図1に示すように、スプール50は、入力ポート30とパイロット室68が連通遮断状態であるとき、入力ポート30と出力ポート32の連通を遮断するとともに出力ポート32と解放ポート34を連通する位置となる。一方、入力ポート30とパイロット室68が連通状態であるときには、後述するように、入力ポート30と出力ポート32を連通させ、且つ出力ポート32と解放ポート34との連通を遮断する位置となる(
図2参照)。このとき、パイロット室68は、絞り66を介して圧力流体解放流路54に連通する。
【0033】
電磁弁10は、弁本体22の収納孔26に収容される前記弁部24と、該弁部24の上方に配設されて弁本体22から露呈するソレノイド部80とを有する。本実施の形態において、電磁弁10は二方弁である。
【0034】
前記筒状部材64は磁性体からなり、弁本体22に対して位置決め固定されている。筒状部材64は、このように位置決め固定された状態で、ソレノイド部80のヨーク、換言すれば、第2固定コアとして機能する。
【0035】
該筒状部材64には、収納孔26に挿入される有底筒状の筒部82(中空部)と、該筒部82の上端部近傍の側壁から直径方向外方に突出した大径のフランジ部84とが一体的に形成されている。すなわち、筒状部材64(第2固定コア)は、筒部82及びフランジ部84を部位として有する1個の部材からなる。そして、フランジ部84の下端面が弁本体22の上端面に当接するとともに、フランジ部84と弁本体22の間に環状の第2シール部材86が介装される。この介装により、収納孔26が封止される。
【0036】
筒部82は、その内部に、該筒部82の長手方向に沿って延在する弁収納孔88が形成された中空体からなる。該筒部82には、下端面から側壁にかけて平取り加工された平取り部90が形成される。該平取り部90には、弁収納孔88に連通する第2パイロット圧出力ポート92が形成される。筒部82の側壁は、平取り部90以外の部位では収納孔26の内壁に沿った曲面である。これに対し、平取り部90は上記したように平面である。このため、筒部82が収納孔26に挿入された状態において、平取り部90と収納孔26の内壁とが接触することはない。
【0037】
すなわち、平取り部90と収納孔26の内壁との間には所定の間隙が形成される。この間隙は、第2パイロット圧出力ポート92と前記パイロット室68を連通する第2パイロット圧供給流路94として機能する。
【0038】
平取り部90に対して略180°の位相差となる位置には、第1パイロット圧入力ポート38(圧力流体供給連通路)に連通する第2パイロット圧入力ポート98(圧力流体供給通路)が形成される。
【0039】
ここで、第1パイロット圧入力ポート38及び第2パイロット圧入力ポート98は双方とも、弁本体22及び筒部82の長手方向に対して略直交する方向に延在している。すなわち、第1パイロット圧入力ポート38及び第2パイロット圧入力ポート98は、
図1及び
図2において、上下方向に略直交する横方向に沿って延在するように形成されている。
【0040】
前記弁収納孔88の内径は、下方から順に3段階で拡径されている。すなわち、弁収納孔88は、小径部100、中径部102、テーパー状拡径部104、大径部106を有する。第2パイロット圧入力ポート98は、最下方の小径部100に略直交するようにして開口している。
【0041】
また、中径部102には弁座部材110が圧入される。弁座部材110の下端面は、小径部100と中径部102で形成される環状段差に当接することで位置決め固定されている。この弁座部材110には、上下方向に貫通する弁孔112が形成される。弁孔112の上部開口には弁座114が形成されており、この弁座114に対し、可動コア116の弁体部118が着座又は離間する。弁体部118の先端は、弁座114の形状に対応して略円錐状に加工されている。
【0042】
第2パイロット圧出力ポート92の一端は、テーパー状拡径部104で開口している。このため、可動コア116の弁体部118が弁座114に着座したとき、第2パイロット圧入力ポート98と第2パイロット圧出力ポート92の連通が遮断される(
図1参照)。これに対し、可動コア116の弁体部118が弁座114から離間したときには、第2パイロット圧入力ポート98と第2パイロット圧出力ポート92が連通する(
図2参照)。
【0043】
大径部106には、非磁性体からなるカラー部材120とともに可動コア116の下端部が挿入される。勿論、カラー部材120の底面には、弁体部118を通すための通過孔が貫通形成される。弁座部材110の上端面とカラー部材120の下端面とによって弁室122が形成される。
【0044】
電磁弁10を構成するソレノイド部80は、中空部130が形成されて略円筒形状をなすボビン132と、ボビン132に巻回される電磁コイル134と、いずれも磁性体からなり、ボビン132の中空部130に収納される可動コア116及び固定コア138(第1固定コア)とを有する。
【0045】
ボビン132の下端面は、第3シール部材140を介して筒状部材64のフランジ部84に当接する。第3シール部材140により、ボビン132と筒状部材64の間のシールがなされる。また、ボビン132と、筒状部材64の筒部82の上端面との間に、カラー部材120の大径な鍔部が挟まれる。
【0046】
ボビン132は樹脂からなり、電磁コイル134を巻回した状態でハウジング142内に収容される。具体的には、ハウジング142の下端は弁本体22の上端部に加締められ、これにより、該ハウジング142が弁本体22に支持されるとともに、ボビン132がフランジ部84及び弁本体22の上端部とともにハウジング142で覆われる。
【0047】
ボビン132の上端面はハウジング142の天井面に当接するとともに、両者の間に環状の第4シール部材144が設けられる。該第4シール部材144により、ボビン132とハウジング142の間のシールがなされる。ハウジング142の側面の一部には導出口146が形成され、この導出口146からは、ボビン132と一体化されたカプラ148が突出する。カプラ148内には、電磁コイル134に対して電気的に接続された給電端子150が設けられる。
【0048】
ボビン132の中空部130には、可動コア116の上端部及び固定コア138が挿入される。可動コア116の下端面には前記弁体部118が弁座114に指向して突出形成され、一方、上端面には固定コア138に指向する柱状突部154が突出形成される。
【0049】
一方、固定コア138には有底のスプリング収納穴156が形成され、該スプリング収納穴156には、第2コイルスプリング158が収容される。すなわち、第2コイルスプリング158の下端は可動コア116の上端面に着座し、その内部に前記柱状突部154が挿入される。一方、上端面はスプリング収納穴156の天井面に着座する。従って、第2コイルスプリング158は、可動コア116の弁体部118を弁座114側に指向して弾発付勢する。
【0050】
本実施の形態に係る電磁弁10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、その作用効果につき、圧力流体制御装置12の動作との関係で説明する。
【0051】
圧力流体制御装置12は、弁本体22がエンジン本体14の取付孔16に挿入され、且つハウジング142が前記エンジン本体14に位置決め固定されることで、該エンジン本体14に取り付けられる。この際、第1シール部材44によって取付孔16が封止される。
【0052】
電磁コイル134に対して通電がなされていないとき、該電磁コイル134には磁気が発生していない。このため、可動コア116に対し、磁力に基づく吸引力が作用することはない。その一方で、可動コア116には、第2コイルスプリング158による弾発付勢力が作用している。この弾発付勢により、可動コア116が弁座部材110側に押し下げられる。その結果、弁体部118が弁座114に着座する。すなわち、電磁弁10は閉状態である。
【0053】
電磁弁10が閉状態であるとき、可動コア116は、該可動コア116に対する第2コイルスプリング158の弾発付勢力によって弁座部材110側に弾発付勢される。従って、可動コア116の弁体部118が弁座114に着座し、弁孔112と弁室122との連通が遮断される。
【0054】
一方、パイロット室68は、スプール50の凸部62に形成された絞り66、圧力流体解放流路54及び横孔60で構成される流路を介して、解放ポート34に連通する。このため、パイロット室68は解放ポート34と同圧になる。
【0055】
このとき、第1コイルスプリング70のスプール50に対する弾発付勢力は、パイロット室68内の圧力流体によるスプール50に対する押圧力を上回っている。従って、スプール50は、凸部62の上端面が筒状部材64の下端面65に当接する最上方位置となる。従って、入力ポート30がスプール50の大径な側壁で閉塞され、このために入力ポート30と出力ポート32の連通が遮断される。その一方で、第1環状凹部56と収納孔26の間で形成される流路を介して、出力ポート32と解放ポート34が連通する。従って、電磁コイル134に通電しない場合、図示しない圧力流体供給源から供給される圧力流体が弁本体22内に導入されることはない。
【0056】
これに対し、給電端子150を介して電磁コイル134に通電がなされると、電磁コイル134、固定コア138、及び筒状部材64(第2固定コア)の特にフランジ部84に磁気が発生する。この磁気による吸引力が第2コイルスプリング158の弾発付勢力を上回るので、可動コア116が吸引されて固定コア138側、すなわち、上方に変位する。従って、弁体部118が可動コア116と一体的に変位し、弁座114から離間する。すなわち、電磁弁10が開状態となる。
【0057】
このことから諒解されるように、可動コア116は、弁本体22及び筒部82の長手方向に沿って変位する。従って、第1パイロット圧入力ポート38及び第2パイロット圧入力ポート98の延在方向は、可動コア116の変位方向に対して略直交する。また、可動コア116の上端部がボビン132の中空部130に挿入され、且つ下端部が筒状部材64の大径部106(弁収納孔88)にカラー部材120を介して挿入されており、可動コア116は、変位する際、筒状部材64、及び、挿入されたカラー部材120に案内される。
【0058】
このとき、入力ポート30から圧力流体が導入される。後述するように、スプール50が変位して第1環状凹部56の位置が入力ポート30に対応する位置となるからである。そして、入力ポート30から導入された圧力流体は、第1パイロット圧出力ポート36から第1パイロット圧供給流路42を通過し、さらに、第1パイロット圧入力ポート38、第2パイロット圧入力ポート98を経て、弁収納孔88の小径部100に到達する。
【0059】
上記したように弁体部118が弁座114から離間しているため、小径部100が弁孔112を介して弁室122と連通している。従って、圧力流体は、弁室122に供給された後、第2パイロット圧出力ポート92及び第2パイロット圧供給流路94を経由してパイロット室68に供給される。
【0060】
パイロット室68に供給された圧力流体の押圧力が、第1コイルスプリング70によるスプール50への弾発付勢力を上回ると、スプール50が押圧されて下方に変位し、下端面が収納孔26の底面に当接する。すなわち、スプール50が最下方位置となる。このとき、横孔60が解放ポート34の位置に対応する位置となる。
【0061】
これに伴い、第2環状凹部58と収納孔
26とで構成される流路を介して入力ポート30と出力ポート32とが連通する一方で、出力ポート32と解放ポート34との連通が遮断される。すなわち、開状態においては、入力ポート30から供給された圧力流体がパイロット室68に供給されるとともに、出力ポート32から導出される。パイロット室68に供給される余剰の圧力流体は、絞り66から圧力流体解放流路54、横孔60を経て解放ポート34から導出される。
【0062】
スプール弁20が以上のように動作して圧力流体が出力されるポートを切り換えることにより、圧力流体の出力が制御される。その結果として、前記エンジンを構成する動弁装置を所望の動力特性に変更することができる。
【0063】
電磁コイル134への通電が停止されると、磁気が消失するとともに可動コア116に対する吸引力が消失する。このため、第2コイルスプリング158によって可動コア116が弾発付勢され、その結果、該可動コア116と一体的に弁体部118が押し下げられて
図1に示す状態に戻る。すなわち、弁体部118が弁座114に着座して電磁弁10が閉状態となる。
【0064】
また、この際、パイロット室68内の圧力流体が、上昇するスプール50によって押圧される。従って、圧力流体は、絞り66、圧力流体解放流路54、横孔60を経て解放ポート34から導出される。また、第2環状凹部58と収納孔26とで構成される流路に残留していた圧力流体も、解放ポート34から排出される。
【0065】
スプール50の上端面の凸部62は、筒部82の下端面65に当接する。これによりスプール50が堰止され、該スプール50のそれ以上の変位が阻止される。すなわち、筒状部材64は、スプール50の必要以上の変位を防止するストッパとして機能する。
【0066】
ところで、本実施の形態においては、スプール弁20から電磁弁10に供給する流路である第1パイロット圧入力ポート38及び第2パイロット圧入力ポート98を、可動コア116の変位方向に対して略直交する方向に延在するようにしている。このため、本実施の形態のように電磁弁10とスプール弁20が部材を介在することなく連接する場合であっても、複数個の流路が集中することを回避することができる。従って、圧力流体制御装置12を、長手方向に沿う寸法を小さくして小型化を図りながらも、例えば、第1パイロット圧入力ポート38及び第2パイロット圧入力ポート98や、電磁弁10からスプール弁20のパイロット室68に圧力流体を供給する流路等、各種の流路を形成することが容易となる。
【0067】
特に、本実施の形態では、弁本体22の側壁に対し、その長手方向に沿って、パイロット室68に連通する第1パイロット圧供給流路42を形成している。従って、第1パイロット圧入力ポート38及び第2パイロット圧入力ポート98の経路の設計や、これらポート38、98の加工が容易である。
【0068】
この場合、第1パイロット圧供給流路42を平取り部90と同様の平取り加工で形成することで、第1パイロット圧入力ポート38及び第2パイロット圧入力ポート98の経路の設計及び加工が一層容易となる。
【0069】
また、第2固定コアである筒状部材64は、筒部82とフランジ部84を一体的に有する。このため、部品点数を低減することができる。そして、この分、電磁弁10を組み立てることが容易となるとともに組立作業が簡素となる。
【0070】
さらに、本実施の形態では、
取付孔1
6を封止するためのシール部材が第1シール部材44のみである。しかも、可動コア116に弁体部118が設けられており、このために弁棒や弁体等の別部材が不要となっている。以上のことも相俟って、電磁弁10(圧力流体制御装置12)の部品点数を一層低減することが可能となる。その結果、電磁弁10を組み立てることが一層容易となり、組立作業も一層簡素となる。
【0071】
本発明は、上記した実施の形態に特に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0072】
例えば、第1パイロット圧供給流路42を、弁本体22の内部に形成するようにしてもよい。
【0073】
また、可動コア116に代替し、弁体部118が設けられていない可動コアを採用するようにしてもよい。すなわち、可動コアと弁体とが別部材であってもよい。この場合には、可動コアと弁体との間に弁棒等の他の部材が介在してもよい。さらに、電磁弁を含んだ圧力流体制御装置を三方弁として構成するようにしてもよい。
【0074】
この具体例を、別の実施の形態として
図3及び
図4に示す。なお、後述する構成要素以外の構成要素は、基本的には圧力流体制御装置12の構成要素と同一であることから、参照符号を付しての詳細な説明は省略する。また、
図1及び
図2に示した構成要素に対応する構成要素には同一の名称を用いているが、便宜上、別の参照符号を付している。
【0075】
図3に示す圧力流体制御装置180の弁本体182には、下方から、第1出力ポート184、入力ポート186、第2出力ポート188及び解放ポート190が形成される。また、弁部192は、筒状部材193(第2固定コア)の弁収納孔194に収容された第1弁座部材196、第2弁座部材198、ボール状の弁体200、弁棒202、軸受204及びガイド206を有する。
【0076】
電磁コイル208への通電がなされていないとき、弁棒202は、可動コア210の下端面を介して第2コイルスプリング212の弾発付勢力を受け、その下端面で弁体200を押し下げて該弁体200を第1弁座部材196の第1弁座に着座させている。このため、電磁弁214は閉状態である。このとき、入力ポート186が第2出力ポート188に連通するとともに、第1出力ポート184が解放ポート190に連通する。
【0077】
一方、電磁コイル208への通電がなされると、可動コア210が磁気力によって吸引され、
図4に示すように、第2コイルスプリング212の弾発付勢力に抗して上方に変位する。このため、弁体200が小径孔215に到達した圧力流体の押圧を受け、第1弁座部材196の第1弁座から離間した後、第2弁座部材198の第2弁座に着座する。
【0078】
すなわち、電磁弁214が開状態となる。その結果として、第2パイロット圧入力ポート216が第1弁座部材196内の弁室218を介してパイロット室220に連通するので、パイロット室220に圧力流体が供給される。
【0079】
これに伴い、スプール弁222を構成するスプール224が第1コイルスプリング226の弾発付勢力に抗して下方に変位する。このとき、入力ポート186が第1出力ポート184に連通するとともに、第2出力ポート188が解放ポート190に連通する。
【0080】
この別の実施形態においても、第1パイロット圧入力ポート227及び第2パイロット圧入力ポート216が可動コア210の変位方向に対して略直交する方向に延在している。また、弁本体182に設けられるシール部材は、第1シール部材228のみである。従って、上記した実施の形態と同様の効果が得られる。
【0081】
上記2つの実施の形態に示した電磁弁10、214のいずれも、単独で用いることが可能であることは勿論である。
【解決手段】電磁弁10は、電磁コイル134が巻回されたボビン132と、該ボビン132の中空部130内に挿入された固定コア138と、電磁コイルの通電又は通電停止に伴って変位する可動コア116と、該可動コア116の一部が挿入された筒状部材64(第2固定コア)とを有する。筒状部材64を収容する弁本体22には第1パイロット圧入力ポート38が形成され、筒状部材64には第2パイロット圧入力ポート98が形成される。これらのポート38、98は、可動コア116の変位方向に対して略直交する方向に沿って延在する。