(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
液体を含む試料を前記処理チャンバ内に入れる工程が、第1の所定体積の液体を前記処理チャンバ内に入れる工程を含み、前記第1の処理済み試料を形成する工程が、第2の所定体積を有する第1の処理済み試料を形成する工程を含み、前記第2の所定体積が、前記第1の所定体積以下である、請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示のいずれかの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明文に記載されるか又は以下の図面に例示される構成の細部及び構成要素の配置にその適用が限定されない点を理解されたい。本発明には他の実施形態が可能であり、様々な態様で実施又は実行することが可能である。また、本明細書で使用される専門語句及び専門用語は説明を目的としたものであって、発明を限定するものとして見なされるべきものではない点は理解されるべきである。本明細書において「含む(including)」、「備える・含む(comprising)」、又は「有する(having)」、及びそれらの変化形の使用は、その後に列記される要素及びそれらの均等物、並びに更なる要素を包含することを意味する。特に指示されるか又は限定されないかぎり、「連結された」及び「結合された」、並びにそれらの変化形は広義の意味で使用され、直接及び間接的な連結及び結合の両方を含むものである。更に、「連結された」及び「結合された」とは、物理的又は機械的な連結又は結合に限定されない。他の実施形態が利用されてもよく、本開示の範囲から逸脱することなく、構造的又は論理的な変更がなされうる点は理解されるべきである。更に、「前方」、「後方」、「上」、「下」といった用語は、各要素の互いに対する関係を説明するためにのみ用いられるものであり、装置の特定の向きを説明しようとするものでも、装置に必要とされる若しくは求める向きを指示又は示唆しようとするものでも、あるいは本明細書に記載される発明が、使用時にどのように使用、装着、表示、又は配置されるかを特定しようとするものでもない。
【0021】
本発明は、試料中の分析物の検出に一般的に関する。詳細には、本発明の装置及び方法は、試料中に存在する生物学的細胞又はその構成成分を検出するために使用することができる。任意の実施形態において、本装置及び方法は、微生物細胞(例えば細菌、酵母細胞、真菌細胞)に関連する分析物(例えばタンパク質、抗原、ポリヌクレオチド)を検出するために使用される。当業者であれば、本装置及び方法は、微粒子状の非生物学的分析物を単離、精製、及び必要に応じて濃縮するうえで有用でありうる点は認識されるであろう。
【0022】
詳細には、本開示は、分析物の有無を検出するための試料を調製することに一般的に関する。詳細には、本開示は、液体試料からの潜在的な干渉物質(例えば、金属イオン、ヒドロニウムイオン、水酸化物イオン;脂質、タンパク質、及び核酸などの生体分子)の除去を促進し、後の分析を行うための分析物を捕捉するための装置及び方法を提供する。更に、任意の実施形態において、本装置及び方法は、より速やかかつ/又はより高感度な分析物の検出を可能とするために、分析物を濃縮するために使用することができる。
【0023】
有利な点として、得られる捕捉分析物は比較的不純物がなく、様々な検出方法(例えば、免疫検出法及び核酸検出法)で使用するのに適している。検出方法が、細胞内の分析物(例えばタンパク質又は核酸)を検出するために細胞を溶解する(例えば熱及び/又は化学的溶解剤の使用により)ことを含む場合、後の検出工程に先立って、試料を本発明の装置で直接溶解することができる。
【0024】
本開示は、単一の試料を処理するための方法及び装置を含む。本開示は、複数の試料を同時に又は順次処理するための方法及び装置を更に含む。
【0025】
試料は、検出可能な分析物(例えば生物学的分析物)を含むか又は含むことが疑われるあらゆる試料であってよい。適当な試料の非限定的な例としては、細胞(例えば、哺乳動物細胞、昆虫細胞、酵母細胞、糸状菌、細菌細胞)の懸濁液又は培養物、環境試料(例えば、表面のスワブ)、食品(例えば、原料、加工中の試料、及び最終製品の試料)、飲料、臨床試料(例えば、血液、尿、痰、組織、粘膜、糞便、創傷滲出液、膿)、及び水(例えば、地表水、飲料水、処理水)が挙げられる。
【0026】
適当な生物学的分析物の非限定的な例としては、核酸(例えば、特定の種類の細胞又は微生物に関連するポリヌクレオチド)又は検出可能な抗原(例えば、タンパク質、オリゴペプチド、酵素、内毒素、細胞膜構成成分、及び細胞壁構成成分)が挙げられる。生物学的分析物を検出するための分析手順は、当該技術分野において周知である。検出しようとする好ましい生物学的分析物としては、例えば、反応(例えば、PCR)で増幅することが可能な核酸が挙げられる。
【0027】
任意の実施形態において、試料は液体(例えば水性液)を含む。液状試料以外の他の試験試料としては、液体、及び液体媒質中に溶解又は懸濁した固体を挙げることができる。対象となる試料としては、プロセス流、水、土壌、草木、又は他の植物、空気、表面(例えば、汚染表面)などを挙げることができる。試料としては、培養細胞も挙げることもできる。試料としては、細胞、芽胞、又は酵素を含む培養装置(例えば、生物学的インジケータ装置)の表面かつ/又はその内容物からの試料も挙げられる。
【0028】
本開示の装置及び方法では、固体試料も使用することができる。例えば、固体試料は、本開示の装置に試料を入れる前に液体(例えば水、緩衝液、ブロス)中で崩壊させる(例えばブレンド、超音波処理、ホモジェナイズにより)か、かつ/又は液体に懸濁することができる。また、固体試料は、本開示の装置内で液体中で崩壊させるかかつ/又は液体に懸濁することができる。任意の実施形態において、試料物質を含んだ試料採取装置(例えば、スワブ、スポンジ)を本方法で使用することができる。また、試料物質を本方法で使用する前に、試料採取装置から試料物質を溶離させる(例えば、すすぐ、掻き取る、搾り出す)ことができる。一部の実施形態では、液体試料又は固体試料を液体(例えば、水、緩衝液、ブロス)中に希釈してもよい。
【0029】
適当な試料としては、細胞を含有しているか又は以前に細胞を含有していた細胞懸濁培地(例えば、培養ブロス、半固体細胞培養培地、及び組織培養培地、濾液)も挙げられる。適当な試料としては、細胞溶解物も挙げられる。細胞溶解物は、化学的手段(例えば、洗剤、酵素)、機械的手段(音波振盪、ホモジェナイズ、フレンチプレス)によって、又は当該技術分野において周知の他の細胞溶解手段によって作製することができる。
【0030】
微生物(例えば、細菌、菌類、ウイルス)は、検出可能な分析物源の1つである。本明細書に述べられるように、微生物は様々な供給源に由来しうる試験試料中で分析することができる。特に対象となる微生物としては、原核生物及び真核生物、特にグラム陽性細菌、グラム陰性細菌、真菌、原生動物、マイコプラズマ、酵母、ウイルス、並びに更には脂質エンベロープウイルスが挙げられる。特に関連のある微生物としては、腸内細菌科(Enterobacteriaceae)、又はミクロコッカス科(Micrococcaceae)、又はブドウ球菌属(Staphylococcus spp.)、レンサ球菌属(Streptococcus spp.)、シュードモナス属(Pseudomonas spp.)、エンテロコッカス属(Enterococcus spp.)、サルモネラ属(Salmonella spp.)、レジオネラ属(Legionella spp.)、シゲラ属(Shigella spp.)、エルシニア属(Yersinia spp.)、エンテロバクター属(Enterobacter spp.)、エシェリキア属(Escherichia spp.)、バシラス属(Bacillus spp.)、リステリア属(Listeria spp.)、ビブリオ属(Vibrio spp.)、コリネバクテリウム属(Corynebacteria spp.)、並びにヘルペスウイルス、アスペルギルス属(Aspergillus spp.)、フザリウム属(Fusarium spp.)、及びカンジダ属(Candida spp.)のメンバーが挙げられる。特に毒性の高い微生物としては、黄色ブドウ球菌(ストレプトコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)などの耐性株)、表皮ブドウ球菌(ストレプトコッカス・エピダーミス(S. epidermidis))、肺炎レンサ球菌(ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae))、B群レンサ球菌(ストレプトコッカス・アガラクチア(S. agalactiae))、化膿レンサ球菌(ストレプトコッカス・ピオゲネス(S. pyogenes))、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、バンコマイシン耐性エンテロコッカス(VRE)、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)、バンコマイシン低度耐性黄色ブドウ球菌(VISA)、炭疽菌(バシラス・アンスラシス(Bacillus anthracis))、緑膿菌(シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa))、大腸菌(エシェリキア・コリ(Escherichia coli))、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・フミガーツス(A. fumigatus)、アスペルギルス・クラバタス(A. clavatus)、フザリウム・ソラニ(Fusarium solani)、フザリウム・オキシスポラム(F. oxysporum)、フザリウム・クラミドスポラム(F. chlamydosporum)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、リステリア・イバノビイ(Listeria ivanovii)、ビブリオ・コレラ(Vibrio cholera)、ビブリオ・パラヘモリティカス(V. parahaemolyticus)、サルモネラ・コレレスイス(Salmonella choleraesuis)、サルモネラ・チフィ(S. typhi)、サルモネラ・ティフィムリウム(S. typhimurium)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・グラブラタ(C. glabrata)、カンジダ・クルセイ(C. krusei)、エンテロバクター・サカザキ(Enterobacter sakazakii)、大腸菌O157、及び多剤耐性グラム陰性桿菌(MDR)が挙げられる。
【0031】
グラム陽性及びグラム陰性菌は、特に関心の対象となるものである。そのうちで更に関心が持たれるのは、黄色ブドウ球菌などのグラム陽性細菌である。また、特に関心の対象となるものとして、MRSA、VRSA、VISA、VRE、及びMDRを含む抗生物質耐性菌がある。
【0032】
ここで図面を参照すると、
図1〜3は、本開示に基づく試料処理装置1000の幾つかの図を示したものである。装置1000は、本体100、及び必要に応じてプランジャ200を有している。本体100は、第1の端部112及び第1の端部と反対側の第2の端部114を有している。本体100は、処理チャンバ120、第1のリザーバ130、及び第2のリザーバ140を更に有している。必要に応じて用いられるプランジャ200は、柄部201及びシール部材202を有している。本開示の装置の任意の実施形態において、本体100の第2の端部114は、装置1000を基材(図に示されていない)に固定するための固定手段118(例えば両面接着テープ)を必要に応じて有する。
【0033】
本体100及びプランジャ200の少なくとも一部(例えば柄部201)は、当該技術分野では周知の材料及びプロセスを用いて作製することができる。例えば、本体100及びプランジャ200は、適当なポリマー材料(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂)を使用して、従来の成形プロセスによって製造することができる。任意の実施形態において、本体100を形成する材料は光透過性のものである(すなわち材料は透明又は半透明である)。有利な点として、これにより、装置1000を使用する操作者が、装置1000が使用される際に例えばプランジャ200の状態又は液位(例えば試料液、第1のリザーバ130及び/又は第2のリザーバ140内の液体)を観察することが可能である。
【0034】
必要に応じて、任意の実施形態において、シール部材202は、当該技術分野では周知の従来のプロセス(例えば成形プロセス)を用いて、より形状適合性の高い材料(例えばブチルゴム、シリコーンゴム、オイル含浸シリコーンゴム)から作製することができる。これらの実施形態では、シール部材202は、様々な手段(例えば圧入;感圧接着剤、超音波溶接などの接着手段)のいずれかを用いて柄部201に連結される。任意の実施形態において、シール部材は、当該技術分野では周知の「2ショット」成形プロセスを用いて柄部に成形することができる。任意の実施形態において、プランジャの柄部及びシール部材は、プランジャが装置の本体に挿入されるときに液密なシールを形成するうえで充分な柔軟性を有する単一の材料で形成することができる。
【0035】
処理チャンバ120は、本体100の第1の端部112に近接した開口部124を有している。開口部124は、プランジャ200の少なくとも一部を受容するように(例えば形状及び寸法が)構成されている。
【0036】
処理チャンバ120、第1のリザーバ130、及び第2のリザーバ140は、それぞれの構造の形状及び内容積を画定する少なくとも1つの壁を有している。当業者であれば本開示を考慮することで、処理チャンバ、第1のリザーバ、及び第2のリザーバが、本明細書に述べられるような使用に適した様々な形状及びサイズを画定しうることは認識されるであろう。例えば、
図1〜3の例示的な実施形態の処理チャンバ120は、円筒状の処理チャンバを画定する壁122を有している。第1のリザーバ130は、それぞれ壁122及び132によって一部が画定されている。第2のリザーバ140は、それぞれ壁122及び142によって一部が画定されている。したがって、任意の実施形態において、第1のリザーバ130及び/又は第2のリザーバ140は、処理チャンバ120と直接隣接している。有利な点として、この構成(すなわち、処理チャンバに直接隣接した各リザーバ)のために相当にコンパクトな設計が実現される。各リザーバ(第1のリザーバ130及び第2のリザーバ140)及び処理チャンバ120は、ほぼ直線状の配列で示されているが、他の配置(例えば各リザーバと処理チャンバとが三角形の配置を形成する(図示せず))も考えられる。
【0037】
処理チャンバ120の少なくとも1つの壁(例えば壁122)と、図に示される実施形態において、フィルター160(下記に述べる)とは、第1の作動体積(例えば処理チャンバの内容積)を画定している。第1の作動体積は、一般的な試料を処理するのに適した様々な体積から選択することができる。任意の実施形態において、第1の作動体積は、少なくとも約0.02mL〜約100mLである。任意の実施形態において、第1の作動体積は、少なくとも約0.02mL〜約25mLである。任意の実施形態において、第1の作動体積は、少なくとも約0.02mL〜約10mLである。任意の実施形態において、第1の作動体積は、約1mL〜約100mLである。任意の実施形態において、第1の作動体積は、約1mL〜約5mLである。
【0038】
任意の実施形態において、装置1000の本体100は、所定の体積を示すための視覚標示を更に有する。任意の実施形態において、本体100は、複数の視覚標示を有することができる。
図1は、処理チャンバ120の第1の所定の体積及び第2の所定の体積をそれぞれ示す2つの視覚標示(すなわち、第1の視覚標示106及び第2の視覚標示108)を有する装置100を示している。一般的に、視覚標示は、装置1000を比較的平らな水平面上に置き、装置1000内に存在する液体のメニスカス(
図1には示されていない)が一方の標示(すなわち第1の視覚標示106又は第2の視覚標示108)とほぼ同じ高さであるかどうかを視覚に決定することによって使用され、これにより、本体の一部(例えば処理チャンバ120)が所定の体積の液体を保持していることが示される。図に示される実施形態では、両方の視覚標示が処理チャンバ120の所定の体積を示している。任意の実施形態において、第1の所定の体積と第2の所定の体積との比によって作動濃度比を規定することができる。任意の実施形態において、処理チャンバの第1の所定の体積と第2の所定の体積との比は、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約10:1、約20:1、約50:1、又は約100:1であってよい。
【0039】
これに代えるか又はこれに加えて、任意の実施形態において、本体が、第1のリザーバの所定の体積を示す視覚標示(図示せず)、及び/又は第2のリザーバの所定の体積を示す視覚標示(図示せず)を有してもよい。任意の実施形態において、本体は、第1のリザーバ及び/又は第2のリザーバの第1及び第2の所定の体積を示す複数の視覚標示を有することができる。有利な点として、後述するように、第1のリザーバの第1の所定の体積を示す第1の視覚標示を使用して、例えば第1のリザーバに入れられる洗浄液(例えば水、バッファ)の充填体積を示すことができ、第2の所定の体積を示す第2の視覚標示を使用して、適切な体積の洗浄液が第1のリザーバから処理チャンバに移されたことを示すことができる。有利な点として、後述するように、第2のリザーバの所定の体積を示す視覚標示を使用して、処理チャンバ内で処理されている試料が、適切な体積の液体で洗浄され、かつ/又は充分に濃縮され、更なる処理を行える状態となったことを示すことができる。
【0040】
処理チャンバ120の壁122、及びプランジャ200の少なくとも一部(例えば柄部201及びシール部材202)は、プランジャの少なくとも一部を処理チャンバ内に取り出し可能に挿入し、処理チャンバの少なくとも一部にわたってスライドさせて動かすことができるように構成されている。好ましくは、プランジャ200の一部(例えばシール部材202)は、処理チャンバ120の壁122と係合するときにほぼ液密の嵌め合いを形成し、これにより、プランジャが処理チャンバ内に挿入され、本体100の第2の端部114又は第1の端部112に向けて押されるときに処理チャンバ内に陽圧又は陰圧が確立される助けとなる。
【0041】
第1のリザーバ130は、処理チャンバ120と流体連通している。
図3aは、第1のリザーバ130内の開口部(すなわち
図2の開口部131)から処理チャンバ120内の開口部121bまで本体100を通じて延びる第1の流体経路195の詳細図を示している。第1の流体経路195内(すなわち処理チャンバ120内で本体100の第2の端部114に近接した)で、フィルター160が配置されている。フィルターは、第1の流体経路195内で処理チャンバ120に向けられた第1の面162を有している。図に示される実施形態では、フィルター160は、保持構造168(例えば摩擦嵌め又は接着剤によって定位置に固定されるOリング)によってその動作可能な位置に固定されている。フィルター160は、開口部(それぞれ121a、121b、131、及び141)及び逆止弁(それぞれ172及び174)を示すために
図2では示されていない。
【0042】
第1のリザーバ130の少なくとも1つの壁(例えば壁132)と第1の逆止弁172(後述する)とは、第2の作動体積(例えば第1のリザーバの内容積)を画定する。第2の作動体積は、試料を処理するのに適した様々な体積から選択することができる。任意の実施形態において、第1のリザーバ130には、処理チャンバ120内で処理される試料物質を希釈、洗浄、及び/又は再懸濁(例えば濃縮)するために使用される液体(
図1には示されていない)が入れられる。したがって、第2の作動体積は、装置が使用される方法の多くの因子に基づいて選択することができる。当業者であれば、これらの因子として、例えば試料物質が何回洗浄されるか、各洗浄工程で使用される液体の体積、試料物質が希釈又は再懸濁される最終体積が含まれることは認識されるであろう。任意の実施形態において、第2の作動体積は第1の作動体積よりも小さい。任意の実施形態において、第2の作動体積は第1の作動体積とほぼ等しい。任意の実施形態において、第2の作動体積は第1の作動体積よりも大きい。
【0043】
任意の実施形態において、第1のリザーバ130は、必要に応じてバックフラッシュ液136を含んでもよい。後述するように、バックフラッシュ液は、第1のリザーバ130からフィルター160を通じて押し出される。バックフラッシュ液136は、フィルター160から押し出される際に、フィルターに付着した微粒子状物質(例えば微生物などの微粒子状物質)を洗い流し、必要に応じて再懸濁することができる。任意の実施形態において、バックフラッシュ液136は水を含みうる。任意の実施形態において、バックフラッシュ液136は界面活性剤を含みうる。任意の実施形態において、バックフラッシュ液136は、所定のイオン強度又は浸透圧強度を維持するために1種類以上の溶質(例えば塩、糖)を含むことができる。
【0044】
任意の実施形態において、フィルター160は、処理チャンバ120から第2のリザーバ140への生物学的細胞の通過を実質的に防止するように構成することができる。任意の実施形態において、これは、一般的な生物学的細胞よりも小さい公称孔径を有するフィルター160を使用することによって実現することができる。メンブレンフィルターは、本開示の装置の任意の実施形態においてフィルター160として使用するのに適した材料の非限定的な例である。例えば0.45μm又は0.2μmの公称多孔度を有するメンブレンフィルターは、微生物細胞を保持するうえで適当である。例えば0.45μm又は0.2μmの公称多孔度を有するメンブレンフィルターは、微生物細胞を保持するうえで適当である。例えば最大10μmの公称多孔度を有するメンブレンフィルターは、酵母細胞、カビ細胞、植物細胞、又は動物細胞を保持するうえで適当である。
【0045】
任意の実施形態において、フィルター160は、処理チャンバから第1のリザーバ130及び/又は第2のリザーバ140への細胞濃縮剤(例えば生物学的細胞に結合するように適合された抗体結合粒子などの粒子)の通過を実質的に防止するように構成することができる(例えばその位置、サイズ、形状、及び公称孔径によって)。適当な細胞濃縮剤の非限定的な例としては、活性炭、ヒドロキシアパタイト(Berry et al.;Appl.Environ.Microbiol.;63:4069〜4074;1997)、磁気ビーズ(Oster et al.,J.Magnetism and Magnetic Mat.;225:145〜150;2001)、フェリ磁性鉱物、磁鉄鉱、キトサン、及び親和性支持体が挙げられる。適当な濃縮剤の他の例は、参照によって本明細書にその全容を援用するところの米国特許出願公開第2010/0062421号に見ることができる。
【0046】
フィルター160が細胞濃縮剤の通過を実質的に防止するように構成される場合、フィルターの公称孔径は細胞濃縮剤と結合した細胞よりも大きくてもよい。本明細書に述べられるように、細胞濃縮剤の通過を防止することにより、フィルター160は、細胞濃縮剤及びこれに付着したあらゆる生物学的細胞を処理チャンバ120内での処理に曝される状態に維持することができる。これらの実施形態では、フィルター160の適当な孔径は、約1ミクロン、約2ミクロン、約5ミクロン、又はそれよりも大きくてよい。当業者であれば、これらの実施形態では、フィルターの孔径は細胞濃縮剤のサイズ(例えば直径の中央値)に基づいて選択することができる点は認識されるであろう。有利な点として、これらの実施形態では、より大きな孔径を有するフィルターを使用することにより、より速やかな濾過速度が可能となりうる。
【0047】
第1の逆止弁172が、第1の流体経路195内でフィルター160と第1のリザーバ130との間に配置されている。第1の逆止弁172は、処理チャンバ120と第1のリザーバ130との間の選択的(例えば方向選択的、動作選択的)な流体連通をもたらすものである。第1の逆止弁172としての使用に適した逆止弁としては、例えばベルビル型、アンブレラ型、及びダックビル型の逆止弁が挙げられる。動作選択性は、第1の逆止弁172における流体の通過を可能とするために上回らなければならない所定のクラッキング圧(すなわち、バルブを開かせる陽圧又は陰圧の閾値)を有する逆止弁を使用することによって維持することができる。そのため、任意の実施形態において、第1の逆止弁172は圧力作動型逆止弁からなる。方向選択性は、第1の逆止弁172が実質的に一方向の流体の流れを促進するように、第1の逆止弁172を第1の流体経路195内に整列させることによって維持することができる。任意の実施形態において、第1の逆止弁172は、第1のリザーバ130から処理チャンバ120への実質的に一方向の液体の流れを促す。したがって、第1の逆止弁172は、処理チャンバ120から第1のリザーバ130への液体の流れを実質的に防止する。
【0048】
第2のリザーバ140も同様に処理チャンバ120と流体連通している。
図3aは、第2のリザーバ140からフィルター160を通り、処理チャンバ120内へと延びる第2の流体経路197の詳細図を示している。第2の流体経路197は、第2のリザーバ140内の開口部141、処理チャンバ120内の開口部121a、及びフィルター(
図3及び3aのフィルター160、
図2には示されていない)を通る。したがって、第1の流体経路195及び第2の流体経路197はいずれもフィルターを通っている。
【0049】
第2の逆止弁174が、第2の流体経路197内でフィルター160と第2のリザーバ140との間に配置されている。第2の逆止弁174は、処理チャンバ120と第2のリザーバ140との間の選択的(例えば方向選択的、動作選択的)な流体連通をもたらすものである。第2の逆止弁174としての使用に適した逆止弁としては、例えばベルビル型、アンブレラ型、及びダックビル型の逆止弁が挙げられる。動作選択性は、第2の逆止弁174における流体の通過を可能とするために上回らなければならない所定のクラッキング圧(すなわち、バルブを開かせる陽圧又は陰圧の閾値)を有する逆止弁を使用することによって維持することができる。そのため、任意の実施形態において、第2の逆止弁174は圧力作動型逆止弁からなる。方向選択性は、第2の逆止弁174が実質的に一方向の流体の流れを促進するように、第2の逆止弁174を第2の流体経路197内に整列させることによって維持することができる。任意の実施形態において、第2の逆止弁174は、処理チャンバ120から第2のリザーバ140への実質的に一方向の液体の流れを促す。したがって、第2の逆止弁174は、第2のリザーバ140から処理チャンバ120への液体の流れを実質的に防止する。
【0050】
第2のリザーバ140の少なくとも1つの壁(例えば壁142)と第2の逆止弁174とは、第3の作動体積(例えば第2のリザーバの内容積)を画定する。第3の作動体積は、試料を処理するのに適した様々な体積から選択することができる。任意の実施形態において、第2のリザーバ140は、処理を行おうとする試料を含む液体の部分(例えば濾液、
図1には示されていない)を受容する。更に、第2のリザーバ140は、処理チャンバ120内で処理される試料物質を希釈及び/又は洗浄するために使用される液体の部分を必要に応じて受容する。したがって、第3の作動体積は、装置が使用される方法の多くの因子に基づいて選択することができる。当業者であれば、これらの因子として、例えば試料物質が何回洗浄されるか、及び、各洗浄工程で使用される液体の体積が含まれることは認識されるであろう。任意の実施形態において、第3の作動体積は第1の作動体積よりも小さい。任意の実施形態において、第3の作動体積は第1の作動体積とほぼ等しい。任意の実施形態において、第3の作動体積は第1の作動体積よりも大きい。
【0051】
第1のリザーバ130及び第2のリザーバ140は、本体100の第1の端部112に近接した開口部(それぞれ開口部134及び144)を有している。開口部134及び144は、液体がリザーバ内に、又はリザーバから移送される際に各リザーバ内の圧力を平衡化することを可能とするベントとして機能する。任意の実施形態において、第1のリザーバ130のベント(例えば開口部134)及び/又は第2のリザーバ140のベント(例えば開口部144)は、
図1〜3に示されるよりも大幅に小さくてもよいことが想到される。任意の実施形態において、ベントの1つ以上(それぞれ開口部134又は144)が、リザーバ内へ又はリザーバからの生物学的細胞の通過を実質的に防止する一方で、リザーバ内へ又はリザーバからの空気の通過は実質的に許容する多孔質層(例えば濾材、図示せず)を含むことができる。
【0052】
任意の実施形態において、本開示の装置は、第2のリザーバ内に配置される吸水性材料(図示せず)を更に有することができる。この材料は、処理チャンバから第2のリザーバ内に移送される液体を吸収する機能を有する。これにより、装置が誤って倒れた、傾いた、落とされた、又はひび割れた場合に第2のリザーバから液体が大量に漏れる可能性が低減される。適当な吸水性材料の非限定的な例としては、セルロース系繊維材料、デンプンアクリロニトリルコポリマー、ポリアクリレート/ポリアクリルアミドコポリマーなどが挙げられる。任意の実施形態において、吸収性材料は型成形することができる。
【0053】
別の態様では、本開示は試料を処理する方法を提供する。本方法によれば、試料は、試料を処理する前に試料中に存在する微生物の兆候を検出するために処理することができる。有利な点として、本方法は、例えば微生物のより速やかかつ/又はより高感度かつ/又はより特異的な検出のように、改善された結果をもたらすことができる。理論によって束縛されるものではないが、これらの結果は、本方法により、1)より大きな体積の液体中に試料を希釈することで微生物の検出を阻害する物質の濃度を低め、2)検出しようとする微生物からの1種類以上の生体分子をより小さい体積の液体に濃縮し、3)微生物の検出を阻害する可溶性物質を試料から濾過によって除去し、かつ/又は4)濃縮及び細胞溶解工程を1つの容器内で行い、これにより、これらのそれぞれのプロセスを行うために使用される別々の容器間で試料の部分が移送されるときに起こりうる物質の潜在的な損失を避けることで促進されうる。
【0054】
本開示に基づく試料の処理方法は、液体を含む試料を、本明細書に開示される試料を処理するための装置の実施形態のいずれか1つの処理チャンバ内に入れる工程を含む。この方法は、更に、液体の少なくとも一部を、フィルターを通じて処理チャンバから(例えば第2のリザーバ内に)押し出す工程と、液体の少なくとも一部をフィルターを通じて押し出す工程の後に、バックフラッシュ液の第1の部分を、第1のリザーバからフィルターを通じて処理チャンバ内に押し出して、第1の処理済み試料を形成する工程と、試料の少なくとも一部を分析して微生物の兆候を検出する工程と、を含み、試料の少なくとも一部を分析する工程が、第1の処理済み試料の少なくとも一部を分析する工程を含む。
【0055】
図4a〜4gは、本開示に基づく試料の処理方法の一実施形態において使用中の本開示の装置1000の一連の断面図を示したものである。
【0056】
図4aは、本開示の装置1000の処理チャンバ120内に入れられつつある(例えばピペットによって、又は注ぎ込むことによって)試料80を示している。試料80は、本開示に基づく処理を促進するための液体を含んでいる。装置1000は、本体100とプランジャ200とを備えている。本体100は、第1の端部112及び第1の端部と反対側の第2の端部114を有している。本体100は、本体100の第1の端部112に近接した開口部124、処理チャンバと第1の流体経路(図に示されていない)を介して選択的に流体連通した第1のリザーバ130、処理チャンバと第2の流体経路(図に示されていない)を介して選択的に流体連通した第2のリザーバ140、及び、第1の流体経路及び第2の流体経路が通るフィルター160を有している。上記に述べたように、処理チャンバ120はプランジャ200を受容するように構成されている。
【0057】
任意の実施形態において、試料80は、試料ポート(例えば
図7に示される試料ポート125、又は
図8に示される試料ポート125’)を介して処理チャンバ120内に入れることができる。これらの実施形態では、プランジャ200は、試料80がチャンバ内に入れられる間に処理チャンバ120内に部分的に挿入することができる(
図8に示されるように)。そうでない場合には、
図4bに示されるように、試料80が処理チャンバ120内に入れられた後で、プランジャ200を処理チャンバ内に挿入する。
【0058】
任意の実施形態において、処理チャンバ120内に入れられる試料80の量は所定の量とすることができる。任意の実施形態において、操作者は、第1の視覚標示(
図1に示される)を使用することで所定の体積の試料80を処理チャンバ120内に入れることができる。
【0059】
この方法は、更に、試料80の液体の少なくとも一部をフィルター160を通じて押し出す工程を含む。これは、
図4cに矢印「A」によって示されるように、本体100の第2の端部114に向けてプランジャ200を処理チャンバ120を通じて押し込むことによって実現することができる。プランジャ200を第2の端部114に向けて押し込むことによって、処理チャンバ120内に陽圧が生じ、これが第2の逆止弁174を開くことによって、液体(すなわち試料濾液190)が第2の流体経路197を通って処理チャンバから第2の逆止弁174を通り、第2のリザーバ140内に流れることが可能となる。
【0060】
当業者であれば、代替的な実施形態(図示せず)において、第2のリザーバ140に陰圧を加える(例えば真空ポンプを用いて)ことによって、フィルター160を通じて第2のリザーバ140内に流れるように流体を圧送することができる点は認識されるであろう。この実施形態は、液体を第2のリザーバ140に移動させるためにプランジャ200の使用を必要としない。
【0061】
液体の少なくとも一部をフィルター160を通じて押し出す工程の後に、
図4dに示されるように、バックフラッシュ液136の第1の部分が、第1の流体経路195を介して第1のリザーバ130からフィルター160を通じて処理チャンバ120内に流入させられる。バックフラッシュ液136の第1の部分を第1のリザーバ130からフィルター160を通じて流すには、
図4dに示されるように、プランジャ200を処理チャンバ120を通じて本体100の第1の端部112に向けて動かせば(例えば引き抜けば)よい。プランジャ200を第1の端部112に向けて引き抜くことによって、処理チャンバ120内に陰圧が生じ、これが第1の逆止弁172を開くことによって、液体が第1の流体経路195を通って第1のリザーバ130から第1の逆止弁172を通り、処理チャンバ120内に流れ込んで、第1の処理済み試料82を形成する。第1の処理済み試料82は、フィルター160によって保持された試料80からのすべての微粒子状物質81、フィルター160を通じて押し出されなかった試料80からの液体物質、及び第1のリザーバ130から処理チャンバ120へと移動したすべてのバックフラッシュ液136を含んでいる。
【0062】
当業者であれば、第1のリザーバ130から第1の流体経路195を通って処理チャンバ120内に液体を流す他の方法が認識されるであろう。例えば、任意の実施形態において、外部の真空源(例えば真空ポンプ、図示せず)によって処理チャンバ120に陰圧を加えることができる。あるいは、第1のリザーバ130に陽圧を加えてもよい(例えば圧縮ガス又は空気によって(図示せず)、図に示されない第1のリザーバベントから第1のリザーバに加える(図示せず))。
【0063】
本方法の任意の実施形態において、試料80は第1の所定体積を有する。任意の実施形態において、第1の処理済み試料82は第2の所定体積を有する。任意の実施形態において、第2の所定体積は第1の所定体積以上である。任意の実施形態において、第2の所定体積は第1の所定体積以下である。任意の実施形態において、第2の所定体積の体積は、第1の所定体積の所定の割合(例えば1/2、1/3、1/4、1/5、1/10、1/100)である。したがって、第1の処理済み試料82を形成する工程は、試料80の微粒子状物81をより小さい体積に濃縮する工程を含みうる。任意の実施形態において、第1の処理済み試料82を形成する工程は、処理チャンバ又は第1のリザーバ上の視覚標示(図示せず)を使用して第2の所定体積を有する第1の処理済み試料82を生成する工程を含みうる。例えば、処理チャンバ120内の体積を示す視覚標示を使用して、適切な体積のバックフラッシュ液136がフィルター160を通じて処理チャンバ内に移されたことを判定することができる。あるいは、第1のリザーバ130内の体積を示す視覚標示を使用して、適切な体積のバックフラッシュ液136がフィルター160を通じて処理チャンバ120内に移されたことを判定することができる。
【0064】
第1の処理済み試料82が形成された後、第1の処理済み試料の一部を分析して微生物の兆候を検出することができる。この部分は、当該技術分野では周知の様々な分析方法を用いて分析することができる。必要に応じて、第1の処理済み試料82の一部を分析する前に、細胞を透過性として、細胞内分子(例えば核酸)を検出できるようにするために、処理チャンバ120(第1の処理済み試料82が入った状態)の温度を約95〜100℃に調節することができる。あるいは、第1の処理済み試料82の一部を処理チャンバ120から取り出して(例えばピペットにより)、反応チューブに移してからその部分を熱処理してもよい。任意の実施形態において、温度は、例えば、装置1000を加熱した装置(例えば図に示されていないインキュベーター又は水浴)内に置くことによって調節することができる。小型の装置1000全体を加熱された装置内に置くことによって処理チャンバ120の温度を調節できる点は有利である。
【0065】
第1の処理済み試料82の一部を分析することに代えるか、かつ/又はそれに加えて、
図4eに示されるように、第1の処理済み試料の少なくとも一部が処理チャンバ120からフィルター160を通じて第2のリザーバ140内に押し出される。この部分は、フィルター160を通じて押し出すことができる。これは、上記に述べたように矢印「A」によって示されるように、本体100の第2の端部114に向けてプランジャ200を処理チャンバ120を通じて押し込むことによって実現することができる。プランジャ200を第2の端部114に向けて押し込むことによって、処理チャンバ120内に陽圧が生じ、これが第2の逆止弁174を開くことによって、液体が第2の流体経路197を通って処理チャンバから第2の逆止弁174を通り、第2のリザーバ140内に流れ、そこで試料濾液190と混合されて、希釈された試料濾液191を形成する。
【0066】
第1の処理済み試料82の液体の少なくとも一部をフィルター160を通じて押し出す工程の後に、
図4fに示されるように、バックフラッシュ液136の第2の部分が、第1の流体経路195を介して第1のリザーバ130からフィルター160を通じて処理チャンバ120内に流入させられる。バックフラッシュ液136の第2の部分を第1のリザーバ130からフィルター160を通じて流すには、
図4fに示されるように、プランジャ200を処理チャンバ120を通じて本体100の第1の端部112に向けて動かせば(例えば引き抜けば)よい。プランジャ200を第1の端部112に向けて引き抜くことによって、処理チャンバ120内に陰圧が生じ、これが第1の逆止弁172を開くことによって、液体が第1の流体経路195を通って第1のリザーバ130から第1の逆止弁172を通り、処理チャンバ120内に流れ込んで、第2の処理済み試料84を形成する。第2の処理済み試料84は、フィルター160によって保持された試料80からのすべての微粒子状物質81、フィルター160を通じて押し出されなかった試料80からのすべての液体物質、及び第1のリザーバ130から処理チャンバ120へと移動したすべてのバックフラッシュ液136を含んでいる。
【0067】
本方法の任意の実施形態において、試料80は第1の所定体積を有する。任意の実施形態において、第2の処理済み試料84は第3の所定体積を有する。任意の実施形態において、第3の所定体積は第1の所定体積以上である。任意の実施形態において、第3の所定体積は第1の所定体積以下である。任意の実施形態において、第3の所定体積の体積は、第1の所定体積の所定の割合(例えば1/2、1/3、1/4、1/5、1/10、1/100)である。したがって、第2の処理済み試料84を形成する工程は、試料80の微粒子状物81をより小さい体積に濃縮する工程を含みうる。任意の実施形態において、第2の処理済み試料84を形成する工程は、処理チャンバ又は第1のリザーバ上の視覚標示(図示せず)を使用して、第3の所定体積を有する第2の処理済み試料84を生成する工程を含みうる。例えば、処理チャンバ120内の体積を示す視覚標示を使用して、適切な体積のバックフラッシュ液136がフィルター160を通じて処理チャンバ内に移されたことを判定することができる。あるいは、第1のリザーバ130内の体積を示す視覚標示を使用して、適切な体積のバックフラッシュ液136がフィルター160を通じて処理チャンバ120内に移されたことを判定することができる。
【0068】
第2の処理済み試料84が形成された後、第2の処理済み試料の一部を分析して微生物の兆候を検出することができる。この部分は、当該技術分野では周知の様々な分析方法を用いて分析することができる。必要に応じて、第2の処理済み試料84の一部を分析する前に、細胞を透過性として、細胞内分子(例えば核酸)を検出できるようにするために、処理チャンバ120(第2の処理済み試料84が入った状態)の温度を約95〜100℃に調節することができる。任意の実施形態において、温度は、例えば、装置1000を加熱した装置(例えば図に示されていないインキュベーター又は水浴)内に置くことによって調節することができる。小型の装置1000全体を加熱された装置内に置くことによって処理チャンバ120の温度を調節できる点は有利である。装置が加熱される前にプランジャを処理チャンバから引き抜くことによって、加熱時に処理チャンバ内の圧力の上昇を防止することが好ましい。
【0069】
第1の処理済み試料82又は第2の処理済み試料84を形成する工程の後に、いずれか(又は両方の)処理済み試料の一部を分析して微生物の兆候を検出する。必要に応じて、処理済み試料は、微生物の兆候を検出するために分析する前に加熱処理することができる。熱処理は本明細書に述べられる装置1000内で行ってもよく、又は処理済み試料の一部を熱処理を行うために装置から取り出してもよい。第2の処理済み試料84、又はその一部は、熱処理の前又は後で、
図4hに示されるように処理チャンバからプランジャ200を引き抜き、第2の処理済み試料をピペットで抜き取ることによって、処理チャンバ120から取り出すことができる。
【0070】
第1の処理済み試料の少なくとも一部を分析するか又は第2の処理済み試料の少なくとも一部を分析して微生物の兆候を検出することは、当該技術分野では周知の様々なプロセスを用いて行うことができる。任意の実施形態において、第1の処理済み試料又は第2の処理済み試料の少なくとも一部を分析する工程は、微生物の培養技術(例えば半固体培地上での増殖、液体培地中での増殖)を用いて微生物の兆候を検出して、生存可能な微生物を検出する工程を含む。任意の実施形態において、第1の処理済み試料又は第2の処理済み試料の少なくとも一部を分析する工程は、生化学的検出技術(例えば、e−noseセンサー内で抗原、核酸、酵素活性、又は代謝物質の固有の群を検出する)を用いて微生物の兆候を検出する工程を含む。任意の実施形態において、第1の処理済み試料又は第2の処理済み試料の少なくとも一部を分析する工程は、培養技術と生化学的検出技術との組み合わせを含む。
【0071】
任意の実施形態において、第1の処理済み試料又は第2の処理済み試料の少なくとも一部を分析する工程は、核酸検出技術を用いて微生物の兆候を検出する工程を含む。好ましい一実施形態では、部分は、スリー・エム社(3M Company)(ミネソタ州セントポール)より販売されるMolecular Detection Systemを使用して分析される。
【0072】
更なる別の実施形態では、本開示は、複数の試料を処理するための装置を提供する。この装置は、複数の試料処理モジュールを有する。任意の実施形態において、装置内の複数のモジュールを使用して、異なる試料を処理することができる。任意の実施形態において、装置内の複数のモジュールを使用して、同じ試料の異なる部分(例えば複製部分)を処理することができる。
【0073】
再び図面に戻り、
図5は、複数の試料を処理するための装置2000の一実施形態を示している。装置2000は、本体2100を有している。本体2100は、複数の試料処理モジュール2105を有している。したがって、本体2100は、少なくとも第1の試料処理モジュール及び第2の試料処理モジュールを有し、本体内の第1のモジュールは本体内の第2のモジュールに連結されている。後述するように、各試料処理モジュール2105は互いに分離可能に連結することができる。
【0074】
必要に応じて、装置2000は少なくとも1つのプランジャ200を有する。任意の実施形態において、装置は複数のプランジャを有してもよい(図示せず)。任意の実施形態(図示せず)において、複数のプランジャは、各プランジャを別々の試料処理モジュール内に挿入することができるが、複数のプランジャを1つのユニットとして動かすことができるように、動作可能に連結、離間、及び整列させることができる。
【0075】
図5に戻ると、本体2100は、第1の端部112及び第1の端部と反対側の第2の端部114を有している。本体2100は、8個の試料処理モジュール2105を更に有している。各試料処理モジュール2105は、処理チャンバ120、第1のリザーバ130、及び第2のリザーバ140を有しており、各処理チャンバ、第1のリザーバ、及び第2のリザーバは上記に述べたとおりのものである。上記に述べたように、必要に応じて用いられるプランジャ200は、柄部201及びシール部材202を有している。
【0076】
本体2100、及びプランジャ200の少なくとも一部(例えば柄部201)は、当該技術分野では周知の材料及びプロセスを用いて作製することができる。例えば、本体2100及びプランジャ200は、適当なポリマー材料(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂)を使用して、従来の成形プロセスによって製造することができる。任意の実施形態において、本体2100を形成する材料は光透過性のものである(すなわち材料は透明又は半透明である)。有利な点として、これにより、装置2000を使用する操作者が、装置2000が使用される際に例えばプランジャ200の状態又は液位(例えば試料液、第1のリザーバ130及び/又は第2のリザーバ140内の液体)を観察することが可能である。
【0077】
必要に応じて、任意の実施形態において、シール部材202は、当該技術分野では周知の従来のプロセス(例えば成形プロセス)を用いて、より形状適合性の高い材料(例えばブチルゴム、シリコーンゴム、オイル含浸シリコーンゴム)から作製することができる。これらの実施形態において、シール部材202は、様々な手段(例えば圧入;感圧接着剤、超音波溶接などの接着手段)のいずれかを用いて柄部201に連結される。
【0078】
各試料処理モジュール2105の処理チャンバ120は、本体2100の第1の端部112に近接した開口部124を有している。開口部124は、プランジャ200の少なくとも一部を受容するように(例えば形状及び寸法が)構成されている。
【0079】
各試料処理モジュール2105の処理チャンバ120と第1のリザーバ130とは、上記に述べ、また
図3aに示したような第1の流体経路を介して選択的に流体連通している。各試料処理モジュール2105の、第1の流体経路内で第1のリザーバ130と処理チャンバ120との間には、上記に述べ、また
図3aに示したような第1の逆止弁172と同様の第1の逆止弁が配置されている。更に、各試料処理モジュール2105の処理チャンバ120と第2のリザーバ140とは、上記に述べ、また
図3aに示したような第2の流体経路を介して選択的に流体連通している。各試料処理モジュール2105の、第2の流体経路内で第2のリザーバ140と処理チャンバ120との間には、上記に述べ、また
図3aに示したような第2の逆止弁174と同様の第2の逆止弁が配置されている。
【0080】
各試料処理モジュール2105の第1の流体経路内で、例えば、上記に述べ、また
図3aに示したようなフィルター(図に示されていない)が配置されている(例えば処理チャンバ120内で、本体100の第2の端部114に近接した)。フィルターは、第1の流体経路内で処理チャンバに向けられた第1の面を有している。フィルターは、上記に述べたように保持構造によってその動作可能な位置に固定することができる。
【0081】
処理チャンバ120、第1のリザーバ130、及び第2のリザーバ140は、それぞれの構造の形状及び内容積を画定する少なくとも1つの壁を有している。当業者であれば本開示を考慮することで、処理チャンバ、第1のリザーバ、及び第2のリザーバが、本明細書に述べられるような使用に適した様々な形状及びサイズを画定しうることは認識されるであろう。例えば、
図5の例示的な実施形態の処理チャンバ120は、円筒状の処理チャンバを画定する壁122を有している。第1のリザーバ130は、それぞれ壁122及び132によって一部が画定されている。第2のリザーバ140は、それぞれ壁122及び142によって一部が画定されている。したがって、任意の実施形態において、第1のリザーバ130及び/又は第2のリザーバ140は、各それぞれの試料処理モジュール2105において処理チャンバ120と直接隣接している。有利な点として、この構成(すなわち、処理チャンバに直接隣接した各リザーバ)のために相当にコンパクトな設計が実現される。更に、各試料処理モジュール2105は、各処理チャンバ120の開口部124間がほぼ均一な間隔となるような直線状の配列に配置することができる。有利な点として、この構成により、操作者は、複数の試料を同時に処理するときにマルチチャンネルピペッターを使用することができる。
【0082】
処理チャンバ120の少なくとも1つの壁(例えば壁122)と、フィルター(図示せず)とは、上記で本体1000について述べたように第1の作動体積(例えば処理チャンバの内容積)を画定することができる。任意の実施形態において、複数の試料処理モジュールのそれぞれの処理チャンバ120の第1の作動体積はほぼ等しくてよい。第1の作動体積は、一般的な試料を処理するのに適した様々な体積から選択することができる。任意の実施形態において、第1の作動体積は、少なくとも約0.02mL〜約100mLである。任意の実施形態において、第1の作動体積は、少なくとも約0.02mL〜約25mLである。任意の実施形態において、第1の作動体積は、少なくとも約0.02mL〜約10mLである。任意の実施形態において、第1の作動体積は、約1mL〜約100mLである。任意の実施形態において、第1の作動体積は、約1mL〜約5mLである。
【0083】
任意の実施形態において、装置2000の本体100は、上記に述べたような所定の体積を示すための1以上の視覚標示106を更に有する。かかる1以上の視覚標示は、装置2000のすべての試料処理モジュール2105の第1のリザーバ130内の所定の体積を示すことができる。図に示されない代替的な実施形態では、1以上の視覚標示は、すべての試料処理モジュールの処理チャンバ及び/又は第2のリザーバ内の所定の体積を示すことができる。
【0084】
各処理チャンバ120の壁122、及び各プランジャ200の少なくとも一部(例えば柄部201及びシール部材202)は、プランジャの少なくとも一部を処理チャンバ内に取り出し可能に挿入し、処理チャンバの少なくとも一部にわたってスライドさせて動かすことができるように構成されている。好ましくは、プランジャ200の一部(例えばシール部材202)は、処理チャンバ120の壁122と係合するときにほぼ液密の嵌め合いを形成し、これにより、プランジャが処理チャンバ内に挿入され、本体2100の第2の端部114又は第1の端部112に向けて押されるときに処理チャンバ内に陽圧又は陰圧が確立される助けとなる。
【0085】
各試料処理モジュール2105内において、第1のリザーバ130は、
図3aに装置1000について示したような第1の流体経路を介して処理チャンバ120と流体連通している。第1の流体経路内(すなわち処理チャンバ120内で本体2100の第2の端部114に近接した)で、フィルター(
図3aに示されるような)が配置されている。フィルターは、第1の流体経路内で処理チャンバ120に向けられた第1の面を有しており、上記で詳細に説明されている。必要に応じて、フィルターは、上記に述べたように保持構造によってその動作可能な位置に固定される。
【0086】
各試料処理モジュール2105の第1のリザーバ130の少なくとも1つの壁(例えば壁132)と第1の逆止弁(後述する)とは、第2の作動体積(例えば上記に述べたような第1のリザーバの内容積)を画定する。第2の作動体積は、試料を処理するのに適した様々な体積から選択することができる。任意の実施形態において、第1のリザーバ130には、処理チャンバ120内で処理される試料物質を希釈、洗浄、及び/又は再懸濁(例えば濃縮)するために使用される液体(
図5には示されていない)が入れられる。したがって、第2の作動体積は、装置が使用される方法の多くの因子に基づいて選択することができる。当業者であれば、これらの因子として、例えば試料物質が何回洗浄されるか、各洗浄工程で使用される液体の体積、試料物質が希釈又は再懸濁される最終体積が含まれることは認識されるであろう。任意の実施形態において、第2の作動体積は第1の作動体積よりも小さい。任意の実施形態において、第2の作動体積は第1の作動体積とほぼ等しい。任意の実施形態において、第2の作動体積は第1の作動体積よりも大きい。
【0087】
任意の実施形態において、すべての試料処理モジュール2105の第1のリザーバ130は、必要に応じて、上記に述べたバックフラッシュ液136と同様のバックフラッシュ液(図示せず)を含むことができる。本明細書に述べられるように、バックフラッシュ液は第1のリザーバ130からフィルターを通じて押し出される。バックフラッシュ液は、フィルターから押し出される際に、フィルターに付着した微粒子状物質(例えば微生物などの微粒子状物質)を洗い流し、必要に応じて再懸濁することができる。任意の実施形態において、バックフラッシュ液は水を含みうる。任意の実施形態において、バックフラッシュ液は界面活性剤を含みうる。任意の実施形態において、バックフラッシュ液は、所定のイオン強度又は浸透圧強度を維持するために1種類以上の溶質(例えば塩、糖)を含むことができる。
【0088】
第1の逆止弁(図示せず)が、各試料処理モジュール2105の第1の流体経路内でフィルターと第1のリザーバ130との間に配置されている。第1の逆止弁は、上記で装置1000について述べたように、処理チャンバ120と第1のリザーバ130との間の選択的(例えば方向選択的、動作選択的)な流体連通をもたらすものである。第1の逆止弁としての使用に適した逆止弁としては、ダックビル型の逆止弁が挙げられる。動作選択性は、第1の逆止弁における流体の通過を可能とするために上回らなければならない所定のクラッキング圧(すなわち、バルブを開かせる陽圧又は陰圧の閾値)を有する逆止弁を使用することによって維持することができる。そのため、任意の実施形態において、すべての試料処理モジュール2105の第1の逆止弁は、圧力作動型逆止弁からなる。方向選択性は、第1の逆止弁が実質的に一方向の流体の流れを促進するように、第1の逆止弁を第1の流体経路内に整列させることによって維持することができる。任意の実施形態において、第1の逆止弁は、第1のリザーバ130から処理チャンバ120への実質的に一方向の液体の流れを促す。したがって、第1の逆止弁は、試料処理モジュール2105において処理チャンバ120から第1のリザーバ130への液体の流れを実質的に防止する。
【0089】
第2のリザーバ140もまた、
図3aに示され、また上記に述べたように、第2のリザーバからフィルターを通って処理チャンバ内に延びる第2の流体経路を介して、各試料処理モジュール2105内で処理チャンバ120と流体連通している。したがって、第1の流体経路及び第2の流体経路はいずれも、各試料処理モジュール2105内でフィルターを通っている。
【0090】
第2の逆止弁(図に示されていない)が、各試料処理モジュール2105の第2の流体経路内でフィルターと第2のリザーバとの間に配置されている。第2の逆止弁は、処理チャンバ120と第2のリザーバ140との間の選択的(例えば方向選択的、動作選択的)な流体連通をもたらすものである。第2の逆止弁としての使用に適した逆止弁としては、ダックビル型の逆止弁が挙げられる。動作選択性は、第2の逆止弁における流体の通過を可能とするために上回らなければならない所定のクラッキング圧(すなわち、バルブを開かせる陽圧又は陰圧の閾値)を有する逆止弁を使用することによって維持することができる。そのため、任意の実施形態において、第2の逆止弁は圧力作動型逆止弁からなる。方向選択性は、第2の逆止弁が実質的に一方向の流体の流れを促進するように、第2の逆止弁を第2の流体経路内に整列させることによって維持することができる。任意の実施形態において、第2の逆止弁は、各試料処理モジュール2105内で処理チャンバ120から第2のリザーバ140への実質的に一方向の液体の流れを促す。したがって、第2の逆止弁は、第2のリザーバ140から処理チャンバ120への液体の流れを実質的に防止する。
【0091】
すべての試料処理モジュール2105の第2のリザーバ140の少なくとも1つの壁(例えば壁142)と第2の逆止弁(図示せず)とは、第3の作動体積(例えば第2のリザーバの内容積)を画定する。第3の作動体積は、試料を処理するのに適した様々な体積から選択することができる。任意の実施形態において、第2のリザーバ140は、処理を行おうとする試料を含む液体の部分(例えば濾液、
図5には示されていない)を受容する。更に、第2のリザーバ140は、処理チャンバ120内で処理される試料物質を希釈及び/又は洗浄するために使用される液体の部分を必要に応じて受容する。したがって、第3の作動体積は、装置が使用される方法の多くの因子に基づいて選択することができる。当業者であれば、これらの因子として、例えば試料物質が何回洗浄されるか、及び、各洗浄工程で使用される液体の体積が含まれることは認識されるであろう。任意の実施形態において、第3の作動体積は第1の作動体積よりも小さい。任意の実施形態において、第3の作動体積は第1の作動体積とほぼ等しい。任意の実施形態において、第3の作動体積は第1の作動体積よりも大きい。
【0092】
第1のリザーバ130及び第2のリザーバ140は、本体100の第1の端部112に近接した開口部(それぞれ開口部134及び144)を有している。開口部134及び144は、液体がリザーバ内に、又はリザーバから移送される際に試料処理モジュール2105の各リザーバ内の圧力を平衡化することを可能とするベントとして機能する。任意の実施形態において、第1のリザーバ130のベント(例えば開口部134)及び/又は第2のリザーバ140のベント(例えば開口部144)は、
図5に示されるよりも大幅に小さくてもよいことが想到される。任意の実施形態において、ベントの1つ以上(それぞれ開口部134又は144)が、リザーバ内へ又はリザーバからの生物学的細胞の通過を実質的に防止する一方で、リザーバ内へ又はリザーバからの空気の通過は実質的に許容する多孔質層(例えば濾材、図示せず)を含むことができる。
【0093】
装置2000の任意の実施形態において、本体2100は、1つ以上の試料処理モジュール2105を本体2100の少なくとも1つの他の試料処理モジュールから分離することを容易とする1つ以上の所定の脆弱領域107(例えば、ミシン目、分割ライン、切欠き部)を更に有することができる。
【0094】
任意の実施形態において、本開示の装置2000は、試料処理モジュール2105のいずれかの第2のリザーバ内に配置される吸水性材料(図示せず)を更に有することができる。この材料は、処理チャンバから第2のリザーバ内に移送される液体を吸収する機能を有する。これにより、装置が誤って倒れた、傾いた、落とされた、又はひび割れた場合に第2のリザーバから液体が大量に漏れる可能性が低減される。適当な吸水性材料の非限定的な例としては、セルロース系繊維材料、デンプンアクリロニトリルコポリマー、ポリアクリレート/ポリアクリルアミドコポリマーなどが挙げられる。
【0095】
図6は、複数の試料を処理するための装置3000の代替的な実施形態の上面斜視図を示している。装置3000は、複数の試料処理モジュール3105からなる本体3100を有している。試料処理モジュール3105のそれぞれは、処理チャンバ120、第1のリザーバ130、第2のリザーバ140、及び、装置2000に関して上記に述べた他の構成要素(例えば、いずれも
図6には示されていない第1の流体経路、第2の流体経路、第1の逆止弁、第2の逆止弁、及びフィルター)を有している。
図5の装置2000に対して、処理チャンバ120の開口部124、第1のリザーバ130の開口部134、及び第2のリザーバ140の開口部144は、ほぼ同一平面上にある。更に、本体3100は、上記の各開口部とほぼ同一平面上にあるフランジ3109を有している。有利な点として、この構成は、装置の使用の前及び/又は後で本体3100にカバー(例えばカバー3199)を適用することを促すものである。
【0096】
任意の実施形態において、カバー3199は、全開口部を覆うだけ充分に大きなものとすることができる(図示せず)。任意の実施形態において、カバーはフィルム(例えばポリエチレン又はポリプロピレンフィルム)を含みうる。任意の実施形態において、カバー3199は、接着層(例えば、感圧接着剤の層、図示せず)を有することができる。任意の実施形態において、接着剤は、カバー3199の封止解除又は再封止を可能とする接着剤であることができる。カバー3199は、使用前のすべての処理チャンバ又はリザーバの汚染を実質的に防止することができ、使用後の相互汚染及び/又は漏れを実質的に低減又は防止することができる。
【0097】
任意の実施形態において、各試料処理モジュール3105の処理チャンバ120及びリザーバ(第1のリザーバ130及び第2のリザーバ140)は、
図6に示されるような個別のカバー3199を含みうる。これらの実施形態において、誤って相互汚染が起きることを防止するために他の個別のカバーは被せたままで、1個の試料処理モジュール3105のカバー3199を必要に応じて外して1つの試料を処理することができる。任意の実施形態において、カバー3199は、例えばポリオレフィン密封テープ又は接着アルミニウム箔のようなフィルムからなるものであってよい。任意の実施形態において、カバー3199は多孔質フィルムからなるものであってよく、したがって、使用時に圧力ベントとして機能することができる。任意の実施形態において、カバー3199は、リザーバへの物質の添加又はリザーバからの物質の取り出しを可能とするために穿孔可能なものとすることができる。任意の実施形態(図示せず)において、1つのカバーを複数のリザーバ(例えば第1のリザーバ又は複数の第2のリザーバ)を覆うために使用することができる。任意の実施形態(図示せず)において、本体の第1のカバーを複数の(例えば全部の)第1のリザーバを覆うために使用することができ、第2のカバーを複数の(例えば全部の)第2のリザーバを覆うために使用することができる。
【0098】
必要に応じて、第1のリザーバ及び/又は第2のリザーバのうちの1つ以上が作動式ドレーン(図示せず)を有してもよい。かかるドレーンは、試料の処理後に操作者が第1及び第2のリザーバから残留液を除去することを可能とする。
【0099】
装置3000の任意の実施形態において、本体3100は、1つ以上の試料処理モジュール3105を本体3100の少なくとも1つの他の試料処理モジュールから分離することを容易とする1つ以上の所定の脆弱領域107(例えば、ミシン目、分割ライン、切欠き部)を更に有することができる。
【0100】
図7は、複数の試料を処理するための装置4000の別の代替的な実施形態の上面斜視図を示している。装置4000は、複数の試料処理モジュール4105からなる本体4100を有している。試料処理モジュール4105のそれぞれは、処理チャンバ120、第1のリザーバ130、第2のリザーバ140、及び、装置2000に関して上記に述べた他の構成要素(例えば、いずれも
図7には示されていない第1の流体経路、第2の流体経路、第1の逆止弁、第2の逆止弁、及びフィルター)を有している。
図5の装置2000に対して、処理チャンバ120はそれぞれポート125を有している。ポート125は、例えば、プランジャ200を装置4000の本体4100から完全に引き抜くことなく試料を処理チャンバ120内に入れるために使用することができる。ポート125に加えて、本体4100は、試料処理モジュール4105のそれぞれにおいて、第2のリザーバ140のそれぞれが、対応する処理チャンバ120から離隔するように構成されている。
図7に示される実施形態では、各処理チャンバ120と各第2のリザーバ140とは連結壁115によって離隔されている。有利な点として、この構成(すなわち各処理チャンバが各第2のリザーバから離隔している)は、装置4000が加熱装置内に置かれるときに処理チャンバ120の内容物のより速やかな加熱を促すものである。離隔した構成がない場合には、第2のリザーバ及びその中の液体が処理チャンバと接触したヒートシンクとして機能することにより、処理チャンバ内での急速な温度変化に抗するように働く。
【0101】
装置4000の任意の実施形態において、本体4100は、1つ以上の試料処理モジュール4105を本体4100の少なくとも1つの他の試料処理モジュールから分離することを容易とする1つ以上の所定の脆弱領域107(例えば、ミシン目、分割ライン、切欠き部)を更に有することができる。装置の任意の実施形態において、本体は、例えば
図7に示される台座部102のような台座部を更に有することができる。任意の実施形態において、台座部102は所定の脆弱領域107を有することができる。
【0102】
図8は、複数の試料を処理するための装置5000の更なる別の代替的な実施形態の上面斜視図を示している。装置5000は、複数の試料処理モジュール5105からなる本体5100を有している。試料処理モジュール5105のそれぞれは、処理チャンバ120、第1のリザーバ130、第2のリザーバ140、及び、装置5000に関して上記に述べた他の構成要素(例えば、いずれも
図7には示されていない第1の流体経路、第2の流体経路、第1の逆止弁、第2の逆止弁、及びフィルター)を有している。装置5000は、上記に述べた装置4000のポート125と同様、例えば、プランジャ200を装置5000の本体5100から完全に引き抜くことなく試料を処理チャンバ120内に入れるために使用することができるポート125’の代替的な実施形態を有している。やはり上記に述べた装置4000と同様、本体5100は、各試料処理モジュール5105それぞれにおいて各処理チャンバ120を各第2のリザーバ140から離隔する機能を有する複数の連結壁115を有している。
【0103】
装置5000の任意の実施形態において、本体5100は、1つ以上の試料処理モジュール5105を本体5100の少なくとも1つの他の試料処理モジュールから分離することを容易とする1つ以上の所定の脆弱領域107(例えば、ミシン目、分割ライン、切欠き部)を更に有することができる。
【0104】
図9及び10は、複数の試料を処理するための装置6000の更なる別の代替的な実施形態の異なる図を示している。装置6000は、複数の試料処理モジュール6106からなる本体6100を有している。試料処理モジュール6106のそれぞれは、処理チャンバ120、第1のリザーバ180、第2のリザーバ185、第1の流体経路195、第2の流体経路197、フィルター160、並びに装置2000、装置3000、装置4000、及び装置5000に関して上記に述べた他の構成要素(例えば
図9及び10には示されていない第1の逆止弁及び第2の逆止弁)を有している。装置6000は、上記に述べた装置4000のポート125と同様、例えば、プランジャ200を装置6000の本体6100から完全に引き抜くことなく試料を処理チャンバ120内に入れるために使用することができるポート125’を有している。本明細書に述べられる複数の試料を処理するための他の装置と異なり、装置6000は、複数の別個の第1の流体経路195を介して複数の処理チャンバ120と選択的に流体連通した第1のリザーバ180を有している。
【0105】
図に示された実施形態は、装置6000がそれぞれ別々の処理チャンバ120、フィルター160、第1の流体経路195、及び第2の流体経路197を有している場合の2個の試料処理モジュール(それぞれ第1の試料処理モジュール6106a及び第2の試料処理モジュール6106b)を示している。しかしながら、第1の試料処理モジュール6106a及び第2の試料処理モジュール6106bの開口部181a及び181bはそれぞれ、共通のリザーバ(すなわち第1のリザーバ180)内に開口している。
図10に示されるように、これに加えるか、又はこれに代えて、第1の試料処理モジュール6106a及び第2の試料処理モジュール6106bのいずれの開口部186はそれぞれ、第2のリザーバ185内に開口している。
【0106】
装置6000内の第1の流体経路195のそれぞれは、第1のリザーバ180内の複数の別個の開口部181に動作可能に連結されている様子が示されているが、図に示されない代替的な実施形態では、複数の第1の流体経路が第1のリザーバ内の共通の開口部に動作可能に接続されることも考えられる。
【0107】
装置6000内の第2の流体経路197のそれぞれは、第2のリザーバ185内の複数の別個の開口部186に動作可能に連結されている様子が示されているが、図に示されない代替的な実施形態では、複数の第2の流体経路が第2のリザーバ内の共通の開口部に動作可能に接続されることも考えられる。
【0108】
任意の実施形態において、本体6100は、1つ以上の試料処理モジュールを本体6100の少なくとも1つの他の試料処理モジュールから分離することを容易とする所定の脆弱領域107(例えば、ミシン目、分割ライン)を更に有することができる。
【0109】
本明細書に開示される試料の処理方法のすべての実施形態は、本明細書に開示される複数の試料を処理するための装置のいずれかの実施形態を使用して行うことができる。有利な点として、複数の試料を処理するための装置を使用することで、複数の試料を順次処理する(例えば別々の試料処理モジュールで順次)か、又は複数の試料を同時に処理することができる(すなわち、別々の試料処理モジュールで同時に)。
【0110】
任意の実施形態において、本開示の装置において使用されるプランジャ200は、少なくとも1つのプランジャ標示203を有することができる。プランジャ標示203は、プランジャ標示203が処理チャンバの開口部124とほぼ整列するように処理チャンバ120内に挿入される場合に、所定の体積の液体が処理チャンバから抜き取られたことを示すことができる。また、プランジャ200が処理チャンバ120内に完全に挿入され、その後、プランジャ標示203が処理チャンバの開口部124とほぼ整列するまで引き抜かれる場合、これによって所定の体積の液体(
図5には示されていない)が第1のリザーバ130から処理チャンバに移送されたことを示すこともできる。本開示に基づく方法のすべての実施形態において、プランジャ標示203を、装置の本体上の第1の視覚標示又は第2の視覚標示(
図1の第1の視覚標示106及び第2の視覚標示108それぞれを参照)と組み合わせて使用することで、方法を行う間に所定の体積の液体を処理チャンバ120から、又は処理チャンバ120内に移送することができる。
【0111】
別の態様において、本開示はキットを提供する。キットは、本明細書に開示される装置のいずれの実施形態を含んでもよい。任意の実施形態において、キットは試薬を更に含む。適当な試薬としては、例えば、試料再懸濁液、細胞溶解試薬、核酸増幅反応で用いられる試薬、及び抗原検出反応で用いられる試薬が挙げられる。
【0112】
試料懸濁液は、装置のフィルターにより保持された微粒子状物質を再懸濁するのに適した任意の液体、及び/又は最初の試料物質中に存在する任意の成分(例えば液体、溶解した溶質、微粒子状物質)を希釈するのに適した任意の液体であってよい。任意の実施形態において、試料再懸濁液は水を含む。更に、試料再懸濁液は、pH調整成分(例えば酸及び/又は塩基)、緩衝成分(例えばバターフィールド緩衝液)、界面活性剤、キレート剤、及び/又は金属イオンを含んでもよい。
【0113】
細胞溶解剤は、細胞の透過性化を促進するか、かつ/又は細胞(例えば真核細胞、原核細胞、又は両方のタイプの細胞)の溶解を引き起こす、当該技術分野では周知の有効量の任意の細胞溶解試薬であってよい。細胞溶解試薬の非限定的な例としては、リゾチーム、リゾスタフィン、TRITON X−100、デオキシコール酸塩、EDTA、及びプロテイナーゼKが挙げられる。
【0114】
核酸増幅反応に使用される試薬としては、例えば、緩衝液、金属塩(例えばMgCl
2)、核酸ポリメラーゼ(例えばTaqポリメラーゼ)、プライマー、及びデオキシリボヌクレオチド三リン酸が挙げられる。抗原検出反応に使用される試薬としては、例えば、緩衝液、抗体(例えば一次抗体、二次抗体)、複合酵素、酵素基質、及び競合的抗原が挙げられる。
【0115】
任意の実施形態において、キットは更にプレフィルターを有してもよい。かかるプレフィルターは、微生物細胞は通過させるが、微生物細胞よりも大きい微粒子物質(例えば食品粒子、植物質、砂、土など)は保持する公称孔径を有しうる。任意の実施形態において、プレフィルターはメンブレンフィルターを含みうる。任意の実施形態において、プレフィルターは、少なくとも約10ミクロンの公称孔径を有するものでよい。任意の実施形態において、プレフィルターは、処理チャンバ内に挿入できるような寸法に構成することができる(例えば装置の本体の第2の端部の近傍)。
【0116】
任意の実施形態において、キットは、微生物を増殖させる、及び検出するための培養装置を含むことができる。かかる培養装置は、培地を含みうる(例えばブロス又は半固体培地)。適当な培養装置の非限定的な例としては、ブロス培地を含んだ試験管、ペトリ皿、及びPETRIFILM(スリー・エム社(3M Company)(ミネソタ州セントポール)より販売される)の商品名で販売される各種の培養装置、又は「サニ太くん」(チッソ株式会社(東京)より販売される)の商品名で販売される培養装置が挙げられる。
【0117】
例示的な実施形態
実施形態Aは、
第1の端部及び該第1の端部と反対側の第2の端部を有する本体を備え、該本体が、
前記第1の端部に近接した開口部を有する処理チャンバと、
第1の流体経路を介して前記処理チャンバと選択的に流体連通した第1のリザーバと、
第2の流体経路を介して前記処理チャンバと選択的に流体連通した第2のリザーバと、
前記第1の流体経路及び前記第2の流体経路が通過するフィルターであって、前記流体経路内で前記処理チャンバに向けられた第1の面及び該第1の面と反対側の第2の面を有するフィルターと、
前記第1の流体経路内で前記フィルターと前記第1のリザーバとの間に配置される第1の逆止弁であって、前記処理チャンバと前記第1のリザーバとの間に選択的な流体連通をもたらす、第1の逆止弁と、
前記第2の流体経路内で前記フィルターと前記第2のリザーバとの間に配置される第2の逆止弁であって、前記処理チャンバと前記第2のリザーバとの間に選択的な流体連通をもたらす、第2の逆止弁と、を有する、装置である。
【0118】
実施形態Bは、更にプランジャを備え、前記処理チャンバが、前記プランジャを動作可能に受容するような形状及び寸法に構成されている、実施形態Aの装置である。
【0119】
実施形態Cは、前記第1の逆止弁が、前記処理チャンバから前記第1のリザーバへの液体の流れを実質的に防止し、前記第2の逆止弁が、前記処理チャンバから前記第2のリザーバへの液体の流れを実質的に許容する、実施形態Bの装置である。
【0120】
実施形態Dは、前記第1の逆止弁が、前記第1のリザーバから前記処理チャンバへの液体の流れを実質的に許容し、前記第2の逆止弁が、前記第2のリザーバから前記処理チャンバへの液体の流れを実質的に防止する、実施形態A又は実施形態Bの装置である。
【0121】
実施形態Eは、前記第1の逆止弁が、圧力作動型の逆止弁を含む、実施形態A〜Dのいずれか1つの装置である。
【0122】
実施形態Fは、前記第2の逆止弁が、圧力作動型の逆止弁を含む、実施形態A〜Eのいずれか1つの装置である。
【0123】
実施形態Gは、前記フィルターが、前記処理チャンバから前記第2のリザーバへの生物学的細胞の通過を実質的に防止するように構成されている、実施形態A〜Fのいずれか1つの装置である。
【0124】
実施形態Hは、前記フィルターが、前記処理チャンバから前記第2のリザーバへの細胞濃縮剤の通過を実質的に防止するように構成されている、実施形態A〜Gのいずれか1つの装置である。
【0125】
実施形態Iは、第1のリザーバのベントを更に備える、実施形態A〜Hのいずれか1つの装置である。
【0126】
実施形態Jは、第2のリザーバのベントを更に備える、実施形態A〜Iのいずれか1つの装置である。
【0127】
実施形態Kは、前記本体が、第1の所定体積を示すための第1の視覚標示を更に有する、実施形態A〜Jのいずれか1つの装置である。
【0128】
実施形態Lは、前記本体が、第2の所定体積を示すための第2の視覚標示を更に有する、実施形態Kの装置である。
【0129】
実施形態Mは、前記第1及び/又は第2の視覚標示が、前記処理チャンバ内の所定体積を示す、実施形態K又は実施形態Lの装置である。
【0130】
実施形態Nは、前記第1及び/又は第2の視覚標示が、前記第1のリザーバ又は前記第2のリザーバ内の所定体積を示す、実施形態K又は実施形態Lの装置である。
【0131】
実施形態Oは、前記処理チャンバが第1の作動体積を画定し、前記第1のリザーバが、前記第1の作動体積以下である第2の作動体積を画定する、実施形態A〜Nのいずれか1つの装置である。
【0132】
実施形態Pは、前記処理チャンバが第1の作動体積を画定し、前記第1のリザーバが、前記第1の作動体積よりも大きい第2の作動体積を画定する、実施形態A〜Oのいずれか1つの装置である。
【0133】
実施形態Qは、前記処理チャンバが第1の作動体積を画定し、前記第2のリザーバが、前記第1の作動体積以上の第3の作動体積を画定する、実施形態A〜Pのいずれか1つの装置である。
【0134】
実施形態Rは、前記第2のリザーバ内に配置された吸水性材料を更に備える、実施形態A〜Qのいずれか1つの装置である。
【0135】
実施形態Sは、
第1の端部及び該第1の端部と反対側の第2の端部を有する本体を備え、該本体が、
第1のモジュール及び第2のモジュールを含む複数の液体試料処理モジュールを有し、前記複数のモジュールのそれぞれのモジュールが、
前記第1の端部に近接した開口部を有する処理チャンバと、
第1の流体経路を介して前記処理チャンバと選択的に流体連通した第1のリザーバと、
第2の流体経路を介して前記処理チャンバと選択的に流体連通した第2のリザーバと、
前記第1の流体経路及び前記第2の流体経路が通過するフィルターであって、前記流体経路内で前記処理チャンバに向けられた第1の面及び該第1の面と反対側の第2の面を有するフィルターと、
前記第1の流体経路内で前記フィルターと前記第1のリザーバとの間に配置された第1の逆止弁であって、前記処理チャンバと前記第1のリザーバとの間に選択的な流体連通をもたらす、第1の逆止弁と、
前記第2の流体経路内で前記フィルターと前記第2のリザーバとの間に配置された第2の逆止弁であって、前記処理チャンバと前記第2のリザーバとの間に選択的な流体連通をもたらす、第2の逆止弁と、を有し、
前記第1のモジュールが、前記第2のモジュールに連結されている、装置である。
【0136】
実施形態Tは、前記第1のモジュールが、前記第2のモジュールに分離可能に連結されている、実施形態Sの装置である。
【0137】
実施形態Uは、プランジャを更に備え、前記処理チャンバの少なくとも1つが、前記プランジャを動作可能に受容するような形状及び寸法に構成されている、実施形態S又はTの装置である。
【0138】
実施形態Vは、前記第1の逆止弁の少なくとも1つが、圧力作動型の逆止弁を含む、実施形態S〜Uのいずれか1つの装置である。
【0139】
実施形態Wは、前記第2の逆止弁の少なくとも1つが、圧力作動型の逆止弁を含む、実施形態S〜Vのいずれか1つの装置である。
【0140】
実施形態Xは、少なくとも1つのフィルターが、前記処理チャンバから前記第2のリザーバへの生物学的細胞の通過を実質的に防止するように構成されている、実施形態S〜Wのいずれか1つの装置である。
【0141】
実施形態Yは、少なくとも1つのフィルターが、前記処理チャンバから前記第2のリザーバへの細胞濃縮剤の通過を実質的に防止するように構成されている、実施形態S〜Xのいずれか1つの装置である。
【0142】
実施形態Zは、少なくとも1つの第1のリザーバのベントを更に備える、実施形態S〜Yのいずれか1つの装置である。
【0143】
実施形態AAは、少なくとも1つの第2のリザーバのベントを更に備える、実施形態S〜Zのいずれか1つの装置である。
【0144】
実施形態BBは、前記本体が、第1の所定体積を示すための第1の視覚標示を更に有する、実施形態S〜AAのいずれか1つの装置である。
【0145】
実施形態CCは、前記本体が、第2の所定体積を示すための第2の視覚標示を有する、実施形態S〜BBのいずれか1つの装置である。
【0146】
実施形態DDは、前記第1及び/又は第2の視覚標示が、前記処理チャンバ内の所定体積を示す、実施形態BB又は実施形態CCの装置である。
【0147】
実施形態EEは、前記第1及び/又は第2の視覚標示が、前記第1のリザーバ又は前記第2のリザーバ内の所定体積を示す、実施形態BB又は実施形態CCの装置である。
【0148】
実施形態FFは、少なくとも1つの処理チャンバが第1の作動体積を画定し、前記処理チャンバと選択的に流体連通した前記第1のリザーバが、前記第1の作動体積以下である第2の作動体積を画定する、実施形態S〜EEのいずれか1つの装置である。
【0149】
実施形態GGは、少なくとも1つの処理チャンバが第1の作動体積を画定し、前記処理チャンバと選択的に流体連通した前記第1のリザーバが、前記第1の作動体積以上の第2の作動体積を画定する、実施形態S〜FFのいずれか1つの装置である。
【0150】
実施形態HHは、少なくとも1つの処理チャンバが第1の作動体積を画定し、前記処理チャンバと選択的に流体連通した前記第2のリザーバが、前記第1の作動体積以上の第3の作動体積を画定する、実施形態S〜GGのいずれか1つの装置である。
【0151】
実施形態IIは、少なくとも1つの第2のリザーバ内に配置された吸水性材料を更に備える、実施形態S〜HHのいずれか1つの装置である。
【0152】
実施形態JJは、
第1の端部及び該第1の端部と反対側の第2の端部を有する本体を備え、該本体が、
第1の処理チャンバ及び第2の処理チャンバを含む複数の処理チャンバであって、各処理チャンバが、前記第1の端部に近接した開口部を有する、複数の処理チャンバと、
第1の流体経路を介して前記第1の処理チャンバと選択的に流体連通した第1のリザーバと、
第2の流体経路を介して前記第1の処理チャンバと選択的に流体連通し、かつ第3の流体経路を介して第2の処理チャンバと選択的に流体連通した第2のリザーバと、
前記本体内で前記処理チャンバの少なくとも一部と前記第2のリザーバとの間に配置された第1のフィルターであって、
前記第1の流体経路及び前記第2の流体経路が第1のフィルターを通過し、
前記第1のフィルターが、第1及び第2の流体経路内で第1の処理チャンバに向けられた第1の表面を有する、第1のフィルターと、
前記本体内で前記処理チャンバの少なくとも一部と前記第2のリザーバとの間に配置された第2のフィルターであって、
前記第3の経路が第2のフィルターを通過し、
前記第1のフィルターが、前記第3の流体経路内に向けられた第1の表面を有する、第2のフィルターと、
前記第1のフィルターと前記第1のリザーバとの間に配置される第1の逆止弁であって、前記第1の処理チャンバと前記第1のリザーバとの間に選択的な流体連通をもたらす、第1の逆止弁と、
前記第2の流体経路内で前記第1のフィルターと前記第2のリザーバとの間に配置された第2の逆止弁であって、前記第1の処理チャンバと前記第2のリザーバとの間に選択的な流体連通をもたらす、第2の逆止弁と、
前記第3の流体経路内で前記第2のフィルターと前記第1のリザーバとの間に配置される第3の逆止弁であって、前記第2の処理チャンバと前記第1のリザーバとの間に選択的な流体連通をもたらす、第3の逆止弁と、を有する、装置である。
【0153】
実施形態KKは、前記装置が、前記第2のフィルターと前記第2のリザーバとの間に配置された第4の逆止弁を備え、該第4の逆止弁が、前記第2の処理チャンバと前記第2のリザーバとの間に選択的な流体連通をもたらす、実施形態JJの装置である。
【0154】
実施形態LLは、前記第1の逆止弁、前記第2の逆止弁、前記第3の逆止弁、又は前記第4の逆止弁の少なくとも1つが、圧力作動型の逆止弁を含む、実施形態JJ又は実施形態KKの装置である。
【0155】
実施形態MMは、少なくとも1つのフィルターが、前記処理チャンバから前記第2のリザーバへの生物学的細胞の通過を実質的に防止するように構成されている、実施形態JJ〜LLのいずれか1つの装置である。
【0156】
実施形態NNは、少なくとも1つのフィルターが、前記処理チャンバから前記第2のリザーバへの細胞濃縮剤の通過を実質的に防止するように構成されている、実施形態JJ〜MMの装置である。
【0157】
実施形態OOは、少なくとも1つの第1のリザーバのベントを更に備える、実施形態JJ〜NNの装置である。
【0158】
実施形態PPは、少なくとも1つの第2のリザーバのベントを更に備える、実施形態JJ〜OOの装置である。
【0159】
実施形態QQは、前記本体が、第1の所定体積を示すための第1の視覚標示を更に有する、実施形態JJ〜PPの装置である。
【0160】
実施形態RRは、前記本体が、第2の所定体積を示すための第2の視覚標示を有する、実施形態JJ〜QQの装置である。
【0161】
実施形態SSは、前記第1及び/又は第2の視覚標示が、前記処理チャンバ内の所定体積を示す、実施形態QQ又は実施形態RRの装置である。
【0162】
実施形態TTは、前記第1及び/又は第2の視覚標示が、前記第1のリザーバ又は前記第2のリザーバ内の所定体積を示す、実施形態QQ又は実施形態RRの装置である。
【0163】
実施形態UUは、少なくとも1つの処理チャンバが第1の作動体積を画定し、前記処理チャンバと選択的に流体連通した前記第1のリザーバが、前記第1の作動体積以下である第2の作動体積を画定する、実施形態JJ〜TTの装置である。
【0164】
実施形態VVは、少なくとも1つの処理チャンバが第1の作動体積を画定し、前記処理チャンバと選択的に流体連通した前記第1のリザーバが、前記第1の作動体積以上である第2の作動体積を画定する、実施形態JJ〜UUの装置である。
【0165】
実施形態WWは、少なくとも1つの処理チャンバが第1の作動体積を画定し、前記処理チャンバと選択的に流体連通した前記第2のリザーバが、前記第1の作動体積以上である第3の作動体積を画定する、実施形態JJ〜VVの装置である。
【0166】
実施形態XXは、少なくとも1つの第2のリザーバ内に配置された吸水性材料を更に備える、実施形態JJ〜WWの装置である。
【0167】
実施形態YYは、
液体を含む試料を、上記の請求項のいずれか1つの装置の処理チャンバ内に入れる工程と、
前記液体の少なくとも一部を、フィルターを通じて前記処理チャンバから押し出す工程と、
前記液体の前記少なくとも一部を前記フィルターを通じて押し出す工程の後に、バックフラッシュ液の第1の部分を、前記第1のリザーバから前記フィルターを通じて前記処理チャンバ内に押し出して、第1の処理済み試料を形成する工程と、
前記試料の少なくとも一部を分析して微生物の兆候を検出する工程と、を含み、前記試料の少なくとも一部を分析する工程が、前記第1の処理済み試料の少なくとも一部を分析する工程を含む、方法である。
【0168】
実施形態ZZは、前記液体の少なくとも一部を前記フィルターを通じて押し出す工程が、プランジャを前記処理チャンバ内に挿入し、前記プランジャを用いて前記処理チャンバ内に陽圧を発生させる工程を含む、実施形態YYの方法である。
【0169】
実施形態AAAは、前記バックフラッシュ液の第1の部分を前記フィルターを通じて前記第2の側から押し出す工程が、前記プランジャを用いて前記処理チャンバ内に陰圧を発生させる工程を含む、実施形態ZZの方法である。
【0170】
実施形態BBBは、前記液体を含む試料を前記処理チャンバ内に入れる工程が、第1の所定量の液体を前記処理チャンバ内に入れる工程を含み、前記第1の処理済み試料を形成する工程が、第2の所定体積を有する第1の処理済み試料を形成する工程を含み、前記第2の所定体積が前記第1の所定体積以下である、実施形態YY〜AAAのいずれか1つの方法である。
【0171】
実施形態CCCは、第2の所定体積を有する第1の処理済み試料を形成する工程が、前記処理チャンバ又は前記第1のリザーバ上の視覚標示を使用して前記第2の所定体積を画定する工程を含む、実施形態BBBの方法である。
【0172】
実施形態DDDは、
前記第1の処理済み試料を形成する工程の後に、前記第1の処理済み試料の少なくとも一部を、前記フィルターを通じて前記処理チャンバから押し出す工程と、
バックフラッシュ液の第2の部分を、前記第1のリザーバから前記フィルターを通じて前記処理チャンバ内に押し出して、第2の処理済み試料を形成する工程と、を更に含み、
前記試料の少なくとも一部を分析して微生物の兆候を検出する工程が、前記第2の処理済み試料の少なくとも一部を分析する工程を含む、実施形態YY〜CCCのいずれか1つの方法である。
【0173】
実施形態EEEは、前記液体を含む試料を前記処理チャンバ内に入れる工程が、第1の所定量の試料を前記処理チャンバ内に入れる工程を含み、前記第2の処理済み試料を形成する工程が、第3の所定体積を有する第2の処理済み試料を形成する工程を含み、前記第3の所定体積が前記第1の所定体積よりも小さい、実施形態DDDの方法である。
【0174】
実施形態FFFは、第3の所定体積を有する第2の処理済み試料を形成する工程が、前記処理チャンバ又は前記第1のリザーバ上の視覚標示を使用して前記第3の所定体積を画定する工程を含む、実施形態EEEの方法である。
【0175】
実施形態GGGは、前記第1の処理済み試料の少なくとも一部を分析する工程又は前記第2の処理済み試料の少なくとも一部を分析する工程が、前記第1の処理済み試料又は第2の処理済み試料の前記一部を分析することによって、抗原、核酸、酵素活性、又は生存可能な微生物を検出する工程を含む、実施形態YY〜FFFのいずれか1つの方法である。
【0176】
実施形態HHHは、
前記液体の少なくとも一部を前記フィルターを通じて押し出す工程の後に、前記処理チャンバの温度を約95〜100℃に調整する工程を更に含む、実施形態YY〜FFFのいずれか1つの方法である。
【0177】
実施形態IIIは、前記処理チャンバの温度を調整する工程が、前記装置を加熱装置内に入れる工程を含む、実施形態HHHの方法である。
【0178】
実施形態JJJは、実施形態A〜XXのいずれか1つの装置を含むキットである。
【0179】
実施形態KKKは、試料バックフラッシュ液、細胞溶解試薬、核酸増幅反応に使用される試薬、及び抗原検出反応に使用される試薬からなる群から選択される試薬を更に含む、実施形態JJJのキットである。
【0180】
実施形態LLLは、プレフィルターを更に含む、実施形態JJJ又は実施形態KKKのキットである。
【0181】
実施形態MMMは、培養装置を更に備える、実施形態JJJ〜LLLのいずれか1つのキットである。
【0182】
本発明の目的及び利点を、以下の実施例によって更に説明するが、これらの実施例に記載する特定の材料及びその量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不要に限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0183】
試料の調製装置
図8で述べた装置4000の個別の試料処理モジュール4105で構成された装置を、ステレオリソグラフィープロセスを使用して、Accura(登録商標)60プラスチック(スリーディー・システムズ社(3D Systems)(サウスカロライナ州ロックヒル)から作製した。処理チャンバは高さ約35mmであった。第1のリザーバ及び第2のリザーバはそれぞれ高さ約30mmであった。処理チャンバは円筒(直径5.7mm)として成形され、約0.89mLの内容積を有していた。第1のリザーバは約1.2mLの内容積を有し、第2のリザーバは約1.4mLの内容積を有していた。
【0184】
円形のフィルター(直径8mm)を、孔径0.8ミクロン、公称厚さ94ミクロンのVersapor(登録商標)アクリルコポリマーメンブレンディスクフィルター(部品番号66404、ポール社(Pall Corporation)(ニューヨーク州ポートワシントン))から打ち抜いた。このフィルターを処理チャンバの底に配置し、弾性シールリングによって処理チャンバ内に固定した。2個の逆止ベルビル型ミニバルブ(直径4.0mm、部品番号UM040.002)を、ミニバルブ社(Minivalve Incorporated)(オハイオ州クリーブランド))より入手した。プランジャは、Accura(登録商標)60プラスチックから作製し、処理チャンバの内部に緊密だが動かせるように嵌まり込む寸法とした。プランジャの先端部は、ステレオリソグラフィープロセスを使用して、形状適合性を有するTangoPlus樹脂(ストラタシス社(Stratasys Corporation)(ミネソタ州ミネアポリス)から作製した。この先端部を、摩擦嵌めによってプランジャシャフトに取り付けた。処理チャンバに嵌め込まれたプランジャの動作によって液体の動きを制御した。ミニバルブは、第1のリザーバから処理チャンバに向かう一方向の液体の流れと、処理チャンバから第2のリザーバに向かう一方向の液体の流れを可能とするような向きとした。プランジャが処理チャンバ内に押し込まれると、液体は処理チャンバから第2のリザーバに移動した。プランジャが処理チャンバから延び出た位置にまで引き抜かれると、緩衝試薬が第1のリザーバから処理チャンバに流入した。
【0185】
(実施例1)
サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)(ATCC 14028)の試料を、継代培養の後、緩衝したペプトン水ブロス(BPW−ISO、スリー・エム社(3M Corporation)(ミネソタ州セントポール)により1X10
3cfu/mLの濃度にまで連続希釈した凍結ストック参照基準液より得た。3M(商標)ペトリフィルム(商標)好気性細菌カウントプレート(カタログ番号6400、スリー・エム社(3M Corporation)を使用して、濃度を確認した。サルモネラ菌の培養物試料(250μL)のアリコートを、ピペットによってポート(すなわち
図8のポート125’)から試料調製装置の処理チャンバに加えた。次に、500μLのバターフィールド緩衝液(スリー・エム社(3M Corporation)を、ピペットによってアセンブリの第1のリザーバに加えた。試料がフィルター要素を通過して濾液が第2のリザーバに移送されるように、プランジャを押し込むことによって培養物試料を濾過した。プランジャを引き戻すことによって、約200μLの緩衝試薬をフィルターに逆流させて処理チャンバに流入させることにより、フィルターを緩衝試薬で洗浄した。次いでプランジャを押し込んで緩衝試薬をフィルターに通過させ、濾液を第2のリザーバに流入させた。この洗浄工程を、緩衝試薬の第2の200μLの部分により繰り返した。次いでプランジャをポートの開口部を越えて位置する停止位置にまで引き戻すことによって約75μLの緩衝試薬をフィルターに逆流させて、処理チャンバに流入させた。
【0186】
ピペットをポートから挿入し、これを使用して、再懸濁された細胞を含んだ20μLの緩衝試薬を、0.98mLのバターフィールド緩衝液(スリー・エム社(3M Corporation)の入った容器に移した。希釈した試料(1mL)を、ピペットによって3M(商標)ペトリフィルム(商標)腸内細菌カウントプレート(カタログ番号6420、スリー・エム社(3M Corporation))の増殖領域の中心に加えた。試料は、製造者(スリー・エム社(3M))により提供されたスプレッド器具によって均一に塗り広げた。この接種されたプレートを37℃で24時間インキュベートした。プレート中のインジケータ色素によって、コロニーの目視によるカウントが可能であった。黄色の酸領域を有する赤色のコロニー及び少なくとも1個の付随する気泡がカウントされた。合計で3枚のプレートを調製して分析した。プレート当りの平均のコロニーカウントは87個であった。
【0187】
参照例1
実施例1で調製したサルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)の試料(1X10
3cfu/mL)を使用した。試料は、実施例1の試料調製装置を使用して処理しなかった。サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)の試料の20μLのアリコートを、0.98mLのバターフィールド緩衝液の入った容器に加えた。希釈した試料(1mL)を、ピペットによって3M(商標)ペトリフィルム(商標)腸内細菌カウントプレート(カタログ番号6420、スリー・エム社(3M Corporation))の増殖領域の中心に加えた。試料は、製造者(スリー・エム社(3M))により提供されたスプレッド器具によって均一に塗り広げた。プレート中のインジケータ色素によって、コロニーの目視によるカウントが可能であった。黄色の酸領域を有する赤色のコロニー及び少なくとも1個の付随する気泡がカウントされた。合計で3枚のプレートを調製して分析した。プレート当りの平均のコロニーカウントは29個であった。
【0188】
本明細書に引用するすべての特許、特許出願及び公開公報、並びに電子的に入手可能な資料の開示内容の全体を、参照により援用する。本出願の開示内容と本明細書に援用されたいずれかの文書の開示内容との間になんらかの矛盾が存在する場合には、本出願の開示内容が優先するものとする。上術の詳細な説明及び実施例はあくまで理解を助けるために示したものに過ぎない。したがってこれらによって不要な限定をするものと理解されるべきではない。本発明は、図示及び説明された厳密な細部に限定されるものではなく、当業者に明らかな変形例は特許請求の範囲によって定義される本発明に含まれるものとする。
【0189】
すべての見出しは読者の便宜のためのものであって、特に断らないかぎり、見出しの後に続く文面の意味を限定するために使用されるものではない。
【0190】
本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な改変を行うことが可能である。これら及び他の実施形態は以下の特許請求の範囲に含まれる。