特許第6157757号(P6157757)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6157757SCR脱硝後に適用する組み合わせた空気予熱器及び腐食・詰りに耐える方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6157757
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】SCR脱硝後に適用する組み合わせた空気予熱器及び腐食・詰りに耐える方法
(51)【国際特許分類】
   F23J 15/06 20060101AFI20170626BHJP
   F23J 15/00 20060101ALI20170626BHJP
【FI】
   F23J15/06
   F23J15/00 A
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-562051(P2016-562051)
(86)(22)【出願日】2014年4月21日
(65)【公表番号】特表2017-501370(P2017-501370A)
(43)【公表日】2017年1月12日
(86)【国際出願番号】CN2014075792
(87)【国際公開番号】WO2015103823
(87)【国際公開日】20150716
【審査請求日】2016年7月12日
(31)【優先権主張番号】201410006896.4
(32)【優先日】2014年1月7日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516200482
【氏名又は名称】霍特安▲熱▼能技▲術▼(江▲蘇▼)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】▲銭▼学略
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼茂玲
(72)【発明者】
【氏名】何▲栄▼娥
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−043195(JP,A)
【文献】 特開2003−074831(JP,A)
【文献】 特開平08−192029(JP,A)
【文献】 特開平09−049610(JP,A)
【文献】 特開昭58−164923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23J 15/06
F23J 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱硝装置の下流にある煙道(1)と空気管路(2)、煙の流れる方向に沿って順序に設置された二次気流部(3)、一次気流部(4)、耐硫酸水素アンモニウム凝固部(5)及び硫酸水素アンモニウム凝固部(6)を含み、前記の一次気流部(4)、耐硫酸水素アンモニウム凝固部(5)及び硫酸水素アンモニウム凝固部(6)がともに相変化熱交換器であり、当該相変化熱交換器が煙道(1)にある吸熱部(7)、空気管路(2)にある放熱部(8)、及び吸熱部(7)と放熱部(8)を連結するための上昇管(9)及び下降管(10)を含み、前記の放熱部(8)が吸熱部(7)より高く、相変化熱交換器の内に循環媒体があり、前記の耐硫酸水素アンモニウム凝固部(5)の壁面の温度が硫酸水素アンモニウムの露点温度より高く、前記の硫酸水素アンモニウム凝固部(6)の壁面の温度が硫酸水素アンモニウムの凝固点温度より低いことを特徴とするSCR脱硝後に適用する組み合わせた空気予熱器。
【請求項2】
硫酸水素アンモニウム凝固部の下流にある耐酸性結露部(11)も含み、当該耐酸性結露部(11)が前記の相変化熱交換器であり、耐酸性結露部(11)の壁面の温度が酸性結露点温度より高いことを特徴とする請求項1に記載の組み合わせた空気予熱器。
【請求項3】
前記の一次気流部(4)の吸熱部(7)、耐硫酸水素アンモニウム凝固部(5)の吸熱部(7)、硫酸水素アンモニウム凝固部(6)の吸熱部(7)、及び耐酸性結露部(11)の吸熱部(7)に各々温度センサー(12)があることを特徴とする請求項2に記載の組み合わせた空気予熱器。
【請求項4】
前記の一次気流部(4)、耐硫酸水素アンモニウム凝固部(5)、硫酸水素アンモニウム凝固部(6)、及び耐酸性結露部(11)の中の循環媒体が水、フレオンまたは伝熱油のいずれかであることを特徴とする請求項2に記載の組み合わせた空気予熱器。
【請求項5】
前記の二次気流部(3)が回転形空気予熱器の高温部であることを特徴とする請求項1に記載の組み合わせた空気予熱器。
【請求項6】
前記の二次気流部(3)が前記の相変化熱交換器であり、二次気流部(3)の中の循環媒体が水、フレオンまたは伝熱油のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の組み合わせた空気予熱器。
【請求項7】
下記のステップを含むことを特徴とするSCR脱硝後の組み合わせた空気予熱器に適する腐食及び詰りに耐える方法。
A、煙道(1)の中の煙が上流から組み合わせた空気予熱器に入り、順序に二次気流部(3)、一次気流部(4)、耐硫酸水素アンモニウム凝固部(5)及び硫酸水素アンモニウム凝固部(6)を経て、空気通道の中の空気が下流から組み合わせた空気予熱器に入り、順序に硫酸水素アンモニウム凝固部(6)、耐硫酸水素アンモニウム凝固部(5)、一次気流部(4)及び二次気流部(3)を経る。
B、前記の耐硫酸水素アンモニウム凝固部(5)の壁面の温度が硫酸水素アンモニウムの露点温度より高く、前記の硫酸水素アンモニウム凝固部(6)の壁面の温度が硫酸水素アンモニウムの凝固点温度より低い。
C、煙道(1)の中の硫酸水素アンモニウムは硫酸水素アンモニウム凝固部及びその上流でガス状態であり、煙道(1)の中の硫酸水素アンモニウムが硫酸水素アンモニウム凝固部(6)及びその下流で固体状態であり、硫酸水素アンモニウム凝固部(6)及びその下流の管路の壁面で凝固する。
D、すす吹き装置でその中の硫酸水素アンモニウムのスケーリングを吹き除く。硫酸水素アンモニウム凝固部(6)及びその下流の管路壁面にある硫酸水素アンモニウムのスケーリングを吹き除く。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気予熱器、特にSCR脱硝後に適用する組み合わせた空気予熱器及び腐食・詰りに耐える方法に関する。
【背景技術】
【0002】
NOxは酸性雨及び光化学スモッグを引き起こす主な汚染物である。現在、アンモニア・ガス(NH3)を還元剤とする選択的接触還元(SCR)煙脱硝技術は産業でNOxを除去するための有効な方法である。SCR脱硝技術とはボイラーエコノマイザーの後の回転形空気予熱器上部の入口煙道内脱硝装置を設置してボイラーエコノマイザー後の300℃〜400℃の煙の温度を利用して触媒に作用されて希釈されたアンモニア・ガスを吹き入れてアンモニア・ガスが原煙の中の窒素酸化物と化学反応を発生し、環境にやさしい窒素ガス及び水蒸気を生成させるようにして、NOx排気を削減することである。
【0003】
脱硝技術の局限により、設計で3ppmVまでのアンモニアの逸走量しか許容されなく、今まで動作でアンモニアの逸走量を設計範囲以内に制御する適切な操作方法がないので、SCRシステムの中のアンモニアの逸走量の超過が普通である。逸走したアンモニア・ガスはボイラー煙の中のSO3と反応して硫酸水素アンモニウムを生成し、硫酸水素アンモニウムの凝固温度が逸走したアンモニウムの濃度の上昇に応じて上昇し、一般硫酸水素アンモニウムの露点が200℃まで高くなる。SCR装置にある触媒(V2O5)により、更に多くのSO2はSCR装置の中の触媒にSO3転化させ、空気予熱器低温端における腐食及び詰りのおそれが更に重大になる。また、SCR装置の中のV2O5の含量が高ければ高いほど、脱硝効率が高くなるが、SO3へのSO2の転換率も更に高くなり、空気予熱器の腐食及び詰りのおそれも高くなる。
【0004】
硫酸水素アンモニウムは粘着性も腐食性もとても強く、凝固後に液体で物体の表面に集まり、強烈な腐食性がある上、煙やほこりに粘着され、脱硝装置の下流に空気予熱器だけあり、硫酸水素アンモニウム凝固後の液体が空気予熱器の狭い受熱面で詰るため、空気予熱器が受熱して抗腐食性が強いが、伝熱係数が低い2面セラミックメッキの受熱面に交換されることが必要であるので、空気予熱器の全体受熱面積を大きくし、ボイラーの排気温度が管理範囲にあり、下流のバグフィルターなど安全に動作するようにしなければいけない。ただし、空気予熱器の全体受熱面積を大きくすると、下流空気予熱器の密集受熱面の構造抵抗が大きくなる。硫酸水素アンモニウムは液体に凝固するので、ほこりが付けられたり、腐食されたりすると、空気予熱器の受熱面が詰められ、ボイラーの煙道及び空気通路の詰りにつながるだけでなく、排気熱損失も大きく、ボイラーの熱効率が低く、ボイラーの煙温及び気温に対する調節幅が有限であり、ボイラーが負荷を少なくして動作しなければいけないし、ボイラーの送風機及び誘引通風機のエネルギー消費も向上する。
【0005】
また、温度が≦147℃である場合、硫酸水素アンモニウムがしっかり凝固するので、すす吹き装置で除去できる。そのために、空気予熱器の低温部で硫酸水素アンモニウムのスケーリングが少ない。
【0006】
図1の通りに、従来の空気予熱器は大体に3層の回転形空気予熱器であり、高温部、中温部及び低温部を含み、硫酸水素アンモニウムが空気予熱器の中温部から低温低温部までの温度区間で粘着性がとても強く、ほこりを吸着して空気予熱器を詰め、抵抗が向上し、気流の漏れが多くなり、伝熱効率が降下し、機器の安定な動作に影響を及ぼす。また、回転形空気予熱器は気流の漏れが重大であるので、実際の排気温度が設計値の以上にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の技術の前記の欠点を解決するために、本発明はSCR脱硝後に適用する組み合わせた空気予熱器を提供して従来の技術における空気予熱器の受熱面に対する脱硝による液体状態の硫酸水素アンモニウムの腐食及び詰りという欠陥を解決することを目的にする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的に達成するために、本発明は脱硝装置の下流にある煙道と空気管路、煙の流れる方向に沿って順序に設置された二次気流部、一次気流部、耐硫酸水素アンモニウム凝固部及び硫酸水素アンモニウム凝固部を含み、前記の一次気流部、耐硫酸水素アンモニウム凝固部及び硫酸水素アンモニウム凝固部がともに相変化熱交換器であり、当該相変化熱交換器が煙道にある吸熱部、空気管路にある放熱部、及び吸熱部と放熱部を連結するための上昇管及び下降管を含み、前記の放熱部が吸熱部より高く、相変化熱交換器の内に循環媒体があり、前記の耐硫酸水素アンモニウム凝固部の壁面の温度が硫酸水素アンモニウムの露点温度より高く、前記の硫酸水素アンモニウム凝固部の壁面の温度が硫酸水素アンモニウムの凝固点温度より低いことを特徴とするSCR脱硝後に適用する組み合わせた空気予熱器を提供する。
【0009】
更に、硫酸水素アンモニウム凝固部の下流にある耐酸性結露部も含む。当該耐酸性結露部は前記の相変化熱交換器であり、耐酸性結露部の壁面の温度が酸性結露点温度より高い。
【0010】
望ましくは、前記の一次気流部の吸熱部、耐硫酸水素アンモニウム凝固部の吸熱部、硫酸水素アンモニウム凝固部の吸熱部、及び耐酸性結露部の吸熱部に各々温度センサーがある。
【0011】
更に、前記の一次気流部、耐硫酸水素アンモニウム凝固部、硫酸水素アンモニウム凝固部、及び耐酸性結露部の中の循環媒体が水、フレオンまたは伝熱油のいずれかである。
【0012】
望ましくは、前記の二次気流部が回転形空気予熱器の高温部である。
【0013】
望ましくは、前記の二次気流部が前記の相変化熱交換器であり、二次気流部の中の循環媒体が水、フレオンまたは伝熱油のいずれかである。
【0014】
前記の通りに、本発明に関する組み合わせた空気予熱器は次に掲げる長所がある。
【0015】
当該組み合わせた空気予熱器では、逸走したアンモニア・ガスが三酸化硫黄と反応して形成した硫酸水素アンモニウムはガス状態及び固体状態しかなく、即ち、液体状態の硫酸水素アンモニウムを形成しなく、液体状態の硫酸水素アンモニウムに付けたほこりにより空気予熱器の受熱面が詰められることをやめる上、効果的に空気予熱器に対する液体状態の硫酸水素アンモニウムの腐食を防止し、空気予熱器の耐用期間を延長し、ボイラーの伝熱効率を向上し、最終的に機器の安定、安全な動作を保証する。
【0016】
本発明はSCR脱硝後の組み合わせた空気予熱器に適する腐食及び詰りに耐える方法を提供して従来の技術における空気予熱器の受熱面に対する脱硝による液体状態の硫酸水素アンモニウムの腐食及び詰りという欠陥を解決することも目的にする。
【0017】
前記の目的に達成するために、本発明は下記のステップを含むSCR脱硝後の組み合わせた空気予熱器に適する腐食及び詰りに耐える方法を提供する。
【0018】
A、煙道の中の煙上流から組み合わせた空気予熱器に入り、順序に二次気流部、一次気流部、耐硫酸水素アンモニウム凝固部及び硫酸水素アンモニウム凝固部を経て、空気通道の中の空気が下流から組み合わせた空気予熱器に入り、順序に硫酸水素アンモニウム凝固部、耐硫酸水素アンモニウム凝固部、一次気流部及び二次気流部を経る。
【0019】
B、前記の耐硫酸水素アンモニウム凝固部の壁面の温度が硫酸水素アンモニウムの露点温度より高く、前記の硫酸水素アンモニウム凝固部の壁面の温度が硫酸水素アンモニウムの凝固点温度より低い。
【0020】
C、煙道の中の硫酸水素アンモニウムは硫酸水素アンモニウム凝固部及びその上流でガス状態であり、煙道の中の硫酸水素アンモニウムが硫酸水素アンモニウム凝固部及びその下流で固体状態であり、硫酸水素アンモニウム凝固部及びその下流の管路の壁面で凝固する。
【0021】
D、すす吹き装置でその中の硫酸水素アンモニウムのスケーリングを吹き除く。硫酸水素アンモニウム凝固部及びその下流の管路壁面にある硫酸水素アンモニウムのスケーリングを吹き除く。
【0022】
前記の通りに、本発明に関する組み合わせた空気予熱器の腐食・詰りに耐える方法下記の長所がある。
【発明の効果】
【0023】
本発明による組み合わせた空気予熱器の腐食・詰りに耐える方法では、硫酸水素アンモニウム凝固部及び硫酸水素アンモニウム凝固部の壁面の温度に対する管理により硫酸水素アンモニウムがしっかり硫酸水素アンモニウム凝固部及びその下流の管路の表面に凝固させ、すす吹き装置で凝固した硫酸水素アンモニウムのスケーリングを吹き除き、空気予熱器管路に対する液体状態の硫酸水素アンモニウムの腐食及び空気予熱器の受熱面に対する液体状態の硫酸水素アンモニウムに付けたほこりの詰りを防止し、最終的にボイラーの安全、適切、安定な動作を確保する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】従来の技術による空気予熱器の構成図
図2】本発明の構成図
図3】本発明の他の実施例
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に具体な実施例により本発明の実施方式について説明するが、当該分野の技術者が本発明の説明により容易に本発明の他の長所及び効果を調べることができる。
【0026】
本申請書に添付した図・式に示す構成、比例及び大さなどは申請書に記載の内容を説明するためのものだけであり、本発明の実施可能な限定条件ではないので、技術上の実質的な意義がなく、構成に関するいかなる修飾、比例関係の改訂または大さの調整が本発明の効果及び目的に影響を及ぼすことのない場合、本発明の範囲にあるとみなす。なお、本申請書における「上」、「下」、「左」、「右」、「中」、「一」などの言葉が明らかな説明のためのものだけであり、本発明の実施可能な範囲を限定するものではなく、その相対関係の改訂または調整は技術上の内容に対する実質的な変更がない限り本発明の実施可能な範囲にあるとみなす。
【0027】
本発明はボイラーSCR脱硝後の組み合わせた空気予熱器に関する。図2の通りに、当該組み合わせた空気予熱器は脱硝装置の下流にあり、並んで設置された煙道1と空気管路2、煙の流れる方向に沿って順序に設置された二次気流部3、一次気流部4、耐硫酸水素アンモニウム凝固部5及び硫酸水素アンモニウム凝固部6を含み、前記の一次気流部4、耐硫酸水素アンモニウム凝固部5及び硫酸水素アンモニウム凝固部6がともに相変化熱交換器であり、当該相変化熱交換器は煙道1にある吸熱部7、空気管路2にある放熱部8及び吸熱部7と放熱部8を連結するための上昇管9及び下降管10を含み、前記の放熱部8はそれと対応する吸熱部7より高く、相変化熱交換器の内に循環媒体があり、前記の耐硫酸水素アンモニウム凝固部5の壁面の温度が硫酸水素アンモニウムの露点温度より高く、前記の硫酸水素アンモニウム凝固部6の壁面の温度が硫酸水素アンモニウムの凝固点温度より低い。
【0028】
煙道1の中の高温煙(350〜440℃)は組み合わせた空気予熱器の上流から入り、順序に二次気流部3、一次気流部4の吸熱部7、耐硫酸水素アンモニウム凝固部5の吸熱部7、及び硫酸水素アンモニウム凝固部6の吸熱部7を経て、高温煙は空気予熱器を経る過程に熱量を放出して各相変化熱交換器吸熱部7の中の循環媒体を加熱し、各相変化熱交換器の中の循環媒体が煙が放出した熱量を吸収してから密度差により上昇力が生じ、吸熱部7の中の循環媒体が上昇管9を経て放熱部8に入るようにし、循環媒体は放熱部8で熱量を空気に放出してから下降管10を経て吸熱部7に入って自己循環に達成し、外部動力が不要である。耐硫酸水素アンモニウム凝固部5の管壁の温度及び耐硫酸水素アンモニウム凝固部5上流の管壁の温度が硫酸水素アンモニウムの露点温度(〜200℃)以上にあり、硫酸水素アンモニウム凝固部6の管壁の温度及び硫酸水素アンモニウム凝固部6下流の管壁の温度が硫酸水素アンモニウムの凝固点温度(147℃)以下にあるので、逸走したアンモニア・ガスと三酸化硫黄が反応して形成した硫酸水素アンモニウムは空気予熱器でガス状態及び固体状態しかなく、液体状態の硫酸水素アンモニウムがないので、ガス状態の硫酸水素アンモニウムが凝固し、ほこりが付け、空気予熱器の受熱面が詰められることを止め、更に煙の温度を低くし、気流の漏れを削減することができ、効果的に空気予熱器に対する液体状態の硫酸水素アンモニウムの腐食を防止し、空気予熱器の耐用期間を延長し、ボイラーの伝熱効率を向上し、最終的に機器の安定、安全な動作を保証する。望ましくは、前記の一次気流部4、耐硫酸水素アンモニウム凝固部5、硫酸水素アンモニウム凝固部6、及び耐酸性結露部11の中の循環媒体が水、フレオンまたは伝熱油などの溶液であり、実際に操作する際に当たり温度に応じて適切な循環媒体溶液を選択できる。
【0029】
更に、硫酸水素アンモニウム凝固部6の下流にある管壁の温度が低すぎる場合、酸性結露による腐食を引き起こすので、煙の流れる方向に沿って、硫酸水素アンモニウム凝固部6の下流に耐酸性結露部11もあり、当該耐酸性結露部11が前記の相変化熱交換器であり、前記の吸熱部7、放熱部8、上昇管9及び下降管10からなり、耐酸性結露部11の壁面の温度が酸性結露点温度(〜100℃)以上にあり、効果的に酸性結露による腐食を防止し、ボイラーのエネルギー消費を削減し、最大に省エネ及び排出削減に達成することができる。
【0030】
また、図2及び図3の通りに、空気一次気流部4を経て加熱されてから直接に2回路に分け、その一回路が直接に製粉システムの一次気流とし、もう一の回路が二次気流部3に加熱されてからボイラーの二次気流とし、即ち一次気流がが二次気流部を3を経なくてもよく、利用されなかった熱量が耐硫酸水素アンモニウム凝固部5または硫酸水素アンモニウム凝固部6または耐酸性結露部11のいずれかまたは複数で他の物質の加熱に用いられる。
【0031】
本発明に関する組み合わせた空気予熱器は使用前に熱力排出により耐酸性結露部11、硫酸水素アンモニウム凝固部6、耐硫酸水素アンモニウム凝固部5、及び一次気流部4にある空気を完全に排出し、各相変化熱交換器の循環管路に非凝縮性ガスがないようにし、ガスによる詰りまたは水による詰りが形成しないようにする。ボイラーが定格負荷で動作する間に、脱硝後の煙は温度が350〜440℃程度に安定し、脱硝後の煙の温度及び必要な一次気流と二次気流の温度に応じて各部(即ち耐酸性結露部11、硫酸水素アンモニウム凝固部6、耐硫酸水素アンモニウム凝固部5及び一次気流部4)循環管路の中の水量を調整し、それに対応して各相変化熱交換器の中の蒸気の圧力を調整し、蒸気の圧力が決まってから、その飽和温度も決まるものとなり、それに応じて各部壁面の温度が決まるものとなる。望ましくは、前記の一次気流部4の吸熱部7、耐硫酸水素アンモニウム凝固部5の吸熱部7、硫酸水素アンモニウム凝固部6の吸熱部7、及び耐酸性結露部11の吸熱部7に各々各部壁面の温度を測定するための温度センサー12がある。
【0032】
更に、本実施例では、図2の通りに、前記の二次気流部3は元の回転形空気予熱器の高温部であるが、相変化熱交換器であってもいい。図3の通りに、二次気流部3も前記の吸熱部7、放熱部8、上昇管9及び下降管10からなり、二次気流部3で相変化熱交換器の構成を利用する場合、その管路の中の循環媒体が水、フレオンまたは伝熱油などの溶液である。
【0033】
本発明は下記のステップを含む組み合わせた空気予熱器の腐食・詰りに耐える方法にも関する。
【0034】
A、煙道1の中の煙上流から組み合わせた空気予熱器に入り、順序に二次気流部3、一次気流部4、耐硫酸水素アンモニウム凝固部5及び硫酸水素アンモニウム凝固部6を経て、空気通道の中の空気が下流から組み合わせた空気予熱器に入り、順序に硫酸水素アンモニウム凝固部6、耐硫酸水素アンモニウム凝固部5、一次気流部4及び二次気流部3を経る。
【0035】
B、前記の耐硫酸水素アンモニウム凝固部5の壁面の温度が硫酸水素アンモニウムの露点温度より高く、前記の硫酸水素アンモニウム凝固部6の壁面の温度が硫酸水素アンモニウムの凝固点温度より低い。
【0036】
C、煙道1の中の硫酸水素アンモニウムは硫酸水素アンモニウム凝固部及びその上流でガス状態であり、煙道1の中の硫酸水素アンモニウムは硫酸水素アンモニウム凝固部6及びその下流で固体状態であり、硫酸水素アンモニウム凝固部6及びその下流の管路の壁面に凝固する。
【0037】
D、すす吹き装置でその中の硫酸水素アンモニウムのスケーリングを吹き除く。硫酸水素アンモニウム凝固部6及びその下流の管路壁面にある硫酸水素アンモニウムのスケーリングを吹き除く。
【0038】
まとめていうと、本発明に関するボイラーSCR脱硝後の組み合わせた空気予熱器及びその腐食・詰りに耐える方法は下記の長所がある。
【0039】
1.耐硫酸水素アンモニウム凝固部5及び硫酸水素アンモニウム凝固部6の壁面の温度を管理して硫酸水素アンモニウムが伝熱器の壁面で凝固することを防止する同時に、硫酸水素アンモニウムがしっかり伝熱器の壁面で凝固するようにし、すす吹き装置で硫酸水素アンモニウムのスケーリングを吹き除き、徹底的に脱硝中の逸走したアンモニア・ガスと煙の中の三酸化硫黄が生じた硫酸水素アンモニウムが伝熱器管壁で凝固して引き起こす腐食及び詰りなどの課題を解決し、ボイラーの安全、適切、安定な動作を保証し、全体で元の回転形空気予熱器の中温部と低温部における硫酸水素アンモニウムによる腐食を避けることができる。
【0040】
2.耐酸性結露部11を設置し、耐酸性結露部11の壁面の温度を管理して酸性結露による腐食を避け、ボイラーのエネルギー消費を削減し、省エネ・排出削減を最大にする。
【0041】
3.相変化熱交換器を利用して煙の温度を元の回転形空気予熱器よりも低いレベルに降下できる。
【0042】
4.一次気流部4を経た空気が直接に2回路に分け、一次気流が二次気流部3に入ることが不要となり、熱量の削減となる。
【0043】
5.相変化熱交換器を利用して元の回転形空気予熱器の気流の漏れの課題を解決できる。
【0044】
よって、本発明は効果的に従来の技術の中の様々な欠点を克服したので、産業に高度な価値がある。
【0045】
前記の実施例は本発明の原理及びその効果を説明するための例だけであり、本発明を制限するものではなく、関係分野の技術者が本発明の精神及び範囲に違反しないで前記の実施例に対する修飾または変更を行うことができる。よって、関係分野の技術者が本発明の精神及び範囲に違反しないで完成するすべての同等の修飾または変更は本発明の請求項とみなす。
【符号の説明】
【0046】
1・・・煙道
2・・・空気管路
3・・・二次気流部
4・・・一次気流部
5・・・耐硫酸水素アンモニウム凝固部
6・・・硫酸水素アンモニウム凝固部
7・・・吸熱部
8・・・放熱部
9・・・上昇管
10・・・下降管
11・・・耐酸性結露部
12・・・温度センサー
図1
図2
図3