特許第6157767号(P6157767)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6157767-レトルト食品収容容器 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6157767
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】レトルト食品収容容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20170626BHJP
【FI】
   B65D81/34 P
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-29759(P2017-29759)
(22)【出願日】2017年2月21日
【審査請求日】2017年3月13日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504198740
【氏名又は名称】有限会社 アルテクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100084696
【弁理士】
【氏名又は名称】赤尾 直人
(72)【発明者】
【氏名】石川 浩二
【審査官】 佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−128134(JP,A)
【文献】 特開2012−012100(JP,A)
【文献】 特開平09−002443(JP,A)
【文献】 特開2012−250734(JP,A)
【文献】 特開2010−143632(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/34
B65D 33/01
B65B 55/02
B65B 55/04
B65B 55/10
B65D 33/00
B65D 25/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品収容容器が、2枚の可撓性を有するプラスチックシートを素材とする側壁を採用し、かつ当該側壁の上端部又はその近傍、及び横側端部又はその近傍において、貼着し合い、前記側壁と接続する底部から更に当該側壁を延設した脚部を備えているレトルト食品収容容器の底部から延設した側壁からなる脚部の両側面において、両側の横側端部及びその近傍であって、当該脚部の下端に至らない領域に手指の火傷を避けるための熱水通過用穴を設けているレトルト食品収容容器。
【請求項2】
底部から延設した側壁からなる脚部の両側面において、両側の横側端部の中央位置又はその近傍であって、当該脚部の下端に至らない領域水通過用穴を追加していることを特徴とする請求項記載のレトルト食品収容容器。
【請求項3】
穴の平均径が0.5mm以上であり、かつ2cm以下であることを特徴とする請求項1,2の何れか1項に記載のレトルト食品収容容器
【請求項4】
水通過用穴を底部との接続部に隣接して設けることを特徴とする請求項1,2,3の何れか1項に記載のレトルト食品収容容器。
【請求項5】
水通過用穴が底部との接続領域に近くなるにしたがって、順次横側寸法を大きく設定していることを特徴とする請求項記載のレトルト食品収容容器。
【請求項6】
水通過用穴の形状が円弧状又は三角形であることを特徴とする請求項記載のレトルト食品収容容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開封前に電子レンジ又は熱湯による加熱予定している食品を収容する容器の側壁を底部側に延設した脚部を有するレトルト食品収容容器を対象としている。
【背景技術】
【0002】
食品を収容し、かつ展示における便宜上自立状態を実現するための側壁を容器本体の底部から延設した脚部を備える食品収容容器は既に公然と知られている。
【0003】
たとえば、特許文献1においては、レトルト食品用容器の底部(3)の脚部(4)を外壁層(10)に開設するか(図3、6及び請求項3)、又は底部(3)の下面終端に短円筒状の脚片(5)を垂下設する構成(図9、13及び段落〔0035〕)を開示している。
【0004】
更には、特許文献2においては、側周壁22を容器本体14の底部24から下方に延設した延設足部26を備えた少量化容器の構成を開示しており(要約書及び図2)、かつ当該容器は食品収容のためにも使用されている(段落〔150〕)。
【0005】
しかして、特許文献1の脚片(5)及び特許文献2の延設側部26においては、食品収容容器を熱湯によって加熱したうえで容器から食品を取り出す場合には、脚部の内側に熱湯、即ち熱水が残留しており、当該熱によって脚部を把持した手指における火傷を招聘するというアクシデントが少なからず発生する。
【0006】
然るに、特許文献1及び同2の食品収容容器においては、このような火傷を防止するための構成を何ら開示及び示唆していない。
【0007】
因みに、前記の脚片(5)を採用している特許文献1の場合には、水通過用連通孔(12)が外周層(10)に設けられているが(図9、12、13、及び段落〔0035〕)当該連通孔は、水の貯留による変形を防止することを目的としており、決して火傷を防ぐような構成を開示している訳ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2015-105116号公報
【特許文献2】特許2016- 94213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、側壁を底部から延設した脚部付きレトルト食品収容容器において、熱による加熱の後に当該容器を熱から取り出す際、火傷を招聘しないような構成による当該脚部付きレトルト食品容器の構成を提唱することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明の基本構成は、
(1)食品収容容器が、2枚の可撓性を有するプラスチックシートを素材とする側壁を採用し、かつ当該側壁の上端部又はその近傍、及び横側端部又はその近傍において、貼着し合い、前記側壁と接続する底部から更に当該側壁を延設した脚部を備えているレトルト食品収容容器の底部から延設した側壁からなる脚部の両側面において、両側の横側端部及びその近傍であって、当該脚部の下端に至らない領域に熱水通過用穴を設けているレトルト食品収容容器、
(2)底部から延設した側壁からなる脚部の両側面において、両側の横側端部の中央位置又はその近傍であって、当該脚部の下端に至らない領域水通過用穴を追加していることを特徴とする前記(1)レトルト食品収容容器、
からなる。
【発明の効果】
【0011】
側壁を底部から下側に延設した本発明に係るレトルト食品収容容器においては、当該容器をポット、又は鍋内の熱によって加熱した後に、脚部を手指によって保持し、かつ前記加熱状態から離脱する際、相向かい合う両側に配置されている水通過用穴の一方を下側となるように保持した場合には、横側端部の一方側が下方位置となるような状態が出現することが極めて多いが、脚部と底部との間の領域に残存している熱当該横側端部のうちの一方側及びその近傍に設けた熱水通過用穴を介して落下し、その結果、手指の火傷を避けることが出来る。
【0012】
しかも、脚部に水通過用穴が、脚部の下端に至らない領域に設けられているので、加熱していない段階では食品収容容器が、脚部を介して自立する際、脚部の支持機能を損なう訳ではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】基本構成(1)を示しており、(a)はシートの面に即した側面図であり、(b)は(a)のA−A方向と直交する矢印方向における側断面図であり、(c)は(a)のB−B方向と直交する矢印方向における下断面図である。 尚、(a)における点線は底部13の状態を示し、斑点領域は貼着領域を示し、(b)における点線は貼着ラインを示し、(c)の点線は、側壁の状態を示す。
図2】基本構成(2)を示しており、(a)はシートの面に即した側面図であり、(b)は(a)のA−A方向と直交する矢印方向における側断面図であり、(c)は(a)のB−B方向と直交する矢印方向における下断面図である。 尚、(a)における点線は底部13の状態を示し、斑点領域は貼着領域を示し、(b)における点線は貼着ラインを示し、(c)の点線は、側壁の状態を示す。
【0014】
図3】実施例の状態を示す底部13近傍の側面図であって、(a)は水通過用穴2が円弧上の場合を示しており、(b)は水通過用穴2が三角形状である場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、図に示す基本構成()のように、2枚の可撓性を有するプラスチックシートを上端又はその近傍及び横方向両側端又はその近傍において貼着した側壁を採用し、かつ前記側部と接続する底部から更に当該側部を延設した脚部を備えているレトルト食品収容容器1に立脚している。
【0016】
基本構成()に係るレトルト食品収容容器1の場合には、当該容器1を電子レンジだけでなく、ポット又は鍋等の内の熱によって加熱した後に、上側の切り口を開放するというプロセスを経ることが多いが、レトルト食品収容容器1を加熱状態から手指によって取り出す場合には、本来のシートが貼着し合っている上端又はその近傍ではなく、ややこれらの位置よりも上側にある脚部13の一方側を配置することが多い。
【0017】
基本構成()の場合には、レトルト食品収容容器1の脚部13を手指によって保持して加熱状態から取り出す場合には、横側端部の一方側が下方位置となるような状態が出現する場合が極めて多いが、熱水透撓用穴2を、図1(a)、(b)、(c)に示すように、両側の横側端部及びその近傍に設けることによって、熱水が横側端部のうちの一方側及びその近傍に設けた熱水通過用穴2から落下し、既に説明した効果を発揮することができる。
【0018】
基本構成(2)に係るレトルト食品収容容器1の場合には、図2(a)、(b)、(c)に示すように、脚部13において相向かい合う面にて設ける水通過用穴2を、当該貼着領域以外の相向かい合う両側面において、両側の横側端部の中央位置又はその近傍に追加して設けているが、このような構成もまた好的に採用することが出来る。
【0019】
何故ならば、基本構成(2)のレトルト食品収容容器1の脚部13は、前記中央位置又はその近傍が膨らんだ突出状態を呈しており、熱が残留する確率が極めて高いからである。
【0020】
水通過用穴2の大きさは特に限定されないが、1個当たりの穴の平均径は、水の粘性を考慮したうえで、速やかな通過を実現するためには、0.5mm以上であることが好ましい。
但し、平均径が0.5mm〜1mmのような小さな径の場合には、少なくとも3個以上の水透過用穴を設けることによって、速やかな熱の落下を実現することができる。
【0021】
他方、食品収容容器1の自立状態を確保するために必要な脚部13の強度を考慮した場合には、前記平均径については2cm以下であることが好ましい。
尚、平均径が1cm〜2cmの場合には、1個の穴によっても、速やかな熱の落下を実現することができる。
しかしながら、基本構成(2)のレトルト食品収容容器1の場合には、図2に示すように両側の横側端部及びその近傍のみならず、両側の横側端部の中央位置又はその近傍に水通過用穴2を設けた場合には、脚部13を手指によってどのような方向に保持しても速やかな熱の落下が実現できる点において、現実に熱から取り出す際、色々な使用に適合することができる。
【0022】
以下、実施例に即して説明する。
【実施例】
【0023】
底部12から延設された脚部13を手指によって保持したうえで、熱による加熱状態から取り出す場合には、脚部13の下側端が上側となり、容器の上側端が下側となるような傾斜状態を呈することから、脚部13に残留した熱は底部12側に流動し易い状況にある。
【0024】
このような流動状況を考慮するならば、水通過用穴2を底部12との接続部に隣接して設けることを特徴とする実施例が、手指が熱と接触しないことを保証するうえで、好ましい状況にある。
【0025】
このような状況を考慮し、前記実施例においては、基本構成(2)に立脚したうえで、特に図3(a)、(b)に示すように、水通過用穴2が底部12との接続領域に近くなるにしたがって、順次横側寸法を大きく設定することによって、底部12に近づくにしたがって、熱を効率的に落下させることができる。
【0026】
尚、図3(a)は、穴が円弧状(食品収容容器が自立している段階では逆円弧状)の場合を示しており、図3(b)は、穴が三角形状(食品収容容器が自立している段階では逆三角形状)の場合を示す。
【産業上の利用可能性】
【0027】
このように、本発明は食品収容容器、就中、レトルト食品収容容器において、火傷を伴わずに熱による加熱を実現することが可能であり、その利用範囲は広範である。
【符号の説明】
【0028】
1 食品収容容器
11 側壁
12 底部
13 脚部
2 水通過用穴
3 開封用切込部
4 貼着領域
【要約】
【課題】 側壁11を底部12から延設した脚部13付き食品収容容器1において、熱湯での加熱の後に当該容器1を熱湯から取り出す際、火傷を招聘しないような構成による当該脚部付き食品容器の構成を提唱すること。
【解決手段】 食品を収容する容器本体、就中、2枚の可撓性を有するプラスチックシートを素材とする側壁を採用し、かつ当該側壁の上端部又はその近傍、及び横側端部又はその近傍において貼着し合っているレトルト食品収容容器本体の側壁11と接続する底部12から更に当該側壁11を延設した脚部13を備えた食品収容容器1であって、当該脚部13の相向かい合う各両側面において水通過用穴2を当該脚部の下端に至らない領域に1個又は複数個設けている食品収容容器1。
【選択図】 図2
図1
図2
図3