(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記載置部と前記周縁部との境界の近傍における前記載置部の水平面に対する角度である第1角度よりも、前記載置部と前記周縁部との境界の近傍における前記周縁部の水平面に対する角度である第2角度のほうが、大きい、
請求項1に記載の計量装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る計量装置について説明する。
【0016】
(1)全体構成
図1は、本発明の一実施形態に係る計量装置100の外観図であって、
図2は、計量装置100を横方向(具体的には、右側方)から見た図である。計量装置100は、例えば百貨店やスーパーマーケットの店舗の食料品売り場(具体的には、惣菜コーナー)等に設置されている。計量装置100は、セルフ式の計量・ラベル発行装置であり、顧客が好みの惣菜等である商品を所望の容器(風袋)に入れたもの(以下、被計量物と言う)を計量する。特に、本実施形態に係る計量装置100では、複数種類ある容器の中からどの容器を顧客が選択してその容器に商品を入れたとしても、選択した容器を計量装置に入力する操作を顧客自身が行うことなく、その容器に入れられている商品のみの重量を計量し、更には計量結果に応じた価格を表記するラベルを出力することができる。出力されたラベルは、顧客によって容器の上蓋に貼り付けられることになる。
【0017】
ここで、本実施形態では、商品が複数種類ある中で顧客が自由に好みの商品を容器に入れる販売態様において、各商品の単価が同じである場合を例に取って説明する。
【0018】
この計量装置100は、外観からは、
図1および
図2に示すように、主として、本体部10、計量皿11、およびタッチパネル16から成る。本体部10は、その内部に計量機構17の主部や制御部30、HDD20などを内包する。計量皿11は、本体部10から上に突出している計量機構17の皿装着部17aの上に配備される。具体的には、皿装着部17aに対して、計量皿11が脱着可能に装着されている。タッチパネル16は、本体部10の背面側にて鉛直方向に延びる2本の支柱10a,10bによって、本体部10の上方において支持されている。このタッチパネル16は、主として顧客が見たり操作したりするために設けられているが、各種設定の操作を店舗従業員が行うときには、その店舗従業員が見たり操作したりする。
【0019】
また、計量装置100は、
図3に示すように、店舗サーバ150およびレジ端末160a,160b,・・・と通信可能に接続されている。店舗サーバ150は、商品に関する各種情報を記憶している。レジ端末160a,160b,・・・は、顧客に請求する金額の演算や、顧客の支払いに対する釣銭の算出等を行う。また、レジ端末160a,160b,・・・と店舗サーバ150同士も、通信可能に接続されている。店舗サーバ150には、レジ端末160a,160b,・・・に入力された商品に関する情報(具体的には、商品の価格、商品番号など)が送られ、当該情報が蓄積される。
【0020】
(2)詳細構成
計量装置100は、
図1,
図2および
図4に示すように、主として、計量皿11、計量機構17、カメラ12、人感センサ13、ラベル発行機構14、タッチパネル16、スピーカー18、店舗側無線部19a、通信部19b、HDD20、および制御部30を有する。これらの構成要素のうち、計量皿11、カメラ12、人感センサ13、タッチパネル16およびスピーカー18を除く他の構成要素は、
図1における本体部10内に収納されている。
【0021】
(2−1)計量皿
計量皿11は、総菜などの商品を顧客が容器に入れて容器の蓋を被せたあとに、その被計量物を置くための金属製の部品である。この計量皿11は、
図5に示すように、被計量物の容器を載せる水平載置部PA1と、その水平載置部PA1の周りに位置する4つの周縁部とを有する。4つの周縁部は、正面側の正面周縁部PA2、左側の左周縁部PA3、右側の右周縁部PA4および背面側の背面周縁部PA5である。水平載置部PA1は、その上面が水平な面となっており、水平載置部PA1の水平面HLに対する角度は0°である。正面周縁部PA2、左周縁部PA3および右周縁部PA4は、水平載置部PA1に対して約45°の傾斜を持つ。すなわち、正面周縁部PA2、左周縁部PA3および右周縁部PA4の水平面HLに対する角度は、45°である(
図6の角度A2を参照)。一方、背面周縁部PA5は、水平載置部PA1に対して約90°の傾斜を持つ。すなわち、背面周縁部PA5の水平面HLに対する角度は、90°である(
図6の角度A5を参照)。
【0022】
計量皿11は、
図6に示すように、カメラ12の下方に位置し、使用が想定される容器のうち最も高さ寸法H2が大きな容器TRが水平載置部PA1の端に置かれたときにも、所望の画像がカメラ12から得られるように、その形状および大きさの設計が為されている。具体的には、カメラ12は、計量皿11の水平載置部PA1の上面よりも高さH1だけ高い位置に設置されている。そして、カメラ12から容器TRに向かう所定の第1仮想直線VLN1が周縁部と交わる仮想交点PIが、周縁部の外縁よりも水平載置部PA1に近い位置にあるように、それぞれの周縁部が形成されている。正面周縁部PA2を例にとって、
図6を参照して説明すると、第1仮想直線VLN1は、複数の容器の中で最も高さ寸法が大きい容器TRが水平載置部PA1の正面周縁部PA2に隣接する端(境界Bo)に置かれたときに、カメラ12から容器TRの各部分に延びる仮想直線VLN1,VLN2,VLN3,VLN4,・・・のうち、最も高い位置にある仮想直線である。言い換えると、第1仮想直線VLN1は、カメラ12から容器TRの各部分に延びる仮想直線VLN1,VLN2,VLN3,VLN4,・・・のうち、正面周縁部PA2との仮想交点PIが最も水平載置部PA1から遠い位置にある仮想直線である。そして、その第1仮想直線VLN1と正面周縁部PA2との仮想交点PIが、正面周縁部PA2の外縁Ed2よりも水平載置部PA1に近い位置にくるように、正面周縁部PA2の大きさや水平載置部PA1に対する傾斜角度が決められている。同様に、左周縁部PA3、右周縁部PA4および背面周縁部PA5の大きさや水平載置部PA1に対する傾斜角度も、それぞれの外縁Ed3,Ed4,Ed5(
図7参照)よりも仮想交点PIが内側にくるように決められている。
【0023】
なお、計量皿11の後方には、カメラ12やタッチパネル16を支持する2本の支柱10a,10bが位置しているが、他の周縁部PA2,PA3,PA4とは違って背面周縁部PA5の水平面に対する角度が90°であるため、計量皿11を支柱10a,10bに近づけることができている。
【0024】
また、計量皿11の色として、今回の容器が白色であることに鑑み、白色や銀色ではなく、黒色を採用している。
【0025】
(2−2)計量機構
計量機構17は、その皿装着部17aの上の計量皿11に容器が置かれると、計量皿の重量を量ることで、その計量皿の上に載った被計量物(容器に商品が入れられた被計量物)の重量を量る。計量機構17の詳細構成については、周知であるため説明を省略するが、測定した重量値(計量値)は、計量機構17から制御部30へと送られる。
【0026】
(2−3)カメラ
カメラ12は、
図1および
図2に示すように、タッチパネル16の下端の近傍において、2本の支柱10a,10bに渡って設けられている支持部材12aに取り付けられている。カメラ12は、計量皿11の上方から、計量皿11およびその周囲が撮影領域となるように設置されている。すなわち、カメラ12は、計量皿11を含む撮影領域の画像を、計量皿11の上方から撮る。
【0027】
(2−4)人感センサ
人感センサ13は、カメラ12と同様、
図1および
図2に示すように、支持部材12aに取り付けられている。人感センサ13は、カメラ12の左側および右側に、それぞれ設けられている。人感センサ13は、その検知部分が計量装置100の正面側に向くように設置されている。人感センサ13は、例えば赤外線センサや超音波による距離センサで構成されており、計量装置100の正面側の空間およびその近隣空間における顧客の存在の有無を検知する。人感センサ13による検知結果は、後述する購入手順の案内開始のトリガ等として用いられる。
【0028】
(2−5)ラベル発行機構
ラベル発行機構14は、ラベルカセットや複数のセンサ等によって構成されている。ラベル発行機構14は、ラベルカセットから繰り出される白紙のラベルに、商品の重量に基づく商品の価格等を印字して、顧客が容器に貼り付けるラベルを発行する。ラベルに利用される白紙としては、裏面のみ粘着性のあるものが利用される。
【0029】
図14は、ラベル発行機構14により発行されるラベルの一例として、ラベルL1を示している。
図14のラベルL1は、消費期限L2、商品の100gあたりの単価L3、商品の重量である正味量L4、商品の重量に対応する価格L5、および価格L5を表すバーコードL6が印字されている。
【0030】
なお、上記センサには、ラベルカセットに入れられている白紙ロールの残量を検知するためのセンサ、発行したラベルが顧客によって取られたことを検知するためのセンサ等が挙げられる。
【0031】
(2−6)タッチパネル
タッチパネル16は、顧客向けの様々な画面を表示する。特に、計量装置100付近に顧客が近づいてきたために人感センサ13が当該顧客の存在を検知した時、タッチパネル16は、購入手順の案内用の画面の1つである画面sc1(
図8参照)の表示を開始する。画面sc1の表示後、タッチパネル16は、続いて購入手順の案内用の他の画面である画面sc2,sc3を順に表示していく。
【0032】
ここで、本実施形態に言う購入手順には、ラベルをラベル発行機構14に発行させるための発行操作、およびそのラベルを顧客が容器に貼り付ける貼り付け動作が含まれる。より具体的に説明すると、購入手順には、以下の3つの手順が含まれる。
手順1:被計量物を計量皿11の水平載置部PA1の上に載置することを顧客に促す(
図8の画面sc1)。
手順2:商品の重量に応じた価格等を含むラベルを発行するため、タッチパネル16に表示された画面sc2上の発行ボタンsc2cに押下することを顧客に促す(
図9の画面sc2)。
手順3:発行ボタンsc2cの押下(SC2aを押しても良い)によって発行されたラベルを、被計量物の容器に貼り付けることを顧客に促す(
図10の画面sc3)。
【0033】
上記手順1〜3に示すように、本実施形態に係る基本的な購入手順には、顧客がどの容器を選択したのかを顧客に入力してもらう手順が基本的には含まれていない。なぜならば、顧客によって計量皿11に被計量物が載置されることにより、カメラ12および制御部30の容器特定部37によって当該被計量物の容器の大きさが検知され、どの容器が用いられたかが自動で特定されるためである。
【0034】
一方、カメラ12を用いたとしても、被計量物の容器の大きさが検知できなかった場合や、検知した容器の大きさが2種類以上の容器に当てはまる等の理由により容器の特定ができなかった場合には、手順1と手順2との間に、
図11に示す画面sc4がタッチパネル16に表示される。画面sc4は、顧客が選択した容器を、顧客自身に入力してもらう画面である。なお、上述の最も高さ寸法が大きな容器TRは、この店舗においては現在使われておらず画面sc4の選択肢にも入っていないが、販売商品が変われば選択肢に入ることがある。
【0035】
ここで、各種画面sc1〜sc4に含まれる情報について簡単に説明する。画面sc1には、容器の重さsc1a、被計量物の重さ(もしくは商品自身の重さ)sc1b、商品の100gあたりの単価sc1c、商品の価格sc1d、被計量物を計量皿11に載置する旨を表すメッセージsc1e、および被計量物を計量皿11に載置する動画sc1fが含まれている。ここで、動画sc1fの代わりに静止画やアニメ画像が利用されてもよい。画面sc1は、顧客が計量装置100に近づいてから計量皿11に被計量物が載置されるまでの間、もしくは、顧客が計量装置100に近づいてから所定時間の間、タッチパネル16に表示し続けられる。なお、容器の重さsc1a、被計量物の重さsc1b、商品の100gあたりの単価sc1cおよび商品の価格sc1dは、他の画面sc2〜sc4においても、共通して表示される情報である。
【0036】
画面sc2には、発行ボタンsc2cの押下を促すメッセージsc2aの他、容器の名称sc2b、発行ボタンsc2c、および、戻るボタンsc2dが含まれている。戻るボタンsc2dが押下された場合には、タッチパネル16には、画面sc1が再度表示される。
【0037】
画面sc3には、発行されたラベルを容器に貼る旨を促すメッセージsc3aの他、計量皿11に被計量物を載置したままラベルを容器に貼り付ける動画sc3bが含まれている。この画面sc3は、ラベルと被計量物(容器)の少なくとも一方が計量皿に残っている間、また顧客が計量装置100から遠ざかるまでの間、もしくは、画面sc3が表示されてから所定時間の間、タッチパネル16に表示し続けられる。
【0038】
画面sc4には、顧客が選択した容器の選択を促すメッセージsc4aの他、選択可能な容器に関する各種情報sc4b,sc4c,sc4d,sc4eが含まれている。容器に関する各種情報sc4b〜sc4eは、いずれか1つを選択可能に表示されている。この画面sc4は、顧客が容器に関する各種情報sc4b〜sc4eのうちいずれか1つを選択するまでの間、もしくは、画面sc4が表示されてから所定時間の間、タッチパネル16に表示し続けられる。
【0039】
なお、各種画面sc1〜sc4が表示されてから所定時間が経過し且つ顧客が計量装置100付近にいないと判定される場合には、顧客が購入手順を途中で辞めたと判断し、たとえ購入手順の案内が途中であっても、タッチパネル16は、各種画面sc1〜sc4の表示を終了する。
【0040】
また、
図10に示す画面sc3を表示したけれども、発行されているラベルが取り除かれずに残っている場合、その状態で次の被計量物が計量皿11の上に置かれると、既に発行されているラベルが取り除かれるまで計量装置100は待機状態を採る。そして、発行済みのラベルが取り除かれると、次の被計量物が自動検知され、画面sc2が表示されて次のラベルを発行できる状態に変わる。
【0041】
(2−7)スピーカー
スピーカー18は、カメラ12や人感センサ13と同様に、
図1および
図2に示す支持部材12aに内蔵されている。スピーカー18は、顧客向けの様々な情報を音声にて出力する。特に、計量装置100付近に顧客が近づいてきて人感センサ13が顧客の存在を検知した時、スピーカー18は、タッチパネル16が表示する各種画面sc1〜sc4に連動して、表示されている各種画面sc1〜sc4上のメッセージsc1e,sc2a,sc3a,sc4aを音声にて出力する。例えば、スピーカー18は、タッチパネル16に画面sc1が表示された場合にはメッセージsc1eを、画面sc2が表示された場合にはメッセージsc2aを、それぞれ音声にて出力する。
【0042】
(2−8)店舗側無線部
店舗側無線部19aは、店舗従業員が所持する携帯端末(図示せず)と無線通信を行うためのものである。
【0043】
店舗側無線部19aは、人感センサ13が顧客の存在を所定時間以上継続して検知したときは、その旨を店舗従業員の携帯端末に対して報知する。この場合、顧客は計量装置100付近に比較的長い時間継続していることとなるため、顧客が何らかの理由で困惑していると判断できる。従って、所定時間以上継続して計量装置100付近にいる内容を報知された店舗従業員は、顧客に駆け付けて対応することができ、より良いサービスを顧客に提供することができる。
【0044】
また、店舗側無線部19aは、ラベル発行機構14における白紙ロールの残量が所定量以下となった場合や、未使用の容器の数が所定数以下となった場合には、その内容を店舗従業員の所持する携帯端末に送信してもよい。
【0045】
(2−9)通信部
通信部19bは、
図2に示す店舗サーバ150およびレジ端末160a,160b,・・・と通信を行うことができる。特に、本実施形態に係る通信部19bは、ラベル発行機構14が発行したラベルに関する情報を、店舗サーバ150およびレジ端末160a,160b,・・・に送信する。ラベルに関する情報としては、ラベルに記載された商品の価格(
図14のL5)の他、ラベルを発行した時間等が挙げられる。
【0046】
(2−10)HDD
HDD20は、主として、容器情報テーブル22を記憶している。容器情報テーブル22は、後述する容器の特定動作、および後述する商品自身の重量算出の際に利用されるテーブルである。容器情報テーブル22では、
図15に示すように、風袋名称(容器名称)22a、大きさ関連情報22bおよび風袋重量(容器重量)22cが対応付けられている。大きさ関連情報22bには、上から見た場合の容器の形と共に容器の大きさが含まれている。
【0047】
なお、容器の大きさは、
図15に示すように、所定幅を持つように表されている。容器の大きさを自動で検知するカメラ12の検知誤差を考慮して、所定幅を持たせている。
【0048】
(2−11)制御部
制御部30は、CPU、RAMおよびROMによって構成されたマイクロコンピュータであって、計量装置100を構成する様々な構成要素と接続されている。ROMには、計量装置100を制御するための制御プログラムが格納されている。CPUは、ROMに格納された制御プログラムに基づいて、計量装置100を制御する。RAMは、CPUがROMに格納された制御プログラムを実行する際の、所謂ワークメモリとして機能する。
【0049】
特に、本実施形態に係る制御部30は、容器の特定動作、商品の価格算出動作、人感センサ13の検知結果に基づく購入手順の案内制御等を行う。このような動作を実現するため、制御部30は、
図4に示すように、重量確定部31、容器特定部37、ラベル情報生成部38、および報知制御部39として機能する。
【0050】
なお、以下では、説明の便宜上、制御部30の行う動作の主体を、制御部30の有する各機能部が行うものとして、各機能部(具体的には、重量確定部31等)の名称にて表すとする。
【0051】
(2−11−1)重量確定部
重量確定部31は、計量機構17から送られてくる計量値(重量値)を監視し、容器が計量皿11に置かれた後、計量値が安定したところで、計量値の決定を行って商品の重量を確定する。
【0052】
重量確定部31は、計量値の決定後、後述する容器特定部37によって特定された容器の情報を容器情報テーブル22から引き出し、容器の重量を抽出する。容器が“容器b”であれば、重量確定部31は、容器重量として“9g”を抽出する。次いで、重量確定部31は、抽出した容器の重量を、計量皿11による被計量物の計量値から減算して、商品の重量を算出する。即ち、被計量物の重量値には、商品の重量のみならず、商品を入れている容器の重量までもが含まれているため、重量確定部31は、抽出した容器の重量を用いて、商品自身の重量を求めるのである。例えば、“容器b”に商品が入れられた被計量物の重量値が600gである場合、商品自身の重量は、591gとなる(600g−9g=591g)。更に、重量確定部31は、商品自身の重量に商品の単価を乗算することによって、商品の価格も算出する。商品自身の重量の算出に用いられた容器の重量、被計量物の重量もしくは商品の重量、商品の単価、および算出された商品自身の価格は、図示を省略するが、タッチパネル16に表示される。
【0053】
(2−11−2)容器特定部
容器特定部37は、カメラ12で撮った画像を用いて、顧客が選択した容器を特定する。例えば、計量皿11に置かれた容器TRの前端が、
図6に示すように水平載置部PA1と正面周縁部PA2との境界Boの角の部分に当たった状態のときには、カメラ12で撮った画像が
図7に示すような画像IMとなる。この
図7に示す画像IMのように、カメラ12で撮った画像は、計量皿11の各周縁部PA2,PA3,PA4,PA5の外縁Ed2,Ed3,Ed4,Ed5が、容器TRの画像部分の外側に位置することになる。すなわち、例えば
図7に示す画像では、容器TRの画像部分と正面周縁部PA2の外縁Ed2との間に、正面周縁部PA2の画像部分の一部PA2aが存在し、容器TRの画像部分と右周縁部PA4の外縁Ed4との間に、右周縁部PA4の画像部分の一部PA4aが存在する。これらのPA2a,PA4aが黒い帯状部分として画像に存在しているため、この画像を用いた容器特定のための画像解析において、容器TRの輪郭の抽出が容易となり、容器TRの輪郭を誤って認識してしまう恐れが少なくなる。すなわち、容器特定の精度が高まる。
図7の画像では、容器TRの外側に背景SUが写り込んでおり、
図7の左上の部分には容器TRの白色に近い背景部分SU1が写っている。しかし、上述のように両者TR,SU1の間に帯状のPA2a,PA4aが存在するので、容器特定に支障はない。
【0054】
次に、容器が計量皿11の水平載置部PA1の上だけに置かれず、水平載置部PA1と周縁部とにまたがって置かれたときの処理について説明する。
図6に示す容器TRが、もしも少しだけ正面周縁部PA2にまたがるように置かれたとしても、容器TRの左下の角部が正面周縁部PA2上を滑り落ちて、容器TRが水平載置部PA1だけに置かれた状態に移行する。これは、正面周縁部PA2が水平載置部PA1に対して約45°の傾斜を持つからである。しかし、もし容器TRの下面が正面周縁部PA2の外縁Ed2の上に載る態様で置かれた場合、カメラ12の画像が、
図13に示すような画像IMとなる。
図13に示す画像IMでは、容器TRの画像部分と、容器TRの白色に近い背景部分SU1とが連続した状態になっており、容器TRの輪郭を画像処理で正確に抽出することが難しくなる。このような画像が得られ、容器の特定ができない場合、容器特定部37は、
図12に示す画面sc5をタッチパネル16に表示させるとともに、ポップアップ表示させたメッセージsc5aの内容をスピーカー18で音声出力する。
【0055】
画像から容器の輪郭および大きさを認識した容器特定部37は、その結果を
図15の容器情報テーブル22における“大きさ関連情報22b”に当てはめ、顧客の選択した容器を特定する。例えば、カメラ12による検知結果が「円形」かつ「直径が140mm」であれば、容器特定部37は、顧客の選択した容器が“容器b”であると特定する。
【0056】
(2−11−3)容器特定処理と重量確定処理との関係
図16に、容器特定部37による容器特定のための主要処理と、重量確定部31による重量算出のための主要処理との時間的な関係を示す。ステップS1において容器が計量皿11の上に置かれると、容器特定部37は、計量値が安定するのを待たず、すなわち計量皿11の上の容器の安定度合いを無視して、直ちにカメラ12から画像を取得する(ステップS2)、そして、容器の輪郭認識のための画像処理を含む容器特定処理が行われる(ステップS3)。これらステップS2,S3の処理は300msec程度で行われるため、このときは未だ計量値の安定を待っている時間帯である。通常、計量値が安定するまでに1000msec程度の時間を要する。計量値が安定したことを確認すると(ステップS4)、重量確定部31は計量値の決定および商品重量の算出を行う。
【0057】
もし、ステップS3の容器特定処理が失敗であれば、容器特定部37は、ステップS4の計量値安定確認後に、再びカメラ12から画像を取得し(ステップS5)、容器特定処理を行う(ステップS6)。この場合は、重量確定部31による商品重量の算出においても容器特定処理が終わっている必要があるため、容器が計量皿11に置かれてから商品重量の算出が終わるまでに、1300msecを超える比較的長い時間が必要になる。
【0058】
一方、ステップS3で容器特定処理が成功していれば、1000msec程度の比較的短い時間で商品重量算出が終わることになる。
【0059】
(2−11−4)ラベル情報生成部
ラベル情報生成部38は、ラベル発行機構14によってラベルに表記される情報を生成する。つまり、ラベル情報生成部38は、
図14に示すラベルL1のように、消費期限L2や商品の単価L3、重量確定部31によって算出された商品自身の重量である正味量L4、商品の価格L5、および該価格を表すバーコードL6を生成する。
【0060】
(2−11−5)報知制御部
報知制御部39は、タッチパネル16やスピーカー18において報知される情報の生成や表示制御、音声出力制御を行う。特に、報知制御部39は、人感センサ13の検知結果に応じて、スピーカー18の音声出力制御を行う。
【0061】
報知制御部39は、上述の幾つかのスピーカー18による音声出力を行っている。例えば、
図8に示す顧客の操作前の画面sc1を表示しているときに、「商品を計量皿の上に置いて下さい」というメッセージsc1eがスピーカー18によって音声出力される。この音量については、人感センサ13の検知結果から計量装置100の前に人がいないと判断されているときには大きな音量であり、人がいると判断されているときには比較的小さな音量である。
【0062】
また、報知制御部39は、上述の幾つかのスピーカー18による音声出力の他に、値引き販売を顧客に報知するための値引き音声制御を行う。以下、値引き音声制御および関連制御について説明する。
【0063】
店舗従業員は、閉店時刻が近づいたとき、閉店の間際、あるいは年末の特別セールの実施時期の前など、通常よりも単価を下げる値引き販売を行うときに、計量装置100の設定を変更する。例えば、タッチパネル16を操作して、
図19に示す設定画面sc11を呼びだし、通常販売sc11a、初期タイムセール販売sc11b、最終タイムセール販売sc11c、および期間限定特別販売sc11dの中から該当する販売態様を選択する。
【0064】
タッチパネル16は、計量値から計量皿11に被計量物が載っていないと判断し、且つ、人感センサ13の検知結果から計量装置100の前に誰もいないと判断している状態が所定時間続くと、待機画面を表示する。この待機画面が表示されると、値引き音声制御が始まる。値引き音声制御では、値引き販売を実施している旨を繰り返し音声で出力する。例えば、「ただいま、タイムセール実施中です」、「ただいま、最終タイムセール実施中です」といった音声が繰り返し流れる。この繰り返しの頻度(時間の間隔)は、例えば、初期タイムセール販売が選択されているか、最終タイムセール販売が選択されているかで、変わる。前者の場合には長い時間間隔で音声メッセージが出され、後者の場合には短い時間間隔で音声メッセージが出される。また、音量も、前者の場合には比較的小さな音量で、後者の場合にはそれよりも大きな音量になる。
【0065】
(3)特徴
(3−1)
本実施形態に係る計量装置100では、カメラ12で撮った画像を用いて容器特定部37が容器の特定を行うため、顧客(計量装置100の利用者)の操作負担が軽減される。そして、
図6に示すように、カメラ12から容器TRに向かう仮想直線VLN1,VLN2,VLN3,VLN4のうち最も高い位置にある第1仮想直線VLN1と、計量皿11の周縁部PA2との交点である仮想交点PIが、周縁部PA2の外縁Ed2よりも計量皿11の水平載置部PA1に近い位置にあるため、カメラ12で撮った計量皿11の画像において、計量皿11の周縁部PA2,PA3,PA4,PA5の外縁Ed2,Ed3,Ed4,Ed5の内側に容器TRが存在するようになる(
図7参照)。このような画像が得られるため、画像中の白色の容器TRが計量皿11の黒色で囲われ、その画像を使って容器の特定処理(容器の輪郭を認識するための画像処理を含む)を行うときの特定ミスが抑制される。
【0066】
例えば、
図13に示すように画像において計量皿11の外縁Ed2,Ed3,Ed4,Ed5から容器TRがはみ出していると、はみ出した部分の周囲の一部に計量皿11以外の背景SUが写り込み、その背景SUの色が容器TRの色に近い場合には、画像処理においてミスが起こりやすくなる。しかし、計量装置100では、
図7に示すように、白色の容器TRの周りが全て計量皿11の黒色の背景である画像が得られるため、容器の特定の精度が高くなっている。
【0067】
(3−2)
計量装置100の計量皿11では、
図6に示すように、水平載置部PA1と周縁部PA2,PA3,PA4,PA5との境界Boの近傍における水平載置部PA1の水平面HLに対する角度である第1角度が0°であり、水平載置部PA1と周縁部PA2,PA3,PA4との境界Boの近傍における周縁部PA2,PA3,PA4の水平面HLに対する角度である第2角度が45°である。すなわち、第1角度よりも第2角度のほうが大きい。このような構成を採っているため、容器が水平載置部PA1だけに置かれずに、水平載置部PA1および周縁部PA2,PA3,PA4にまたがって置かれた場合にも、容器が周縁部PA2,PA3,PA4の上を滑って水平載置部PA1だけに置かれた状態になることが期待できる。さらに、水平載置部PA1とPA2,PA3,PA4,PA5との境界Boは、水平載置部PA1に容器(被計量物)を置く顧客にとって、容器のストッパー或いは載置のためのガイドとして機能する。
【0068】
(3−3)
計量装置100では、計量皿11の後方にカメラ12やタッチパネル16を支持する支柱10a,10bを立てているため、計量皿の形状によっては本体部10の奥行き寸法(前後長さ)を大きくしなければならない。しかし、ここでは計量皿11の正面周縁部PA2の水平面HLに対する角度を45°とする一方、背面周縁部PA5の水平面HLに対する角度を90°にしている。このため、計量皿11の水平載置部PA1がカメラ12の真下の空間から外れてしまったり計量装置100の奥行き寸法が大きくなったりする不具合がなくなっている。
【0069】
<変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、以下のような変形例が考えられる。
【0070】
(1)変形例A
上記実施形態の計量皿11に代えて、
図17に示す計量皿811を採用してもよい。
【0071】
計量皿811は、被計量物の容器を載せる水平載置部PA81と、その水平載置部PA81の周りに位置する4つの周縁部とを有する。4つの周縁部は、正面側の正面周縁部PA82、左側の左周縁部、右側の右周縁部および背面側の背面周縁部PA85である。水平載置部PA81は、その上面が水平な面となっており、水平載置部PA81の水平面HLに対する角度は0°である。正面周縁部PA82、左周縁部および右周縁部は、水平載置部PA81に対して段差を持ち、それぞれの水平な上面の高さ位置が、水平載置部PA81の上面よりも少しだけ高い位置にある。すなわち、水平載置部PA81と、正面周縁部PA82、左周縁部および右周縁部との境界Boには、段差が存在している。この段差は、水平載置部PA81に容器を置く顧客にとって、容器のストッパー或いは載置のためのガイドとして機能する。
【0072】
計量皿811は、
図17に示すように、カメラ12の下方に位置し、使用が想定される容器のうち最も高さ寸法H2が大きな容器TRが水平載置部PA81の端に置かれたときにも、所望の画像がカメラ12から得られるように、その形状および大きさの設計が為されている。具体的には、カメラ12から容器TRに向かう所定の第1仮想直線VLN1が周縁部と交わる仮想交点PI8が、周縁部の外縁よりも水平載置部PA81に近い位置にあるように、それぞれの周縁部が形成されている。正面周縁部PA82を例にとって、
図17を参照して説明すると、第1仮想直線VLN1は、複数の容器の中で最も高さ寸法が大きい容器TRが水平載置部PA81の正面周縁部PA82に隣接する端(境界Bo)に置かれたときに、カメラ12から容器TRの各部分に延びる仮想直線VLN1,VLN2,VLN3,VLN4,・・・のうち、最も高い位置にある仮想直線である。言い換えると、第1仮想直線VLN1は、カメラ12から容器TRの各部分に延びる仮想直線VLN1,VLN2,VLN3,VLN4,・・・のうち、正面周縁部PA82との仮想交点PI8が最も水平載置部PA81から遠い位置にある仮想直線である。そして、その第1仮想直線VLN1と正面周縁部PA82との仮想交点PI8が、正面周縁部PA82の外縁Ed82よりも水平載置部PA81に近い位置にくるように、正面周縁部PA82の大きさや水平載置部PA81に対する段差の高さが決められている。同様に、左周縁部、右周縁部および背面周縁部PA85の大きさ等も、それぞれの外縁よりも仮想交点PI8が内側にくるように決められている。
【0073】
この計量皿811を採用したときにも、
図7に示すような、白色の容器TRの周りが全て計量皿811の黒色の背景である画像が得られ、容器の特定の精度は高い。
【0074】
(2)変形例B
上記実施形態の計量皿11に代えて、
図18に示す計量皿911を採用してもよい。
【0075】
計量皿911は、被計量物の容器を載せる水平載置部PA91と、その水平載置部PA91の周りに位置する4つの周縁部とを有する。4つの周縁部は、正面側の正面周縁部PA92、左側の左周縁部、右側の右周縁部および背面側の背面周縁部PA95である。水平載置部PA91は、その上面が水平な面となっており、水平載置部PA91の水平面HLに対する角度は0°である。正面周縁部PA92、左周縁部および右周縁部は、水平載置部PA91に対して段差を持ち、それぞれの水平な上面の高さ位置が、水平載置部PA91の上面よりも少しだけ低い位置にある。すなわち、水平載置部PA91と、正面周縁部PA92、左周縁部および右周縁部との境界Boには、段差が存在している。この段差は、水平載置部PA81に容器を置く顧客にとって、容器の載置のためのガイドとして機能する。
【0076】
計量皿911は、
図18に示すように、カメラ12の下方に位置し、使用が想定される容器のうち最も高さ寸法H2が大きな容器TRが水平載置部PA91の端に置かれたときにも、所望の画像がカメラ12から得られるように、その形状および大きさの設計が為されている。具体的には、カメラ12から容器TRに向かう所定の第1仮想直線VLN1が周縁部と交わる仮想交点PI9が、周縁部の外縁よりも水平載置部PA91に近い位置にあるように、それぞれの周縁部が形成されている。正面周縁部PA92を例にとって、
図18を参照して説明すると、第1仮想直線VLN1は、複数の容器の中で最も高さ寸法が大きい容器TRが水平載置部PA91の正面周縁部PA92に隣接する端(境界Bo)に置かれたときに、カメラ12から容器TRの各部分に延びる仮想直線VLN1,VLN2,VLN3,VLN4,・・・のうち、最も高い位置にある仮想直線である。言い換えると、第1仮想直線VLN1は、カメラ12から容器TRの各部分に延びる仮想直線VLN1,VLN2,VLN3,VLN4,・・・のうち、正面周縁部PA92との仮想交点PI9が最も水平載置部PA91から遠い位置にある仮想直線である。そして、その第1仮想直線VLN1と正面周縁部PA82との仮想交点PI9が、正面周縁部PA92の外縁Ed92よりも水平載置部PA91に近い位置にくるように、正面周縁部PA92の大きさや水平載置部PA91に対する段差の高さが決められている。同様に、左周縁部、右周縁部および背面周縁部PA95の大きさ等も、それぞれの外縁よりも仮想交点PI9が内側にくるように決められている。
【0077】
この計量皿911を採用したときにも、
図7に示すような、白色の容器TRの周りが全て計量皿911の黒色の背景である画像が得られ、容器の特定の精度は高い。
【0078】
(3)変形例C
上記実施形態の計量皿11では、正面周縁部PA2が水平載置部PA1に対して約45°の傾斜を持ち、
図6に示す容器TRが、もしも少しだけ正面周縁部PA2にまたがるように置かれたとしても、容器TRの左下の角部が正面周縁部PA2上を滑り落ちて、容器TRが水平載置部PA1だけに置かれた状態に移行する。
【0079】
正面周縁部PA2が水平載置部PA1に対する傾斜角度については、45°に限らず、10°〜90°の範囲であれば良い。周縁部PA2,PA3,PA4,PA5の水平面に対する傾斜が大きければ、顧客が周縁部PA2,PA3,PA4,PA5に容器を置くことを躊躇することになり、また周縁部PA2,PA3,PA4,PA5に容器を置いたとしても水平載置部PA1へ滑り落ちるからである。但し、容器が滑りにくい材質である場合には、周縁部PA2,PA3,PA4,PA5の水平載置部PA1に対する角度を30°以上90°以下にすることが好ましい。
【0080】
(4)変形例D
上記実施形態では、複数ある商品の単価が同じである場合について説明した。しかし、各商品の単価は、それぞれ異なっていても良い。この場合、タッチパネル16は、顧客が商品を計量装置100に直接入力するための画面を表示する。
【0081】
(5)変形例E
上記実施形態では、顧客が計量装置100付近における顧客の存在の有無を、人感センサ13によって検知する場合について説明した。しかし、顧客の存在の有無の検知は、人感センサ13のかわりに、カメラによる撮像によって行われても良い。