(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6157886
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】船舶用電気推進システム
(51)【国際特許分類】
B63H 21/17 20060101AFI20170626BHJP
B63J 3/04 20060101ALI20170626BHJP
H02P 9/14 20060101ALI20170626BHJP
【FI】
B63H21/17
B63J3/04
H02P9/14 Z
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-56951(P2013-56951)
(22)【出願日】2013年3月19日
(65)【公開番号】特開2014-180942(P2014-180942A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2016年3月22日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成24年9月19日サンポートホール高松において開催されたマリンエンジニアリング学術講演会で発表
(73)【特許権者】
【識別番号】591038185
【氏名又は名称】第一電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100103263
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 康
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(72)【発明者】
【氏名】伊 藤 雅 則
(72)【発明者】
【氏名】章 菲 菲
(72)【発明者】
【氏名】佐 藤 寛
(72)【発明者】
【氏名】嶋 野 貴 章
【審査官】
岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−089315(JP,A)
【文献】
特開2009−038851(JP,A)
【文献】
特開平06−292386(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/089845(WO,A2)
【文献】
特表2014−501201(JP,A)
【文献】
特開平05−219767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63H 21/17,21/20
B63J 3/04
H02P 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロペラと、
前記プロペラを回転させる電動機と、
前記電動機を駆動するための駆動電圧を前記電動機に供給する発電機と、
前記発電機の設定回転数を入力し、前記設定回転数から算出される発電機の出力電圧に対して、低回転領域において所定のブースト電圧が加わるように調整し、前記調整された電圧を前記発電機の目標出力電圧である設定電圧として出力する目標値出力部と、
前記発電機の出力電圧測定値および前記発電機の目標出力電圧を入力し、前記発電機の出力電圧測定値が前記発電機の目標出力電圧に一致するように前記発電機の界磁電圧を制御する発電機制御部と、
を備えることを特徴とする船舶用電気推進システム。
【請求項2】
前記目標値出力部は、式(1)により前記発電機の設定回転数から前記発電機の設定周波数を求めた後、式(2)により前記設定電圧を求めることを特徴とする請求項1に記載の船舶用電気推進システム。
【数1】
ここで、F:前記発電機の設定周波数、P:前記発電機の極数、N:前記発電機の設定回転数、V:前記設定電圧、Vmax:前記電動機の定格電圧、Fmax:前記電動機の定格周波数、B:トルクブースト係数である。
【請求項3】
前記トルクブースト係数は0.1以下であることを特徴とする請求項2に記載の船舶用電気推進システム。
【請求項4】
プロペラと、
前記プロペラを回転させる電動機と、
前記電動機を駆動するための駆動電圧を前記電動機に供給する発電機と、
前記発電機の設定回転数を入力し、前記発電機の設定回転数に対応する電動機の設定回転数を算出する目標値出力部と、
前記電動機の設定回転数と、前記電動機の回転数測定値を入力し、前記電動機の回転数測定値が前記電動機の設定回転数に一致するように前記発電機の界磁電圧を制御する発電機制御部と、
を備え
、
前記目標値出力部は、式(3)により前記電動機の設定回転数を求めることを特徴とする船舶用電気推進システム。
【数2】
ここで、Nm:前記電動機の設定回転数、P:前記発電機の極数、N:前記発電機の設定回転数、Pm:前記電動機の極数である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶用電気推進システム、さらに詳しくは、発電機で得られる電力を船舶推進用の電動機に直接供給するインバータレス船舶用電気推進システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電動機でプロペラを回転させる電気推進船の導入に向けて、研究開発が進められている。電気推進船のメリットは、船尾の抵抗波の影響を少なくしたパドックフロー船型や二重反転プロペラを安価かつ容易に採用可能であるため、従来と同等の速力をより少ない出力で実現できることが挙げられる。また、電気推進船の場合、機関室配置の自由度が高いため、機関室を小さくして載荷量を増やし、運行効率を改善することができるというメリットもある。
【0003】
一方、電気推進船のデメリットとしては、電動機や電動機を駆動するための発電機などの設備が必要になるのに加えて、電動機を制御するための高価なインバータ、あるいは可変ピッチプロペラが必要になり、船舶の建造コストが増加することが挙げられる。
【0004】
特許文献1は、インバータや可変ピッチプロペラを必要としない電気推進船として、可変速エンジンと、この可変速エンジンによって発電される同期発電機と、この同期発電機に接続された電動機と、この電動機により回転駆動される固定ピッチプロペラを備え、所望の船舶の速度に合わせて可変速エンジンの回転数を変化させることで、固定ピッチプロペラの回転速度を制御する船舶用電気推進システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−241194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
インバータを不要とした電気推進船(インバータレス電気推進船)を実現するために、本発明者らは鋭意研究を行った。その結果、発電機の出力電圧が界磁巻線に供給する電圧(以下、単に「界磁電圧」という。)にほぼ比例すること、および、発電機の出力周波数が発電機の回転数にほぼ比例することを確認した。
【0007】
さらに、本発明者らは実際に負荷をかけた状態で電動機を駆動させ、電動機の回転数と出力を可変電圧可変周波数制御できるか否かについて実験を行った。その結果、発電機から供給される電力について、出力周波数を回転数によって、出力電圧を界磁電圧によってそれぞれ制御した場合に、いずれの電動機の回転数でも負荷率100%で出力を得ることが可能であった。このことは、インバータレスでの可変電圧可変周波数制御によって電動機の制御が可能であることを示している。
【0008】
上記のように、本発明者らの研究により、発電機の出力電圧および出力周波数はそれぞれ界磁電圧および発電機の回転数により制御可能であり、船舶用電気推進システムにおいてインバータレスでの可変電圧可変周波数制御が可能であることが明らかになった。
【0009】
しかしながら、発電機の設定回転数が低い場合、電動機のトルクが不足するという課題がある。この理由として、低回転領域においては、プロペラ自体が負荷として無視できなくなること、また、プロペラ軸と軸受けとの間の摩擦力が動摩擦係数から静止摩擦係数による値に増加することなどが考えられる。
【0010】
本発明は上記の技術的認識に基づいてなされたものであり、発電機の設定回転数が低い場合における電動機のトルク不足を回避することが可能な船舶用電気推進システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様に係る船舶用電気推進システムは、
プロペラと、
前記プロペラを回転させる電動機と、
前記電動機を駆動するための駆動電圧を前記電動機に供給する発電機と、
前記発電機の設定回転数を入力し、前記設定回転数から算出される発電機の出力電圧に対して、低回転領域において所定のブースト電圧が加わるように調整し、前記調整された電圧を前記発電機の目標出力電圧である設定電圧として出力する目標値出力部と、
前記発電機の出力電圧測定値および前記発電機の目標出力電圧を入力し、前記発電機の出力電圧測定値が前記発電機の目標出力電圧に一致するように前記発電機の界磁電圧を制御する発電機制御部と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
また、前記船舶用電気推進システムにおいて、
前記目標値出力部は、式(1)により前記発電機の設定回転数から前記発電機の設定周波数を求めた後、式(2)により前記設定電圧を求めるようにしてもよい。
【数1】
ここで、F:前記発電機の設定周波数、P:前記発電機の極数、N:前記発電機の設定回転数、V:前記設定電圧、Vmax:前記電動機の定格電圧、Fmax:前記電動機の定格周波数、B:トルクブースト係数である。
【0013】
また、前記船舶用電気推進システムにおいて、
前記トルクブースト係数は0.1以下であるようにしてもよい。
【0014】
本発明の第2の態様に係る船舶用電気推進システムは、
プロペラと、
前記プロペラを回転させる電動機と、
前記電動機を駆動するための駆動電圧を前記電動機に供給する発電機と、
前記発電機の設定回転数を入力し、前記発電機の設定回転数に対応する電動機の設定回転数を算出する目標値出力部と、
前記電動機の設定回転数と、前記電動機の回転数測定値を入力し、前記電動機の回転数測定値が前記電動機の設定回転数に一致するように前記発電機の界磁電圧を制御する発電機制御部と、
を備えることを特徴とする。
【0015】
また、前記船舶用電気推進システムにおいて、
前記目標値出力部は、式(3)により前記電動機の設定回転数を求めることを特徴とする請求項4に記載の船舶用電気推進システム。
【数2】
ここで、Nm:前記電動機の設定回転数、P:前記発電機の極数、N:前記発電機の設定回転数、Pm:前記電動機の極数である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の態様では、目標値出力部が発電機の設定回転数から算出される出力電圧に低回転領域において所定のブースト電圧を加えた電圧を設定電圧として発電機制御部に出力し、そして、発電機制御部が設定電圧を発電機の目標出力電圧として発電機を制御する。これにより、ブースト電圧分だけ高い電圧が電動機に入力されることから、発電機の設定回転数が低い場合における電動機のトルク不足を回避することができる。
【0017】
また、本発明の第2の態様では、目標値出力部が発電機の設定回転数に対応する電動機の設定回転数を発電機制御部に出力し、そして、発電機制御部が電動機の設定回転数を電動機の目標設定回転数として発電機を制御する。これにより、発電機の設定回転数が低い場合における電動機のトルク不足を回避することができる。さらに、電動機の回転数計測値をフィードバックするため、電動機に外乱が加わった場合にも、電動機の回転数を目標設定回転数に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る船舶用電気推進システムの概略的なブロック図である。
【
図2】第1の実施形態における発電機の設定周波数と出力電圧との関係を示すグラフである。
【
図3】本発明の第2の実施形態に係る船舶用電気推進システムの概略的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る船舶用電気推進システムについて説明する。
【0020】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る船舶用電気推進システム1の概略的なブロック図を示している。
【0021】
図1に示すように、船舶用電気推進システム1は、プロペラ2と、プロペラ2を回転させる電動機3と、電動機3を駆動するための駆動電圧を電動機3に供給する発電機4と、目標値出力部5と、発電機制御部6とを備えている。
【0022】
電動機3は、例えば、誘導電動機である。その他、電動機3として同期電動機を適用することも可能である。発電機4は、例えば、誘導電動機により同期電動機を回転させて発電する発電機である。前述のように、発電機4の出力電圧は、界磁電圧にほぼ比例することが確認されている。なお、電動機3および発電機4ともに、従来の電気推進船で用いられていたものを適用可能である。
【0023】
目標値出力部5は、発電機4の設定回転数(N)を入力し、設定電圧(V)を発電機制御部6に出力する。この設定電圧(V)は、発電機4の出力電圧の目標値となる電圧(目標出力電圧)であり、発電機4の設定回転数(N)から算出される発電機4の出力電圧(V
0)に対して、発電機4の低回転領域において所定のブースト電圧が加わるように調整された電圧である。
【0024】
ここで、発電機4の出力電圧(V
0)は、界磁巻線の作る磁界が電機子巻線を単位時間に横切る数に比例して出力される電圧であり、発電機4の設定回転数に比例する。より詳しくは、この出力電圧(V
0)は、F=P・N/120およびV
0=F・V
max/F
maxから算出される。Fは発電機4の設定周波数、Pは発電機4の極数、Nは発電機4の設定回転数、V
maxは電動機3の定格電圧、F
maxは電動機3の定格周波数である。
【0025】
出力電圧(V
0)に加えられるブースト電圧は、例えば、発電機の設定回転数(N)が小さくなるにつれて大きくなる値である。
【0026】
このように、目標値出力部5は、前述の出力電圧(V
0)に対して、発電機4の低回転領域において所定のブースト電圧が加わるように調整し、この調整により得られた電圧を設定電圧として出力する。つまり、目標値出力部5は、電動機3がトルク不足になる回転領域において、設定回転数(N)に応じて嵩上げされた設定電圧を出力する。
【0027】
図2は、発電機4の設定周波数(F)と発電機4の出力電圧との関係を示したグラフである。グラフ中の破線は、原点を通る直線であり、前述の発電機4の出力電圧(V
0)を示している。
【0028】
一方、
図2のグラフ中の実線は、目標出力電圧である設定電圧(V)を示している。即ち、この実線は、発電機4の設定回転数(N)から算出される発電機4の出力電圧(V
0)に対して、前述のブースト電圧が加わるように調整された電圧を示している。
【0029】
設定電圧(V)は、例えば、式(1)および式(2)により求められる。
【数3】
ここで、F:発電機4の設定周波数[Hz]、P:発電機4の極数、N:発電機4の設定回転数[rpm]、V:設定電圧[V]、V
max:電動機3の定格電圧[V]、F
max:電動機3の定格周波数[Hz]、B:トルクブースト係数である。
【0030】
この場合、目標値出力部5は、式(1)により発電機4の設定回転数(N)から発電機4の設定周波数(F)を求め、その後、式(2)により設定電圧(V)を求める。
【0031】
なお、電動機3のインピータンスは、その回転数が低い(周波数が低い)ほど小さくなる。このため、ブースト電圧が発電機4の設定回転数(N)に対して過大な場合は、電動機3に過電流が流れてしまい、電動機3のコイルが焼損するおそれがある。よって、ブースト電圧の値は、発電機4の設定回転数(N)に応じて電動機3に過電流が流れないように決められることが好ましい。より具体的には、式(2)において、トルクブースト係数(B)は0.1以下であることが好ましい。
【0032】
発電機制御部6は、発電機4の出力電圧の測定値(出力電圧測定値)および発電機4の出力電圧の目標値(目標出力電圧)を入力し、発電機4の出力電圧測定値が発電機4の目標出力電圧に一致するように発電機4の界磁電圧を制御する。この発電機制御部6は、例えば、PI制御またはPID制御により、上記の制御を行う。
【0033】
なお、発電機制御部6は、AVR(Automatic Voltage Regulator)等の定電圧電源を用いて構成することが可能である。この場合、従来、電動機3の定格電圧(V
max)を与えていた入力端子に、目標値出力部5の出力(設定電圧)を与える。また、発電機制御部6は、発電機4内に設けられ、界磁巻線に界磁電圧を供給する界磁電源を用いて構成してもよい。
【0034】
上記のように、第1の実施形態では、目標値出力部5が発電機4の設定回転数(N)から算出される出力電圧(V
0)に低回転領域において所定のブースト電圧を加えた電圧を設定電圧(V)として発電機制御部6に出力する。そして、発電機制御部6が設定電圧(V)を発電機4の目標出力電圧として発電機4を制御する。これにより、本実施形態によれば、ブースト電圧分だけ高い電圧が電動機に入力されることから、発電機4の設定回転数(N)が低い場合における電動機3のトルク不足を回避することができる。その結果、従来と同様の発電機および電動機を用いた電気推進システムの船舶であっても、低速度領域において設定速度に応じた速度で推進させることができる。
【0035】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る船舶用電気推進システムについて説明する。第2の実施形態と第1の実施形態との相違点の一つは、フィードバックするパラメータである。第1の実施形態では発電機4の出力電圧をフィードバックしたのに対し、第2の実施形態では電動機3の回転数をフィードバックする。
【0036】
以下、相違点を中心に第2の実施形態について説明する。
図3は、第2の実施形態に係る船舶用電気推進システム1Aの概略的なブロック図を示している。なお、
図3において、
図1と同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付している。また、同一符号の構成要素の詳しい説明は繰り返さない。
【0037】
図3に示すように、船舶用電気推進システム1Aは、プロペラ2と、プロペラ2を回転させる電動機3と、電動機3を駆動するための駆動電圧を電動機3に供給する発電機4と、目標値出力部5Aと、発電機制御部6Aとを備えている。
【0038】
目標値出力部5Aは、発電機4の設定回転数(N)を入力し、発電機4の設定回転数(N)に対応する電動機3の設定回転数(Nm)を算出し、発電機制御部6Aに出力する。
【0039】
この算出は、例えば、式(3)により行う。
【数4】
ここで、N
m:電動機の設定回転数[rpm]、P:発電機の極数、N:発電機の設定回転数[rpm]、P
m:電動機の極数である。
【0040】
発電機制御部6Aは、電動機3の設定回転数(Nm)と、電動機3の回転数の測定値(回転数測定値)を入力し、電動機3の回転数測定値が電動機3の設定回転数(Nm)に一致するように発電機4の界磁電圧を制御する。
【0041】
上記のように、第2の実施形態では、目標値出力部5Aが発電機4の設定回転数に基づいて算出された電動機3の設定回転数を発電機制御部6Aに出力し、そして、発電機制御部6が電動機3の設定回転数を電動機3の目標設定回転数として発電機4を制御する。これにより、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、発電機4の設定回転数(N)が低い場合における電動機3のトルク不足を回避することができる。その結果、従来と同様の発電機および電動機を用いた電気推進システムの船舶であっても、低速度領域において設定速度に応じた速度で推進させることができる。
【0042】
さらに、第2の実施形態によれば、電動機3の回転数計測値をフィードバックするため、電動機3に外乱が加わった場合にも、電動機3の回転数を目標設定回転数に制御することができる。例えば、船体の動揺によってプロペラが一時的に水面上に露出するプロペラレーシングと呼ばれる現象が起こった場合にも対応することが可能である。よって、通常時においては、第1の実施形態による制御を行い、緊急時には第2の実施形態による制御を行うことが好ましい。
【0043】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではない。異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 船舶用電気推進システム
2 プロペラ
3 電動機
4 発電機
5,5A 目標値出力部
6,6A 発電機制御部