(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6157908
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】自動車用積層型熱電発電装置
(51)【国際特許分類】
H02N 11/00 20060101AFI20170626BHJP
H01L 35/30 20060101ALI20170626BHJP
【FI】
H02N11/00 A
H01L35/30
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-82442(P2013-82442)
(22)【出願日】2013年4月10日
(65)【公開番号】特開2014-131458(P2014-131458A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2016年2月8日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0158125
(32)【優先日】2012年12月31日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100158964
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 和郎
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ジョン‐ホ
(72)【発明者】
【氏名】アン、ホ‐チャン
【審査官】
土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2007/026432(WO,A1)
【文献】
特開2005−253217(JP,A)
【文献】
特開2011−181767(JP,A)
【文献】
特開2004−211660(JP,A)
【文献】
実開平01−173320(JP,U)
【文献】
特開2008−035632(JP,A)
【文献】
実開昭62−051770(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 11/00
H01L 35/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の熱電発電装置であって、
排気ガスが流入される排気ガス入口パイプと排気ガスが排出される排気ガス出口パイプとの間に取り付けられ、
一側に冷却水入口を形成し、他側に冷却水出口を形成し、且つ、
前記排気ガス入口パイプに流入された排気ガスと前記冷却水入口に流入された冷却水とが互いに直交する方向に流動してなる排気ガスと冷却水との熱交換に応じて電位差を発生させる熱電素子を内装した複数の単位体モジュールが集合されてなる、熱電発電ユニット
を含んで構成され、
前記単位体モジュールは、
内部空間に排気ガスを流動させる排気ガス流動板を有し、
前記排気ガス流動板の左側および右側に、前記排気ガス入口パイプから流入された排気ガスを前記排気ガス流動板の内部に流入させる排気ガス通孔を形成した1対の排気ガス一側ガスケットおよび1対の排気ガス他側ガスケットが各々付着され、
前記排気ガス流動板の表面に第1熱電素子が付着され、
前記単位体モジュールは、
前記第1熱電素子の表面に、冷却水を内部空間に流動させる冷却水流動板が付着され、
前記冷却水流動板の上側および下側に、前記冷却水入口から流入された冷却水を前記冷却水流動板の内部に流入させる冷却水通孔を形成した1対の冷却水一側ガスケットおよび1対の冷却水他側ガスケットが各々付着され、且つ、
前記冷却水流動板の表面に第2熱電素子が付着され、
前記熱電発電ユニットの排気ガス出口パイプ方向の最外側に位置した単位体モジュールの排気ガス一側ガスケットにバルブが付着され、
前記バルブを開放して熱電発電ユニットの熱電発電を一部分制限するバイパス運転が行われることを特徴とする自動車の熱電発電装置。
【請求項2】
前記排気ガス一側ガスケットおよび排気ガス他側ガスケットの上端および下端にボルト挿入孔が各々形成され、
前記冷却水一側ガスケットおよび冷却水他側ガスケットの左側および右側にボルト挿入孔が各々形成されることを特徴とする、請求項1に記載の自動車の熱電発電装置。
【請求項3】
前記排気ガス入口パイプ方向の最外側に位置した排気ガス一側ガスケットに排気ガス封鎖板が設けられ、
前記排気ガス入口パイプ方向の最外側に位置した冷却水一側ガスケットに冷却水封鎖板が設けられることを特徴とする、請求項1に記載の自動車の熱電発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の熱電発電装置に関し、より詳しくは、排気ガスが流入される排気ガス入口パイプと排気ガスが排出される排気ガス出口パイプとの間に取り付けられ、一側に冷却水入口を形成し、他側に冷却水出口を形成し、熱電素子を内装した複数の単位体モジュールが集合されてなる熱電発電ユニットを含んで構成されることを特徴とする自動車の熱電発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、熱電発電装置(Thermoelectric generator)は、金属または半導体である加熱素子と冷却素子の両端に温度差を与える場合、加熱素子と冷却素子との間に発生する電位差を利用して電気エネルギーを得る装置であり、機械的な駆動部を設けることなく熱を電気に直接的に変換することができるという長所がある。
【0003】
このような熱電発電装置は、産業用ボイラーの排気ガス設備、僻地用電源施設に応用されており、最近では、ゴミ焼却炉の廃熱利用システム、地熱発電、海洋温度差発電などにもその適用が検討されている。
【0004】
一方、自動車において、電力を供給するために用いられる電力発生装置であるエンジン駆動交流発電機(別名、オルタネータ(alternator)という)は、その効率が約33%程度に過ぎないだけでなく、車両の所要電力が増加すると軸動力を増大させなければならないため、軸動力損失も増加し、高い燃料消耗およびそれによる公害排出物が増大するという短所がある。
【0005】
前記オルタネータの駆動に消費されるエネルギーは車両の運転状態および電力使用状態に応じて変化するが、電力使用の少ない昼間の一般運転時にも総投入エネルギーの数パーセントを消費するため、エンジンの排気熱を回収発電させることができる熱電発電装置を提供すれば燃費の向上を期待することができる。
【0006】
したがって、このように自動車に用いることができる熱電発電装置が従来の大韓民国特許公開第10−2012−8896号および大韓民国特許公開第10−2010−112039号に公知されている。
【0007】
このような従来の自動車用熱電発電装置は、排気ガスと熱交換を行って熱電モジュールの高温端を加熱する加熱部、複数の熱電半導体からなる熱電モジュール、熱電モジュールの低温端を冷却する冷却部、および排気熱回収装置で構成され、エンジンの排気熱から得られる熱エネルギーを電気エネルギーに変換する装置である。
【0008】
図1は熱電発電装置に用いられる熱電モジュールの概念を示す模式図であり、P型およびN型導体または半導体を連結し、一側は高温、他側は低温の熱源に設定した時に発生する熱起電力によって電流を流れるようにした回路であり、このような熱電モジュールは1個当たり約2W〜4Wの出力を発生することができる。
【0009】
しかし、このような熱電モジュールの発電量を増大させるためには、加熱部と冷却部の温度差を極大化しなければならないが、従来の自動車用熱電発電装置は、加熱部および冷却部の構造上の効率性が低いため、高温端と低温端の温度差が小さいという問題点に直面している現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記のような従来の諸問題点を解消するために導き出された本発明による自動車用積層型熱電発電装置は、加熱部および冷却部からなる熱交換構造を改善して、熱電発電装置の発電効率を極大化することができる熱電発電装置の構成を提供することに本発明の技術的な課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記のような技術的課題を達成するための本発明による自動車用積層型熱電発電装置の構成は、排気ガスが流入される排気ガス入口パイプと排気ガスが排出される排気ガス出口パイプとの間に取り付けられ、一側に冷却水入口を形成し、他側に冷却水出口を形成し、熱電素子を内装した複数の単位体モジュールが集合されてなる熱電発電ユニットを含んで構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
前記のような構成を有した本発明による自動車用積層型熱電発電装置の効果は次の通りである。
【0013】
第1に、本発明による熱電発電装置の熱電発電ユニットは、数十個の単位体モジュールが積層された構造をなすことにより、制限された空間で効率的に高温部と低温部の通路を構成し、熱電素子の適用面積を増大させて熱電発電量を向上できるという長所がある。
【0014】
第2に、本発明による熱電発電装置の熱電発電ユニットは、単位体モジュールを基本単位としているため、熱電発電ユニットに用いられる単位体モジュールの数量を調節して、自動車のシャーシのレイアウトの制約事項やエンジンの出力量の変化に対して適宜に対応できるという効果がある。
【0015】
第3に、本発明による熱電発電装置の熱電発電ユニットの単位体モジュールは、各単位体モジュール間の組み立てまたは分解がネジ組み立て式からなっているため、故障部分に対する切り替え作業が迅速で且つ容易に行われるという効果がある。
【0016】
第4に、本発明による熱電発電装置の熱電発電ユニットの単位体モジュールは、同一の形状と個数を有した部品が繰り返し組み立てられる構造であって、部品の供給体系が単純化し、メンテナンスが容易であるために大量生産に好適であり、さらには、熱電発電装置の構造上の強度が良好な効果を得ることができる非常に進歩した発明である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図3】本発明による熱電発電装置の排気ガスの入口および出口が分離した状態の斜視図である。
【
図4】本発明による熱電発電装置の単位体モジュールの斜視図である。
【
図5】本発明による熱電発電装置の単位体モジュールの分解斜視図である。
【
図6】本発明による熱電発電装置の一部切開斜視図である。
【
図7】本発明による熱電発電装置の作動を示す一部切開部の拡大斜視図である。
【
図8】本発明による熱電発電装置の熱交換を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明による自動車用積層型熱電発電装置の構成を詳細に説明する。
但し、開示された図面は当業者に本発明の思想が充分に伝えられるようにするための例として提供されるものである。したがって、本発明は、以下にて提示される図面に限定されず、他の態様で具体化されることもできる。
【0019】
また、本発明の明細書に用いられる用語において、他の定義がなければ、本発明が属する技術分野で通常の知識を有した者が通常に理解している意味を有し、下記の説明および添付図面で本発明の要旨を不明瞭にする可能性のある公知機能および構成に関する詳細な説明は省略する。
【0020】
図2は本発明による熱電発電装置の斜視図であり、
図3は本発明による熱電発電装置の排気ガスの入口および出口が分離した状態の斜視図である。
図2および
図3を参照すれば、本発明による熱電発電装置1は、排気ガスが流入される排気ガス入口パイプ2と排気ガスが排出される排気ガス出口パイプ3との間に取り付けられた熱電発電ユニット10を含む。
【0021】
前記熱電発電ユニット10は、一側に冷却水入口4が形成され、
図7に示すように、他側に冷却水出口5が形成される。
また、前記熱電発電ユニット10の一側に前記排気ガス入口パイプ2に流入された排気ガスの排出を制御するバルブ20が取り付けられる。
【0022】
このような本発明による熱電発電ユニット10は、排気ガス入口パイプ2に流入された排気ガスが排気ガス出口パイプ3を通して外部に排出され、冷却水は冷却水入口4から冷却水出口5に向かって流動する過程を通じて、エンジンから発生した排気熱を有した排気ガスと冷たい冷却水との熱交換が行われる。
【0023】
また、このような熱交換によって熱電発電ユニット10に内装された金属または半導体からなる第1熱電素子130と第2熱電素子140の両端に温度差が与えられ、加熱した熱電素子と冷却した熱電素子との間に発生した電位差によって電気エネルギーが発生する。
【0024】
本発明による熱電発電ユニット10は、前記第1熱電素子130と第2熱電素子140を内装した複数の単位体モジュール100の集合体であり、
図4は前記単位体モジュール100の構成を示す斜視図であり、
図5は前記単位体モジュール100の分解斜視図である。
【0025】
図4および
図5を参照すれば、前記単位体モジュール100は排気ガスを内部の中空状態の空間に流動させる排気ガス流動板110を含み、前記排気ガス流動板110の左側および右側に、前記排気ガス入口パイプ2から流入された排気ガスを前記排気ガス流動板110の内部に流入させる排気ガス通孔114を形成した1対の排気ガス一側ガスケット111,111’および1対の排気ガス他側ガスケット112,112’が各々付着される。
【0026】
前記排気ガス一側ガスケット111,111’および排気ガス他側ガスケット112,112’の上端および下端には、1つの単位体モジュール100を他の1つの単位体モジュール100と互いに結合させ、前記排気ガス流動板110の気密を維持させる固定ボルト(図示せず)が挿入されるボルト挿入孔113が各々形成される。
【0027】
また、前記排気ガス流動板110の表面に金属または半導体からなる第1熱電素子130が付着される。
なお、前記排気ガス流動板110に付着された第1熱電素子130の表面には、冷却水を内部の中空状態の空間に流動させる冷却水流動板120が付着される。
【0028】
また、前記冷却水流動板120の上側および下側に、前記冷却水入口4から流入された冷却水を前記冷却水流動板120の内部に流入させる冷却水通孔124を形成した1対の冷却水一側ガスケット121,121’および1対の冷却水他側ガスケット122,122’が各々付着される。
【0029】
前記冷却水一側ガスケット121,121’および冷却水他側ガスケット122,122’の左側および右側には、1つの単位体モジュール100を他の1つの単位体モジュール100と互いに結合させ、前記冷却水流動板120の気密を維持させる固定ボルト(図示せず)が挿入されるボルト挿入孔123が各々形成される。
また、前記冷却水流動板120の表面に金属または半導体からなる第2熱電素子140が付着される。
【0030】
なお、本発明による熱電発電ユニット10の排気ガス入口パイプ2方向の最外側に位置した単位体モジュール100の排気ガス一側ガスケット111,111’には、排気ガスが熱電発電ユニット10の外部に流動しないように排気ガス封鎖板115が設けられ、排気ガス入口パイプ2方向の最外側に位置した冷却水一側ガスケット121,121’には、冷却水が熱電発電ユニット10の外部に流動しないように冷却水封鎖板125が設けられる。
【0031】
上記のように構成される単位体モジュール100は、
図6の本発明による熱電発電装置の一部切開斜視図および
図7の本発明による熱電発電装置の作動を示す一部切開部の拡大斜視図に示すように、排気ガス入口パイプ2から流入された排気ガスは排気ガス封鎖板115によって排気ガス出口パイプ3方向に流動するが、排気ガス一側ガスケット111,111’および排気ガス他側ガスケット112,112’の排気ガス通孔114を通して排気ガス流動板110の内部に流入されて排気ガス出口パイプ3に向かって流動し、排気ガスの排気熱も共に流動する。
【0032】
さらに、冷却水入口4から流入された冷却水は、冷却水通孔124を通して冷却水流動板120の内部に流入して流れ、冷却水封鎖板125によって冷却水出口5に向かって流動する。
【0033】
したがって、前記排気ガス流動板110の内部で横方向に流動し且つエンジンの排気熱を有した排気ガスと、冷却水流動板120の内部で縦方向に流動する冷却水とが、互いに直交して排気ガス流動板110の排気ガスと冷却水流動板120の冷却水との熱交換がより活発になり、このような排気ガスと冷却水との活発な熱交換によって、排気ガス流動板110と冷却水流動板120との間に付着された第1熱電素子130と第2熱電素子140の両端に温度差がより大きく与えられることにより、加熱した熱電素子と冷却した熱電素子との間に電位差の発生が大きく形成され、電気エネルギーの生成が効率的に行われるようになる。
【0034】
一方、本発明による実施形態によれば、本発明による熱電発電ユニット10の排気ガス出口パイプ3方向の最外側に位置した単位体モジュール100の排気ガス一側ガスケット111,111’にはバルブ20が付着される。
【0035】
前記バルブ20は、
図8の上段(a)に示すように、バルブ20が閉鎖される場合、排気ガス入口パイプ2に流入された排気ガスが排気ガス一側ガスケット111,111’を通して排出されず、排気ガス他側ガスケット112,112’を通してのみ排出される過程で、排気ガス流動板110を通過しつつ熱電発電ユニット10による熱電発電が行われる。
【0036】
一方、
図8の下段(b)に示すように、バルブ20が開放される場合、排気ガス入口パイプ2に流入された排気ガスが排気ガス一側ガスケット111,111’および排気ガス他側ガスケット112,112’の両経路を通して排出されることにより、熱電発電ユニット10の熱電発電が一部分制限されるバイパス(bypass)運転が行われ、このようなバイパス運転は、熱電発電を制限することによって高負荷走行に応じた熱電素子の過熱を防止するために実施される。
【符号の説明】
【0037】
1 ・・・本発明による熱電発電装置
2 ・・・排気ガス入口パイプ
3 ・・・排気ガス出口パイプ
4 ・・・冷却水入口
5 ・・・冷却水出口
10 ・・・熱電発電ユニット
20 ・・・バルブ
100 ・・・単位体モジュール
110 ・・・排気ガス流動板
111、111’ ・・・排気ガス一側ガスケット
112、112’ ・・・排気ガス他側ガスケット
113 ・・・ボルト挿入孔
114 ・・・排気ガス通孔
115 ・・・排気ガス封鎖板
120 ・・・冷却水流動板
121、121’ ・・・冷却水一側ガスケット
122、122’ ・・・冷却水他側ガスケット
123 ・・・ボルト挿入孔
124 ・・・冷却水通孔
125 ・・・冷却水封鎖板
130 ・・・第1熱電素子
140 ・・・第2熱電素子