(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6157922
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】組合せ秤の物品搬送構造
(51)【国際特許分類】
G01G 19/387 20060101AFI20170626BHJP
【FI】
G01G19/387 C
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-103152(P2013-103152)
(22)【出願日】2013年5月15日
(65)【公開番号】特開2014-224709(P2014-224709A)
(43)【公開日】2014年12月4日
【審査請求日】2016年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208444
【氏名又は名称】大和製衡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】橋元 進一
【審査官】
鈴木 斉子
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−319549(JP,A)
【文献】
特開2006−111434(JP,A)
【文献】
特開2011−011850(JP,A)
【文献】
実開昭61−005823(JP,U)
【文献】
特開2010−048728(JP,A)
【文献】
実開昭58−037521(JP,U)
【文献】
米国特許第4630695(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 19/387
B65G 47/04 − 47/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円錐状のトップコーンを振動させて、該トップコーン上の物品を周縁部へ搬送する分散フィーダと、該分散フィーダの周囲に放射状に配置されると共に、トラフを振動させて、該トラフ上の物品を外方へ搬送する複数の直進フィーダと、複数の前記直進フィーダからの前記物品を一時保持して排出する複数の供給ホッパと、複数の前記供給ホッパから排出された前記物品を一時保持して前記物品の重量を計量する複数の計量ホッパとを備え、
前記計量ホッパで計量される物品の計量値に基づいて組合せ演算を行う組合せ秤の前記物品の搬送構造であって、
前記分散フィーダと複数の前記直進フィーダとの間に、前記トップコーン及び前記トラフに非接触の状態で固定配置されると共に、振動しない案内シュートを備え、
前記案内シュートは、前記外方へ向けて下方に傾斜した案内面を有し、前記トップコーンの前記周縁部から搬入される前記物品を、前記案内面によってトラフへ案内して搬出するものであり、
前記案内シュートの前記案内面には、複数の前記直進フィーダの各トラフの幅に対応する側板が立設される、
ことを特徴とする組合せ秤の物品搬送構造。
【請求項2】
前記案内シュートの前記案内面の前記傾斜の角度を、円錐状の前記トップコーンの傾斜の角度よりも大きくしている、
請求項1に記載の組合せ秤の物品搬送構造。
【請求項3】
前記案内シュートの、前記物品を前記トラフへ搬出する搬出側の端部が、前記トラフの一部に重なるように、該トラフの上方へ延びている、
請求項1又は2に記載の組合せ秤の物品搬送構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組合せ秤に用いられる物品搬送構
造に関する。
【背景技術】
【0002】
組合せ秤においては、例えば、特許文献1に示すように、中心上方から供給された被計量物である物品が、振動駆動される分散フィーダによって放射状に分散搬送され、分散フィーダの周囲に配置した複数の直進フィーダに移載され、直進フィーダによって更に外方に振動搬送される。複数の直進フィーダの搬送終端の下方には、複数の供給ホッパが配置されており、各供給ホッパの下方には、それぞれ計量ホッパが配置されている。
【0003】
各直進フィーダによって搬送された物品は、対応する各供給ホッパにそれぞれ投入され、その後、供給ホッパから対応する計量ホッパに供給され、各計量ホッパに供給された物品の重量が測定され、各計量ホッパに供給された物品の重量値を種々に組合せ、組合せた合計重量値が、所定重量範囲であって、目標組合せ重量値に最も近い組合せとなる計量ホッパを選択し、選択した計量ホッパから物品を排出し、排出された物品が、集合シュートを滑落して集合シュートの下部に設けられた排出口から排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−7596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる組合せ秤で、細長くて絡み易いような物品、例えば、もやし、裂きイカ、紐状のゼリー菓子やスナック菓子等を取り扱う場合、分散フィーダから直進フィーダへ物品を移載する際に、物品が絡まって滞留が生じ易い。すなわち、直進フィーダは、分散フィーダを囲むようにして放射状に配置されるので、直進フィーダのトラフは、分散フィーダ側である搬送方向の始端側の幅が、終端側の幅に比べて狭くなっている、すなわち、外拡がり形状となっている。このため、前記始端側では、トラフの幅方向の両端から立設された側部ガイド間に細長い物品が跨って絡みつき易い。更に、トラフの前記側部ガイドは、上記特許文献1の
図2にも示されるように、搬送方向の始端側から終端側へ向かって徐々に高くなるように形成されているので、物品を搬送する際の抵抗となって前記始端側では、物品が一層滞留し易い。
【0006】
このように、細長くて絡み易いような物品の場合には、分散フィーダから直進フィーダへ移載される際に、両フィーダの境界部分で物品が絡み付いて滞留し易く、滞留すると、計量ホッパへ物品を円滑に供給することができず、計量処理能力及び計量精度が低下するという課題がある。
【0007】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、分散フィーダから直進フィーダへの物品の搬送を滞留なく円滑に行わせることができる物品搬送構造とこれを備えた組合せ秤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、次のように構成している。
【0009】
(1)本発明の
組合せ秤の物品搬送構造は、円錐状のトップコーンを振動させて、該トップコーン上の物品を周縁部へ搬送する分散フィーダと、該分散フィーダの周囲に放射状に配置されると共に、トラフを振動させて、該トラフ上の物品を外方へ搬送する複数の直進フィーダと
、複数の前記直進フィーダからの前記物品を一時保持して排出する複数の供給ホッパと、複数の前記供給ホッパから排出された前記物品を一時保持して前記物品の重量を計量する複数の計量ホッパとを備え、前記計量ホッパで計量される物品の計量値に基づいて組合せ演算を行う組合せ秤の前記物品の搬送構造であって、
前記分散フィーダと複数の前記直進フィーダとの間に、前記トップコーン及び前記トラフに非接触の状態で
固定配置される
と共に、振動しない案内シュートを備え、
前記案内シュートは、前記外方へ向けて下方に傾斜した案内面を有し、前記トップコーンの前記周縁部から搬入される前記物品を、前記案内面によってトラフへ案内して搬出する
ものであり、
前記案内シュートの前記案内面には、複数の前記直進フィーダの各トラフの幅に対応する側板が立設される。
【0010】
本発明によると、分散フィーダのトップコーンによって振動搬送された物品は、案内シュートに搬入され、後続の物品が案内シュートに引き続き搬入されることで、案内シュート上の物品は、下方に傾斜した案内面に沿って次第に外方に滑るように押し出し搬送され、直進フィーダのトラフへ搬出される。
【0011】
この案内シュートから直進フィーダのトラフへ物品を搬出する位置、すなわち、物品がトラフへ移載される位置は、分散フィーダから直接トラフへ物品が移載される従来例の位置、すなわち、トラフの始端ではなく、トラフの物品搬送方向の下流側の位置とすることができる。この下流側の位置では、外拡がり形状のトラフの幅が、前記始端に比べて広くなっており、したがって、トラフの幅方向の両端から立設された側部ガイドの間隔も広くなり、物品が細長く絡み易いものであっても、トラフの前記側部ガイドにブリッジ状に跨って絡みつくようなことがなく、各トラフへ円滑に搬入されることになる。
また、分散フィーダのトップコーンから案内シュート上に搬入された物品は、側板によって各トラフの幅に対応するように移動が規制されながら、前記各トラフに向けて円滑に案内されることになり、分散フィーダから直接トラフに物品を移載していた従来例のように、隣接するトラフ間に細長い物品が跨って絡み付くのを防止することができる。
本発明によると、互いに絡まり易い細長い物品であっても、案内シュートを介して分散フィーダのトップコーンから各直進フィーダのトラフへ滞留なく円滑に移動させて、各直進フィーダに対応する各供給ホッパ及び各計量ホッパに物品を円滑に供給することができ、精度の高い計量を行うことができる。
【0012】
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記案内シュートの前記案内面の前記傾斜の角度を、円錐状の前記トップコーンの傾斜の角度よりも大きくしている。
【0013】
この実施態様によると、分散フィーダのトップコーンから案内シュートに搬入され、後続の物品によって押し動かされる物品は、円錐状のトップコーンより急傾斜の案内面に沿って円滑に滑り落ちて直進フィーダのトラフへ搬出される。
【0014】
(3)本発明の他の実施態様では、前記案内シュートの、前記物品を前記トラフへ搬出する搬出側の端部が、前記トラフの一部に重なるように、該トラフの上方へ延びている。
【0015】
この実施態様によると、案内シュートの搬出側の端部が、トラフの始端側の一部の上方に重複する位置まで延びているので、案内シュートの搬出側の端部は、外拡がり形状のトラフの幅が広い部位に臨むことになり、物品が細長いものであっても、トラフの幅方向の両端から立設された側部ガイド間に、ブリッジ状に跨って絡みつくようなことがなく、各トラフに円滑に搬入されることになる。
【0016】
また、従来のトラフの始端側の一部の上方に重なるように、案内シュートの搬出側の端部を位置させるだけで、従来のトラフをそのまま使用することができる。
【発明の効果】
【0021】
このように、本発明によれば、細長くて絡み易いような物品であっても、案内シュートを介して分散フィーダのトップコーンから直進フィーダのトラフへの物品の移動を滞留なく円滑に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態に係る組合せ秤の概略構成を示す模式図である。
【
図2】
図1の分散フィーダ、案内シュート及び直進フィーダの平面図である。
【
図3】
図1の分散フィーダ、案内シュート及び一部の直進フィーダの斜視図である。
【
図4】
図1の分散フィーダ及び案内シュートの部分の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る組合せ秤の概略構成を示す模式図である。
【0024】
この実施形態の組合せ秤は、その装置上部の中央に、供給装置1から落下供給される被計量物である物品(図示せず)を振動によって放射状に分散させる分散フィーダ2を備えている。この分散フィーダ2は、円錐状のトップコーン3と、このトップコーン3を振動駆動する加振機構4とを備えている。
【0025】
組合せ計量する物品は、特に限定はないが、細長くて絡み易いような物品、例えば、もやし、裂きイカ、紐状のゼリー菓子やスナック菓子等の組合せ計量に好適である。
【0026】
供給装置1は、図示しないベルトコンベアから供給される物品を振動によって搬送して分散フィーダ2のトップコーン2の中央部へ落下供給する。分散フィーダ2では、トップコーン3を振動駆動して、中央部に供給された物品を、その周縁部に向けて搬送する。分散フィーダ2の周囲には、トップコーン3の周縁部に振動搬送された物品を、更に外方に向けて直線的に搬送する複数の直進フィーダ5が放射状に配置されている。この直進フィーダ5は、物品を載置するトラフ(フィーダパン)6と、このトラフ6を振動駆動する加振機構7とを備えている。
【0027】
各直進フィーダ5の各トラフ6の搬送終端の下方には、供給ホッパ8が配置されると共に、各供給ホッパ8の下方に計量ホッパ9がそれぞれ配置されている。
【0028】
供給ホッパ8及び計量ホッパ9の下部には、開閉可能な投入用ゲート8a及び排出用ゲート9aがそれぞれ設けられている。供給ホッパ8は、直進フィーダ5によって搬送されてその搬送終端から落下排出される物品を受け取り、その下方に配置された計量ホッパ9が空になると、投入用ゲート8aを開放して物品を落下排出して計量ホッパ9へ投入する。
【0029】
各計量ホッパ9には、ホッパ内の物品の重量を計測するロードセル等の重量センサ10が連結され、各重量センサ10による計量データは、制御装置11へ出力される。
【0030】
計量ホッパ9から排出された物品は、集合シュート12によって装置中心下方へ案内され、その下方に配備された集合ホッパ13に投入され一時貯留される。
【0031】
制御装置11では、各計量ホッパ9に供給された物品の重量値を種々に組合せ、組合せた合計重量値が、所定重量範囲であって、目標組合せ重量値に最も近い組合せとなる計量ホッパ9を選択し、選択した計量ホッパ9から物品を排出し、排出された物品が、集合シュート12を滑落して集合ホッパ13で一旦貯留され、図示されていない包装機から排出要求信号が制御装置11に入力されると、集合ホッパ13の排出ゲート13aが開放制御され、その下方の包装機へと送出される。
【0032】
なお、この実施形態の組合せ秤では、一連の直進フィーダ5、供給ホッパ8、および、計量ホッパ9が周方向に20連配備されており、その右半10連と、左半10連でそれぞれ個別に組合せ計量が行われるようになっている。また、分散フィーダ2におけるトップコーン3の上面には、
図2の平面図に示されるように、中央仕切り14が突設されており、中心上方から供給された物品が左半および右半に分かれて分散搬送されるようになっている。
【0033】
この実施形態では、細長くて絡み易いような物品であっても、分散フィーダ2のトップコーン3から直進フィーダ5のトラフ6へ移載する際に、両フィーダ2,5の境界部分で物品が絡み付いて滞留することがないように、分散フィーダ2から直進フィーダ5への物品搬送構造を、次のように構成している。
【0034】
すなわち、
図1に示すように、分散フィーダ2のトップコーン3の周縁部下方と、直進フィーダ5のトラフ6の搬送方向の始端側上方との間に、外方へ向けて下方に傾斜した案内シュート15を設置している。
【0035】
上記
図2は、分散フィーダ2、案内シュート15及び直進フィーダ5の平面図であり、
図3は、その直進フィーダ5の一部を省略した斜視図であり、
図4は、その分解斜視図である。
【0036】
案内シュート15は、例えば、ステンレス製であり、この案内シュート15は、全体として環状に形成されている。この案内シュート15は、外方へ向けて下方に傾斜した案内面15bを有しており、筒状の低い円錐台形状となっている。
図1に示すように、案内シュート15の案内面15bの水平面に対する下方への傾斜角度αは、分散フィーダ2の円錐状のトップコーン3の水平面に対する下方への傾斜角度βよりも大きく設定されている。
【0037】
案内シュート15の案内面15bには、
図2〜
図4に示すように、各直進フィーダ5のトラフ6の幅方向の両端に立設された側部ガイド6aに対応して、背の低い側板15aが立設されている。各側板15aは、外方へ向かって案内面15bからの高さが徐々に高くなるように形成されている。
【0038】
また、
図4に示すように、案内シュート15の周方向4箇所から中心向きに取付け片16が突設されると共に、分散フィーダ2のトップコーン3を振動駆動する加振機構4のケース17には、支持板18が連結固定されており、この支持板18に一対のブラケット19を介して前記取付け片16がボルト連結されており、これによって、案内シュート15が、振動するトップコーン3及びトラフ6に非接触の状態で固定配置されている。
案内シュート15は、トップコーン3の加振機構4にも連結されていないので、振動しない。
【0039】
この実施形態の物品搬送構造は、以上のように構成されており、分散フィーダ2のトップコーン3によって振動搬送された物品は、固定配置されている案内シュート15に搬入され、後続の物品が案内シュート15に引き続き搬入されることで、案内シュート15上の物品は、傾斜した案内面15bに沿って滑るようにして次第に外方に押し出し搬送され、直進フィーダ5のトラフ6上へ搬出される。この際、案内シュート15がトラフ6の始端側上方に重複して位置しているので、案内シュート15の搬出端は、トラフ6の幅が大きい部位に臨むことになり、物品が細長いものであっても、トラフ6の幅方向の両端に立設された側部がイド6aに跨って絡み付くようなことがなく、トラフ6へ円滑に送り込まれることになる。
【0040】
このとき、トップコーン3から案内シュート15に搬入され、後続の物品によって押し動かされる物品は、トップコーン3より急傾斜の案内シュート15の案内面15bに沿って円滑に滑り落ちるようにして移動してゆくことになる。
【0041】
また、案内シュート15の案内面15bには、各直進フィーダ5のトラフ6の側部ガイド6aに対応する側板15aが立設されているので、側板15aによって横方向の移動が規制された物品は、直進フィーダ5の各トラフ6に円滑に案内されることになり、隣接するトラフ6間に、細長い物品が跨って絡み付くのを防止することができる。
【0042】
更に、この実施形態では、トップコーン3の位置を、従来例に比べて嵩上げし、案内シュート15を、トップコーン3の周縁部下方と、直進フィーダ5のトラフ6の搬送方向の始端側上方との間に、固定配置するだけでよく、従来の分散フィーダ2及び直進フィーダ5をそのまま使用することができる。
【0043】
(他の実施形態)
本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0045】
(
1)案内シュート15は、一連の環状傘形に形成した部材の上面に側板15aを放射状に立設する、あるいは、周方向に複数個に分割製造したものを環状に連結する、等して構成することができる。
【0046】
(
2)直進フィーダ5のトラフ6は、搬送方向の始端側を短くした専用のトラフを用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
2 分散フィーダ
3 トップコーン
4 加振機構
5 直進フィーダ
6 トラフ
7 加振機構
8 供給ホッパ
9 計量ホッパ
12 集合シュート
13 集合ホッパ
15 案内シュート
15a 側板
15b 案内面
17 ケース