(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記振動子アレイ部は、前記外縁が分離可能な基部と可動部とから構成され、前記可動部は回転中心となる軸にて前記基部と連結されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波プローブ。
前記超音波振動子は、前記貫通孔を垂直に貫通する中心軸に向けて前記超音波の送受波を行うことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の超音波プローブ。
前記超音波振動子は、前記貫通孔を垂直に貫通する中心軸と平行となるように設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の超音波プローブ。
前記超音波振動子は、前記中心軸から前記外縁へと伸びる互いに直角となる4本の垂線がそれぞれ前記外縁において接する位置に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の超音波プローブ。
前記超音波振動子は、前記貫通孔を垂直に貫通する中心軸と平行となるように設けられる位置推定用の超音波振動子と、前記位置推定用の超音波振動子とは接触しないように前記外縁に沿って円周状に配置されるスキャン用超音波振動子とから構成されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の超音波プローブ。
前記超音波振動子は、前記貫通孔を垂直に貫通する中心軸と平行となるように設けられるスキャン用超音波振動子と、前記スキャン用超音波振動子とは接触しないように前記外縁に沿って配置される位置推定用の超音波振動子とから構成されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の超音波プローブ。
前記超音波振動子は、前記外縁に沿って円周状に配置されるスキャン用超音波振動子と、前記スキャン用超音波振動子とは接触しないように前記貫通孔を垂直に貫通する中心軸と平行となるように設けられる位置推定用の超音波振動子とから構成されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の超音波プローブ。
前記貫通孔の周囲に検査の際使用されるエコーゼリーを観察対象となる部位と前記貫通孔内部とに保持しておくスカートを備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の超音波プローブ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、実施の形態における超音波プローブPの全体を示す斜視図である。超音波プローブPは、操作者が超音波プローブPを利用する際に握る把持部P1と超音波振動子を備える振動子アレイ部P2とから構成される。
【0015】
把持部P1の一端は、コードCを介して超音波画像診断装置1に接続されている。当該コードCを介して受波した超音波の信号を超音波画像診断装置1へと送信する。但し、
図1に示す超音波プローブPの全体を示す斜視図においては、コードCが途中で途切れ、その先に存在する超音波画像診断装置1はその図示が省略されている。
【0016】
また、把持部P1の他端には、振動子アレイ部P2が設けられている。振動子アレイ部P2は、検査対象となる部位を貫通させる貫通孔P2a及び外縁P2bから構成されている。貫通孔P2aは、検査の際、被検体の検査対象となる部位が差し込まれる部分である。当該貫通孔P2aの直径については、任意に設定することができる。従って、複数の直径の貫通孔P2aを備える超音波プローブPを用意しておくことで、様々な部位(指)の太さを有する患者に対して適切な超音波プローブPを適用することができる。
【0017】
一方外縁P2bは、略円筒形となる形状を備えている。これは、当該外縁P2bの内部には、検査の対象となる部位に対して超音波を送受波する超音波振動子A(
図1においては図示せず)が設けられているからである。
【0018】
このように振動子アレイ部P2は、貫通孔P2aを備えており、また、外縁P2bの内部には超音波振動子Aが設けられている。従って、超音波画像診断装置1を用いた検査が行われる場合には、被検体は検査の対象となる部位を当該貫通孔P2aに挿入した状態で検査が行われる。
【0019】
図2は、実施の形態における超音波プローブPの使用状態を示す説明図である。ここでは、被検体Xの指の超音波画像の取得を行い、例えば、リウマチ等の関節炎等の検査を行うことを前提とする。操作者Oが超音波プローブPの把持部P1を握っている。そして、被検体Xの指が振動子アレイ部P2の貫通孔P2aに差し込まれている。操作者Oは、超音波プローブPを矢印の方向に移動させながら被検体Xの指の関節の超音波画像を取得する。
【0020】
なお、ここでは図示を省略しているが、振動子アレイ部P2と貫通孔P2aに差し込まれている被検体Xの指との間には、音響伝達媒体としてのエコーゼリーが存在する。当該エコーゼリーは、検査のために被検体Xが指を貫通孔P2a内に差し込む前に、指等に塗布される。また、貫通孔P2aの中で指を振動子アレイ部P2のいずれにも接触しないような状態に維持することで、指の周囲についての超音波画像を取得することができる。さらに、超音波プローブPを移動させなければ、当該停止位置における2次元(以下、適宜「2D」と表わす)の超音波画像が生成される。つまり当該停止位置における断面図である。一方、超音波プローブPを指の骨に沿って移動させることによって、3次元(以下、適宜「3D」と表わす)の超音波画像を取得することができる。
【0021】
図3は、実施の形態における超音波プローブPを含む超音波画像診断装置1の内部構成を示すブロック図である。超音波画像診断装置1は、CPU(Central Processing Unit)1aと、ROM(Read Only Memory)1bと、RAM(Random Access Memory)1c及び入出力インターフェイス1dがバス1eを介して接続されている。入出力インターフェイス1dには、入力部1fと、表示部1gと、通信制御部1hと、記憶部1iとが接続されている。
【0022】
また、入出力インターフェイス1dには、超音波プローブPを介して被検体Xに照射される超音波を送受信する超音波送受信部10と、超音波プローブPから受信した超音波信号を基に超音波画像の生成を行う、信号処理部20、画像構成部30、画像生成部40とが接続されている。
【0023】
CPU1aは、入力部1fからの入力信号に基づいてROM1bから超音波画像診断装置1を起動するためのブートプログラムを読み出して実行し、記憶部1iに格納されている各種オペレーティングシステムを読み出す。またCPU1aは、入力部1fや入出力インターフェイス1dを介して、
図1において図示していない外部機器からの入力信号に基づいて各種装置の制御を行う。
【0024】
さらにCPU1aは、RAM1cや記憶部1i等に記憶されたプログラム及びデータを読み出してRAM1cにロードするとともに、RAM1cから読み出されたプログラムのコマンドに基づいて、フィルタ処理、超音波画像の生成等、一連の処理を実現する処理装置である。
【0025】
入力部1fは、超音波画像診断装置1の操作者Oが各種の操作を入力するキーボード、ダイヤル等の入力デバイスにより構成されており、操作者Oの操作に基づいて入力信号を作成しバス1eを介してCPU1aに送信される。また、超音波画像診断装置1には、キーボード等だけでなく専用の操作パネルが設けられている場合もある。
【0026】
表示部1gは、例えば液晶ディスプレイであり、例えばCPU1aからバス1eを介して出力信号を受信する。表示部1gは、超音波プローブPを介して得られたデータを基に生成される超音波画像やCPU1aの処理結果等を表示する手段である。
【0027】
通信制御部1hは、LANカードやモデム等の手段であり、超音波画像診断装置1をインターネットやLAN等の図示しない通信ネットワークに接続することを可能とする手段である。通信制御部1hを介して通信ネットワークと送受信したデータは入力信号または出力信号として、入出力インターフェイス1d及びバス1eを介してCPU1aに送受信される。
【0028】
記憶部1iは、半導体や磁気ディスクで構成されており、CPU1aで実行される超音波画像生成プログラム等に関する情報が記憶されている。
【0029】
なお、本発明の実施の形態における超音波画像診断装置1では、超音波画像生成プログラムが、例えば、記憶部1iに格納されている。当該プログラムがCPU1aに読み込まれ実行されることにより、超音波画像診断装置1に実装されることになる。
【0030】
超音波送受信部10は、CPU1a(或いは、図示しないスキャン制御回路)の制御に従って、後述する超音波プローブPを介して被検体に超音波スキャンを実行する。実行される超音波スキャンとしては、例えば、Bモードスキャン、カラードプラモードスキャン、ドプラモードスキャン等を挙げることができる。超音波送受信部10内には、
図1にて図示していないが、例えば、プリアンプ、アナログディジタル変換器、受信遅延回路、加算器等が設けられている。
【0031】
超音波送受信部10には、患者(被検体X)に直接接触し、超音波の反射をもって被検体内部の情報を取得する超音波プローブPが接続されている。超音波プローブPは、超音波の送受波を行う超音波振動子Aを備えており、超音波送受信部10からの指示に基づきこの超音波振動子Aが駆動する。超音波プローブPが収集した被検体Xに関する内部情報は、超音波送受信部10にて受信され、信号処理部20、画像構成部30を介して画像生成部40にて超音波画像として生成される。
【0032】
信号処理部20では、超音波送受信部10の受信部が受信した信号に基づいて種々の信号処理を行う。具体的には、上述したスキャンモードに応じた信号処理が行われることになる。信号処理部20内には、
図1にて図示していないが、例えば、エコーデータ用検波器、対数圧縮器、深さ・走査線・フレーム方向のディジタルフィルタ等の各機器が設けられている。
【0033】
画像構成部30は、信号処理部20から送信される信号を受信し、信号処理部20において深さ方向で整列されたビームデータの座標を変換して、表示用にライン方向に整列されたピクセルデータへと変換するスキャン変換器の役割を果たす。当該処理が行われることによって、超音波画像を生成する際に基となる画像データが生成されることになる。
【0034】
画像生成部40は、画像構成部30において生成された画像データを基に、例えば、2D画像を生成するとともに、当該2D画像を基に、3D画像を生成する。
【0035】
図4は、実施の形態における超音波画像診断装置1の超音波プローブPからの送受波から超音波画像の生成を行うまでの各部の内部構成を示すブロック図である。
図4では、左から超音波プローブP、超音波送受信部10、信号処理部20、画像構成部30、及び画像生成部40が順に並んで示されている。ここでは、2つの信号の伝達経路が示されている。1つは、超音波プローブPにおいて位置推定用超音波振動子p1から送信される信号の経路である。
【0036】
当該位置推定用超音波振動子p1は、貫通孔P2aに差し込まれている被検体Xの部位の位置(超音波が照射され、反射した超音波を受波する位置)を把握するために用いられるものである。当該位置推定用超音波振動子p1からの信号は、第1の送受信部11、第1の信号処理部21、第1の画像構築部31を介して画像生成部40の2D画像生成部41に送られる。
【0037】
超音波プローブPは、
図2に示すように、検査の最中、検査の対象である被検体Xの指において矢印で示す方向に随時移動する。従って、位置推定用超音波振動子p1から送信された信号を基に超音波プローブPがどのくらいの距離(位置)を移動したかを、例えば画像上のスペックルのずれを用いてズレ量検出部42において把握する。当該ズレ量検出部42において検出された移動距離(ズレ量)に関する情報は、3D画像生成部43に送信される。
【0038】
一方、実際に被検体Xの内部情報を収集するスキャン用超音波振動子p2から送信される信号は、第2の送受信部12、第2の信号処理部22、第2の画像構築部32を介して一旦、画像生成部40の2D画像生成部41に送られる。ここで3D画像を生成する基となる2D画像が生成される。そして、生成された2D画像に関する情報は、直接3D画像生成部43へと送信される。3D画像生成部43では、当該ズレ量に関する情報及び、スキャン用超音波振動子p2から送信された信号を基に生成された2D画像に関する情報を基に、超音波プローブPにおいて収集された検査対象となる被検体Xの患部の内部に関する3D画像を生成する。
【0039】
なお、超音波プローブPからの信号伝達経路が2つの場合を例に挙げて超音波画像の生成における信号の流れを説明したが、信号伝達経路が1つの場合も考えられる。この場合は、
図4に示すスキャン用超音波振動子p2からの信号が画像生成部40へと送信される。すなわち、位置推定用超音波振動子p1は存在せず、従って信号経路もない。超音波プローブPからの信号伝達経路が単数、或いは、複数となるかは、外縁P2bの内部に設けられる超音波振動子Aの配列、与えられる役割によって異なる。
【0040】
そこで、以下では、本発明の実施の形態における超音波プローブPにおける超音波振動子Aの配列、与えられる役割について説明する。
【0041】
図5ないし
図8は、実施の形態における超音波プローブPにおける超音波振動子Aの配置の一例を示す説明図である。超音波振動子Aの配置についてはいくつか考えることができるので、順に説明する。
【0042】
なお、本実施の形態における超音波プローブPでは、振動子アレイ部P2に超音波振動子Aが設けられている。但し、例えば
図1に示すように、振動子アレイ部P2は音響レンズやケース部材で覆われており、実際には超音波振動子Aはそのままの状態では見ることができない。そこで、
図5ないし
図8においては超音波振動子Aの配置を明らかにするべく、超音波振動子Aを覆う部材をはぎ取った状態を示している。
【0043】
まず
図5に示す超音波振動子A1の配置方法である。ここでは、超音波振動子A1は、外縁P2bに沿って円周状に配置されている。
図5において長方形で示されている1つ1つが超音波振動子A1である(以下の図においても同じ)。この配置方法では、超音波プローブPの振動子アレイ部P2の外縁P2bに沿って超音波振動子A1が配置されていることから、貫通孔P2aに差し込まれた検査対象となる部位について360度全周にわたる情報を収集することが可能となる。
【0044】
操作者Oは、被検体Xの指に差し込まれている貫通孔P2aから指が抜けないように
図2に示す矢印の方向に超音波プローブPを移動させて、検査対象の部位に関する超音波画像の生成に必要な情報を取得する。
【0045】
図6に示す超音波振動子A2は、貫通孔P2aを垂直に貫通する中心軸Mと平行となるように設けられている。すなわち、超音波振動子A2が中心軸Mと平行となるように外縁P2b(の内部)いっぱいに帯状に配置されている。さらに
図6に示されている超音波プローブPの超音波振動子A2は、中心軸Mから外縁P2bへと伸びる互いに直角となる4本の垂線がそれぞれ外縁P2bにおいて接する4カ所に設けられている。このように外縁P2bに沿って均等に超音波振動子Aを配置することによって、対象となる部位に関する超音波画像を満遍なく収集することができる。
【0046】
但し、
図5で示すような超音波振動子A1の配置とは異なり、検査の対象となる部位の周囲全てに超音波振動子A2が配置されているわけではない。従って、検査に当たって操作者Oは、超音波プローブPの外縁P2bを回転させるようにして適宜超音波振動子A2の位置を対象となる部位に対して変更する。このように超音波プローブPを動かすことによって、さらに対象となる部位に関する超音波画像を満遍なく収集することができる。
【0047】
なお、超音波振動子Aをどのように配置するかは任意に設定することが可能である。従って、
図6に示すように外縁P2bの4カ所に配置されずとも、超音波振動子Aの配置が6カ所、或いは、8カ所等々であっても良い。また、
図6に示すように超音波振動子Aを配置すると、それぞれ超音波振動子Aが配置された位置における指の中心軸Mと平行な断面が超音波画像として生成されることになる。
【0048】
図7に示す超音波振動子Aの配置は、上記
図5及び
図6を用いて説明した配置方法を組み合わせた配置と言える。すなわち、中心軸Mと平行となるように1カ所超音波振動子A3が配置されるとともに、当該超音波振動子A3と接触しないように、外縁P2bの周囲に沿って別の超音波振動子A4が配置される。このように超音波振動子A3,A4を配置することによって、超音波プローブPの位置を把握するとともに、超音波画像を収集することができる。
【0049】
すなわち、ここでは、超音波振動子A3が超音波プローブPの位置ズレを推定する際の情報を収集する位置推定用超音波振動子p1の役割を果たす。一方、超音波振動子A4は、スキャン用の超音波振動子p2の役割を果たす。従って、超音波画像は当該スキャン用超音波振動子p2からの信号を基に生成される。
【0050】
一方、
図7と同様、位置推定用超音波振動子p1とスキャン用超音波振動子p2との組み合わせによる配置ではあるが、その配置の仕方が異なるのが
図8に示す超音波振動子Aの配置の方法である。
図8に示す超音波振動子Aは、まず
図6に示すような貫通孔P2aを垂直に貫通する中心軸Mと平行となるように配置されている。このような位置に配置される超音波振動子A5は、スキャン用超音波振動子p2の役割を果たす。一方、超音波振動子A5の間には、さらに外縁P2bに沿って2カ所、超音波振動子A6が配置される。当該超音波振動子A6は、位置推定用超音波振動子p1の役割を果たす。
【0051】
以上説明した超音波振動子Aの配置において、
図7及び
図8に示す配置が採用される場合に、
図4で示したように、位置推定用超音波振動子p1、スキャン用超音波振動子p2の2つの伝達経路が備えられ、それぞれの超音波振動子Aから信号が画像生成部40へと送信される。従って、2D画像も3D画像も生成することができる。
【0052】
一方、
図5及び
図6で示される配置の場合、位置推定用超音波振動子p1の機能を備える超音波振動子Aはなく、スキャン用超音波振動子p2のみの配置となる。従って、当該超音波振動子Aから受信される信号の伝達経路も1つのみとなり、位置の推定ができないことから3D画像の生成はできず2D画像のみの生成となる。但し、例えば、
図5や
図6に示す超音波振動子Aの配置であっても別途位置センサ等が設けられている場合には、超音波プローブPの位置を把握することができるので、3D画像の生成も可能となる。
【0053】
図9は、実施の形態における超音波プローブPに配置される超音波振動子Aからの超音波の送波、受波の状態を説明する説明図である。超音波振動子Aは、
図7において説明した、1つの位置推定用超音波振動子p1として超音波振動子A3が中心軸Mと平行に、そして、当該超音波振動子A3と接触しないように外縁P2bの周囲に沿って超音波振動子A4(スキャン用超音波振動子p2)が配置される。
【0054】
超音波は、超音波振動子Aが配置されている外縁P2bから貫通孔P2aの中心部(中心軸Mの位置)に向けて照射される。
図9においては被検体Xにおける検査対象の部位を示していないが、このような向きに超音波を照射し、その反射波を受波することによって、対象となる部位の超音波画像を生成することが可能となる。
図9において示すように、いずれの超音波振動子Aも外縁P2bから貫通孔P2aの中心部に向けて超音波が送波されるため、スキャン用超音波振動子p2から信号を基に超音波画像を生成すると、
図9において二点鎖線で示すように、この位置における検査対象の断面図が把握できることになる。その上で、
図2に示すように、検査対象である指の骨に沿うように(上述した中心軸Mと平行に)超音波プローブPを移動させることで、検査対象の部位に関する超音波プローブの2D超音波画像、或いは3D超音波画像が生成される。
【0055】
図10は、実施の形態における超音波プローブPから送られた情報を基に生成される超音波画像の例を示す説明図である。左側の図は、超音波プローブPを上述したように、中心軸Mと平行に移動させることで生成される3D画像である。この図において、円柱形に見えるのが、
図10においては超音波プローブPを図示していないが、超音波プローブPを移動させてできる軌跡である。そして、当該円柱形の中に示されているのが、検査対象となる部位である。
【0056】
さらに
図10においては、その右側の図において、当該部位について3つの切り口で表示されている。左側の図において、それぞれ90度ずつその断面がずれるように、破線、一点鎖線、二点鎖線で示される断面が表示されている。その断面が右側の図に示されている。右側の図においてもそれぞれ破線、一点鎖線、二点鎖線で示される画面が表示されているが、これは左側の図と対応させるための表示である。従って、例えば、
図6に示すような位置に超音波振動子Aが配置されると、
図10の右側に示される3つの画面を含む4つの画面が同時に表示部1gに表示されることになる。なお、表示部1gにどのような配置でどの超音波画像を表示させるかについては、任意に設定することができる。
【0057】
また、右側の図の一番上、破線で囲まれている図にさらに細かい破線で囲まれる領域が複数示されている。これは、超音波プローブPがそれぞれの位置で取得した断面図を示している。従って、この断面図を超音波プローブPが移動する矢印の方向に合わせてそれぞれ連続的に生成することによって、その断面における超音波プローブPの移動に従った連続した超音波画像が表示されることになる。
【0058】
図11は、実施の形態における超音波プローブPの別の形態を示す部分図である。
図11に示す超音波プローブPXは、振動子アレイ部P2の形状が、これまで説明してきた超音波プローブPと相違する。すなわち、振動子アレイP2Xにおける把持部P1との境界において、新たに超音波振動子Aを格納するためのスペースが設けられている。
【0059】
図12は、
図11に示す超音波プローブPXの形状における超音波振動子Aの配置の一例を示す説明図である。このような振動子アレイ部P2Xの内部における超音波振動子Aの配置を示す
図12にも明らかなように、外縁P2bの全周に亘って超音波振動子A7が設けられている。この配置は、上述した
図5で示した超音波振動子A1の配置と同じである。当該超音波振動子A7と接触しないように、新たに超音波振動子A8が中心軸Mと平行に設けられている。但し、この超音波振動子A8は超音波振動子A7を跨がず挟むように設けられていることから、外縁P2bの形状も、当該超音波振動子A8を収容するべく中心軸Mと平行な方向に突出している。
【0060】
このような位置に超音波振動子Aが配置される場合、ここでは、超音波振動子A7がスキャン用超音波振動子p2の機能を、超音波振動子A8が位置推定用超音波振動子p1の機能を果たす。このような配置とすることで、スキャン用超音波振動子p2を外縁P2bに沿って途切れることなく配置することが可能となる。さらに位置推定用超音波振動子p1も配置することができるため、より精度の良い超音波画像を生成、表示させることが可能となる。
【0061】
図13は、実施の形態における超音波プローブPの別の形態を示す部分図である。
図13に示す超音波プローブPYは、振動子アレイ部P2の形状がこれまで説明してきた振動子アレイ部P2と相違する。
【0062】
すなわち、振動子アレイ部P2Yは、外縁が開放可能とされている。すなわち、振動子アレイ部P2Yは、分離可能な基部Y1と可動部Y2とから構成される。可動部Y2は、さらに可動の際回転中心となる軸Y3にて基部Y1と連結されている。従って、軸Y3の上部であって可動部Y2を移動させるための突起部Y4を操作者Oがつまんで矢印Z1の方向に可動部Y2を移動させることで外縁P2bの一部が開放され、基部Y1と可動部Y2とは離間した状態となる。これまで上述した振動子アレイ部P2は、外縁P2bはあくまでも一体に形成されており、その一部が開放されることはない。
【0063】
振動子アレイ部P2Yにこのような構成を採用することによって、検査対象となる、例えば、指を貫通孔P2aに挿入した上で該当の部位まで振動子アレイ部P2を移動させることをしなくても、最初から該当の部位のところに振動子アレイ部P2Yを位置させることが可能となる。そして当該位置において可動部Y2をZ1の方向に移動させて外縁P2bの一部を開放させて閉じることによって、貫通孔P2aに指を挿入したのと同様の効果を奏することができる。つまり、クリップで検査対象を挟み込むように容易に検査対象の該当場所に超音波プローブPYを位置させることができることになる。
図13では、可動部Y2を移動させて外縁の一部を開放させた状態を実線で、可動部Y2を閉めた状態を二点鎖線で示している。
【0064】
なお、基部Y1及び可動部Y2のいずれもその内部に超音波振動子Aが配置されているのはもちろんである。また、振動子アレイ部P2Yは、通常、基部Y1に可動部Y2が接触した状態、すなわち可動部Y2を閉めた状態となる。これは、検査の際には可動部Y2を閉めた状態で行うためである。従って、検査中に不用意に可動部Y2が移動することを防止する必要があり、そのために基部Y1に可動部Y2を接触させる(互いの外縁を接触させる)方向に付勢部材が設けられている。但し、検査時に可動部Y2を基部Y1に接触させておく、可動部Y2を閉めた状態に保持しておくことができるのであれば、付勢部材を利用せずとも良い。
【0065】
図14は、実施の形態における超音波プローブPZにスカートSを装着した例を示す全体図である。超音波プローブPの振動子アレイ部P2には検査の対象となる部位が差し込まれて、当該超音波プローブPが移動することによって取得される被検体の内部情報から超音波画像が生成される。この超音波の送受波の際には、超音波を正確に送受波するための音響伝達媒体としてエコーゼリーが利用される。これまで説明してきた本発明の実施の形態における超音波プローブPは、特に
図2の使用例を示す図面に示されているように、振動子アレイ部P2に検査の対象部位を差し込むことで利用される。従って、部位と振動子アレイ部P2との間にエコーゼリーが介在することになる。
【0066】
但し、振動子アレイ部P2は略円筒形状であることから、貫通孔P2aの中心軸Mと平行に超音波プローブPを移動させると、振動子アレイ部P2の内面が対象部位に接触して、移動している間にエコーゼリーが剥がれ落ちてしまうことが考えられる。そこで本発明の実施の形態における超音波プローブPを使用する際には、例えば、次のような使用方法も考えられる。すなわち、指の爪が生えている側(以下、適宜「背側」と表わす)をスキャンする場合、指の腹側(背側の反対側)に振動子アレイ部P2の内面を接触させ、当該腹側をガイドとして超音波プローブPを移動させる。このように用いることによって、背側における体表面と振動子アレイ部P2との間に適切な空間を作出させ、当該空間にエコーゼリーを保持することが可能となる。超音波プローブPをこのように用いることでエコーゼリーを保持しつつ、振動子アレイ部P2と検査対象となる部位の表面との間に適切な距離を保ちながら検査を行うことができる。さらにこのようにすれば、背型においてエコーゼリーが剥がれ落ちてしまうことをある程度防ぐことはできる。
【0067】
但し、このような利用方法で確実に検査の間中、エコーゼリーを適正量保持しておけるかは難しいことも考えられる。そこで、
図14に示すように、超音波プローブPZでは、外縁P2bと貫通孔P2aとの境界付近にスカートSを設けている。このスカートSは、外縁P2bと貫通孔P2aとの境界の全周に亘って設けられている。さらに、所々に切れ目が入っていることで、スカートSを指の凹凸に適宜追随させることができる。また、
図14では、図示されている手前の外縁P2bと貫通孔P2aとの境界にのみスカートSが設けられているが、
図14では図示されていない反対側の外縁P2bと貫通孔P2aとの境界にもスカートSが設けられていても良い。
【0068】
このようなスカートSを設けることによって、超音波プローブPZを貫通孔P2aの中心軸Mと平行に移動させたとしても、背側と振動子アレイ部P2との間にできる空間からエコーゼリーが剥がれ落ちてしまうことをスカートSが適宜防ぐことが可能になる。従って、当該空間(貫通孔P2aの内部)にエコーゼリーを保持しておくことも容易となり、より適切な超音波画像の生成、取得が可能となる。
【0069】
なお、スカートSが設けられていてもエコーゼリーが剥がれ落ちてしまうことを完全に防止することは困難であると考えられる。従って、適宜当該空間にエコーゼリーを追加することで、さらに良い条件の下、検査を行うことが可能となる。
【0070】
以上説明したような構成を採用することによって、指の関節に対する超音波画像の取得に当たり、対象となる関節と超音波プローブとの間にエコーゼリーを常に適量保持し続けるとともに、操作者の手技のレベルを問わずに適切な超音波画像を取得することが可能な超音波プローブ及び超音波画像診断装置を提供することが可能となる。
【0071】
特に振動子アレイ部の貫通孔の大きさを複数種揃えておくことで、様々な形状をもつ部位(指)に対応させることができる。また、外縁の内部に設けられている超音波振動子の配置、量を工夫することによって、より簡易、適切に超音波画像を生成、取得することができる。
【0072】
なお例えば、振動子アレイ部の形状についても以下の通り考えることができる。すなわち、これまでは、超音波プローブを検査の対象となる指に差し込んで操作者が振動子アレイ部を適宜貫通孔を垂直に貫通する中心軸と平行となるように移動させることで超音波画像の生成に必要な情報を取得することとしていた。但し、例えば、振動子アレイ部を略円筒形状とし、当該略円筒形状の内部に検査対象となる部位(指)を差し込むことで指全体のスキャンを一度に行うことが可能である。
【0073】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。