特許第6157946号(P6157946)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6157946ヘッドレストの一体発泡成形用金型およびヘッドレストの一体発泡成形品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6157946
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】ヘッドレストの一体発泡成形用金型およびヘッドレストの一体発泡成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/48 20060101AFI20170626BHJP
   B68G 7/06 20060101ALI20170626BHJP
   A47C 7/38 20060101ALI20170626BHJP
   B29C 39/26 20060101ALI20170626BHJP
   B29L 31/58 20060101ALN20170626BHJP
【FI】
   B60N2/48
   B68G7/06 A
   A47C7/38
   B29C39/26
   B29L31:58
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-128114(P2013-128114)
(22)【出願日】2013年6月19日
(65)【公開番号】特開2015-3529(P2015-3529A)
(43)【公開日】2015年1月8日
【審査請求日】2016年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133098
【氏名又は名称】株式会社タチエス
(74)【代理人】
【識別番号】100141221
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 和明
(74)【代理人】
【識別番号】100091764
【弁理士】
【氏名又は名称】窪谷 剛至
(74)【代理人】
【識別番号】100103366
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 礼至
(72)【発明者】
【氏名】田畑 毅
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 崇文
【審査官】 望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−195767(JP,A)
【文献】 特開平04−201418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/48
A47C 7/38
B29C 39/26
B29C 44/00
B68G 7/06
B29L 31:58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリムカバー内に発泡体が充填され、前記トリムカバーに形成されたステー貫通孔から露出させたステーを備えたヘッドレストを製造するヘッドレスト一体発泡成形用金型において、
分割可能な上型及び下型と、
前記上型と前記下型との間で前記トリムカバーを収容するキャビティと、
前記下型の第1の合わせ面と前記上型の第2の合わせ面とにそれぞれ形成した第1及び第2の断面半円形のステー載置凹部と、を備え、
前記下型及び前記上型には、前記ステー載置凹部に収容され前記キャビティの壁面からキャビティ内に向かって突出して、前記ステー貫通孔内に入り込む第1及び第2のトリムカバー押込み爪がそれぞれ設けられ、該第1及び第2のトリムカバー押込み爪は、半円筒形状をなし、前記第1及び第2のステー載置凹部を形成する第1及び第2の壁面の一部をなす第1及び第2の延長面を有することを特徴とするヘッドレスト一体発泡成形用金型。
【請求項2】
前記第1及び第2のトリムカバー押込み爪は、外側が先端に行くにつれて肉厚が薄くなることを特徴とする請求項1記載のヘッドレスト一体発泡成形用金型。
【請求項3】
前記下型及び前記上型には、第1及び第2のステー載置部材がそれぞれ固定され、前記第1及び第2のステー載置部材は、前記下型及び前記上型にそれぞれ固定される第1及び第2の本体部と、前記第1及び第2の本体部から前記キャビティ内に向かって突出する前記第1及び第2のトリムカバー押込み爪と、を有することを特徴とする請求項1又は2記載のヘッドレスト一体発泡成形用金型。
【請求項4】
前記第1及び第2の本体部と前記第1及び第2のトリムカバー押込み爪は、半円筒形状又は先端が鋸刃状の半円筒形状をなし、前記第1及び第2の本体部は、ネジによって前記上型及び前記下型にそれぞれ固定されていることを特徴とする請求項3に記載のヘッドレスト一体発泡成形用金型。
【請求項5】
分割可能な上型及び下型とからなるヘッドレスト一体発泡成形用金型のキャビティにトリムカバーを収容し、該トリムカバーに形成されたステー貫通孔からステーを露出させた後、トリムカバー内に発泡体を充填して、前記トリムカバーに形成されたステー貫通孔から露出させたステーを備えたヘッドレストを製造するヘッドレスト一体発泡品の製造方法において、
第1の断面半円形のステー載置凹部は前記下型に形成され、第2の断面半円形のステー載置凹部は前記上型に形成され、
前記上、下型の合わせ面に形成した前記第1及び第2の断面半円形のステー載置凹部に収容され前記キャビティの壁面からキャビティ内に向かって突出すると共に前記第1及び第2のステー載置凹部を形成する第1及び第2の壁面の一部をなす第1及び第2の延長面を有する半円筒形状のトリムカバー押込み爪で、前記トリムカバーのステー貫通孔の縁部を、トリムカバーの内側に押し戻した後、トリムカバー内に発泡体を充填して発泡体をトリムカバーと一体発泡成形することを特徴とするヘッドレスト一体発泡品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドレストをトリムカバー(表皮)との一体発泡によって成形するための金型およびこのヘッドレストの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から一般的に利用されているヘッドレストを製造する場合、袋状に縫製されたトリムカバーを金型内にセットする前に、トリムカバーにU字状のステーを装着させている。この作業は、トリムカバーに形成された一方のステー貫通孔内に、ステーの一端をトリムカバーの外側から差し込み、その後、その一端を他方のステー貫通孔内にトリムカバーの内側から差し込んで外に出す。このようにして、トリムカバー内にステーのU字部を配置させ、トリムカバーの左右のステー貫通孔からステーの左右の直状部を露出させる。そして、トリムカバーにステーを装着した状態で、トリムカバーを上型と下型のキャビティ内にセットし、型締めを行った後、注入ノズルからウレタン発泡液を金型内のトリムカバー内に注入して発泡体からなるパッドをトリムカバーと一体成形してヘッドレストを製造する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−245081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来のヘッドレストの製造方法にあっては、トリムカバーの他方のステー貫通孔内にステーの一端をトリムカバーの内側から差し込んで外に出す際、ステー貫通孔の縁部がステーの差し込みにより、めくれ返って外側に押し出されてしまうので、このまま金型内にセットすると、製品として見栄えが悪くなってしまう。そのため、このはみ出した縁部を筒状の棒でトリムカバーの内側に押し戻す作業が必要になる。よって、金型にトリムカバーをセットする前に、全品に対して棒を使ったこのような手作業の前処理が必要になるので、作業性が悪くなるといった問題点があった。
【0005】
本発明は、金型にトリムカバーをセットする前において、トリムカバーからはみ出したステー貫通孔の縁部を押し戻すための前処理作業を必要としないヘッドレスト一体発泡成形用金型およびこのヘッドレストの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、トリムカバー内に発泡体が充填され、前記トリムカバーに形成されたステー貫通孔から露出させたステーを備えたヘッドレストを製造するヘッドレスト一体発泡成形用金型において、
分割可能な上型及び下型と、
前記上型と前記下型との間で前記トリムカバーを収容するキャビティと、
前記下型の第1の合わせ面と前記上型の第2の合わせ面とにそれぞれ形成した第1及び第2の断面半円形のステー載置凹部と、を備え、
前記下型及び前記上型には、前記ステー載置凹部に収容され前記キャビティの壁面からキャビティ内に向かって突出して、前記ステー貫通孔内に入り込む第1及び第2のトリムカバー押込み爪がそれぞれ設けられ、該第1及び第2のトリムカバー押込み爪は、半円筒形状をなし、前記第1及び第2のステー載置凹部を形成する第1及び第2の壁面の一部をなす第1及び第2の延長面を有することを特徴とする。
【0007】
このヘッドレスト一体発泡成形用金型においては、下型にトリムカバーをセットする場合、第1のトリムカバー押込み爪の先端をトリムカバーに押し当てながら第1のステー載置凹部にステーの直状部をセットする。このとき、第1のトリムカバー押込み爪の先端がステー貫通孔内に入り込み、それによって、外にはみ出していたステー貫通孔の縁部がトリムカバーの内側に押し戻すことができる。同様に、上型を閉める場合、第2のトリムカバー押込み爪の先端をトリムカバーに押し当てながら第2のステー載置凹部にステーの直状部をセットする。このとき、第2のトリムカバー押込み爪の先端がステー貫通孔内に入り込み、それによって、外にはみ出していたステー貫通孔の縁部をトリムカバー内に押し戻すことができる。このように、金型のキャビティ内にトリムカバーをセットすると同時に、外にはみ出したステー貫通孔の縁部をトリムカバー内に押し戻すことができるので、トリムカバーからはみ出したステー貫通孔の縁部を押し戻すための前処理作業を必要としない。
【0008】
また、前記第1及び第2のトリムカバー押込み爪は、外側が先端に行くにつれて肉厚が薄くなると共に、前記第1及び第2のステー載置凹部を形成する第1及び第2の壁面の一部をなす第1及び第2の延長面を有すると好適である。
このような構成を採用すると、ステーの直状部に沿って、ステー貫通孔内にトリムカバー押込み爪を容易且つ確実に差し込むことができる。
【0009】
また、前記下型及び前記上型には、第1及び第2のステー載置部材がそれぞれ固定され、前記第1及び第2のステー載置部材は、前記下型及び前記上型にそれぞれ固定される第1及び第2の本体部と、前記第1及び第2の本体部から前記キャビティ内に向かって突出する前記第1及び第2のトリムカバー押込み爪と、を有すると好適である。
このようなステー載置部材を採用すると、トリムカバー押込み爪が摩耗した場合に、交換を容易にし、しかも、トリムカバー押込み爪の設計変更を容易に行うことができる。
【0010】
また、前記第1及び第2の本体部と前記第1及び第2のトリムカバー押込み爪は、半円筒形状又は先端が鋸刃状の半円筒形状をなし、前記第1及び第2の本体部は、ネジによって前記上型及び前記下型にそれぞれ固定されていると好適である。
このような構成を採用すると、ネジの着脱により、第1及び第2のステー載置部材を上型及び下型に対して容易に着脱させることができ、 ステー載置部材の交換を容易に行うことができる。
【0011】
本発明方法は、分割可能な上型及び下型とからなるヘッドレスト一体発泡成形用金型のキャビティにトリムカバーを収容し、該トリムカバーに形成されたステー貫通孔からステーを露出させた後、トリムカバー内に発泡体を充填して、前記トリムカバーに形成されたステー貫通孔から露出させたステーを備えたヘッドレストを製造するヘッドレスト一体発泡品の製造方法において、
第1の断面半円形のステー載置凹部は前記下型に形成され、第2の断面半円形のステー載置凹部は前記上型に形成され、
前記上、下型の合わせ面に形成した前記第1及び第2の断面半円形のステー載置凹部に収容され、前記キャビティの壁面からキャビティ内に向かって突出すると共に前記第1及び第2のステー載置凹部を形成する第1及び第2の壁面の一部をなす第1及び第2の延長面を有する半円筒形状のトリムカバー押込み爪で、前記トリムカバーのステー貫通孔の縁部を、トリムカバーの内側に押し戻した後、トリムカバー内に発泡体を充填して発泡体をトリムカバーと一体発泡成形することを特徴とする。
本発明のヘッドレスト一体発泡品の製造方法によれば、このように、金型のキャビティ内にトリムカバーをセットすると同時に、外にはみ出したステー貫通孔の縁部をトリムカバー内に押し戻すことができる。従って、前記従来方法のように、トリムカバーからはみ出したステー貫通孔の縁部を押し戻すための前処理作業が不要になり、製造工程の簡略化が図られる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るヘッドレスト一体発泡成形用金型および本発明に係るヘッドレスト一体発泡品の製造方法によれば、金型にトリムカバーをセットする前において、トリムカバーからはみ出したステー貫通孔の縁部を押し戻すための前処理作業を必要としないので、ヘッドレストの製造工程の簡略化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るヘッドレスト一体発泡成形用金型が適用されるヘッドレストを示す斜視図である。
図2】本発明に係るヘッドレスト一体発泡成形用金型の一実施形態を示す断面図である。
図3】ステー載置部材を示す斜視図である。
図4】ステー載置部材を示す断面図である。
図5】金型内にトリムカバーをセットした状態を示す断面図である。
図6】トリムカバー内に発泡液を注入した状態を示す断面図である。
図7】他のステー載置部材を示す斜視図である。
図8図7に示されたステー載置部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るヘッドレスト一体発泡成形用金型の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0015】
図1に示されるように、一体発泡成形品としてのヘッドレストHRは、袋状に縫製されたトリムカバー2と、このトリムカバー2内に注入された発泡液(例えば発泡性ウレタン)が硬化してなる発泡体としてのパッド3と、パッド3内で固定されたステー5と、からなる。
【0016】
表皮をなすトリムカバー2は、通気性がない合成皮と、合成皮の裏面に固着されて、スラブウレタンフォーム材からなるワディングからなり、2層タイプのものが利用されている。また、ステー5は、パッド3内に埋設されるU字部5cと、トリムカバー2の底面2cに設けられた左右のステー貫通孔2a,2bから外部に露出させる左右一対の直状部5a,5bと、でU字状に成形されている。
【0017】
図2に示されるように、このようなヘッドレストHRは、ヘッドレスト一体発泡成形用金型1によって製造される。この金型1は、ヒンジ部6を介して分割可能な下型10と上型20と、下型10と上型20との間でトリムカバー2を収容するキャビティCと、下型10の第1の合わせ面10aと上型20の第2の合わせ面20aにそれぞれ配置した第1及び第2のステー載置部材30,40と、を備えている。
【0018】
図3及び図4に示されるように、下型10には、ネジ11によって第1のステー載置部材30が固定され、この第1のステー載置部材30は、下型10の第1の合わせ面10aに形成された断面半円形の凹部10b内に収容される半円筒形状の第1の本体部30aと、第1の本体部30aの端部からキャビティC内に向かって突出する半円筒形状の第1のトリムカバー押込み爪30bと、を有している。
【0019】
第1の本体部30aは、凹部10b内に挿入された状態で2本のネジ11によって下型10に固定されている。第1のトリムカバー押込み爪30bは、キャビティCの壁面12からキャビティCの内側に向かって突出し、ステー貫通孔内2aに入り込む。そして、トリムカバー2から露出したステー貫通孔2aの縁部Aは、トリムカバー2の内側に向かって押し戻される。
【0020】
第1のステー載置部材30は、ステー5の直状部5aを載置させるための断面半円形の第1のステー載置凹部30cと、第1の合わせ面10aと面一をなす左右一対の合わせ面30dと、を有している。
【0021】
さらに、第1のトリムカバー押込み爪30bは、外側が先端に行くにつれて肉厚が薄くなると共に、第1のステー載置凹部30cを形成する第1及び第2の壁面30Aの一部をなす第1の延長面Bと、第1の延長面Bに対向して形成されると共に、ステー貫通孔2aの縁部Aを外側で湾曲させるための湾曲面Fと、を有している。
【0022】
前述した第1のステー載置部材30は、ステー5の左右の直状部5a,5bを載置させるために、下型10の第1の合わせ面10aの左右にそれぞれ配置されている。同様に、第2のステー載置部材40は、ステー5の左右の直状部5a,5bを載置させるために、上型20の第2の合わせ面20aの左右にそれぞれ配置されている。そして、第1のステー載置部材30と第2のステー載置部材40とで、ステー5の左右の直状部5a,5bを挟み込む。
【0023】
第1のステー載置部材30と第2のステー載置部材40は、同一の構成を有するので、第2のステー載置部材40において、第2のステー載置凹部40c、第2の本体部40a、第2の延長面Dを有する第2のトリムカバー押込み爪40bについての詳細な説明は省略する(図2参照)。
【0024】
このヘッドレスト一体発泡成形用金型1においては、図2に示されるように、下型10に対して上型20を開き、図5に示されるように、キャビティC内にトリムカバー2をセットする。下型10にトリムカバー2をセットする場合、第1のトリムカバー押込み爪30bの先端をトリムカバー2の底面2cに押し当てながら第1のステー載置凹部30cにステー5の左右の直状部5a,5bをセットする。
【0025】
このとき、第1のトリムカバー押込み爪30bの先端がステー貫通孔2a,2b内に入り込み、それによって、外にはみ出していたステー貫通孔2a,2bの縁部Aをトリムカバー2の内側に押し戻すことができる。同様に、上型20を閉める場合、第2のトリムカバー押込み爪40bの先端をトリムカバー2の底面2cに押し当てながら第2のステー載置凹部40cにステー5の左右の直状部5a,5bをセットする。
【0026】
このとき、第2のトリムカバー押込み爪40bの先端がステー貫通孔2a,2b内に入り込み、それによって、外にはみ出していたステー貫通孔2a,2bの縁部Aをトリムカバー2の内側に押し戻すことができる。このように、金型1のキャビティC内にトリムカバー2をセットすると同時に、外にはみ出したステー貫通孔2a,2bの縁部Aをトリムカバー2内に押し戻すことができるので、トリムカバー2からはみ出したステー貫通孔2a,2bの縁部Aを押し戻すための前処理作業を必要としない。
【0027】
図5及び図6に示されるように、下型10に差し込まれた注入ノズル45によって、トリムカバー2内に発泡液を注入して、トリムカバー2内にパッド3を成形する。このとき、発泡液によってステー5の直状部5a,5bの表面に、ステー貫通孔2a,2bの縁部Aを密着させることができる。
【0028】
そして、型開け時にトリムカバー押込み爪30b,40bの先端がステー貫通孔2a,2bから抜け出る。このようにして成形されたヘッドレストHRにあっては、ステー5の直状部5a,5bの周縁でステー貫通孔2a,2bの縁部Aが露出することがなく、見栄えを良好にすることができる。
【0029】
また、第1及び第2のトリムカバー押込み爪30b,40bは、外側が先端に行くにつれて肉厚が薄くなっているので、ステー5の左右の直状部5a,5bに沿って、ステー貫通孔2a,2b内にトリムカバー押込み爪30b,40bを容易且つ確実に差し込むことができる。
【0030】
また、下型10及び上型20と別の構成部品として第1及び第2のステー載置部材30,40を採用すると、トリムカバー押込み爪30b,40bが摩耗した場合に、交換を容易にし、しかも、トリムカバー押込み爪30b,40bの設計変更を容易に行うことができる。
【0031】
また、ネジ11の着脱により、第1及び第2のステー載置部材30,40を上型20及び下型10に対して容易に着脱させることができ、 ステー載置部材30,40の交換を容易に行うことができる。
【0032】
本発明は、前述した実施形態に限定されないことは言うまでもない。例えば、図7及び図8に示されるように、他のステー載置部材50は、鋸刃状のトリムカバー押込み爪50bを有している。このようにトリムカバー押込み爪50b先端を尖端形状にすることで、トリムカバー2の底面2cに対する摺動抵抗を少なくすることができる。なお、他の構成については、第1及び第2のステー載置部材30,40と同一である。
【符号の説明】
【0033】
1…ヘッドレスト一体発泡成形用金型 2…トリムカバー 2a,2b…ステー貫通孔 5…ステー 5a,5b…直状部 5c…U字部 10…下型 10a…第1の合わせ面 11…ネジ 20…上型 20a…第2の合わせ面 30…第1のステー載置部材 30a…第1の本体部 30b…第2のトリムカバー押込み爪 30c…第1のステー載置凹部 40…第2のステー載置部材 40a…第2の本体部 40b…第2のトリムカバー押込み爪 40c…第2のステー載置凹部 50…ステー載置部材 50b…トリムカバー押込み爪 A…縁部 B,D…延長面 C…キャビティ F…湾曲面 HR…ヘッドレスト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8