特許第6158041号(P6158041)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6158041毛髪を染色又は脱色するための第2剤組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6158041
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】毛髪を染色又は脱色するための第2剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20170626BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20170626BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20170626BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20170626BHJP
   A61K 8/22 20060101ALI20170626BHJP
   A61Q 5/08 20060101ALI20170626BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20170626BHJP
【FI】
   A61K8/34
   A61K8/37
   A61K8/41
   A61K8/86
   A61K8/22
   A61Q5/08
   A61Q5/10
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-225703(P2013-225703)
(22)【出願日】2013年10月30日
(65)【公開番号】特開2015-86166(P2015-86166A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2016年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】391047558
【氏名又は名称】ヘンケルジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100172605
【弁理士】
【氏名又は名称】岩木 郁子
(72)【発明者】
【氏名】松谷 聡
(72)【発明者】
【氏名】川合 正樹
(72)【発明者】
【氏名】町田 昌治
(72)【発明者】
【氏名】永渕 章子
【審査官】 石川 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−150180(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/137877(WO,A1)
【文献】 特開2012−224605(JP,A)
【文献】 特開2007−217292(JP,A)
【文献】 特開2011−020988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/34
A61K 8/22
A61K 8/37
A61K 8/41
A61K 8/86
A61Q 5/08
A61Q 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ剤を含有する第1剤組成物と混合して使用する、毛髪を染色又は脱色するための第2剤組成物であって、次の成分(A)〜(C):
(A)(a1)少なくとも1種の常温で液状の油剤10〜30重量%、及び、(a2)少なくとも1種の常温で固形状の油剤、ここで、該常温で固形状の油剤は常温で固形状の高級アルコールを含み、(a1)及び(a2)の合計重量(A)と(a2)との重量比(A)/(a2)は3〜8である、
(B)(b1)少なくとも1種のカチオン界面活性剤、及び、(b2)少なくとも1種の非イオン界面活性剤、ここで、該カチオン界面活性剤はアルキル基部分において16〜22個の炭素原子を有する塩化アルキルトリメチルアンモニウムを含み、(b1)及び(b2)の合計重量(B)は0.5〜1.8重量%である、
及び、
(C)酸化剤、0.1〜12重量%
を含有し、(A)と(B)の重量比(A)/(B)は5〜30である、組成物。
【請求項2】
(b1)と(b2)の重量比(b1)/(b2)は0.1〜1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
高級アルコールは、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びセトステアリルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
非イオン界面活性剤は少なくとも1種のポリオキシエチレンアルキルエーテルを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ剤を含有する第1剤組成物と混合して使用する、毛髪を染色又は脱色するための第2剤組成物であって、染色又は脱色処理後の毛髪におけるハリ・コシ及びまとまり感に優れる組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪の染色又は脱色方法として、アルカリ剤を含有する第1剤組成物と過酸化水素を含有する第2剤組成物を使用直前に混合し、得られた毛髪化粧料を毛髪に塗布することにより、毛髪を染色又は脱色することが知られている。近年、毛髪の染色又は脱色はより一般的なものとなっており、より高い染色力又は脱色力が求められている。
【0003】
その一方で、毛髪を染色又は脱色する際の化学的な影響によって毛髪が損傷を受け、染色又は脱色処理後の毛髪は、ハリ・コシが低下していたり、まとまり感が失われている場合がある。
【0004】
染色又は脱色処理後の毛髪のまとまり感を得るために、カチオン性ポリマーを配合することが検討されていた(特許文献1及び2)。しかしながら、十分なまとまり感を得るためには多量のカチオン性ポリマーを配合せねばならなかった。また、髪質によっては、多量のカチオン性ポリマーにより毛髪が硬くなり、きしみが生じる場合があった。
【0005】
染色力又は脱色力を向上するために、毛髪化粧料に油剤を配合して酸化剤の作用を十分に促進させることも検討されていた(特許文献3〜7)。しかしながら、従来の毛髪化粧料で染色又は脱色処理後の毛髪におけるハリ・コシ及びまとまり感は十分であるとはいえないものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−23023号公報
【特許文献2】特開2005−179222号公報
【特許文献3】特開2007−217291号公報
【特許文献4】特開2007−217292号公報
【特許文献5】特開2007−217293号公報
【特許文献6】特開2003−81792号公報
【特許文献7】特開2003−55174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は、毛髪の十分な染色又は脱色を可能にすると共に、染色又は脱色処理後の毛髪におけるハリ・コシ及びまとまり感に優れる、毛髪を染色又は脱色するための第2剤組成物を提供することを課題とする。本発明はさらに、第2剤組成物が良好な保存安定性を有し、染色又は脱色剤組成物を塗布する際の操作性が良好であり、染色又は脱色処理後の毛髪が良好な感触を有し、毛髪を均一に染色又は脱色することができる第2剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、特定の成分を特定の重量比で含有し、油剤を少量の界面活性剤で安定に含有する本発明の第2剤組成物により、上記課題が達成されることを見出した。
【0009】
すなわち、上記課題は、次の具体的態様により達成される。
(1)アルカリ剤を含有する第1剤組成物と混合して使用する、毛髪を染色又は脱色するための第2剤組成物であって、次の成分(A)〜(C):
(A)(a1)少なくとも1種の常温で液状の油剤10〜30重量%、及び、(a2)少なくとも1種の常温で固形状の油剤、ここで、該常温で固形状の油剤は常温で固形状の高級アルコールを含み、(a1)及び(a2)の合計重量(A)と(a2)との重量比(A)/(a2)は3〜8である、
(B)(b1)少なくとも1種のカチオン界面活性剤、及び、(b2)少なくとも1種の非イオン界面活性剤、ここで、該カチオン界面活性剤はアルキル基部分において16〜22個の炭素原子を有する塩化アルキルトリメチルアンモニウムを含み、(b1)及び(b2)の合計重量(B)は0.5〜1.8重量%である、
及び、
(C)酸化剤、0.1〜12重量%
を含有し、(A)と(B)の重量比(A)/(B)は5〜30である、組成物。
(2)(b1)と(b2)の重量比(b1)/(b2)は0.1〜1である、上記(1)に記載の組成物。
(3)高級アルコールは、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びセトステアリルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種を含む、上記(1)又は(2)に記載の組成物。
(4)非イオン界面活性剤は少なくとも1種のポリオキシエチレンアルキルエーテルを含む、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、毛髪を十分に染色又は脱色すると共に、染色又は脱色処理後の毛髪に優れたハリ・コシ及び優れたまとまり感を与えることができる。また、本発明の第2剤組成物は良好な乳化状態及び良好な保存安定性を有し、染色又は脱色剤組成物を塗布する際の操作性が良好であり、染色又は脱色処理後の毛髪が良好な感触を有し、毛髪を均一に染色又は脱色することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の組成物は、毛髪を染色又は脱色するための第2剤組成物であり、本発明の組成物と、アルカリ剤を含有する第1剤組成物とを、任意にその他の組成物と共に混合して得た染色又は脱色剤組成物を毛髪に塗布することにより、毛髪を染色又は脱色することができる。
【0012】
本発明の組成物は、良好な保存安定性、染色又は脱色剤組成物の良好な操作性、毛髪の十分な染色又は脱色、染色又は脱色処理後の毛髪の優れたハリ・コシ及び優れたまとまり感を得るために、(A)(a1)少なくとも1種の常温で液状の油剤10〜30重量%、及び、(a2)少なくとも1種の常温で固形状の油剤を含有する。なお、本発明において、「常温」は25℃を意味する。
【0013】
(a1)常温で液状の油剤
常温で液状の油剤としては、特に限定されないが、例えばエステル油、炭化水素油、シリコーン油、動植物油、常温で液状の高級アルコール及び常温で液状の高級脂肪酸等が挙げられる。エステル油としては、例えば炭素原子数6〜24の脂肪酸、例えば、カプロン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ペトロセリン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキン酸、ガドレイン酸、ベヘン酸、エルカ酸と、アルコール、例えばイソプロピルアルコール、カプロンアルコール、カプリルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、カプリンアルコール、ラウリルアルコール、イソトリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、パルミトレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、ペトロセリニルアルコール、リノリルアルコール、リノレニルアルコール、エレオステアリルアルコール、アラキルアルコール、ガドレイルアルコール、ベヘニルアルコール、エルシルアルコール、ブラシジルアルコールとの、エステル化生成物等が挙げられる。さらに、ジカルボン酸エステル、例えばアジピン酸ジ−n−ブチル、アジピン酸ジ−(2−エチルヘキシル)、コハク酸ジ−(2−エチルヘキシル)及びジイソトリデシルアセラート、並びにジオールエステル、例えばエチレングリコールジオレエート、エチレングリコールジイソトリデカノエート、プロピレングリコールジ−(2−エチルヘキサノエート)、プロピレングリコールジイソステアレート、プロピレングリコールジペラルゴネート、ブタンジオールジイソステアレート、及びネオペンチルグリコールジカプリレート、並びに複合エステル、例えばジアセチルグリセロールモノステアレート等も例として挙げられる。炭化水素油としては、例えば流動パラフィン、ジオクチルシクロヘキサン、α-オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワラン、ポリブテン、流動イソパラフィン等が挙げられる。シリコーン油としては、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状シリコーン、並びにアミノ変性、脂肪酸変性、アルコール変性、ポリエーテル変性、エポキシ変性、フッ素変性及び/又はアルキル変性シリコーン化合物等が挙げられる。動植物油としては、例えばマカデミアナッツ油、ヤシ油、アマランス種子油、桃仁油、アボガド油、オリーブ油、菜種油、ゴマ油、ホホバ油、大豆油、落花生油、メマツヨイグサ油及びチャノキ油等が挙げられる。常温で液状の高級アルコールとしては、例えばヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、オレイルアルコール等が挙げられる。常温で液状の高級脂肪酸としては、例えばイソステアリン酸、オレイン酸及びリノール酸等が挙げられる。本発明の組成物は、これらの常温で液状の油剤を単独で含有してもよいし、2種以上を組み合わせて含有してもよい。
【0014】
本発明の組成物は、組成物の乳化状態及び毛髪のまとまり感の観点から、炭化水素油及び/又はエステル油を含有することが好ましく、エステル油を含有することがより好ましい。
【0015】
常温で液状の油剤の量は、毛髪の十分な染色又は脱色、染色又は脱色剤組成物の良好な操作性、染色又は脱色処理後の毛髪の優れたハリ・コシ及びまとまり感を得るために、第2剤組成物の総重量に基づいて10重量%以上である。染色又は脱色力、染色又は脱色処理後の毛髪のハリ・コシ及びまとまり感の観点から、常温で液状の油剤の量は、第2剤組成物の総重量に基づいて好ましくは15重量%以上である。常温で液状の油剤の量は、本発明の組成物の良好な乳化状態、良好な保存安定性、及び、染色又は脱色剤組成物の良好な操作性を得るために、第2剤組成物の総重量に基づいて30重量%以下である。常温で液状の油剤の量は、本発明の組成物の保存安定性の観点から、第2剤組成物の総重量に基づいて好ましくは25重量%以下であり、より好ましくは20重量%以下である。
【0016】
(a2)常温で固形状の油剤
常温で固形状の油剤としては、特に限定されないが、例えば常温で固形状の炭化水素、動物脂、ロウ類、高級脂肪酸、エステル類等が挙げられる。本発明において、「常温で固形状」とは、25℃の温度において固体状又はペースト状であることを意味する。例えば、パラフィンワックス等の炭化水素、ミツロウ等のロウ類を使用してよい。
【0017】
本発明の組成物において、常温で固形状の油剤は、常温で固形状の高級アルコールを含む。なお、高級アルコールとは、一般に炭素数6以上の一価のアルコールを意味する。本発明において、常温で固形状の高級アルコールとしては、例えば炭素数12以上の高級アルコールが挙げられ、具体的にはミリスチルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール(セチルアルコールとステアリルアルコールとの混合物)、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、アラキルアルコール、ラノリンアルコール等が挙げられる。本発明の組成物は、これらの常温で固形状の高級アルコールを単独で含有してもよいし、2種以上を組み合わせて含有してもよい。また、本発明の組成物は、これらの常温で固形状の高級アルコールの少なくとも1種を、前段に記載の常温で固形状の油剤の少なくとも1種と組み合わせて含有してもよい。
【0018】
本発明の組成物は、組成物の乳化状態、保存安定性、及び、染色又は脱色処理後の毛髪のまとまり感の観点から、炭素数16以上の高級アルコールを含有することが好ましく、例えばセチルアルコール、ステアリルアルコール又はセトステアリルアルコールを含有することがより好ましい。
【0019】
常温で固形状の高級アルコールの量は、本発明の組成物の乳化状態、保存安定性、及び、染色又は脱色処理後の毛髪のまとまり感の観点から、第2剤組成物の総重量に基づいて好ましくは2重量%以上、より好ましくは3重量%以上、さらに好ましくは4重量%以上である。常温で固形状の高級アルコールの量は、本発明の組成物の保存安定性、及び、染色又は脱色剤組成物の操作性の観点から、第2剤組成物の総重量に基づいて好ましくは12重量%以下、より好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは8重量%以下である。
【0020】
常温で固形状の高級アルコールの量は、本発明の組成物の乳化状態、保存安定性、及び、染色又は脱色剤組成物の操作性の観点から、常温で固形状の油剤の総重量に基づいて好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上、最も好ましくは100重量%である。
【0021】
本発明の組成物において、(a1)常温で液状の油剤及び(a2)常温で固形状の油剤の合計重量(A)と(a2)常温で固形状の油剤との重量比(A)/(a2)は、本発明の組成物の良好な乳化状態、染色又は脱色剤組成物の良好な操作性、及び、染色又は脱色処理後の毛髪の優れたまとまり感を得るために、3〜8である。4〜7であることが好ましく、4〜5であることがより好ましい。
【0022】
本発明の組成物は、組成物の良好な保存安定性、染色又は脱色剤組成物の良好な操作性、及び、染色又は脱色処理後の毛髪の滑らかな感触を得るために、(B)(b1)少なくとも1種のカチオン界面活性剤、及び、(b2)少なくとも1種の非イオン界面活性剤を含有する。
【0023】
(b1)カチオン界面活性剤
カチオン界面活性剤としては、例えばエチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化オクタデシルアンモニウム、塩化オクチルジヒドロキシエチルメチルアンモニウム、塩化ジアルキル(12〜15)ジメチルアンモニウム、塩化ジアルキル(14〜18)ジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジ(ポリオキシエチレン)オレイルメチルアンモニウム、塩化ステアリルジヒドロキシエチルベタインナトリウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ポリオキシエチレン(1)ポリオキシプロピレン(25)ジエチルメチルアンモニウム、塩化ミリスチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化メチルベンゼトニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルピリジニウム、臭化アルキルイソキノリニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン等が挙げられる。
【0024】
本発明の組成物において、カチオン界面活性剤は、アルキル基部分において16〜22個の炭素原子を有する塩化アルキルトリメチルアンモニウムを含む。アルキル基部分において16〜22個の炭素原子を有する塩化アルキルトリメチルアンモニウムとしては、例えば塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。本発明の組成物は、これらのカチオン界面活性剤を単独で含有してもよいし、2種以上を組み合わせて含有してもよい。また、本発明の組成物は、これらのカチオン界面活性剤の少なくとも1種を、前段に記載のカチオン界面活性剤の少なくとも1種と組み合わせて含有してもよい。本発明の組成物は、組成物の保存安定性、染色又は脱色剤組成物の操作性、及び、染色又は脱色処理後の毛髪の滑らかな感触の観点から、塩化セチルトリメチルアンモニウム及び/又は塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを含有することが好ましい。
【0025】
アルキル基部分において16〜22個の炭素原子を有する塩化アルキルトリメチルアンモニウムの量は、組成物の保存安定性、染色又は脱色剤組成物の操作性、及び、染色又は脱色処理後の毛髪の滑らかな感触の観点から、カチオン界面活性剤の総重量に基づいて好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上、最も好ましくは100重量%である。
【0026】
(b2)非イオン界面活性剤
非イオン界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンフェニルエーテル等のポリオキシエチレン型非イオン界面活性剤、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、多価アルコールエステル及び高級脂肪酸グリセリンエステル等のエステル型非イオン界面活性剤、アルカノールアミド、アルキルポリグルコシド等が挙げられる。本発明の組成物は、これらの非イオン界面活性剤を単独で含有してもよいし、2種以上を組み合わせて含有してもよい。
【0027】
本発明の組成物は、組成物の乳化状態及び保存安定性の観点から、ポリオキシエチレン型非イオン界面活性剤を含有することが好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有することがより好ましい。ポリオキシエチレンアルキルエーテルのアルキル基は、組成物の保存安定性の観点から、例えばセチル、セトステアリル、ステアリル、ベヘニルであることが好ましい。例えばポリオキシエチレン(20EO)セトステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(30EO)セトステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(40EO)セトステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(20EO)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(30EO)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(40EO)セチルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテルを使用することがきわめて好ましい。
【0028】
本発明の組成物において、(b1)及び(b2)の合計重量(B)は、本発明の組成物の良好な保存安定性、及び、染色又は脱色処理後の毛髪の優れたハリ・コシ及びまとまり感を得るために、本発明の組成物に基づいて0.5〜1.8重量%である。(b1)及び(b2)の合計重量(B)は、本発明の組成物の保存安定性、及び、処理後の毛髪のハリ・コシ及びまとまり感の観点から、本発明の組成物に基づいて1〜1.5であることが好ましい。
【0029】
本発明の組成物において、(b1)と(b2)の重量比(b1)/(b2)は、本発明の組成物の保存安定性、染色又は脱色剤組成物の操作性、染色又は脱色処理後の毛髪のハリ・コシ及びまとまり感の観点から、0.1〜1であることが好ましく、0.3〜0.8であることがより好ましい。
【0030】
本発明の組成物は、良好な乳化状態、良好な保存安定性、及び、染色又は脱色処理後の毛髪の優れたハリ・コシ及びまとまり感を得るために、上記の(a1)常温で液状の油剤及び(a2)常温で固形状の油剤の合計重量(A)と、(b1)カチオン界面活性剤及び(b2)非イオン界面活性剤の合計重量(B)との重量比(A)/(B)が5〜30となるような量で、これらの成分を含有する。(A)と(B)との重量比(A)/(B)は、本発明の組成物の乳化状態及び保存安定性の観点から、10〜20であることが好ましい。
【0031】
本発明の組成物は、組成物の乳化状態、保存安定性、及び、染色又は脱色剤組成物の操作性の観点から、上記の常温で固形状の高級アルコールと(b2)非イオン界面活性剤とを、(高級アルコール)と(b2)の重量比(高級アルコール)/(b2)が1〜10となるような量で含有することが好ましく、3〜7となるような量で含有することがより好ましい。
【0032】
(C)酸化剤
本発明の組成物は、毛髪の十分な染色又は脱色を得るために、酸化剤を含有する。酸化剤としては、特に限定されないが、例えば、過酸化水素、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過炭酸ナトリウム、臭素酸ナトリウムなどが挙げられる。これらの酸化剤を単独で含有してもよいし、2種以上を組み合わせて含有してもよい。これらの中でも、特に過酸化水素が、十分な染色力及び脱色力が得られるため好ましい。
【0033】
酸化剤の含有量は、毛髪の十分な染色又は脱色、及び、毛髪又は頭皮への刺激の観点から、第2剤組成物の総重量に基づいて0.1〜12重量%であり、好ましくは0.5〜9重量%、より好ましくは1〜6重量%である。
【0034】
本発明の組成物は、組成物の保存安定性の観点から、好ましくは2〜5、より好ましくは2〜4のpH(25℃で測定)を有する。
【0035】
本発明の組成物は、第2剤組成物のpHを調整するために、pH調整剤を含有してよい。pH調整剤としては、特に限定されないが、例えば無機酸、有機酸又はそれらの塩を使用してよい。無機酸としては、塩酸、リン酸等が挙げられる。有機酸としては、例えばクエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、レブリン酸、酢酸、酪酸、吉草酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、マンデル酸等が挙げられる。それらの塩としては、塩酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。例えば、ピロリン酸ナトリウム、リン酸等を使用することが好ましい。
【0036】
本発明の組成物は、上記成分の他に、例えば、毛髪保護剤、増粘剤、湿潤剤、浸透剤、紫外線吸収剤、防腐剤、キレート剤、着香料、着色料、養毛剤等の、化粧品等に常用される成分や添加剤を含有してよい。本発明の組成物は、これらの成分や添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で自由に組み合わせて適宜含有することができる。
【0037】
本発明の組成物は、毛髪を染色又は脱色するための第2剤組成物であり、本発明の組成物と、アルカリ剤を含有する第1剤組成物とを、任意にその他の組成物と共に使用直前に混合して得た染色又は脱色剤組成物を毛髪に塗布することにより、毛髪を染色又は脱色することができる。
第1剤組成物及び第2剤組成物の剤型は、液状、乳液状、クリ−ム状、ゲル状、ペースト状、フォーム状等の剤型にすることができ、エアゾール形態とすることもできるが、これらの剤型に限定されるものではない。また、第1剤組成物がクリーム状であり、第2剤組成物が液状であるなど、互いに異なる剤型であってもよく、第1剤組成物と第2剤組成物の混合比も問わない。第1剤組成物及び第2剤組成物の剤型は、クリーム状であることが、本発明の組成物の安定性及び染色又は脱色剤組成物の操作性の観点から好ましい。
【0038】
上記の第1剤組成物及び第2剤組成物の他に、その他の組成物を使用直前に混合してよい。その他の組成物としては、例えば、酸化助剤を含む第3剤組成物が挙げられる。第3剤組成物中の酸化助剤は、第1剤組成物、第2剤組成物及び第3剤組成物を混合する際に、第2剤組成物に含まれる酸化剤の分解を促進し、発生する酸素による毛髪中のメラニンの分解をより強める役割を果たす。第3剤の組成物の剤型は、粉末状、無水クリーム状等の剤型にすることができるが、これらの剤型に限定されるものではない。第3剤組成物に含まれる酸化助剤としては、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの過流酸塩が挙げられる。第3剤組成物は、これら酸化助剤を単独で含有してもよいし、2種以上を組み合わせて含有してもよい。
【0039】
アルカリ剤を含有する第1剤組成物が染料を含有する場合、第1剤組成物、第2剤組成物及び任意にその他の組成物を混合することにより染色剤組成物が得られる。アルカリ剤を含有する第1剤組成物が染料を含有しない場合、第1剤組成物、第2剤組成物及び任意にその他の組成物を混合することにより脱色剤組成物が得られる。
【0040】
アルカリ剤としては、特に限定されないが、例えばアンモニア、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール(AMPD)、テトラキス(2−ヒドロキシイソプロピル)エチレンジアミン(TE)、モノイソプロパノールアミン(MIPA)等のアルカノールアミン、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を使用してよい。染料としては、特に限定されることなく、染色又は脱色用毛髪化粧料の分野において通常用いられる酸化染料及び直接染料を含有してよい。
第1剤のpHは、染色及び脱色力、皮膚刺激性の観点から、8〜12であることが好ましく、9〜11であることがより好ましい。また、第1剤と第2剤を混合して得た染色又は脱色剤組成物のpHは、染色及び脱色力、皮膚刺激性の観点から、8〜12であることが好ましく、8〜10であることがより好ましい。
【0041】
本発明の組成物は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、剤型に応じて、通常の方法により第1剤組成物と混合して使用することができる。例えば、トレイ等を器として、刷毛やマドラー、へら等を用いて、第1剤組成物と第2剤組成物とを均一になるように混合後、刷毛、ブラシ、櫛、コーム、手等を用いて毛髪に塗布する方法や、十分な容量のボトルに第1剤組成物と第2剤組成物とを入れ、振り混ぜて均一になるよう混合した後、塗布用のアプリケーター(シングルノズル、くし型ノズル等)、刷毛、ブラシ、櫛、コーム、手等を用いて毛髪に塗布する方法を適宜選択することができる。
【0042】
毛髪に塗布する際の温度は、15〜45℃であることが毛髪や人体への負担の観点から好ましい。毛髪に塗布後の脱色又は染色時間は、アルカリ剤や酸化剤の含有量、酸化染料の種類や量、毛髪への塗布量、所望の染着度合によって、適宜調整されるが、通常3〜45分、好ましくは5〜30分、より好ましくは10〜30分である。その後、脱色又は染色時間経過後に毛髪を洗い流し、必要に応じて毛髪を乾燥させる。
【実施例】
【0043】
次に本発明の実施例を比較例と共に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、含有量は重量%で示す。
【0044】
表1に示す組成を有する第1剤組成物を常法により調製した。表2〜4に示す第2剤組成物を常法により調製した。
【0045】
〔乳化状態〕
表2〜4に示す第2剤組成物について、調製直後の組成物の乳化状態を目視にて観察し、次の基準に従い評価した。得られた結果を表2〜4に示す。
◎:非常に良好な乳化状態
〇:上記との比較ではやや粒子が粗いが、良好な乳化状態
△:不均一であり、悪い乳化状態
×:乳化せずクリームにならない
【0046】
〔保存安定性〕
第2剤組成物を、ガラス容器中、50℃で1ヶ月間保存後に、外観の変化を目視にて観察し、次の基準に従い評価した。得られた結果を表2〜4に示す。
◎:変化なし
〇:ほとんど変化なし
△:粘度低下
×:分離
【0047】
表1に示す組成を有する第1剤組成物と、表2〜4に示す組成を有する各第2剤組成物とを等量混合し、染色剤組成物を得た。得られた染色剤組成物を、ハケを用いて人頭に塗布し、その際に操作性を評価した。染色剤組成物を塗布して30分放置後、染色剤組成物を洗い流した。毛髪をシャンプー、コンディショナー処理し、ドライヤーで乾燥させた。染色処理後の毛髪のハリ・コシ、まとまり感、感触、染色力、均染性を次の基準に従い評価した。得られた結果を表2〜4に示す。
【0048】
〔操作性〕
◎:全く液だれせず、毛髪に非常に伸ばしやすい
〇:液だれせず、毛髪に伸ばしやすい
△:液だれしないが、毛髪に伸ばしにくい
×:液だれし、毛髪に伸ばしにくい
【0049】
〔ハリ・コシ〕
◎:髪の弾力及びしなやかさが非常に良好
〇:髪の弾力及びしなやかさが良好
△:髪の弾力及びしなやかさがあまりない
×:髪の弾力及びしなやかさがない
【0050】
〔まとまり感〕
◎:髪のまとまりが非常に良い
〇:髪のまとまりが良い
△:髪のまとまりが悪い
×:髪のまとまりが非常に悪い
【0051】
〔感触〕
◎:非常に滑らかな手触り
〇:滑らかな手触り
△:指通りが悪く、きしみを感じる
×:指通りが非常に悪く、ひっかかる
【0052】
〔染色力〕
◎:毛髪が非常によく染色されている
〇:毛髪がよく染色されている
△:毛髪があまり染色されていない
×:毛髪がほとんど染色されていない
【0053】
〔均染性〕
◎:染色むらがなく、非常に均一
〇:染色むらがほぼなく、均一
△:染色むらがややある
×:染色むらが多い
【0054】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】