(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記特定手段は、前記複数の滞在場所のそれぞれと、前記通過判定線上の所定の点との間の距離をそれぞれ算出し、当該算出されたそれぞれの距離の大小関係を用いて、前記第1のベクトル及び前記第2のベクトルを判定する、請求項1に記載の情報処理装置。
前記特定手段は、前記測位情報に含まれる複数の測位位置の間の移動である第3の移動のうち、前記通過判定線と交差する前記第3の移動の起点の前記測位位置を第1の測位位置として、終点の前記測位位置を第2の測位位置としてそれぞれ特定し、
滞在時刻が前記第1の滞在場所の滞在時刻以前の時刻である複数の前記滞在場所のそれぞれと、前記第1の測位位置との間の距離をそれぞれ算出し、当該算出されたそれぞれの距離の大小関係を用いて、前記第1のベクトルを判定し、
滞在時刻が前記第2の滞在場所の滞在時刻以後の時間である複数の前記滞在場所のそれぞれと、前記第2の測位位置との間の距離をそれぞれ算出し、当該算出されたそれぞれの距離の大小関係を用いて、前記第2のベクトルを判定する、請求項1に記載の情報処理装置。
前記特定手段は、前記測位情報に含まれる複数の測位位置の間の移動である第3の移動のうち、前記通過判定線と交差する前記第3の移動の起点の前記測位位置を第1の測位位置として、終点の前記測位位置を第2の測位位置としてそれぞれ特定し、
前記複数の滞在場所のそれぞれについて、前記滞在場所から、前記第1の測位位置までの距離と、前記第2の測位位置までの距離との間の大小関係を用いて、前記第1のベクトル及び前記第2のベクトルを判定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、発明の範囲をこれらに限定するものではない。
【0013】
図1を参照して、一実施形態に係る情報処理システムの構成について説明する。情報処理システム1は、サーバ装置10及び複数の移動端末20などの情報処理装置を主に備える。サーバ装置10と複数の移動端末20は、ネットワークNを介して相互に通信することができる。なお、
図1では、3つの移動端末20が記載されているが、サーバ装置10と通信可能な移動端末20の数は、任意である。
【0014】
ネットワークNは、サーバ装置10と移動端末20との間で情報を送受信するための通信回線である。例えば、インターネット、LAN、専用線、パケット通信網、電話回線、企業内ネットワーク、その他の通信回線、それらの組み合わせ等のいずれであってもよく、有線であるか無線であるかを問わない。
【0015】
サーバ装置10は、ハードウェア構成として、制御部11、通信部14、及び記憶部15を主に備える。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)12及びメモリ13を主に備えて構成される。サーバ装置10は、専用又は汎用のサーバ・コンピュータなどの情報処理装置を用いて実現することができ、例えば、CPU12がメモリ13等に格納された所定のプログラムを実行することにより、各種の機能実現手段として機能する。なお、サーバ装置10は、単一の情報処理装置より構成されるものであっても、ネットワーク上に分散した複数の情報処理装置より構成されるものであってもよい。
【0016】
制御部11では、CPU12は、記憶部15等に記憶されたプログラムをメモリ13に展開して実行することにより、サーバ装置10が備える各種構成の動作を制御し、また、各種処理の実行を制御する。制御部11において実行される処理の詳細は後述する。
【0017】
通信部14は、ネットワークNを介して移動端末20等の各種情報処理装置と通信するための通信インタフェースである。通信部14は、例えば、移動端末20からの測位情報を受信する。
【0018】
記憶部15は、ハードディスク等の記憶装置によって構成される。記憶部15は、制御部11における処理の実行に必要な各種プログラムや各種の情報、及び処理結果の情報を記憶する。記憶部15に記憶されている情報の具体例については後述する。
【0019】
移動端末20は、現在位置を所定時間間隔(例えば、5分間隔)又は所定のタイミングで測位した測位情報をアップロードする機能を備える。移動端末20は、例えば、携帯電話機(スマートフォンを含む)、PDA(Personal Digital Assistants)、ナビゲーション装置、パーソナルコンピュータなどの情報端末を適用して構成することができる。移動端末20は、図示しないが、主制御部、通信部、表示部、操作部、記憶部、測位処理部などの各種機能実現手段を主に備える。
【0020】
図2を参照して、一実施形態に係るサーバ装置10の機能構成を説明する。サーバ装置10は、主な機能構成として、受信部111、滞在場所情報取得部112、トリップ特定部113及びデータベース120を備える。これらの機能は、例えば、制御部11において、CPU12が、記憶部15等に記憶されたプログラムをメモリ13に展開して実行することにより実現される。
【0021】
データベース120は、サーバ装置10において実行される上記の処理に必要な情報、及び当該処理により生成された情報など、各種情報を記憶する。データベース120は、例えば、移動端末20の測位情報、地図情報、滞在場所情報、及びトリップ情報を記憶している。
【0022】
図3は、データベース120に記憶された移動端末20の測位情報の例を示している。この例では、測位情報は、移動端末20が測位された時刻である測位時刻、移動端末20の識別情報である移動端末ID、移動端末20が測位された位置である測位位置(緯度、及び経度)の情報を含む。
【0023】
受信部111は、サーバ装置10における処理のために必要な各種情報を外部装置から受信する。例えば、移動端末20から、当該移動端末20の現在位置を所定時間間隔(例えば、5分間隔)又は所定のタイミングで測位した測位情報を受信する。受信した測位情報は、データベース120に記憶される。
【0024】
滞在場所情報取得部112は、データベース120に記憶された移動端末20の測位情報に基づいて、滞在場所を特定し、各移動端末20についての滞在時刻が連続する複数の滞在場所の情報を取得する。取得された滞在場所の情報は、データベース120に記憶される。
【0025】
本実施形態において、滞在場所とは、単に移動端末20が測位された場所や通過した場所ではなく、所定時間以上滞在した場所であることが望ましい。しかしながら、単に測位された場所を滞在場所としてもよい。滞在場所の特定は、例えば、対象となる移動端末20の測位情報が参照され、当該移動端末20が連続して所定の時間以上測位された場所が滞在場所として特定される。もしくは、測位時間が近接する(すなわち、測位時間差が所定値以内である)複数の測位位置が一定の距離範囲内に存在するときに、当該複数の測位位置が存在する場所が滞在場所として特定される。
【0026】
また、本実施形態において、場所とは、地図上の一点を意味するばかりでなく、任意のサイズ及び形状を持つものが含まれる。
【0027】
トリップ特定部113は、滞在場所情報取得部112により特定された複数の滞在場所のうち、対象となる移動端末20のトリップ(第1の移動)の出発地及び目的地を特定することによって、1つの目的を持って移動する場合のトリップを特定する。本実施形態において、トリップは、対象移動端末についての時系列的に隣接する滞在場所の間の移動(第2の移動)の1つ又は複数によって構成される。特定されたトリップの情報は、データベース120に記憶される。本実施形態において、出発地及び目的地の特定は、滞在場所間の移動(第2の移動)のベクトルを考慮して行う。以下に、トリップの出発地及び目的地の特定の方法について、具体的に説明する。なお、ベクトルとは、通常、方向及び大きさを持った量を示すものであるが、本実施形態においては、特に、方向を示す用語として使用するものとする。
【0028】
図4を参照して、トリップの出発地及び目的地の特定の方法の一例について説明する。
図4は、ある道が示された地図上における、出発地及び目的地の特定の対象となる移動端末20(以下、対象移動端末20という。)の滞在場所s1〜s9と、道と交差するように予め設定された仮想的な線である通過判定線とを示している。通過判定線は、対象となる道(通過判定線が設定された道)を移動端末が通過したかを判定するための線である。例えば、ある移動端末の測位位置が通過判定線を跨ぐように時系列的に連続して検出された場合、当該移動端末は対象となる道を通過したと判定される。通過判定線は、例えば、トリップを分析する者によって設定されうる。トリップを分析する者は、対象となる道を通過する移動端末がどこからどこへ行くために当該道を通過したかを判定するために、通過判定線を設定する。また、
図4において、各滞在場所の間の矢印は、対象移動端末20による各滞在場所の間の移動の方向(ベクトル)を示している。
【0029】
トリップ特定部113は、まず、対象移動端末20の滞在場所間の移動のうち、通過判定線と交差する移動における起点の滞在場所(第1の滞在場所)と終点の滞在場所(第2の滞在場所)とを特定する。この例では、滞在場所s5及びs6の間の移動が通過判定線と交差しているので、トリップ特定部113は、滞在場所s5を起点の滞在場所として、滞在場所s6を終点の滞在場所としてそれぞれ特定する。
【0030】
トリップ特定部113は、次に、滞在時刻が滞在場所s5(第1の滞在場所)の滞在時刻以前の時刻である滞在場所(すなわち、滞在場所s1〜s5)について、当該滞在場所の間の移動の方向であるベクトル(第1のベクトル)を、滞在場所s5を終点とする移動から時間が遡る順に判定する。トリップ特定部113は、第1のベクトルが通過判定線から遠ざかる方向であると最初に判定された移動の終点の滞在場所を出発地として特定する。
【0031】
図4の例では、滞在場所s5(第1の滞在場所)を終点とする移動である滞在場所s4〜s5のベクトルは、通過判定線に近づく方向であり、時間が遡る方向の次の移動である滞在場所s3〜s4のベクトルも、通過判定線に近づく方向である。しかし、時間が遡る方向の次の移動である滞在場所s2〜s3のベクトルは、通過判定線から遠ざかる方向である。従って、トリップ特定部113は、滞在場所s2〜s3の移動のベクトルの終点の滞在場所s3を出発地として特定する。
【0032】
また、トリップ特定部113は、滞在時刻が滞在場所s6(第2の滞在場所)の滞在時刻以後の時刻である滞在場所(すなわち、滞在場所s6〜s9)について、当該滞在場所の間の移動の方向であるベクトル(第2のベクトル)を、滞在場所s6を起点とする移動から時間が進む順に判定する。トリップ特定部113は、第2のベクトルが通過判定線に近づく方向であると最初に判定された移動の起点の滞在場所を目的地として特定する。
【0033】
図4の例では、滞在場所s6(第2の滞在場所)を起点とする移動である滞在場所s6〜7のベクトルは、通過判定線から遠ざかる方向であり、時間が進む方向の次の移動である滞在場所s7〜s8のベクトルも、通過判定線から遠ざかる方向である。しかし、時間が進む方向の次の移動である滞在場所s8〜s9のベクトルは、通過判定線に近づく方向である。よって、トリップ特定部113は、滞在場所s8〜s9の移動の起点の滞在場所であるs8を目的地として特定する。
【0034】
トリップ特定部113は、出発地として特定された滞在場所s3と、目的地として特定された滞在場所s8との間の移動をトリップとして特定する。通常、1つの目的でのトリップは、出発地から目的地まで、ほぼ同じ方向に向かって進むと考えられる。従って、あるトリップにおいて、ユーザは、出発地を発ってから、通過判定線の向こう側にある目的地にたどり着くために、通過判定線を超える前までは通過判定線に近づく方向に進み続け、通過判定線を越えた後は通過判定線から遠ざかる方向に進み続けると考えられる。そして、目的地にたどり着いた後、ユーザは、次のトリップの目的地のために、方向を変えて(通過判定線に近づく方向で)移動をすると考えられる。本実施形態は、このような思想及び原理に基づいて、トリップの出発地及び目的地を特定し、当該特定された出発地及び目的地の間の移動をトリップとして特定するものである。また、特定されたトリップの出発地は、前のトリップの目的地となり、特定されたトリップの目的地は、後のトリップの出発地となる。以上のように説明した滞在場所間の移動のベクトルを考慮したトリップの特定方法は、滞在場所における滞在時間の長さに応じて特定するような方法と比較して、より精度高くトリップを特定することができる。このような特定方法は特に、ある道を通過した移動端末20がどこからどこへ行くトリップでその道を通過しているのかを特定することができる。
【0035】
以下に、第1のベクトル及び第2のベクトルの判定の具体的な方法について説明する。なお、以下に説明する方法は、あくまでも例に過ぎず、第1のベクトル及び第2のベクトルの判定は、任意の方法により行うことができる。
【0036】
[ベクトル判定方法例1]
図4を参照して、ベクトル判定方法例1について説明する。この方法において、トリップ特定部113は、滞在場所情報取得部112により特定された対象移動端末20の複数の滞在場所のそれぞれと、通過判定線上の所定の点との間の距離をそれぞれ算出し、当該算出されたそれぞれの距離の大小関係を用いて、第1のベクトル及び第2のベクトルを判定する。
【0037】
具体的には、まず、第1のベクトルを判定するために、トリップ特定部113は、滞在時刻が滞在場所s5(第1の滞在場所)の滞在時刻以前の時刻である滞在場所s1〜s5のそれぞれと、通過判定線上の所定の点(この例では、通過判定線と道との交点Pとする。)との間の距離をそれぞれ算出する。そして、トリップ特定部113は、滞在場所の滞在時刻が遡る順に、滞在場所s1〜s5のそれぞれから交点Pまでの距離をそれぞれ比較する。トリップ特定部113は、滞在時刻が連続する滞在場所について、滞在時刻が後である滞在場所から交点Pまでの距離が、滞在時刻が前である滞在場所から交点Pまでの距離よりも短いとき、当該2つの滞在場所の間の移動のベクトルである第1のベクトルは、通過判定線に近づく方向であると判定する。また、滞在時刻が後である滞在場所から交点Pまでの距離が、滞在時刻が前である滞在場所から交点Pまでの距離よりも長いとき、当該2つの滞在場所の間の移動のベクトルである第1のベクトルは、通過判定線から遠ざかる方向であると判定される。
【0038】
例えば、交点Pから滞在場所s5までの距離は、交点Pから滞在場所s4までの距離より短いので、滞在場所s4〜s5の移動の第1のベクトルは、通過判定線に近づく方向であると判定される。また、交点Pから滞在場所s3までの距離は、交点Pから滞在場所s2までの距離より長いので、滞在場所s2〜s3の移動の第1のベクトルは、通過判定線から遠ざかる方向であると判定される。
【0039】
また、第2のベクトルを判定するために、トリップ特定部113は、滞在時刻が滞在場所s6(第2の滞在場所)の滞在時刻以後の時刻である滞在場所s6〜s9のそれぞれと、交点Pとの間の距離をそれぞれ算出する。そして、トリップ特定部113は、滞在場所の滞在時刻が進む順に、滞在場所から交点Pまでの距離をそれぞれ比較する。トリップ特定部113は、滞在時刻が連続する滞在場所について、滞在時刻が後である滞在場所から交点Pまでの距離が、滞在時刻が前である滞在場所から交点Pまでの距離よりも長いとき、当該2つの滞在場所の間の移動のベクトルである第2のベクトルは、通過判定線から遠ざかる方向であると判定する。また、滞在時刻が後である滞在場所から交点Pまでの距離が、滞在時刻が前である滞在場所から交点Pまでの距離よりも短いとき、当該2つの滞在場所の間の移動のベクトルである第2のベクトルは、通過判定線に近づく方向であると判定される。
【0040】
例えば、交点Pから滞在場所s7までの距離は、交点Pから滞在場所s6までの距離より長いので、滞在場所s6〜s7の移動の第1のベクトルは、通過判定線から遠ざかる方向であると判定される。また、交点Pから滞在場所s9までの距離は、交点Pから滞在場所s8までの距離より短いので、滞在場所s8〜s9の移動の第2のベクトルは、通過判定線に近づく方向であると判定される。
【0041】
[ベクトル判定方法例2]
次に、
図5を参照して、ベクトル判定方法例2について説明する。ベクトル判定方法例1では、通過判定線上の点から各滞在場所までの距離の大小関係を用いて、第1のベクトル及び第2のベクトルを判定したが、この例では、通過判定線と道との交点付近の対象移動端末20の測位位置から各滞在場所までの距離の大小関係を用いて、判定を行う。
【0042】
具体的には、まず、トリップ特定部113は、対象移動端末20の測位情報に含まれる測位位置の間の移動(第3の移動)のうち、通過判定線と交差する移動の起点の測位位置を第1の測位位置として、終点の測位位置を第2の測位位置としてそれぞれ特定する。
【0043】
そして、第1のベクトルを判定するために、トリップ特定部113は、滞在時刻が滞在場所s5(第1の滞在場所)の滞在時刻以前の時間である滞在場所s1〜s5のそれぞれと、第1の測位位置との間の距離をそれぞれ算出する。トリップ特定部113は、滞在場所s1〜s5について、滞在時刻が遡る順に、滞在場所から第1の測位位置までの距離をそれぞれ比較する。トリップ特定部113は、滞在時刻が連続する滞在場所について、滞在時刻が後である滞在場所(例えば、s5)から第1の測位位置までの距離が、滞在時刻が前である滞在場所(例えば、s4)から第1の測位位置までの距離よりも短いとき、当該2つの滞在場所の間の移動(滞在場所s4〜s5間の移動)のベクトルである第1のベクトルは、通過判定線に近づく方向であると判定する。また、滞在時刻が後である滞在場所(例えば、s3)から第1の測位位置までの距離が、滞在時刻が前である滞在場所(例えば、s2)から第1の測位位置までの距離よりも長いとき、当該2つの滞在場所の間の移動(滞在場所s2〜s3間の移動)のベクトルである第1のベクトルは、通過判定線から遠ざかる方向であると判定される。
【0044】
また、第2のベクトルを判定するために、トリップ特定部113は、滞在時刻が滞在場所s6(第2の滞在場所)の滞在時刻以後の時間である滞在場所s6〜s9のそれぞれと、第2の測位位置との間の距離をそれぞれ算出する。そして、トリップ特定部113は、滞在場所s6〜s9について、滞在時刻が進む順に、滞在場所から第2の測位位置までの距離をそれぞれ比較する。トリップ特定部113は、滞在時刻が連続する滞在場所について、滞在時刻が後(例えば、s7)である滞在場所から第2の測位位置までの距離が、滞在時刻が前である滞在場所(例えば、s6)から第2の測位位置までの距離よりも長いとき、当該2つの滞在場所の間の移動(滞在場所s6〜s7間の移動)のベクトルである第2のベクトルは、通過判定線から遠ざかる方向であると判定する。また、滞在時刻が後である滞在場所(例えば、s9)から第2の測位位置までの距離が、滞在時刻が前である滞在場所(例えば、s8)から第2の測位位置までの距離よりも短いとき、当該2つの滞在場所の間の移動(滞在場所s8〜s9間の移動)のベクトルである第2のベクトルは、通過判定線に近づく方向であると判定される。
【0045】
[ベクトル判定方法例3]
次に、
図6を参照して、ベクトル判定方法例3について説明する。上記で説明した判定方法の例は、通過判定線又は通過判定線付近の測位位置から滞在場所までの距離を用いて判定を行うものである。しかしながら、上記の方法では、
図6に示すような、滞在場所s13及びs14の間の移動を含むトリップについて、通過判定線を跨ぐ滞在場所s15〜s16の移動の方向である第2のベクトルを通過判定線に近づく方向のベクトルとして判定することができず、その結果、滞在場所s15をトリップの目的地として判定することができない。なぜなら、滞在場所s15から通過判定線までの距離は、滞在場所s16から通過判定線までの距離よりも短いためである。同様の理由により、
図6の滞在場所s11〜s12の移動の方向である第1のベクトルを通過判定線から遠ざかる方向のベクトルとして判定することができず、その結果、滞在場所s12をトリップの出発地として判定することができない。ここでは、このような問題を解決することができる判定方法について説明する。
【0046】
トリップ特定部113は、まず、ベクトル判定方法例2と同様に、対象移動端末20の測位情報に含まれる複数の測位位置の間の移動のうち、通過判定線と交差する移動の起点の測位位置を第1の測位位置として、終点の測位位置を第2の測位位置としてそれぞれ特定する。そして、トリップ特定部113は、滞在場所情報取得部112により特定された移動端末20の複数の滞在場所のそれぞれについて、当該滞在場所から、第1の測位位置までの距離と、第2の測位位置までの距離との間の大小関係を用いて、第1のベクトル及び第2のベクトルを判定する。
【0047】
具体的には、まず、第1のベクトルを判定するために、トリップ特定部113は、滞在時刻が滞在場所s13(上記の第1の滞在場所)の滞在時刻以前の時間である滞在場所s11〜s13のそれぞれについて、滞在場所から第1の測位位置までの距離及び第2の測位位置までの距離をそれぞれ算出する。トリップ特定部113は、算出された滞在場所から第1の測位位置までの距離と第2の測位位置までの距離とを比較する。比較の結果、滞在場所から第1の測位位置までの距離よりも第2の測位位置までの距離の方が長い場合(例えば、滞在場所s12)、当該滞在場所を起点とし、次の滞在時刻の滞在場所(s13)を終点とするする移動の方向である第1のベクトルは、通過判定線に近づく方向であると判定する。また、比較の結果、滞在場所から第1の測位位置までの距離よりも第2の測位位置までの距離の方が短い場合(例えば、滞在場所s11)、当該滞在場所を起点とし、次の滞在時刻の滞在場所(s12)を終点とする移動の方向である第1のベクトルは、通過判定線から遠ざかるベクトルであると判定する。
【0048】
また、第2のベクトルを判定するために、トリップ特定部113は、滞在時刻が滞在場所s14(上記の第2の滞在場所)の滞在時刻以後の時間である滞在場所s14〜s16のそれぞれについて、滞在場所から第1の測位位置までの距離及び第2の測位位置までの距離をそれぞれ算出する。トリップ特定部113は、算出された滞在場所から第1の測位位置までの距離と第2の測位位置までの距離とを比較する。比較の結果、滞在場所から第1の測位位置までの距離よりも第2の測位位置までの距離の方が短い場合(例えば、滞在場所s15)、当該滞在場所を終点とし、1つ前の滞在場所(滞在場所s14)を起点とする移動の方向である第2のベクトルは、通過判定線から遠ざかる方向であると判定する。また、比較の結果、滞在場所から第1の測位位置までの距離よりも第2の測位位置までの距離の方が長い場合(例えば、滞在場所s16)、当該滞在場所を終点とし、滞在時刻が1つ前である滞在場所(s15)を起点とする移動の方向である第2のベクトルは、通過判定線に近づく方向であると判定する。
【0049】
以上のような判定を行うことによって、滞在時刻が連続する滞在場所間の移動において、通過判定線を通過してしまうような場合であっても、精度よく第1のベクトルと第2のベクトルを判定することができる。
【0050】
次に、
図7を参照して、サーバ装置10において実行される処理のフローを説明する。なお、以下に説明する処理フローに含まれる各処理ステップは、処理内容に矛盾を生じない範囲で、任意に順番を変更して又は並列に実行することができるとともに、各処理ステップ間に他のステップを追加してもよい。また、便宜上1ステップとして記載されているステップは、複数ステップに分けて実行することができる一方、便宜上複数ステップに分けて記載されているものは、1ステップとして把握することができる。また、各ステップの処理の実行は、制御部11の制御により行われる。なお、各ステップにおける処理の詳細は、既に説明しているため、ここでは省略する。
【0051】
まず、ステップS11において、制御部11は、データベース120に記憶された移動端末20の測位情報に基づいて、滞在場所を特定し、各移動端末20についての滞在時刻が連続する複数の滞在場所の情報を取得する。
【0052】
ステップS12において、制御部11は、対象移動端末20の滞在場所間の移動のうち、通過判定線と交差する移動における起点の滞在場所(第1の滞在場所)と終点の滞在場所(第2の滞在場所)とを特定する。また、制御部11は、第1の滞在場所の滞在時刻以前の時間である滞在場所について、当該滞在場所の間の移動の方向であるベクトル(第1のベクトル)を時間が遡る順に判定する。制御部11は、第2の滞在場所の滞在時刻以後の時間である滞在場所について、当該滞在場所の間の移動の方向であるベクトル(第2のベクトル)を時間が進む順に判定する。
【0053】
ステップS13において、制御部11は、第1のベクトルが通過判定線から遠ざかる方向であると最初に判定された移動の終点の滞在場所を出発地として特定する。また、制御部11は、第2のベクトルが通過判定線に近づく方向であると最初に判定された移動の起点の滞在場所を目的地として特定する。
【0054】
ステップS14において、制御部11は、特定された出発地と目的地との間の移動をトリップとして特定する。
【0055】
通常、1つの目的でのトリップは、出発地から目的地まで、ほぼ同じ方向に向かって進むと考えられる。従って、以上のように、滞在場所間の移動のベクトルを考慮したトリップの特定方法は、滞在場所における滞在時間の長さに応じて特定するような方法と比較して、より精度高くトリップを特定することができる。
【0056】
本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。