【実施例】
【0030】
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、添加部数は、固形分換算の値である。
【0031】
<実施例1>
(支持体の製作)
平均繊維径2.6μmのガラス繊維99.3質量部及び繊維状PVAバインダー(商品名:SPG056−11、クラレ社製)0.7質量部を配合し、パルパーにてpH3.0に調整した水中に離解後、抄紙機にて抄紙し、120℃の多筒式ドライヤーで乾燥して、目付質量63.8g/m
2の支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
得られた支持体を静電紡糸法シート製造装置(商品名:NUEナノファイバーエレクトロスピニングユニット、カトーテック社製)のターゲットドラムに設置した。次いで、分子量30万のポリアクリロニトリル樹脂をN,N‐ジメチルホルムアミド溶媒に溶解させ、該樹脂の固形分濃度が4.0質量%のポリマー溶液を得た。このポリマー溶液をノズルがセットされたシリンジに入れ、前記ターゲットドラムに設置した支持体上に静電紡糸を行い、目付質量1.2g/m
2のナノ繊維層を形成した。この時の静電紡糸条件は、紡糸環境湿度50%RH、溶液紡糸温度を25℃、印加電圧20kV、ターゲットドラム回転速度6m/分、ノズルーターゲット間距離15cmとした。こうして、支持体の一方の面に目付質量1.2g/m
2のナノ繊維層を設け、エアフィルタ用濾材を得た。
【0032】
<実施例2>
(支持体の製作)
実施例1と同様にして、目付質量63.8g/m
2の支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
紡糸溶液温度を28℃とした以外は実施例1と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
【0033】
<実施例3>
(支持体の製作)
実施例1と同様にして、目付質量63.8g/m
2の支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
分子量30万のポリアクリロニトリル樹脂をN,N‐ジメチルホルムアミド溶媒に溶解させ、該樹脂の固形分濃度が4.5質量%のポリマー溶液とし、紡糸環境湿度を50%RH、紡糸溶液温度を32℃とした以外は実施例1と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
【0034】
<実施例4>
(支持体の製作)
平均繊維径2.6μmのガラス繊維58質量部、平均繊維径5.5μmのガラス繊維41.3質量部及び繊維状PVAバインダー(商品名:SPG056−11、クラレ社製)0.7質量部を配合した以外は実施例1と同様にして、目付質量64.1g/m
2の支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
分子量30万のポリアクリロニトリル樹脂をN,N‐ジメチルホルムアミド溶媒に溶解させ、該樹脂の固形分濃度が3.5質量%のポリマー溶液とし、紡糸環境湿度を45%RH、紡糸溶液温度を29℃とした以外は実施例1と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
【0035】
<実施例5>
(支持体の製作)
実施例4と同様にして、目付質量64.1g/m
2の支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
分子量30万のポリアクリロニトリル樹脂をN,N‐ジメチルホルムアミド溶媒に溶解させ、該樹脂の固形分濃度が3.5質量%のポリマー溶液とし、紡糸環境湿度を45%RH、溶液紡糸温度を26℃とした以外は実施例1と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
【0036】
<実施例6>
(支持体の製作)
実施例4と同様にして、目付質量64.1g/m
2の基材を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
実施例2と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
【0037】
<実施例7>
(支持体の製作)
実施例4と同様にして、目付質量64.1g/m
2の支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
実施例1と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
【0038】
<実施例8>
(支持体の製作)
実施例4と同様にして、目付質量64.1g/m
2の支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
実施例3と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
【0039】
<実施例9>
(支持体の製作)
実施例4と同様にして、目付質量64.1g/m
2の支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
分子量30万のポリアクリロニトリル樹脂をN,N‐ジメチルホルムアミド溶媒に溶解させ、該樹脂の固形分濃度が4.5質量%のポリマー溶液とし、紡糸環境湿度を55%RH、紡糸溶液温度を32℃とした以外は実施例1と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
【0040】
<実施例10>
(支持体の製作)
平均繊維径2.6μmのガラス繊維20質量部、平均繊維径5.5μmのガラス繊維79.3質量部及び繊維状PVAバインダー(商品名:SPG056−11、クラレ社製)0.7質量部を配合した以外は実施例1と同様にして、目付質量63.8g/m
2の支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
実施例1と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
【0041】
<実施例11>
(支持体の製作)
実施例10と同様にして、目付質量63.8g/m
2の支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
実施例2と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
【0042】
<実施例12>
(支持体の製作)
実施例10と同様にして、目付質量63.8g/m
2の支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
実施例9と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
【0043】
<実施例13>
(支持体の製作)
実施例4と同様にして、目付質量64.1g/m
2の支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
支持体の一方の面に設けるナノ繊維層の目付質量を0.2g/m
2に変更した以外は、実施例2と同様にしてエアフィルタ用濾材を得た。
【0044】
<実施例14>
(支持体の製作)
実施例4と同様にして、目付質量64.1g/m
2の支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
支持体の一方の面に設けるナノ繊維層の目付質量を0.6g/m
2に変更した以外は、実施例2と同様にしてエアフィルタ用濾材を得た。
【0045】
<実施例15>
(支持体の製作)
実施例4と同様にして、目付質量64.1g/m
2の支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
支持体の一方の面に設けるナノ繊維層の目付質量を2.5g/m
2に変更した以外は、実施例2と同様にしてエアフィルタ用濾材を得た。
【0046】
<実施例16>
(支持体の製作)
平均繊維径0.65μmのガラス繊維30質量部、平均繊維径5.5μmのガラス繊維69.5質量部及び繊維状PVAバインダー(商品名:SPG056−11、クラレ社製)0.5質量部を配合した以外は実施例1と同様にして、目付質量27.5g/m
2の支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
実施例1と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
【0047】
<実施例17>
(支持体の製作)
平均繊維径0.65μmのガラス繊維17質量部、平均繊維径5.5μmのガラス繊維82.5質量部及び繊維状PVAバインダー(商品名:SPG056−11、クラレ社製)0.5質量部を配合した以外は実施例1と同様にして、目付質量27.6g/m
2の支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
実施例2と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
【0048】
<実施例18>
(支持体の製作)
平均繊維径2.6μmのガラス繊維99.5質量部及び繊維状PVAバインダー(商品名:SPG056−11、クラレ社製)0.5質量部を配合し、パルパーにてpH3.0に調整した水中に離解後、抄紙機にて抄紙し、120℃の多筒式ドライヤーで乾燥し、目付質量31.1g/m
2の支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
実施例2と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
【0049】
<実施例19>
(支持体の製作)
平均繊維径2.6μmのガラス繊維30質量部、平均繊維径5.5μmのガラス繊維30質量部及び平均繊維径9.0μmのチョップドガラス繊維40質量部を、パルパーにてpH3.0に調整した水中に離解後、抄紙機にて抄紙した。次いで、アクリルラテックス90質量部(商品名:ボンコートAN−155、DIC社製)及びフッ素系撥水剤(商品名:NKガードS−09、日華化学工業社製)10質量部の混合バインダー液に含浸し、エアーサクションにて余分なバインダー液の除去を行い、120℃の多筒式ドライヤーで乾燥し、目付質量70.6g/m
2の支持体を得た。混合バインダー液の固形分含浸量は支持体に対して5.5質量%であった。
(ナノ繊維構造体の製作)
実施例2と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
【0050】
<実施例20>
(支持体の製作)
平均繊維径0.65μmのガラス繊維5質量部、平均繊維径2.6μmのガラス繊維94.5質量部及び繊維状PVAバインダー(商品名:SPG056−11、クラレ社製)0.5質量部を配合し、パルパーにてpH3.0に調整した水中に離解後、抄紙機にて抄紙し、120℃の多筒式ドライヤーで乾燥し、目付質量27.3g/m
2の支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
実施例1と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
【0051】
<実施例21>
(支持体の製作)
実施例18と同様にして、目付質量31.1g/m
2の支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
支持体の一方の面に設けるナノ繊維層の目付質量を0.6g/m
2に変更した以外は、実施例2と同様にしてエアフィルタ用濾材を得た。このエアフィルタ用濾材を2枚製作した。
(重ね合わせシート製作)
得られた2枚のエアフィルタ用濾材を、ナノ繊維層/支持体層/ナノ繊維層/支持体層となるように貼り合せせずに重ね合わせ、ナノ繊維層の総目付質量が1.2g/m
2となる、重ね合わせ形態のエアフィルタ用濾材を得た。
【0052】
<実施例22>
(支持体の作製)
実施例4と同様にして、目付質量64.1g/m
2の支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
分子量15万のポリアクリロニトリル樹脂をN,N‐ジメチルホルムアミド溶媒に溶解させ、該樹脂の固形分濃度が5.5質量%のポリマー溶液とし、紡糸環境湿度を40%RH、紡糸溶液温度を29℃とした以外は実施例1と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
【0053】
<実施例23>
(支持体の製作)
実施例4と同様にして、目付質量64.1g/m
2の支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
分子量6万のポリアクリロニトリル樹脂をN,N‐ジメチルホルムアミド溶媒に溶解させ、該樹脂の固形分濃度が5.8質量%のポリマー溶液とし、紡糸環境湿度を70%RH、紡糸溶液温度を32℃とした以外は実施例1と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
【0054】
<実施例24>
(支持体の製作)
実施例4と同様にして、目付質量64.1g/m
2の支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
分子量7.5万のポリビニルアルコール(PVA)樹脂をN,N‐ジメチルホルムアミド溶媒に溶解させ、該樹脂の固形分濃度が8質量%のポリマー溶液とし、紡糸環境湿度を20%RH、紡糸溶液温度を30℃とし、支持体の一方の面に設けるナノ繊維層の目付質量を2.5g/m
2とした以外は実施例1と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
【0055】
<実施例25>
(支持体の製作)
平均繊維径0.65μmのガラス繊維10質量部、平均繊維径12.4μm、平均繊維長5mmのポリエステル繊維(商品名TT04N、帝人ファイバー社製)50質量部及び平均繊維径13.0μm、平均繊維長5mmの芯鞘複合型バインダー繊維(ポリエチレン/ポリエステル)(商品名:TJ04CN、帝人ファイバー社製)10質量部を配合し、パルパーにてpH3.0に調整した水中に離解後、抄紙機にて抄紙し、120℃の多筒式ドライヤーで乾燥して、目付質量91.3g/m
2の支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
実施例2と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
【0056】
<比較例1>
(支持体の製作)
実施例1において、平均繊維径0.65μmのガラス繊維50質量部、平均繊維径5.5μmのガラス繊維49.5質量部及び繊維状PVAバインダー(商品名:SPG056−11、クラレ社製)0.5質量部を使用した以外は実施例1と同様にして、目付質量27.4g/m
2の支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
実施例2と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
【0057】
<比較例2>
(支持体の製作)
実施例1同様にして、目付質量63.8g/m
2の支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
分子量30万のポリアクリロニトリル樹脂をN,N‐ジメチルホルムアミド溶媒に溶解させ、該樹脂の固形分濃度が4.0質量%のポリマー溶液とし、紡糸環境湿度を50%RH、紡糸溶液温度を22℃とした以外は実施例1と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
【0058】
<比較例3>
(支持体の製作)
実施例1同様にして、目付質量63.8g/m
2の支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
分子量30万のポリアクリロニトリル樹脂をN,N‐ジメチルホルムアミド溶媒に溶解させ、該樹脂の固形分濃度が4.5質量%のポリマー溶液とし、紡糸環境湿度を50%RH、紡糸溶液温度を34℃とした以外は実施例1と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
【0059】
<比較例4>
(支持体の製作)
実施例4と同様にして、目付質量64.1g/m
2の支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
比較例2と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
【0060】
<比較例5>
(支持体の製作)
実施例4と同様にして、目付質量64.1g/m
2の基材を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
分子量30万のポリアクリロニトリル樹脂をN,N‐ジメチルホルムアミド溶媒に溶解させ、該樹脂の固形分濃度が4.5質量%のポリマー溶液とし、紡糸環境湿度を55%RH、紡糸溶液温度を34℃とした以外は実施例1と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
【0061】
<比較例6>
(支持体の製作)
実施例4と同様にして、目付質量64.1g/m
2の支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
分子量30万のポリアクリロニトリル樹脂をN,N‐ジメチルホルムアミド溶媒に溶解させ、該樹脂の固形分濃度が4.5質量%のポリマー溶液とし、紡糸環境湿度を65%RH、紡糸溶液温度を32℃とした以外は実施例1と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
【0062】
<比較例7>
(支持体の製作)
実施例10と同様にして、目付質量63.8g/m
2の支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
比較例2と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
【0063】
<比較例8>
(支持体の製作)
実施例10と同様にして、目付質量63.8g/m
2の基材を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
比較例3と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
【0064】
<比較例9>
(支持体の製作)
平均繊維径2.6μmのガラス繊維8質量部、平均繊維径5.5μmのガラス繊維91.3質量部及び繊維状PVAバインダー(商品名:SPG056−11、クラレ社製)0.7質量部を使用した以外は実施例1と同様にして、目付質量64.5g/m
2の支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
実施例2と同様にして、エアフィルタ用濾材を得た。
【0065】
<比較例10>
(支持体の製作)
実施例4と同様にして、目付質量64.1g/m
2の支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
支持体の一方の面に設けるナノ繊維層の目付質量を0.1g/m
2に変更した以外は、実施例2と同様にしてエアフィルタ用濾材を得た。
【0066】
<比較例11>
(支持体の製作)
実施例4と同様にして、目付質量64.1g/m
2の支持体を得た。
(ナノ繊維構造体の製作)
支持体の一方の面に設けるナノ繊維層の目付質量を3.0g/m
2に変更した以外は、実施例2と同様にしてエアフィルタ用濾材を得た。
【0067】
各実施例及び比較例で得られたエアフィルタ用濾材の評価結果を表1に示す。表1中の評価は、以下の方法で行った。なお、各評価を行う前に、次に示す方法によりエアフィルタ用濾材の除電処理を行った。
<除電処理>
「換気用エアフィルタユニット・換気用電気集じん器の性能試験方法」に記載された除電処理である「(2)IPA飽和蒸気曝露法」に準拠して除電処理を行った。
【0068】
<支持体の平均孔径>
パームポロメータ−(Porous Materials社製 Automated Perm Porometer)にて支持体の孔の直径を測定し平均孔径を求めた。
【0069】
<ナノ繊維層の目付質量>
支持体とナノ繊維層との合計目付質量から支持体だけの目付質量を引き、その差の値をナノ繊維層目付質量とした。
【0070】
<ナノ繊維の平均繊維径>
電界放出型走査電子顕微鏡写真を用いて、エアフィルタ用濾材のナノ繊維層側の表面を倍率15000倍〜20000倍で観察し、視野をずらした4箇所について観察画像を得た。このとき、観察画像中に節状の塊を有する繊維が含まれないようにした。ここでは、繊維が画像外で連続しているか否かを問わず、画像中に現れている繊維の一端又は両端が画像のいずれかの辺に接している場合は、繊維が画像のいずれかの辺に接している部分で途切れているものとみなした。得られた4枚の観察画像について、すべての繊維の繊維径を計測した。計測した値を大きい順に並べて、上位5%、下位5%となる値を除き、残った値の平均値を求め、平均繊維径とした。
【0071】
<圧力損失>
圧力損失は、有効面積100cm
2のエアフィルタ用濾材に面風速5.3cm/secで通風したときの差圧について、微差圧計を用いて測定した。
【0072】
<0.3μm透過率>
ラスキンノズルで発生させた多分散DOP粒子を含む空気を、有効面積100cm
2のエアフィルタ用濾材に面風速5.3cm/secで通風したときの上流及び下流の個数比からDOP透過率を、レーザーパーティクルカウンター(型番:KC−18、リオン社製)を使用して測定した。なお、測定対象粒子径0.3μm単分散は粒子径0.3−0.4μmと0.4−0.5μmのDOP透過率の幾何平均を0.3μm単分散の透過率とした。DOP捕集効率は、100−(DOP透過率)の式から求めた。また、上流側のDOP発生濃度は、0.1μm以下で約1×10
9個/ft
3とした。
【0073】
<0.3μmPF値>
濾紙のフィルタ性能の指標となるPF値は、<圧力損失>と<0.3μm透過率>の測定に基づき、数1の式より求めた。PF値が高いほど、同一圧力損失で高捕集効率であることを示す。0.3μPF値が20以上を実用レベル、0.3μPF値が20未満を実用不適レベルとした。
【0074】
<ナノ繊維層の密度>
レーザー顕微鏡(キーエンス社製、VK‐9000)を用いてナノ繊維層の厚さを測定し、ナノ繊維層の目付質量を、ナノ繊維層の厚さで除した値をナノ繊維層の密度とした。
【0075】
【表1】
【0076】
表1からも明らかなように、実施例1〜25で得られたエアフィルタ用濾材は、0.3μmPF値が20以上であり、エアフィルタ用濾材としての性能を満足できるものであった。これに対し、比較例1〜11で得られたエアフィルタ用濾材は、0.3μmPF値が20未満であり、エアフィルタ用濾材としての性能を満足できるものではなかった。
【0077】
また、実施例2、6、11、21乃至23で得られたエアフィルタ用濾材と、比較例1、9で得られたエアフィルタ用濾材の対比において、ナノ繊維層の密度、ナノ繊維平均繊維径及びナノ繊維層の目付質量は同等であるにもかかわらず、支持体の平均孔径が15〜35μmである実施例2、6、11、21乃至23が、0.3μmPF値が20以上となり、支持体の平均孔径が15μmより小さい比較例1、及び支持体の平均孔径が35μmより大きい比較例9は、0.3μmPF値が20未満となった。これにより、支持体の平均孔径を15〜35μmとすることで0.3μmPF値が向上することがわかる。
【0078】
また、比較例3、5、8で得られたエアフィルタ用濾材は、ナノ繊維層の密度が0.015g/cm
3未満であったため、ナノ繊維層の強度が低く、支持体からナノ繊維層が剥がれてしまう問題があり、圧力損失及び0.3μm透過率を測定することができず、0.3μmPF値を求めることができなかった。また、ナノ繊維層の密度が0.045g/cm
3より大きい比較例2、4、7で得られたエアフィルタ用濾材は0.3μmPF値が20未満となった。これにより、ナノ繊維層の密度は0.015〜0.045g/cm
3とすることで0.3μmPF値が向上することがわかる。
【0079】
また、比較例10で得られたエアフィルタ用濾材は、ナノ繊維層の目付質量が0.2g/m
2より小さかったため、支持体上のナノ繊維の絶対数が少なく、0.3μmPF値がエアフィルタ用濾材の測定箇所によりバラツキが大きくなったため、エアフィルタ用濾材として信頼性にかけるものとなった。また、比較例11で得られたエアフィルタ用濾材は、ナノ繊維層の目付質量が2.5g/m
2より大きいため、圧力損失が高くなりすぎ、0.3μmPF値が低下した。これより、ナノ繊維層の目付質量は0.2〜2.5g/m
2の範囲が最適であることがわかる。
【0080】
また、ナノ繊維の平均繊維径が250nmより大きくなった比較例6で得られたエアフィルタ用濾材は、捕集に必要な表面積が不足し、その結果0.3μmPF値が低下した。これにより、ナノ繊維の平均繊維径は250nm以下が最適であることがわかる。
【0081】
<参考評価1(支持体の平均孔径と支持体の目付量との関係)>
支持体の平均孔径と支持体の目付量との関係を確認した。
【0082】
(支持体の製作)
平均繊維径2.6μmのガラス繊維(以降、繊維1という。)100質量部を、パルパーにてpH3.0に調整した水中に離解後、抄紙機にて抄紙し、120℃の多筒式ドライヤーで乾燥して、目付質量63.3g/m
2、50.2g/m
2、36.5g/m
2、27.0g/m
2、17.7g/m
2の支持体をそれぞれ得た。各支持体について、平均孔径を測定した。支持体の平均孔径と支持体の目付量との関係を表2に示す。
【0083】
【表2】
【0084】
表2に示すように、支持体の平均孔径は、支持体の目付質量を小さくするほど大きくなり、支持体の目付質量を大きくするほど小さくなることが確認できた。
【0085】
<参考評価2(支持体の平均孔径と主体繊維の平均繊維径との関係)>
支持体の平均孔径と主体繊維の平均繊維径との関係を確認した。
【0086】
(支持体の製作)
繊維1に加えて、更に平均繊維径が0.65μmのガラス繊維(以降、繊維2という。)及び平均繊維径が5.5μmのガラス繊維(以降、繊維3という。)の中から、適宜配合し、パルパーにてpH3.0に調整した水中に離解後、抄紙機にて抄紙し、120℃の多筒式ドライヤーで乾燥して支持体を作製した。各支持体について、平均孔径を測定した。繊維1〜繊維3の配合率、支持体の目付量及び支持体の平均孔径を表3に示す。
【0087】
【表3】
【0088】
表3に示すように、支持体の平均孔径は、繊維径の大きい繊維(繊維3)を多く配合するほど大きくなり、繊維径の小さい繊維(繊維2)を多く配合するほど小さくなることが確認できた。参考評価1,2では、一例としてガラス繊維を用いて確認したが、他の繊維についても同様の傾向が見られる。