特許第6158159号(P6158159)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6158159
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】規制的制約下における無線高電力伝送
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/12 20160101AFI20170626BHJP
   H02J 50/90 20160101ALI20170626BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20170626BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20170626BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20170626BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20170626BHJP
【FI】
   H02J50/12
   H02J50/90
   H02J7/00 301D
   H02J7/00 P
   B60M7/00 X
   B60L5/00 B
   B60L11/18 C
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-220676(P2014-220676)
(22)【出願日】2014年10月29日
(62)【分割の表示】特願2013-153933(P2013-153933)の分割
【原出願日】2009年7月8日
(65)【公開番号】特開2015-65805(P2015-65805A)
(43)【公開日】2015年4月9日
【審査請求日】2014年11月28日
(31)【優先権主張番号】61/078,812
(32)【優先日】2008年7月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/498,159
(32)【優先日】2009年7月6日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】595020643
【氏名又は名称】クゥアルコム・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】ニゲル・クック
(72)【発明者】
【氏名】ハンズペーター・ウィドマー
(72)【発明者】
【氏名】ルカス・シエベル
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・オールレッド
【審査官】 松尾 俊介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−120357(JP,A)
【文献】 特開平10−322247(JP,A)
【文献】 特開2006−345588(JP,A)
【文献】 特開平08−033112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00 − 50/90
H02J 7/00 − 7/12
H02J 7/34 − 7/36
B60L 5/00
B60M 7/00
B60L 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線電力のための受信機システムであって、
第1の周波数で共振する送信アンテナから伝送される無線電力を受信するように構成された受信アンテナと、前記受信アンテナは、前記第1の周波数で磁気的に共振するコイルとキャパシタを具備し、前記受信アンテナは車両に備えられ、
前記受信アンテナが、前記送信アンテナと共軸配列されることが可能な位置に、前記車両を案内するように構成される案内制御器と、
位置調整制御器と、
を備え、前記位置調整制御器は、
前記受信アンテナが前記送信アンテナと共軸配列されるように、前記送信アンテナに対して、前記受信アンテナのx−y位置を調整し、
前記受信アンテナと共軸配列される前記送信アンテナを検出し、
前記送信アンテナとの近接結合を達成するために、前記受信アンテナを前記送信アンテナに対して昇降させるように構成される、
受信機システム。
【請求項2】
前記位置調整制御器は、前記受信アンテナの前記x−y位置を調整するように構成されるx−yアライメント制御器、および前記受信アンテナを前記送信アンテナに向けて昇降するように構成される垂直アライメント制御器を具備する、請求項1に記載の受信機システム。
【請求項3】
前記案内制御器は、前記受信アンテナと前記送信アンテナとの前記磁気的共振結合の程度に基づき前記位置前記車両を案内するための案内情報を提供するようにさらに構成される、請求項2記載の受信機システム。
【請求項4】
磁気的に誘起された信号を前記受信アンテナから受信かつ前記信号から電力を生成する回路構成を更に具備する、請求項1に記載の受信機システム。
【請求項5】
無線電力を受信するための方法であって、
第1の周波数で共振する、共振受信アンテナにより、前記第1の周波数で共振する送信アンテナからエネルギーを受信することと、前記共振受信アンテナは車両に備えられ、
前記共振受信アンテナが前記送信アンテナと共軸配列されることが可能な位置に、前記車両を案内することと、
前記共振受信アンテナが前記送信アンテナと共軸配列されるように、前記送信アンテナに対して、前記共振受信アンテナのx−y位置を調整することと、
前記共振受信アンテナと共軸配列される前記送信アンテナを検出することと、
前記送信アンテナへの近接結合を達成するために、前記共振受信アンテナを、前記送信アンテナに対して昇降させることと、
を備える、無線電力を受信するための方法。
【請求項6】
x−yアライメント制御器により、前記共振受信アンテナの前記x−y位置が調整され
垂直アライメント制御器により、前記共振受信アンテナが前記送信アンテナに向けて昇降される、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記車両を案内することは、案内制御器により、前記共振受信アンテナの気的共振結合の程度に基づき前記位置に車両を案内するための案内情報を提供することを備る、請求項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[35U.S.C.§119に基づく優先権の主張]
本特許出願は、2008年7月8日に提出され、本出願の譲受人に譲渡され、そして、本出願における参照としてここに明確に組み込まれた、“WIRELESS HIGH POWER TRANSFER UNDER REGULATORY CONSTRAINTS”と題する米国特許仮出願番号第61/078,812号に優先権を主張する。
【0002】
我々の先行出願はアンテナ間における電力の磁気的共振伝送について記述している。該アンテナは容量性負荷を与えられたワイヤ・ループで良く又は多重巻コイルでも良い。これ等は磁界を介して1次構造(送信機)から遠方に位置する2次構造(受信機)へエネルギーを効率的に結合する共振アンテナを形成する。1次側2次側共に共通の共振周波数に同調される。
【0003】
我々の先行出願は無線電力の大きな課題が人体安全に対する電磁干渉と電磁波被曝であるとして記述している。磁場結合を介するエネルギー伝送は特定された諸H場限界によって主に制約されることがある。これ等の諸限界に関するコンプライアンスは放射構造からの所定の距離、例えば10m、においてテストされうる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1図1は無線電力伝送システムの単純化されたブロック図を示す。
図2図2は無線電力伝送システムのより詳細なブロック図を示す。
図3図3は本発明の例示的実施形態での使用のためのループ・アンテナの概略図を示す。
図4図4は1次側および2次側に対して使用される同様な寸法の2つの円板型コイルを示す。
図5図5は近接結合を達成するために2次側が如何に位置を下げられるかを示す。
図6図6は、両コイルが共軸のとき、車両が如何に充電されるかを示す。
図7図7は案内システムによって制御される車両を例示する。
図8図8は2次側のx−yオフセット制御による微細アライメント調整を示す。
図9図9は1次側のx−yオフセット制御による微細アライメント調整を示す。
図10図10は1次側コイルの配列の上方における2次側のx−yオフセット制御による微細アライメント調整を示す。
【詳細な説明】
【0005】
用語“例示的な(exemplary)”は、ここにおいては“例、事例、または実例としての役割を果たす”ことを意味するように使用される。ここにおいて“例示的な”と記載される何れの実施形態も、他の実施形態に対して、好適あるいは有利であるとは必ずしも解釈されるものではない。
【0006】
添付図面に関連して下記で記述される詳細な説明は、本発明の例示的実施形態の説明として意図され、本発明が実行されることが出来る唯1つの実施形態を表すことを目的としていない。詳細な説明は、本発明の例示的実施形態の完全な理解を提供するための具体的な詳細を含む。本発明の例示的実施形態がこれらの具体的な詳細がなくても実行されることが出来ることは当業者等には明らかであろう。ある複数の事例では、本明細書で提示される例示的実施形態の新規性を曖昧にすることを回避するために、周知の構造および装置がブロック図の形式で図示される。
【0007】
用語“無線電力(Wireless Power)”は、ここにおいては、電場、磁場、電磁場、或いは物理的な電磁導体の使用を行わずに送信機から受信機へ伝達されるその他の場、に関連付けられる任意の形態のエネルギーを意味するために使用される。
【0008】
図1は、本発明の種々の例示的実施形態による無線伝送または充電システム100を例示する。入力電力102は、エネルギー伝送を提供するために、放射場106を生成するための送信機104に供給される。受信機108は該放射場106に結合され、そして、出力電力110に結合される装置(図示されない)による蓄電または消費のために出力電力110を生成する。送信機104と受信機108の両者は距離112だけ隔てられている。1つの例示的実施形態では、送信機104と受信機108は相互共振関係に従って構成される。受信機108の共振周波数と送信機104の共振周波数が同一の場合、送信機104と受信機108間の伝送損失は、受信機108が放射場106の“近接場(near−field)”に位置するとき、最小になる。
【0009】
送信機104はエネルギー伝送のための手段を提供するための送信アンテナ114を更に含み、そして、受信機108はエネルギー受信のための手段を提供するための受信アンテナ118を更に含む。送信アンテナと受信アンテナはそれ等に関連付けられるべき用途と装置に従う大きさに作られる。先述のように、効率的エネルギー伝送は、大部分のエネルギーを電磁波で遠方場に伝播することではなく、送信アンテナの近接場のエネルギーの大きな部分を受信アンテナに結合することによって行われる。結合モードは、この近接場にある場合に、送信アンテナ114と受信アンテナ118間に発現され得る。この近接場結合が生じることが出来るアンテナ114と118周辺の領域は、ここでは結合モード領域と呼ばれる。
【0010】
図2は無線電力伝送システムの単純化された略図を示す。送信機104は、発振器122、電力増幅器124、フィルタ及び整合回路126を含む。発振器122は、13.5MHzのような所望の周波数を生成するように構成され、該周波数は調整信号123に応答して調整されることが出来る。代替案では、LF周波数、例えば、135Khzを使用する。発振器の信号は、制御信号125に応じた増幅量に従って、電力増幅器124によって増幅されることが出来る。フィルタ及び整合回路126は、高調波またはその他無用の周波数をフィルタで除去して送信機104のインピーダンスを送信アンテナ114に整合させるために、含まれることが出来る。
【0011】
受信機108は、整合回路132と整流器およびスイッチング回路134を含むことが出来て、図2に示されるようにバッテリー136を充電するために直流電力出力を生成する、或いは、該受信機に結合された装置(図示されてない)に電力を供給する。整合回路132は受信機108のインピーダンスを受信アンテナ118に整合させるために含まれることが出来る。
【0012】
図3に例示されるように、例示的実施形態で使用されるアンテナは“ループ(loop)”アンテナ150として構成されることが出来て、該アンテナ150は、ここでは“磁気的(magnetic)”アンテナと呼ばれることもある。ループアンテナは、空心またはフェライト・コアのような物理的コアを含むように構成されることが出来る。フェライト・コアを用いることは無関係な外部物体の影響を減少させることが出来る。しかしながら、フェライト・コアは有効にするにはある一定の長さを必要とすることがあり、このことは車両で使用される場合困難であり得る。中空円板コイルは車への集積にとって、及び、地中への埋め込みにとって、より適切であると考えられる。LFフェライトはアンテナ周辺の金属部品に渦電流を発生させる場を防止するための磁気シールドとして使用されることが出来る。
【0013】
効率は他の装置をコア領域の外部に置くことによって改良されることが出来る。
【0014】
空心ループ・アンテナはコアの近傍に置かれる無関係な外部の物理装置に対しより寛容であると言える。その上、空心ループ・アンテナは該コア域内への他のコンポーネントの設置を許容する。更に、空心ループ・アンテナは受信アンテナ118(図2)の、送信アンテナ114(図2)の結合モード領域がより強力であり得る送信アンテナ114(図2)の面内への、配置をより容易に可能にすることが出来る。
【0015】
先述のように、送信機104と受信機108との間のエネルギーの効率的伝送は、送信機104と受信機108との間の整合された又はほぼ整合された共振の期間に行われる。しかしながら、例え送信機104と受信機108との間の共振が整合されていなくても、エネルギーはより低い効率で伝送されることが出来る。エネルギーの伝送は、該エネルギーを送信アンテナから自由空間へと伝播させるのではなく、送信アンテナの近接場から、この近接場が確立している該近傍領域に存在する、受信アンテナへエネルギーを結合することによって行われる。
【0016】
ループ或いは磁気的アンテナの共振周波数は、インダクタンスとキャパシタンスに基づく。ループ・アンテナにおけるインダクタンスは一般に単に該ループによって生成されるインダクタンスであり、他方、キャパシタンスは一般に、所望の共振周波数における共振構造を形成するために、該ループ・アンテナのインダクタンスに付加される。非限定的な例として、キャパシタ152とキャパシタ154が、共振信号156を生成する共振回路を形成するために、該アンテナに付加されることが出来る。従って、より大きな直径のループ・アンテナに対しては、共振を誘起するために必要とされるキャパシタンスの大きさは該ループの直径またはインダクタンスが増大するに従って減少する。その上、ループ或いは磁気的アンテナの直径が増大するに従って、該近接場の有効エネルギー伝送域が増大する。無論、他の共振回路が可能である。別の非限定的例として、ループ・アンテナの2つの端末の間にキャパシタが並列に配置されることが出来る。更に、送信アンテナでは、共振信号156がループ・アンテナ150への入力であってもよいことを当業者は認識するであろう。
【0017】
本発明の例示的実施形態は、互いの近接場中にある2つのアンテナ間で電力を結合すること含む。先述のように、近接場は、そこに電磁場は存在するがアンテナから外へ伝播あるいは放射するとは言えないアンテナ周辺の領域である。該電磁場は一般的には該アンテナの物理的体積と同程度である体積に限定される。本発明の例示的実施形態では、単巻あるいは多重巻ループ・アンテナのような磁界型アンテナが送信(Tx)アンテナ・システム及び受信(Rx)アンテナ・システム双方に対して使用されるが、その理由は、磁界型アンテナに対する磁界近接場は、電界型アンテナ(例えば、小さな双極アンテナ)の電界近接場と比較して、より高くなる傾向があるからである。このことは送受信ペアの間の潜在的により高い結合を可能にする。その上、“電界(electric)”アンテナ(例えば、双極および単極)或いは磁界アンテナと電界アンテナの組合せも又考えられる。
【0018】
Txアンテナは、前述の遠方場と誘導的手法によって許容されるよりもかなり大きな距離にある小さなRxアンテナへの良好な結合(例えば、>−4dB)を達成するために十分低い周波数で、及び該良好な結合を達成するために十分大きなアンテナの大きさで、動作されることが出来る。もしTxアンテナが正しい大きさにされるならば、駆動されるTxループ・アンテナの結合モード領域内に(即ち、近接場に)主装置上のRxアンテナが配置される場合、高い結合レベル(例えば、−2〜−4dB)が達成されることが出来る。
【0019】
前述の手法は、CDMA、WCDMA(登録商標)、OFDM等々のような種々の通信規格に適用可能であることが注意されるべきである。当業者等は情報と信号は任意の種々の異なる基本技術と応用技術を使用して表されることが出来ることを理解する。例えば、上述の説明全体に亘って参照されることが出来る、データ、指示、命令、情報、信号、ビット、シンボル、及び、チップは、電圧、電流、電磁波、磁場又は磁性粒子、光学的場又は光学粒子,或はこれ等の任意の組合せ、により表されることが可能である。
【0020】
本発明の例示的実施形態は下記を対象とする(即ち、含む)。
【0021】
共振充電は、同一寸法のコイルに対してより少ない発熱とより良い効率があるから、最良の充電法であると本発明者等は考えている。従って、本例示的実施形態では、磁気的に結合されたシステムについて記述する。
【0022】
1つの例示的実施形態では、最大伝送可能電力は、放射構造の寸法(コイルの直径)と、1次側と2次側との間の結合率と、1次側および2次側のQファクタ(Q-factor)とに依存するということが理論的に示されうる。
【0023】
寸法と結合率は放射レベルに強い影響を有して、距離と最大伝送可能電力を制限する。このことは、伝送される電力が一定に保たれる場合、両コイルを囲む磁場に蓄えられる無効エネルギーの大きさは、もし2次側が1次側から除去され従って結合がより弱くなると、急増するという事実の故に、信じられる。
【0024】
改良されたQファクタはより高い伝送効率とより低い放射レベルをもたらし、従って、より高い伝送可能電力を可能にする。
【0025】
結合率と最大伝送可能電力との関係を明示するために、2つの同等な円形コイルから形成される仮想的なエネルギー伝送システムが例示的実施形態のために仮定される。1次側2次側双方とも、適切なキャパシタを使用して、135kHzでの共振のために同調される。共振回路のコイル・パラメータとQファクタは表1に列挙される。これは例示的実施形態で使用されることが出来るコイルの具体例と考えられることが出来る。
【表1】
【0026】
135kHzにおいて及び所与のコイル面積に対して適用可能なH場の強度制限は10mの距離で57dBuA/mである、欧州規格EN300330(短距離装置)を参照。
【0027】
表2は、結果として得られた1次コイルのr.m.s.電流とr.m.s.電圧を示す。表2は、1次コイル上の数千ボルトの電圧を示し、従って、両コイル内の高電圧を明示する。このことは、電力/熱放散および耐電圧に関して挑戦的であり得る。
【表2】
【0028】
表2は、実際にはいわゆるメディアン距離(median distance)を示し、該距離はコイルの中央から中央までの距離であり、また該距離は例示的実施形態の1cm厚のコイルに対する距離である。従って、該コイルの表面間の実際の距離はcmで表わした表2の距離マイナス1cmである。それ故、表2における距離1cmは0に近い値であって、コイル間の可能な最小距離である。
【0029】
バッテリー電気自動車(battery electric vehicle)すなわち“BEV”は限られたドライブ半径しかサポートしないことが知られている。例示的実施形態はBEVを再充電するための無線解決策を説明する。
【0030】
図4に例示されている一例示的実施形態は、1次側すなわち送信機400及び2次側すなわち受信機450を構成する。該1次側と該2次側のそれぞれは同様な寸法の円板状コイルを使用する。1次コイル410は、径方向幅が軸方向幅より大きい、円板状コイルまたは‘パンケーキ(pan cake)’コイルである。該コイルは、高電力を処理するように、そして、供給される結果として生じる高い交流電圧と電流、例えば、表2に記載された電圧電流、を支えるように、寸法を与えられる。一例示的実施形態では、受信コイル460は送信コイルと同じ寸法と特性を有する。コイルは絶縁されたリッツ線から構成されることも可能である。
【0031】
放射場を最小にするために、コイル径は出来る限り小さくすべきである。しかしながら、1つの例示的実施形態では、コイルは高電力を処理するために、及び、車載用では一般的に存在するある相対的な位置決め誤差に備えるために、十分な程度の大きさであるべきである。
【0032】
動作周波数での共振は、コイルと直列に適切な値の高Qキャパシタを付加することによって達成される。図4は送信コイル410と直列にキャパシタ415を示し、そして、受信コイル460と直列にキャパシタ465を示す。1つの例示的実施形態では、両キャパシタは表2に記載された高交流電圧に耐えるような寸法を与えられる。
【0033】
1つの例示的実施形態では、車両に充電電力を搬送する1次コイル310は、車両上の2次コイル360がありそうな場所に対応する位置において、駐車場の土中に完全に埋め込まれることが出来る。1次コイルを地中に設置することによって、該コイルはより高い電圧、例えば220V又は440V、により動作させられることが出来る。該コイルは、異なる寸法と長さの諸車両が、1次側と2次側が共軸配列されるとき、適切に駐車されるように、配置される。図5図6は、BEV500がコイルを昇降することを制御する昇降機構510を搭載されたコイル360を有する場合の、配置を示す。
【0034】
動作は車両500内のプロセッサ520によって制御されることが出来る。一旦両コイルが共軸配列されて1次側が検出されると、2次側460は、図5に示されるように、下降させられて1次側410への近接結合を達成する。次に、該プロセッサは1次側410と2次側460との間の電力伝送の結合と効率を検査するための諸初期試験を制御することが出来る。該諸試験はリンクを適応させるために利用されることが出来る。電力伝送はこれらの試験が首尾よく完了すると開始することが出来る。
【0035】
別の例示的実施形態では、x−y微細位置調整制御に加えて、z軸制御が存在し得る。
【0036】
図6は、車両500が任意のスペース600、610、620に如何に駐車できるかを例示する。これ等のスペースのそれぞれは、該車両を充電するために利用されることが出来る、埋め込まれて電圧印加された1次コイルを有する。
【0037】
図7における1つの例示的実施形態は、車両を精確に位置決めするために、運転者を支援する案内システム700(又は、自動運転車両の場合は自動操縦装置)を使用することが出来る。該案内システムは低周波帯または高周波帯を使用する無線位置決め原理に依拠する。例えば、一例示的実施形態は1次側410と2次側460との間の結合の程度を感知することが出来る。結合の大きさは、例えば、一次側から車両が受信する電力によって検出されることが出来る。案内システムは該程度を示す出力、例えば、音またはディスプレイ、を提供することが出来る。
【0038】
車載のサブシステムは、図8に示される別の例示的実施形態において、2次コイルのためのx−yオフセット制御800を更に提供することが出来る。該案内システムは単に粗位置調整のみのために使用され、他方、該x−yオフセット制御は、両コイル間のより良好な結合を可能にするために、微細なアライメント(fine alignment)を調整する。
【0039】
その代わりに若しくは更に、図9の例示的実施形態はアライメント制御900を一次側のサブシステムの一部として規定する。これは1次コイル410を動かすx−yオフセット制御を提供することが出来る。
【0040】
図10において示されている別の例示的実施形態では、単一のコイルの代わりに、一次コイルの配列699が使用される。該配列は密に詰め込まれたコイル700、701、702、703、704を含む。この例示的実施形態は5個のこのようなコイルを示すけれども、例えば、3コイルと15コイルの間の任意の個数が使用されることが出来る。
【0041】
充電制御器710はスイッチ・ボックス(switch box)720によって複数コイルのそれぞれに接続される。2次側への結合を試験することによって、充電制御器710は2次側160に最も近い、配列699内の1次コイルを選択する。更に、該2次側は又、他の例示的実施形態におけるようにBEVのx−yオフセット制御を使用して、最も近い該1次側にアライン(aligned)されうる。1つの例示的実施形態では、一旦リンクが確立されると、唯1つの1次側のみが無線充電に対してアクティブになる。他の全ての1次側は非アクティブにされる。この例示的実施形態は、2次側の位置に合わせるためにこれ等の1次側の微細移動を可能にすることによって、該1次側のx−y制御を利用することも出来る。
【0042】
別の例示的実施形態は、1次側を運搬する、そして車両の下を2次側の位置に向かって自動的に移動する、ロボット車両を説明する。
【0043】
別の例示的実施形態は、人が車両に出入りするときを検出するために使用されることが出来る人体存在検出器を具備する。これは、例えば、該車両の近傍の種々の位置に配置された215のような赤外センサを使用する赤外検出システムを使用することが出来る。該赤外検出システムが人を表す可能性のあるタイプの熱を検出すると、該システムは人の存在を示す信号を出力する。1つの例示的実施形態では、人の検出は充電を終了させる。これは、磁気的充電が他の場合には健康に有害であるというある種の恐れを軽減する。
【0044】
別の例示的実施形態は、場の強度、例えば、FCC場強度を自動的に検出して該値を自動的にFFC限界以下に保持する回路を含むことが出来る。
【0045】
当業者は、ここにおいて開示された諸実施形態と関連して説明された種々の例示的な論理ブロック、モジュール、回路、及びアルゴリズム・ステップはエレクトロニック・ハードウェア、コンピュータ・ソフトウェア、或は両者の組合せとして実装されることが可能であることをさらに認識するであろう。ハードウェアとソフトウェアのこの交換可能性を明確に説明するために、種々の例示的なコンポーネント、ブロック、モジュール、回路、及びステップは上記において一般にそれ等の機能性を表す言葉で説明された。このような機能性がハードウェアとしてインプリメントされるか或はソフトウェアとしてインプリメントされるかは、システム全体に課される特別な応用上及び設計上の制約に依存する。当業者は、説明された機能性を個々の特別な応用に対して種々の方法でインプリメントすることが出来るが、そのようなインプリメンテーション上の解決は、本発明の例示的実施形態の範囲からの逸脱をもたらすとして解釈されるべきではない。
【0046】
本明細書中で開示された諸実施形態と関連して説明された種々の例示的な論理ブロック、モジュール、及び回路は、汎用目的のプロセッサ、デジタル信号処理装置(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)若しくは他のプログラム可能な論理デバイス、ディスクリート・ゲート若しくはトランジスタ論理、ディスクリート・ハードウェア・コンポーネント、又は本明細書に記載された諸機能を実行するために設計されたそれ等の任意の組合せ、を用いて実現又は実行されることが出来る。汎用目的のプロセッサはマイクロプロセッサであって良い、しかし、その代わりに、該プロセッサは任意の通常のプロセッサ、制御器、マイクロ制御器、又は状態マシンであって良い。プロセッサは又、計算する装置の組合せ、例えば、DSPとマイクロプロセッサの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと結合された1又は複数のマイクロプロセッサ、或は任意の他のこのような構成、として実現されることも可能である。
【0047】
ここにおいて開示された実施形態に関連して説明された方法もしくはアルゴリズムのステップは、直接ハードウェアにおいて、プロセッサにより遂行されるソフトウェア・モジュールにおいて、又は両者の組合せにおいて、具体化されることが可能である。ソフトウェア・モジュールは、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、フラッシュ・メモリ、読み出し専用メモリ(ROM)、電気的プログラム可能ROM(EPROM)、電気的消去可能プログラム可能ROM(EEPROM)、レジスタ、ハード・ディスク、リムーバブル・ディスク、CD−ROM、或は当業者には公知の他の任意の形式の記憶媒体内に常駐することが出来る。ある例示的な記憶媒体はプロセッサに結合され、従って該プロセッサは、該記憶媒体から情報を読み、該記憶媒体に情報を書くことが出来る。それに代わって、記憶媒体はプロセッサと一体になることも出来る。プロセッサと記憶媒体はASICの中に常駐することが可能である。該ASICは利用者端末中に常駐することが出来る。それに代わって、プロセッサと記憶媒体は利用者端末中で個別的コンポーネントとして常駐することが可能である。
【0048】
1つ又は複数の例示的実施形態では、説明された諸機能はハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれ等の任意の組合せにおいてインプリメントされることが出来る。ソフトウェアでインプリメントされる場合には、該諸機能は、コンピュータ可読媒体上の1又は複数の命令もしくはコードとして、記憶されるか或いは伝送されることが出来る。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体と、1つの場所から別の場所へのコンピュータ・プログラムの伝送に資する任意の媒体を含む、通信媒体の双方を含む。記憶媒体はコンピュータによってアクセスされることが出来る任意の入手可能な媒体であることが出来る。限定としてではなく実例として、そのようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROM若しくは他の光学ディスク・ストレージ、磁気ディスク・ストレージ若しくは他の磁気記憶装置、或いは、所望のプログラム・コードを命令もしくはデータ構造の形式で搬送もしくは記憶するために使用されることが出来る及びコンピュータによってアクセスされることが出来る、任意の他の媒体を含むことが出来る。又、任意の接続は適切にコンピュータ可読媒体と呼ばれる。例えば、もしソフトウェアがウェブサイト、サーバ、又は、他の遠隔情報源から、同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、ツイスト・ペア、デジタル加入者線(DSL)、又は、赤外線、無線波およびマイクロ波のような無線技術を使用して、伝送されるならば、その場合、該同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、ツイスト・ペア、DSL、又は、赤外線、無線波およびマイクロ波のような無線技術は、媒体の定義中に含まれる。本明細書で使用される、ディスク(disk及びdisc)は、コンパクト・ディスク(CD)、レーザ・ディスク、光学ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)・ディスク及びブルーレイ・ディスクを含み、ここにdiskは通常データを磁気的に再生するが、他方、discはデータをレーザを用いて光学的に再生する。上記の組合せも又コンピュータ可読媒体の範囲の中に含まれるべきである。
【0049】
開示された例示的実施形態についての上記説明は、当業者の誰もが本発明を実施する又は使用することを可能にするために提供される。これ等の例示的実施形態への様々な修正は、当業者には容易に明らかであり、そしてここにおいて明確にされた包括的な諸原理は、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、他の実施形態にも適用可能である。かくして、本発明は、ここにおいて示される実施形態に限定されることを意図されるのではなく、ここにおいて開示された諸原理及び新規な特徴と整合した最も広い範囲を認容されるべきである。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
無線電力のための送信機システムであって、
第1の周波数で集合的に磁気的に共振する誘導素子とキャパシタから構成される1次アンテナを具備し、前記1次アンテナは地中に埋め込まれ、そして、2次アンテナへの前記磁気共振の結合を検出しかつ前記結合を改良するために前記1次アンテナのアライメントを自動的に調整する位置調整制御器を含む、
送信機システム。
[C2]
前記第1の周波数は135kHzである、C1に記載のシステム。
[C3]
前記1次アンテナはその軸方向幅より大きな径方向幅を有するコイルであるC2に記載のシステム。
[C4]
前記1次アンテナは、互いに密に詰められそして所期の駐車スペースの特定の領域に拡がるアンテナの配列を含む、C1に記載のシステム。
[C5]
充電制御システムを更に具備し、前記充電制御システムは前記第1の周波数で磁気的に共振する信号であって前記1次アンテナに出力されるとき遠隔の2次アンテナに電力を伝送するタイプの信号を生成する、C4に記載のシステム。
[C6]
前記充電制御システムは前記配列の前記複数のコイルの内の1つを選択する、C5のシステム。
[C7]
スイッチング装置を更に具備し、前記スイッチング装置は前記信号を前記選択されたコイルにのみ送り、他のコイルには何らの信号も送らない、C6に記載のシステム。
[C8]
充電制御システムを更に具備し、前記充電制御システムは前記第1の周波数で磁気的に共振する信号であって前記1次アンテナに出力されるとき遠隔の2次アンテナに電力を伝送するタイプの信号を生成する、C1に記載のシステム。
[C9]
前記位置調整制御はxおよびy位置を変更する、C1に記載のシステム。
[C10]
無線電力のための送信機システムであって、
配列を構成して互いに密に詰められた複数の1次コイルを具備し、前記1次コイルのそれぞれは前記1次コイルを第1周波数で実質的な磁気的共振に至らしめるキャパシタを含み、1次コイルの前記配列は地中領域に埋め込まれる、
送信機システム。
[C11]
充電制御システムを更に具備し、前記システムは前記第1の周波数で磁気的に共振する信号であって前記複数のコイルの内の1つに出力されるとき遠隔の2次コイルに電力を伝送するタイプの信号を生成する、C10に記載の送信機システム。
[C12]
前記第1の周波数は135kHzである、C11に記載のシステム。
[C13]
スイッチング構成を更に具備し、前記スイッチング構成は前記出力信号を前記配列内の前記複数のコイルの内の任意のコイルに切り替える、C11に記載のシステム。
[C14]
検出システムを更に具備し、前記検出システムは前記複数のコイルの内の何れが最良の結合を有するかを検出して、前記検出を前記スイッチング構成を制御するために使用する、C13に記載のシステム。
[C15]
無線電力のための受信機システムであって、
第1周波数で集合的に磁気的に共振するコイルとキャパシタから構成される受信アンテナ、及び
結合された磁気共振の検出に基づいて、前記受信アンテナを昇降させる前記受信アンテナのための昇降装置
を具備する、受信機システム。
[C16]
x−yアライメント制御器を更に具備し、前記アライメント制御器は1次アンテナとより良好にアラインさせるために前記受信アンテナをx方向とy方向に動かすことによって前記受信アンテナを自動的にアライメント調整する、C15に記載の受信機。
[C17]
案内制御器を更に具備し、前記案内制御器は、前記受信アンテナが送信1次アンテナとより良好にアラインされる位置に車両を案内するための案内情報を自動的に提供する、C15に記載の受信機。
[C18]
磁気的に誘起された信号を前記受信アンテナから受信かつ前記信号から電力を生成する回路構成を更に具備する、C15に記載の受信機システム。
[C19]
前記回路構成は135kHzで共振する、C18に記載の受信機システム。
[C20]
前記受信アンテナと前記昇降装置はバッテリーで作動される車両の一部である、C15に記載の受信機システム。
[C21]
無線電力のための受信機システムであって、
電力に基づいて動作する車両、
前記車両内で構成され、第1周波数で集合的に磁気的に共振し、そして前記車両を駆動する出力を生成するために接続されるコイルとキャパシタから構成される受信コイル、及び
前記1次コイルとの結合を改良するために前記受信コイルを動かすように自動的に調整される前記受信コイルのアライメント制御器
を具備する、受信機システム。
[C22]
前記受信コイルのための昇降装置を更に具備し、前記昇降装置は、1次コイルからの磁気的結合の検出に自動的に基づいて、前記受信コイルを昇降させる、C21に記載の受信機。
[C23]
案内制御器を更に具備し、前記案内制御器は、前記受信コイルが前記1次コイルと粗くアラインされる粗位置に前記車両を案内するための案内情報を自動的に提供する、C21に記載の受信機。
[C24]
磁気的に誘起された信号を前記受信コイルから受信して前記信号から電力を生成し、そして前記車両を動かすために前記電力を使用する回路構成を更に具備する、C21に記載の受信機。
[C25]
前記回路構成は135kHzで共振する、C18に記載の受信機。
[C26]
前記アライメント制御はx−yアライメントである、C21に記載の受信機。
[C27]
バッテリー式車両において電力を磁気的に受信すること、及び
磁気的結合を検出することに応答して、車両システムへの電力の結合を改良するために前記車両において動作を行なうこと
を具備する方法。
[C28]
前記動作を行うことは、前記車両中の受信アンテナを微細に位置調整することを具備する、C27に記載の方法。
[C29]
前記動作を行うことは、粗位置調整を実行するために前記車両中の案内システムを利用することを具備する、C27に記載の方法。
[C30]
前記動作を行うことは、前記受信アンテナを1次アンテナに接近させるために前記受信アンテナを下降させることを具備する、C27に記載の方法。
[C31]
バッテリー式車両において電力を磁気的に受信すること、及び
磁気的結合を検出することに応答して、磁気的結合を改良するために前記車両を移動させる無線位置調整原理に依拠する案内システムを利用すること
を具備する方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10