特許第6158189号(P6158189)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6158189
(24)【登録日】2017年6月16日
(45)【発行日】2017年7月5日
(54)【発明の名称】JAK2の突然変異解析
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20170626BHJP
   C12Q 1/68 20060101ALI20170626BHJP
【FI】
   C12N15/00 AZNA
   C12Q1/68 A
【請求項の数】13
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-532472(P2014-532472)
(86)(22)【出願日】2012年9月25日
(65)【公表番号】特表2014-528721(P2014-528721A)
(43)【公表日】2014年10月30日
(86)【国際出願番号】GB2012052366
(87)【国際公開番号】WO2013045908
(87)【国際公開日】20130404
【審査請求日】2015年9月7日
(31)【優先権主張番号】1116876.2
(32)【優先日】2011年9月30日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】511207039
【氏名又は名称】エピスタム リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】コブ、 ベン
【審査官】 伊藤 良子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/106899(WO,A1)
【文献】 特表2008−517613(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/011297(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/001969(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/067373(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−15/90
C12Q 1/68
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1の突然変異型アリルと野生型アリルとを有するJAK2遺伝子中の座位について、野生型アリルの欠如を検出する方法であって、
a) 以下のものを含む反応混合物を提供する工程:
i) JAK2遺伝子の少なくとも一部分を提供する核酸を含む試料;
ii) 前記野生型アリルにハイブリダイズする融解温度(Tm)よりも低いTmにおいて前記突然変異型アリルにハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブ;
iii) 核酸増幅のための一対のオリゴヌクレオチドプライマーであって、前記オリゴヌクレオチドプローブの結合部位の両側にある第1の部位および第2の部位において前記試料中の核酸にハイブリダイズし、ここで、プライマー対試料のTmはプローブ対突然変異型アリルのTmよりも高い、プライマー;
b) 前記プローブが、前記野生型アリルに優先的にハイブリダイズするように、前記反応混合物を、プローブ対突然変異型アリルのTmとプローブ対野生型アリルのTmとの間の温度に維持する工程、
c) 前記反応混合物について、融解段階、アニーリング段階、および伸長段階を含む熱サイクリング増幅を実行し、ここで、前記伸長段階およびアニーリング段階の温度は、これらの段階の際に前記プローブが前記野生型アリルにハイブリダイズするように、プローブ対突然変異型アリルのTmとプローブ対野生型アリルのTmとの間とされ、それによって前記突然変異型アリルを増幅する工程;ならびに
d) プローブ対突然変異型アリルのTm以下の温度にて、前記試料に対する前記プローブのハイブリダイゼーションを検出し、プローブ対野生型アリルのTm以下の温度における、より高い温度にて、前記試料に対する前記プローブのハイブリダイゼーションを検出し、これら2つを比較し、それによって前記野生型アリルの存在または欠如を検出する工程
を含み、
プローブが結合に関してプライマーと競合してプライマーの結合を妨げ鎖伸長を妨げるように、前記プライマーの片方または両方は前記プローブの結合部位とオーバーラップしている、
方法。
【請求項2】
工程a)のi)において試料により提供されるJAK2遺伝子の前記一部分は、配列番号4により示されるJAK2遺伝子の第2343ヌクレオチドを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記突然変異型アリルは、第2343ヌクレオチドにおける突然変異である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記野生型がG2343であるのに対し、前記突然変異型はT2343である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記プローブは、第2343ヌクレオチドと、第618アミノ酸残基における突然変異を検出することができるために十分な追加的ヌクレオチドとを包含するように設計される、請求項2〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記プローブは、第2343ヌクレオチドを包含する、請求項2〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記オリゴヌクレオチドプローブは、少なくとも15ヌクレオチドの長さである、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記オリゴヌクレオチドプローブは、TTT AAA TTA TGG AGT ATG TGT CTG TGG AGA(配列番号1)なる配列からなる、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記プライマーは、少なくとも50ヌクレオチドの長さである、JAK2配列の一部分を増幅する、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記プライマーの少なくとも1つが、TCT TTG AAG CAG CAA GTA TGA TGA(配列番号2;センスプライマー)もしくはGCA TTA GAA AGC CTG TAG TTT TAC TT(配列番号3;アンチセンスプライマー)なるヌクレオチド配列からなる、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記プライマーが、TCT TTG AAG CAG CAA GTA TGA TGA(配列番号2;センスプライマー)およびGCA TTA GAA AGC CTG TAG TTT TAC TT(配列番号3;アンチセンスプライマー)なるヌクレオチド配列からなる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記プローブが標識される、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記標識は、前記プローブが標的鎖にハイブリダイズしている(すなわち、プローブが二重鎖核酸の一部となっている)か、あるいはハイブリダイズしていない(プローブが一本鎖である)かに依存して差次的なシグナルを生じる、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺伝学的突然変異、特にJAK2遺伝子における一塩基多型(SNP)を解析するための方法に関する。本発明のいくつかの側面は、そのような突然変異の解析に使用される核酸プローブおよびプライマーにも関する。
【背景技術】
【0002】
ヤヌスキナーゼ2(一般的にはJAK2と呼ばれる)は、II型サイトカイン受容体ファミリー(例えばインターフェロン受容体)、GM-CSF受容体ファミリー(IL-3R、IL-5R、およびGM-CSF-R)、gp130受容体ファミリー(例えばIL-6R)、および単鎖受容体(例えばEpo-R、Tpo-R、GH-R、PRL-R)の構成員によるシグナル伝達に関連付けられているヒトタンパク質である。JAK2シグナル伝達は、プロラクチン受容体の下流において活性化される。JAK2中の突然変異は、真性多血症、本態性血小板血症、およびその他の骨髄増殖性疾患に関連付けられている。第617位におけるバリンからフェニルアラニンへの変化というこの突然変異は、エリスロポエチンおよびトロンボポエチンのような成長因子に対する造血細胞の感受性を高めると見られる。
【0003】
真性多血症(赤血病、あるいは原発性赤血球増加症としても知られる)は、骨髄が赤血球を多く作りすぎる血液障害である。これは、白血球および血小板の過剰産生ももたらし得る。真性多血症に関連する健康上の懸念のほとんどは、赤血球の増加の結果として血液が濃くなることにより引き起こされるものである。これは高齢者においてより一般的であり、症候性または無症候性であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
真性多血症の診断のための迅速かつシンプルな検査を提供することは有益である。
【0005】
米国特許第7,429,456号は、JAK2におけるバリンからフェニルアラニンへの突然変異(V617F)の同定を記述しており、その突然変異の存在を検出するための検査を記述している。米国特許第7,429,456号の配列番号1は、ヒトJAK2のV617F型のアミノ酸配列を提示しており、米国特許第7,429,456号の配列番号2は、そのアミノ酸配列をコードする核酸配列を提示している(この遺伝子配列突然変異はG1849Tと呼ばれる)。NCBI登録番号NM 004972にてこのタンパク質の野生型も参照される。この特許において記述される診断検査は、核酸配列の第1849位における突然変異したTヌクレオチドを包含する核酸プローブを利用する。この突然変異の存在は、第1849位に隣接する領域のPCR増幅と、それに続く、T1849ヌクレオチドを含むプローブとのハイブリダイゼーションによって検出される。ハイブリダイゼーションが生じるならば、その突然変異が存在する。あるいは、PCRプライマーを突然変異配列に合わせ、突然変異型が選択的に増幅されるようにすることもできる。JAK2のmRNA配列(配列番号4)を本願の図1に示す。G1849の位置は、図1の配列番号4の第2343ヌクレオチドに対応する。このようなアッセイは特定の突然変異に特異的である。
【0006】
代替的な診断検査を提供することは有用である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願人の同時係属中の特許出願GB 1100150.0は、突然変異型配列の優先的増幅に基づいて、標的遺伝子におけるSNPを検出および解析するための方法を記述している。二本鎖DNAの融解温度(Tm)は、塩基対ハイブリダイゼーションの程度に依存する。プローブと標的配列との間に(例えばSNPの存在により)ミスマッチがある場合には、ミスマッチが無い場合と比べてTmは異なってくる。GB 1100150.0に記述された方法は、標的配列の隣接領域に対するPCRプライマーと、野生型または突然変異型配列のどちらかに優先的にハイブリダイズする阻止プローブとの組合せの使用を含むものである。このプローブは、阻止すべき配列(例えば野生型配列)に結合する場合に、増幅すべき配列(例えば突然変異型配列)に結合する場合よりも低いTmを有するように設計される。増幅は、そのプローブが、阻止すべき配列にはハイブリダイズするが増幅すべき配列にはハイブリダイズしない温度において実行され、従って、その他方の配列のみが増幅される。それから、同じプローブを使用して、増幅配列の存在を検出し、増幅配列対非増幅配列の相対比を検出することができる。
【0008】
本発明は、関連する方法を、JAK2における突然変異の検出に応用する。
【0009】
本発明の第1の側面によれば、少なくとも第1の突然変異型アリルと野生型アリルとを有するJAK2遺伝子中の座位について、野生型アリルの欠如を検出する方法が提供され、その方法は、
a) 以下のものを含む反応混合物を提供する工程:
i) JAK2遺伝子の少なくとも一部分を提供する核酸を含む試料;
ii) 前記野生型アリルにハイブリダイズする融解温度(Tm)よりも低いTmにおいて前記突然変異型アリルにハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブ;
iii) 核酸増幅のための一対のオリゴヌクレオチドプライマーであって、前記オリゴヌクレオチドプローブの結合部位の両側にある第1の部位および第2の部位において前記試料中の核酸にハイブリダイズし、ここで、プライマー対試料のTmはプローブ対突然変異型アリルのTmよりも高い、プライマー;
b) 前記プローブが、前記野生型アリルに優先的にハイブリダイズするように、前記反応混合物を、プローブ対突然変異型アリルのTmとプローブ対野生型アリルのTmとの間の温度に維持する工程、
c) 前記反応混合物について、融解段階、アニーリング段階、および伸長段階を含む熱サイクリング増幅を実行し、ここで、前記伸長段階およびアニーリング段階の温度は、これらの段階の際に前記プローブが前記野生型アリルにハイブリダイズするように、プローブ対突然変異型アリルのTmとプローブ対野生型アリルのTmとの間とされ、それによって前記突然変異型アリルを増幅する工程;ならびに
d) プローブ対突然変異型アリルのTm以下の温度にて、前記試料に対する前記プローブのハイブリダイゼーションを検出し、プローブ対野生型アリルのTm以下の温度における、より高い温度にて、前記試料に対する前記プローブのハイブリダイゼーションを検出し、これら2つを比較し、それによって前記野生型アリルの存在または欠如を検出する工程
を含む。
【0010】
このようにして、本発明は、第2の野生型アリルと比較して、第1の突然変異型アリルの方が優先的に増幅されることを可能とする。増幅の際に阻止プローブとして作用したその同じプローブが、検出段階において使用され得る。これは著しく手順を単純化する。本発明の一つの鍵となる特徴は、使用されるプローブが野生型アリルの存在または欠如を検出するということである。すなわち、もし野生型アリルが存在するならば、それは検出されるが、もしそれが欠如しているならば、それは検出されない。いかなる突然変異型配列であっても優先的に増幅され、従って、その突然変異が比較的稀少である場合(例えば、試料中の少数の細胞にのみ存在する場合)であっても、野生型配列の相対的コピー数が減少される。突然変異が存在する場合は、より低い温度において、突然変異型の検出と比較して野生型の検出が減少する。この方法は、何らかの特定の突然変異アリルの検出に縛られるものではなく、従って、1つの突然変異アリルに特異的なプローブの使用に依存する代替的方法よりも柔軟性がある。
【0011】
伸長段階およびアニーリング段階は、同じ温度において実行され得ることから、組み合わせることができる。
【0012】
好ましくは、工程a)のi)において試料により提供されるJAK2遺伝子の一部分は、JAK2遺伝子の第2343ヌクレオチドを包含する(図1に示されている配列番号4を参照して定義される第2343ヌクレオチド)。突然変異アリルは、好ましくは第2343ヌクレオチドにおける突然変異である。好ましい一実施態様では、野生型がG2343であるのに対し、突然変異型はT2343である。これはV617F突然変異に対応する。
【0013】
しかしながら、本発明は、V617F突然変異についての使用に限定されない。例えば、プローブは、第2343ヌクレオチドと、第618アミノ酸残基における突然変異(例えば稀なC618F突然変異)に関して差次的Tmを有することができる十分な追加的ヌクレオチドとを包含するように設計され得る。これはヌクレオチド置換G2347Tに対応する。本発明は、プローブの野生型配列への結合と突然変異型配列への結合との間の差次的Tmに依存するので、突然変異型配列のアイデンティティーは重要ではない。
【0014】
好ましい実施態様において、プローブは第2343ヌクレオチドを包含する。プローブは好ましくは、野生型残基G2343に対応するヌクレオチドを含む。これに対するミスマッチは、より低いTmをもたらす。
【0015】
オリゴヌクレオチドプローブは、好ましくは、少なくとも15、20、25、26、27、28、29、30ヌクレオチドの長さである。
【0016】
特に好ましいオリゴヌクレオチドプローブは、TTT AAA TTA TGG AGT ATG TGT CTG TGG AGA(配列番号1)という配列を含むか、またはこの配列からなる。この配列は、図1に示されているJAK2配列の第2324〜2353ヌクレオチドに対応する(プローブ結合領域には下線が引かれている)。
【0017】
プライマーは、好ましくは、少なくとも50、60、70、80、90、100ヌクレオチドの長さである、JAK2配列の一部分を増幅する。好ましいプライマーとしては、TCT TTG AAG CAG CAA GTA TGA TGA(配列番号2;センスプライマー)およびGCA TTA GAA AGC CTG TAG TTT TAC TT(配列番号3;アンチセンスプライマー)が含まれる。これらは112ヌクレオチドの長さの増幅産物を提供する。
【0018】
伸長段階およびアニーリング段階の温度は同じであってもよいが(その場合は、組み合わされた伸長-アニーリング段階が使用され得る)、好ましくは異なる温度である。融解段階の温度は、プライマー対試料のTmおよびプローブ対野生型アリルのTmの温度よりも高くし得る。しかしながらそのことは必須ではない。例えば、プライマー対試料のTmはプローブ対野生型アリルのTmよりも低くてもよく、その場合は、融解段階はそれら2つの値の間の温度であり得、従って事実上プローブは増幅反応全体を通して野生型アリルにハイブリダイズしたままであり続けることになる。
【0019】
伸長段階のあいだ、オリゴヌクレオチドプローブは、野生型アリルにハイブリダイズしたままであり続ける。これはその同じ核酸にハイブリダイズしたプライマーの鎖伸長を妨げ、その一方で、突然変異型アリルにハイブリダイズしたプライマーは、プローブがそのアリルにはハイブリダイズしていないことから、自由に鎖伸長を受ける。このようにして、突然変異型アリルが優先的に増幅される。後述するように、いくつかの実施態様では、片方または両方のプライマーをプローブ結合部位とオーバーラップさせて、結合に関してプローブがプライマーと競合するようにし得る。これはプライマーの結合を妨げ、ひいては鎖伸長を妨げることができる。他の(好ましい)実施態様では、プライマーとプローブはオーバーラップしないが、プライマーはさらなる鎖伸長を妨げる。
【0020】
座位は、複数アリル座位であり得る。すなわち、その座位には、可能なアリルが2つより多くある。そのような状況では、1つのアリルを野生型アリルと呼ぶことができ、それ以外のものは突然変異型アリルである。プローブは、プローブ対野生型アリルのTmがプローブ対突然変異型アリルのTmのいずれよりも高いように、好ましくは選択される。本方法は、存在する突然変異型アリルのいずれかを優先的に増幅するように使用することができる。これは、体細胞突然変異を調査することに本方法を使用する場合に特に有益である(体細胞突然変異では、異なる細胞系統においていくつかの異なる突然変異が存在し得る)。好ましい実施態様では、プローブ対アリルの可能な組合せのそれぞれのTmが異なる。好ましくは、Tmは少なくとも0.25℃異なり、より好ましくは少なくとも0.5℃、最も好ましくは少なくとも0.75℃異なる。これにより、各アリル間で微細な区別をすることが可能となる。例えば、もし4つのアリルが存在し、2つだけを増幅しようとするならば、プローブが他の2つのアリルにハイブリダイズするように、伸長温度を適切なレベルに設定することができる。
【0021】
プローブは、標的アリルの1つの鎖と、好ましくは実質的に、そしてより好ましくは完全に、相補的である。プローブは、野生型アリルの1つの鎖と完全に相補的であり得る。突然変異型アリルは、1つ以上の点突然変異(一塩基多型、SNP)によって、第2のアリルの配列から異なり得る。突然変異型アリルが(例えば異なるコドンにおいて)複数のSNPを含むこともあり得る。複数のSNPを含む可能性のある突然変異型アリルを優先的に増幅することが可能であることは、本方法の有利な点の1つである。あるいは、突然変異型アリルは、1つ以上の欠失によって野生型アリルの配列から異なり得る。
【0022】
プローブは好ましくはDNAである。
【0023】
突然変異型および野生型のアリル間の配列の違いは、好ましくは、プローブが結合する領域の内部にある。すなわち、プローブと突然変異型アリルとの間のミスマッチはプローブの端には位置しない。
【0024】
プローブは標識され得る。例えば、プローブは、蛍光もしくは放射性の標識を含むことができ、または、二次的なプローブが結合し得るリガンドで標識され得る。好ましくは、プローブは、蛍光標識で標識され、そして同じく好ましくは、その標識は、プローブが標的鎖にハイブリダイズしているか(すなわち、プローブが二重鎖核酸の一部となっているか)していないか(プローブが一本鎖であるか)によって差次的なシグナルを生じる。1つの好ましいプローブはハイビーコン(HyBeacon)(登録商標)プローブである(例えば、Mol Cell Probes. 2002 Oct;16(5):319-26, “Ultra-rapid DNA analysis using HyBeacon probes and direct PCR amplification from saliva”, French DJ, Archard CL, Andersen MT, McDowell DGを参照)。差次的なシグナルの生成は、プローブが標的に結合したか否かの簡易で迅速な分析を可能とする。
【0025】
ハイブリダイズしたプローブ分子を検出する工程は、増幅混合物中の突然変異型アリルおよび野生型アリルの相対量の定量化をさらに含み得る。本発明のいくつかの実施態様では、検出工程は、増幅工程の後だけでなくその前にも実行され得る。好ましい一実施態様では、突然変異型アリル対野生型アリルの比は、プローブ対突然変異型アリルのTm以下である第1の温度にて反応混合物を維持すること;ハイブリダイズしたプローブ分子を検出すること;反応混合物を、プローブ対突然変異型アリルのTmより高いがプローブ対野生型アリルのTm以下である第2の温度に上昇させること;ハイブリダイズしたプローブ分子を検出すること、によって測定され得る。より低い第1の温度においては、プローブは突然変異型と野生型の両方のアリルにハイブリダイズするのに対し、より高い第2の温度においては、プローブは野生型アリルだけにハイブリダイズする。
【0026】
座位が複数アリル性である場合は、検出工程は、反応混合物を1つ以上の中間温度に上昇させること、および、各々の中間温度においてハイブリダイズしたプローブ分子を検出することをさらに含み得る。これは、各々のプローブ対アリルの組合せが異なるTmを有する場合に特に好ましい。本発明のこの実施態様は、単一の実験において複数別個の突然変異アリルを増幅することおよび定量化することの両方を可能とする。
【0027】
プライマーは、好ましくは、プローブが結合する領域の外の領域において結合する。すなわち、第1のプライマーはプローブ標的の3’側に結合し、第2のプライマーはプローブ標的の5’側に結合する(プライマーは二重鎖DNAの別々の鎖に結合することを考慮に入れる)。プライマーが鎖伸長を受ける際に、結合したプローブによってこの伸長が阻止され、従って鎖が増幅できなくなる。いくつかの実施態様では、プライマーは、プローブが結合する領域に隣接して結合し得、あるいは、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のヌクレオチドに渡ってプローブとオーバーラップさえし得るが、ただしこれは好ましくはない。いうまでもなく、2つのプライマーが異なる程度においてプローブ標的とオーバーラップしてもよいし、あるいは、1つがオーバーラップしていてもう1つはオーバーラップしていなくてもよい。プローブとプライマーとがオーバーラップする場合は、プローブは(好ましくはプライマーの3’末端において)結合に関してプライマーと競合し、このようにして伸長を妨げる。
【0028】
本発明の好ましい実施態様では、増幅反応はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である。いくつかの実施態様では、プライマーが異なる濃度で提供され得る。好ましくは、プライマーのうちの1つが律速的な量において提供され、増幅反応は非対称PCRである。非対称PCRでは、律速的プライマーが使い果たされて他方のプライマーだけが鎖伸長開始のために利用可能となるので、2つの標的DNA鎖のうちの1つが優先的に増幅される。優先的増幅の対象となる1つの鎖は、センス鎖またはアンチセンス鎖のどちらであってもよい。好ましくは、優先的に増幅される鎖は、プローブと相補的な鎖である。特に好ましい一実施態様では、プライマーは上述した配列番号2および3であって、過剰量プライマーは20μl反応液あたり12.5 pMolのリバースプライマーであり、律速量プライマーは20μl反応液あたり1.5 pMolのフォワードプライマーであり、プローブは20μl反応液あたり3 pMolである非対称PCRが実施される。
【0029】
本発明はまた、配列番号1のヌクレオチド配列を含むかまたはこの配列からなる、オリゴヌクレオチドプローブを提供する。プローブは好ましくはDNAである。プローブは、1つ以上の付随する標識をさらに含み得る。その標識は、好ましくは、配列の1つ以上のヌクレオチドに付随する蛍光標識である。標識は、プローブが標的配列と共に二重鎖となっているかまたは一本鎖であるかに依存して差次的なシグナルを生じるように選択され得る。
【0030】
上述したプローブ配列番号1により認識される標的配列の増幅を可能とするように選択されたプライマー配列も提供される。このプライマーは、配列番号2または配列番号3のヌクレオチド配列からなるかまたはこの配列を含み得る。好ましい一実施態様において、本発明は、配列番号2のヌクレオチド配列からなるかまたはこの配列を含む第1のプライマーと、配列番号3のヌクレオチド配列からなるかまたはこの配列を含む第2のプライマーとを有するプライマー対を提供する。
【0031】
本発明は、JAK2遺伝子における突然変異を検出するためのキットをさらに提供することができ、そのキットは、配列番号2のヌクレオチド配列からなるかまたはこの配列を含む第1のプライマーと、配列番号3のヌクレオチド配列からなるかまたはこの配列を含む第2のプライマーとを有するプライマー対;および、配列番号1のヌクレオチド配列を含むかまたはこの配列からなるプローブを含む。このキットは、使用説明書、ならびに/または、核酸の増幅および/もしくは検出を実施するために必要な追加的試薬を任意で含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、野生型JAK2遺伝子についてのヌクレオチド配列(配列番号4)を示す。
図2図2は、本発明のプライマーおよびプローブの配列、ならびに増幅産物の詳細を示す。
図3図3は、V617F突然変異型標的(Tmがより低い、左側の曲線)に対する、および野生型標的(Tmがより高い、右側の曲線)に対するプローブの融解曲線を示す。
図4図4は、JAK2遺伝子において、配列番号1のプローブが覆う領域中に同定された突然変異を示す。
図5図5は、同じ領域における様々な突然変異を列記する。
図6図6は、本アッセイによる野生型試料および野生型・V617F型混合試料の融解曲線の例を示す。
図7図7は、解析に使用された熱サイクリング工程を示す。
図8図8は、ライトサイクラー(LightCycler)を用いたジーンドライブ(Genedrive)アッセイ解析に使用された熱サイクリング工程を示す。
図9図9は、ライトサイクラーを用いたイプソジェン(Ipsogen) JAK2 V617Fミュータクォント(MutaQuant)キット解析に使用された熱サイクリング工程を示す。
図10図10は、既知の標準および対照を用いた図9のアッセイの例示的結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、JAK2遺伝子における突然変異(例えばV617F突然変異)を、野生型配列の存在または欠如を検出することにより間接的に検出することができる方法を提供する。本発明は、単一のプローブを、ブロッカー(野生型アリルの増幅を妨げるもの)およびレポーター(野生型アリルの存在を報告するもの)の両方として使用する。さらに、プローブは、単一の実験によって単一座位中の複数の異なるアリル(例えば、相違するSNP)を検出することに使用することができる。この方法は、例えばSNPだけでなく挿入または欠失のような突然変異を検出することに使用することができる。
【0034】
本明細書に提示する方法は、ハイビーコン(登録商標)プローブ(これは、プローブが一本鎖であるか二本鎖であるかに依存して差次的なレポーターシグナルを提供するものである)および非対称PCR(標的配列の1つの鎖を優先的に増幅する)を利用する。この方法の典型的な感度は、1〜5コピーの突然変異型アリル、そして5%超のSNP対野生型比である。1つのプライマーセットおよびプローブを使用した単一アッセイが、その同じプローブ配列内の複数のSNPを検出することができる。
【実施例】
【0035】
実施例1:JAK2
野生型JAK2のmRNA配列(配列番号4)の配列を図1に示す。第2343残基はハイライト表示している。
【0036】
図2は、フォワードプライマーおよびリバースプライマーの配列、ならびに、野生型JAK2に結合させるためのプローブの配列を示す。
【0037】
JAK2のV617F突然変異は、核酸配列におけるG2343T突然変異によりもたらされる。プローブは、この突然変異を包含する領域に結合する。この突然変異(実際のところは、この配列中の他のいかなる突然変異であってもよい)が存在する場合には、ハイブリダイズしたプローブのTmが低下する。
【0038】
見てわかるように、プローブ配列は、対象となる野生型標的配列と完全に相補的であり、可能な突然変異型配列のそれぞれと比べると1つのミスマッチ塩基を有する。ミスマッチは、プローブのいずれかの端部にあるのではなくて、プローブの内部にある。このプローブはハイビーコン(登録商標)プローブであり、プローブが二重鎖中にある場合には一本鎖形態の場合と比べて発光を改変する、1対のフルオロフォアを有している。
【0039】
このJAK2領域を含有するDNAの試料を、12.5 pMolの過剰(フォワード)プライマー、1.5 pMolの律速(リバース)プライマー、および3 pMolのプローブを使用して、20μlの総反応体積中で増幅する。サイクリング条件は以下の通りである。

95℃ 5分間 ゲノムDNA変性

95℃ 5秒間 }
53℃ 5秒間 } 40xサイクル
72℃ 5秒間 }

0.1℃/秒、45℃〜75℃におけるエンドポイント融解曲線解析
【0040】
増幅後、反応産物に係る融解曲線を解析し、野生型配列が存在するか否かを決定する。
【0041】
図3は、プローブ対V617F突然変異型標的(より低いTmを有する左側の曲線)およびプローブ対野生型標的(より高いTmを有する右側の曲線)についての融解曲線を示している。単一のプローブを使用してこれら2つの型が明確に区別可能であることが明らかであろう。野生型産物の欠如下では、シフトした融解曲線が得られる。この方法は、V617F突然変異だけでなく、プローブ領域内のあらゆる突然変異の検出を可能とする。
【0042】
図4は、JAK2遺伝子において、配列番号1のプローブが覆う領域中に同定された突然変異を示している。この図は第1830〜1864ヌクレオチドを表していることに留意すべきであり、これは配列番号4の第2324〜2358ヌクレオチドに対応する。図5は、同じ領域における様々な突然変異を列記している。本方法は、配列番号1のプローブを使用して、これらの突然変異のいずれの存在であっても同定することができると考えられる。
【0043】
本明細書に記述される増幅法は、非対称PCRを使用し、これは標的DNAの1つの鎖を優先的に増幅するものである。通常のPCRの場合と同じように標準的な熱サイクリングが実施されるが、1つのプライマー(律速プライマー)の量が限定される。律速プライマーが枯渇すると、過剰プライマーの伸長を介した複製が算術的に増加する。
【0044】
典型的には、プローブは、プライマーが限定されていない方の鎖と相補的であるので、優先的に増幅される鎖はプローブにハイブリダイズすることができる。そしてプローブは、もしハイブリダイゼーションが起こる場合には(例えば、もしその配列が突然変異型ではなく野生型のものである場合には)、その鎖の増幅を阻止することができる。
【0045】
当業者は、本方法において使用する適切な代替プライマーを設計して、所望の標的配列を増幅することができるであろう。
【0046】
使用されたプローブは、突然変異型に結合する場合と比べて野生型に結合する場合において、有意に高い融解温度(Tm)を有する。これは、増幅を妨げるためのブロッカーとして、および、野生型または突然変異型配列の存在について報告するためのレポーターとしての両方にプローブを使用することを可能とする。
【0047】
プローブ対野生型の二重鎖のTmより高く設定された維持/伸長温度を使用することにより、突然変異型配列へは有意なハイブリダイゼーションをさせることなく、プローブを野生型に優先的に結合させることが可能である。増幅プライマーのアニールも、プローブ対突然変異型の二重鎖のTmより高くなるように選ばれる。増幅プライマーは野生型アリルと突然変異型アリルとの両方に結合するが、阻止プローブのために、野生型の増幅は著しく低減される。このことは、後続の回の増幅のために突然変異型の群を優先的に増加させる。
【0048】
一例として、第1のアニーリング工程は高い温度(例えば66.5℃)とする。このブロッキング工程において、プローブは、野生型に結合してフォワードプライマーのハイブリダイゼーションを阻止する。突然変異型へのプローブの結合はないが、これはTmが高すぎるためである。第2のアニーリング工程では、より低い温度(例えば57℃)において、フォワードプライマーが、競合する突然変異型に結合する。Tmが高すぎるのでプローブの突然変異型への結合はほとんどない。
【0049】
増幅反応において、融解段階が95℃で起こり得、それからブロッキングアニール段階のために温度が66.5℃まで下げられる。それからプライマーアニールおよび伸長段階のために温度がさらに63℃まで下げられ、その後95℃に再び戻される。このようにして、突然変異型配列が増幅される一方で、野生型配列は妨害される。それでもいくらかの野生型配列の増幅は起こり得るが、突然変異型配列が優先的に増幅されて試料中のその相対量が増加する。
【0050】
いったん試料が増幅されたら、記述された融解曲線分析を行うことによって、野生型配列の欠如を決定し得る。ハイビーコン(登録商標)プローブまたはそれに類似するものを使用することの1つの利点は、単一の同じプローブが、野生型の増幅を阻止して突然変異型配列の増幅を増やすことと、アッセイの最後に野生型対突然変異型双方の比を報告することの両方を行うことである。この方法は、プローブ領域内のあらゆる突然変異型配列の増幅を可能とし、いかなるSNPの知識にも全く依存しない。すなわち、プローブ配列内の未知のSNPを報告することができる。単一のプローブが、その単一プローブ内、および/または一定の距離に沿った複数のプローブ内の複数のコドン上の突然変異SNPを濃縮することができる。この技術は挿入/欠失を検出することにも使用することができ、非対称増幅にも適合する。
【0051】
実施例2:他の検査との比較
信頼性、正確性、および感度を決定するために、本明細書に記述される方法と他のアッセイとの比較を行った。試験用に20個の盲検DNA試料を得て、次の3つの異なる方法を使用してアッセイした:1.ジーンドライブアッセイ(本明細書に記述したように、エピステム社のジーンドライブ熱サイクリングシステムを使用する);2.ロシュ社のライトサイクラー480 IIを使用するジーンドライブアッセイ;3.ロシュ社のライトサイクラー480 IIにおけるJAK2 V617Fミュータクォントキット(イプソジェン)。
【0052】
1.ジーンドライブアッセイ
WTおよび突然変異のピーク高の増幅産物融解曲線解析に基づくアッセイ。盲検試料をジーンドライブ(商標)にて分析した。単独の試料を、3つの異なるジーンドライブ(商標)ユニットにおける3回の独立した分析試行で分析した。V617Fピークの融解温度(Tm)=56〜58℃。JAK2 WtピークのTm=61〜65℃。
【0053】
図6は、野生型試料および野生型・V617F突然変異型混合試料由来の融解曲線の例を示している。
【0054】
図7は、分析に使用された熱サイクリング工程を示している。試料は、反応あたり10ng、試料あたり20μlの反応、および40x PCRサイクルにて試験した。試験した各試料についての融解曲線を図8に示している。ピーク同定は目視によって行った。結果を下記の表に要約する。
【表1】
【0055】
「判定」は、試料が野生型(wt)であるか突然変異型(mut)であるかの実験上の決定である。「BWH判定」は、非盲検試料からの野生型または突然変異型の決定である。
【0056】
20個のうち15個の試料判定がBWH判定と一致している。20個のうち5個の試料判定はBWH判定と一致していない(G7、K11、Q17、R18、T20)。判定が異なった試料は、約5%以下のV617F突然変異負荷を含有しており、これがこのアッセイの現時点での感度限界であることが示唆される。結果は、3回の分析試行に渡って再現性を有することが示されている。
【0057】
2.ジーンドライブアッセイ/ライトサイクラーデータ
ここでも、試料は、反応あたり10ng、試料あたり20μlの反応、40x PCRサイクルにて試験された。サイクルプロファイルを図8に示す。分析法は、融解曲線ジェノタイピングおよびTm判定である。ここでもやはり、判定は目で行ってピークの存在を決定した。生のデータはここでは示さないが、結果の要約を下記に示す。
【表2】
【0058】
20個のうち16個の試料判定がBWH判定と一致している(ジーンドライブ(商標)データでは20個のうち15個の試料が一致)。20個のうち4個の試料判定はBWH判定と一致しておらず(G7、Q17、R18、T20)、これはジーンドライブ(商標)データでは20個のうち5個の判定が不一致(G7、K11、Q17、R18、T20)であったことと比較される。判定が異なった試料は、約5%以下のV617F突然変異負荷を含有しており、これがこのアッセイの現時点での感度限界であることが示唆される。試料K11は検出されており(0.4% V617F突然変異)、<5%のV617F突然変異の検出はばらつき得ることが示唆される。
【0059】
3.イプソジェンJAK2 V617Fミュータクォントキット
JAK2 V617Fミュータクォントキット(イプソジェン社、カタログ番号MQPP-02-CE、ロット番号12-03-05)と共に、タックマン(TaqMan) 2X PCRマスターミックス(アプライドバイオシステムズ社、カタログ番号4304437、ロット番号P07408)を使用した。標準、対照、およびマスターミックスは、製造会社の説明書に従って調製した。試料は、試料あたり25μlの反応、反応あたり25ngの鋳型DNA、50Xサイクルにて試験した。サイクリングプロファイルを図9に示す。
【0060】
単一の96ウェルプレート上でアッセイをスクリーニングできるように、20個のうち17個のBWH試料を試験した(試料B2、D4、およびE5は省略した)。ライトサイクラー(登録商標)480ソフトウェア、リリース1.5.0(ロシュ・ダイアグノスティックス社)を使用してデータを分析した。分析法:Abs Quant/Fitポイント。コピー数は、標準試料から作成された標準曲線から算出した。
【0061】
既知の標準および対照からの例示的結果を図10に示している。結果の要約を下記に示す。
【表3】
【0062】
イプソジェン・ミュータクォントのスクリーニングの結果は、スクリーニングされたすべての試料に関してBWHの結果と一致していた。これは表面上はより優れた結果であるが、ジーンドライブアッセイは、イプソジェンアッセイの場合のような50サイクルではなく40サイクルのPCRプログラムを使用し、より少ない開始時鋳型量を使用していた(25 ngに対して10 ng)。開始時の鋳型およびサイクルの数を増加させることによりジーンドライブアッセイの感度が向上するであろうことが考えられる。いずれにせよ、本明細書で記述したジーンドライブ法は、既存の方法に匹敵する感度および正確さを有し、JAK2突然変異についての代替的アッセイを提供することは明らかである。さらに、本方法は、どの特定の突然変異が存在するかを事前に知っていることが必要でないという利点を有し、より少量の試料とより少ない増幅サイクルで実施することができる。
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図8c
図8d
図8e
図9
図10
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]